都合による詩誌に載せられなかった詩を掲載しています。全員が全員共感してくれるとは思いません。でも100人中、5~6人は共感してほしいな、という個人的希望を持っています。
2021年9月
彼は四つの目で大地を見晴るかす上の頭が言う 気をつけろ 獅子がいるぞ下の頭が答える 大丈夫だ まだ十分遠い上の頭の眼は黒々として生きている羚羊(カモシカ)の命をいまだに宿し下の頭の眼は白目が美しくまだ悪魔が見え割礼さえこれからだ上の頭が言う 見ろ あそこに首狩の兵士がいる下の頭が答える 違う この間の戦いで死んだ亡霊だそしてずんずんとサバンナを太陽が真上に来るまでの時間歩いて 聖なる泉で水を汲む祭...
銃を抱えて暁を待つ少年兵眠気と国軍の両方と戦っている彼は早く夜が明けないかと願う全ての輪郭がくっきりと見え昨日も一日生きていたと実感できる暁を母のいない熊の縫ぐるみが友達の少女しかし彼女を痣の付くほど抓る養母はいる彼女は早く一日が終わらないかと願う全ての生命が安らかに終了し浅い眠りの中に消えることができる黄昏を少年兵は蒲公英の綿毛を吹く綿毛はバリケードを越えて爆破跡だらけの廃墟まで漂っていくそこに...
深紫の闇の部屋を盲いた驢馬の私が左手を外して杖にしながらあちこちの分厚い駱駝の背にぶつかりながら行儀良く並んだ鮭革靴を蹴飛ばしながら歩く明かりを点けると今寝息を立てて死んでいる恋人がほんの僅かな光明で蘇生してしまうからだが本当は私が既にホルマリンに漬かっているあるいは腐敗している闇の端に木乃伊の婚礼行列が現れ 誘うが集団行動は苦手なのだそれより私は瞼の裏でラジオ体操第二をしたり体育座りで母親に竹棒...
そぼ降る雨の中を庶民と貧乏人の救世主と銘打っているスーパーマーケットに豆腐と納豆とかつをぶしを買いに出かけた展示ケースで賞味期限の少しでも長いものをと探していると阪神タイガースのエコバックを持った婆さんが隣から 耳はどこに売っとるの と声をかけてきた耳? 豚の耳ならここじゃなくて 肉のヤオハンだよと言おうとしたら 婆さんは勝手にないなら 自分の耳しか仕方ないんやろかと呟くのでそんな干からびたキクラ...
2021年9月
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