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書に耽る猿たち https://honzaru.hatenablog.com/

本と猿をこよなく愛する。本を読んでいる時間が一番happy。読んだ本の感想、本の紹介、本にまつわる色々な話をしていきます。世に、書に耽る猿が増えますように。

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2020/02/09

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  • 『君の名前で僕を呼んで』アンドレ・アシマン|たぶん映画のほうが良さそう

    『君の名前で僕を呼んで』アンドレ・アシマン 高岡香/訳 オークラ出版[マグノリアブックス] 2024.07.25読了 かなり密度の濃い恋愛小説だ。一言でいえばBL小説になるのだろうが、それにとどまらない一途な崇高さが溢れんばかり。相手が異性でも同性でも、人を愛することには変わりはない。 毎年夏休みになると、大学教授である父親の助手として、エリオの家には若い研究者がひとり滞在することになっている。その年に来たのがオリヴァーだった。最初から気にかかっていたのだ。その想いは徐々に募り、はち切れんばかりとなり、妄想に、想像に、夢は膨らむ。正直なところ、最初の方はエリオの独白に恥ずかしくなってしまい読み…

  • 『ふぉん・しいほるとの娘』吉村昭|激動の時代を生き抜いた女たち|長崎に想いを馳せながら

    『ふぉん・しいほるとの娘』上下 吉村昭 ★ 新潮社[新潮文庫] 2024.07.23読了 しいほるとって、、シーボルトのことだよね?どうして平仮名で書かれているのかと真っ先に疑問に思う人がほとんどだろう。シーボルトが初めて日本に訪れて名を名乗ったとき、日本人には「ふぉん・しいほると」と聞こえたのだ。ひらがなで。当時は鎖国の時代、音がカタカナに変換されることはまずなかったろう。シーボルトといえば日本に西洋医学を広めた名医であり、鳴滝塾を開校し自分の知識と技術を広めた功績は大きい。これを読む前はそれくらいの知識しかなかった。 先日2泊3日の長崎旅行を無事に終えた。遠藤周作さんの『女の一生』上下巻を…

  • 『オーラの発表会』綿矢りさ|飛び抜けて自由な綿矢さんの新世界

    『オーラの発表会』綿矢りさ ★ 集英社[集英社文庫] 2024.07.10読了 海松子と書いて「みるこ」と読む。当て字なのかと思っていたら、どうやら「海松」には「みる」と読むこともあるようだ。海と松が一緒になるなんて乙だし、こんな名前だったら素敵だなと思った。しかしルビが振られていないところを読むときに「なんだっけ」と忘れてしまうから、途中から「みる貝のみる」と呪文のように確認していた。 この海松子のキャラがかなりいい。趣味が枝毛を切ることと凧揚げ。そして他人のことを脳内あだ名で呼び、極め付けは口臭からその人が食べたものを当てるという特技を持つ。つまり、やばい奴なのだ!これは相当イカれてる!そ…

  • 『プレイバック』レイモンド・チャンドラー|キザ過ぎるのにタフで魅力的

    『プレイバック』レイモンド・チャンドラー 田口俊樹/訳 東京創元社[創元推理文庫] 2024.07.08読了 チャンドラー氏が亡くなる前年に刊行された遺稿となる小説である。フィリップ・マーロウのシリーズとしては7作目で最後の作品だ。田口俊樹さんが訳された『長い別れ』がなかなか良かったので、新訳で出ていたこちらを読んだ。 マーロウは、ある弁護士から1人の女性の居所を突き止めて欲しいと依頼を受けた。目的は知らされるままに尾行をするが、彼女には何かあやしい、腑に落ちないところがある。そもそも、この依頼の目的は何なのか。マーロウは依頼の枠に留まらず、探偵の血が騒ぎ(プラスいつものごとく魅力的な女性に惹…

  • 『フルトラッキング・プリンセサイザ』池谷和浩|現実と仮想空間のきわ

    『フルトラッキング・プリンセサイザ』池谷和浩 書肆侃侃房 2024.07.06読了 タイトルの意味もよくわからないし、ことばと新人賞なるものも知らないし、著者の名前も初めて見る。それなのに手にしたのは、帯の滝口悠生さんの名前のせいだ。どんなものであれ彼がすすめるものには耳をすましたくなる。触れたくなる。そして「ことばと新人賞」というのは、最近陰ながら応援している書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)という出版社が主催する文学賞であった。 このまどろっこしさはなんなんだろう。冒頭の段落を読んでまず感じた。こう思ってこれをして何それをした、としつこいほどの細かい描写が続く。しかしこれが段々と癖になってく…

  • 『偶然の音楽』ポール・オースター|旅で出会った仲間とやり遂げる

    『偶然の音楽』ポール・オースター 柴田元幸/訳 新潮社[新潮文庫] 2024.07.04読了 やっぱりオースターおもしろい、というか好きだわ〜。数ページ読んだだけでその読み心地の良さにホッとする。マジで憎たらしいほど心地良い。先日都内の比較的大きな書店に行ったら、本棚2段程を使ってポール・オースター追悼フェアがささやかに開かれていた。大好きなオースター作品であるが、まだ未読の作品が3〜4冊あるので、この本を手にした。 金の真の強みは、いろんな物を与えてくれることではなく、金のことを考えずに済む余裕をもたらしてくれることなのだ。(29頁) 仕事も家族も何もかもを失ったナッシュだが、突然大金が転が…

  • 『テスカトリポカ』佐藤究|猟奇的でエグさ満載なこの世界

    『テスカトリポカ』佐藤究 KADOKAWA[角川文庫] 2024.07.01読了 単行本がずらっと並んでいるのを見て、この表紙が怖かった。これはなんの話なのだろう、得体の知れない恐怖が渦巻いている気がしていた。文庫になっても同じ表紙だったから少しだけ残念に思った。 テスカトリポカとはアステカ神話の神のこと。作中では「煙を吐く鏡」にテスカトリポカとルビが振ってある。そう、このテスカトリポカこそ、表紙で私に恐怖を植え付けたものの正体だ。もちろん想像上の形であろう。 麻薬密売に臓器売買。普通に生活をしていたら一切関わらない世界が、ここには当たり前のようにある。人を殺すことをものともせず、肢体を切断し…

  • 『グッバイ、コロンバス』フィリップ・ロス|青春は過ぎ去るもの

    『グッバイ、コロンバス』フィリップ・ロス 中川五郎/訳 朝日出版社 2024.06.27読了 アメリカを代表する作家フィリップ・ロスが全米図書賞を受賞した作品である。重厚で濃密な文体と重苦しいテーマのイメージがあるが、ロスにしては爽やかな小説だった。なんてことはない内容なのに、おそらく心に残りそうな作品。これがロスの処女作だという。 青春真っ盛りでまぶしい作品である。プールの中でたわむれる様子を読んでいるだけで、若者ならではのみずみずしさ、あけすけな感情がはち切れんばかりだ。いやらしさはなく、むしろ清々しく気持ちが良い。水がキラキラしているのと同じように、若い2人も輝いている。 順調に愛を育ん…

  • 『おしゃべりな銀座』銀座百点編|銀座が銀座であり続ける

    『おしゃべりな銀座』銀座百点編 文藝春秋[文春文庫] 2024.06.26読了 書店に売っているわけではなく銀座の店舗に置いてある小冊子が「銀座百点」である。1955年に創刊された日本初のタウン誌らしい。今は街の至るところにこうした冊子が置いてあるけれど、これが始まりだったとは。どこだったか覚えていないが、銀座のどこかのお店(もしかすると空也最中かな?)で昔見た冊子がこれだったのかも。不思議な大きさの雑誌で、銀座のことが書かれていたのは覚えている。 小さい頃は父親の転勤のため国内を転々としたが、小学校高学年からは神奈川県に住んだ。東京は隣だからもちろん都内に遊びに行くことも多かったが、若い時は…

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