書評:今野敏著、『呪護』(角川文庫)
『呪護』は鬼龍光一シリーズの前作を含め第5作になります。出雲族を祖とする鬼道衆に属する鬼龍光一は陰の気が凝り固まって怒りや性欲に憑りつかれたようになる「亡者」の退治を生業とする祓い師で、黒づくめの服装がトレードマーク。同じく出雲族のトミノアビヒコを先祖とする奥州勢の安倍孝景は白づくめの服装に銀髪がトレードマーク。この黒白コンビが怪奇の分野を担い、現実主義の極みと言える警察側に属する警視庁生活安全部・少年事件課・少年事件第三係の巡査部長、富野輝彦が主人公で、怪奇物語に警察小説という器を与える役割を果たしています。しかし、この富野輝彦もトミノアビヒコの直系トミ氏に連なる者で、本人は自覚していないのですが、霊能系の能力を秘めているらしく、また、鬼龍と孝景と共に奇妙な体験を重ねるうちに、法律に基づく現実と霊能的観点から...書評:今野敏著、『呪護』(角川文庫)
2022/05/25 21:46