なるほどね、うまくはいかないものだよ。 バルムンクの生み出す闇の中で、ジョルジュ・ベルリオーズは呟いた。朝
私のオリジナル小説「セイレネス・ロンド」本文および関連情報・設定などを徹底的に網羅すべく作ったサイトです。常時成長中。まだまだ増築構想があります。是非覗いてみてください。
小説の作り込みとかそういうのを作者自らがとっことんマニアックに語っています。作品で語り尽くせなかったわけではなく、作品を読んだ上で更に楽しんでいただけるようにということから手元の設定を「読み物」に変換しました。
↑previous ミスティルテイン、か。いいね、プロセスは一つ進んだということだね。 自分の指先さえ認識できないほどの完全なる闇の中、そんな言葉が浮かんで消える。その直後に、その天も地もない空間に、暗黒色のスーツを […]
↑previous またか。 あの夢――いや、現実。夢だったと思いたい。しかし現実に家族はもういない。生まれ育った村は地図から消えた。最初から何もなかったかのように。 アイギス村襲撃事件――その名前はそれから十年が […]
00-0-1:宣言文 -type declaration statement-
青年はゆっくりと周囲を見回した。青年の周囲には怯えた様子の人間たちが座らされている。 なすすべもなく、彼らはただその時を待ち望んでいる。逃れようもない、死への恐怖を渇望している。「いっそ早く殺してくれ」と叫びたいのを […]
0200(マルフタマルマル)時――満天の星に魅(み)せられる時間。さざめく夜空が緊張している。 左手のコンソールで安全装置(セーフティ)を解除した。もはや慣れたものだ。コンソールを間違いなく手順通りに叩くことができる […]
■前回はこちら エディット そういえばさ、カティって何か趣味あったっけ? カティ 強いて言えば読書かな? 紙の本が好きだよ。 エディット 紙媒体? かさばらない? カティ それがいいんだよ。読んだ実感みたいなのがあってさ […]
カティ・メラルティン――出る! 超エースパイロット、カティ・メラルティン。「空の女帝」の異名を持つ彼女は、単機星空を駆ける。迫りくる脅威――「奴ら」に向かって。 抽象世界の成層圏(アブストラクト・ストラトスフィア)―― […]
←こぼれ話に戻る 「セイレネス・ロンド」は、ヴェーラ編→マリオン編(静心)→キリス編と続く予定でしたが、実際の所「マリオン編」第一部でおしまいとなりました。「キリス編」は、ほぼ確実に日の目を見ることのないパートですが、先 […]
エディット カティ、カティ カティ なんだい姉さん エディット 思ったんだけど、どうしてここ私たちしかいないの? カティ 多分アイコンが確保できないんだと思う エディット あいこん??? カティ ああ、いやいや、こっちの […]
これは「#99-99: 心静かに花は散る――。」に対応したコメンタリーです。 イザベラの反乱から五ヶ月。多分五月の下旬頃。2099年のヤーグベルテ統合首都は、遅い桜となっています。寒かったんですね、きっと。 イザベラの反 […]
これは「#08-08: ことづて」に対応したコメンタリーです。 いよいよ本編ラストエピソード。これにエピローグがついておしまいです。コメンタリーもおしまい。 ヴェーラの死を受け止めきれないまま、マリオンさんわんわん泣きな […]
これは「#08-07: To Be.」に対応するコメンタリーです。 ヴェーラの戦艦・セイレーンEM-AZを撃ち貫いた瞬間、マリオンは見知らぬ空間に放り出されます。ここは「LC領域(ロジカルコンバットエリア)」と呼ばれる空 […]
08-06-01:明日、明日、また明日。時はゆらりと日々を歩み……
これは「#08-06: Love all, trust a few, do wrong to none.」に対応するコメンタリーです。 ちなみにこの↑「Love all, trust a few, do wrong to […]
08-05-01:彼らが理解できるようにするためには、わかりやすいピリオドが必要なんだ
これは「#08-05: 背明のセイレーン」に対応したコメンタリーです。 年は明け、2099年1月1日、運命の日です。 今回も総力戦の構えで出陣したマリオンたちでしたが、今回はイザベラの展開予測が成り立たず、第七艦隊もエウ […]
08-04-01:私たちは誰一人として例外なく、当事者なのです
これは「#08-04: 烈火の如く」に対応したコメンタリーです。 さて、大統領の演説の後、マリオンたちはカワセ大佐と合流します。今回はマリアが主役の回ですよ。 「あの演説の台本はどうだったかしら?」 と、さらりとネタバラ […]
これは「#08-03: レイズ・ザ・カーテン」に対応したコメンタリーです。 理不尽回。ちなみに「レイズ・ザ・カーテン」は#01-01で出てきていますね。幕を上げるという意味です、文字通り。 アルマとマリオンはともに「査問 […]
これは「#08-02: 総力戦――なれど。」に対応するコメンタリーです。 総力戦が始まります。レベッカの戦死から二週間、その傷が癒えることもない。ただ帰ってきて、補給して、また戦場に。イザベラが間髪入れずに戦場を指定して […]
08-01-01:君が彼女を愛しているのと同じように、彼女も君を愛してる。
これは「#08-01: 愛するからこそ、汚れたい」に対応するコメンタリーです。 第八章。いよいよ最終章。コメンタリーも佳境です。 そしてウラニアは沈みます。レベッカも死にます。至極あっさり死にます。イザベラたちは静かに立 […]
07-04-01:To be, or not to be, that is the question.
生首歌姫たちのみならず、アーシュオンの艦隊は、イザベラのただの一声で壊滅させられます。それだけイザベラの怒りが激しかったということです。 イザベラのその凄烈(せいれつ)としか言えない歌は、さながら雷神(トール)の鉄槌と […]
これは「#07-03: 静かな夜に光る空」に対応したコメンタリーです。 そしていよいよ、第一艦隊と第二艦隊があいまみえます。いざ戦闘かと思ったら、「なんかへん」だとマリオンたちは感じるのです。 指数関数的に、不快感が膨 […]
これは「#07-02: センター」に対応したコメンタリーです。 そして2098年12月1日深夜。 誰も何も言わない。レスコ中佐も何も言わない。レベッカもまた、沈黙を守る。無音という喧騒(ノイズ)の内側で、私たちは暗黒の […]
これは「#07-01: This day…」に対応したコメンタリーです。 アーシュオンの奇襲攻撃により味方の二個艦隊が全滅したのを受けて、イザベラ率いる第一艦隊が出撃していきます。 その日は、第一艦隊にとっては、今年度 […]
これは「#06-02: セッティング」に対応したコメンタリーです。 その悲哀に満ちた呟きを待っていたように、イザベラが入ってきます。 マリオンは意を決してイザベラに問います。「いつまで戦えば良いのか」と。それに対してイザ […]
これは「#06-02: セッティング」に対応したコメンタリーです。 さて、イザベラに導かれて会議室にやってきたマリオンとレオン。イザベラ様はさっさと立ち去ってしまいます。後で出てくるけど。 「マリーは頑張った。二隻ちゃん […]
これは「#06-01: 帰還」に対応するコメンタリーです。 さて、帰ってきた第二艦隊。ダウェル艦長の無骨な気遣いと想いが伝わったでしょうか! ヘタな慰めの言葉など言わず、考える時間を与える男。コレは相当な余裕と経験がなけ […]
これは「#05-05: 血色の海」に対応したコメンタリーです。 ニュータイプめいた直感と確信でもって敵を検知したマリオンとレベッカ。それはエディタの検知よりも早い――当然なんですが。エディタだって超人めいた直感力の持ち主 […]
これは「#05-04: レベッカの述懐」に対応したコメンタリーです。 さてさて、新型艦「制海掃討駆逐艦(バスター・デストロイヤー)」、アキレウスとパトロクロスを与えられたマリオンとアルマ。二人は「大きな艦」を想像していた […]
これは「#05-03: 優しい毒」に対応したコメンタリーです。 さて、パーティ会場を合法的に(やや強引に)抜け出したマリオン御一行。イザベラとレベッカ専用のでっかい車両(リムジンだと思ってくだされ)に乗ります。後部座席は […]
これは「#05-02: ディーヴァとの対面」に対応するコメンタリーです。 レニーの実戦配備から1年、マリオンたちもいよいよ卒業。前話、本話と時間がものすごい流れてますが、ダラダラ学園生活書いてもしょうがないっていうので( […]
そして時間が一気に流れます。1年くらい。マリオンは3年生になり、レニーが卒業。そして艦隊に配備されると。そしてその期間をかけて、マリア・カワセ大佐が事実上第六課のトップに立ちます。もちろん名目上はハーディ中佐が統括なんで […]
これは「#04-05: レイニー・セメタリー」に対応したコメンタリーです。 そして一同、お墓に到着します。この辺時間の流れがゆっくりですね。そしてマリオンさんてばマリアと手を繋いでいたりします。マリアとしては珍しく、大し […]
これは「#04-04: 絶対的な正義となるもの」に対応したコメンタリーです。 前回の最後からシームレスに繋がって、マリオンたちはマリアの車に乗ります。何故かレオンも乗っていたりします。レオンは家族と過ごす時間よりも、マリ […]
「百人一首」より出題です。「上の句」が読まれますので、正しい「下の句」を選択してください。こっそり時間カウントしていて、120秒でタイムオーバーとなります。 是非挑戦してみてください。
04-03-01:その日が来るのを知っている立場っていうのは。
エリオット中佐との話からあっという間に時間が流れます。3,4ヶ月くらい。で、9月くらいになってます。 一年生終盤にして、膨大な事務処理を手伝わされているわけですね、マリオンたちは。ぶっちゃけいえば、人件費削減です。また、 […]
04-02-02:軍人の命が消えるその瞬間をスナック菓子をつまみながら、阿呆面晒して眺めてやがるんだ
で、鬼神・エリオットの演説が始まるわけです。 と、その前に、色々と現今の軍の体制や、歌姫の扱いかたに大層不満をいだいている様子。でも、こんな発言が公に許されるのも、エウロス飛行隊という最強集団に所属しているからなんですな […]
さてさて 04-02 でございます。本当は「空の女帝」カティ・メラルティン大佐による特別講義……の予定だったのですが、カティは今は遠い海の上。急いで単機帰ってこさせるわけにも行かないし。というかそもそも「カティによる講義 […]
これは「04-01: セルフィッシュ・スタンド回収事件」に対応したコメンタリーです。 さて、5月の上旬に桜は散ります。ヤーグベルテ統合首都の気候はほとんど北海道(というか札幌)と一致します。寮の窓から外を見ていたレオンさ […]
さて、ヴェーラ=イザベラだということが暴露されはしましたが、マリオンさん的には「声があまりにも違う」ので納得行ってない様子。マリオン、耳が良いですからね。でも、それも「見くびられても困る」の一言でおしまいです。マリアがそ […]
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なるほどね、うまくはいかないものだよ。 バルムンクの生み出す闇の中で、ジョルジュ・ベルリオーズは呟いた。朝
カティは純白の空間に立っていた。一面の白だ。それはセイレネスの生み出す論理空間の中だった。 「やぁ、カティ」
くそッ! カティは思わず計器類を拳で叩いた。頑丈なハードウェアたちは鈍い音で抗議し、カティの拳に鈍い痛み
敵艦隊を殲滅し、母艦リビュエに着艦するや否や、カティは 艦橋《ブリッジ》へと急いだ。 「状況は! 状況はどう
エディタたち五名の V級歌姫《ヴォーカリスト》と C級歌姫《クワイア》たちは、クララとテレサを先頭に押し立て
薄紙を破るかのように、 C級歌姫《クワイア》たちの小型艦艇が粉砕されていく。マリオンとアルマの PTC《完全
二〇九九年一月一日未明――。 イザベラ率いる反乱軍と、マリオンとアルマに率いられた討伐艦隊は、ほんの三十五
混乱している、と言っても良いだろう。イザベラは半ば呆然と、モニタの中のマサリク大統領を見つめていた。 マサ
二〇九八年十二月二十二日――第二艦隊撤退より一週間後。 マリオンとアルマは航空機によって統合首都へと帰還さ
闇《バルムンク》の中にて、その戦いの一部始終を見下ろしている姿がある。銀髪に赤く輝く左目の持ち主、ジョルジ
闇《バルムンク》の中にて、その戦いの一部始終を見下ろしている姿がある。銀髪に赤く輝く左目の持ち主、ジョルジ
レオノールはエディタとの約束通り、 V級《ヴォーカリスト》および全ての C級《クワイア》を統率していた。エデ
イザベラの号令一下、第一艦隊の火砲が 猛《たけ》る。轟音と共に放たれた弾丸は正確にアルマとマリオンの 制海掃
二〇九八年十二月十五日――。 あと三十分というところか。 イザベラは督戦席から立ち上がり、艦長に右手を上
レオノールが隣接の士官学校にあるシミュレータルームに着いた時、エディタを初めとする残存 V級歌姫《ヴォーカリ
その日の夜、レオノールはエディタたちを引き連れて、マリオンとアルマの部屋を訪ねた。二人と、そしてレニーは、士
エディタは小さく咳払いをする。純白の論理空間の中に、ロラ、ハンナ、パトリシア、そしてレオノールが、それぞれに
エディタの呼びかけにより、残った V級歌姫《ヴォーカリスト》の全員がシミュレータルームに集っていた。エディタ
レベッカ姉様……! マリアの声にならない叫びが、闇の中に消えていく。マリアは、セイレネス・シミュレータを経
セイレーン EM《イーエム》- AZ《エイズィ》とウラニアが、持てる火砲のそのすべてを撃ち放つ。極至近距離で
レベッカは統合首都にて、静かに《《その時》》を待っていた。ガラスの向こうのシミュレータルームには黒い棺のよう
《《生首の歌姫》》が口を開いた。響いたのは絶叫だ。 イザベラはそのあまりの音圧に圧倒される。至近距離で、し
レネ・グリーグが操る戦艦ヒュペルノルと合流した第一艦隊は、アーシュオンの三個艦隊と正対していた。イザベラはセ
第七艦隊旗艦、航空母艦ヘスティアの提督席にて、クロフォードは小さく唸る。ヘスティアの展開する隠蔽システムの傘
二〇九八年十一月末――。 アーシュオンは驚くべき作戦を展開した。アーシュオン本土を縦断するように、巨大なト
それから三日後。 エディタは暗いセイレネスシミュレータの筐体に乗り込むと、大きく息を吐いた。エディタが部屋
そこまでして、命を捨ててまでして、いったい何が得られるというのですか――エディタが掠れた低い声で尋ねる。イザ
二〇九八年、十一月も間もなく終わる頃――。ヤーグベルテ統合首都の秋は足早に過ぎ去り、間もなく初雪が観測される
床も、壁も、天井も、ない。色もない――黒や白の感覚もない。上下左右の概念すら消失してしまっているこの場所は、
バルムンクの創り出した闇の中から、アトラク=ナクアは「あらあら」と戸惑うカティを眺めていた。アトラク=ナクア
無事に着艦を済ませ、艦上に降り立った時の疲労感は、今まで感じたことのないほどのものだった。水の中にでもいるの
この、一方的な力が、セイレネス!? カティの一撃で空域が焼け焦げた。それを目にした瞬間に、カティは寒気を覚
翌日正午過ぎ、カティはさっそくエキドナに搭乗していた。移送と慣熟飛行を兼ねた無茶なプランだったが、カティには
イザベラが人間弾頭を処理した戦いから三日後、十一月も中旬に差し掛かり冬の前触れのような寒風がヤーグベルテ統合
目まぐるしく動く状況の推移を確認しながらも、イザベラは艦首 PPC《粒子ビーム砲》の発射シーケンスを進めてい
二〇九八年十一月上旬、訓練航海を終えたイザベラの艦隊は補給を済ませるなりアーシュオンとの中間海域へと取って返
二〇九八年十一月上旬、訓練航海を終えたイザベラの艦隊は補給を済ませるなりアーシュオンとの中間海域へと取って返
まったく、きみってやつはさぁ――イザベラも手近な椅子に腰を下ろして足を組み、頬杖をついた。 「ベッキー、きみ
レベッカがよろめきながら入った室内には、マリオンが一人、座っていた。その顔は、目の下に濃い影を作っていた。出
第二艦隊旗艦ウラニアの 艦橋《ブリッジ》の窓際にて、レベッカは物思いに 耽《ふけ》っていた。照明すらほとんど