秋吉理香子,2020,ジゼル,小学館.(6.17.25) 東京グランド・バレエ団の創立十五周年記念公演の演目が「ジゼル」に決定し、如月花音は準主役に抜擢される。このバレエ団では十五年前、ジゼル役のプリマ・姫宮真由美が代役の紅林嶺衣奈を襲った後死亡する事件が起き、「ジゼル」はタブーになっていた。そんな矢先、夜のスタジオでジゼルの衣装を纏った真由美の亡霊が目撃される。公演の準備を進める中、配役の変更で団員に不協和音が生じ、不可解な事件が相次いで…。これは“呪い”なのか?花音が辿り着く真由美の死の真相とは?バレエに命をかけるダンサーたちの嫉妬と愛憎を描いた傑作サスペンス。 バレエの演目、「ジゼル」の…
秋吉理香子,2020,哀愁しんでれら──もう一人のシンデレラ,双葉社.(6.16.25) ただ幸せになりたいだけだった―市役所の児童福祉課で働く咲良は、8歳の娘・カオリを男手ひとつで育てる開業医の孝太と出逢い、結婚。誰もが羨む幸せな家庭を手に入れた。しかし、「理想の家庭をつくる」という咲良の願望は知らぬ間に自身を追いつめ、次第に家族の歯車を狂わせていく…。映画『哀愁しんでれら』を原案に『暗黒女子』の著者が新たに生みだした「もう一人のシンデレラ」。 湊かなえさんの『告白』を彷彿とさせるあまりの結末に、こりゃ劇画か映画向きだな、と思ってたら、原作が映画だった。 www.youtube.com 読み…
秋吉理香子,2021,息子のボーイフレンド,U-NEXT.(6.15.25) 専業主婦の杉山莉緒(40)は、高校2年生の一人息子・聖将からのカミングアウトをファミレスで聞き、衝撃を受けた。交際相手を自宅のランチに招いたところ、20歳で一流大学2年生の藤本雄哉は非の打ち所がない好青年。母親を早くに亡くし、家事は勿論、祖母の介護までしている苦学生で、何より聖将に勝るとも劣らないイケメンだった。ひとまず二人の交際を認めた莉緒だったが、夫・稲男(45)にはなかなか切り出せない…。聖将&雄哉、盛夏の熱い恋の行方やいかに?家族の絆があったかくしみる群像劇! 高校生の息子、聖将から自らがホモセクシャルである…
竜樹諒,2025,天使の遺言,文芸社.(6.15.25) 漫画家生活最後の記念に出版した『私が見た未来』が、20年以上の時を経て世間の注目を浴びることとなった。それは、本の表紙に「大災害は2011年3月」と書いたから。ピタリと予言したことで、作者たつき諒はカリスマ的な有名人となり、ニセモノまで現れる事態に──。「真実を残したい」という思いから自伝の出版を決意した作者が、生い立ちから目に見えない体験まで誠実に綴った記念碑的一冊。 予知夢で東日本大震災の発生年月日を的中させたことにより、一躍話題となった竜樹諒さん。 新たな予知夢で来月、7月5日の「大災難」を指摘していることから、再び予知が的中する…
志駕晃,2019,あなたもスマホに殺される,KADOKAWA.(6.15.25) 中学教師・鈴木のスマホに、ある日「自殺相談室」という怪しいSNSから招待が届いた。自殺志願者の匿名の相談に、4択から1つ意見を選び答えていく中で、鈴木は他人の人生を覗き見るような感覚の虜になっていく。しかし、担当クラスの女子生徒・雨宮を招待して以降、いつのまにか「自殺相談室」が学校中に蔓延し、ついには新人教師の山本が自殺してしまい…。あなたも他人事ではいられない、驚愕のサイバー・ミステリー! 志駕さんは、スマホやSNSをネタにしたミステリー、サスペンス小説を得意とする作家だが、被虐、加虐経験を疑似体験してみたいと…
志駕晃,2017,スマホを落としただけなのに,宝島社.(6.14.25) 麻美の彼氏の富田がタクシーの中でスマホを落としたことが、すべての始まりだった。拾い主の男はスマホを返却するが、男の正体は狡猾なハッカー。麻美を気に入った男は、麻美の人間関係を監視し始める。セキュリティを丸裸にされた富田のスマホが、身近なSNSを介して麻美を陥れる凶器へと変わっていく。一方、神奈川の山中では身元不明の女性の死体が次々と発見され…。 やろうと思えば、スマホ一台から、持ち主と恋人、友人、家族の個人情報を丸裸にし、SNSの複数アカウントを乗っ取ることさえできる。 落とした一台のスマホが殺人未遂につながるまでの、個…
家族、捨ててもいいですか?──緒に生きていく人は自分で決める
小林エリコ,2020,家族、捨ててもいいですか?──緒に生きていく人は自分で決める,大和書房.(6.1.25) 酔って暴れる父、殴る兄、それらを止めない母…機能不全の家族なのに、愛着がないわけでもない。「家族」の枠組みを考え直す旅路。 DV男の父と、父に忍従する母、小林さんに暴力をふるう兄・・・小林さんは、絵に描いたような機能不全家族を生き延びたものの、就職先がブラック企業だったことから、鬱病を患い、生活保護を受給した挙句に自殺未遂をはかる。 作家として生きる道が開け、精神状態も安定した小林さんは、苦痛に充ちた家族、親族との関わりを振り返る。 DV男の父にありがち──わたしもそう──なことだが…
橋本治,2004,上司は思いつきでものを言う,集英社.(6.12.25) この本はサラリーマン社会の閉塞を嘆じるものではありません。「上司は思いつきでものを言う」ということが、なぜ起こってきたのかを、儒教の伝来まで遡り、とてもスリリングに解剖していく本です。日本の男たちが、なぜ戦国時代と幕末維新の時代ものが好きなのか。こんな「なぜ」も見えてきます。そして、では日本はどうするのか―「現場」の声を聞く能力の復活に向けて、上司のみなさんにも、上司でないみなさんにも、懇切丁寧な今後の道中案内の書であります。 (マックス・)ウェーバーのウの字も出てこないんだが、めちゃわかりやすい橋本流官僚制論を堪能させ…
お昼ごはんに、昨日釣ってきた、メジナ、メバルの唐揚げと、アジゴ、サバゴの南蛮漬け。 美味しゅうございました。 今日は、月イチのフードパントリーの日。 先月同様、F生協D支所で、配布する商品を団体ごとに仕分けし、子ども食堂Pの配布分をM公民館まで運んで、約65世帯分を仕分けする。 先月は、おバカなカーナビのために、なかなかM公民館にたどり着けず、入り組んだ住宅街を彷徨う羽目になったが、今回は、スマホのアプリ、Android Autoを使って迷わず公民館に着けた。 雨でたいへんだったが、他人さまのお役に立てることの満足感はなにごとにも代えがたい。 残念だったのは、今回、提供された食料が少なったこと…
橋本治,2016,国家を考えてみよう,筑摩書房.(6.11.25) 国家や政治を考えるのはむずかしい。国民なのに…なぜだろう。日本の国の歴史をたどれば自ずとその理由が見えてくる。今こそ、自分の頭で国家を考えてみよう。 どの本よりも丁寧でわかりやすい国家論、というよりも政治学と近代史の入門書。 国家と自治体の政治が劣悪なのは、国民と住民が愚かであることの反映だ。 刮目して読むべし。 目次第1章 「国家」を考えない「国家」を考えるために「国家」には二種類がある ほか第2章 日本で「国家」が始まる日本に「国家」がやって来た王政復古と大政奉還 ほか第3章 「国民の国家」は簡単に生まれない国立競技場は誰…
ねこちゃんがキーボードの上で毛玉と胃の内容物を吐いてしまい、長年、愛用してきた東プレのREALFORCEがダメになってしまった。 www.justmyshop.com 打鍵感が抜群に良かったんだけどな〜。 しようがない。 バッファローの水洗いできるキーボード。 www.buffalo.jp キーボードはメカニカルに限ると思っていたのだが、メンブレンも軽やかにキーを打てて、悪くないな。 富士通のワイヤレスキーボード。 www.fmworld.net コンパクトで、PCだけでなくスマホとも無線接続できる。 Linuxで稼働するPCともさくっと接続できた。 とりま、このワイヤレスキーボードを使用する…
橋本治,1988,ぼくたちの近代史,主婦の友社.(6.10.25) 本書は、橋本治スーパー6時間講演会「ぼくたちの近代史」(於:池袋コミュニティ・カレッジ,1987年11月15日)の内容に補筆したものです。鬼才橋本治が語り尽くした「近代の検証と行方」の感動の書。 6時間にわたる講演録であるが、二転三転腸捻転、ぐじゃぐじゃに捻じ曲がりながらも見事に着地する橋本節が延々と続く。 原っぱの論理──空き地で、子どもたちが、性別、年齢、家庭環境、出自等に関係なく、だれも排除しない遊びを創意工夫していく。 橋本さんは、むせび泣きながらその情景を思い起こす。 たんなるノスタルジアではない、人が求めてやまぬ共…
死ぬことが怖くなくなるたったひとつの方法──「あの世」をめぐる対話
矢作直樹・坂本政道,2012,死ぬことが怖くなくなるたったひとつの方法──「あの世」をめぐる対話,徳間書店.(6.10.25) 人は死んだらどうなる?あの世はいったいどこにある?向こう側がわかれば、死ぬのはまったく怖くない!『人は死なない』『死後体験』ベストセラー対談が実現。 わたしは、子どものころ、死というものが怖くて怖くてしかたがなかった。 生きているこのわたしは、いま、死について考えている。 その考えているわたしがわたしである。 しかし、死んだら、その考えているわたしを意識するわたしが消失する。 怖い、眠って自意識が消失するのさえ怖い。 大人になるにしたがって、そんな恐怖心に囚われること…
【旧作】オレ様化する子どもたち、学校のモンスター【斜め読み】
教師から、校内での喫煙やカンニングを咎められても自らの非を認めない子どもたち。 諏訪さんは、彼ら、彼女らの心性に、共同主観的な「私」が成立せず、幼児的な「この私」しか存在しないことを見て取る。 現在トラブルになるのは、子ども(若者)たちが親や教師の言葉を聞いたとき、距離をおいて受け流せなくなったことであろう。関係がフラットになっているのですぐに「等価交換」を始めて傷ついてしまう。自分の気に食わないことを言われるのが耐えられない、許せない。つまり、宮台氏の言う<感覚地理〉の差異ではなく、それぞれの感覚地図の描き方そのものが違ってきている。その地図を描く「私」(自我)のありようが変化してきている。…
小林エリカ,2014,マダム・キュリーと朝食を,集英社.(6.7.25) 「東の都市」へと流れて来た猫と、震災の年に生まれた少女・雛。目に見えないはずの“放射能”を、猫は「光」として見、少女の祖母は「声」として聞く―。キュリー夫人やエジソンなど、実際のエネルギー史を織り交ぜながら時空を自在に行き来し、見えないものの存在を問いかける。卓越した想像力が光る、著者初の長編小説。 (おそらく)原発事故により廃墟になった街に、猫たちが住み着く。 その街は「マタタビの街」と呼ばれることになる。 一匹の猫が「マタタビの街」を出て、「東の都市」(おそらく東京)に流れ着く。 猫には放射性物質が「光」となって見え…
小倉千加子,2013,醤油と薔薇の日々,いそっぷ社.(6.7.25) 安田成美の丸大豆醤油CMから20年。あのCMはなぜ女性心理を逆撫でしたのか。その隠されたメッセージとは?表題エッセイ他、大阪ファッションからママ美の競争まで縦横無尽に紡がれる待望のエッセイ集!! わたしは、むかしからTVをまったく見ないので、「安田成美の丸大豆醤油CM」ってなんじゃらほい、ということでググってみたら・・・ www.youtube.com キンモー☆ってか、こわい 稀代のフェミ心理学者の小倉さんであるが、きわめて穏当な叙述が印象的だ。 『女の人生すごろく』はけっこう辛辣だったんだけどなあ、加齢によりおとなしくな…
志駕晃,2023,そしてあなたも騙される,幻冬舎.(6.5.25) 渡る世間は「罠」ばかり。借りたお金が返せません!! #個人間融資 #SNSヤミ金 #無担保OK #お金貸してください夫のDVから逃れ、7歳の娘を育てるシングルマザーの貴代に届いた、滞納家賃の督促状。仕事もなく、財布の中は小銭だけ。強制退去まで、あと10日!?親戚にも街金にも借金を断られ、追い詰められた彼女がすがったのは、SNS上で客を集める個人間融資の「ソフト闇金」だった。やけに親切に借金返済を猶予し、子育てなどプライベートな相談にも乗ってくれる、「未奈美」と名乗る見知らぬ貸主。その優しさとは裏腹に、貴代の借金は雪だるま式に増…
志駕晃,2022,たとえ世界を敵に回しても,KADOKAWA.(6.5.25) 介護施設で働く小山葉子のもとに、差出人不明の怪文書が届く。書かれていたのは「おまえの息子は犯罪者だ」という衝撃の内容だった。葉子の息子・雅也は五年前に家を飛び出したきり、音信不通となっていた…。わずかな手掛かりをたどって新宿・歌舞伎町に行き着いた葉子は、雅也が「炎上系」の動画配信者だったことと、複数の人間の恨みを買っていたこと、そして数日前に自宅マンションから忽然と姿を消していたことを知る。彼女は息子を救うため、全世界に向けた動画配信に出演することを決意するのだが…。母、激走のサスペンス! 志駕さんは、時流のネタを…
性的同意は世界を救う──子どもの育ちに関わる人が考えたい6つのこと
斉藤章佳・櫻井裕子,2025,性的同意は世界を救う──子どもの育ちに関わる人が考えたい6つのこと,時事通信出版局.(6.4.25) わが子を性加害者にしないために。性加害者への性教育をして見えてきた知見とは。性の言語化、ソロプレイ、AVとの付き合い方、自己決定力、人間関係、脱「男尊女卑」。 性加害者の歪んだ認知の枠組みが、しばしばアダルトビデオ等をとおして醸成される妄想に根ざしていることはまちがいない。 「イヤなものはイヤ」、「自分がされてイヤなことは他者にすることなかれ」──そんな当たり前のことが性教育をとおして根付くのであれば、ずいぶんと性加害は減ることだろう。 目次第1章今日から性の「言…
荻原博子,2016,隠れ貧困──中流以上でも破綻する危ない家計,朝日新聞出版.(6.3.25) パッと見には人並みの生活でも、なぜか貯金ができない、将来はまっ暗。それが「隠れ貧困」。老後破産へ一直線!毎月の給料、いつの間にかなくなってませんか?高血圧を放置すると重篤な病気になる恐れがあるように、貯められない「隠れ貧困」は、やがて「下流老人」に至る危険なお金の生活習慣病。住宅ローン、教育費、保険の見直しから、着実なお金の増やし方、もしもへの備えまで、この一冊でもう安心。 年収800万円以上でも、身の丈に合わない暮らしをしていれば、生活が破綻するのは当たり前だ。 本書に収められている破綻事例におい…
芦沢央,2025,夜の道標,中央公論新社.(6.3.25) 1996年、横浜市内で塾経営者が殺害された。事件発生から2年、被疑者である元教え子の足取りは今もつかめていない――。殺人犯を匿う女、窓際に追いやられながら捜査を続ける刑事、そして、父親から虐待を受けている少年。それぞれの守りたいものが絡み合い、事態は思いもよらぬ展開を迎える。日本推理作家協会賞受賞作。(解説)山田詠美 父から当たり屋を強要される小学生、その子のバスケ仲間の少年、殺人犯を匿う女性、職場で冷遇される刑事、そして、自らの障がいゆえに強制不妊手術を受け、塾経営者を殺害した男。 それぞれの登場人物の視点から、物語が重層的に展開す…
難波江和英・内田樹,2004,現代思想のパフォーマンス,光文社.(6.2.25) 本書の目的は、現代思想の概説ではなく、現代思想をツールとして使いこなす技法を実演(パフォーマンス)することである。この一冊には、現代思想に貢献した六人の思想家について、案内編と解説編と実践編が含まれている。 若いときに背伸びをして少しはかじっていたもののすっかり忘却していた、思想家たちの言説を、思想の実在する文化(小説、映画等)への応用ともどもあらためて学ばせていただいた。 難解、抽象的なことがらを現実の事象、経験レベルに落とし込み、抽象と具象を往還する思考の強靭さに驚く。 目次1 フェルディナン・ド・ソシュール…
内田樹,2006,私家版・ユダヤ文化論,文藝春秋.(6.2.25) ノーベル賞受賞者を多数輩出するように、ユダヤ人はどうして知性的なのか。そして「なぜ、ユダヤ人は迫害されるのか」。サルトル、レヴィナスらの思想を検討しながら人類史上の難問に挑む。 つねに、すでにあった秩序のなかに投げ込まれ(世界の成立に立ち遅れ)、「名指される者」であったユダヤ人、 追放、排除、迫害、そしてホロコーストと、ユダヤ人が受けた受難は、その理路によって説明できる。 そのユダヤ人が、パレスティナの人々を、「名指される者」として迫害する歴史のめぐり合わせに、あらためて慄然とする。 目次第1章 ユダヤ人とは誰のことか?ユダヤ…
内田樹,2002,期間限定の思想──「おじさん」的思考2,晶文社.(6.1.25) 大好評を博した、よきおじさんとして生きるための必読知的参考書『「おじさん」的思考』に続いて贈る、おじさんエッセイ第2弾。成熟した大人である「ウチダ先生」が、現代思想の知見をふまえ、「仮想女子大生」を相手に大人になるための説教十一番勝負。さらに政治家たちの疑惑の構造から外務省の不祥事まで、現代日本の「困った問題」に対しては、目からウロコの暴論奇論で一刀両断。現代思想の研究家であり、武道家であり、全身豆知識とも呼ばれる著者が、その薀蓄を傾けて熱く語る、日本社会への苦元・提言集。 わたしが大学生のころ、伊丹十三さんが…
www.youtube.com これ、よくできてるよなあ。ほっこり。 www.youtube.com ベース&ドラムのリズム帯にトム・モレロばりの変態ギターが重なり、グルーブ感ハンパねえ。ザック・デ・ラ・ロッチャとはまたちがったムーブのボーカルも◎。 music.youtube.com 1,000トラック突破。このまま好きな音楽に埋もれて一生を終えたいw
【旧作】下流志向──学ばない子どもたち 働かない若者たち【斜め読み】
内田樹,2007,下流志向──学ばない子どもたち働かない若者たち,講談社.(5.30.25) リスク社会に生み出される大量の弱者たち。“自分探し”の果てに。学力低下、ニート増加の深層。 なにかと言うと、「それってなんの役に立つのですか?」と問い、即、自己利益に結びつかないことを学ぼうとしない人たち。 その心性は、コスパ、タイパでしかものごとの価値を判断せず、大局的な人生の見通しを立てることができずに、あてどもなく「自分探し」を繰り返すそれにつながる。 実利的な知識や技能は、容易にマニュアル化され、だれにでも簡単に習得できるようになっている。 したがって、それを学んだからといって、労働になんの付…
内田樹,2012,街場の文体論,ミシマ社.(5.30.25) 30年におよぶ教師生活の最後の半年、著者が「これだけはわかっておいてほしい」と思うことを全身全霊傾け語った「クリエイティブ・ライティング」14講。「アナグラム」「エクリチュール」「リーダビリティ」「宛て先」・・・・・・こうしたトピックを有機的に連関づけながら、「生きた言語とは何か」を探る。「この本がたぶん文学と言語について、まとまったものを書く最後の機会になると思います。そういう気持ちもあって、「言いたいこと」を全部詰め込みました」(あとがきより)「街場シリーズ」最高傑作、誕生! 内田さん、神戸女学院大学での最後の講義、「クリエイテ…
内田樹,2004,街場の現代思想,NTT出版.(5.30.25) 「勝ち組・負け組」ならぬ、生まれついての「バカ組・利口組」という、身も蓋もない「新しい階層社会」が出現しつつある!この事態を避けるためには、流動性の高い社会、すなわち「プチ文化資本家」たちが多数を占める「文化的一億総中流化」社会を目指すべき。本書の前半では、「おじさん内田」がそうした社会の「仕組み」を解説、後半では人生相談形式で、「街場の常識」を読み解いていく。給与、転職、ワーク・モチベーション、結婚、離婚、言葉遣い…。身の回りの根源的な問いが、初めて腑に落ちて納得できる本。 ピエール・ブルデューの言う「身体化された文化資本」は…
内田樹,2014,街場の共同体論,潮出版社.(5.27.25) 家父長制を否定する戦後家族は、必然的に父親の権威を失墜させ、母子──とくに母娘間の癒着を生み出した。 現代の資本主義を駆動する消費社会は、これまた必然的に家族の解体──シングル単位で消費するライフスタイルを推進した。 ここいらへんの分析と叙述は、下手な社会学者よりもはるかに鮮やか。 市場経済のしくみでは維持できないのが社会的共通資本だ。 それは、共同体のために労を惜しまずに働く個人抜きには維持されえず、そうした人材の枯渇が教育や社会福祉の危機として現出している。 実際のところ、コスパ、タイパ厨ばかりがはびこるなかで、人々の生存基盤…
雨穴,2025,変な絵,双葉社.(5.27.25) オカルトサークルに所属する佐々木は、後輩の栗原からとあるブログの存在を教えられる。そこには、『あなたが犯した罪』という不穏なメッセージとともに、投稿者の妻が描いた「絵」が掲載されていた―。『風に立つ女の絵』『灰色に塗りつぶされたマンションの絵』『震えた線で描かれた山並みの絵』…9枚の奇妙な絵に秘められた衝撃の真実とは!?その謎が解けたとき、すべての事件が一つに繋がる!49ページに及ぶ物語の前日譚『続・変な絵』と『ナゾ解きゲーム』も特別収録。第16回オリコン年間“本”ランキング2023BOOKランキングジャンル別「文芸書」第1位。 出産時に絶命…
橋爪大三郎,1995,性愛論,岩波書店.(5.27.25) 誰しも避けて通れない永遠の問い。猥褻から恋愛幻想まで、解きほぐすことの難しい、性愛という複合的な現象に挑む社会科学の冒険。 セックスと愛と結婚のロマンティックイデオロギーが破綻してすでに久しいが、結婚はともかく、人は、愛なきセックスに恒久的に充足することはいまだもって難しい。 愛は幻想でありながらも、その内実──愛と呼ばれてきた現象は、無償性、利他性、自己犠牲、排他性をともなうものであって、そこに愛があるという幻想が成り立つからこそ、人は、おのれの唯一無二性や尊厳を感得、体得することができる。 また、プライベートゾーンも含めて他者の身…
江原由美子・山田昌弘,2008,ジェンダーの社会学 入門,岩波書店.(5.26.25) ジェンダーに関する基本的な解説に加えて、性役割分業、労働、セクシュアリティ、ケア、社会政策などのトピックを幅広く採り上げ、「ジェンダーの社会学」の理論と実践を、第一人者が平明に解説。 17年前に出版された入門書であるが、少しも古さを感じない。 この間、さまざまな問題が解決されないまま時間だけが経過したこともあるが、著者が、普遍性のある、問題の剔出と考察、論述を行っているからでもあるだろう。 初学者も挫折することなく読みとおせる叙述の平易さと、にもかかわらずレベルの高い分析とがひかる好著であるように思う。 目…
胴付きメバル仕掛け。 エサはオキアミ。 下層(にいるだろう)のアラカブを釣りたかった(唐揚げが絶品)のですが、表層のサバゴがかかって、いつものことながら、思うようにいきませんでした。 唐揚げにして、夕飯の一品になりました。笑
アンドレア・ドウォーキン(寺沢みづほ訳),1989,インターコース──性的行為の政治学,青土社.(5.25.25) 女性にとってセックスとは何か?愛と共有と恍惚の行為か、父権制社会が捏造した権力装置か。現代アメリカを代表するフェミニストが、性行為の実態と古今東西の性描写を分析し、性交がもたらす差異化の真実を描き出す。 インターコース、性行為が、本来的に、男性による女性の支配の表出であるというドウォーキンの見解は、多分に本質主義の誹りを免れ得ない問題含みのものであるが、それでも、性行為が権力、占有、支配と結びつきかねないことを明らかにした意義は大きい。 性交は通常、所有の一形態、もしくは所有の行…
島尾敏雄,2003,死の棘,新潮社.(5.24.25) 思いやりの深かった妻が、夫の「情事」のために突然神経に異常を来たした。狂気のとりことなって憑かれたように夫の過去をあばきたてる妻、ひたすら詫び、許しを求める夫。日常の平穏な刻は止まり、現実は砕け散る。狂乱の果てに妻はどこへ行くのか?―ぎりぎりまで追いつめられた夫と妻の姿を生々しく描き、夫婦の絆とは何か、愛とは何かを底の底まで見据えた凄絶な人間記録。 1977年の初版刊行以来、長年にわたって読みつがれてきた究極の私小説。 家庭の外に悪びれもせずに愛人をつくるトシオに、そのことを気に病み統合失調症状の錯乱をきたす妻、ミホ。 ミホは、悋気をつの…
義父の葬儀とマンション管理組合理事会が重なってしまい、理事会の議題にわたしがいないとどうしようもない案件があったことから、葬儀は失礼することにした。 理事会終了後、マンション掲示板に貼り出す報告文書を作成。 M信託銀行から、信託サービスの案内が届く。 最低預託金3,000万円、信託報酬(支払い)は最低110万円。 「おひとりさま信託」というのもある。 www.smtb.jp 心配なのは、万が一、交通事故かなんかで、うちらが急死した際、ねこちゃんがどうなるかということ。 ペット信託というのもある。 j-pettrust.com でも、これはこれで、生命保険の死亡保険金の受け取り先を信託先の団体に…
雨穴,2024,変な家 文庫版,飛鳥新社.(5.2.25) 知人が購入を検討している都内の中古一軒家。 開放的で明るい内装の、ごくありふれた物件に思えたが、間取り図に 「謎の空間」が存在していた。知り合いの設計士にその間取り図を見せると、 この家は、 そこかしこに 「奇妙な違和感」が存在すると言う。不可解な間取りの真相とは!?突如消えた元住人は一体何者!?YouTubeで話題となった 「変な家」の全ての謎が解き明かされる完全版、ついに文庫化。本書のキーマン・設計士栗原による文庫版あとがきも収録。 台所とリビングルームのあいだの謎の空間、窓のない子ども部屋は、不具の子どもに、だれにも見られること…
丸山正樹,2025,夫よ、死んでくれないか,双葉社.(5.21.25) 結婚五年にして夫婦関係が冷えきった麻矢、離婚を経験した璃子、モラハラ気質の夫に悩みながら一人娘を育てる友里香。三十代半ばの同級生三人組は、夫への不満を抱え、行きつけのお店に集まって愚痴を言い合っていた。しかしある夜、友里香とモラハラ夫との間に大きな事件が起こり、さらに麻矢の冷淡な夫も行方不明になってしまう。次々起きる事件によって、固い絆で結ばれた三人組の仲にも亀裂が入り始め…。私たちの「幸せ」はどこにあるのか。キャリアや結婚、出産に悩む現代女性の心の叫びに迫る、衝撃のミステリ! モラハラ夫を死んでほしいと思うほど憎んでいる…
内田樹,2025,沈む祖国を救うには,マガジンハウス.(5.21.25) 物価上昇にステルス増税、政財界の癒着、そしてマスメディアの機能不全……激動の国際社会の中で、沈みゆく「祖国」に未来はあるか!? ウチダ流「救国論」最新刊!! ここ数年で、加速度的に「冷たい国」になってしまった日本。混迷を極める永田町、拡大する経済格差、税の不均衡、レベルが落ちた教育界など問題が山積となっている。また、アメリカの新大統領がトランプに決まり、国際情勢も先行きが不安定である。生活苦しい国民に手を差し伸べることのない冷たい国で、生き抜いていくためにはどうしたらいいのか……。この「沈みゆく国」で、どう自分らしく生き…
捨てられた僕と母猫と奇跡──心に傷を負った二人が新たに見つけた居場所
船ヶ山哲,2024,捨てられた僕と母猫と奇跡──心に傷を負った二人が新たに見つけた居場所,プレジデント社.(5.21.25) うつ病を発症した僕が、子猫と引き裂かれた母猫テコと出会い、救われた物語。 ちまたで話題になっていた(らしい)本なので、読んでみた。 本書は、うつ病の果てに自殺未遂までした自分を立ち直らせてくれたねこの一生を、擬人化して描いたものであるが、ふーん、そんなこともあるんだね、という程度の内容であるものの、分量も少なく小学生でも読める程度の文章であることが、万人受けしたのだろうな。 目次ある日かかってきた父からの一本の電話心に傷を負った保護猫がそこにいたうつ病の僕よりも弱い存在…
秋吉理香子,2019,灼熱,PHP研究所.(5.19.25) 医者である英雄と一見、幸せな結婚生活を送る絵里。しかし彼女の本当の名前は咲花子といい、英雄が元夫を殺した証拠を探していた…。一年半前、咲花子は刑事から当時の夫が転落死したこと、何件もの詐欺を働いていたことを知らされる。詐欺師の妻として彼女自身もマスコミに叩かれる中、夫殺しの容疑者だった英雄の不起訴が確定。希望を失った彼女は、自殺サイトで知り合った絵里という女性と自殺を試みるのだが…。 夫を殺害したであろうにも関わらず不起訴となった英雄に復讐すべく、整形し、自殺した絵里になりかわる咲花子。 咲花子は、英雄に接触し、まんまとその妻におさ…
秋吉理香子,2016,自殺予定日,東京創元社.(5.20.25) 「美しく強かな継母が父を殺した」父の死後、生命保険金と遺産、そして順風満帆のビジネスを引き継ぎ、生き生きと活躍を始めた継母の姿に、女子高生の瑠璃はそう確信する。けれど誰にも信じてもらえない。天涯孤独となった瑠璃は、死をもって継母の罪を告発するため、自殺の名所と言われる山奥で首を吊ろうとし―そこで幽霊の裕章と出会った。彼は継母の罪の証拠を見つけようと提案する。期限以内に見つからなければその時死ねばいいと。今日から六日後―それが瑠璃の自殺予定日となった。すべての予想を裏切る、一気読み必至の傑作ミステリ! 継母、れい子が最愛の父、早那…
秋吉理香子,2021,監禁,双葉社.(5.18.25) 三田由紀恵は病院勤務の看護師。幼い娘の育児と仕事の両立に限界を覚え、退職を決意した。クリスマスイブのきょうが勤務の最終日。夜勤の間は、夫の雅之が自宅で娘の面倒を見てくれている。だが、ラインのメッセージに返信はない。電話をかけても繋がらない。由紀恵は自分に執着していた不気味な患者を思いだし、胸騒ぎを覚える。由紀恵に看てもらうために、自らの身体を傷つけてくるほどで、病棟を移るたびに損傷箇所は増えていった。家族の絶望と狂気、そして再生を描いた戦慄のサスペンス。 主人公、由紀恵と、夫、雅之(←実は前夫、博信)の二人の視点から、ストーリーは展開する…
秋吉理香子,2023,月夜行路,講談社.(5.18.25) 専業主婦の涼子は、冷え切った夫との関係や言うことをきかない二人の子どもとの生活に、疲労感と閉塞感を覚えていた。45歳の誕生日を明日に控えた深夜、書籍編集者の夫に女性から一本の電話がかかってきた。「小説家の重原宗助先生からの仕事が入った」と家を出てしまう夫。我慢の限界に達した涼子は、家を飛び出す……。涼子が向かった先は、夫の愛人ホステスが勤めるクラブの入ったビル。1階のBAR「マーキームーン」に入ると、文学好きの美しいママが話しかけてくる。性別は男だというママは、涼子の悩みや素性を鋭い洞察力と推理力で言い当ててしまう。涼子がママに夫の愚…
両作ともに、スピード感あふれるバトルロワイヤル系のエンタメ小説。 『殺める女神の島』は、ビューティコンテストを勝ち抜いた女性7人が殺し合う筋書きかと思いきや、加害者は予想だにしない女性一人であった。 この意外性が本作の勘所かも。 『無人島ロワイヤル』は、まんまバトルロワイヤル。 秋吉理香子,2024,殺める女神の島,KADOKAWA.(5.17.25) リゾートアイランドに集められた、外見と内面の美を競うコンテストの最終候補者。メンバーは女子高生モデル、経営者、小説家、医師、シェフ、インフルエンサー、大学院生の七人。これから二週間、互いを高め合いながら、最終審査の準備を行う。だが、その日々を見…
クソワロタ www.youtube.com
近年、進歩が著しいのが加工食品。 DELIPICSを食べ慣れたら、わざわざレストランで外食しようとも思わなくなるし、DELIPICSと、フレンチトースト、ラーメンでローテーション組んだら、楽ちんにおうちごはんを楽しむことができる。 www.deli-picks.com ラーメンは、「麺くる」と「桂花ラーメン」が断トツにおいしい。 menkuru.jp keika-raumen.co.jp 近場に「ラーメン二郎」が開店して数ヶ月が経つが、いつ見ても長蛇の列。 わざわざ長時間並んでまで食べようと思わないが、「麺くる」のなんちゃって二郎系ラーメンでもじゅうぶんに美味しい。
三宅香帆,2021,女の子の謎を解く,笠間書院.(5.16.25) 小説や漫画、ドラマ、映画、アイドルに描かれる「ヒロイン」を読み解き、今の世の中を考察!!「なんで男女逆転モノって少女漫画に多いんだろう」「なんで姉妹キャラって基本的にお姉ちゃんのほうが落ち着いているんだろう」「なんで大人数のアイドルって流行ったんだろう」流行りだから…と片付けずその謎を深掘りすると、世間の深層心理も、私たちが抱えている問題も、その描かれ方がすべて伝えてくれる。注目の書評家・三宅香帆が、コンテンツにおける女の子を読み解き、世の中を考察します。 いやあ、おもしろかったね。 漫画、TVドラマ、映画、小説等から、ハイパ…
秋吉久美子・下重暁子,2024,母を葬る,新潮社.(5.16.25) 「母の母性が私を平凡から遠ざけ、母の信条を大胆に裏切る土台が出来上がってしまった」(秋吉)。「30年以上、一度の母の夢を見たことがない」(下重)。過剰とも思える愛情を注がれて育ったものの、理想の娘にはなれなかった…看取ってから年月が過ぎても未だ「母を葬る」ことができないのはなぜなのか。“家族という名の呪縛”に囚われたすべての人に贈る、女優・秋吉久美子と作家・下重暁子による特別対談。 「毒母」を看取る話なのかなと思って読んだら、ちがっていた。 「葬る」は、「ほうむる」ではなく、「おくる」なのだな。 哺乳類のなかでもっとも長い授…
朝井リョウ,2016,ままならないから私とあなた,文藝春秋.(5.15.25) 先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。 「レンタル世界」 成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、そして決定的に対立する瞬間が訪れる。 「ままならないから私とあなた」 正しいと思われていることは、本当に…
朝井リョウ,2020,発注いただきました!,集英社.(5.14.25) 『桐島、部活やめるってよ』でのデビューから十年。森永製菓、ディオール、JT、JRA、アサヒビール、サッポロビール、資生堂、JA共済など、様々な企業からの原稿依頼があった。原稿枚数や登場人物、物語のシチュエーションなど、小説誌ではあまり例を見ないような制約、お題が与えられるなか、著者はどのように応えてきたのか!?「キャラメルが登場する小説」「人生の相棒をテーマにする短編」「ウイスキーにまつわる小説」「20を題材にした小説」など、短編小説十四本、エッセイ六本。普段は明かされることのない原稿依頼内容と、書き終えての自作解説も収録…
秋吉理香子,2017,婚活中毒,実業之日本社.(5.13.25) 崖っぷち女が紹介された運命の相手は連続殺人犯?(『理想の男』)。街コンで出会った美女の暴走に戸惑うマニュアル男は…(『婚活マニュアル』)。本命男を絶対に落とす“婚活ツール”の中身とは?(『リケジョの婚活』)。息子の見合いで相手の母親に恋心を抱いた父親は…(『代理婚活』)。運命の出会いはいのちがけ―『暗黒女子』の著者が贈るサプライズ満載の傑作ミステリー。 本作には四つの短編小説が収められているが、どれも、結婚を焦る者たちの心情と振る舞いがコミカル、シニカルに描かれている。 あっと驚くようなオチと多少の毒が仕込まれている点についても…
佐野広実,2020,わたしが消える,講談社.(5.13.25) 元刑事の藤巻は、医師に軽度認知障碍を宣告され、愕然とする。離婚した妻はすでに亡くなっており、大学生の娘にも迷惑はかけられない。ところが、当の娘が藤巻の元を訪れ、実習先の施設にいる老人の身元を突き止めて欲しい、という相談を持ちかけてくる。その老人もまた、認知症で意思の疎通ができなくなっていた。これは、自分に課せられた最後の使命なのではないか。娘の依頼を引き受けた藤巻は、老人の過去に隠された恐るべき真実に近づいていく…。「松本清張賞」と「江戸川乱歩賞」を受賞した著者が描く、人間の哀切極まる社会派ミステリー! 飽きさせないコンテンツ満載…
佐野広実,2022,誰かがこの町で,講談社.(5.12.25) 郊外の瀟洒な住宅街で、19年前に起きた一家失踪。謎の解明の前に立ちはだかったのは…忖度、同調圧力、自己保身、理由のわからない排除。そして時を隔てて、事件は連鎖していく。一人一人に問いを突きつけるサスペンス!江戸川乱歩賞受賞第一作。 地域コミュニティは、統合度が高い、すなわち住民同士が協力して安全、快適な生活環境を実現、維持し、困りごとがあれば相互に扶助し合うのがグッドコミュニティとして理想化されてきたが、そのグッドコミュニティの恐ろしい一面を本作は教えてくれる。 閉鎖的、排他的なコミュニティの恐ろしさは、かつてあったムラ社会の慣行…
夜須高原の釣り堀で、ニジマスとヤマメを釣り、串焼きにして食す。 sites.google.com 空気はきれいだし、釣りたての魚は美味しいしで、ちょいと遠出して楽しむにはいいところだな。 ただし、川魚は少々臭い。 レモンかカボスを持ち込んだがいいかも。 土日祝日は、イノシシや鹿のジビエ肉を楽しめるそうだ。 岡山県高梁市の大学に勤めていたとき、新見市の料亭で食べたイノシシ肉はとても美味しかった。 ジビエカレーも美味しそう。 ジビエ肉のバーベキューは要予約とのこと。
佐野広実,2024,サブ・ウェイ,PHP研究所.(5.11.25) 地下鉄内での防犯のため、試験導入された地下鉄私服警備員として働く穂村明美。彼女は、二年前に地下鉄駅構内で起きた暴行事件によって恋人・要一を失い、その事件の真相をつかむために警備の仕事に就いていた。勤務の中で、明美は乗客たちの様々な事情に触れていく。そして要一の事件の手がかりを掴むが……。江戸川乱歩賞受賞の著者が紡ぐ、心震えるヒューマンサスペンス! 地下鉄の警備員が私服で警らを行うというのは実際にはないのだろうが、女性警備員たちの人間ドラマと、恋人を殺害した犯人を警らのかたわら探し続ける主人公、穂村明美と警備員たちが、犯人を追い…
レア・イピ(山田文訳),2025,FREE──歴史の終わりで大人になる,勁草書房.(5.11.25) 社会主義下の粛清と困窮のなかにあっても自由への期待に満ちた少女時代は、1990年、抗議行動の高まりで一変する。自由選挙と市場開放に続く構造改革、移民増加、ねずみ講破綻は激しい暴動に発展する。ある世代の希望は別の世代の幻滅となり、家族の秘密が明らかになる。ふたつの世界を往還する20世紀の成長物語。王立文学協会オンダーチェ賞(2022)受賞。 アルバニア、この日本ではほとんど馴染みのない小国における激動の歴史が、筆者の生々しい経験をとおして語られていく。 社会主義政権下における人権抑圧、同政権の崩…
千田有紀編著,2011,上野千鶴子に挑む,勁草書房.(5.9.25) その挑戦に対し上野千鶴子はいかに応答するのか。師と弟子たちの白熱したやり取りを通して、上野社会学の全貌がいま明らかになる。 上野先生は、わたしの学部生、院生時代の、憧れの人、であった。 1960-80年代生まれの、社会学やジェンダー研究で禄を食んだ者、食む者で、上野先生をロールモデルとして学問への動機付けを得た者は少なくないだろう。 その最大の魅力は、思考のスピードの速さ。 ぶっちぎり、だ。 宮台真司もアタマの回転が速く、口も達者だが、なんせ自己愛と性欲が強すぎ(なんでもかんでも性愛と結びつけるなよ、気色悪い)、「弟子」筋と…
スズキのジムニーシエラはどうやら納車が一年先になるらしいので、思い切って、日産A店にて、前から気になっていたノートe13系を試乗した。 お目当ての4WD車は、雪国でもない福岡では試乗が難しく、FFのどノーマル車に試乗。 ほー、思ったより、乗り心地が良い。 むかし乗ってたアウディA4を彷彿とさせる。 インテリアともども、e12系から随分と品質が向上している。 加速性能も申し分ない。 これが、後輪モーターの付いた4WD車となると、もはやバケモノだろう。 www.youtube.com kuruma-news.jp ポルシェには乗ったことないから、知らんけど。笑 結局、下取りと値引きを合わせて105…
フードパントリーのお手伝いに、A生協B支部に向かう。 着いたら驚いた。 たくさんの、人、また人。 なんでも、C市、D市、E市、F市、G市の、子ども食堂を運営する約30団体が集結しているとのこと。 膨大な量の食料品、日用品を団体間で分配する。 それをクルマに積み込み、H公民館へ。 H公民館は、入り組んだ住宅地のなかにあった。 迷った、迷った。 公民館の周辺の小路をぐるぐるぐるぐる。 何度、他人さまの私有地で切り返しをしたことか。 入り組んだ住宅地ではナビは使いものにならないことを痛感する。 グーグルマップを併用する必要を感じ、早速、スマホホルダーをアマゾンでポチる。 うーん、もっと小さなクルマが…
佐藤文香・伊藤るり編著,2017,一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究叢書 ジェンダー研究を継承する,人文書院.(5.7.25) ジェンダー研究の「パイオニア」たちは、どのように学問の道を志し、課題を探究してきたのか。研究中の困難や研究への思い、運動や政治との関係も絡め、後続世代が先達21人に果敢に問う。世代や領域を横断する対話を通じて研究の根幹を継承し、現代的課題を見出すに至る、類例なきインタビュー集。 日本のジェンダー研究を牽引してきた21人の碩学へのインタビュー集。 一人ひとりの生活史、研究者としてのキャリアとともに語られるジェンダー研究への思いが興味深い。 社会学同様、ジェンダー研究…
森口奈緒美,1996,変光星──ある自閉症者の少女期の回想,飛鳥新社.(5.6.25) 著者の森口さんは、アスペルガー症候群の当事者であるが、障がいへの無理解ゆえ、同級生のみならず教師からもこころないいじめ、中傷を受け続けてきた。 その経験をつぶさに再現した本書の内容は、ただただ痛ましい。 bigissue-online.jp ここ20年ほどのあいだに、発達障がいについての理解は急速に広がり定着してきた。 発達障がいの当事者である子どもが、理不尽ないじめや攻撃、排除を受けることがないよう、さらなる理解が必要だ。
エリ・ヴィーゼル(村上光彦訳),1995,夜,みすず書房.(5.5.25) 15歳でアウシュヴィッツの地獄をくぐったノーベル平和賞作家の自伝的小説。悪と悲惨と崇高と。 ヴィーゼルの『夜』は、ヴィクトール・フランクルの『夜と霧』と並ぶ、ホロコースト文学の傑作だ。 フランクルが、絶望のなかにかすかな光を見出そうとしたのに対し、ヴィーゼルは、ひたすらこの世の地獄と絶望とをくまなく描き出す。 信仰心篤い少年、ヴィーゼルは、深い絶望のなかで、ついには神の存在をも否定する。 「苦難の神義論」さえ無効となる地獄の深淵がまざまざと再現される。
島尾敏雄,2017,死の棘──短篇連作集,河出書房新社.(5.4.25) 精神を病んだ妻と罪障を抱えた作家との日常生活の修羅を描く私小説。長篇版より早い時期に書かれた作品から始まる短篇集。 共に狂っていく夫婦の凄絶な「愛」の記録。精神病院での療養生活からさかのぼる、もう一つの“死の棘”の世界。圧倒的な私小説の極北がここにある。短篇連作版復活。 妻子を放って、愛人のもとに通い続けた身勝手な作家、島尾敏雄は、悋気に狂った妻、ミホに不行跡を繰り返し繰り返し、執拗に責められ続ける。 敏雄は、それに耐えきれず、ミホとともに狂う。 可哀想なのは、修羅場に巻き込まれ、狼狽、動揺する二人の子どもたち、だ。 ポ…
佐野広実,2022,シャドウワーク,講談社.(5.3.25) DV―声を上げられない被害者たちが、今日もどこかで心と体に瀕死の重傷を負っている。暴力夫から命がけで逃れ、江ノ島を望む風変わりなシェルターにたどり着いた紀子。その家には、ある一つの「ルール」があった。絶望の果てを見た女たちが生きる世界。究極のシスターフッド・ノワール。 逃げても逃げても女性を追いかけてきて、連れ戻そうとするDV男。 裁判所に接近禁止命令を出してもらっても、逆恨みされて殺されたら? 殺される前に殺せ。 DV被害者の女性たちが、共同生活をおくりながら、次々にDV男を殺害していく。 「シスターフッド・ノワール」というジャン…
数日前、8年間使ってきた液晶モニターが突然死した・・・と思ったら、小一時間で復旧・・・したものの、もう寿命かなあ、ということで、JAPANNEXT JN-IPS315UHDR-HSP(リビルド品)を導入。 【生産完了】JN-IPS315UHDR-HSPjp.japannext.com 性能と価格との総合点で、モニターはJAPANNEXT一択。 早速、手持ちのデスクマウントアーム、ergotron LXに取り付けたところ、アームがモニターの荷重に耐えきらず、ずり下がってしまい、使いものにならない。 アマゾンから六角レンチを取り寄せて調整を試みるも、うまくいかない。 万策尽きたか・・・とここで、ひ…
酒井順子,2024,消費される階級,集英社.(5.3.25) あの人より、上か、下か―「差別や格差を無くして、様々な違いを持つ人々が全て横並びで生きていきましょう」となった昨今、表面上は序列、区別、差別は消えたものの、姿を変えた「凸凹」は、いまだ世の中のあちこちに。『負け犬の遠吠え』『下に見る人』『男尊女子』『家族終了』など、時代を切り取る名著の書き手が、日本人の根深い階級意識をあぶり出す。 こころのなかでは、他者をカテゴライズして蔑みながら、それを表出することがご法度とされるポリコレの時代に、わたしたちは生きている。 ルッキズムに反対するのはポリコレ的には正しいが、それでも、わたしたちは、自…
朝井リョウ,2011,星やどりの声,角川書店.(5.1.25) 星になったお父さんが残してくれたもの―喫茶店、ビーフシチュー、星型の天窓、絆、葛藤―そして奇跡。東京ではない海の見える町。三男三女母ひとりの早坂家は、純喫茶「星やどり」を営んでいた。家族それぞれが、悩みや葛藤を抱えながらも、母の作るビーフシチューのやさしい香りに包まれた、おだやかな毎日を過ごしていたが…。 父をガンで亡くした三男三女の子どもたちとその母が、父が残した喫茶店、「星やどり」を中心に、それぞれの人生を歩む。 www.kadokawa.co.jp 毒気もなにもない、ハートウォーミングな家族小説であるが、わたしは、高校生の小…
朝井リョウ,2015,世にも奇妙な君物語,講談社.(4.30.25) いくら流行っているからといって、経済的にも精神的にも自立した大人が、なぜ一緒に住むのか(第1話「シェアハウさない」)。その人がどれだけ「リア充」であるかを評価する、「コミュニケーション能力促進法」が施行された世界。知子のもとに、一枚の葉書が届く(第2話「リア充裁判」)。親のクレームにより、幼稚園内で、立っている金次郎像が座っているものに変えられた!(第3話「立て!金次郎」)。…そしてすべての謎は、第5話「脇役バトルロワイアル」に集約される。 シェアハウスで相互監視する性犯罪者たち(「シェアハウさない」)、国家権力により「コミ…
朝井リョウ,2016,何様(なにさま),新潮社.(4.30.25) 何者かになったつもりの自分に裏切られ続ける毎日。光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる。『何者』アナザーストーリー作品集。生きていくことは、何者かになったつもりの自分に裏切られ続けることだ。光を求めて進み、熱を感じて立ち止まる――今秋映画化される『何者』アナザーストーリー六篇を収録。光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。理香と隆良の出会いは? 瑞月の父に何があったのか。拓人を落とした面接官の今は……。「就活」の枠を超えた人生の現実。直木賞受賞から3年、発見と考察に満ちた、最新作品集。書下ろし作品も収録。 たまたま運に恵まれ…
初めて、中古車買取査定一括依頼サイトを利用した。 案じていたとおり、買取業者から次々に電話がかかる。 なかでも、ネクステージからの鬼電には参った。 「いますぐの売却は考えていない、売却時にはこちらから連絡する」と言っているのに、異なる電話番号から、「いますぐ査定させろ」と言わんばかりの鬼電の嵐。 kuruma-byebye.com ネクステージに査定を依頼すれば、しつこく売れ売れとさらなる鬼電がかかってくるのは必定。 中古車が欲しくてネクステージの店舗に行ってしまった人は、しつこく買え買えと鬼電くらうのだろうな。 正規ディーラーも、運転人口減少により自動車市場が縮小するなか、中古車販売に力を入…
柴崎友香,2018,公園へ行かないか?火曜日に,新潮社.(4.28.25) 世界中から来た36人の作家と小説を読み、議論をし、街を歩き、大統領選挙を経験した作家が感じた現在のアメリカを描く連作小説集。アメリカにいるから、考えること。そこにいないから、考えられること。2016年11月8日、わたしはアメリカで歴史的瞬間に居合わせた、はずだった――。世界各国から作家や詩人たちが集まる、アイオワ大学のインターナショナル・ライティング・プログラムに参加した著者が、英語で議論をし、街を歩き、大統領選挙を経験した3ヶ月。現地での様々な体験から感じたことを描く11の連作小説集。 柴崎さんと、世界各地からアイオ…
柴崎友香,2023,続きと始まり,集英社.(4.27.25) 第60回谷崎潤一郎賞受賞第74回芸術選奨文部科学大臣賞受賞 あれから何年経っただろう。あれからって、いつから? どのできごとから?日本を襲った二つの大震災。未知の病原体の出現。誰にも同じように流れたはずの、あの月日──。別々の場所で暮らす男女三人の日常を描き、蓄積した時間を見つめる、叙事的長編小説。 始まりの前の続き、続きの後の始まりを見下ろし、あの中のどこかにわたしもいる、と思った。(一穂ミチ・作家) パートタイム労働者の優子、飲食店従業員の圭太郎、カメラマンのれい、この三人の主人公の身の上に、なにか大きな出来事が起きるわけではな…
PrimareのプリアンプとCambridge Audioのパワーアンプに代わり、Pioneerのプリメインアンプ、A-70Aを設置。 A-70A、久方ぶりの出番、である。 USB DACとバランス接続。 デジアンらしい寒色系の音色。 足し算も引き算もしない、味も素っ気もない音。 まあ、ながらリスニングの音としてはじゅうぶんかな。 金属削り出し風の筐体が美しい。
そうだ!ヒグチさんに聞いてみよう──92歳に学ぶ老いを楽しく生きるコツ
樋口恵子,2025,そうだ!ヒグチさんに聞いてみよう──92歳に学ぶ老いを楽しく生きるコツ,宝島社.(4.25.25) シニアライフの悩みを解決するコツについて、37のクエスチョンをヒグチさんに答えていただく書籍です。90代でもシニアライフを生き生きと楽しくすごすには、どのようなコツがあるのでしょうか。社会生活、住まい、家族、お金、病気、怪我、介護、終活など92歳になったヒグチさんなら、これまでの人生経験から体得した知恵で、読者のさまざまな悩みをたちどころに解決することができます。 老いの人生相談。一人で食事するのが寂しいときはどうすればいい?墓にこだわりはありませんが夫の墓はどうすればいい?…
職場で使っていたノートパソコン@Windows 10を廃棄するため、SSDのデータを消去・・・正確には消去、ではなく、任意の文字列をSSD全体に書き込み、元データを復元できないようにした。 「MiniTool Drive Wipe Free」という優れたフリーソフトを使い、データ「消去」は難なく完了。 forest.watch.impress.co.jp Linux Mintで稼働させているメインパソコンは、たまあにブラウザがフリーズする以外、順調で快適。 Windowsみたいに、バッググラウンドでなにやってるかわからない、なんのプログラムがインストールされるのかわからんままアップデートが進行…
朝井リョウ,2019,死にがいを求めて生きているの,中央公論新社.(4.24.25) 植物状態のまま病院で眠る智也と、献身的に見守る雄介。二人の間に横たわる“歪な真実”とは?毎日の繰り返しに倦んだ看護師、クラスで浮かないよう立ち回る転校生、注目を浴びようともがく大学生、時代に取り残された中年ディレクター。交わるはずのない点と点が、智也と雄介をなぞる線になるとき、目隠しをされた“平成”という時代の闇が露わになる―“平成”を生きる若者たちが背負う自滅と祈りの物語。 読みながら、大学生時分、ヒリヒリするような過敏な自意識と脆弱な自尊感情を持て余し、翻弄されていたことを思い起こした。 雄介は、「社会に…
朝井リョウ,2020,スター,朝日新聞出版.(4.23.25) 国民的スターって、今、いないよな。…… いや、もう、いらないのかも。誰もが発信者となった今、プロとアマチュアの境界線は消えた。新時代の「スター」は誰だ。作家生活10周年記念作品〔白版〕「どっちが先に有名監督になるか、勝負だな」新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞した立原尚吾と大土井紘。ふたりは大学卒業後、名監督への弟子入りとYouTubeでの発信という真逆の道を選ぶ。受賞歴、再生回数、完成度、利益、受け手の反応――作品の質や価値は何をもって測られるのか。私たちはこの世界に、どの物差しを添えるのか。朝日新聞連載、デビュー10年…
フランソワ・デュベ(山下 雅之監訳、濱西栄司・渡邊拓也訳),2014,教えてデュベ先生、社会学はいったい何の役に立つのですか?,新泉社.(4.23.25) 社会学は、生物学や工学ほど「役に立つ」ものではない。しかし音楽、絵画、哲学や文学より「役に立たない」わけでもない。それって、結局、どういうこと!?社会学は役に立つ?立たない? 本書は、フランスの高校生に向けて編まれた、諸学問の入門書シリーズの一冊であるが、高校生には少し難解過ぎる内容だ。 社会学はぬえのようにわかりにくいというのは、わたしの学部生時代から変わっていないし、就職も、文学系よりは良いものの、法学部、経済学部、商学部等よりは不利、…
使用しなくなったスマホ5台を、最寄りの○フトバンク代理店に持ち込む。 端末を回収する際には、IMEI(端末識別番号)が必要とのことで、けっこう手間がかかった。(IMEIの把握のためにスマホを起動する必要があるため、回収してもらう際は、バッテリーに充電しておきましょう。) ○フトバンクの回線や端末を利用していたわけではないのに、店員さんに気の毒で仕方なかった。 せめて、1台1,000円くらいでも、リサイクル手数料をとってくれれば、気が楽になるのだけどな。 そのあと、プリンターカートリッジの回収ボックスが設置してあるC郵便局に向かう。 モノを買うというのは、廃棄物を産み出すということだ。 メーカー…
アルテイシア,2023,生きづらくて死にそうだったから、いろいろやってみました。,講談社.(4.21.25) 『フェミニズムに出会って長生きしたくなった。』や『モヤる言葉、ヤバイ人』などで知られるアルテイシア氏の「&Sofa」に掲載された最新コラム集。毒親問題からフェミニズムまで、ヘビーな内容もストレスフルな現象もコミカルに楽しく語ります。書籍撮り下ろしで、太田啓子さんと犬山紙子さんとの対談も2本収録! 毒親、親ガチャ、自己肯定感の呪い、異性が苦手、結婚・出産の呪い、恋愛に興味がない…いろんな生きづらさから解放される爆笑コラム集!! アルテイシアさんの言語のセンスは抜群だなあ。 中年じゃなく若…
4/14、gooブログサービス、突然の終了のお知らせ。 www.iza.ne.jp そんなわけで、ここ数日間をかけて、gooブログの投稿記事と画像とをHatenaブログに移行した。 とても時間がかかったけれども、あっけないほど簡単な操作で作業を完了できた。 gooブログへの初ポストが2005年7月3日なので、20年近く利用してきたことになる。 数年間、Facebookに投稿を移したことがあったけれども、記事検索が容易なデータベースとしての使い勝手はgooブログがはるかに上、であった。 Hatenaブログのインターフェイスは、gooブログと似た点が多く、それも含めてすんなり移行できたのは幸いであ…
朝井リョウ,2019,どうしても生きてる,幻冬舎.(4.21.25) 死んでしまいたい、と思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。(『健やかな論理』)。家庭、仕事、夢、過去、現在、未来。どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろう。(『流転』)。あなたが見下してバカにしているものが、私の命を引き延ばしている。(『七分二十四秒めへ』)。社会は変わるべきだけど、今の生活は変えられない。だから考えることをやめました。(『風が吹いたとて』)。尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が映されているような気がした。(『そんなの痛いに決まってる』)…
雹月あさみ,2025,猫がこっちを見る理由,KADOKAWA.(4.20.25) お風呂から出た私は、冷凍庫から「冷凍果実シリーズ 完熟キウイバー」を選ぶと、ドラマを見るためにソファへと座った。そこには飼い猫のキジトラミックス・マルが、名前通り文字通り、丸くなって眠っている。ドラマには犬系彼氏やキツネ系イケメン俳優が出ており、画面から目が離せずにいると、気づけばマルがじっとこっちを見つめてきて……。(「ヘアゴム」より) 彼女は予告なしに猫を連れてやってきた。今から数日、猫を預かって欲しい、と。だけど僕には問題がいくつかあった。まずは、僕が猫アレルギーだということ。案の定くしゃみが止まらない。そ…
ジャック・アタリ、ステファニー・ボンヴィシニ(樺山 紘一 日本語版監修、大塚宏子訳),2009,図説 「愛」の歴史,原書房.(4.20.25) 「愛」はどこへいくのか?知の巨人ジャック・アタリが語る男と女の過去・現在・未来。218におよぶ図版とともに描く21世紀の愛のゆくえ。 ふんだんに図版が取り入れられており、視覚的にたいへん楽しめる内容の書物となっている。 デズモンド・モリスの『マンウォッチング』を彷彿とさせる。 ジャック・アタリとステファニー・ボンヴィシニは、キリスト教圏のヨーロッパを中心に、人類のセクシュアリティと結婚制度の変遷をたどる。 記憶に定かなことではないが、子どもの頃、悪ガキ…
女性から虐待されている男性へ──女性はなぜ傷つけ、男性はなぜ留まってしまうのか
アン・シルバース(上田勢子訳),2025,女性から虐待されている男性へ──女性はなぜ傷つけ、男性はなぜ留まってしまうのか,明石書店.(4.19.25) 「どうしようもありません。だって、自分の身に何が起きているか、どんな思いをしているか、周囲に気づいてもらえないのですから。ただ頑張り続けるしかありません」それは、DV/虐待です。 ジェンダー間での虐待は、その多くが男性から女性に対して行われるものであるがゆえに、その逆、女性の男性に対する虐待はなかなか取り上げられない。 難しいのは、女性が加害者で男性が被害者のケースを取り上げると、男性による女性への加害を軽視しているとさえ思われてしまう点にある…
マンション管理組合の今年度第一回の理事会。 小生、今年度、りじちょーという厄介な職務を背負ってしまったのだが、しょーがないなー、一年限りだし、引き受けるしかあんめー、みたいな。 議題は、マンション共用部総合保険契約内容の検討(T保険会社担当者の説明と質疑応答)、月次会計報告、今年度事業計画など。 議事の進行、意見の集約、合意、採決を見越した提案等は、長年の経験もあり、お手のもの。 手八丁はないけど、口八丁。笑 感情に流された意見を言う人は、巧いこと言いくるめて(笑)いなす。 仕事から解放されて、お金の心配もいらず、悠々自適の生活をおくれるのはありがたいことなんだろうが、自分の能力を活かせる場が…
向谷地生良,2025,向谷地さん、幻覚妄想ってどうやって聞いたらいいんですか?,医学書院.(4.18.25) 精神医療の常識を溶かし、対人支援の枠組みを更新しつづける「べてるの家」の向谷地生良氏。当事者がどんな話をしても彼は「へぇー」と興味津々だ。その「へぇー」こそがアナザーワールドの扉を叩く鍵だったのだ!大澤真幸氏の特別寄稿「〈知〉はいかにして〈真実〉の地位に就くのか?」は“良心的兵役拒否者”である向谷地氏に言語論から迫る必読論文。 本書は、精神疾患、主に統合失調症の当事者たちによる生活共同体、「べてるの家」でソーシャルワーカーとして活動してきた向谷地生良さんへのインタビュー録と、大澤真幸さ…
仕事場の荷物を整理していたら、珍物を発見。 卒論。笑 いやいやいや、懐かしいやら、恥ずかしいやら。 卒論は卒業した大学の研究室に永久保存されるはずなんだが、なんで手元にあるのか、わからんちん。 どうも写しっぽいので、別途、綴じておいたのか。 時代を感じるのは、手書きってこと。 われながら、丁寧に書いたのだなあ。 ひとしきり感傷にふけったら、燃えるゴミゆき。 専門社会調査士の認定証も廃棄廃棄。 理想を言えば、死ぬときまでに蔵書をすべて読了し廃棄すること。 死ぬまで、目を腫らしながら、がんばろー。
山田昌弘,2025,希望格差社会、それから──幸福に衰退する国の20年,東洋経済新報社.(4.17.25) 「バーチャル世界」で格差を埋める人々が急増。「パラサイト・シングル」「希望格差」「婚活」などの言葉を世に出した稀代の社会学者による現代日本社会の実像。 「希望格差」が拡大し、将来に希望を託せなくなっても、生活満足度が高いのは、推し活、オンラインゲーム等の「バーチャル世界」、ペットやキャバクラ等の接待飲食、性風俗サービス等の疑似家族、疑似恋愛で、リアルでは充たされない欲望を擬似的にかなえられるようになったから、こう山田先生は指摘するのだが。 そして、令和になると、リアルな社会に希望を持て …
三宅秀道,2012,新しい市場のつくりかた,東洋経済新報社.(4.16.25) ウォシュレットに象徴される新商品は、わたしたちの嗜好や生活そのものをつくりかえる。 ニーズが先にあってそれを充足する新しい商品やサービスが開発されるのではなく、新しい商品やサービスが新たなニーズを創出する。 すでにある問題を解決するだけではなく、新たに問いを立ててその解決策を模索していくのは、イノベーションの基本だ。 どのようなヒット商品も、やがて陳腐化、コモディティ化する。 本書は、嗜好、価値観、ライフスタイルの革新を射程に入れたマーケティングとエンジニアリングの重要性を教えてくれる。 目次さよなら技術神話新しい…
シャンタル・ムフ(山本圭・塩田潤訳),2019,左派ポピュリズムのために,明石書店.(4.16.25) ギリシャのシリザ、スペインのボデモス、米国のサンダース、英国のコービン、不服従のフランスのメランション…。“少数者支配”に立ち向かう。民主主義を回復・深化させるためのラディカル・デモクラシー戦略。 ポピュリズムは、「大衆迎合主義」として批判的に捉えられてきたが、新自由主義勢力による緊縮財政や国家権力による人権抑圧に抵抗する人々の運動を指して、肯定的に捉える向きもある。 ムフは、後者の立場だ。 予定調和的な「熟議デモクラシー」ではなく、「闘技デモクラシー」へ。 たしかに、社会運動による異議申し…
美馬達哉,2012,リスク化される身体──現代医学と統治のテクノロジー,青土社.(4.15.25) メタボリックシンドローム、パンデミック、医療「崩壊」、大震災…。私たちはいま、ミクロからマクロまで無数のリスクに脅え、絶えず自己管理を迫られている。こうした風景がもはや日常化した現代社会の知られざる陥穽を、精緻な分析のもとで明らかにする。 半ば義務化した健康診断の数値に一喜一憂し、自らの健康状態をモニタリングして生活習慣を改めることをせずにして病気になった場合、病者の自己責任が問われる「リスク化される身体」の時代。 「リスク化される身体」を生きる人々は、自らの身体の外部にあるリスク要因に敏感にな…
トニ・モリスン(荒このみ訳),2019,「他者」の起源──ノーベル賞作家のハーバード連続講演録,集英社.(4.14.25) 社会の分断やヘイト運動が世界中で大きな問題となっている。なぜ、人の心は「よそ者」を作り出し、排除や差別をしてしまうのだろうか?本書は、アフリカ系アメリカ人初のノーベル文学賞作家トニ・モリスンが、そんな「他者化」のからくりについて考察した画期的論考。過去の白人作家たちが作品に隠蔽した人種差別を暴き、その欺瞞を鋭く突きながら、一方で自著の解説と作品の仕掛けも大胆に明かしていく。 白人が黒人を「他者化」し、差別、抑圧する。 それだけでなく、黒人内部においても、出自はどこか、先祖…
湊かなえ,2025,C線上のアリア,朝日新聞出版.(4.13.25) 中学生の時に両親を事故でなくした美佐は、叔母に引き取られ、高校時代を山間部の田舎町で過ごす。それから約30年、叔母に認知症の症状が見られると役場から連絡があり、懐かしい故郷を訪れる。かつて、美しく丁寧に暮らしていた家はごみ屋敷と化していた。片付けを進めていくと、当時の恋人から借りた本を見つける。あったかもしれない未来をのぞき見するような思いで、本を返しに行った美佐は、衝撃的な場面を目撃する。担い手となった女性たちの心の声が響く介護ミステリ。 主人公の美佐は、育ての親である叔母、弥生が認知症を患ったことから、弥生の住まい、いま…
福山哲郎・斎藤環,2018,フェイクの時代に隠されていること,太田出版.(4.13.25) ヤンキー文化、安倍晋三、トランプ等による民主主義の破壊、ポピュリズム、ポストトゥルース、反知性主義、引きこもり、自殺、不登校、精神科医療の問題、オープンダイアローグ等、多岐にわたる事象について、なかなかおもしろい対談が繰り広げられている。 いくら「正論」を主張したところで、他者の「感情」を損なえばそれは無為に帰すとの斎藤さんの指摘にハッとした。 「感情」に訴求するだけの「反知性」を支持するわけにはいかないが、現実政治が反知性の感情により動かされていることを考えると、わたしたちは、賢い説得のやり方を模索す…
田中淳夫,2016,樹木葬という選択──緑の埋葬で森になる,築地書館.(4.13.25) 自然の中で眠りたい。遺骨を土に埋葬し、石ではなく樹木を墓標とする、樹木葬。里山を守りたい、自然の一部になりたい、継承の手間をかけたくない、無縁墓とも無縁でいたい、そんな人たちの注目を集める新しい「お墓」のかたちを徹底ガイド。樹木葬を行えるお寺も掲載。 わたしは、叔父と父、二人の葬儀に参列し、火葬したあとの骨を骨壷に納めた経験がある。 骨を納めるときの、強烈な熱気と異臭は忘れられない。 父の骨壷を、墓に収めることまでした。 そして、不可解な死者の埋葬儀礼に、強い違和感をもった。 山林を切り開き、見渡す限り墓…
酒井順子,2019,センス・オブ・シェイム──恥の感覚,文藝春秋.(4.12.25) 世間様に、どう見られているか。ネット社会に、何をさらすか。日本人の恥の感覚は、SNS時代到来によって激変した!フェイスブックでの自慢バブルを斬った「中年とSNS」がネットで大反響!!共感の嵐を呼び起こす傑作エッセイ集。 ルース・ベネディクトの『菊と刀』は、社会学専攻生がまっさきに読むべきとされる書物であったが、それに依れば、キリスト教圏の欧米が「罪の文化」であるのに対し、日本は「恥の文化」、とされる。 読んだ当時は、へえ、そんなもんかねえ、と思ったものだったが、現在は、どの文化圏の人々も、罪と恥の意識のアマル…
岡野八代,2025,ケアの倫理と平和の構想──戦争に抗する (増補版),岩波書店.(4.11.25) 戦後も続く暴力の連鎖のなかで、フェミニズムは人間の「傷つけられやすさ」を見据え、ケアの視点から平和を論じてきた。「慰安婦」問題、9・11、ガザ…。「正戦」「自衛」の名の下で人間を破壊する戦争の本質を明らかにし、平和の構想を紡ぎだす。対談「戦争に抗する思想―フェミニズムから平和を構想する」(岡野八代×三牧聖子)を収録。 「テロとの戦争」と米国フェミニズム、「慰安婦」(性奴隷)問題、立憲主義等についての考察内容には、ほぼ賛同できるものの、「ケアの倫理」と反戦、平和との関連については、うーん、どうな…
マイノリティの「つながらない権利」──ひとりでも生存できる社会のために
雁屋優,2025,マイノリティの「つながらない権利」──ひとりでも生存できる社会のために,明石書店.(4.10.25) ここでもまた、コミュ力ですか?何らかのマイノリティ属性をもつ人は、生存に必要な情報を得るために当事者コミュニティへのアクセスがほぼ必須であり、コミュニケーション能力によってさまざまな差が生じている。マイノリティがつながることを半ば強いられている状況のなか、マイノリティは“つながらなければならない”のかを、根本から問い直す。本田秀夫さん(精神科医)、飯野由里子さん(東京大学特任教員)、相羽大輔さん(愛知教育大学准教授)へのインタビューを収録。 雁屋さんは、アルビノ、自閉スペクト…
「ブログリーダー」を活用して、faketkさんをフォローしませんか?