なるほどね、うまくはいかないものだよ。 バルムンクの生み出す闇の中で、ジョルジュ・ベルリオーズは呟いた。朝
私のオリジナル小説「セイレネス・ロンド」本文および関連情報・設定などを徹底的に網羅すべく作ったサイトです。常時成長中。まだまだ増築構想があります。是非覗いてみてください。
小説の作り込みとかそういうのを作者自らがとっことんマニアックに語っています。作品で語り尽くせなかったわけではなく、作品を読んだ上で更に楽しんでいただけるようにということから手元の設定を「読み物」に変換しました。
↑previous 早くも上級高等部生活も一ヶ月が経過した。カティはげっそりとした顔で寮備え付けの大浴場の脱衣所に入る。そのまま、備え付けの大きな鏡の前に移動する。 「痛……ッ」 鏡を見ながら頬に触れ、思わず声を上げ […]
↑previous 傲……慢……? レベッカはまるで横面を張り倒されたかのような衝撃を覚えていた。何を言われたのか理解が追いつかず、ただ呆然とヴェーラを見る。ヴェーラはその瞳を無感情に煌(きら)めかせ、確認するかのよ […]
↑previous リチャード・クロフォード――。 ヴェーラは脳内の人物名鑑からその名前を大急ぎで検索した。そしてすぐにその名前を発見する。 「潜水艦キラー! 第七艦隊所属戦術機動分艦隊トライデントの指揮官!」「そう […]
↑previous ヤーグベルテ統合首都における十月といえば、もはや「寒い」と言っても差し支えのない季節だ。晩秋というよりも初冬である。そんな中、上級高等部に進んだ士官候補生たちはジャージ姿でグラウンドを走らされる…… […]
↑previous 二〇八二年十月に、ヴェーラたちは揃って士官学校上級高等部へと進むこととなった。上級高等部は大学に相当しており、順当にいけば四年で卒業し、少尉として軍に配属されることとなっている。士官学校高等部から上 […]
↑previous あれからもう四ヶ月、か。 カティは無表情のまま、日替わり定食を口に運ぶ。美味しいとか美味しくないとかいう感想は特にない。素材が変わっただけでいつもの味付け、代わり映えのない食事――それこそカティの […]
↑previous なるほどね――。 女と思しきものの声が、カティたちの背中を見送っている。誰にも観測されることのない、銀の揺らぎがそこにあった。 「歌姫計画(セイレネス・シーケンス)とは、全く大袈裟な命名だこと。終 […]
↑previous カティが覚えていたことはほんのわずかで、言葉にすることができたのは更にその何分の一かだった。しかし、ヴェーラもレベッカも鋭く影のある表情でカティを見つめていた。 「ヴァシリー……」 ヴェーラは唇を […]
↑previous その夜、カティはあまり眠れなかった。ようやく睡魔がやってきたのはほとんど日の出の頃――漁師たちが家を出る時分だった。 「あれ?」 なんか階下が騒がしい。カティは思わず肩を抱く。大きな震えが身体を貫 […]
↑previous カティたちの警戒心が氷解するのには、三日とかからなかった。カティに至っては、兄をさしおいて一人で様子を見に行くことさえあった。その頃には、ヴァシリーはカティにとっては「いい人」であり、敵国人であると […]
エディット そうそう、あれだわ、あれ。 カティ NHK教育でやってるあれ? エディット 子どもいる家庭にしか通じないわね、そのネタ。 カティ え、そうなの? アタシ、ああいうの結構好きでさ。あれ、ピタピタスイッチみたいな […]
■キャラクターについての紹介はこちら 目次 その1その2 その1 デザインした日:2021/09/08 イザベラ様2パターン容易しなきゃらない気がする。 イザベラ様は、劇中では常時マスクを被っているので、素顔を見せること […]
↑previous 約十年前、二〇七一年の晴れた夏の日のことだ。 ヤーグベルテ南部にある小さな漁村、アイギス村の周囲には文字通り何もなかった。大きな道路もなく、公共交通機関も名目上存在するだけだった。村で購入した輸送 […]
↑previous 行こうか――と、三人は連れ立って歩く。カティはヴェーラたちがどこに住んでいるのかを知らない。少なくともカティの住む寮ではないこと以外は。 カティの右手をそっと握りながら、ヴェーラがポツリと言った。 […]
■キャラクターについての紹介はこちら デザイン日:2021/09/11 久しく斜め顔ばかり描いていたので、ということで大の苦手、苦手中の苦手である正面顔にチャレンジ。うーむ……。いまいち! おとなしく斜め顔にすればよかっ […]
■キャラクターについての紹介はこちら デザイン日:2021/09/11 従来のカワセ大佐のイメージを大きく変えてみた(つもり)。ミステリアスな雰囲気を残しつつ、マンガっぽくできないものかと試行錯誤した結果がこれ。自分の中 […]
↑previous カティは講義室の前の方で講義のサマライズをしているヴェーラとレベッカに視線を送りつつ、携帯端末(モバイル)で空軍配信の動画を眺めていた。今日更新されたばかりのものだったが、実際のところは五年前に作ら […]
■キャラクターについての紹介はこちら デザイン日:2021/09/10 紆余曲折激しいレベッカさんデザイン。やっとこさある程度方向性が見えてきた。もうちょっとブラッシュアップしたいところ。眼鏡が難しい、眼鏡が。でも灰色髪 […]
↑previous 広大な執務室の奥、ぽつんと一つ置かれたデスクにて、青年――ジョルジュ・ベルリオーズは腕を組んで目を閉じていた。 「ふぅん」 そう呟いて目を開ける。左目が不規則に赤く明滅する。 「無事に接触できた、 […]
■キャラクターについての紹介はこちら 目次 その1その2 その1 デザイン日:2021/08/28 マンガにするにあたってどうしたらいいべかということでとりあえず情報量を落として描いてみたのがこれ。この描き方が初めてだっ […]
■キャラクターについての紹介はこちら デザイン日:2021/09/05 レニーに関してはデザインがコロコロかわっていたが、ようやく落ち着いた感じがある。このデザインは最初期のレニー(いわゆるversion 1.0)を踏襲 […]
■キャラクターについての紹介はこちら デザイン日:2021/09/05 アルマに関しては、最初期の頃からデザインそのものはあまり変わっていない(絵のうまさは変わった……と思う)。このデザインではどうやったら「まんがっぽく […]
■キャラクターについての紹介はこちら デザイン日:2021/09/04 レオンも紆余曲折あっちいったりこっちいったりで、ビジュアル的に彷徨っていた人。ここにきてようやくレオンらしい線が見えてきた。マリオンともどもちょっと […]
■キャラクターについての紹介はこちら デザイン日:2021/09/03 今の所、これが一番しっくり来る。やっぱり「黒髪ちゃん」と呼ばれたりしているから、茶系より青系かなと。以後はこれをブラッシュアップしていくつもり。線を […]
↑previous 図書室を出たヴェーラとレベッカは手をつなぎながら食堂の隣の売店に向かった。目的地にこれといった根拠はない。ヴェーラの「なんとなく」が発動しただけだ。 ヴェーラはぐいぐいとレベッカを引っ張って突き進 […]
↑previous レベッカを先頭にして、六人の士官候補生(女子ばかり)が講義室の最前列に移動した。ヴェーラはのんびりと後をついてくる。レベッカはテキパキとタブレット端末と電子黒板を接続(リンク)させて、試験範囲の講義 […]
↑previous 実に退屈な講義だ。毎回とても退屈だ。少女は長く美しい白金の髪(プラチナブロンド)をくるくると弄(もてあそ)びながら、あくびを噛み殺していた。戦術研究科戦史研究室の教授による講義なのだが、講義室にひし […]
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なるほどね、うまくはいかないものだよ。 バルムンクの生み出す闇の中で、ジョルジュ・ベルリオーズは呟いた。朝
カティは純白の空間に立っていた。一面の白だ。それはセイレネスの生み出す論理空間の中だった。 「やぁ、カティ」
くそッ! カティは思わず計器類を拳で叩いた。頑丈なハードウェアたちは鈍い音で抗議し、カティの拳に鈍い痛み
敵艦隊を殲滅し、母艦リビュエに着艦するや否や、カティは 艦橋《ブリッジ》へと急いだ。 「状況は! 状況はどう
エディタたち五名の V級歌姫《ヴォーカリスト》と C級歌姫《クワイア》たちは、クララとテレサを先頭に押し立て
薄紙を破るかのように、 C級歌姫《クワイア》たちの小型艦艇が粉砕されていく。マリオンとアルマの PTC《完全
二〇九九年一月一日未明――。 イザベラ率いる反乱軍と、マリオンとアルマに率いられた討伐艦隊は、ほんの三十五
混乱している、と言っても良いだろう。イザベラは半ば呆然と、モニタの中のマサリク大統領を見つめていた。 マサ
二〇九八年十二月二十二日――第二艦隊撤退より一週間後。 マリオンとアルマは航空機によって統合首都へと帰還さ
闇《バルムンク》の中にて、その戦いの一部始終を見下ろしている姿がある。銀髪に赤く輝く左目の持ち主、ジョルジ
闇《バルムンク》の中にて、その戦いの一部始終を見下ろしている姿がある。銀髪に赤く輝く左目の持ち主、ジョルジ
レオノールはエディタとの約束通り、 V級《ヴォーカリスト》および全ての C級《クワイア》を統率していた。エデ
イザベラの号令一下、第一艦隊の火砲が 猛《たけ》る。轟音と共に放たれた弾丸は正確にアルマとマリオンの 制海掃
二〇九八年十二月十五日――。 あと三十分というところか。 イザベラは督戦席から立ち上がり、艦長に右手を上
レオノールが隣接の士官学校にあるシミュレータルームに着いた時、エディタを初めとする残存 V級歌姫《ヴォーカリ
その日の夜、レオノールはエディタたちを引き連れて、マリオンとアルマの部屋を訪ねた。二人と、そしてレニーは、士
エディタは小さく咳払いをする。純白の論理空間の中に、ロラ、ハンナ、パトリシア、そしてレオノールが、それぞれに
エディタの呼びかけにより、残った V級歌姫《ヴォーカリスト》の全員がシミュレータルームに集っていた。エディタ
レベッカ姉様……! マリアの声にならない叫びが、闇の中に消えていく。マリアは、セイレネス・シミュレータを経
セイレーン EM《イーエム》- AZ《エイズィ》とウラニアが、持てる火砲のそのすべてを撃ち放つ。極至近距離で
レベッカは統合首都にて、静かに《《その時》》を待っていた。ガラスの向こうのシミュレータルームには黒い棺のよう
《《生首の歌姫》》が口を開いた。響いたのは絶叫だ。 イザベラはそのあまりの音圧に圧倒される。至近距離で、し
レネ・グリーグが操る戦艦ヒュペルノルと合流した第一艦隊は、アーシュオンの三個艦隊と正対していた。イザベラはセ
第七艦隊旗艦、航空母艦ヘスティアの提督席にて、クロフォードは小さく唸る。ヘスティアの展開する隠蔽システムの傘
二〇九八年十一月末――。 アーシュオンは驚くべき作戦を展開した。アーシュオン本土を縦断するように、巨大なト
それから三日後。 エディタは暗いセイレネスシミュレータの筐体に乗り込むと、大きく息を吐いた。エディタが部屋
そこまでして、命を捨ててまでして、いったい何が得られるというのですか――エディタが掠れた低い声で尋ねる。イザ
二〇九八年、十一月も間もなく終わる頃――。ヤーグベルテ統合首都の秋は足早に過ぎ去り、間もなく初雪が観測される
床も、壁も、天井も、ない。色もない――黒や白の感覚もない。上下左右の概念すら消失してしまっているこの場所は、
バルムンクの創り出した闇の中から、アトラク=ナクアは「あらあら」と戸惑うカティを眺めていた。アトラク=ナクア
無事に着艦を済ませ、艦上に降り立った時の疲労感は、今まで感じたことのないほどのものだった。水の中にでもいるの
この、一方的な力が、セイレネス!? カティの一撃で空域が焼け焦げた。それを目にした瞬間に、カティは寒気を覚
翌日正午過ぎ、カティはさっそくエキドナに搭乗していた。移送と慣熟飛行を兼ねた無茶なプランだったが、カティには
イザベラが人間弾頭を処理した戦いから三日後、十一月も中旬に差し掛かり冬の前触れのような寒風がヤーグベルテ統合
目まぐるしく動く状況の推移を確認しながらも、イザベラは艦首 PPC《粒子ビーム砲》の発射シーケンスを進めてい
二〇九八年十一月上旬、訓練航海を終えたイザベラの艦隊は補給を済ませるなりアーシュオンとの中間海域へと取って返
二〇九八年十一月上旬、訓練航海を終えたイザベラの艦隊は補給を済ませるなりアーシュオンとの中間海域へと取って返
まったく、きみってやつはさぁ――イザベラも手近な椅子に腰を下ろして足を組み、頬杖をついた。 「ベッキー、きみ
レベッカがよろめきながら入った室内には、マリオンが一人、座っていた。その顔は、目の下に濃い影を作っていた。出
第二艦隊旗艦ウラニアの 艦橋《ブリッジ》の窓際にて、レベッカは物思いに 耽《ふけ》っていた。照明すらほとんど