生活や娯楽、見かけた事柄についての感じたこと、思ったこと。その他とりとめのない色々なことを噛み砕いたり噛み砕かなかったりして綴っていきます。いつもより感傷的だったり理性的だったりドラマチックだったりするのも私。
2023年12月
《十六・それだけのこと》 sideB 自分がこんなドジだとは思わなかったよ。ほとほと自分に嫌気がさす。まさか歩道橋から落ちるとはなぁ。笑うしかないだろもう。俺は嬉しそうに下で待つ顔を見て、心だけじゃなく足元まで揺れてしまった。すべて終わったんだなぁ。皆馬鹿だと思うだろうな。こんなあっけない…。俺もそう思うさ。でも神様の優しさなのか全然後悔はしてないんだ。あいつが泣いているのが見えた。きっと俺にひどくフラれるよりずっと辛い結末になっただろう。愛する人を失いまさしくどん底だろう。そしてきっと一生俺を忘れない。これは、それでいいんだ。 明るさに憧れたことなんかただの一度だってなかったさ。 春海 晶穂
《十五・夢のよう》 sideA 君って黒とか紺色とかより爽やかな明るい色が似あうって思ってたけど白は似合わないんだね。初めて知ったよ。今日は最期になったのに初めてばっかりだわ。彼女も駆けつけたのよ?何故かね。あなたとは一夜だけだったとわざわざ言いに。泣いてた。女って怖いのよ。あなたがあの日、女の人と過ごしていたことを初めて知った。あなたが白が似合わないのを始めて知った。あなたのお父さんと妹さんを初めて見た。そして初めて救急車に乗った。君との初めてはいつも楽しいことばかりだった。そのつけが急にきたのかしら。これからどうしたらいいのか全然分からないの。急に君を、愛する君を失って。 指を見つめ、絡め…
《十四・加速した日々》 sideB 驚くと思う。俺はあの日帰ってきて罪悪感からなのかな。おまえの頬にキスをして気づいた。好きだと。嘘だ。分からないんだ。好きになるわけないのに。どれを演じていたんだ。最初は。今は。どれを。誰を。…もう分からなかった。でも確かなことは今更戻れないという事。乱れた心はもう時間がないように感じられた。もう少しで1年の記念日だと嬉しそうな様子を思い出す。その日だと決心した。その日まで。お前が俺を手放せないほど愛するように。そしてあの歩道橋をおりたところで終わりを告げよう。
《十三・あまりに急なことだった》 sideA 本当にどうしてこうなったんだか教えてよ。私たち何かした?…神様って本当にひどいのね。君もたった一度の過ちであんまりだって思うでしょう?でもそうね、私に何か不満があったからあの日帰らない選択をとったんだよね?君ってあんまりに優しいから何がそこまで不満だったのか分からないよ。ちゃんと教えてくれなきゃさぁ。あぁ、そういえばさっき君のお父さんと妹さんに会ったの。妹さん驚いた顔してた。信じられなかったのでようね。私も同じだったわ。
2023年12月
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