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  • 探求心よ、どこまでも『アメリカから来た友情人形』(今関 信子)

    「破壊89名、焼いてしまえ133名、送り返せ44名、海へ捨てろ33名」(本文より、戦時中の毎日新聞に載ったある小学校の聞き取り調査を引用) 題材がとてもいい本として紹介するよ~。 卒業を控えた小学六年生の子どもたちが 学校で大切にする古い人形の来歴に触れ 興味を抱き深く掘り下げていく物語だわ。 知らない話ばかりでメチャ勉強になった。 物語パートより探求パートが良い印象だ。 1927年に米国からやって来た人形が たどった運命には胸を締め付けられたな。 朝礼でやり玉にあげ、竹やりで突き刺し みんなで石を投げたあと火をつけたとか 主導させられた先生たちも辛かったろう。 もしも自分がその時代の子どもだ…

  • 出題されるかもしれない新刊本(2025年4月前後)

    4月度は注目作が盛りだくさんですわ~。 ちゅうでん児童文学賞作品か瀬尾先生の 新作が月間トップ候補になりそうな予感。 宮島先生の部活青春モノも期待値は高い。 以下のリストは未読の作品が多めなんで、 たぶん問題文に向かない本もあるんだが、 年間トップになる作品も含まれていそう。 4/9発売 先行レビュー済 『もの語る一手』(青山美智子,芦沢央,綾崎隼ほか) 豪華作家陣が将棋を描いたアンソロジー。 4/14発売 ちゅうでん児童文学賞大賞 『ぶたのしっぽ』(海緒 裕) 男らしさになやむ少年を変えるものは? 4/15発売 先行レビュー済 『団地メシ!』(藤野 千夜) 16歳の少女が祖母とめぐる和やか散…

  • 気ままな散歩へGO『団地メシ!』(藤野 千夜)

    おばあちゃん、明日、お花見しない?(本文より) 来月中旬に発売予定のおいしい新作だよ。 家族愛が心の奥深くに響いてくる物語だ。 わけあってヒマを持て余す16歳少女が 食べ歩きをしつつ生きる力を蓄えていく。 そんなストーリーだとオレは受け止めた。 ゆっくりのんびりなおばあちゃんがイイ。 少女とバディのように笑い合う関係性が おどろくほど心をなごませてくれるよ~。 いとこの直球すぎる感情表現も楽しい! 微笑みながら癒される作品だと感じたわ。 難易度としてはやや難に分類されるかな。 オレのレビューの最初だけ以下に並べた。 年の離れた仲良しの二人が、昭和の香り漂う団地の名店めぐりをトコトン楽しむストー…

  • でこぼこ道の少女『わたし、わかんない』(岩瀬 成子)

    まっすぐ生きるだけが、いいことじゃないよ。(本文より) 割と入試に出る作家の来月下旬発売の本。 学校で差別や偏見にさらされる女の子が 自分の居場所を求め足掻くストーリーだ。 みんなが当たり前にできることができず 苦しむ主人公へ心の底から共鳴したわ~。 彼女の優しさは勉強や運動ができるより ずっと、ず~っと尊いとしみじみ感じた。 1コ上の男の子も別の意味でユニークで 彼らのやりとりにはほっこりできるんだ。 文章はかなり平易なんで小4で読めそう。 オレのレビューの前半パートはこんな風。 不適応ですって!? 間違っているのはどちらなのか? 共感のあまり、ひたすらそう感じました。 個性を受け容れること…

  • 洋々たる船出『僕たちは我慢している』(藤岡 陽子)

    いよいよ始まるという緊張感が、受験生たちの顔に滲んでいた。(本文より) 『金の角持つ子どもたち』の著者が贈る 普遍的に愛されそうな作品が登場するよ。 発売は約2ヶ月後の5月中旬になる模様。 開成をモデルにした名門男子校を舞台に 生徒たちがおたがいを刺激し合いながら 難関大受験に向かっていくストーリーだ。 開成は征和学院に置き換えられているが 他校や鉄緑会はすべて実名で登場するよ。 本作に名前が出てくる学校 桜蔭、雙葉、麻布、武蔵、灘、筑波大学付属駒場、慶應中等部、小石川中等、桜修館ほか 我慢にもいい我慢と悪い我慢があるな~。 自分の未来の為に進み取る我慢は美しい。 そんな心の宝石が散りばめられ…

  • 濃厚な個性に囲まれる『坂の中のまち』(中島 京子)

    昨年11月発売の書店で目立っていた本。 ガール・ミーツ・幽霊譚と宣伝してるが エンタメ寄りではなくなかなか深いよ~。 文豪たちのあゆみや名作文学に登場する ご当地の坂が登場するシーンにフムフム。 ほっこりできるエピソードが多い一方で キリシタン弾圧の過酷さにはマジ震えた。 素材文適性があるかも知れないシーンは 祖母と盟友の距離が近づく電車賃パート。 あとは大学での面白キャラとのかかわり。 このよしんばさんは本当に楽しい人だよ。 ま、たぶんほかにもあるだろうとは思う。 難易度は紹介作品の中では難しいになる。 俺のレビューの序盤だけ以下に付けたよ。 主人公は世間知らずな18歳。 大学入学を機に上京…

  • 人生のお供にしたい『もの語る一手』(青山美智子,芦沢央,綾崎隼ほか)

    誰もが認めるような新しい目標がなければ、あきらめることは許されない気がしていた。(『おまえレベルの話はしてない(大島)』の本文より) 頻出作家の短編を含む来月9日発売の本。 将棋を題材にした珠玉のアンソロジーだ。 そのラインナップは以下の通りですわ~。 『授かり物』(青山 美智子) 『マルチンゲールの罠』(葉真中 顕) 『誰も読めない』(白井 智之) 『なれなかった人』(橋本 長道) 『王手馬取り』(貴志 祐介) 『おまえレベルの話はしてない(大島)』(芦沢 央) 『女の闘い』(綾崎 隼) 『桂跳ね』(奥泉 光) 青山先生の家族愛の短編を熱烈に読んで あとは軽い気持ちでと思ってたんだけど 最後…

  • 女は度胸と才覚『真珠王の娘』(藤本 ひとみ)

    食べ物が体を養うように、美は心を養い、豊かにするのだ。(本文より) 藤本ひとみ先生というと軽妙テイストで 子供達に人気って印象だけどこれは重厚。 入試ではあまり見ない作家ではあるけど 2024年の本郷中学で出てたりはする。 本作はズシリとくる厚みに思わずゴクリ。 戦中・戦後の日本を舞台に一人の女性が 我が道を闊歩するさまを描く文芸書だよ。 民草からみた戦争の恐ろしさだけでなく 指導者視点の世界も描かれ興味深いわ~。 素材文適性は府立第二高女の学生として 主人公が勤労奉仕する周辺に少しアリ? 難易度は例の分類に当てはめると難しい。 俺のレビューからの抜粋はこんな感じだ。 狂おしいほどドラマチック…

  • その兆しが示すもの『小説』(野崎 まど)

    2025年本屋大賞のノミネート作品だ。 王道文学とはちょっと毛色が違う本だわ。 読書だけが寄る辺という少年のあゆみは エキセントリックなまでにユニークだよ。 彼の無二の親友というのもこれまた凄い。 凄すぎて危なっかしすぎて先が気になり ボリュームをものともせず読めちまった。 作戦を練り超名門高校へ挑戦する部分や 慶応の論文に挑むあたりに俺は惹かれた。 まぁ、賛否が分かれるかもしれないけど 展開にびっくりすることは保証できるわ。 素材文適性は小学生パートと難関挑戦の 中高パートにホンの僅かだがあるかな~。 文章難易度の面では敷居が高く難しいよ。 俺のレビューの断片は以下に置いておく。 小説の持つ…

  • 常識を投げ捨てる『踊れ!文芸部』(キタハラ)

    みなさん、入学おめでとうございます。みなさんは、この学校に、べつに入りたくもなかったと思います。(本文より) バカ丸出し男子の青春物語と謳う作品だ。 まぁ、表紙の感じからしてそうだよな? この本、俺は前半パートがわりと好きだ。 モチベが低い男子校に降ってわいた話に 少年達が起死回生のアイデアであらがう。 あの手この手でみんなを巻き込むなかで 絶妙に面倒くさい先生も乗りだしてくる。 とまあ、こんな感じで進むストーリーだ。 ちょっと小学生にはアレな部分はあるが 肩の凝らない楽しい読書にはよいかも? 軽妙で読みやすく難易度は普通のレベル。 以下、俺のレビューの断片になりますぜ。 主人公は崖っぷち男子…

  • ほとばしる情熱の輝き『スターゲイザー』(佐原 ひかり)

    みんなどこかしら損ないながら、傷つきながらステージに立ってる。そうじゃないと輝けないって言い聞かせてさ。(本文より) 稀に入試で見る作家の9月に出た作品だ。 これは女性レビュアーの激賞が凄いんだ。 男性アイドル物とかマジで読めるんか? な~んて思いながら読み始めてみたらよ いきなり野郎共のメイク場面でげんなり。 どっこい、読み進めるともう止まれない。 軽薄の対極にある少年たちの生き様には 俺も知らず知らずのうちに熱狂してたよ。 2024年ベストに選んだ読み友さんが やけに多かった理由を今さら思い知った。 序盤でアレレと感じても止まらぬが吉だ。 素材に使えそうな箇所は探せばあるかと。 問題文に使…

  • 多様な視点への気づき『夜更けより静かな場所』(岩井 圭也)

    ひとりで本を読むのは楽しい。でも、読んだ本について語るのもまた楽しい。(本文より) たまに入試に出る作家の10月発売の本。 謎の多い初老の男が営む古書店を舞台に 6人の男女の人生が交わるストーリーだ。 課題の図書を題材にして意見交換しあう 彼らが読者に次々と新しい視点をくれる。 こんなんよく思いつくよな~って驚いた。 作家さんの頭ん中ってどうなってんの? 興味深かったのは心から願ってたことが いざ実現できると色褪せてしまうって話。 これは心当たりがある人が多い気がする。 素材文適性って意味では野球漬けだった 青年の視点で描かれる章とかはあるかも。 終盤の監督に会いにいく場面はその一例。 もう一…

  • 色眼鏡を外すとき『Q世代塾の問題児たち』(石川 宏千花)

    本当のばかっていうのはさ、差別やいじめを平気でしたり、世の中のことに無関心な人間のことだから。(本文より) 子供受けする本を多数出している作家の 来月中旬に発売予定の作品を紹介するよ。 今作は6年生女子が珍しい塾に通う中で 新しい価値観に目覚めていくストーリー。 個性派揃いの塾は教える側も凄いキャラ。 生徒たちも危なっかしくってもう釘付け。 それでいて勉強になる場面も多いんだわ。 これは主体的な学びに導いてくれるかも。 みんなハッピーになれる人生の選択など 大人の俺にも発見のある作品だったわ~。 文体は小4ぐらいでも読めそうな易しさ。 以下、俺のレビューの一部を並べとくよ。 先入観をひっくり返…

  • 固定観念を打ち払え!『蒼天のほし』(いとう みく)

    でも、現実に、目の前に、夜間の保育を必要としている家族がいます。その親子を切り捨てていいんでしょうか。(本文より) 入試頻出作家の5月下旬発売予定の本だ。 夜間保育園が舞台という珍しい作品だよ。 おそらく中学受験するような子たちには 想像することが難しい環境が描かれてる。 生死にかかわる限界の親子も出てくるし。 こういった試される感のあるテーマって 名門校で特に好まれるような気がするな。 培った能力を自分だけでなく広く社会に 役立ててほしいって理念ならなおさらだ。 素材文適性は保育園の方針が如実に出る 前半パートの2箇所がかなり高そうかな。 それに続くのが中学受験生が関わる中盤。 少しありそう…

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