台湾でも夢二を知る人は多く、人気もあるといいます。しかし、夢二の中国語文献は少なかったため、2022年、まず台湾で出版されました。本書はその出版の2年後、今年の2月に日本で翻訳出版されたものです。夢二といえば美人画が有名ですが、その他にも児童向け作品、少年少女画、図案・商業デザイン、雑誌の表紙と挿絵、書籍の装丁、楽譜の装丁、挿絵・漫画、人形作品などのマルチアーティストとして名を馳せています。本書は、現代でも十分通用する洗練された絵画がふんだんにちりばめられていて、それをくつろいで眺めるだけで楽しくなります。お茶の間美術館絵本といった趣でしょうか。夢二という人物にも興味をそそられます。幸徳秋水主宰の平民社に出入りし、社会主義的な考えも持ち合わせていたのでしょうか。また、自由恋愛主義とでもいうのでしょうか、多...〔686〕『竹久夢二の世界』(王文萱著、藤原由希訳、パイ・インターナショナル出版)は中国語を日本語に翻訳した格好の夢二ガイドブックです。