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弌矢
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武蔵野市
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2020/09/14

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  • 夜あけまえあたりまえに一人

    バッハの夢みたあと目覚めている、部屋のなかはエアコンで冷えている、ラジコンの掃除機、買ったのおととい、勝手に動いてるぞおい おいと呼んでも一人の暮らし、甥もできた男やもめだし、だからといっても結婚なんてって感じだし、ろくに漢字も書けないし いまは夜なかのようだった、モニターついたままだった、ベットから立って水分とった、ペットボトルがぺこっと鳴った さっきの夢はG線上のアリア、確かあれはセバスチャン・バッハ、弟家族はオーストラリア、夢解釈でフロイトが手柄オーストリア 金曜日に狙ったあの子のゆくえ、きのうもかんがえていた恋よ叶え、金星に命を祈った救いたまえ、暮れきった夜はあけ

  • けむりの景色の祈り

    我慢できないスモーキングエリア、ドアあけてまた空気の換気、火をつける一本で喚起、けむり竜巻く宙の空間。 変わんねえじゃねえかと吐くけむり、変化あるはずない作用の怒り、触んじゃねえよと再度、警察たちへ見せる反抗、合法じゃねえかと吐いてみせても道の角の駐車場。 静脈に溶かす結晶、それだけに生きた友、それだけで消えたとも、昔がたり言葉で探る、昔々あるところに。 夢などないスモーキングエリア、ドアとじてまだけむりの呼吸一服。火をともす愛情一本、副流煙竜巻く竜の空中。 泣きたくなるじゃねえかとため息、転嫁できない傷心の域、わめくんじゃねえよとつぶやき、神々へあおぐ瞳孔、何が思い出だと吐

  • めくるめくドライヴの彼方に

    ゆくえに向けてにじむ電飾の列、大雨警報のLED、バックライトのレッド、対向車線のヘッド 車道脇に顔を見せて誘う、シャトーをかたどるモーテル、幻の正体はエーテル、路面の鏡の黒に逆さまに映る 海底トンネルへダイヴ、轟々とする内部、ラジオのFMライヴ、同じタイプのタイル並ぶ耐久大壁面 ETCレーン、人のいないレール、高速の霊園はパーキングエリア、例の如く霊に集まる若者たち退屈のため息 グットバイひるがえって走り出す、チェリーパイかじり食って嚥下する、清涼飲料水の化学式、頭に浮かべ式を解く 金払われた高速道路、解き放たれて音速を目指す、向かうゆくさきはまもなく、竜巻く色彩がめくるめく

  • 都下から湾岸まで

    都下マンションの下、眺めやる水色の空にクジラのかたちの飛行、耳に鳴るラジオに彼方の魔法、道路をいけば界隈のみんな、駅まえの池は鏡色のみなも。 中央線から乗り継いで、モノレールのなかボードレールの断章、空港近く、川がそそぐ湾岸の整備の箇所、沙羅がそよぐ湾岸の老人の場所、意外と服がお洒落、だが飲酒して口が駄洒落。 空の彩りは色濃くなっていく、空の旋回は両翼が傾いていく、takefour、低空飛行、上空はよく磨かれた空気でまだ青、信号はよく見つめたら青でなくて緑、歩道と空の道との距離は八〇〇〇メートル。 西に夜が近づいている、東にすでに月がある、天体を祝う祭りをいいだしたのは花巻の昔の

  • 花嫁だけれど

    母親が病死してからも、エマは父親と、千葉の南の森のなかに住んでいた。春に開花する蘭を、海の向こうの横浜まで運ぶ仕事を父親がして、彼女はヨガの講師、兼、ヨガモデルで、動画サイトにも上がっていた。 親子は、この千葉の南からさらに南下した土地にゲストハウスを運営していた。春夏秋冬、その土地で毎年四回開催される祭りにくる客たちをゲストハウスに泊めていた。父親は仕事をやめる歳になったら、そのゲストハウスを改築して、そこで余生をすごすつもりでいる。 エマは三七歳をすぎようとしている。未婚だった。下心でよってくる男たちに嫌気がさし、男性恐怖症寸前にまでなっていた。東京のスタジオでしたヨガモデル

  • センチメンタルなコミューン(fragment 2/2)

    水晶祭りがおこなわれる前日、ゲストにしてスタッフであるぼくとピーターは、コミューンの女の子との三人でローズゼラニウムの精油の瓶詰め作業をロッジでしていた。女の子が精油を瓶に注ぎ、輸出先などをピーターがスマートフォンで調べ、ぼくがその国名をラベルに書き込んでいると、慌ただしい足音がした。女の子は手元から目を離さずに、首を傾げた。扉が勢いあけられた。 乱闘になってるぞ、それもグループ同士の大規模な乱闘が。 扉をあけたところで堰を切ったようにそういったのはコミューン三年目の脱サラ中年男だった。彼は息巻いているが、こちらはローズゼラニウムの香りのなか、落ち着いたまま彼の興奮を聴いていた。

  • センチメンタルなコミューン(fragment 1)

    千葉の南にある太平洋に面した土地で、そのコミューンはできた。若者から中年まで二〇人ほどで組織されていた。 その共同生活のコンセプトは、自然との共存が希薄になって精神の均衡を欠いた人、すなわち都市ノイローゼになった人間の快復を目標に、晴耕雨読の精神を養うこと。らしい。 都市ノイローゼといっても色々だが、とにかく都会の生活で気が変になった人がついでに町おこしも兼ねて共同生活を営むのだった。アメリカ西海岸のヘイト・アシュベリーにおけるヒッピーカルチャー、そのはじまりだった若者や大人たちからもヒントを得ていたこのコミューンでは、作用のある植物やキノコ系菌類も育てられている。 このコミュ

  • 年年歳歳

    いい歳して人にも物にも恵まれて いい歳して若々しい環境の恩恵にもあずかる いい歳しても素晴らしいと思い続けられる いい歳してその音楽の趣味って、え、そこ? いい歳していいひがみはないと知ればいい いい歳してまだ好きな人を思い出す いい歳していい夢みて、いい気分になって それがいい希望ならなおいいと思っていい

  • 年年歳歳

    いい歳して人にも物にも恵まれて いい歳して若々しい環境にも恩恵にあずかる いい歳しても素晴らしいと思い続けられる いい歳してその音楽の趣味って、え、そこ? いい歳していいひがみはないと知ればいい いい歳してまだ好きな人を思い出す いい歳していい夢みて、いい気分になって それがいい希望ならなおいいと思っていい

  • 大雨あがり

    大雨は街を根絶やしにするかと思われたが、やんでみるとそうではなく洗い立ての世界が現れた。 駅近くのビルとビルのあいだ、水たまりの歩道を、炎のたてがみを持つキリンが横切った。 噴水の女神の両手、その水の軌道の上、ドラゴンフライが静止して水を飲みながら休んでいる。 花畑の鮮烈なパープルと紫、萌える芝生とクローバーの上に人々は座り、また、寝そべる。 大雨のあと、洗われて再度現れた街は輝きながら、その輝きに照らされ輝きをさらに帯びる。

  • ほんとうの虹

    沖縄の虹をみたことがあるかと女性写真家がいった。 ないよ。 沖縄の虹は本州の色と全く違うよ。 どんなふうに。 見るのが一番、ほんとうなんだから。 ぼくはそれから数年かかって機会を見つけて、ようやく沖縄へ、青のなかを飛んだ。那覇の空港から出て、女性写真家と合流して、その足で天気雨を探して廻った。それはすぐに見つかり、その虹の色彩に驚いた。 その虹は遠くだけでなく、目のまえでも現れ、手帳の上にも現れた。透明性のあるそれは薄いシャボン玉のような色彩で、見ていると数秒で消える。 消えなかったらいいのに。そこで写真という手があった。本業の彼女にそれをつたえると、彼女も沖縄の虹をファインダー

  • 豪邸の裏側

    植物が生い茂る裏庭を、マンションの三階から見下ろしていた。いつものように豪邸の婦人が手入れをしている。こちら側のベランダに日差しが射し、陰る豪邸の裏側は日に陰っている。豪邸の裏側には切妻型の小屋があって、ハロウィンやクリスマスになると、飾りがちりばめられ、その小屋のなかで食事をするのが決まりのようだと、以前、そばを歩いているときに夫婦の会話を耳にして知った。 その主婦は毎日豪邸で夫婦喧嘩をしていた。喧嘩する大声がこのマンションにまで聴こえてくる。夫婦には子供がいるが、大学を卒業して、余所で暮らしていると不動産会社の男から聴いていた。喧嘩が絶えないのは、子供がいなくなって、コミュニケー

  • バレルと夜の埠頭

    埠頭の灯台のひかりの回転の下、波の黒がゆれている。外国への航路をたどる貨物船が夜の水平線に沈んで行く。 ブルーノートのバレルの演奏を耳に描く。冷えたプーアル茶の闇色を一口、おにぎりを一つ。夜中の遠足のような風情に、複雑で優しいバレルの音色。 音色は七色より多く、けれども極彩色でもなく、そのとき、闇のなかから巨大な舳先が突き出した。 雲から漏れ出したあかりに、姿を現したのは巨大な客船だった。 月色のなか、流れるバレルの音色の円環がとじられていく。まだ帰宅をかんがえたくない。プーアル茶の闇色をふたたび一口飲む。とじられた円環をこじあけようとする。

  • 色彩の飛行のあと

    夜のウズベキスタンの光景を見下ろす。ミニチュアのような山村の灯りの火の色が転々と見える。世界の回転にあわせて世界時計の地球色を廻しているうち、気づけばモスクワの夕暮れの茜のなか。 確かな着陸の手応えは滑走路の灰色、階段を降りて機械仕掛けのゲートをくぐるとき、立ち止まれといわれてボディチェック、気をとり直して搭乗したモスクワからエジプトへ。 見えてくる空からの砂漠色、思わず起こった空中の急ブレーキに、座席ががたつく。パイロットは、けれども操縦の腕の確かな軍人上がり、きっとその目の色はレイバンのブラウン。 クフ王の墓を旋回してパキスタンを経由したら、思いがけずリッチなホテルにトランジ

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