大分・耶馬渓についての紀行文的小文。13分。耶馬渓の中を進む様子を読んでいると、なぜか中国の景勝を題材にした水墨画を見ているような感覚に捉われる。作中に時々「頼山陽」という人名が出てくるので読後に調べてみたら、どうやら「耶馬渓」という名称の名付け親らしい。安政の大獄で獄中死した頼三樹三郎は彼の息子とか…。...
江戸の町を舞台に、火事、熊の出没、薬種問屋の娘の殺害などの事件が起こり、それを半七親分が解決する物語。41分。銭形平次や半七捕物帳のような読み物に緻密なトリックやアリバイ崩しなどを期待してはいけない。このような読み物の醍醐味は、どっぷりと江戸情緒に浸る事、そう思っている。そんな意味では期待を裏切らない作品。作中に「熊の胆」が出てくるが、あの苦ーい薬の味を思い出しながら読んでいた。...
母親お律の最期を、3人の異父母姉弟を中心とした家族の心情と絡めて描いた作品。1920年。1時間12分。モノクロ映画の台本を読んでいるような感覚。100年も前の作品なので、さすがに詳細がわからない固有名詞もたくさん出てくる。気になったのは視点。前半では弟の視点から、後半では兄の視点から描かれているんだけど、なんか意図があるのだろうか。...
水車のある教会を舞台にした、老人と少女との物語。31分。読み進めるうちに結末はある程度の予想がつくのだが、それでもやはり最後の台詞を聞くとグッとくる。こういう短編は読むのも気楽だし、読後感も清々しくて大好き。...
100円紙幣が語り手となるお話。1946年。15分。本文によると貨幣は女性名詞らしく、故に太宰治の得意な女性の語り口調で、滔々と彼女(100円札)の数奇な運命が語られる。過酷な運命をたどってきた100円紙幣であったが、最後に安住の地を見つけ出す。いかようにも結末がつけられる題材だと思うが、このような形で終わりを迎える所に、太宰の優しさのようなものが伺える。...
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