「ビタミンDが骨の健康に重要」というのはビタミンDが欠乏するとクル病・骨軟化症になることを考えれば当然のように思えます。しかしある程度充足している場合にビタミンD投与が骨粗鬆症や骨折発生に予防的に作用するか?というと、これはそれほど自明なことではありません。「ビタミンDを投与したけど骨密度変わりませんでした」とか「骨折減りませんでした」という論文は山ほどあります。この理由の一つとして、血清ビタミンD濃度が季節(日照時間)や体脂肪の影響を強く受けることが挙げられます。特にスウェーデンなどの北欧の国では冬季には日照時間がきわめて短いため、季節による影響は大きいと考えられます。この研究はSwedishMammographyCohortの5000名のデータを用いてビタミンDの充足状態を反映する血清25-ヒドロキシビタミ...血清中ビタミンD濃度の骨折に対する影響は季節で異なる
Wolbachiapipientisは蚊に感染する細菌ですが、この細菌に感染した蚊はデング熱ウイルスへの感染抵抗性であることが明らかになっています。Utariniらはデング熱ウイルスを媒介するネッタイシマカに感染し、蚊の寿命には影響しないWolbachia株を樹立しました。この細菌を感染させたネッタイシマカをデング熱流行地域に放出することによって、デング熱ウイルスを保持するネッタイシマカが減少し、対照群と比べてデング熱の発生が77%抑制されました。一方で殺虫剤を使用した場合にはこのような感染減少はみられませんでした。これは20年以上という長い年月にわたる根気強い研究が結実したもので、殺虫剤のように環境汚染を生じることなく感染を制御する画期的な研究成果です。NEnglJMed2021;384:2177-2186....寄生細菌を用いたデング熱の制圧
老化細胞除去によってCOVID-19の重症化が抑制される可能性
細胞老化(cellularsenescence)とはDNA損傷、がん遺伝子の活性化、ストレスなどで誘導される持続的な細胞増殖の停止を表す現象として、LeonardHayflick博士によって提唱された概念です(ちなみにHayflick博士は様々なワクチン産生に使用された正常ヒト細胞株WI-38細胞を樹立した人でもあります)。細胞老化は必ずしも生体の老化と一致するわけではありませんが、老化細胞(senescentcells,SnC)は細胞老化関連分泌形質(senescence-associatedsecretoryphenotype,SASP)を産生することで炎症慢性疾患、年齢に関連した機能不全などに関与する可能性が示唆されており、最近では東京大学医科学研究所の中西真教授らがGLS1阻害薬が選択的に老化細胞を除去...老化細胞除去によってCOVID-19の重症化が抑制される可能性
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