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2021/08/10

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  • 読書日記2172

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 世の中には、楽しいことがよい、美味しいものがよい、便利なものがよい、快適なものがよい、という前提が深く浸透している。もちろん、それらを否定するつもりはない。美味しいものを食べれば嬉しい。楽しい時間を過ごせば気分は明るくなる。便利な道具があれば生活は楽になる。疲れた身体にとって、快適さは救いである。だから、物質的な幸福や感覚的な快楽を、すべて浅薄なものとして切り捨てることはできない。人間は身体をもって生きている以上、食べること、眠ること、休むこと、…

  • 読書日記2171

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 社労士試験の勉強を続けていて、いまさらながら気がついたことがある。社労士試験と読書は、かなり相性がいい。 これは、試験勉強を読書の延長にしてしまえば楽になる、というような軽い話ではない。むしろ逆である。社労士試験は、想像していた以上に細かい。数字、期限、主体、届出先、原則と例外、以上・超える、以内・未満、前日・翌日、被保険者・受給権者・事業主・厚生労働大臣。ほんの少し言葉が変わるだけで、正誤が反転する。読書のように、雰囲気で大意をつかめばよいというも…

  • 読書日記2170

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com 久々に読書日記を書く。 久々、という言葉を使うことに、少しだけ違和感がある。私は読書から完全に離れていたわけではない。むしろ、別の仕方でずっと読んでいた。条文を読み、過去問を読み、制度を読み、解説を読み、間違えた選択肢の構造を読み、疲労した自分の身体の反応を読んでいた。読書日記を書いていない時間も、私は何かを読み続けていたのである。ただ、それはいつものように本を媒介にして言葉をほどく読書ではなく、試験と仕事と生活の圧力のなかで、世界のほうから押しつけられる記号を読み続けるような日々であった。 5月は、いろいろなものを背負いす…

  • 読書日記2169

    # 五月を通過して、考える日々へ――池田晶子からヘーゲルへ 五月は、ひとことで言えば、処理の月であった。 処理という言葉は、たいへん便利である。処理する、確認する、回答する、修正する、精査する、整理する、共有する、連絡する、保留する、差し戻す、再確認する。仕事の場では、これらの動詞が毎日のように使われる。どれも無機質で、何の感情も含んでいないように見える。だが、五月の私にとって、処理とは単なる業務上の動詞ではなかった。 処理するとは、外からやってくるものを、自分の内側で爆発させないための行為であった。 問い合わせを処理する。怒りを処理する。焦燥感を処理する。責任感を処理する。上への不信を処理す…

  • 読書日記2168

    8/23 社会保険労務士試験のためほぼ全ての時間を勉強に割いております。 しばらく読書日記をおやすみいたします。

  • 読書日記2167

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 土日もひたすら社労士試験の勉強をしていた。平日だけでなく、休日もまた、問題文を読み、肢を切り、間違え、戻り、確認し、また間違える。その繰り返しであった。そして今日、ようやく全科目について過去問10年分を一周し終えた。五月雨式ではある。完璧に整理された美しい一周ではない。途中で科目ごとの濃淡もあったし、理解が浅いまま通過した論点もある。だが、それでも一周は一周である。労基、安衛、労災、雇用、徴収、健保、国年、厚年、社一、労一。ひとまず全体を一度通った。これは小さくない。 もちろん、終わったからといって、合格が見えたわけ…

  • 読書日記2166

    朝04時50分起き 12時まで社会保険労務士試験勉強 読書でリフレッシュ 17時頃勉強再開 20時勉強終わり ちゃんちゃん

  • 読書日記2165

    ただただひたすら社労士試験の勉強をしつつヒルティ『幸福論』を読み込む日々です

  • 読書日記2164

    社会保険労務士の試験日にそなえて日々勉強中です 読書で培った集中力が生きています 毎日仕事しながら、毎日5時に起きて平日も2時間は勉強時間を確保しています

  • 読書日記2163

    ヒルティ『幸福論 第一巻』を通勤中に熟読。 幸福であるためには物質的な幸福を捨てなければならないという、現代人にはおよそ理解の及ばない論理で成り立っている本です。おすすめです。

  • 読書日記2162

    社労士試験が終わるまで暫く書けないかもしれません。

  • 読書日記2161

    社労士試験勉強とデジタルデトックスのためしばらく休止。 本は読んでます、今日はヒルティ『幸福論 1』を読みました。

  • 読書日記2160

    試験勉強に追われて読書できず、、、 今日は中止

  • 読書日記2159

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は、制度の言葉に長く触れていた一日であった。労働基準法を読んでいると、人間の生活というものが、いかに細かく形式化されているかを思い知らされる。労働時間、休憩、休日、賃金、解雇、年少者、妊産婦、就業規則。そこには、人間の生を直接救う言葉というより、人間の生が壊れすぎないように、最低限の線を引くための言葉が並んでいる。法律の言葉は、あたたかくはない。しかし、あたたかくないからこそ、一定の力を持つ。誰かの善意にすがるのではなく、形式として人間を…

  • 読書日記2158

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 私はメルカリで売れた本をすぐ発送できるように、コンビニの隣に住み始めた。生活導線としては完璧である。売れた本を梱包し、そのまま数十秒で発送できる。読書生活と物流が、ほとんど直結する。これは一種の合理化であり、生活の最適化である。 しかし私は、その合理化の副作用を甘く見ていた。 コンビニの隣に住むということは、コンビニの便利さを享受するだけではない。コンビニの光に寄ってくるものまで、生活圏に引き受けるということだった。 夜中に馬鹿みたいな音を立…

  • 読書日記2157

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は、詳細を書けない。書けないのだが、書けないということ自体が、すでに今日の出来事の一部になっている。何があったのかを説明できない。誰がどうしたとか、どこで何が起きたとか、そういう輪郭を与えてしまうと、たちまち書くべきでない領域に踏み込んでしまう。だから、今日の読書日記は、出来事そのものを書くのではなく、その出来事が私の内部に残した余熱を書くことになる。つまり、説明できないのに、たしかに私を一日生かしたものについて書くのである。 朝、目が…

  • 読書日記2156

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日もすし詰め電車のなかで、ヒルティ『幸福論 第一巻』を握っていた。握っていた、という表現が妙にしっくりくる。読んでいた、ではない。携えていた、でもない。あの混雑のなかでは、本は優雅に開かれるものではなく、つぶされないように、落とさないように、他人の肘と鞄と体温のあいだで、かろうじて手中に残される小さな固形物である。ページをめくるというより、寿司を崩さないように箸で持ち上げるような感覚に近い。しかも今日はヒルティである。『幸福論』である。すし…

  • 読書日記2155

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 満員電車がひどすぎた。ひどすぎた、という言葉では足りない。あれは移動ではなく、圧縮である。人間が目的地へ向かうために電車に乗っているのではなく、都市という巨大な機械に、人間の身体が一時的に詰め込まれているような感覚であった。足の置き場がない。腕の逃げ場もない。背中に誰かの荷物が当たり、前からは別の誰かの肩が押し寄せ、横からは知らない体温が密着してくる。息を吸うことさえ、どこか他人に許可を求めているような気分になる。毎日つぶされている、という表現は決して比喩ではない。実際に身体はつぶされている。肋骨のあたり、肩…

  • 読書日記2154

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 最近、読書は帰りの電車でしかできていない。以前なら、読書というものにもう少し余白があった。机に向かい、ページを開き、言葉が自分の内側に沈んでいく時間があった。しかし今は違う。朝四時に起きる。そこから八時まで、休憩と朝食を挟みながら社労士試験の勉強をする。労基法、安衛法、労災、雇用、徴収、健保、国年、厚年。条文、要件、期限、主体、数字、例外、届出、給付、保険料、時効。頭の中に制度を叩き込み、曖昧な理解を潰し、間違えた肢を二度と間違えないようにする。感想などいらない。気分などいらない。やるか、落ちるかである。 だか…

  • 読書日記2153

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 アントワーヌ・コンパニョンという名前を見ると、まず身構える。私にとってコンパニョンとは、気軽に開いて気軽に閉じるような作家ではない。文学理論、批評、近代、反近代、引用、読者、テクスト、そうした言葉がどこかで絡まり合い、読もうとすればこちらの集中力を根こそぎ要求してくるような書き手である。難解な本ばかり書いている、という言い方は乱暴かもしれないが、少なくとも、平日の夜に疲れた頭でページをめくり、「なるほど、今日もよい一日だった」と素直に眠れるタイプの本ではない。こちらもそれなりに構えなければならない。椅子に座る…

  • 読書日記2152

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は、社労士試験の勉強で一日を生き切った。ここで「勉強した」と書くより、「生き切った」と書きたい。勉強とは、情報を頭に入れる作業である以前に、時間と体力と集中力を、ある一点に差し出す行為である。特に試験勉強は、読書とは違う。読書は逸脱を許す。横道にそれてもよい。連想が膨らんでもよい。むしろ、その横滑りのなかに思考の芯が生まれることがある。しかし試験勉強は、逸脱を許さない。問いに対して、決められた根拠で、決められた範囲から、決められた正誤を切らなければならない。そこには遊びがない。あるいは、遊びを許されないよう…

  • 読書日記2151

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の新規性は、仕事と勉強と読書だけで日を組み立てる生活が、もはや「努力」ではなく、一つの生活形式になりつつあることを確認した点にある。 残業であった。そう書くと、ただの一日である。ありふれた社会人の記録である。朝起きて、仕事へ行き、働き、残業し、帰って、疲れて、寝る。そこには特別な事件もない。劇的な転機もない。誰かに誇れるような派手な成果もない。しかし、私にとって今日という日は、むしろその「何もなさ」のなかに、かなり濃いものが詰まっていた。…

  • 読書日記2150

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日はGW明けである。こういう日に深いことを書くのは、本来なら避けたほうがいい。身体がまだ休日の余韻を引きずっているし、頭もどこか鈍い。世間が再び労働のリズムに戻っていくとき、私はその流れにうまく乗り切れないまま、読んだ本のことを考えている。レオパルディ『断想集』と、『家族不適応殺――新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』である。まったく違う種類の本である。片方は十九世紀イタリアの詩人・思想家の断片的な思索であり、もう片方は現代日本の凶悪事件…

  • 藤沢数希『損する結婚 儲かる離婚』読了+読書日記2150

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 藤沢数希『損する結婚 儲かる離婚』を読み終えた。読み終えた、というより、ひとつの時代の気分を確認した、というほうが近い。これは単に結婚制度を金銭面から分析した本ではない。もちろん表面上は、結婚、離婚、財産分与、慰謝料、養育費、男女の経済合理性といった話が並んでいる。だが、私がこの本を読んで感じたのは、制度をめぐる知識の整理ではなく、人間関係を損得に還元していく時代の空気であった。結婚という、少なくとも建前としては愛、信頼、共同生活、責任、相互…

  • 読書日記2148

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日はフクロウの耳が欠けた。 と書くと、いきなり何の話か分からない。しかし私にとってはかなり重大な事件であった。フクロウの耳が欠ける。読書梟として、それは象徴的にあまりにも不吉である。しかもただ欠けただけではない。欠けた耳をなんとか直そうとして、瞬間接着剤を取り出し、これでどうにかなるだろうと考えたところから、事態はさらに悪い方向へ転がっていった。 瞬間接着剤というものは、名前の通り瞬間的である。こちらの都合など待ってくれない。少しだけつけるつもりが、少しだけでは済まない。フクロウの欠けた耳を元の位置に戻そうと…

  • 読書日記2147

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 ブックオフN店に行ってきた。目的は本ではなかった。ウォークマンに入れたいCDの在庫があるのが、このN店だけであったからである。Amazonにも限界がある。ネットで聴ける、買える、取り込める、そういう環境はたしかに便利である。しかし、便利さの外側に落ちている曲がある。配信されていない、検索しても出てこない、あるいは出てきても形が違う。そういうものを拾いに行くには、まだ実店舗へ行くしかない。そういう意味では、今日のブックオフ行きには一応の理由があった。CDを探すという行為そのものには、まだわずかな手触りが残っていた…

  • 本が貨幣になるとき -初版好きへの嫌悪とともに-

    本が貨幣になりつつある。ただし、すべての本がそうなっているわけではない。一部の人たちのあいだで、しかもかなり限定されたマニアの世界で、という条件つきである。 マニアックな本には、高い金を払ってでも手に入れようとする人間が一定数いる。絶版、品切れ、限定版、叢書の一冊、思想書の古い版。そうした本は、いつのまにか読むための物である前に、所有するための物、交換するための物、値上がりを待つための物になっていく。 ここで本は、貨幣に似てくる。 もちろん、本は貨幣そのものではない。貨幣と違って、本は読める。内容がある。線を引ける。ある一冊が、人生のある時期に深く刺さることもある。だから、本を完全に無価値な物…

  • 読書日記2146

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 読書日記を書く、と言いながら、今日も朝五時前に起きて、ひたすら社労士試験の勉強をしていた。だから、何か劇的な出来事があったわけではない。朝から机に向かい、条文を読み、問題を解き、間違えた箇所を潰し、また戻る。その繰り返しである。最近の私は、ほとんどそれだけで一日ができている。読書日記といっても、読書そのものよりも、むしろ勉強の合間にふと浮かんだ思考の断片を拾い集める作業に近い。 しかし、何もなかった日ほど、かえってひとつのことが妙に濃く浮かび…

  • 読書日記2145

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は、社会保険労務士試験の勉強に十時間強を費やした一日であった。その合間に、宮台真司『宮台式人類学』と、執行草舟『新しい武士道』を読んだ。こう書くと、まるで二冊を読んだことが一日の中心であったかのように見えるかもしれない。しかし実際には、今日の中心にあったのは試験勉強であり、読書はその周縁に置かれていた。けれども、周縁に置かれたものが、必ずしも軽いとは限らない。むしろ、生活の大部分を占めたものの意味を、周縁にある読書が照らし返すことがある。…

  • 愛を探していたはずが、営業リストに載っていた ーある弱者男性の独白ー

    人間は欲望をもつ だから婚活市場はそこに入り込む だが、欲望をもつことと、カモにされてよいことは違う 孤独があるからといって、孤独を営業資源にしてよいわけではない 結婚したい、恋人がほしい、誰かに選ばれたい その願いは弱さではない しかしその願いを、電話営業と参加費と成功事例の広告で囲い込むとき、そこには一種の搾取が生まれる

  • ブックオフの終焉

    メルカリのほうが明らかに高く売れるというデータ(平均して、定価の39%の還元)が存在する。 読書梟 ブックオフ側はこれを認識して、どう考えている? perplexity ブックオフ側は、「メルカリなどフリマで高く売れるルートがある」ということを当然認識している上で、あくまで「自社の買取モデル」を優先するというスタンスで動いていると考えるのが正しいです。 1. ブックオフがどう考えているか(公式メッセージから) ブックオフは、「専用機器と市場価格データを使って、日々変動する相場で買取価格を決める」と公開しています。つまり、「メルカリ相場は参考にしているが、そこをそのまま買取価格に反映するわけでは…

  • 読書日記2144

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 GWの世間の空気には、どうにも落ち着かないものがある。人々が休みを楽しむこと自体を否定したいわけではない。旅行に行くこと、食事を楽しむこと、誰かと会うこと、日常から一時的に離れること、それらは人間にとって自然な営みである。だが、それでもなお、この時期になると、街全体がどこか一斉に浮き足立ち、楽しむことが義務であるかのような圧力を帯びる。その空気に私は、単なる休日の明るさではなく、物質主義の世界観を感じ取ってしまうのである。 物質主義とは、ただ…

  • 読書日記2143

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 すべての言葉にいらだつ日がある。いや、日がある、というより、今日は言葉そのものがこちらに向かってくる。慰めの言葉も、称賛の言葉も、助言の言葉も、どれもこれも、いったん耳に入った瞬間に、私の内側で別の刃物に変わる。ほめられても嬉しくない。むしろ腹が立つ。その程度しかできないと思われているのか、と思う。そこまでできて偉い、などと言われると、私は逆に、その「そこまで」という小さな囲いに押し込められた気がする。ほめ言葉とは、しばしば相手の期待値の低…

  • 読書日記2142

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 読書日記を書く、と言いながら、今日はほとんど社労士試験の一日であった。読書日記という看板を掲げながら、机の上に積まれていたのは文学でも哲学でもなく、労働基準法や労働安全衛生法や社会保険の問題集であり、条文と過去問と解説のあいだを行ったり来たりする時間であった。だが、不思議なことに、それは読書から遠ざかった一日という感じがしない。むしろ、読書だけをしていたころには見えていなかったものが、少しだけ見えた気がするのである。 法律の勉強は、最初はただ…

  • 読書日記2141

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は読書日記を書く、と言いながら、今日もほとんど読めていない。こういう日が続く。読書梟を名乗りながら、本を読む時間が削られていく。だが、読書日記とは、読めた量を誇示する記録ではない。むしろ、読めなかった日にも、なお本のほうを向いていたことを残すための形式である。読書が生活の中心に堂々と座っている日もあれば、生活の端に追いやられ、それでも小さく灯っている日もある。今日は明らかに後者である。多忙すぎて、読書は後景に退いた。しかし、後景に退いた…

  • 読書日記2140

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は平日である。だから読書のことをたくさん書ける日ではない。こういう日には、読んだ本の内容を大きく展開するよりも、むしろ「少ししか読めなかった」という事実そのものを、日記の中心に置いたほうがよいのかもしれない。読書は、休日にまとまった時間を取って一気に進めるものでもあるが、平日の隙間に数ページだけ差し込まれるものでもある。そして不思議なことに、後者のほうが、かえって印象を強く残す場合がある。時間がないからこそ、読む側の意識が妙に鋭くなる。短…

  • 読書日記2139

    ど つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 読書梟 承認欲求の承認欲求以前的前提について。そもそも承認欲求という概念自体疑わしい。何か社会の構造が変わり、ただ現象としてそのような概念が持ち出されていると私は見る、ルッキズムはさらに下位概念だと思われる。上位概念は宮台真司教授『宮台式人類学』にいろいろ書かれている気がする AI 問題の置き方がかなり重要です。まず「承認欲求」を心理学的な個人欲求としてではなく、社会構造の変化が生んだ“説明語”として疑う方向で整理します。宮台真司の議論につ…

  • 読書日記2138

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ランキング参加中読書 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 引っ越し直後の生活実務を、社会の荒廃ではなく「内側から湧き上がる力」を試される現場として読み直した。 『宮台式人類学』と執行草舟『夏日烈烈』を読んだ。今日もいろいろと深い話を聞いた。しかし、深い話を聞いた、などと落ち着いて書き出すには、あまりにも生活の側が騒がしかった。引っ越ししたてで、フライパンを買い、電子レンジを買い、冷凍食品を買い、キッチンまわりの品物を買い足した。午前中から本棚の組み立てがあり、ガスの立ち合いが…

  • 読書日記2137

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 一日経った。こうして一日ごとに区切って書いていると、生活というものは劇的に変わるというより、少しずつ手触りを変えながら前へ進んでいくのだとわかる。今日は歓迎会があった。歓迎される側としてその場にいるというのは、当たり前のようでいて、じつは少し不思議なことである。新しい場所に入り、新しい仕事を覚え、新しい人間関係のなかに自分を置く。その過程では、どうしても自分がまだ仮の存在であるような気がする。席はあるが、まだ完全には馴染んでいない。名前は知られ…

  • 読書日記2136

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は宮台真司『宮台式人類学』の続きを読むことができた。読書というものは、何を読むかだけではなく、どういう環境で読めるかにも大きく左右される。今日は雨で涼しかった。そのおかげで電車もそこそこ涼しく、かなりよく読めた。これが蒸し暑い日だと、読書は一気に難しくなる。電車が蒸し風呂のようになると、身体がまず環境への耐久に意識を奪われるからである。本を読むとは、文字を目で追えば済むことではない。身体が落ち着き、呼吸が乱れず、余計な不快が少ないという条…

  • 読書日記2135

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 一日経った。たった一日である。しかし引っ越しの直後における一日は、ときどき一週間くらいの重みを持つ。昨日までそこにあった段ボールがなくなり、床や壁や机の輪郭がようやく見え、「仮の場所」だった空間が少しずつ「部屋」へと変わっていく。その変化は、他人から見ればささやかなものかもしれない。けれど住んでいる本人にとっては決定的である。荷物が片づくというのは、単に物理的な空間が空くことではない。生活の中に散らばっていた仮設性が、少しずつ撤去されていく…

  • 読書日記2134

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 引っ越しというものは、住む場所が変わるだけの出来事ではない。生活の底がいったん抜けることである。私はこの数日、そのことをずいぶん生々しく思い知らされた。段ボールは積まれ、必要なものの位置は定まらず、昨日まで何も考えずにできていたことが急に一つずつ手続きになり、動作になり、工夫になった。しかも今回は、ガスが使えないという現実まで重なった。湯が出るということが、こんなにも生活の根本だったのかと、いまさらのように思った。人間は理念で生きているようで…

  • 読書日記2133

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ランキング参加中読書 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は読書や勉強の一日ではまったくなかった。むしろその反対で、引っ越し作業と役所関係の手続きと、最低限の生活家具の購入と、生活を生活として成立させるための雑務だけで、ほとんど一日が消えていった。しかもガスの立ち合いの設定をこちらのミスでうまく通せず、夜になっても湯が出ないまま、冷たい水で身体を洗うことになった。疲れている日に冷水を浴びるのは、それだけで妙に心細い。大げさでも何でもなく、文明とは何かを身体で思い知らされる…

  • 読書日記2132

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ランキング参加中読書 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は読書の縮小を敗北ではなく投資の再配分として捉え直し、社会保険労務士の勉強を「発信する資格を得るための通過点」として位置づけた。 一日が経った。強いことを思った翌日は、だいたい少し冷える。昨日の昂りが単なる気分であったのか、それとも本当に自分の中で何かが動いたのかは、一日経ってみるとわかることが多い。私は以前から、強いダメージを受けたときも、強い決意を抱いたときも、「一日待つ。一日経ってからまた変わる」と考えるのが…

  • スプレッドシート 実務用 メモ5

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ☆きれいな列を作るためにすること☆ 1. まず結論 よくあるズレはこの3つである。 空白が混じる 全角と半角が混じる 数値と文字列が混じる これを直すには、検索前に 空白を削る 全角スペースを半角化または削除する 文字列にそろえる or 数値にそろえる ことをする。 2. 社員番号用の定番式 社員番号は、ふつう 計算しない識別子 なので、文字列としてそろえるのが基本である。 社員番号を検索用に整形する式 =TRIM(CLEAN(TO_TEXT(A2))) これは、 TO_TEXT(A2) で文字列化 CLEAN(...) で…

  • スプレッドシート 実務用 メモ4

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com 空白があるときに関数で拾えないときがあります、あれってなんですか それは多くの場合、見えない空白が原因である。 見た目には同じでも、スプレッドシートの中では 田中 田中 田中 田 中 は別の文字列として扱われることがある。そのため、VLOOKUPやXLOOKUP、MATCHなどで拾えなくなる。 よくある空白の種類 1. 前後の空白 たとえば、 1001 1001 は見た目だと気づきにくいが、別物である。これが一番多い。 2. 全角スペース 日本語データではこれも多い。 田中 太郎 田中 太郎 この2つは別物である。前者は半角…

  • スプレッドシート 実務用 メモ3

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com 社員番号をVLOOKUPで拾い上げ、右に時給が出たとする、それは値か、文字列か? 基本的には、時給は「値」である。 ただし、正確にはこう言うべきである。 VLOOKUPで右から返ってきたものは、元のセルに入っているデータ型を引き継ぐ。だから、 元の時給欄が数値なら → 値 元の時給欄が文字として入っているなら → 文字列 になる。 例 社員マスタがこうだとする。 社員番号 時給 1001 1200 1002 1350 このとき、 =VLOOKUP(A2, D:E, 2, FALSE) で返ってくる時給は、ふつうは 数値 であ…

  • スプレッドシート 実務用 メモ2

    スプレッドシート基礎まとめ 1. まず大前提:見た目と中身は違う スプレッドシートでは、見た目が同じでも内部では別のものとして扱われることがある。この理解が最重要である。 たとえば次の2つは、見た目は似ていても中身が違うことがある。 123 → 数値 '123 や文字列としての 123 → 文字列 この違いが、検索・計算・並べ替え・集計で問題を起こす。 2. 文字列と値の違い 文字列 ただの文字の並びである。数字っぽく見えても、文字として扱われていれば文字列である。 例: 商品コード 社員番号 郵便番号 電話番号 00123 これらは数字に見えても、計算する対象ではなく識別するためのものなので…

  • 読書日記2131

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ランキング参加中読書 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 コミュニケーション能力という曖昧語を、宮台真司の社会学的人類学をレンズにして、交換・目的合理・没人格化・精神病理という連関のなかで捉え直せた。 今日は『宮台式人類学』を読んだ。誰かがツイッターでリツイートしていて気になり、勢いで手に取った本であったが、こういう偶然の回路がときどき読書を大きく前に進める。本を読んでいてしびれる、という感覚がある。単に知らない知識を得たということではない。自分のなかで別々に存在していた問題…

  • スプレッドシート 実務用 メモ1

    意味: 「データベースという元シートの行を、D列の『所属』ごとに分けて、同じ名前のシートへ自動で振り分ける関数」である。 function distributeRowsByDepartment() { const ss = SpreadsheetApp.getActiveSpreadsheet(); const dbSheet = ss.getSheetByName('データベース'); const headerRow = 1; const lastRow = dbSheet.getLastRow(); const lastCol = dbSheet.getLastColumn(); if (…

  • 読書日記2130

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今週、私は仕事の手戻りについて考えていた。労務の仕事には答えがない、という言い方はよくされる。たしかにそうである。法令や規程や通達や慣行や現場判断が幾重にも絡み、そのうえ個別事情が入り込む以上、すべてを一つの定義で処理できる仕事ではない。しかも、正しくやったつもりの仕事が、あとから別の部署の文脈に乗った途端に、不十分なものとして立ち現れてくることもある。今回、システム移行に伴う交通費申請の確認で、私は経路と金額が合っているかどうかだけに集中…

  • 読書日記2129

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 一日経ってみて、私はあらためて、長いあいだ自分の中でどこか後ろめたさを伴っていた読書という営みが、いまでは逆説的に、かなり実務的な力として働いていることを感じている。かつて私は、一日に八時間読書すると公言していた時期があった。世間の目から見れば、それはあまりにも迂遠で、あまりにも生産性に欠け、役に立たない営みに見えたかもしれない。読書は教養になるとは言われるが、ではその教養がどの場面で直接の成果を生むのかと問われれば、答えに困ることも多い。…

  • 読書日記2128

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ランキング参加中読書 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 エクセルとスプレッドシートについて考えていると、単なる道具比較の話をしているつもりでも、気づけば人間の熟練とは何か、仕事とは何か、知識とは何かというところまで話が伸びていく。私は最近、このテーマについてあれこれ考えていた。エクセルのほうが多機能であるとか、スプレッドシートのほうが共有に向いているとか、そういう話は昔からある。だが、AIが入ってきた今、論点は少し変わったように思う。いま問われているのは、どちらが高機能かと…

  • 読書日記2127

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は通勤中にスタンダール『赤と黒 下』を読み、帰りには久しぶりに勝間和代の本を読んだ。読んでいる本の種類がここまで違うと、頭の使い方そのものが変わるのを感じる。朝は十九世紀フランスの野心と虚栄と恋愛と身分の空気のなかに入り込み、帰りは現代日本のビジネス的な整理や実用的な助言の言葉に触れる。どちらも本であり、どちらも文字を追っているのに、読後に頭の中へ残るものの質がまったく違う。この差は何なのだろうと、帰宅してからずっと考えていた。 まず率…

  • 読書日記2126

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日はスタンダール『赤と黒 下』を読みながら、合間にネットの記事もいくつか眺めていて、あらためて「生きづらさ」という言葉について考えていた。昔の私はこの言葉をよく使っていた。あの頃の自分にとって、それはたしかに切実な言葉であったと思う。社会の速度についていけない感じ、人とうまく噛み合わない感じ、自分だけが何かの拍子にうまく世界へ乗れていない感じ、そういうものをまとめて指すには便利な語であったし、便利であるだけでなく、ある種の真実も含んでいた。…

  • 読書日記2125

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 G・E・ムーア『倫理学原理』を読み進めている。気が付けば二〇〇ページを超えていた。読んでいて強く感じるのは、この本が単に「善とは何か」を問うているだけではなく、私たちがいかに簡単に言葉で思考した気になってしまうか、その危うさまで暴いているということである。ムーアはミルの功利主義を吟味しながら、快楽と善とを安易に同一視することに疑義を差し挟む。ミルは快楽が善であると言いながら、同時に快楽には質の高低があるとも述べる。だが、もし本当に快楽そのも…

  • スタンダール『赤と黒 上』読了+読書日記2124

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 スタンダール『赤と黒』上巻を読み終えたあと、私はそのままムーア『倫理学原理』を読み進めた。いま振り返ると、この読書の連なりは偶然ではなかったように思う。『赤と黒』上巻を読んで私の中に残ったのは、恋愛や嫉妬というより、欲望と承認の絡み合いに関する不穏な感触であった。ジュリヤン・ソレルは女を欲しているようでいて、じつはその女に選ばれる自分を欲している。相手の身体に惹かれているようでいて、その身体を媒介にして自分の価値を確かめようとしている。私は…

  • 読書日記2123

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 寝る前に置いておけるように、そのまま読書日記として使える形で書く。 今日の新規性は、読書が慰めではなく、労働への怒りを測る器になったことである。 今日は読書が救いであると同時に、妙に腹立たしいものでもあった。昼の仕事で消耗しきったあとに本を開くとき、こちらは別に高尚なことをしたいわけではない。ただ、自分の傷をいったんどこか別の場所に移し、言葉の上で少し乾かしたいだけである。ところが、そういう夜に限って本は慰めと同じだけ苛立ちも連れてくる。今日…

  • 丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』読了+読書日記2122

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の読書は、平和をめぐる本を読んでいたはずなのに、気がつけば平和そのものよりも、平和が崩れやすい世界で自分の倫理をどう腐らせずに持つか、という問いのほうへと押し出されていた。丹羽宇一郎『Z世代は戦後初めて銃をとる世代になるかもしれない』を読み終えた。読み終えて残ったのは、平和への明快な処方箋ではなかった。むしろ、処方箋の不在であった。戦争をふっかけても得られるメリットは案外少ない。大国が小国に戦争を仕掛けても、思うように勝てないこともある。…

  • 読書日記2121

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は、平日というものの輪郭があまりにもはっきり見えすぎた一日であった。朝八時に出社し、朝九時から夜十九時二十分頃まで仕事をし、帰宅は二十時前後になる。夕食をとり、そのあと売れた本を梱包し、走りながらコンビニへ行き、帰りも走って戻り、二十時四十五分に帰宅、風呂に入って二十一時五分、少し本棚を整理して二十一時三十五分。二十二時に寝るのであれば、残された自由時間は二十五分しかない。私は昨夜、この事実を前にして「地獄です」と言った。誇張ではなく、…

  • 読書日記2120

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は火曜日である。走り込みもした。体の芯にじわじわとした疲れが残っていて、いつものように長く粘る感じではない。こういう日は読書の集中力も少し変わる。思索が深まるというより、むしろ嫌なものに対する閾値が下がる。ふだんならもう少し保留できる違和感が、今日はすぐに拒否反応として表に出た。だから早めに読書日記を書いてしまうことにした。今日の私は、あまり不快な本と長く向き合える状態ではなかったし、たぶんそういう日だからこそ、逆に見えたものもあると思う…

  • 読書日記2119

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 昨日まで、自分のなかには明らかに判決めいたものがあった。何か一つの出来事に打ちのめされると、その出来事がそのまま自分の存在全体に対する裁定であるかのように響いてくる。仕事での失敗ならまだしも、もっと別の種類の打撃は、能力の不足としてではなく、存在の不採用として届く。その痛みは、理屈のうえでは過剰であると分かっていても、感覚のうえではまったく過剰ではない。むしろそのくらいの深さでしか受け取れないからこそ、人は傷つくのである。だが、今回あらためて…

  • 読書日記2118

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の読書は、三冊を並べた瞬間に、ばらばらの読書ではなくなった。持田季未子『美的判断力考』、ムーア『倫理学原理』、松岡正剛『編集力』。最初は、美学、倫理学、編集論というふうに、いかにも別々の棚に置かれていそうな本だと思っていた。けれども読んでいるうちに、これは別の学問が並んでいるのではなく、世界に向かう三つの身振りが並んでいるのだとわかってきた。見ること、選ぶこと、つなぐこと。この三つである。そして今日は、その三つが私のなかで、かなりはっき…

  • どうして倫理学は本能との妥協点を探る点検作業ではないのか?

    G・E・ムーア『倫理学原理』三和書籍 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私たちの対話は、倫理というものをできるだけ高尚な理念から引きずり下ろし、衝動と苦悩と社会の運用の地面に戻して考えようとする試みであった。その出発点にあったのは、「倫理とは結局、本能と善の妥協点を探す作業にすぎないのではないか」という見方である。この見方は、単なる皮肉ではない。むしろ、倫理について語られる多くの美辞麗句を剥ぎ取り、人間が現にどういう存在であるかを見ようとする、かなり冷静な視線である。人間は本能に従えば衝突し、本能に抗えば苦悩する。共同生活は必要だが、共同生活に必要…

  • 年金数理士は社会保障の哲学的意義をどう捉えるか

    以下perplexiryからの回答を引用 年金数理士は社会保障の哲学的意義を「定量的に実現可能な公正」と実践的に捉えます。ロールズの公正分配やセンの能力保障を、数理モデルで財政持続性と公平性を両立させるツールとして位置づけます。 実利主義的哲学観年金数理士は、社会保障を「普遍的リスク分散の論理的仕組み」と見なし、ビスマルク的保険原理とベヴァリッジ的普遍主義のハイブリッドを最適化します。哲学的理想(生存権・連帯)を年金現価計算や確率モデルで検証し、「給付水準50%維持が公正か」を財政検証で示します。理念だけでは崩壊する制度を、数学で支える立場です。 哲学と数理の統合ロールズの「無知のヴェール」:…

  • 読書日記2117

    続きを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は会社の方とディズニーシーに行った。こう書くと、ただそれだけのことのようにも見えるが、私にとって今日は思っていた以上にいろいろなものが動いた一日であった。最初は、文学ばかりにハマるより、たまには外に出ていろいろな体験をするのも悪くない、という程度の感想に落ち着くのかと思っていた。実際、それ自体はたしかに本当である。私はふだん、本の中の濃密な言葉や、思想の屈折や、人間のどうしようもなさが精巧に言語化されている世界に強く惹かれている。文学の中には、現実の雑…

  • 読書日記2116

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 帰宅が二十時である。そこから四十分走る。入浴に二十分。睡眠を確保しようとすると、自由時間は三十分しか残らない。数字だけ見ればたいしたことのない配分に見えるかもしれないが、生活というものは、足し算でできているようでいて、実際には削り算でできている。何かを入れれば何かが減る。仕事をすれば体力が減る。走れば気力が減る。風呂に入れば時間が減る。睡眠を守れば自由が減る。そして、その残りかすのような時間の中で読書日記を書こうとすると、今度は言葉が減る。…

  • 読書日記2115

    ようやく300ページまでたどり着いた つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 異動してから、ほとんど本が読めていない。これを単に「忙しいから」の一言で済ませてしまうと、いかにもありふれた愚痴になるのだが、実際に起きていることはもう少し構造的である。働いているとなぜ本が読めなくなるのか。それは、時間がないからというより、余白がなくなるからである。ここでいう余白とは、単に空いている時間のことではない。頭の中に、まだ何か別の言葉を受け入れるだけの、少しゆるんだ場所があるかどうかのことで…

  • 読書日記2114

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日、私は新しい部署への異動初日を迎えた。初日といっても、華々しい何かがあったわけではない。むしろ逆で、慣れない空気、慣れない人間関係、慣れない仕事の流れの中で、一日が思った以上にあっという間に過ぎていった。社労士試験の勉強はほとんどできなかった。机に向かう時間も、頭を落ち着かせる時間も、いつものようには取れなかった。そうなると、焦りが出る。これからどうやって生きていけばいいのだろうか、という少し大げさな問いまで顔を出してくる。異動初日とい…

  • 読書日記2113

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日読んだ『アメリカはなぜイスラエルを支持するのか』は、私にとって「地政学の本」である以前に、「歴史はどのくらい宗教を引きずるのか」を考えさせる本であった。読みながら何度も立ち止まったのは、アメリカの対イスラエル支持を、単なる軍事同盟や中東政策の文脈だけではなく、宗教的想像力、とりわけ終末論や千年王国論の系譜の中で捉えようとする視点が出てきたからである。千年王国論という言葉は、正直に言えば私はよく知らなかった。だが、知らなかったからこそ、こ…

  • 短期の論理、長期の倫理

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 最近、短期間で技能を身につけて収入につなげることをうたう学びの場が増えている。とくにデジタル系の技能は、習得までの時間が比較的短く見え、成果も可視化しやすく、「いま稼げる」「すぐ案件につながる」「未経験からでも可能」といった言葉と相性がよい。こうした学びの場を見ていると、私はどうしても一つの問いに引き戻される。すなわち、その技能は短期的な利益を生むかもしれないが、長期的には何を社会にもたらすのか、という問いである。この問いは、個人の努力を冷笑したいから出てくるのではない。むしろ逆である。生活のために技能を身につけようとする…

  • 読書日記2112

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は、アマルティア・セン『福祉と正義』を読んでも、スタンダール『赤と黒』を読んでも、なにひとつ響かなかった。こういう日はある。正確に言えば、本の側に何もなかったのではなく、こちらの受信機がうまく開かなかったのである。読書とはいつも、内容を受け取る営みであると同時に、その日の自分の状態を測る営みでもある。今日の私は、思想の厚みや小説の陰影にゆっくり身を委ねるよりも、職場で起きた苛立ちと、その苛立ちがどのように仕事全体の能率を壊していくかという…

  • 読書日記2111

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 日に日に悪化する中東情勢を見ていると、こちらの思考まで少しずつ戦時化していくような感じがある。ニュースを読むというより、情勢に精神のほうが巻き込まれていく。遠い場所で起きているはずの出来事が、いつのまにかこちらの日常の温度を変えてしまう。私が今日ずっと引っかかっていたのは、その「遠い戦争」が単なる国際ニュースではなく、現代人の理性や倫理や想像力そのものを試しているように見えることであった。ナシーム・ニコラス・タレブの直近の発言をいくつも読み…

  • 読書日記2110

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日はいろいろあった。こういう言い方は便利だが、便利であるぶんだけ危うい。いろいろ、の中にあるはずの衝撃や屈辱や苛立ちや微妙な安堵までを、ひとつの袋に雑に押し込めてしまうからである。しかし今日は、その「いろいろ」を雑なまま通過させてはならない日だった。なぜなら私は今日、世界との距離の取り方を見直したからである。感情は吐き出しつつも、制度を改良させる余地は残す。この一見穏当で常識的にも見える一文は、私にとってはかなり大きな転換であった。以前の私…

  • 読書日記2109

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の新規性は、「心地よさ」という曖昧な語を、感覚的な満足ではなく、無目的な快として捉え直せたことである。 今日は桂英史『表現のエチカ』とスタンダール『赤と黒 上』を読んだ。いかにも遠い二冊に見える。片や表現の倫理をめぐる思索であり、片や十九世紀フランスの野心と恋愛と身分の小説である。しかし読んでいるうちに、両者にはどこか深いところで通じるものがあるように思えてきた。どちらも、芸術とは何か、表現とは何か、人が何かに惹かれるとはどういうことか…

  • 読書日記2108

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 ミスを防ぐために人間を機械へ近づけようとする設計そのものが、かえって人間とは何かを問い返してきた。 今日は、ケアレスミスが二重に重なり、ちょっとしたインシデント寸前まで事態が進んだ。Aさんの見落としがあり、それを別のところで受け止めるはずのBさんもまた別の見落としをして、ふつうならどこかで止まるはずのものが、二つの小さな綻びの連鎖によって危ういところまで行ってしまった。こういうことが起こると、仕事を設計する側の人間として、すぐに一つの方向へ…

  • 読書日記2107

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『赤と黒』を読み進めていて、ようやく話の輪郭が見えてきた、という感覚はよく分かる。スタンダールは親切な作家ではない。出来事だけを追っていれば読める小説ではあるのだが、出来事を追っているだけでは、たぶんあの小説のいちばんおもしろいところには届かない。ジュリヤン・ソレルという男が、聖書をそらんじることのできる記憶力を持ち、貧しい出自から抜け出そうとし、家庭教師という地位を足がかりにして、上へ上へと昇っていこうとする、その筋だけを取り出せば、ある種…

  • 読書日記2106

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 最近、戦争について考える時間が増えた、というより、戦争について考えずにいることのほうが難しくなってきた。ロシアの侵攻が続き、アメリカもまた軍事力を背景に国際秩序へ直接介入する。世界はたしかに「平時」の顔をしている。電車は走り、コンビニは開き、SNSには軽口が流れ、書店には新刊が積まれている。しかし、その表面のなめらかさとは裏腹に、地中ではずっと地鳴りがしている。ニュースのたびに、どこかで小競り合いが起き、それがより大きな衝突へつながる可能性…

  • 読書日記2105

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 スタンダール『赤と黒』を電車で二十ページほど読み直した。たった二十ページ、と言ってしまえばそれまでであるが、その二十ページが妙に長く、濃く、そして現代の生活感覚からすると重たく感じられた。面白くないわけではない。むしろ逆である。細部は鋭く、人間観察は冷酷で、文章の呼吸には独特の推進力がある。それでもなお、「忙しい現代ではとても読めたものではない」という感想が先に立った。ここで私は少し立ち止まったのである。本当に現代社会が忙しいのか。それとも…

  • 読書日記2104

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は仕事のための本ばかり読んでいた。制度、運用、実務、改善、効率化。そうした本を手に取っていると、自分がいま明らかに「仕事用の勉強モード」に入っていることがよくわかる。読むことそれ自体が、世界を広げるためというより、目の前の職務に耐えるため、いや、耐えるだけでなく少しでも先回りするための準備になっている。そういう読書の日はあるし、むしろ社会人の読書のかなりの部分は本来そういうものなのだろうと思う。だが今日は、そうした実務の本を閉じてから本…

  • 読書日記2103

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 ネットが注意を散らすという問題と、タレブのいう「身銭を切る倫理」を、連続読書日記アプローチのなかで一つの生活技法として接続できた。 三連休の真ん中の土曜日であった。こういう日は生活がゆるみやすい。平日の緊張がほどけ、その反動で財布の紐までゆるみやすくなる。何かを買いたくなり、少し贅沢をしたくなり、節制よりも解放のほうに身体が傾く。私にとって連続読書日記アプローチとは、こうした日の自分の揺れを、そのまま読書の素材に変える方法でもある。本は、本棚…

  • 江村出『仕事を上手に圧縮する方法:仕事時間を1/5にして圧倒的な成果を上げたITコンサル流 仕事の基本』読了+読書日記2102

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 善についての抽象的な問いが、営業・出版・メリトクラシーへの違和感と、自分の月給や悔しさ、そして就労継続支援への感謝と、係長を奪取したいという実務的な闘志にまで一続きにつながった。 今日は、ムーアの『倫理学原理』から善について何かを引き出したい一心で本を読み、歩き、考えた一日であった。善とは何か。なぜこの問いにこだわるのかといえば、単に倫理学の概念として興味があるからではない。むしろ、仕事をしていても、本を読んでいても、人と比べても、営業という…

  • 読書日記2101

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は、古典を読むことと、ふつうの暮らしをめぐる美的判断を考えることとが、思った以上に深いところでつながっていると感じた一日であった。読んだのは幻冬舎新書『だから古典は面白い』と、『批判的日常美学について──来たるべき「ふつうの暮らし」を求めて』である。前者は、古典がただ昔の立派な本としてあるのではなく、不確実な現実を前にしたときに人間がどのように振る舞ってきたか、その厚みを教えてくれるものとして読まれていた。後者は、私たちが「よい暮らし」…

  • 読書日記2100

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 序章 私は能力主義を全面否定したいわけではない 私は能力主義を全面的に否定したいわけではない。責任の重い仕事には能力が必要であり、統治や経営が誰にでもできるとは思っていない。医師が誰でもよいわけではなく、裁判官が誰でもよいわけでもなく、会社の舵取りがくじ引きで決められるべきだとも思わない。社会のなかには、どうしても判断力、持久力、知性、経験、そして一定の人格的成熟を要する役割がある。そうした役割に対して、何らかの選抜や評価が行われること自体は…

  • 読書日記2099

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の新規性は、就労支援の現場で擦り減る感覚と、ムーアの「何が善か」という問いとが、同じ一つの困難として見えはじめたことである。 支援の現場で消耗するとき、私たちはしばしば「人に尽くすことは善である」という、ほとんど自明に見える前提の上に立っている。困っている人がいるなら助ける。分からないことがあるなら教える。迷っているなら道筋を示す。福祉や就労支援に関わる者であれば、そのような方向に自分を傾けるのはごく自然なことである。実際、私もそうして…

  • 読書日記2098

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の新規性は一つだけである。分厚い本を読み終えたあとに私が向かったのは、より高い思想ではなく、サイズの合わないシャツと、もう買わないと決めたメルカリの画面であった。 『ジョン・メイナード・ケインズ 上』を読み終えた。読み終えた、という事実そのものに、まず少しだけ疲労が付着している。分厚い本を読み切ったあとには、読了感より先に、しばらくこういう重さの本は読みたくない、という感覚が来ることがある。読むという行為は精神の運動であるが、同時にかなり…

  • 「辻褄は合っているが事実に依拠していない」理不尽大全

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1. 努力すれば報われる もっともらしい点努力と成果が結びつく世界のほうが教育もしやすく、道徳的にも分かりやすい。雑な点努力が成果へ届くまでの入口、機会、健康、景気、家庭環境、偶然の差を無視している。 2. 本気なら伝わる もっともらしい点熱意や誠意が人を動かす場面はたしかにある。雑な点伝達は気持ちの量ではなく、文脈、関係、言語能力、受け手の状態に左右される。本気でも伝わらないことは普通にある。 3. 誠意を見せれば相手も誠意で返す もっともらしい点相互性の倫理としては美しい。雑な点現実には、誠意はしばしば“追加で搾…

  • 『ジョン・メイナード・ケインズ 1883-1946(上)』読了+読書日記2097

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 世界は勝手に立ち直らない――ケインズの断片から、責任と運用を考える 今日の新規性は一つだけである。世界は壊れるとき、しばしば自然災害の顔をして現れるが、そのかなりの部分は、自然ではなく運用の帰結である。 ケインズの伝記を上巻まで読み終えた。正確に言えば、私はケインズの理論体系を理解しきったとは到底言えない。むしろ、今回私が受け取ったのは、完成された教義ではなく、断片である。通貨の価値、賠償金、自由放任、価値尺度の不安定性、不当利益、投機、大…

  • 読書日記2096

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 連続読書日記3.0 電車で『スーパーインテリジェンス』を読み、帰宅後『本屋のパンセ』を開き、しかしもう読む気力が残っていない自分を見た。残業が一週間で十二時間ほど積み上がり、集中力が著しく低下している。これは言い訳ではなく条件である。条件が悪いときほど、概念は早く閉じたがる。閉じた概念は反例を嫌い、反例を嫌う概念は反例を黙らせたくなる。反例を黙らせると制度は静かに回り、静かに回る制度は静かに人を選別する。私はこの静けさを恐れている。吠え声は耳障りで…

  • 読書日記2095

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 金曜日の殺気立ちを「性格」ではなく「週の終盤に現れる運用の歪み」として受け取り、ケインズの限界の匂いと重ねてみようと思えた。読む気力がない日ほど、読めなかった理由のほうに輪郭が出る。輪郭が出るというのは、撤回の筋肉がまだ残っているということだ。 飲み会があったので夜は読書できていない。だが、飲み会がなかったとしても、金曜日ならあまり読めなかっただろう。ここには妙な納得がある。金曜日は気が殺気立つ。不思議なもんだ。身体が先に知っている。週の終盤…

  • 読書日記2094

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 「昇進への敏感さ」は虚栄ではなく、私の中に芽生えた“戦争の気配”であり、その気配が人間性を削る前に、倫理の折り返し地点を先に置きたくなった。 仕事への情熱の裏には、飽くなき欲望、飽くなき出世欲が隠れている。嫌と言うほどわかる。わかるというより、身体の側が先に嗅ぎつけている。会議の空気、報告の言い回し、評価の視線、雑談の微妙な間合い。昇進という語が直接出てこない場面でも、上下の匂いだけは漂っている。匂いは言葉より早い。言葉より早いものは、こち…

  • 読書日記2093

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 「失敗の糧」という慰めの句が、きれいごととして流れ去るのではなく、怒らせてしまった相手の顔とセットで手触りを持ちはじめた――その瞬間、私はようやく、歴史の連続性という大きな話を、自分の目の前の仕事の小ささへ降ろせる気がした。 朝から、自分の指示が雑だったがゆえに他部署の人を怒らせてしまった。雑だった、という言い方の中に、私は二つのことを同時に含めている。ひとつは、単純に不備があったという事実である。もうひとつは、私は「雑で済ませた」という意志…

  • 読書日記2092

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の新規性は一つだけである。第一次世界大戦という巨大な災厄を前にして、天才の「知恵」を吸収したいと好奇心を燃やす自分が、同時に、就労支援で見た“お客様思考”に苛立ってもいる――このねじれが、今日の読書をただの伝記読みにしなかった。 『ジョン・メイナード・ケインズ』を読んでいると、第一次世界大戦という出来事が、歴史の教科書の一項目ではなく、身体の温度を持った災厄として迫ってくる。世界初の災厄、と私はつい言ってしまう。もちろん災厄はそれ以前にも…

  • 読書日記2091

    続きを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日の新規性は、読書の対象そのものではなく、読書どうしが血縁関係を持ちはじめた、という感覚にある。 このところ私はジョン・メイナード・ケインズを読み続けていたのであるが、今日はそこへ久しぶりに三木清『読書と人生』が入り込んできた。すると不思議なことに、二冊を別々の本として読んでいる感じが薄れ、むしろ同じ読書空間の別の席に座っている二人の人物を眺めているような気分になった。三木清は大昔の人である。にもかかわらず、読んでいる本の顔ぶれが驚くほど近…

  • 読書日記2090

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 連続読書日記2.0 ※本稿は、読書梟による読書日記(論文級の長文)である。近時読了・通読した書物(ポパー『開かれた社会とその敵』第一巻・第二巻、プラトン諸篇、ロック、池田晶子、大前研一、ポランニー、ニーチェ、『スーパーインテリジェンス』、『人権という幻』、『労働法トーク』、『ジョン・メイナード・ケインズ』等)と、その合間に行った対話と思索と現場実務の「流れ」そのものを、長編として束ね直す試みである。結論を急がない。むしろ、結論へ至るまでに生まれた違…

  • 読書日記2089

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 連続読書日記――ポパー、プラトン、可逆性正義、そして公共性の介入へ ※本稿は、読書梟による読書日記(論文級の長文)である。近時読了・通読した書物(ポパー『開かれた社会とその敵』第一巻・第二巻、プラトン諸篇、ロック、池田晶子、大前研一、ポランニー、ニーチェ、『スーパーインテリジェンス』、『人権という幻』、『労働法トーク』、『ジョン・メイナード・ケインズ』等)と、その合間に行った対話と思索と現場実務の「流れ」そのものを、長編として束ね直す試みである。結論を急がない。むしろ、結論へ至るまでに生まれた違和感、断言への…

  • 読書日記2088

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 私は、現場で「正しさ」を語りたくない。正しさは吠えるからである。吠え声は相手を黙らせる誘惑を伴う。黙らせると制度は静かに回る。静かに回る制度は静かに人を選別する。私はこの順番を嫌っている。だから私は、正しさではなく、運用を語りたい。運用とは、手続きと例外と反例の束である。束である以上、いちどに握りつぶさないほうがいい。握りつぶさないためには、現場の言葉を「棍棒」ではなく「型」にする必要がある。型は、感情が尽きても回る。私は今日、感情が尽きかけた。だ…

  • 読んだふり代行ツンドクデス-あるいは表象としての読書、意志としての積読-

    世界は私の表象である、とショーペンハウアーは書いた。 だが、神保町の裏通りにある雑居ビルの四階まで、エレベーターの鈍い揺れに耐えながら昇っていくときの私には、世界はむしろ気まずさでできているように思われた。 エレベーターの壁には黄ばんだ注意書きが貼られていた。 「搬入時は台車をご利用ください」 「共用部での喫煙は禁止です」 「本の持ち込みは一人十冊まで」 本の持ち込みは一人十冊まで。 その一文を見たとき、私は、世界にはまだ私の知らない種類の商業が存在するのだと理解した。 いや、正確には、理解したのではない。 理解した気になったのである。 それこそ、まさに今日私が買おうとしているサービスの本質で…

  • 読書日記2087

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 悪文は知的欠陥ではなく、運用上の危険である。私は電車の揺れの中で、『スーパーインテリジェンス』と『開かれた社会とその敵 第二巻 上』を読みながら、結局ここに戻ってきた。内容が正しいか誤っているか、深いか浅いかという話の前に、文章の書き方それ自体が、読者の側の反証能力と撤回能力を削ってしまう。削られた撤回能力の上に制度が乗ると、制度は静かに人を踏む。私はそれが嫌で、だから「読みづらい」という生理的反応を、単なる愚痴としては放置したくない。読みに…

  • 読書日記2086

    つづきを展開 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 「人間らしさ」は能力ではなく、社会が“あえて人間を残す”ために払うコストの名前である。私はこの一句を、電車の揺れの中で、ほとんど身体の側から引き出された。AIが人間に追いつくかどうかという話は、結局のところ「どこまでをロボットでよいと社会が合意するか」という運用の話に回収される。合意とは、好みの宣言であり、好みの宣言は支払いの宣言であり、支払いの宣言は政治である。政治である以上、そこには必ず撤回条件が要る。撤回条件がないところで進歩が走ると、…

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