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2019/07/19

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  • 書評:今野敏著、『呪護』(角川文庫)

    『呪護』は鬼龍光一シリーズの前作を含め第5作になります。出雲族を祖とする鬼道衆に属する鬼龍光一は陰の気が凝り固まって怒りや性欲に憑りつかれたようになる「亡者」の退治を生業とする祓い師で、黒づくめの服装がトレードマーク。同じく出雲族のトミノアビヒコを先祖とする奥州勢の安倍孝景は白づくめの服装に銀髪がトレードマーク。この黒白コンビが怪奇の分野を担い、現実主義の極みと言える警察側に属する警視庁生活安全部・少年事件課・少年事件第三係の巡査部長、富野輝彦が主人公で、怪奇物語に警察小説という器を与える役割を果たしています。しかし、この富野輝彦もトミノアビヒコの直系トミ氏に連なる者で、本人は自覚していないのですが、霊能系の能力を秘めているらしく、また、鬼龍と孝景と共に奇妙な体験を重ねるうちに、法律に基づく現実と霊能的観点から...書評:今野敏著、『呪護』(角川文庫)

  • 書評:松岡圭祐著、『JK』(角川文庫)

    『JK』というタイトルと言い、表紙の写真と言い、『高校事変』に続く高校生ヒロインの話だということが容易に察しがつきます。しかし、JKは女子高生の略ではなく、ジョアキム・カランブー(JoachimKarembeu1922─2004)のイニシャルで、「窮鼠は学ぶ。逆境が師となる。」という格言を言った人です。これが本作品の底流に流れるモチーフと言えます。物語は、川崎という指定暴力団の多い土地柄、懸野高校における不良の傍若無人ぶりとは対照的とも言える懸野高校の一年生・有坂紗奈の比較的平穏な日常生活から始まります。クラスでも人気があり、吹奏楽部とダンスサークルでも頼りにされ、バイト先の介護施設でも入所者たちに愛されていた。そんな彼女の座右の銘が上のジョアキム・カランブーの格言だ。彼女は笑顔を絶やさず、一見何の苦労もなさそ...書評:松岡圭祐著、『JK』(角川文庫)

  • 書評:原田マハ著、『暗幕のゲルニカ』(新潮文庫)

    100冊以上あった積読本の中に長いこと埋もれていた『暗幕のゲルニカ』。どうしてこの本を買ったのか、きっかけすらもう覚えていないのですが、どこかで誰かが勧めていて、何かしら興味を惹いたので買っておいたのでしょう。その価値はありました。本書は「アートの力とは何か」を世に問うミステリー。まさに『ゲルニカ』を生み出した画家、パブロ・ピカソが絵筆一本でゲルニカ空襲を行ったフランコ反乱軍とそれを支持したナチス・ドイツおよびムッソリーニ・イタリアのファシズムに、引いては戦争や暴力一般に対して「芸術は、飾りではない。敵に立ち向かうための武器なのだ」と立ち向かったように、観賞するための飾りではないアート、世に干渉するアート、政治的・社会的メッセージ性が濃厚なモダンアートの影響力を、小説という別の表現手段のアートで描く作品です。こ...書評:原田マハ著、『暗幕のゲルニカ』(新潮文庫)

  • 書評:今野敏著、『道標 東京湾臨海署安積班』(ハルキ文庫)

    『道標東京湾臨海署安積班』は短編集です。『道標』というタイトルが暗示するように、安積剛志の初任科時代(「初任教養」)から地域課(「捕り物」)などを経て刑事となり(「熾火」)、さらに出世して係長に就任し、彼を中心とした結束の固い安積班ができるまでの経過(「視野」、「消失」、「みぎわ」、「不屈」、「係長代理」、「家族」)や石倉進鑑識係長が安積の依頼を最優先で受けるようになったきっかけ(『最優先』)などが語られています。「不屈」、「係長代理」、「家族」の3編では安積班の最新メンバーである水野真帆が登場しており、時系列はほぼ本編と同じです。『東京ベイエリア分署』『神南署』『東京湾臨海署』の三期に亘って、三十年以上書き継がれてきた著者のライフワークなだけあって、登場人物も多く、以前に安積とであった人たちが立場を変えて再登...書評:今野敏著、『道標東京湾臨海署安積班』(ハルキ文庫)

  • 書評:今野敏著、『潮流 東京湾臨海署安積班』(ハルキ文庫)

    買ったまま放置して1年ほど経ってしまいましたが、積読本の山も小さくなってきましたので、手を付けることにしました。東京湾臨海署安積班シリーズはその前の東京ベイエリア分署シリーズも入れるとずいぶんとロングランのシリーズですが、主要キャラはほぼ同じでもマンネリ化しない作品群です。東京湾臨海署の強行犯係の安積剛志係長を中心にした物語ではあるものの、警察組織内の実に多くの人間がそれぞれの仕事をこなしながら協力したり対立したりして織りなす複雑な人間関係と、様々な事件を解決していくスーパーヒーロー不在のリアリティーが魅力です。さて、この『潮流』は安積班全員が比較的平和に署に詰めて書類処理などをしていたある日に急病人が3人立て続けに救急車で病院に搬送されたことから始まります。彼らにつながりはなく、共通点も見つからないのですが、...書評:今野敏著、『潮流東京湾臨海署安積班』(ハルキ文庫)

  • 書評:大野和基・編、『コロナ後の世界』 (文春新書)

    新型コロナウイルスが国境を越えて感染を拡大させる中、現代最高峰の知性6人に緊急インタビューを行い、世界と日本の行く末について問うた本書は、2020年3月の時点から見た未来考察であるため、その後のパンデミックの展開や現在のウクライナ戦争などはもちろん考慮に入れられていません。しかしながら、その時点でジャレド・ダイアモンド、ポール・クルーグマン、リンダ・グラットン、マックス・テグマーク、スティーブン・ピンカー、スコット・ギャロウェイの6人がどんな根拠を基にどのような未来考察を行い、どのような行動の提案を行ったのかを知るのは興味深く、示唆に富んでいます。彼らの提案は、その後の状況変化によって修正されるべき点がほとんどない普遍性のある指針でもあるため、一読に値します。[主な内容]ジャレド・ダイアモンド「21世紀は中国の...書評:大野和基・編、『コロナ後の世界』(文春新書)

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