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笑う門には福来る 笑顔応援隊 i 少納言日記 https://syounagon.hatenablog.com/

「笑顔応援隊 i 」すーちゃん👼ぶんぶん👱‍♀️少納言👩は、 寛容で豊かで笑顔溢れる世界にする使命をおびて日夜活動中🌷 少納言👩があれやらこれやら綴るブログでございます💖

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2020/10/16

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  • 【源氏物語655 第21帖 乙女10】若君は成績よく、師も弟子もいっそう励みが出て学業を熱心にするようになった。源氏の家でも始終詩会が催され、博士や文士の得意な時代が来たように見えた。

    大学へ若君が寮試を受けに行く日は、 寮門に顕官の車が無数に止まった。 あらゆる廷臣が今日はここへ来ることかと思われる列席者の 派手《はで》に並んだ所へ、 人の介添えを受けながらはいって来た若君は、 大学生の仲間とは見ることもできないような 品のよい美しい顔をしていた。 例の貧乏学生の多い席末の座につかねばならないことで、 若君が迷惑そうな顔をしているのももっともに思われた。 ここでもまた叱るもの威嚇するものがあって不愉快であったが、 若君は少しも臆《おく》せずに進んで出て試験を受けた。 昔学問の盛んだった時代にも劣らず大学の栄えるころで、 上中下の各階級から学生が出ていたから、 いよいよ学問と…

  • 【源氏物語654 第21帖 乙女9】学問相当な地位も得られず、後援者もなく貧しかったこの人を、源氏は見るところがあってわが子の教師に招いたのである。学問を大切に思う源氏に、若君の教師は嬉しく思った。

    「世間の親が愛におぼれて、 子に対しては正当な判断もできなくなっているなどと 私は見たこともありますが、自分のことになってみると、 それは子が大人になっただけ親はぼけていくので やむをえないことだと解釈ができます。 私などはまだたいした年ではないがやはりそうなりますね」 などと言いながら涙をふいているのを見る若君の教師はうれしかった。 名誉なことになったと思っているのである。 大将が杯をさすともう深く酔いながら 畏《かしこ》まっている顔つきは気の毒なように痩せていた。 変人と見られている男で、学問相当な地位も得られず、 後援者もなく貧しかったこの人を、 源氏は見るところがあってわが子の教師に招…

  • 【平家物語34 第2巻 少将乞請②〈しょうしょうこいうけ〉】〜The Tale of the Heike🥀

    中門に入った宰相に、清盛は目通りを許さなかった。 仕方なく宰相は源《げん》大夫判官 季貞《すえさだ》を通じて、 言葉を伝えて貰う事にした。 「つまらない人間と関り合いになったことは、 返すがえすも残念ですが、これもいたし方ありません。 成経に縁づいた娘が、身重の体で、 実は今朝から、この嘆きのため、息も絶えだえなのです。 如何《いかが》でございましょうか、 少将一人生きていても如何《どう》なるものでもありません、 暫くこの教盛にお預け下さらぬか、 決して間違いなどは起さぬように厳重に監視いたします」 これを聞いて清盛は、 「又教盛のあれが始ったな、全くわけの判らんことばかり申して」 とろくすっ…

  • 【平家物語33 第2巻 少将乞請①〈しょうしょうこいうけ〉】〜The Tale of the Heike🥀

    丹波少将|成経《なりつね》は、 その夜、院の御所の宿直で、まだ家には帰っていなかった。 そこへ、大納言の家来が、急を知らせにかけつけてきた。 始めて、事の子細を知った少将の驚きも深かった。 それにしても、宰相《さいしょう》殿から、 何ともいってこないのは変だ、と思っていた矢先、 宰相からも使いの者がとんできた。 宰相とは、清盛の弟 教盛《のりもり》のことであるが、 教盛の娘が成経の妻になっていたから、 成経には舅《しゅうと》であった。 「何事か存じませぬが、清盛公から、 西八条へ出頭するようにというお達しが参っておりますが」 宰相の使いの言葉を聞くより早く、 少将は、その意味を察して、 法皇の…

  • 【源氏物語653 第21帖 乙女8】夕霧の若君は東の院に勉強部屋が設けられ 学者を一人つけて学ばせた。若君は、父を恨めしく思う気持ちもあったが 真面目に努力し続け 学問に天分の才を発揮した。

    それに続いてまた入学の式もあった。 東の院の中に若君の勉強部屋が設けられて、 まじめな学者を一人つけて源氏は学ばせた。 若君は大宮の所へもあまり行かないのであった。 夜も昼もおかわいがりにばかりなって、 いつまでも幼児であるように宮はお扱いになるのであったから、 そこでは勉学ができないであろうと源氏が認めて、 学問所を別にして若君を入れたわけである。 月に三度だけは大宮を御訪問申してよいと源氏は定めた。 じっと学問所にこもってばかりいる苦しさに、 若君は父君を恨めしく思った。 ひどい、こんなに苦しまないでも出世をして 世の中に重んぜられる人がないわけはなかろうと考えるのであるが、 一体がまじめ…

  • 【平家物語32 第2巻 小松教訓③】〜The Tale of the Heike🥀

    重盛は、父を諫めて、中門から出てきたが、 清盛の承諾を得たものの、 まだ何かと不安であったから、侍達を集めると、 「たとえ清盛公のご命令だからといって、 大納言を殺すような事はするな。 清盛公は、気の短いお人だから、腹立ちまぎれに、 かっとなっては、後でいつも後悔なさる。 お前達も、間違った真似《まね》をして、 あとで、この私にどのような目にあわされても、 恨むでないぞ」 とじろりと侍達を見廻したので、 一同、恐ろしさに震え上った。 重盛は、その中に、難波経遠、瀬尾兼康の二人を見つけると、 ずかずかと側に寄り、 「さても、経遠、兼康、今朝方、 成親卿に対する振舞は余りにも礼儀知らずであったぞ。…

  • 【源氏物語652 第21帖 乙女7】式が終わって退出しようとする博士と詩人をまた源氏はとどめて詩を作ることにした。夜がすっかり明けてから詩は講ぜられた。講師の役は、左中弁〈さちゅうべん〉がした。

    式場の席が足りないために、 あとから来て帰って行こうとする大学生のあるのを聞いて、 源氏はその人々を別に釣殿《つりどの》のほうでもてなした。 贈り物もした。 式が終わって退出しようとする博士と詩人を また源氏はとどめて詩を作ることにした。 高官や殿上役人もそのほうの才のある人は皆残したのである。 博士たちは律の詩、源氏その他の人は絶句を作るのであった。 おもしろい題を文章博士《もんじょうはかせ》が選んだ。 短夜のころであったから、夜がすっかり明けてから詩は講ぜられた。 左中弁《さちゅうべん》が講師の役をしたのである。 きれいな男の左中弁が重々しい神さびた調子で 詩を読み上げるのが感じよく思われ…

  • 【平家物語31 第2巻 小松教訓②】〜The Tale of the Heike🪷

    成親は、庭先に頭をすりつけられながらも、 息子、丹波少将成経《たんばのしょうしょうなりつね》を始め 幼い子供達が、この後、どんな苦しみにあうのかと、 そればかりが心配であった。 丁度六月のさ中で、気候も暑い上に今、炎天下に引き出され、 汗と涙にまみれながら、成親は、 「小松殿だけは何とか、よいように取り計らって下さるであろう」 とそればかりに、はかない望みをかけているのであった。 その小松内大臣重盛は、 事件が一先ず落着いた頃になって、嫡子維盛と同道で、 僅か七、八人の供を連れたまま、 何事もなかったように悠々とやってきた。 清盛を始め、一同が、意外な面持で見守っている中を、 ゆっくりと重盛は…

  • 【平家物語30 第2巻 小松教訓①】〜The Tale of the Heike🪷

    清盛邸の一間に押こめられたままの新大納言成親は、 次第に冷静になるにつれて、 陰謀露顕の理由をあれこれと考えていた。 「それにしても、用意周到にとは思い続けておったが、 どこかに疎漏な点があったのであろう? 北面の武士の内の誰かなども、 今にして思えば、少しうかつであったか?」 いろいろに思い廻らしている時、 後の方から、荒々しい足音がして、障子を手荒く引あけたのは、 満身怒りにおののいている清盛その人である。 「そもそも、其許《そこもと》は、平治の乱で、 殺されるばかりのところを、重盛が命乞いして助かったお人、 それを、どんな恨があってのことか、 当家滅亡の陰謀に荷担せられ、それでも人間か?…

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  • 【源氏物語651 第21帖 乙女6】若君の師から字《あざな》をつけてもらう式は東の院ですることになった。高官たちは皆この式を珍しがって参会する者が多かった。博士たちが晴れがましがって気後れしている。

    若君の師から字《あざな》をつけてもらう式は 東の院ですることになって、 東の院に式場としての設けがされた。 高官たちは皆この式を珍しがって参会する者が多かった。 博士たちが晴れがましがって気おくれもしそうである。 「遠慮をせずに定《きま》りどおりに厳格にやってください」 と源氏から言われたので、しいて冷静な態度を見せて、 借り物の衣裳《いしょう》の身に合わぬのも恥じずに、 顔つき、声づかいに学者の衒気《げんき》を見せて、 座にずっと並んでついたのははなはだ異様であった。 若い役人などは笑いがおさえられないふうである。 しかもこれは笑いやすいふうではない、 落ち着いた人が 酒瓶《しゅへい》の役に…

  • 【源氏物語650 第21帖 乙女5】大宮は、源氏の言うことが もっともだと思いつつも夕霧を不憫に思う。源氏は、父を恨めしく思う夕霧を 可愛いくて仕方ないという目で見ている。

    源氏が言うのを、聞いておいでになった宮は 歎息《たんそく》をあそばしながら、 「ごもっともなお話だと思いますがね、 右大将などもあまりに変わったお好みだと不審がりますし、 子供もね、残念なようで、 大将や左衛門督《さえもんのかみ》などの息子の、 自分よりも低いもののように見下しておりました者の位階が 皆上へ上へと進んで行きますのに、 自分は浅葱《あさぎ》の袍《ほう》を着ていねばならないのを つらく思うふうですからね。私はそれがかわいそうなのでした」 とお言いになる。 「大人らしく父を恨んでいるのでございますね。 どうでしょう、こんな小さい人が」 源氏はかわいくてならぬと思うふうで子を見ていた。…

  • 【源氏物語649 第21帖 乙女4】源氏は夕霧を大学に入れ学問をさせることにした。自家の勢力に慢心せず、将来の国家の柱石たる教養を受けておくことが大切であること。親としての考えを大宮に話す。

    「ただ今わざわざ低い位に置いてみる必要もないようですが、 私は考えていることがございまして、 大学の課程を踏ませようと思うのでございます。 ここ二、三年をまだ元服以前とみなしていてよかろうと存じます。 朝廷の御用の勤まる人間になりますれば 自然に出世はして行くことと存じます。 私は宮中に育ちまして、 世間知らずに御前で教養されたものでございますから、 陛下おみずから師になってくだすったのですが、 やはり刻苦精励を体験いたしませんでしたから、 詩を作りますことにも素養の不足を感じたり、 音楽をいたしますにも音《ね》足らずな気持ちを 痛感したりいたしました。 つまらぬ親にまさった子は自然に任せてお…

  • 【 平家物語29 第2巻 西光被斬④〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷

    まもなく、陰謀の一味の面々、 近江中将入道蓮浄、法勝寺執行俊寛僧都、山城守基兼、 式部大輔雅綱、平判官康頼、宗判官信房、新平判官資行らが、 続々と捕えられて、西八条に連行されてきた。 一味うたるの報に、 西光法師は、もちろん、陰謀のばれた事を覚ると、 馬に鞭をあて、矢庭に院の御所へ急いだ。 しかし、それも道を固める平家の侍達に、 たちまち捕ってしまった。 「西八条のお召しじゃ、早く参れ」 と西光の囲りを取り囲むと、 この時に及んでも大胆な西光は、 「どうしても申上げねばならぬことがあって院の御所に行くところだ、 帰りに西八条に寄るからそのように申せ」 と人を喰ったことを言う。 「何と不敵な男だ…

  • 【平家物語28 第2巻 西光被斬③〈さいこうがきられ〉〜The Tale of the Heike🪷

    翌くる六月一日の未明、清盛は、 検非違使安倍資成《けびいしあべのすけなり》を召し、 院の御所への使いを命じた。 資成は御所に着くと、 大膳大夫信業《だいぜんのだいふのぶなり》を呼んで清盛の伝言を、 法皇に伝えてくれるように頼んだ。 「わが君の仰有《おっしゃ》るには、 法皇側近の方々が、 平家一門を滅して天下を乱そうという計画をお持ちとききました。 こちらとしても捨てては置かれませんから、 一人一人召し捕え、いい様に処分するつもりでいますが、 その点あらかじめご了承下さって、 何卒ご妨害などしないで頂きたいのです」 信業もこの知らせにひどく、どぎまぎしながら、 「暫くお待ちを、唯今、法皇にお取次…

  • 【源氏物語648 第21帖 乙女3】源氏の若君 夕霧が元服の式を挙げた。大変華やかな祝い事であったが、源氏は考えがあり夕霧は六位の浅葱の袍《ほう》を着せた。大宮は言語道断だとお嘆きになった。

    第21帖 乙女3です🪻 故太政大臣家で生まれた源氏の若君の 元服の式を上げる用意がされていて、 源氏は二条の院で行なわせたく思うのであったが、 祖母の宮が御覧になりたく思召すのがもっともで、 そうしたことはお気の毒に思われて、 やはり今までお育てになった宮の御殿でその式をした。 右大将を始め伯父君《おじぎみ》たちが 皆りっぱな顕官になっていて勢力のある人たちであったから、 母方の親戚からの祝品その他の贈り物もおびただしかった。 かねてから京じゅうの騒ぎになるほど 華美な祝い事になったのである。 初めから四位にしようと源氏は思ってもいたことであったし、 世間もそう見ていたが、まだきわめて小さい子…

  • 【平家物語26 第2巻 西光被斬②〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷

    額に汗をみなぎらせ、真蒼《まっさお》な顔に息使いも荒く、 西八条の邸に入ってきた行綱に、 家来達も驚いて、早速、清盛の所に知らせた。 「何、行綱だと? めったに来もしない奴が、 又何でこんな夜中にやって来たんだ? とにかくおそいから、わしは逢わん、 盛国《もりくに》、お前が、言伝てを聞いてこい」 清盛は傍らの主馬判官《しゅめのはんがん》盛国にいった。 暫くして盛国が戻ってきて、 「何か、直《じ》きじき、お話したいとか」 「直きじきだと? 一体何だろう?」 さすがに清盛も、行綱の唯ならぬ様子に、 何事か起ったのかと、不安になってきて、 自分で渡殿《わたどの》の中門まで出てきた。 「この夜更けに、…

  • 【平家物語26 第2巻 西光被斬①〈さいこうがきられ〉】〜The Tale of the Heike🪷

    山門の衆徒が、前座主《ざす》の流罪を妨害して、 山へ連れ戻した知らせは、後白河法皇をひどく怒らせた。 「山門の大衆どもは、勅命を何と心得えて、 このように言語道断のことをするのだろうか?」 側に侍《はべ》っていた西光法師も、 前座主帰山の知らせに何か手をうたなくてはと、 考えていた矢先だから、ここぞとばかり、一ひざ進めると、 「山門の奴らの横暴な振舞は今に始った事ではございませぬが、 此度は又以ての他の狼藉《ろうぜき》振り、 これは余程、厳重な処分をいたさねば、 後々までも禍恨は絶たれぬものと思います」 したり顔に申し上げた。 とにかく讒臣《ざんしん》は国を乱すということわざがあるが、 西光ら…

  • 平家物語25 第2巻 座主流し③〈ざすながし〉〜The Tale of the Heike🪷

    驚いたのは、明雲大僧正である。 元々、道理一点ばりの人だからここに及んでも、 喜ぶより先に、この事件の行末を気にかけていた。 「私は、法皇の勅勘を受けて流される罪人なのですから、 少しも早く、都の内を追い出されて、 先を急がねばならぬ身です。 お志は有難いが、貴方方に迷惑はかけたくない、 早くお引き取り下さい」 と言う。 しかし、このくらいで引き下る衆徒ではない。 何が何でも山に戻って貰わねば、 山の名誉にもかかわるとばかり、座主の決意を促した。 「家を出て山門に入ってからというもの、 専ら、国家の平和を祈り、 衆徒の皆さんをも大切にしてきたつもりですし、 我が身にあやまちがあろうとは思われず…

  • 平家物語24 第2巻 座主流し②〈ざすながし〉〜The Tale of the Heike🪷

    この明雲大僧正は、 久我大納言顕通《こがのだいなごんあきみち》の子で、 仁安《にんあん》元年座主となり、 当時天下第一と言われる程の智識と高徳を備えた人で、 上からも下からも、尊敬されていた人だったが、 ある時、陰陽師《おんようし》の安倍泰親《あべのやすちか》が、 「これ程、智識のある人にしては不思議だが、 明雲の名は、上に日月、下に雲と、 行末の思いやられるお名前だ」 といったことがあったが、今になってみると、 その言葉もある程度うなずけるものがある。 二十一日は、座主の京都追放の日であった。 執行役人に追い立てられながら、 座主は泣くなく京をあとにして、 一先ず、一切経谷にある草庵に入った…

  • 【源氏物語647 第21帖 乙女2】朝顔の姫君と源氏との結婚は 皆が望んでいることであったが、姫君は、結婚をしようとは思わない。

    「源氏の君というと、いつも美しい少年が思われるのだけれど、 こんなに大人らしい親切を見せてくださる。 顔がきれいな上に心までも並みの人に違ってでき上がっているのだね」 とおほめになるのを、若い女房らは笑っていた。 西の女王とお逢いになる時には、 「源氏の大臣から熱心に結婚が申し込まれていらっしゃるのだったら、 いいじゃありませんかね、今はじめての話ではなし、 ずっと以前からのことなのですからね、 お亡くなりになった宮様もあなたが斎院におなりになった時に、 結婚がせられなくなったことで失望をなすってね、 以前宮様がそれを実行しようとなすった時に、 あなたの気の進まなかったことで、 話をそのままに…

  • 【源氏物語646 第21帖 乙女1】源氏は、禊の日に手紙を藤の花につけて朝顔の姫君に届ける。源氏は何かにつけ 宮家に物質的に御補助をする。

    春になって女院の御一周年が過ぎ、 官人が喪服を脱いだのに続いて四月の更衣期になったから、 はなやかな空気の満ち渡った初夏であったが、 前斎院はなお寂しくつれづれな日を送っておいでになった。 庭の桂《かつら》の木の若葉がたてるにおいにも若い女房たちは、 宮の御在職中の加茂の院の祭りのころのことを恋しがった。 源氏から、神の御禊《みそぎ》の日も ただ今はお静かでしょうという挨拶を持った使いが来た。 今日こんなことを思いました。 かけきやは 川瀬の波も たちかへり 君が御禊《みそぎ》の 藤《ふぢ》のやつれを 紫の紙に書いた正しい立文《たてぶみ》の形の手紙が 藤の花の枝につけられてあった。 斎院はもの…

  • 【平家物語 第2巻🪷】平家物語23 座主流し〈ざすながし〉〜

    治承元年五月五日、叡山の座主、明雲《めいうん》大僧正は、 宮中の出入りを差しとめられた。 同時に、天皇平安の祈りを捧げるために預っていた、 如意輪観音《にょいりんかんのん》の本尊も取上げられた。 更に検非違使庁《けびいしのちょう》を通じて、 神輿を振り上げて、 都へ押し寄せた張本人を摘発せよという命令もきていた。‥ 【ふるさと納税】KABUTO MKA-06(五月人形)価格: 535000 円楽天で詳細を見る 【ふるさと納税】KABUTO MKA-07(五月人形)価格: 570000 円楽天で詳細を見る

  • 【平家物語23 第2巻 座主流し①〈ざすながし〉】〜The Tale of the Heike🪷

    治承元年五月五日、叡山の座主〈ざす〉、明雲《めいうん》大僧正は、 宮中の出入りを差しとめられた。 同時に、天皇平安の祈りを捧げるために預っていた、 如意輪観音《にょいりんかんのん》の本尊も取上げられた。 更に検非違使庁《けびいしのちょう》を通じて、 神輿を振り上げて、 都へ押し寄せた張本人を摘発せよという命令もきていた。 こうした、矢次ぎ早の朝廷の強硬策は、 先の京の大火事に原因と理由があったろうが、 もう一つには、とかく、法皇の信任厚い西光《さいこう》法師が、 あることないこと、山門の不利になることばかりを、 後白河法皇に告げ口したためであった。 そのため、法皇は、ひどく山門に対する心証を害…

  • 【源氏物語645 第20帖 朝顔27 完】藤壺の中宮を恋しく思いながら眠りにつくと、藤壺の宮の面影が見えた。お恨めしいふうで「恋の過ちが知れてしまい恥ずかしく苦しい思いをしています」とお言いになる。

    月はいよいよ澄んで美しい。夫人が、 氷とぢ 岩間の水は 行き悩み 空澄む月の 影ぞ流るる と言いながら、外を見るために少し傾けた顔が美しかった。 髪の性質《たち》、顔だちが恋しい故人の宮にそっくりな気がして、 源氏はうれしかった。 少し外に分けられていた心も取り返されるものと思われた。 鴛鴦《おしどり》の鳴いているのを聞いて、 源氏は、 かきつめて 昔恋しき 雪もよに 哀れを添ふる 鴛鴦《をし》のうきねか と言っていた。 寝室にはいってからも 源氏は中宮の御事を恋しく思いながら眠りについたのであったが、 夢のようにでもなくほのかに宮の面影が見えた。 非常にお恨めしいふうで、 「あんなに秘密を守…

  • 【平家物語21 第1巻 神輿振〈みこしぶり〉】〜 The Tale of the Heike🪷

    加賀守師高、目代師経の断罪を度々叫び続けていたのにも拘らず、 一向に沙汰のないのにしびれを切らした山門の僧兵達は、 再び実力で、事を処理する決心を固めた。 折柄行われる予定の日吉《ひえ》の祭礼をとりやめると、 安元《あんげん》三年四月、御輿を陣頭に京へくり出して来た。 賀茂の河原から、法成寺《ほうじょうじ》の一角に兵をくり出し、 御所を東北から囲む体形で迫ってきた。 京の街々辻々には、 坊主、神官、その他、各寺、神社に仕える者達がはしくれに至るまで、 都大路をぎっしり埋めていた。 神輿は、折柄の朝日を受けて、輝くばかりのきらびやかさで、 人目をうばうばかりである。 事に驚いた朝廷側からは、 早…

  • 【平家物語22 第1巻 内裏炎上〈だいりえんじょう〉1巻 完】〜The Tale of the Heike🪷

    僧兵の引揚げた後、取り残された神輿について、 俄かに、公卿会議が開かれた。 とにかく、いささか、不気味なお土産《みやげ》だけに、 いくたの論議が繰り返されたが、 結局、保延《ほうえん》四年神輿入洛《じゅらく》の前例にならって、 祇園の神社に奉置することに話が決まり、 夕刻を選んで、祇園別当、澄憲《ちょうけん》の手で、 祇園の社に入った。 神輿に突き刺った矢は神官が抜いた。 昔から、山門の僧兵を先頭に、 都に押しかけたことは、何度かあったが、 今度のように、神輿に矢が当ったのは始めてのことであった。 それだけに、一般の庶民はもちろん、 殿上人の中にも山王の祟りを恐れて、 戦々兢々《せんせんきょう…

  • 【源氏物語644 第20帖 朝顔26】源氏は、紫の上に女君達について話す。朧月夜の尚侍、明石の上、東の院の女君‥こんな話をしながら夜はふけていった。

    「尚侍《ないしのかみ》は 貴婦人の資格を十分に備えておいでになる、 軽佻《けいちょう》な気などは 少しもお見えにならないような方だのに、 あんなことのあったのが、私は不思議でならない」 「そうですよ。艶《えん》な美しい女の例には、 今でもむろん引かねばならない人ですよ。 そんなことを思うと自分のしたことで 人をそこなった後悔が起こってきてならない。 まして多情な生活をしては年が行ったあとで どんなに後悔することが多いだろう。 人ほど軽率なことはしないでいる男だと思っていた 私でさえこうだから」 源氏は尚侍の話をする時にも涙を少しこぼした。 「あなたが眼中にも置かないように軽蔑している山荘の女は…

  • 【平家物語20 第1巻 願立②〈がんだて〉】〜The Tale of the Heike🪷

    藤原氏の専横を抑え、院政の始りを開いた程の、 豪気な帝であった故白河院が、 「賀茂川の水、双六《すごろく》の骰《さい》、 比叡の山法師、これだけは、いかな私でも手に負えない」 といって嘆いたという話がある。 山門の横暴振りは他にも伝わっている。 鳥羽院の時、白山平泉寺《はくさんへいせんじ》を比叡山が、 しきりに欲しがったことがあった。 余り無理な願いであったから、あわや、却下と思われたが、 大江匡房《おおえのまさふさ》が、 法皇を諫《いさ》めて、 「お断りになってもようございますが、 もしも、山門の僧兵共が、神輿《みこし》を先頭に攻めてきたら、 いかがなさいますか、面倒な事になるかも知れません…

  • 【平家物語19 第1巻 願立〈がんだて〉】〜The Tale of the Heike🪷

    藤原氏の専横を抑え、院政の始りを開いた程の、 豪気な帝であった故白河院が、 「賀茂川の水、双六《すごろく》の骰《さい》、 比叡の山法師、これだけは、いかな私でも手に負えない」 といって嘆いたという話がある。 山門の横暴振りは他にも伝わっている。 鳥羽院の時、白山平泉寺《はくさんへいせんじ》を比叡山が、 しきりに欲しがったことがあった。 余り無理な願いであったから、あわや、却下と思われたが、 大江匡房《おおえのまさふさ》が、 法皇を諫《いさ》めて、 「お断りになってもようございますが、 もしも、山門の僧兵共が、神輿《みこし》を先頭に攻めてきたら、 いかがなさいますか、面倒な事になるかも知れません…

  • 【平家物語18 第1巻 鵜川の戦〈うかわのいくさ〉】〜The Tale of the Heike🪷

    安元《あんげん》三年三月五日、 藤原師長《もろなが》は太政大臣、 その後を重盛が襲って内大臣に任命された。 当然内大臣になるべき、 大納言 定房《さだふさ》を越えての栄進であった。 ところで話は二年程さかのぼって安元元年 加賀守《かがのかみ》に任ぜられた師高《もろたか》という男があった。 彼は例の西光の息子である。 この男、人を人とも思わぬ暴君で、 加賀国一円に暴政の限りをつくし、 悪評ふんぷんたるものがあった。 ところでこの弟の師経《もろつね》が、 又兄貴に輪をかけたような乱暴者で、 加賀の代官に任ぜられた時、 鵜川という山寺で、 僧侶がお湯を沸かして浴びていたのをみつけると、 あっというま…

  • 【源氏物語643 第20帖 朝顔25】紫の上に、藤壺の中宮は、気高く柔らかく完全な貴女であったと話す。また朝顔の姫君については、敬意の払われる友人として手紙をかく交際相手という。

    「昔 中宮がお庭に雪の山をお作らせになったことがある。 だれもすることだけれど、 その場合に非常にしっくりと合ったことをなさる方だった。 どんな時にもあの方がおいでになったらと、 残念に思われることが多い。 私などに対して法《のり》を越えた御待遇はなさらなかったから、 細かなことは拝見する機会もなかったが、 さすがに尊敬している私を信用はしていてくだすった。 私は何かのことがあると歌などを差し上げたが、 文学的に見て優秀なお返事でないが、 見識があるというよさはおありになって、 お言いになることが皆深みのあるものだった。 あれほど完全な貴女《きじょ》がほかにもあるとは思われない。 柔らかに弱々…

  • 【平家物語17 第1巻 鹿ケ谷〈ししがたに〉②】〜The Tale of the Heike🪷

    ところで、成親と、動機こそ違え、志を同じくする者は、 まだ幾人かあった。 彼らがいつも好んで寄り集りの場所にしたのは、鹿ヶ谷にある、 これも同志の一人 俊寛《しゅんかん》の山荘である。 ここは、東山のふもとにあり、 後は三井寺に続いた、要害堅固なところで、 こういった陰謀を企むには、まさにもってこいの場所だったのである。 ある晩、後白河院が、お忍びでここにお出でになり、 話がいつか、平家に対する不満から次第に、 平家を葬る具体的な話になりそうになってきた。 後白河院のお供で席に連っていた浄憲法印《じょうけんほういん》は 思慮深い男であったから、 「まだこの種の話し合いはすべきではない。 それに…

  • 【源氏物語642 第20帖 朝顔24】美しい月の夜。源氏は御簾をあげ 童女を庭へおろして雪まろげをさせた。童女たちが、子どもらしく走り回ったり、雪玉を作ったりする。

    雪のたくさん積もった上になお雪が降っていて、 松と竹がおもしろく変わった個性を見せている夕暮れ時で、 人の美貌《びぼう》もことさら光るように思われた。 「春がよくなったり、秋がよくなったり、 始終人の好みの変わる中で、 私は冬の澄んだ月が雪の上にさした無色の風景が 身に沁《し》んで好きに思われる。 そんな時にはこの世界のほかの大世界までが想像されて これが人間の感じる極致の境だという気もするのに、 すさまじいものに冬の月を言ったりする人の浅薄さが思われる」 源氏はこんなことを言いながら御簾《みす》を巻き上げさせた。 月光が明るく地に落ちてすべての世界が白く見える中に、 植え込みの灌木類の押しつ…

  • 【平家物語16 第1巻 鹿ケ谷①〈ししがたに〉】〜The Tale of the Heike🪷

    思い掛けぬ出来事があって、天皇元服の決め事も伸びのびになっていたが、 二十五日に無事に行われた。 基房は、太政大臣に昇任したが、 何となく割り切れない昇級でもあった。 年も明けて、嘉応三年正月、無事に元服が済み、 清盛の娘の徳子(後の建礼門院)が十五歳で女御になった。 内大臣、左大将、藤原|師長《もろなが》が、左大将を辞任した。 この顕職の後釜《あとがま》をねらって、 猛烈な就職運動が始ったのである。 即ち、徳大寺大納言実定《とくだいじのだいなごんじってい》、 花山院中納言兼雅《かざんいんのちゅうなごんかねまさ》、 新大納言成親《しんだいなごんなりちか》(故中御門藤中納言家成の三男) の三人が…

  • 【源氏物語641 第20帖 朝顔23】紫の上の機嫌をとる。優しく妻の髪を直したりして源氏はいるのであったが、夫人はいよいよ顔を向こうへやってしまって何も言わない。

    「女院がお崩《かく》れになってから、 陛下が寂しそうにばかりしておいでになるのが心苦しいことだし、 太政大臣が現在では欠けているのだから、 政務は皆私が見なければならなくて、 多忙なために家《うち》へ帰らない時の多いのを、 あなたから言えば例のなかったことで、 寂しく思うのももっともだけれど、 ほんとうはもうあなたの不安がることは何もありませんよ。 安心しておいでなさい。 大人になったけれどまだ少女のように思いやりもできず、 私を信じることもできない、可憐なばかりのあなたなのだろう」 などと言いながら、 優しく妻の髪を直したりして源氏はいるのであったが、 夫人はいよいよ顔を向こうへやってしまっ…

  • 源氏は宮に手紙を送る。宮は悲しみが募る【源氏物語 171 第九帖 葵44】左大臣は女房達に故人の愛した手まわりの品、衣類などを分ける

    大臣は女房たちに、身分や年功で差をつけて、 故人の愛した手まわりの品、 それから衣類などを、目に立つほどにはしないで上品に分けてやった。 源氏はこうした籠居《こもりい》を続けていられないことを思って、 院の御所へ今日は伺うことにした。 車の用意がされて、前駆の者が集まって来た時分に、 この家の人々と源氏の別れを同情してこぼす涙のような 時雨《しぐれ》が降りそそいだ。 木の葉をさっと散らす風も吹いていた。 源氏の居間にいた女房は非常に皆心細く思って、 夫人の死から日がたって、 少し忘れていた涙をまた滝のように流していた。 今夜から二条の院に源氏の泊まることを予期して、 家従や侍はそちらで主人を迎…

  • 【平家物語15 第1巻 殿下の乗合〈でんかの のりあい〉〜The Tale of the Heike🪷

    嘉応《かおう》元年七月十六日、後白河院が出家された。といっても、今まで通り、政務は、続けられていたから、別に変りはなかった。益々わがまま一方になる平家のやり口については、心の内で、何かとご不満を感じていられた様子だったが、それを公けにされたわけでもなく、 平家の方でも当らず、さわらずといった態度で、 表面は、何事もない平和な日が過ぎていった。 が、事件は、思いがけないところから、口火を発することになった。 重盛の次男で、新三位《しんさんみの》中将 資盛《すけもり》は、 まだ十三の腕白坊主だが、年は若くても、 良い星の下に生れたおかげで、身分は高く、 したい放題の事をしても、誰もとがめるものがい…

  • 【源氏物語640 第20帖 朝顔22】源氏が二条の院に寝ない夜も多くなったのを夫人は恨めしがっていた。悲しみをおさえる力も尽きることがあるわけである。源氏の前で涙のこぼれることもあった。

    源氏はあながちにあせって結婚がしたいのではなかったが、 恋人の冷淡なのに負けてしまうのが残念でならなかった。 今日の源氏は最上の運に恵まれてはいるが、 昔よりはいろいろなことに経験を積んできていて、 今さら恋愛に没頭することの不可なことも、 世間から受ける批難も知っていながらしていることで、 これが成功しなければいよいよ不名誉であると信じて、 二条の院に寝ない夜も多くなったのを夫人は恨めしがっていた。 悲しみをおさえる力も尽きることがあるわけである。 源氏の前で涙のこぼれることもあった。 「なぜ機嫌《きげん》を悪くしているのですか、 理由《わけ》がわからない」 と言いながら、額髪《ひたいがみ》…

  • 平家物語🌊 インデックス

    祇園精舎《ぎおんしょうじゃ》の鐘の声、 諸行無常の響《ひびき》あり。 娑羅双樹《しゃらそうじゅ》の花の色、 盛者《しょうじゃ》必衰の理《ことわり》をあらわす。 おごれる人も久しからず、唯、春の夜の夢のごとし。 猛《たけ》きものもついにはほろびぬ、 偏《ひとえ》に風の前の塵《ちり》に同じ。 【ふるさと納税】能面ギャラリー(至寶館)と工房での能面鑑賞・簡単能楽講座・能面作成見学と体験【1374552】価格: 37000 円楽天で詳細を見る 【ふるさと納税】能楽師による能装束着附け&能舞台の上で写真撮影 ふるさと 納税 楽天ふるさと 神奈川県 神奈川 鎌倉市 鎌倉 支援品 返礼品 返礼 体験 ア…

  • 【平家物語14 第1巻 東宮立(とうぐうだち)】〜The Tale of the Heike🪷

    その年は喪中のため即位の行事も取やめになったが、暮の二十四日、東の御方、建春門院《けんしゅんもんいん》の腹になる、後白河院の皇子に親王の宣旨《せんじ》があり、明けて、年号が変って仁安《にんあん》となった。この年の十月、この皇子が東宮になられたが、何と東宮は伯父《おじ》で六歳、天皇が甥《おい》で三歳という、全く政権争いの格好な道具でしかなかったのだ。 仁安三年には、この天皇が位を伯父の東宮に譲り、新院になった。新院は五つ、天皇は八つ、西も東もわからない、いたいけな幼児たちは、この頽廃《たいはい》した院政の、最も大きな犠牲者だったのである。 というのも、新しく即位した高倉《たかくら》天皇の母は平家…

  • 【源氏物語639 第20帖 朝顔21】朝顔の姫君は、友情で書かれた手紙には友情でむくいることにして、御自身は神に奉仕していた間怠っていた仏勤めを、取り返しうるほどできる尼になりたいとお思いになった。

    友情で書かれた手紙には友情で酬《むく》いることにして、 源氏が来れば人づてで話す程度のことにしたいとお思いになって、 御自身は神に奉仕していた間怠っていた仏勤めを、 取り返しうるほど 十分にできる尼になりたいとも願っておいでになるのであるが、 この際にわかにそうしたことをするのも源氏へ済まない、 反抗的の行為であるとも必ず言われるであろうと、 世間が作る噂というものの苦しさを経験されたお心からお思いになった。 女房たちが源氏に買収されてどんな行為をするかもしれぬという懸念から 女王はその人たちに対してもお気をお許しにならなかった。 そして追い追い宗教的な生活へ進んでお行きになるのであった。 女…

  • 源氏物語 第21帖 乙女 〈おとめ〉

    光源氏33歳の夏から35歳冬の話。 源氏の息子夕霧が、12歳で元服を迎えた。 しかし源氏は夕霧を敢えて優遇せず、六位にとどめて大学に入れた。 同じ年、源氏の養女斎宮女御が冷泉帝の中宮に立后する。 源氏は太政大臣に、右大将(頭中将)は内大臣になった。 立后争いで源氏に敗れた内大臣は、 大宮に預けている次女雲居の雁を東宮妃にと期待をかけるが、 彼女は共に育った幼馴染の従兄弟・夕霧と密かに恋仲になっていた。 これを知った内大臣は激怒し、雲居の雁を自らの邸に引き取ると宣言。 大宮を嘆かせる。 邸への引越し当日。 諦め切れない夕霧は密かに、雲居の雁へ逢いに行く。 涙ながらに別れを惜しむ二人。 そこへ女房…

  • 【平家物語13 第1巻 清水炎上〈きよみずえんじょう〉】〜The Tale of the Heike🪷

    二条帝の葬儀の際の、興福寺と延暦寺の争いは比叡山の僧兵が、 大挙して山を下るという噂《うわさ》が拡がった。 この時誰がいい出したのか、 「何でも、後白河院が、平家追討を叡山の坊主に申付けられたって話だぞ」 といったたぐいの噂が、まことしやかに、 人の口から口へと語り継がれていった。 慌《あわ》てた平家方は、御所の囲りをがんじがらめに警戒し、 一門は六波羅に集って、善後策を協議することになった。 慌てたのは、後白河院も同じである。 日頃から、平家の専横を快く思っていないだけに、 アリバイが危いとばかり、早速、車をとばして、 これも又六波羅へかけつけた。 何が何だかわからないから、清盛も不安で仕方…

  • 【平家物語12 第1巻 額打論〈がくうちろん〉】〜The Tale of the Heike🪷

    永万《えいまん》元年の春頃から、 病みつき勝ちだった天皇の容態が急変し、 六月には、 大蔵大輔伊岐兼盛《おおくらのたいふいきのかねもり》の娘に生ませた 第一皇子に位を譲られた。 間もなく七月、二十三歳という若さで世を去った。 時に新天皇は二歳という幼な児であった。 天皇の葬儀の夜、一寸《ちょっと》した争い事が起った。 元々、天皇崩御の儀式として、奈良、京都の僧侶がお供をして、 墓所の廻りに額《がく》を打つ習慣があった。 それも順序が決っていて、 第一が、奈良東大寺《ならとうだいじ》、次が興福寺《こうふくじ》、 延暦寺《えんりゃくじ》という順で、代々守られてきたのである。 ところがこの日、何を思…

  • 【源氏物語637 第20帖 朝顔19】月が出て淡い雪の光といっしょになった夜の色が美しかった。源氏は、真剣なふうに恋を訴える。朝顔の姫君は年を重ねた今になって結婚は考えられないと思う。

    西のほうはもう格子が下《お》ろしてあったが、 迷惑がるように思われてはと斟酌《しんしゃく》して 一間二間はそのままにしてあった。 月が出て淡い雪の光といっしょになった夜の色が美しかった。 今夜は真剣なふうに恋を訴える源氏であった。 「ただ一言、 それは私を憎むということでも御自身のお口から聞かせてください。 私はそれだけをしていただいただけで満足してあきらめようと思います」 熱情を見せてこう言うが、 女王《にょおう》は、自分も源氏もまだ若かった日、 源氏が今日のような複雑な係累もなくて、 どんなことも若さの咎《とが》で済む時代にも、 父宮などの希望された源氏との結婚問題を、 自分はその気になれ…

  • 【源氏物語636 第20帖 朝顔18】儚いのが人生であるからと源氏は思いながらも、源典侍が長生きをして 気楽に仏勤めして暮らしているのも仏のお教えになったこの世の相であると感じてしんみりとした。

    「あのころのことは皆昔話になって、 思い出してさえあまりに今と遠くて心細くなるばかりなのですが、 うれしい方がおいでになりましたね。 『親なしに臥《ふ》せる旅人』と思ってください」 と言いながら、御簾のほうへからだを寄せる源氏に、 典侍《ないしのすけ》はいっそう昔が帰って来た気がして、 今も好色女らしく、 歯の少なくなった曲がった口もとも想像される声で、 甘えかかろうとしていた。 「とうとうこんなになってしまったじゃありませんか」 などとおくめんなしに言う。 今はじめて老衰にあったような口ぶりであるとおかしく源氏は思いながらも、 一面では哀れなことに予期もせず触れた気もした。 この女が若盛りの…

  • 【平家物語11 第1巻 二代の后〈きさき〉】〜The Tale of the Heike🌺

    とかく戦乱がうち続き、世の中が騒然としてくると、 倫理とか、道徳といったものが、無視されがちである。 平家一門の栄耀栄華《えいようえいが》の陰には、 敗戦の不運に泣く源氏の将兵があり、 又、天皇と上皇は、 互にけんせいし合いながら、政権をねらうという、 不穏な空気が時代を支配していた。 ところで大ていのことには驚かなくなっていた人々が、 こればかりはと眉をひそめた話がある。 故近衛院《このえのいん》の后《きさき》、 太皇大后宮《たいこうたいこうぐう》と呼ばれる女性が話題の人である。 右大臣公能《うだいじんきんよし》の娘で、 天下第一と言われる程の美貌の持主であった。 先帝の死去の後は、近衛川原…

  • 【平家物語9 第1巻 妓王④完〈ぎおう〉】〜The Tale of the Heike🪷

    仏《ほとけ》も昔は凡夫なり 我等も遂には仏なり。 何《いず》れも仏性《ぶっしょう》具《ぐ》せる身を 隔《へだ》つるのみこそ悲しけれ。 俗謡《ぞくよう》に事よせて、切々と歌い続ける妓王の姿は、 並みいる人の涙をそそるものがあった。 清盛も少しは気の毒に思ったらしく、 ねぎらいの言葉を与えて家へ帰した。 我が家に帰りつくと妓王は又さめざめと涙を流しながら、 こんな生き恥をさらしているより死んだ方がよっぽど良いと 母の膝によりすがって、かき口説《くど》く。 妹の妓女も、姉が死ぬならと、暗に、自殺をほのめかす。 年老いた母一人が、おろおろしながら、二人の短慮を戒めて、 もう一度考え直させようとする。 …

  • 【源氏物語635 第20帖朝顔17】五の宮様のお居間から退出した源氏。その時に 尼になって女五の宮のお弟子分でお仕えしている源典侍に会う。今でも息災であったことに驚く。

    源氏はまず宮のお居間のほうで例のように話していたが、 昔話の取りとめもないようなのが長く続いて 源氏は眠くなるばかりであった。 宮もあくびをあそばして、 「私は宵惑《よいまど》いなものですから、 お話がもうできないのですよ」 とお言いになったかと思うと、 鼾《いびき》という源氏に馴染《なじみ》の少ない音が聞こえだしてきた。 源氏は内心に喜びながら宮のお居間を辞して出ようとすると、 また一人の老人らしい咳をしながら御簾《みす》ぎわに寄って来る人があった。 「もったいないことですが、 ご存じのはずと思っておりますものの私の存在を とっくにお忘れになっていらっしゃるようでございますから、 私のほうか…

  • 【平家物語9 第1巻 妓王③(ぎおう)】〜The Tale of the Heike💐

    別れるとき、妓王は、居間の障子に一首の歌をかきつけた。 もえ出るもかるるも同じ野辺の草 いずれか秋にあわではつべき 今は得意絶頂の仏さま、 貴女《あなた》だっていつ何時、 私みたいなことにはなりかねないかも知れませんよ。 それは、妓王の精一杯の無言の抗議だったのである。 妓王が西八条からはなれたことはたちまち、京都中に知れ渡った。 毎月欠かさず母の許に送られてきた、手当金もぱったり途絶えた。 そして今は仏御前の親類縁者たちが、 莫大《ばくだい》な仕送りで生活しているという噂がひろがっていた。 清盛の寵姫であったあいだは、 高嶺《たかね》の花よと諦めていた妓王が、 一度び市井《しせい》の人間にな…

  • 【平家物語8第1巻 妓王②】〜The Tale of the Heike🌹

    邸を出ようとしていた仏は、たちまち呼び返されて、 清盛の前に連れて来られた。逢ってみると、 何せ、今をときめく白拍子である。 年は若いし、器量は良いし、その上、持ち前の度胸のよさで、 清盛の前に出ても、ハキハキと受け答えする様子が、 いかにも溌剌《はつらつ》としていて、 かつてない新鮮な色気を感じさせる。 「今様《いまよう》でも歌ってみろ」 といわれれば、 「殿に逢えた嬉しさに、私の命も伸びるでしょう」 と、臆する色もなく、受け答えをしてから、 目出度い歌を口ずさむ機転の良さに、 清盛の気持も次第に和《なご》やかになってきた。 「歌がうまいのなら、舞うのもうまそうだな、一つみせてくれないか。 …

  • 【源氏物語 634 第20帖 朝顔16】お屋敷の門は錆びていて なかなか開かない。物の錆びたことに時の流れを感じる。仮の世の執着が離れず、人に心の惹かれることのやむ時がない自分であると源氏は恥じた。

    桃園のお邸《やしき》は北側にある普通の人の出入りする門をはいるのは 自重の足りないことに見られると思って、 西の大門から人をやって案内を申し入れた。 こんな天気になったから、 先触れはあっても源氏は出かけて来ないであろうと 宮は思っておいでになったのであるから、 驚いて大門をおあけさせになるのであった。 出て来た門番の侍が寒そうな姿で、 背中がぞっとするというふうをして、 門の扉をかたかたといわせているが、 これ以外の侍はいないらしい。 「ひどく錠が錆《さ》びていてあきません」 とこぼすのを、源氏は身に沁《し》んで聞いていた。 宮のお若いころ、 自身の生まれたころを源氏が考えてみるとそれはもう…

  • 平家物語7 第1帖 妓王(ぎおう)①〜The Tale of the Heike 🪷 🙇平家物語6ではなく7です🙇‍♀️

    当時、京都には、妓王、妓女《ぎじょ》と呼ばれる、 白拍子《しらびょうし》の、ひときわ衆に抜きん出た姉妹があった。 その母も刀自《とじ》と呼ばれ、昔、白拍子であった。 清盛が目をつけたのは、姉の妓王で、片時も傍を離さずに寵愛していた。 おかげで、母親も妹も、家を建てて貰ったり人にちやほやされて、 結構な暮しをしていた。 白拍子というのは、鳥羽天皇の時代に、男装の麗人が、水干《すいかん》、 立烏帽子《たてえぼし》で舞を舞ったのが始りとされているが、 それがいつか、 水干だけをつけて踊る舞姫たちを白拍子と呼ぶようになったのである。 京の白拍子たちは、玉の輿にのった同性の幸福を羨やんだり、ねたんだり、…

  • 【源氏物語633 第20帖 朝顔15】言い訳をしながら、朝顔の姫のもとを訪ねる準備をする源氏。「立派な方だけれど、恋愛をおやめにならない点が傷だね。御家庭がそれで済むまいと心配だ」と前駆の者も言う。

    喪服の鈍《にび》色ではあるが 濃淡の重なりの艶《えん》な源氏の姿が 雪の光《あかり》でよく見えるのを、 寝ながらのぞいていた夫人はこの姿を見ることも 稀《まれ》な日になったらと思うと悲しかった。 前駆も親しい者ばかりを選んであったが、 「参内する以外の外出はおっくうになった。 桃園の女五《にょご》の宮様は寂しいお一人ぼっちなのだからね、 式部卿の宮がおいでになった間は私もお任せしてしまっていたが、 今では私がたよりだとおっしゃるのでね、 それもごもっともでお気の毒だから」 などと、 前駆を勤める人たちにも言いわけらしく源氏は言っていたが、 「りっぱな方だけれど、恋愛をおやめにならない点が傷だね…

  • 【源氏物語638 第20帖 朝顔20】朝顔の姫君は、好意を見せても源氏の美貌だけを愛していると思われるのは嫌である。源氏を近づけることで この恋を源氏に看破されるのもつらくお思いになるのである。

    「つれなさを 昔に懲りぬ 心こそ 人のつらさに添へてつらけれ 『心づから』 (恋しさも心づからのものなれば置き所なくもてぞ煩ふ)苦しみます」 「あまりにお気の毒でございますから」 と言って、女房らが女王に返歌をされるように勧めた。 「改めて 何かは見えん 人の上に かかりと聞きし 心変はりを 私はそうしたふうに変わっていきません」 と女房が斎院のお言葉を伝えた。 力の抜けた気がしながらも、 言うべきことは言い残して帰って行く源氏は、 自身がみじめに思われてならなかった。 「こんなことは愚かな男の例として 噂《うわさ》にもなりそうなことですから人には言わないでください。 『いさや川』 (犬上《い…

  • 【平家物語 第1巻6 一門の栄華】〜The Tale of the Heike 🪷

    平家一族は、高位、高官の顕職を、ほしいままにし始めた。 一寸見廻しただけでも、長男 重盛《しげもり》は、 内大臣《ないだいじん》兼 左大将《さだいしょう》、 次男 宗盛《むねもり》は、中納言《ちゅうなごん》右大将、 三男|知盛《とももり》が三位《さんみの》中将、 孫の維盛《これもり》が四位《しいの》少将といった具合である。 このほかに数えあげれば、きりがないくらいで、 参議《さんぎ》、大、中納言、三位以上の公卿十六人、殿上人三十余人、 各地の地方官がざっと六十何人という盛況だった。 清盛は、息子のほかに、八人の娘を持っていたが、 これ又、揃いも揃って、権門、貴顕に縁づいている。 即ち、花山院《…

  • 【平家物語 第1巻 5 禿童〈かぶろ〉】〜The Tale of the Heike

    清盛は、五十一歳の時、出家し、浄海《じょうかい》と名乗った。 大病にかかったのが、きっかけで、 さしもの彼も、少しばかり、気が弱くなったらしい。 しかし、たちまち、病は全快、彼はつるつる頭を撫でながら、 「まだ当分生きられるぞ」 といってほくそ笑んだ。 とにかく、平家一族の繁栄振りは、ちょっと類がなかった。 かつての名門の貴族たちにしても、 今では、まともに顔も合せられない有様である。 平家に非ずんば人に非ずといった言葉も、 むしろ当然のように迎えられたし、 六波羅《ろくはら》風と言えば、猫も杓子も、右へならえで、 烏帽子《えぼし》の折り方やら、着つけの仕方まで、 皆が平家一族を真似するのであ…

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