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2021/09/02

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  • 職場の影㉓

    「なんすかそれ? 」 Yくんは私の意図が分からず不思議そうな顔をして尋ねる。それは当たり前のリアクションだと言えるのかも知れない。 「いやな、このまま調査を続…

  • 職場の影㉒

    「ふぅわ…眠ぃ… 」 翌日も私達は前日と同じ時間に柏原幸広の自宅前を陣取って張り込みを続けている。前日からの疲れなのか慢性的な疲労なのか、もはや区別をつける事…

  • 職場の影㉑

    【18時32分】 大通りで停車したタクシーの後方、数十メートルの場所に私達も同じように車を停車させる。 「社長…まさかっすよね? 」 Yくんが不安そうな声で言…

  • 職場の影⑳

    【18時00分】 「Yくんあれ…! 」「かあっ!!面倒くさいっすねぇ!! 」 Yくんが腹を立てる気持ちも理解出来ないではない。階段の前に1台のタクシーが停まっ…

  • 職場の影⑲

    【16時20分】 結局、店内で彼女の姿を見つける事は出来なかった。勿論「手洗い」に入っている可能性だってありはするのだが、こればかりは確かめる術も、時間も無い…

  • 職場の影⑱

    【16時00分】 「おい、まだ16時だよ… 」「っすねぇ… 」「時間だから…次はYくん見てこいよ」「へいへい… 」 パチンコ店の駐車場で車の中にじっと待つだけ…

  • 職場の影⑰

    【13時00分】 「社長!起きるっす!!もう昼っすよ!! 」「……ん!? 」 車内で泥の様に眠り込んでいた私は、Yくんから身体を思いきり揺さぶられてやっと目を…

  • 職場の影⑯

    普通に考えれば、仕事もせず2人で閉店までパチンコ台にしがみ付いていたとしても何ら不思議では無い。一度そんな想像を始めてしまうと、今の自分が段々暇に思えてきて……

  • 職場の影⑮

    「なにやってんすか? 」 Yくんが開口一番そう言って呆れている。 「パチンコ屋の事がよく分かんなかったんだよ!って言うか…アイツ見てた? 」「心配しなくっても…

  • 職場の影ですが…

    遅い時間のアップとなってしまいました。いつも弊社の書き物をご覧頂きありがとうございます。 本日の「職場の影」は都合により、お休みさせて頂きます( TДT)ゴ…

  • 職場の影⑭

    【08時55分】 じっと様子を窺っていたのだが、私達の予想に反して2人はヘラヘラと笑いながら徒歩で移動を始める。 「マジか!面倒くせぇなぁ… 」「っすねぇ… …

  • 職場の影⑬

    「何でYくんはそう言い切れるんだ? 」 張り込みを始めたばかりだったが、酒を買い込んでたった今、柏原幸広は部屋に引き籠ったばかりだ。きっと暫くは出てこないだろ…

  • 職場の影⑫

    「いらっしゃいませ… 」 やっとの思いで柏原幸広をレジで接客し終えた緊張感からか、女性の表情はうっすらと青ざめていた。なので、彼女に気を遣わせる訳もいかないと…

  • 職場の影⑪

    柏原幸広はほろ酔い気分なのだろう。ショーケースを開くと、思い思いにビールやハイボールの缶を取っては、カゴの中に放り込んでいる。店内は今から仕事に向かう人達が多…

  • 職場の影⑩

    「いらっしゃいませ」 朝のコンビニはなかなかの活況で、これから仕事に向かう人達が思い思いに商品を手に取っている。奥にある弁当やサンドイッチの棚は、既に並べてあ…

  • 職場の影⑨

    建物の全景を撮影し、念の為、窓に明かりが点いている部屋の窓だけを少しズームして映す。もしも、この部屋が対象者の住む202号室だったら、既に対象者は起きているか…

  • 職場の影⑧

    「対象者の名前は柏原幸広、年齢は32歳。後はこの資料を見てくれ」「っす! 」 私が昨夜、簡単にまとめた資料にYくんは眼鏡を額に掛け、目を通している。写真も送ら…

  • 職場の影⑦

    「さぁ、先生も帰った事だし会議を続けましょうか」「…… 」 今更上手く逃げ果せる術も無く…仕方なく説教の続きをされるものとばかり思っていた私。 「それで社長、…

  • 職場の影⑥

    「なぁ、おかしいだろう? 」 狩野弁護士は少し呆れた様に言う。 「確かにそうですね… 」 会社側がどんな理由で、もう少し強気な話が出来ないのかさえ私には分から…

  • 職場の影⑤

    そんな私とSさんの仲睦まじい(?)やり取りを敏感に感じた狩野弁護士は、口角を静かに上げて私に言った。 「私が言うのも可笑しいけど、梅ちゃんも煙草…付き合ってく…

  • 職場の影④

    相変わらず仕事の話になると、真剣な眼差しになる狩野先生を前にして、私もそんな態度を合わせたかったのだが、どうにも恥ずかし過ぎる姿を見られた直後だったので間抜け…

  • 職場の影③

    「梅ちゃん、久しぶり」 そう言って静かに微笑む男性は、まさに狩野省吾先生。私は思わず歓喜する。これでやっと説教が終わるからだ! 「どうなさったんですか先生!ど…

  • 職場の影②

    「あのぅ…そろそろ正座やめても… 」「やかましい! 」「はひっ! 」 正座はおろか、この際、会社も辞めたいくらいだ!なんで社長の私がこんなにも叱られなくちゃな…

  • 職場の影①

    何故だかは分からないが、私は今まで何度となく見た。いや、正確に言えば「見慣れた」風景を見ている。 勿論、場所は事務所の中。なのに、何故こんなにも、まるで夢でも…

  • 桜の花弁が舞い散る頃を書いてみて

    いつも弊社の拙いブログをお読み下さり誠にありがとうございます普通、キリの良い所で3月31日にお話を終わりたいと思っていたのですが…結局はオーバーランしてしまい…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(最終話)

    「社長、お客様が… 」「えっ!? 」 Sさんが困惑したような表情で言うので思わず右側にある半透明のパーテーションの方を見た。確かにそこには人影があり、座ったま…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(61)

    更に数日が経った。 私は相変わらず自宅と受け持ちの調査現場を往復している変わりない日常。 そもそも…私のごくごく小さな(?)不祥事が原因でスタッフ(特にSさん…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(60)

    「息子がそう言ったのなら仕方がないわよ。いいじゃない、仕事に責任感を持って本人が忙しくしているのだから… 」「そんな… 」 木下幸代さんは私の振る舞いを責める…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(59)

    道の途中、何かささやかな見舞いでも持って訪問しようと考えてはいたのだが、病室でどんな姿になっていらっしゃるのか分からない所に食べ物や飲み物も無いだろうと思い直…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(58)

    「ぅわ!びっくりした!! 」 一瞬、眠りに堕ちていた私。思わず飛び起きてしまい、土手を転がり落ちそうになる。 「眠ってただけか… 」 ここの所、睡眠不足が続い…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(57)

    何もかもが私の行き過ぎた行動で無駄になってしまった。そんな虚無感だけが私を包んでいる。 「とにかくもう話す事は無い。黙って帰ってくれ。頼む」「…… 」 最後は…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(56)

    「お願いします!洲本さんが忙しい事も重々承知しています!だけど… 」「だけど何だ? 」 一段低い声でそう言われて、思わず下げていた頭を上げてみる。すると洲本啓…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(55)

    「洲本ですが… 」 電話の声は友好的には聞こえない。どちらかと言えば「迷惑」を匂わせる様な暗い声だった。 「こんな時間にすみません。今、施設に来ていて… 」「…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(54)

    私はもう一度改めて佐賀へと向かっていた。 九州自動車道を福岡方面へと進みながら、山の斜面を桜色に染める桜を見ても何だか今年は浮かれた気分にはなれずに、いずれ散…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(53)

    「啓二が…ですか? 」「はい。そうです… 」 言ってしまった傍から、後々場合によっては「嘘つき」と非難されても仕方の無い自分の発言に嫌悪感を抱いてしまう。勢い…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(52)

    買い物を終え、予定を少しオーバーした16時40分に私は町立病院に到着する。夕方近くになったせいか車も混みだして多少焦ったが、木下幸代さんに告げていた時間を10…

  • 桜の花弁が舞い散る頃(51)

    良かった…それが偽らざる本音だった。 電話を切る前に、互いの電話番号を交換する。これでとりあえずは彼が約束を反故にする可能性は無いと踏み、更に安堵した。 しか…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊿

    翌日、会社に行くのが怖くて引き籠っている私の元に洲本啓二からの電話が掛かってくる。時刻は昼の13時過ぎ。 携帯電話の番号を聞いていた訳では無かった私は、彼から…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊾

    「マジでどうしよう… 」 完全にパニック状態に陥ってしまっている私だった。善後策を考えるが頭の中では彼女にバカ程殴られるシーンや顔面を踏みつけられるシーンが頭…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊽

    そう言いながらまた、裏口から忙しなく施設の中に戻る洲本啓二を眺めていて、使命感を持って仕事を行っている彼の様子に安堵したのだが、その彼が仕事を終え1人になった…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊼

    そして目を開いた瞬間、彼は何かを思い出した様にも見えた。しかし、制止された以上、私から口を開く訳にもいかず、彼の言葉をじっと待っていた。 「そう言えば… 」 …

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊻

    「私が洲本ですが…あなたは? 」 防犯を徹底しているからなのか、いきなり背後から現れた洲本啓二に対し、私は一瞬戸惑ったものの、すぐに慌ててバッグの中から名刺を…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊺

    施設のドアに手を掛けて開けようとしたのだが…鍵が掛けられていてドアは開かない。 「マジか…もう施錠? 」 2、3度、取っ手を握って前後に揺さぶってみるものの、…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊹

    私の悪癖。お節介、出しゃばり、余計なお世話etc.… 分かっていても、生い先そう、長くはないであろう彼女の声を聞いていると、どうにも我慢が出来なくなってしまう…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊸

    「どうなさったんですか… 」 あまりに覇気の無い声に、思わず心配してしまい出た言葉だ。 「実は…今、入院していまして」 やっぱりという予感はあったのだが、今は…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊷

    「梅木さんはまだまだやね。やっぱりこの仕事を続けていく以上、常に顧客の立場になって考えて「徳」を積んでいかないと」「はぁ?では香月社長はその『徳』を積んでいら…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊶

    「お久しぶりで~す… 」 あいざわ調査室のドアを開くと事務所の奥から声がした。 「どもども…お久しぶりです」 その奥に目をやると、変わらない笑顔で香月社長の顔…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊵

    「何だ…洲本主任の事だったんですね!びっくりしたぁ… 」 そう言って彼女は笑った。同時に私の緊張感も半分は和らぎ、思わず天を仰いだ。 「すみません…主任は今日…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊴

    ここへ辿り着いて、たった10分程度しか経っていないのに、視界に入る介護職員の数だけでも10名を超えている。想像以上に大きな箱だと感じていた。 先入観の中では「…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊳

    昨日食べたケーキは実に美味かった。気が付けば買い込んだ5個のケーキ全てが朝露の如く消えてしまっていたくらいなのだから… そんなどうでもいい事を思い出しつつ、私…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊲

    「しまったぁぁぁぁぁぁ!! 」 団地を出た私は今、国道をスーパー方向へと猛ダッシュしている。すっかり暗くなってしまった国道はまだ多くの車が流れていて、実に危険…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㊱

    「その話は確かか? 」 仲川宏は私を覗き込む様に尋ねた。もっとも、これこそ私にしてみれば咄嗟についた「方便」だったのだから「違います」と言ってしまえば彼はきっ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉟

    「ふぅ…… 」 仲川宏は溜息を突いて、背中を少し丸める様にして椅子に腰掛け直す。そしてツナギの胸ポケットから煙草を取り出すと少し大きな声で言った。 「おい、ナ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉞

    彼が欲しがっている情報と、私が欲しがっている情報。まさに「人質の交換」みたいな話になってしまっているが、私の立場でわざわざ取材に応じて情報をくれた2人に背いて…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉝

    「はい? 」 奥さんではなく、仲川宏の声だった。その声には、余程ここへ誰かが訪問する事は珍しいのだろう。明らかに不審の音が混じっている。直感的に私が来た事を悟…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉜

    走って追い掛けたはいいが、団地までは結構な距離があって、私なんかが走った所で仲川宏の乗る軽自動車に追い付く筈も無く…… それでも走りながら、手に握っていた買っ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉛

    「……わっ!! 」 つい、ウトウトしている間に、すっかり春の陽気に煽られて眠ってしまっていた私。慌てて腕時計を見ると時計の針はやがて5時30分になろうとしてい…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉚

    「冷蔵庫…までの時間…? 」「はい」 店員は恐る恐る震える様な声で言うが、私の頭の中はそんな事全く考えちゃいなかった。 腕時計をチラリと見る。時刻は午後3時。…

  • 今更ですが…

    いつも弊社の書き物をご覧頂き誠にありがとうございます。早いもので2月も残すところ今日、明日の2日間になってしまいました… 今更ながら時の経つのは早いものです。…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉙

    「お願いします…と、言うか、私はここで奥様ともお会いしてはいませんから… 」 私と奥さんがこのスーパーで偶然とはいえ、接触した事を仲川宏が知れば、彼は余計、頑…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉘

    「洲本啓二さんが? 」「そうなのよ… 」 意外な所で、対象者である洲本啓二の名前が出てきたので驚いてしまう私だった。そのままの勢流れに任せて、私は彼女の話に耳…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉗

    「あっ!? 」「えっ!? 」 視線の先に、仲川宏と同居している女性が買い物カゴを脇に抱えて売り場に立っている姿に気が付いた。そして、同時に彼女もそんな私の存在…

  • 遅くなってしまいました…

    いつも弊社のブログに遊びにお越し頂きありがとうございます。 本日の「桜の花弁が舞い散る頃」ですが、調査に追われとうとう書き上げられませんでした。って言うか、ま…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉖

    チョコレートなんて実に儚い食べ物だ。 せっかく楽しみに取っておいたン千円相当の箱チョコなんて、食べてしまえば一瞬。まるで蒸発でもしてしまったみたい。 「ささ……

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉕

    そのまま3日が経ったが、杳として洲本啓二の居場所は手掛かりさえ掴めなかった。気持ちばかりが焦ってしまい、会社にも出勤する事も無く、ただ、ぼんやり考え込む日々。…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉔

    「あんた、この人に教えてやんなよ」 この言葉を聞いた瞬間、仲川宏が洲本啓二の居場所を知っている事を確信出来た。まだ、調査を引き受けてほんの数時間しか経っていな…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉓

    「だったら俺も知らねぇよ。もう用はねぇから帰れ! 」 瞬間、「しまった! 」と後悔したがもう遅い。私の不用意な発言で彼を怒らせてしまったのだ。 「ちょっと待っ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉒

    つい、先程4階で聞き込みした男性が言っていた様に、仲川宏はもうひとつの出入り口から階段をズカズカと駆け上がり、2階奥のドアを開く。遅れてついていった私だったが…

  • 桜の花弁が舞い散る頃㉑

    「すみません… 」 そう言いながら軽自動車に近付いた私だったが、瞬間、降りてきた男性の姿を見て固まってしまう。 男性は濃いグレーのツナギを着ていて、背はスラリ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑳

    「こんにちは!! 」 何度かノックしてはみたが、全く反応が無く、私の声だけが空しく響く。辺りは静まり返っていて、人がいる気配がまるでしない。仕方なく、向かい側…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑲

    進んでいくうち、ハッキリとその輪郭を見せた目的地だったのだが、1棟だけのそこは、白壁が経年の劣化でくすんでいて、畑の中にポツリと建っているからだろうか、妙に恐…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑱

    「悪い事は言わん。宏はやめとけ… 」 そう忠告する男性の態度は「触れてはいけない」雰囲気を醸し出すには充分だった。勿論、私だって許されるものならば関わりたくは…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑰

    「あぁ、中学校を卒業する頃には立派なワルだったよ。この辺じゃ武さんの評判は逆にすこぶる良かったから、『鷹が鳶生んだ』って皆、揶揄しよった… 」「…… 」「そう…

  • ちょっと一息…

    弊社のヘッポコ書き物をご覧頂き誠にありがとうございます。 本日は業務に追われ、限界を迎えてしまったので1日お休みを頂きます( TДT)ゴメンヨー さて、現在…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑯

    「はぇ~あんた探偵さん! 」 私の名刺を見て女性も同様に驚いている。まるで宇宙人でも見るような視線で私を見ていた。 「いきなり申し訳ありません。実は洲本さんっ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑮

    時折後ろを振り返りながら、私は車に乗り込んだ。 彼女が言う通り、日常茶飯事的にふらついたりするのかも知れないと考えてはみるが、彼女が一人暮らしの事を思えば、突…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑭

    「それでは宜しくお願いします… 」「はい。確かに承りました。こちらこそ宜しくお願いします」 駅のすぐ傍にある町営住宅の前で木下幸代さんを降ろした私は、彼女とそ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑬

    「えぇ?でも動かれた分、お金はかかるでしょうに… 」 そう言って戸惑いを見せる彼女。確かに人が動く以上、何かにつけて経費は発生するものだが、それは敢えて口には…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑫

    「まだ若いから…亡くなっているって事は無いでしょう」 50を過ぎた私や行方の分からない息子でも、彼女から見たら「若い」のだろう。そう思った。 「確かに、もしも…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑪

    木下幸代さんの話を要約すると、50年ほど前に当時の夫と離婚した彼女は、そのまま前夫に息子を引き取られる形で以来、2人と音信不通になったままだという。 息子に会…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑩

    小柄だが背筋は伸びていて、品のいい眼鏡を掛けた木下幸代さんは、70代の半ばくらいの印象でしかなく、少々面食らってしまう。もしも私が同じくらいの年齢になった時、…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑨

    水曜日。私はいつもより少しだけ早起きをして身支度を済ませると、意気揚々と車に乗り込む。今日は木下幸代さんの話を伺う日だ。 いつもなら、すぐに調査現場へ行ける様…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑧

    「私が?Sさんの何を? 」「だから、ちょこれーと」「バカ言っちゃいけない。何で私がそんな事しなくちゃいけないんだ? 」「だってしゃちょうすぐたべるでしょ! 」…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑦

    「おはようさん! 」 元気よく、ハイテンションでドアを開けると、既に出勤していたYくんの間抜け面が目に入る。 「おはようっす! 」 相変わらずヘンテコなしゃべ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑥

    週が明けて月曜日。今日は朝から特別な場合を除いて、スタッフが出勤してくる日になっている。 相変わらず私の隠された秘密は、運が良いのか悪いのか、何とか今日まで発…

  • 桜の花弁が舞い散る頃⑤

    安堵した私が、その復元されたチョコをそっと握って再び、冷蔵庫に戻ろうとした時だった。 「こんちは---!! 」「ギャッ!! 」 焦った私は、握っていたチョコレ…

  • 桜の花弁が舞い散る頃④

    「フッ…ぬぬぅぅぅぅ…お主、めんこいのう♡ 」 口の中に広がるミルクチョコレートの甘味、香り。思わず目を瞑った。ひと仕事終えた後のそれは特別な感じがする。 当…

  • 桜の花弁が舞い散る頃③

    「そうだったんですね… 」 思った通り、高齢の方だという事はすぐに把握出来た。どうせ暇を持て余している。女性の住む地域までこちらから足を運ぶ事には何の躊躇いも…

  • 桜の花弁が舞い散る頃②

    「あの…もしもし… 」「…… 」 聞いた傍からかなり高齢の女性である事はすぐに分かった。実は何を隠そう、弊社のフリーダイヤルは健康食品の会社や大手警備会社の電…

  • 桜の花弁が舞い散る頃①

    「みんな忙しいのかな…… 」「誰か遊んでくれないかな…… 」「暇だなぁ…… 」 自宅近くの川沿いで見かける桜の蕾が大きく膨らみ始めた3月の半ば頃だった。年度末…

  • 千里眼を書き終えて

    長い間、この「千里眼」をお読み下さり誠にありがとうございました。 本日は、この千里眼の「読書感想文」ではなく、「書いた感想文」を述べさせていただきます( ´艸…

  • 千里眼156

    「先生は気付いていたの? 」 サラリとそう言ってのけた垣内恵美に、さっきまで感じていた悲壮感も、母親としての母性の欠片も全く感じなくなっていた。それどころか、…

  • 千里眼155

    振り向くとドアは開き、狩野先生が顔を出した。思わずホッと胸を撫で下ろしてしまう私だった。 「なかなか2人が帰ってこないから私も一服お邪魔するよ… 」 邪魔なん…

  • 千里眼154

    「母親が闇金から借金して、私が保証人になった事はのんから聞いてるでしょ」「…… 」 敢えて返事はしなかった。 「せっかく普通の平凡な生活していたのに、いきなり…

  • 千里眼153

    垣内恵美は慣れた様子で電子煙草を口にし、美味しそうに煙を吐いた。そんな様子を見ていて、何か今まで私が知っていた彼女と印象が大きく違う様な感覚が確かにある。無論…

  • 千里眼152

    やがて煙草を吸い終える頃、誰かがドアを2回ノックした。 「……どうぞ… 」 非常口のドアが開くと、顔を見せたのは垣内恵美の方だった。てっきり狩野弁護士だとばか…

  • 千里眼151(終わる終わる詐欺( ´艸`)

    「…… 」 垣内恵美はまた無言に戻ってしまう。煮え切らない態度に思わず苛立つ私だったが、狩野弁護士の表情が変わる事は全く無く、その場はやがて膠着状態へと入って…

  • 千里眼150

    母親から無理な借金を背負わされ、挙句、常習的な盗みに手を染めてしまった彼女を見ていると、何とも切ない。 気の毒に思える事情もあるが、私達に出来る事は少ないと思…

  • 千里眼ですが…

    こんにちは(≧▽≦) いつも弊社の書き物をご覧頂き誠にありがとうございますm(__)m 長く続いた「千里眼」も次の150話で終わりにしようと意気込んで書いてい…

  • 千里眼149

    「私が…悪いんです… 」 いきなり割って入った垣内恵美の一言に、私と狩野弁護士は一瞬、顔を見合わせた後、すぐに彼女の方へと視線を移した。 「先生…すみません……

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