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2021/08/10

  • 読書日記1006

    読んだ本 ヘレン・プラックローズ/ジェームズ・リンゼイ『「社会正義」はいつも正しい:人種、ジェンダー、アイデンティティにまつわる捏造のすべて』早川書房 (2022) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 久しぶりに読み進めた。 今日は第2章の初めから第3章の手前まで読み終えた。 ニューアカデミズムは1990年代頃に徐々に衰退。 しかし、形を変えて、つまりポストモダンの理論を応用させた「応用ポストモダン」が2010年代にかけてアクティビストたちによって幅を利かせた。 それら…

  • 読書日記1005

    読んだ本 バタイユ『有罪者 無神学大全』河出文庫 (2017) 若園義彦『図書館長の本棚ーページの向こうに広がる世界ー』郵研社 (2016) 小室直樹『日本国民に告ぐ 誇りなき国家は滅亡する』WAC (2018) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は通勤の途中にバタイユ『有罪者 無神学大全』を読んだ。 「不安」に関するバタイユの記述に目が吸い込まれた。 "『不安の概念』を読むために。裂け目のただなかで交流をつかみ取る者にとって、交流とは罪であり、悪である。交流は、安定した秩序の断絶である。笑い、快楽の絶頂、供犠、心を…

  • 読書日記目録401-500

    nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 401. フランクル『虚無感について』青土社 (2015) 402. 熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』イースト・プレス (2020) 403. ロイ・リチャード・グリンカー『誰も正常ではない : スティグマは作られ、作り変えられる』みすず書房 (2022) 404. 熊代亨『健康的で清潔で、道徳的な秩序ある社会の不自由さについて』みすず書房 (2022) 405. フランクル『虚無感について』青土社 (2015) 406. フロラ…

  • 読書日記1004

    若園義彦『図書館長の本棚ーページの向こうに広がる世界ー』郵研社 (2016) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 100ページほど読みすすめた。 図書館運営における現状と課題や、その背景を図書館長の筆者が自身の経験をもとに考察するという、内容的にとても興味あるものであった。 筆者は2006年12月5日、教育基本法の「改正」案が可決したことに触れた。 実際になにがどう変わって何が起きたかまでは言及されていなかったが、教育の問題を法律に「すり替え」ているという指摘には共感を抱いた。 教育について語ろうと思えばそれこそ一本の論文になってしまうので細かくは…

  • 小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナル (2006) 読了

    小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナル (2006) つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 前回は「資本主義の精神」まで語られた。 小室直樹によれば「天職」の本当の意味は英語でいうと「calling」に相当し、「神から与えられた仕事」であり、「仕事によって救済される」という精神と「複式簿記」が融合することによって資本主義が生まれたというもので…

  • 読書日記1003

    読んだ本 小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナル (2006) つづきを読みすすめた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 頭に刻むにはアウトプットを繰り返すしかないように思われた。 まず「憲法と民主主義は本質的には無関係である」と小室直樹は述べている点。 ヨーロッパではじめて誕生した憲法は「マグナ・カルタ」であり、これはイギリスのジョン王が「慣習法」をあまりにも無視したために生まれたとされる。 小室直樹は、「憲法と…

  • 読書日記目録301-400

    nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 301. 斎藤環/福山哲郎『フェイク時代に隠されていることについて』大和出版 (2018) 302. 仲正昌樹『現代哲学の最前線』NHK出版 (2022) 303. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫 (2006) 304. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟1』光文社古典新訳文庫 (2006) 305. 田中ひかる『アナキズムを読む<自由>を生きるためのブックガイド』皓星社 (2021) 306. 香山リカ『しがみつかない生き方:「ふ…

  • 読書日記1002

    読んだ本 小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナル (2006) つづきを読みすすめた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 学部生時代に学んだイギリス史の復習でもあるように思えた。 本書の射程は歴史から民主主義と憲法、多数決や言論の自由、はたまた資本主義の精神や宗教社会学にまで派生していくので、200ページ程度の読書でさえも、多くの新しい収穫を与えられたように思う。 ・・・ 憲法を掘り下げ続けイギリス史の解説に入っていくわけであるが、なかなか内容が濃いので個人としては重要…

  • 読書日記目録201-300

    nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 201. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 202. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 203. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 204. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 205. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 206. プラトン『国家 (下) 』岩波文庫 (1979) 207. 池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 (2014) 208. 宮本弘暁『101のデータで読む…

  • 読書日記1001

    読んだ本 小室直樹『日本人のための憲法原論』集英社インターナショナル (2006) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 自分は法律に関していかに無知であるか、本書を読んで痛感した。 ひとまず120ページ弱読みすすめた。 講義形式で進むので、小室直樹の本のなかでは読みやすいほうであると感じた。 ・・・ 小室直樹のマスコミ批判は参考になった。 マスコミの本来のあり方について、小室直樹は「国家権力の暴走から人民を守るためにある」と語る。 また、松本サリン事件で冤罪が起きてしまったのは、警察発表をそのまま真実であるかのごとく報道する姿勢にあると語った。 …

  • 読書日記目録101-200

    nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 101. 熊代亭『何者かになりたい』イースト・プレス (2021) 102. 城戸淳二・坂本桂一『学者になるか、起業家になるか 理系の未来は明るい』PHP新書 (2011) 103. 田畑真一・玉手慎太郎・山本圭『政治において正しいとはどういうことか:ポスト基礎づけ主義と規範の行方』勁草書房 (2019) 104. 伊藤守『コミュニケーション資本主義と<コモン>の探求」ポストヒューマン時代のメディア論』東京大学出版会 (2019) 105. 伊藤守『コミュニケー…

  • 読書日記目録

    nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 1. 松岡正剛『資本主義問題』角川ソフィア文庫 (2021) 2. 松岡正剛『感ビジネス』角川ソフィア文庫 (2019) 3. 仲正昌樹『ドゥルーズ+ガタリ<アンチ・オイディプス>入門講義』作品社 (2018) 4. 松岡正剛『感ビジネス』角川ソフィア文庫 (2019) 5. 松岡正剛『感ビジネス』角川ソフィア文庫 (2019) 6. 中沢新一『新版 はじまりのレーニン』岩波現代文庫 (2017) 7. 小坂井敏晶『格差という虚構』ちくま新書 (2021) 8.…

  • 読書日記901~1000

    nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenab…

  • 読書日記1000

    読んだ本 ルネ・デカルト『方法序説』ちくま学芸文庫 (2010) 池田晶子『死とは何か:さて死んだのは誰なのか』講談社(2009) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 池田晶子は語る。 "「役に立たない」学問の筆頭は、言うまでもなく哲学である。「生きなければならない」と人々が思い込んでいるところ、「何のために生きるのか」と問うからだ。(・・・)生きるとは、考えることなのだ。こんな当たり前なことを言ったために、哲人は死刑になった。" (『死とは何か』P166) 約束事は目に見えない。「言葉」によって可視化はできる。しかし質量はない。言葉はどこに「存…

  • 読書日記999

    読んだ本 池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 (2014) 大河内昌『美学イデオロギー 商業社会における想像力』名古屋大学出版会 (2019) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『美学イデオロギー』のなかで、文学の市場形成によって中傷目的の批評家が生まれることに対するコールリッジの批判が取り上げられた。 ”コールリッジによれば、中傷的な言語を生産することが習慣化した匿名批評家たちは、自らの人格を損ない、自己同一性を失う。(・・・) 言語と実体の乖離という特徴をもつ機械的言語の生産者は、自分自身の人格の堕落という結果を招くのである。” (『…

  • 読書日記998

    読んだ本 島田雅彦『小説作法XYZ』新潮選書 (2022) 池田晶子『考える日々 全編』毎日新聞出版 (2014) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 島田氏のこの本は、小説を書くためのただのハウツー本となっておらず、文学史、哲学史を横断しながら言葉の本質に迫る優れた本であるように感じる。端的に知らなかったことも多く書かれており、本書は読んでいて面白いものであった。 多少口の悪さが目立つが、それは歴史的に文学が人類にもたらした貢献の数々と、その価値を次の世代へと継承したいという気持ちの表れでもあると感じた。 "私が四十年かけて会得した創作技法を手…

  • 読書日記997

    読んだ本 アントワーヌ・コンパニョン『第二の手 または引用の作業』水声社 (2010) ブルース・フィンク『ラカン派精神分析入門』誠心書房 (2008) 中田光雄『デリダ 脱ー構築の創造力:メタポリアを裁ち起こす』水声社 (2017) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "これまでもそうであったし、そして、今もそうであるように、多くの学者たちのあいだで引用を流行させてきたのは、偽の博識と多識の精神でしかなかったということ、このことは明らかであるように思われる。というのも、引用しなければならない理由がまったくないのに、大量の…

  • 読書日記996

    読んだ本 大河内 昌『美学イデオロギー 商業社会における想像力』名古屋大学出版会 (2019) 斎藤環『「自傷的自己愛」の精神分析』角川新書 (2022) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 斎藤環氏の新書のづつきを読み進めた。 「就活自殺問題」について、斎藤環氏は「食べるために働く社会」から「承認を得るために働く社会」へと移行したことに原因をみる。 日本人は世間体を気にするという一般論がある一方、例えばアメリカではキリストの目を気にすると書いてある本もあった。宮台氏の本だったと記憶している。 ドーナツのようなもので、核は空洞になっているが、「和…

  • ハーマン・メルヴィル『ピェール 黙示録よりも深く(下) 』幻戯書房 (2022) 読了

    ハーマン・メルヴィル『ピェール 黙示録よりも深く (下) 』幻戯書房 (2022) つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー あらすじ 物語の骨格をあとで思い出せるように、下巻の300ページまでのあらすじをざっくりと書き残す。 早くに父親を亡くしたピェールは教養ある気高い母親、グレンディング夫人に愛されながら成長する。 ピェールは詩的な才能を早くも獲得し、街で出会う数々の女性を表現力溢れる言葉で魅了する。 やがてルーシーという年下の女性と婚約。グレンディング夫人も息子の幸せを願う。…

  • 読書日記995

    ハーマン・メルヴィル『ピェール 黙示録よりも深く (下) 』幻戯書房 (2022) サラ・サリー『シリーズ現代思想ハンドブック:ジュディス・バトラー』青土社 (2005) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "彼がより賢明で、思慮深くなればなるほど、日々のパンを得る機会が減ってゆく。それなら、自分の深淵な書を窓から放り捨て、いくらか身を落として、長くてもせいぜい一か月で書き上げることのできる、かなり薄っぺらなくだらない小説を書いてみたらどうだ。そうすりゃ、称賛と報酬をほどよく期待できる。しかしピェールの心を貪り食うような深淵な思想が、今や彼の心の…

  • 読書日記994

    読んだ本 サラ・サリー『シリーズ現代思想ハンドブック:ジュディス・バトラー』青土社 (2005) 引用元:版元ドットコム ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン:新しい人文学に向けて』フィルムアート社 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "主体とは、個人が理解可能性を達成し、再生産するための言語学的根拠であり、その存在と行為能力の言語学的条件である。" (『権力の心的な生』P20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 バトラー『欲望の主体』に挫折してしまったが、『反「大学革命」論』のなかに書かれて…

  • 読書日記993

    読んだ本 斎藤環『「自傷的自己愛」の精神分析』角川新書 (2022) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "自己批判を繰り返す人ほど、自分と他人を比較したり、自分の価値について思い悩んだりするなどして結果的に「自分について考え続けることで忙しい」状態に陥りがちです。この自分に対する尋常ならざる関心ゆえに、私はこれを「自己愛」と呼ぶのです。" (『「自傷的自己愛」の精神分析』P76) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今思えば認知行動療法(CBT)は言…

  • 読書日記992

    読んだ本 ロージ・ブライドッティ『ポストヒューマン:新しい人文学に向けて』フィルムアート社 (2019) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "誇りをもつ人間は、他人によって投影された自分ではなく自分の中に充実した自分自身を感じることを好む。" (『ピェール 黙示録よりも深く (下) 』P115 ) "進歩的な政治信条として、人文主義は、連動する他の二つの考えと特権的な関係をもっている。その二つとは、平等の追求による人間の解放と、合理的な統治による世俗主義である。これら二つの前提は人文主義という概念から生まれたものであり、…

  • 読書日記991

    読んだ本 ジャコモ・レオパルディ『断想集』幻戯書房 (2020) マーク・ソームズ+カレン・カプラン=ソームズ『神経精神分析入門:深層神経心理学への招待』青土社 (2022) 宮台真司・苅部直・渡辺靖『民主主義は不可能なのか?ーコモンセンスが崩壊した世界で』読書人 (2019) 藤本夕衣・古川雄嗣・渡邊浩一『反「大学改革」論:若手からの問題提起』ナカニシヤ出版 (2017) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 少し前の日記に、自分は「凡人は欲望にしたがって、天才は好奇心から派生した信念で生きる」といった主旨のことを書いた。 また、執行草舟氏が強く…

  • 読書日記990

    読んだ本 藤本夕衣・古川雄嗣・渡邊浩一『反「大学改革」論:若手からの問題提起』ナカニシヤ出版 (2017) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 PDCAサイクルというものはもともと経営学の概念であった。 しかし何故か教育の現場に「義務」づけられている。 「授業評価アンケート」や「教育目標」などが「PDCAサイクル」の名のもとに大学の現場でも適用させられ、講師は書類作成などに追われる。 古川氏は「人間の物象化」について語りかける。 いろいろと考えさせられた。 教育は必ずしも生産活動に直接直結しない。「生産活動」というのは曖昧…

  • 読書日記989

    読んだ本 宮台真司・苅部直・渡辺靖『民主主義は不可能なのか?ーコモンセンスが崩壊した世界で』読書人 (2019) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 日々、目を凝らせば面白い本は沢山あることを実感する。 しかし発掘することは時に骨が折れる作業ともなる。 悪貨は良貨を駆逐するが如く、悪書は良書を駆逐しつつある出版業界であると痛感せざるを得ない。 2009年の発言であるが、宮台真司氏がベストセラーの6割は自己啓発の類いであると述べていた。精神安定剤のように、読んで気持ちを元気にさせるものとなるが、すぐに…

  • 読書日記988

    読んだ本 斎藤環『ビブリオパイカ : 斎藤環書評集 1997-2014』日本評論社 (2015) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ スピノザの「コナトゥス (努力) 」について "スピノザによれば、あらゆる事物は、すべてそれ自身の存在を肯定し、あるいは存在を否定しようとする力に抵抗すべく努めようとするという。この抵抗力が「コナトゥス (努力) 」である。「この努力が精神だけに関係する時には意志と呼ばれ、それが同時に精神と身体に関係する時には衝動と呼ばれる。したがって衝動とは人間の本質そのもの、ーー…

  • 読書日記987

    読んだ本 マイケル・ノース『一九二二年を読む:モダンの現場に戻って』水声社 (2021) 引用元:版元ドットコム 中井亜佐子『<わたしたち>の到来 英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』月曜社 (2020) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーメモ "ベンヤミンは、芸術が大衆の娯楽として消費される時代には芸術の受容はきわめて政治的なものとなると指摘している。" (『<わたしたち>の到来』P85 ) →何故? →(ベンヤミンによれば)"新しい社会構造に対する不可避の欲求がひそかに少数の有産階級の都合によって搾取される" (…

  • 読書日記986

    読んだ本 斎藤環『映画のまなざし転移』青土社 (2023) 中井亜佐子『<わたしたち>の到来 英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』月曜社 (2020) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ 「政治的正しさ」の有限性 "これらが強要される場所 では、いたるところで矛盾と乖離が発生する" (『映画のまなざし転移』P233 ) (これら→政治的正しさ) "無関心か暴力か。この構図はネットの炎上にもあてはまる。ネット情報は、知らなければ存在しないに等しい。しかし、急速に知られること(=拡散)は、ほとんど「炎上」によって起…

  • ハーマン・メルヴィル『ピェール 黙示録よりも深く(上) 』幻戯書房 (2022) 読了

    引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 400ページまでは非常に長い道のりであった。 通勤中の電車や移動中に少しずつ読み進め、おそらく二週間くらいだろうか、読み始めて本日読み終えた。 ハーマン・メルヴィルといえば『白鯨』(岩波文庫など)が有名であるが、少数派でいたい私はこちらを読むことにした。 (以下ネタバレ有) ・・・ ようやく物語が始動しはじめた矢先に上巻が終わってしまった。 それだけに、下巻への期待がやたらと高まる。 ここまで非常に時間がかかってしまった。 映画で例えるならば、ようやく物語の背景、設定や登場人物が可視化さ…

  • 丸山健二『真文学の夜明け』柏艪舎 (2018) 読了

    引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "商業優先のやり方を改め版元の規模を限界まで縮小し、目利きにして凄腕の編集者がこれは世に出したいぜひ出すべきだと心の底から思える作品をどうにかして見つけ、しかし赤字を出してはならぬよう長いスタンスで黒字が出ればいいという信念のもとに出版することが当たり前になる状況へと移行するしかなく、そんなことは夢のまた夢であると一笑に付することはたやすくても真の文学が生き延びる真の道はそれ以外にない。" 『真文学の夜明け』P451 "本来文学こそが開拓すべきはずだったもっと高度で気高い感動の世界は単に…

  • 読書日記985

    読んだ本 中井亜佐子『<わたしたち>の到来 英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』月曜社 (2020) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "作者の権威を問い続けること、そのことによって逆説的に主体の痕跡を完全に消失してやまないことは、文化作品がたんなる消費財ではなく大衆芸術として歴史に責任をもち、現実の暴力への批判的介入となる可能性を、かろうじて担保しておくことであったのだろう。" (中井亜佐子『<わたしたち>の到来』P61 ) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…

  • 読書日記984

    読んだ本 水野浩二『倫理と歴史:一九六○年代のサルトルの倫理学』月曜社 (2019) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "自由とは本来性に到達した状態のことである" (『倫理と歴史』P33 ) →しかし、『存在と無』において、本来性について十分に考察されず "せいぜい脚注のなかで、「頽落した存在の、それ自身による回復」とされているだけである" (『倫理と歴史』P33 ) →サルトルは『存在と無』を書き上げたあとに倫理学の研究に移行 (サルトル)"「本来性は人間の条件、すなわ…

  • 読書日記983

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "すぐれた資質に恵まれて、いきいきとしているひとりの人間に対し、十人は凡庸で生活力に乏しい。そしてすぐれた政治の目的は、後者が、自分よりすぐれている者が当然就くべき社会秩序における地位を絶対に奪わぬようにすることである。" (マイケル・ヤング『メリトクラシー』P50) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 執行草舟氏の働きかけによって本書が復刊されたとされる。 …

  • 読書日記982

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "今日では民主主義の影響をうけて、協力の美徳が過去において服従の美徳が占めた位置に取って代わった。" P114 (『人生についての断章』) "協力という徳は理想としても不完全である。自分一人ではなく社会との関連において生きることは正しいが、社会のために生きることは、けっして社会がしていることをすることを意味しない。例えば劇場で火災が起り、観客が我先きに逃げ出して混乱状態になった場合を考えよう。いわゆる「協力」の美徳しか持ち合わせて…

  • 読書日記981

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 山田創平 編著『未来のアートと倫理のために』左右社 (2021) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ オスカー・ワイルド「すべてのものの値段を知っている経済学者がここにいる。しかし、価値については何も知らない」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 芸術をめぐる経済(芸術作品がもつ市場価値と美的価値の違いなど)について少しだけ理解が進んだように思う。 芸術作品特有の希少性について、今までに気がつけなかったひとつの視点をも…

  • 読書日記980

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "私たちの住む、どんどん不安定さを増していく未来志向、科学技術重視の社会では、行くべき道を示すのは若い者であることが多い。彼らが、自分たちより年上の人たちに、何をすべきか指図するのだ。そういう社会では、誰が誰にいかなる理由で敬意を払うのだろうか?" P30 (『暇なんかないわ 大切なことを考えることに忙しくて』) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 神奈川県では統一地方選挙が今月の9…

  • 読書日記979

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 両方とも100ページほど読み進んだ。 ハーマン・メルヴィルのほうは伏線めいたものがちらほら見受けられた。 映画タイタニックの前半のようにまだ穏やかである。 後半に向けていっきに物語が突き進んでいくことを予感させられた。 本書は主人公がのちに作家になるとのことで、作家と人生を問う深い話であろうと勝手に推測して読書中の次第である。 ・・・ 仲俣氏の本ではいとうせいこう『小説禁止令に賛同する』が取りあげられた。 いとうせいこうという作家は小説のなかで小説を問う…

  • 読書日記978

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 古川日出男・佐々木敦『「小説家」の二○年 「小説」の一○○○年』Pヴァイン (2018) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "物質から生命へ、そして絶対理念へ至るまでの『大論理学』の叙述を、今この文脈において詳細に追うことはできない。必然的に辿られる意識の事実であるとのみ、述べておこう。なぜならば、「天上と天下とのいずれを問わず、有と無との両者をその中に含まないものは存在しない」からであり、そして「純粋な直感と純粋な思惟とは全く同じものである」からである。" P4…

  • 読書日記977

    読んだ本 古川日出男・佐々木敦『「小説家」の二○年 「小説」の一○○○年』Pヴァイン (2018) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー日記 古川氏の発言を読んでいくと、小説のなかに宇宙全体を詰め込んでやろうという気構えを感じた。 小説というものは現実でなければならないという考えが選考委員の頭にあり、芥川賞受賞作はその傾向にあると中俣氏は見ている。 個人的にも小説というものは、映画とは違い視覚(目の前の現実)と聴覚が剥奪された状態において、いかに巧みな文章表現でそれを読者に伝達するか、その技術が問われている…

  • 読書日記976

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ジャン=ポール・サルトル『文学とは何か [改訳新装初版] 』人文書院 (2015) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "人間は状況を変えることなしには、状況を見ることさえできない存在である。" P29 (『文学とは何か』) ”「すべての人が私の書くものを読んだらどうなるか?」と考えなければならなぬ。” P30 (『文学とは何か』) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日は久々にジュンク堂に赴いた。 いつものように興味のある文学や哲学、芸術や…

  • 読書日記975

    読んだ本 永井敦子・畑亜弥子・吉澤英樹・吉村和明共編『アンドレ・マルローと現代:ポストヒューマニズム時代の<希望>の再生』上智大学出版 (2021) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 池澤夏樹『楽しい終末』中公文庫 (2012) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "『文学の新時代』においてプーライユは、この世には二種類の作家が存在することを示し、一方を人間的に読み手を感動させる作家、他方を知的に私たちに触れるだけの作家とし、前者は「まさにそうだ、その通りだ、まったくだ」と読者に感じさせ、後者は「善」、「美」を感じさせるだけで心に訴…

  • 読書日記974

    ジャン=ポール・サルトル『文学とは何か [改訳新装初版] 』人文書院 (2015) 池田晶子『私とは何か:さて死んだのは誰なのか』講談社(2009) プラトーン著作集『〈第4巻 第3分冊〉「ある」ことと「知る」こと (櫂歌全書 11)』櫂歌書房 (2013) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "書くとは、自由を欲する一つの仕方である" P72 (『文学とは何か』) "自由とは、それによって人が自己を離れ、自己を解放することをやめない運動以外の何ものでもない。" P75 (『文学とは何か』) 「安易な表現の自由」 "嫉妬と…

  • 読書日記973

    読んだ本 テオドール・W・アドルノ『美の理論 [新装版] 』河出書房新社 (2017) ハロルド・ローゼンバーグ『芸術の脱定義』水声社 (2020) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "最高の形式水準を備えながらも意味を欠くかあるいは意味に無縁である作品は、意味を否定することによって内容を獲得するために、たんなる意味を欠くものに留まることなくそれを超えたものとなる。" P262 (『美の理論』) "意味を否定する芸術作品は、統一されたものでありながら混乱しているといった作品でなければならない。これ…

  • 読書日記972

    読んだ本 池田晶子『死とは何か:さて死んだのは誰なのか』毎日新聞社 (2009) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 233ページに「言葉と自分が一致していない人生は不幸だ」と書いてあった。 ここに、本書の全てが凝縮されているように思われた。 しかし、言葉と自分が一致するということは難しいのではないだろうか。 それは丁度、何千種類もの色を言葉でもって識別できないことに似ている。 日本は古来より、多くの色を識別する言葉を持っていたそうであるが、感情についてはどうだろうか。 英語を勉強していたときに、英語には感情を表す単語が豊富なことを疑問に思って…

  • 読書日記971

    読んだ本 執行草舟『生命の理念 Ⅰ』講談社エディトリアル (2017) 引用元:版元ドットコム 水崎博明『プラトーン著作集 〈第5巻 第3分冊〉言葉とイデア-パルメニデース (櫂歌全書 ) 』櫂歌書房 (2013) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 パルメニデースと3時間格闘したが全く理解できなかった。 諦めて池田晶子の本を読むことにした。 仕事がない日は堕落しがちであるため、雨にも助けられひたすら修練することにした。 今回のテーマは「魂」であるが、どうしても宗教と話が結びつきがちである。 日本人の99.99%の人には宗教の本質はもう理解すらさ…

  • ジャック・ロンドン『荒野の呼び声』岩波文庫 (1997) 読了

    ジャック・ロンドン『荒野の呼び声』岩波文庫 (1997) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 不合理にも、ある日いきなり過酷な労働を強いられたある一匹の犬、バックの運命にまつわる物語であった。 きれいな言い方で表現するならば「生命の輝き」とはこういうことを言うのかもしれない、というものをこの物語から感じた。 バックには生意気な側面があったのかもしれない。 根拠なき自信があったのかもしれない。 ただ、生きるか死ぬかの世界においてはそんなことは二の次で、生き抜くとはただひたすら体当たりなのだ、というこの自然界の掟と執行草舟氏の言葉が一致した。 然るべ…

  • 読書日記970

    読んだ本 酒井健『モーツァルトの至高性:音楽に架かるバタイユの思想』青土社 (2022) 小林秀雄『モオツァルト・無常という事』新潮文庫 (2006) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 「美は人を沈黙させるとはよく言われるが」の箇所でひとつ思い出す、それはヴィトゲンシュタインが述べた「語り得ぬものには沈黙せよ」という言葉であった。 「美 ≒ 語り得ぬもの」 と考えても特段違和感がない。 また、「音を正当に語りうるものは音しかない」というくだりは音楽哲学の本を軽く読んだあとに一層自分のなかで明確な意味を持ちつつあった。 バタイユはそんな美につい…

  • 執行草舟『脱人間論』講談社 (2020) 読了

    引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 ニーチェ「神は死んだ」がただの妄想だと思う人は今一度モリス・バーマン『デカルトからベイトソンヘ』を読まなければならない。 精神疾患が部分的に「つくられたもの」であると到底思えない人はミシェル・フーコー『狂気の歴史』を読まなければならない。 ヒューマニズムが正気と狂気の主客転倒であると思えない人は本書、『脱人間論』を読まなければならない。 現代ヒューマニズムの精神構造を疑えない人は「社畜」も「家畜」だと理解することはできない。 現代ヒューマニズムは「権利・幸福・保証・お金」を最高価値と置…

  • 読書日記969

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 哲学的自然主義に基づいて考察が行われた。 自然主義というのは小説のそれとは違い、認知科学や脳科学などのサイエンスを知見に取り組む態度のことをさすと説明された。 そして本書においては客観主義を最後まで支持するということであった。 昨日から読み進め130ページ弱まで読み進んだ。 この本は後半から面白くなるタイプで、疲れるまで、結局のところ全体の6割ほどまでにとどまってしまったがこのあとは結論に向けてなかなか見所のありそうな内容であった。 ・・・ 様々な哲学…

  • 読書日記968

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『脱人間論』は2023年になってから少しずつ読み進めた。 かなり分厚く、途中で一回止まったが昨日から再び読み始め、380項まで読み進めた。 本書のなかで「ヒューマニズム」という言葉が何回も何回も繰り返し語られる。感覚的には30回くらい繰り返されている印象であった。 その内容は端的に「笑顔のファシズム」ということであった。 みすず書房に『ハッピークラシー』という本があるが、それに通ずるものがある。 幸福についてはラッセルやアラン、…

  • 読書日記967

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム チャールズ・ブコウスキー『書こうとするな、ただ書け:ブゴウスキー書簡集』青土社 (2022) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 池田晶子はエッセイについて語る。 文筆家は毎回毎回、何について書くのか、ネタ探しは大変じゃないですかという主旨のことを池田晶子は問われ、全く困ったことがないと述べる。 "逆に、文章を書くには「ネタ」が必要なはずだという考えに改めて私は驚く。なぜ文章を書くに際して、言葉以外の材料が必要なのだろうか。(・・・)本来の「エッセイ」とは言うまで…

  • 読書日記966

    読んだ本 サミュエル・ベケット『事の次第』白水社 (2016) 引用元:版元ドットコム 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『事の次第』はあまりにも不可解な小説であった。 モーリス・ブランショはこの小説に対して「この声は何だろう」と問い、「おそらくは万人の声だ」と述べたが、いろいろと思うところではあった。 こんなもの小説ではない。三島由紀夫は芸術である限り伝統に則したフォルムが無ければならないことを述べていた。芸術に対しては…

  • 読書日記965

    引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "しかるに世間・世の中という言葉は、右のごとき社会の意を現しつつ、なおその上に古い伝統に従って何らか場所的なもの、絶えず推移するものという意を含んでいる" P37『人間の学としての倫理学』 三島由紀夫 "少し長くなりますが私の法秩序に対する考えを簡単に申しますと、私はこれからの日本にとってあぶない考えが一部にあると思う。それは秩序のためならイデオロギーなんかどうでもい…

  • 読書日記964

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ アーレント「自己自身とのみ語ることは思考ではない。思考においては複数性が姿を現すのであって、それがすべての思考の政治的側面である」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 読みたいものが日々微妙にズレていく。これは何に起因するのか。何かが解決したからその次の問いに向かうのか。そうで…

  • 読書日記963

    読んだ本 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 この本には三島由紀夫の思想が詰まっているように感じた。 何故文学をやるのか。芸術をやるのか。三島由紀夫は自己規定の仕方について以下のように語った。 "おれは自我があるなんて信じたことはないよ。形式ということを考えている。フォルムがあれば自我だ。フォルムは個性でも何でもないんだ。フォルムがあればいいんだ。" P166 (神なき時代の生き方に関して) "そういうフォルムと自分を同一化することにしか、つまり自我を持つことができないんだ" P167 ジラールは…

  • 読書日記962

    読んだ本 ロベルト・ボラーニョ『2666』白水社 (2012) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 仕事で一日の集中力を約7割ほど使い果たしたあとに、また読書で精神集中ということは難しい。 2回ほど読書中に眠ってしまった。 今日は本屋に入っても面白そうだと思える本もなく、収穫に欠ける一日であった。 古典には手が出ず、かといって現代文学にもいまいち手がでない。 哲学書のコーナーもさすがに見飽きた。 いよいよ自分で物語を書いてそこに楽しみを見出す時が来たのかもしれないとも思えた。 ・・・ ロベルト・ボラ…

  • 読書日記961

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー日記 昨日まで『カント 美と倫理とのはざまで』に全力を捧げたので今日は集中力や気力に欠ける一日であった。 池田晶子は権利が「神が死んだ」あとに生まれたものだと書いていた。 人権の確立など、人間にとって多少進歩したかに思えた20世紀以後、果たして本当に進歩したといえるか。 池田晶子は、権利によって人間はあらゆるもの(食欲や性欲によって派生する一連のもの)を欲するようになったと述べた。 そしてその「暴走」を制御すべく法律が整備され、それを守ることが「義務」となったと…

  • 熊野純彦『カント 美と倫理とのはざまで』講談社 (2017) 読了

    引用元:版元ドットコム つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 ひとまずじっくり、最後まで読み通すことを第一に考え、全体的な流れや本書の全体像を把握することに努めた。 結論としては全く理解できなかったというわけでもなく、一般向けの本であることもあり十分に読む意義のあった読書時間だったと感じている。 感想を書き残していく。 ・・・ 個人的に最も関心の高かったトピック…

  • 読書日記960

    読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 230項まで読み進めた。ここまできてようやく本書のタイトルである「美と倫理のはざま」の意味が掴めつつある。 結論から書くと、ここまで整理されてきたカントの認識に関する一連の考察は、人間と自然との関わり方を解明する試みであったと言える。 その射程範囲があまりにも広大であるために、例えば哲学者アランに「カントの『判断力批判』を短く要約することは不可能」と言わしめるほどであるのだと思われた。 その体系からは…

  • 読書日記959

    読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 130項まで読み進めた。 美学と倫理学の結合点というものを見極めてみたいところであったが、カントの体系が想像以上に入り組んでおり、『判断力批判』だけにとどまらず『純粋理性批判』と『実践理性批判』の3つの主著を包括的に理解しなければならないことが理解できた。 ここまで読んだからには、理解は及ばないにせよ、ひとまず本を読み通すことを第一に考えたいと思うようになった。 結論から書くと、アランの「魂とは肉体…

  • 読書日記958

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 政治に対する考え方において、カントとプラトンの考えに違いがあることが分かった。 プラトンは哲人による統治を理想としたがカントは民主的であると書いてあった。 カントはリアルタイムでフランス革命が起きていたので政治に対してなにか思うところがあったのか、分かりかねたが、池田晶子があまりカントに言及していない点からも、両者はどこかで枝分かれしているのかもしれない。 ・・・ カントの生…

  • 読書日記957

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ "カント「自分で考えることは、真理の最上の試金石を自分自身のなか(中略)に求めることである。つねに自分で考えるという格率が啓蒙である」" P16(『自由の哲学』) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 池田晶子著『無敵のソクラテス』のなかで未だに覚えている話がある。 経済と倫理に関する話であった。 結論からいえば、法律という「外…

  • 読書日記956

    読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 時間がないので短めの日記で終わらせたい。(毎日日記を書くことだけはやめない) 池田晶子は物事を考える際、わからなくなるときが来て当然と語る。 私は本を読めば読むほど自分が無能で無知であることが屈辱的であったが、それは自分がいかに傲慢であったかを思い知ることができた良い機会であったと今では思っている。 「能率的であることが合理的であると思い違いしているように思われる」 と、池田晶子は合理主義的な(執筆当…

  • 読書日記955

    読んだ本 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ 池田晶子「神話は理性の母である」 "正義とは、時代的社会的条件によって規定される外部的観念の一様だというのが今日的な社会通念である。正義は自身の内にあるかと言おうものなら、たちまち独善との謗りを受ける。数十年前なら、社会主義の正義と必然を連呼していたであろううその口からだ。それは見事なくらいの無思慮だが、ソクラテスの時代とて同じである。「正義」すなわち「正しい」ということが自分の幸福、すなわち「善い」ということに直結するのでなければ、そんな観念に従うことに何の意味があるか。" …

  • 読書日記954

    読んだ本 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 カントの『判断力批判』の分析のなかで、認識の客観性や趣味判断の主観的側面について基礎的なことは理解したつもりだったが、それが倫理とどう繋がっていくか、次にそれを学んでいきたいと思ったが今日はもう気力がなかった。 こちらも興味を持っていた本で、文学の役割というものを学術的な観点から引き出せそうであるところ、そして文学の社会的意義に関する知見が得られそうであった点も気に入り少しだけ読んだ。 文学は教訓めいてもいるが、喜びも与えてくれる。 パッと思い付いたことがあった。 「何のため…

  • 読書日記953

    読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 本日は80ページから150ページまで読み進めた。 この文章を書いている時点で、気力を使い果たしてしまいあまり書く元気がない。 ひとまず、趣味と美をめぐって考察し、それをまとめ読者に伝達するために数百枚を要することは、これは裏を返せば「単純なことほど多くのものを含む」ということではないかと思…

  • 読書日記952

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 本書によれば、ショーペンハウアーは「直観の無関心性」こそが「美」をなすと主張を繰り返したとされる。 夢中は努力に勝るとよく言われるが、夢中という経験と「美」が無関係ではないように思われた。 例えば、あまりにも美しい光景や音楽などを目の当たりにすると頭がボーッとする経験が少なくないが、対象に没入することは換言すれば「何らかの関心によってでなく、受動的に与えられる何らかの傾向性に…

  • 読書日記951

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 この二つの本を同時に読むことによって相乗効果が生まれるように思われた。 何を美しいと感じるか、それは主観でもあるが客観でもある。 何故ならば、美しさを認識するには視覚、聴覚がなければならない。感覚器官を通じて脳に認識されるまで、つまりその「経験」、専門的には「実在」は健康的な人であれば誰でも接触できるという点において客観的であるからだ。 その美的法則を解明することは現在も科学的…

  • 読書日記950

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 分析哲学を含む本書の難解な論理と格闘した。 三作目の小説を執筆するにあたってどうしても考え抜きたいテーマである。 今日は手応えを感じた。 難解な本に体当たりして収穫があれば達成感を感じる。 ・・・ じっくりと精読をした。要所要所でメモを取り、流れを掴むことに努めた。 まずはヒュームが定義する「事実」をメモ。 "ヒュームの「事実」という概念は、それ…

  • 読書日記949

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 高橋和巳『我が心は石にあらず』は300ページまで進んだ。 芸術至上主義者と言われた三島由紀夫文学と対比させると、純文学の彼とは違い、高橋和巳文学はプロレタリア文学に近く、哲学者という側面においては両者とも似ている反面、なぜここまで文学的特徴が異なるのかが個人的に不思議であり、興味深くもある。 三島由紀夫は「からっぽ」な経済大国の日本を憂いたが、高橋和巳は何に憂いたか。 ・・・ 「事実/価値」問題につ…

  • 読書日記948

    読んだ本 引用元:版元ドットコム ゲーテ『ゲーテ全集 13 新装普及版』潮出版社 (2003) 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) 三島由紀夫『文化防衛論』ちくま文庫 (2006) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 三作目の小説を本格的に書き始めた。 一作目と二作目を繋ぎ合わせ、物語を再構成していきたい。 ベンヤミンが「力は即興にこそ宿っている」と書いていた。即興といえば、個人的にはフリースタイルラップ(即興ラップ)に最近魅了されている。暴言も多いが、勝ち残っていく人たちが紡ぎ出す言葉には力を確かに感じ…

  • 読書日記947

    読んだ本 高橋和巳『新編 文学の責任』講談社学芸文庫 (1995) 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 高橋和巳の文章はモーリス・ブランショのように謎めいていて難解である。 文章をじっくり読んでいる時でさえ、いつまでも意味が着地しない。分かりやすい文章は区切りがハッキリしていて意味が頭に入ってくるものであるが、高橋和巳の文章は句読点がしっかりと機能している時でさえも非常に分かりずらい。 ・・・ 『文学の責任』は、「文学は何に対して責任があるか」という、あまりにも大きすぎる問いが高橋和巳の練磨…

  • 読書日記946

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 アランの正義論を読み込んだ。 しかしながら、言い回しがくどく、自身の読解力の無さ故に理解しかねる箇所が多かった。 売買における契約に関して、アランは情報の非対照性を批判し、また、契約は必ず曖昧な部分があってはならないと語る。 これは現実的にはかなり厳しいのではないだろか。否。不可能である。 どういう商品かが曖昧であればあるほど、それはソクラテス的な表現では「不正」に近いことになる。 しかしどうだろうか。情報量に対照性がある…

  • 読書日記945

    読んだ本 中井亜佐子『<わたしたち>の到来 英語圏モダニズムにおける歴史叙述とマニフェスト』月曜社 (2020) 引用元:版元ドットコム 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) 高橋たか子『高橋和巳という人』河出書房新社 (1997) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『我が心は石にあらず』を100項まで読み進めた。 この小説もまた、政治性の強い小説であり「自由」や「平等」というキーワードが軸になっているように感じる。 そんな高橋和巳の人物像について『高橋和巳という人』というエッセイで多少把握することができたように思う。 195…

  • 読書日記944

    読んだ本 高橋和巳『我が心は石にあらず』河出文庫 (2017) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『我が心は石にあらず』は50ページほど読み進めた。 主人公の信藤は哲学書と文学、社会学や経済学などのあらゆる分野の書物をむさぼりつくしていることが描写されていた。高橋和巳文学の主人公は往々にして読書家という側面を持っているところ、どうしてもこれは高橋和巳の分身だと勘ぐってしまう。 ひとまず「戦後のエゴイズムの謳歌には感情的に同調しえなかった」という主人公の心情は執行草舟氏の英米ヒューマニズムに対する嫌悪と同じ匂いを嗅ぎとっ…

  • 高橋和巳『悲の器』読了

    高橋和巳『悲の器』河出文庫 (2016) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 ルソーは人間を悪だと決めつけず、制度が悪の根源であると信じた。 私は日頃から「形式」というものに悪魔性を感じている。 形式は制度の部分でもある。例えば書類上はそうなっているが実際はそうではない(あるいはその逆、書類上はそうなっていないが実際はそうなっている)、ということはこの小説においても「米山みき」という家政婦と主人公の正木との結婚をめぐるトラブルの種となっている。 まずひとつに、制度というもの、形式というものがいかにして悪(=不正)を生むか、この小説から見出すこと…

  • 読書日記943

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 高橋和巳『悲の器』河出文庫 (2016) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 書こうと思ったことを一旦忘れてしまったが記事を書こうとしたときに思い出した。 カメラの登場はある意味芸術概念の崩壊の序章だったのだろう。デュシャンの提出した『泉』はその宣言だったのかもしれない。 抽象画というものは画家の内的な観念あるいは概念の集合体としてのイメージを具現化したものだろう。ソクラテスにまで遡れば、芸術は模倣であった。ジラールに言わせれば神に対する模倣であった。 抽象絵画なるものが出た時期は20世紀前半とされているが、そ…

  • 読書日記942

    読んだ本 引用元:版元ドットコム ショーペンハウアー『意志と表象としての世界 Ⅰ』中公クラシックス (2004) 高橋和巳『悲の器』河出文庫 (2016) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 優先順位としてはまず『悲の器』を早めに読みきりたいので今日は300項までなんとか読み進めた。 吉本隆明は高橋和巳文学を「高度なインテリ向けの大衆小説」と言ったそうであるが、『悲の器』はとくにその特徴が出ているように感じる。 主人公が法学部教授という設定であり、内容は法哲学の解説書の…

  • 読書日記941

    読んだ本 ショーペンハウアー『意志と表象としての世界 Ⅰ』中公クラシックス (2004) 高橋和巳『悲の器』河出文庫 (2016) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー日記 『悲の器』は250ページ弱読み進めた。 内容があまりにも高度で『日本の悪霊』よりもページが進まない。 ・・ 執行草舟氏の動画では、「善悪のバランスが取れていると良い結果が出る」と言っていた。 この着想が西部邁『保守の真髄』に書かれていた均衡の理論と重なって見えた。 高橋和巳は「絶対に罪でない行為などないから人は悩むのだ」と小説のなかである人物に言わせていた。 …

  • 読書日記940

    読んだ本 高橋和巳『悲の器』河出文庫 (2016) 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 しばらくは文学作品に没頭したい。 小室直樹の精神を築き上げたのはひとつに文学がある。 様々な本を読んでいて分かるのは、文学作品は間接的に人間を作り上げているということである。 いま目の前では、テレビで年金2000万円問題に不安を感じている人たちがイェール大学成田先生に相談しているが、先人たちが突きつけられた現実に比べれば今のほうが遥かに優遇されていないだろうか。 ・・・ 『悲の器』はひとまず120項読み進めた。 高橋文学の射程範囲は広…

  • 高橋和巳『日本の悪霊』読了

    高橋和巳『日本の悪霊』河出文庫 (2017) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 濃密な物語であったがゆえに細かい部分までは把握しきれなかった。 ひとまず1ページ1ページしっかり読み通すことだけを心がけた。 本書はスケールが大き過ぎるのでひとまず今日感じたことだけを書き残す。 (ネタバレ含む) ・・・ 人間は意味を求める生き物である。 意識せずとも、どこかで必ず無意識に意味を求めている。 「それをして何になる」と問わずとも、「とりあえずやってみることに意味がある」と自身を納得させることで行動に移す生き物である。 そうでなければ、何かの信念に基づ…

  • 読書日記939

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 高橋和巳『日本の悪霊』河出文庫 (2017) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 前者は「ルソーの勉強法」という項目が面白い内容であった。(180項) 難しい本の読解には精神の集中を要する。 しかしこれが思った以上につかれる。ルソーは同じ本を読み続けることを避け、違う本を読むことで時間の浪費を避ける方法を取った。 "精神の集中を要する本を数項もつづけて読むと、気が散ってぼんやりしてしまう。それ以上がんばっても骨折り損で、目まいがしてきて…

  • 読書日記938

    読んだ本 高橋和巳『日本の悪霊』河出文庫 (2017) 引用元:版元ドットコム 執行草舟『生命の理念 Ⅰ』講談社エディトリアル (2018) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 どこかの本で土居健朗『甘えの構造』の「甘え」とは「一体化」のことをいうと書かれていた。 今日は高橋和巳の精神と一体化したい気分であった。 『日本の悪霊』も読みごたえのある長編であったが、ひとまず200ページ読み進めた。 執行草舟氏は学生時代に高橋和巳の文学に浸っていたとのころで、何か心が揺さぶられるものがあったのだと私は解釈している。 また、全共闘時代の象徴的な作家でも…

  • デヴィット・L・ユーリン『それでも、読書をやめない理由』柏書房 (2012) 読了

    引用元:版元ドットコム つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 電子書籍の話や情報社会がもたらす弊害について語られた。 印象的な話としては、著作権や検閲をめぐる問題(Amazonは一時ジョージ・オーウェル『一九八四』と『動物農場』をKindleから削除した)に関して、昔と同じようなことが起きているという指摘があったことであった。 特段、これに関してはとくに何も意見を言うつもりはないが、Kindleは「ハード」、書籍は「ソフト」という側面である限り、所有という観点からすれば…

  • 村上篤直『評伝 小室直樹 (下) 』ミネルヴァ書房 (2018) 読了

    引用元:版元ドットコム つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 後半は宮台真司氏とつながりや、三島由紀夫と天皇論に関する話、そして晩年の小室直樹について書かれていた。 まず端的に本書を読み終えて社会学に対する考え方が大きく変わった。 いや、正確には「社会システム論」という理論に大きな関心を抱いた。 宮台真司氏の理論は小室直樹の精神が受け継がれていることも理解した。 この本を読む前には、個人というミクロのシステムは心理学やその他複数のミクロ的な学問と社会学や歴史のようなマクロ…

  • 読書日記937

    読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 400項まで読み進めた。 小室直樹は執筆に追われお酒に入り浸り、そして体調を崩しては原稿の締め切りに間に合わないという負のループに突入。 原稿の締め切りが近づけば鬱になりまた酒をあおり、いかに忙しい生活を強いられていたのかが理解できた。 また、身体への過度の負荷が小室ゼミの終焉を招いたのだと感じた。 ・・・ 300ページを過ぎた辺りから内容は比較宗教学や天皇論、中国の古典へと話が展開され全く理解ができ…

  • 読書日記936

    読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 260ページほど読み進めた。 読んでみて痛感したのは、小室直樹という人物は、普通の人間が人生を2,3回繰り返してようやくたどり着けるかどうかの知識を持っていることだ。 数学、物理学、経済学、法学、神学、宗教社会学、心理学、精神分析、歴史など、本人が言うように「芸術」以外はほぼマスターしていることが伝わった。 京都大学の数学科を出ていながら法学博士というのは、やはり普通ではない。 ・・・ 裏を返せば、…

  • 村上篤直『評伝 小室直樹 (上) 』ミネルヴァ書房 (2018) 読了

    引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 池田晶子は「狂気の宿らない学問などクズに等しい」ということを書いていたが、狂気が小室直樹という人間に宿ったがゆえに、こうして語り継がれるような存在になったのだと感じた。 また、志というものがいかにして行動へと変換されていくのかも随所にわたって確認することができた。 換言すれば、本書を読むことによって志のない人間が普段どういう行動に出るのかが自ずと分かるように感じた。 小室直樹という人物は、志が大きすぎるがゆえにまわりがよく見えない事も多々あったが、このデメリットは些末なことをほとんど気…

  • 読書日記935

    読んだ本 尾高朝雄『自由・相対主義・自然法』書肆心水 (2018) 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 『二十一世紀への対話 (中) 』聖教ワイド文庫 (2003) 田村均『自己犠牲とは何か-哲学的考察-』名古屋大学出版会 (2018) つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 今日はとくに激しい乱読の一日であった。 そのなかでも『評伝 小室直樹 (上)』は250ページほどいっきに読み進めたのでこちらの感想を軽く書いて今日の日記としたい。…

  • 読書日記934

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 『二十一世紀への対話 (上) 』聖教ワイド文庫 (2002) 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 『それでも、読書をやめない理由』という本が本棚の目立ちにくい、最上段の端に置かれていた。パラパラとめくったがなにか感じるものがあったので読んでみることにした。 ひとまずトロツキーの言葉をメモに残した。 トロツキー「命が絶えるほどの情熱を燃やしてのみ、私たちは無限なものへの欲望にふけることができ…

  • 読書日記933

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 『二十一世紀への対話 (上) 』聖教ワイド文庫 (2002) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 無神論の立場から感想を書いていく。 私は中立かつ科学的な思考で読書をしている。そうでなければならないと考えている。 ・・・ この3つの本は、西部氏の本以外は宗教的な話が多い。 最近思うことがある。宗教の話になると嫌悪感を抱く日本人の特性についてである。 すぐに「オカルト」と判定したり「カルト」と言ったりするのは、それこそ非科学的な発想ではないだろうか。 彼らはニュートンが非常に信仰心の強い人…

  • 読書日記932

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 『二十一世紀への対話 (上) 』聖教ワイド文庫 (2002) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 私は宗教というものを10代の頃から最近に至るまで心の底から軽蔑していた。いまも特定の宗教には属していないのであって、あくまで無神論者の立場から感想を書いている。 勿論、今では過去の宗教に対する偏見は取り除けたと自負はしている。 ・・・ サルトル「文学は飢えた人間のまえで役に立つのか」について語り合ったあと、彼らは芸術と政治の関わりかたについて語った。 芸術の目的が社会的…

  • 読書日記931

    読んだ本 引用元:版元ドットコム 引用元:版元ドットコム 『二十一世紀への対話 (上) 』聖教ワイド文庫 (2002) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー日記 宗教・哲学・資本主義・文明論・文学・心理学・民俗学・人類学・歴史・教育・政治など、今まで学んだことを束ねる読書時間を過ごした。 執行草舟氏の本は10冊ほど読んだが、トインビーの話が頻繁に登場する。 そんなトインビーは、自らの意志で創価学会名誉会長の池田大作氏との対談を希望し、1974年に対談が行われた。 トインビーの名著『歴史の研究』を全部読む気力が無いのでどうしても執行草舟氏の受け売りになっ…

  • 執行草舟『草舟言行録 Ⅰ 日本の美学』実業之日本社 (2022) 読了

    引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 二週間ほどかけ、本日読み終えた。 自分の傲慢さ、欠点、甘さを嫌というほど思い知らされ、苦しい読書であったが自分のために読み通した。 この記事を書いている今も苦しい。 自身の甘さを徹底的に叩きのめすためにはどうしても読まざるを得なかった。 それほど強力の本であり、毒性の強い本である。 ・・・ 「絶対負」の思想についてわずかに接近できたように思う。 それは「存在の内容と形式は矛盾せざるを得ない」と断言した池田晶子の思想と一致した。 それはまた、ゲーデル「不完全性定理」で証明された理論体系の必…

  • エムラン・メイヤー『腸と脳』紀伊國屋書店 (2018) 読了

    引用元:版元ドットコム つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 腸内細菌の多様性が精神疾患と大きく関係があることが理解できた。 最も印象的な情報は、人それぞれが人それぞれの多様性を持っており、約10パーセント程度しか同じ種類の細菌を共有していない点である。 言い換えれば、数ある微生物のどのような組み合わせが人類にとって最適なのかという問いには答えが複数存在することを示唆する。 ・・・ 本書は腸内細菌と脳の「関係」について着目している点が特徴であるとあとがきで書かれていた。…

  • 執行草舟『人生のロゴス 私を創った言葉たち』実業之日本社 (2023) 読了

    引用元:版元ドットコム つづきを読み終えた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 感想 190の魂から紡がれた言葉たちと向かい、人間存在と文明の矛盾を痛感した。 前者が「部分」で後者が「全体」であるならば、ゲシュタルト理論の如く、全体は部分に還元することができず、両者はフラクタル構造の関係にはない。 この事実が様々な哲学者の残した思想と共鳴する。 池田晶子は「存在の真実、それは存在の内容と形式が矛盾することである」と言ったが、深いところで西田幾多郎の「絶対矛盾的自己同一」と繋がっているように思う…

  • 読書日記930

    読んだ本 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 120項まで読み進めた。 71項には、消化管が単に栄養を吸収するだけの器官ではないことが近年ますます明らかになってきている、と書かれていた。 微生物は約30億年前からすでに地球に存在しており、微生物はその間にあらゆる生命と共生するメカニズムを構築していき、今では脳と微生物は分業の関係にあるということがみえてきた。 しかし、やはり120項まで読み通しても疑問が残るばかりであった。 ひとまずは、政治的な…

  • 読書日記929

    読んだ本 引用元:版元ドットコム ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 ミシェル・ビュトールの小説論を読みながらいろいろと考えた。 三島由紀夫と小林秀雄との対談において、彼らは「美」とは形式なしには存在しないということを語り合っていた。 ビュトールは「小説の内部でなされる哲学と詩の融合は、その灼熱の段階で数学を巻き込むのだ」と語る。 非常に抽象的である。 小説論。なんというややこしさ。 ・・・ 音楽における美にも数学的な美しさは存在している。 素数と音楽の親和性についても一応のところ理解はしているつもりである。 音楽があるところに数学はあり、数学…

  • 読書日記928

    読んだ本 執行草舟『生命の理念 Ⅰ』講談社エディトリアル (2018) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 100ページ弱読み進めた。 本書は大学レベル以上の物理学や化学、その他あらゆる学問と哲学が展開されていくので、読みごたえのある難しい本であった。 ざっくりとした感想としては、本書は現代科学の盲点を突き刺す一冊である。 まだまだ理解には到底及ばないが、ひとまずダーウィン解釈に関する誤り(太陽光の強弱によって肌の色は「適応」という意味で変化したが、ダーウィンの理論は白人至上主義の正当化に利用された)や突然変異で人類の誕生を説明しようとする科学(…

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