イザナミの自伝 9 わたしたち夫婦は悩んでいた。子が産まれないのだ・・ いや、産まれてはいた。しかし手足の無いヒルコとか、泡となって消えたアワシマとか・・ 要するにこれからの国を作っていってくれる子が生まれないのだ・・・ 重苦しい空気がわたしたちの間に流れていた そのとき、イザナギが言った 「イザナミ、こうやって悩んでいてもしょうがない。ここはいったん、高天原に戻って、神々に相談してみようじゃないか」 わたしは力なくうなずいた。 確かにそれ以外に方法はなさそうだ・・・ そしてわたしたちは、再び天の浮橋を登って高天原に登っていった。 「おう、久しぶりだな」 「どうだ?国つくりはうまくいっているか…
イザナミの自伝 8 わたしは言った 「ああ、イザナギ・・なんて素敵な青年なんでしょう!」 と・・・ 続けてイザナミが言う 「ああ、イザナミ・・なんて素敵なお嬢さんなんだ!」 ・・・ああ、嬉しい・・・イザナギも喜びにあふれる顔をしている・・・ ・・・が・・・ そのイザナギ、一瞬、曇ったような眼をしたのをわたしは見逃さなかった・・・いったいどうしたのだろう・・・ あとでそのわけはわかるのだが、その時のわたしは深くは考えなった。 その夜、わたしとイザナギは結ばれたのであった 月日が過ぎた。わたしは子を産んだ。この世で初めての出産である。 しかし・・・ 産まれたその子を見て、衝撃を受けた!! その子は…
イザナミの自伝 7 イザナギは言った 「イザナミ!ぼくの身体の出来すぎたところと、君の身体のでき足りないところを合わせてみよう!」 え・・・何言ってるの・・・この人・・ それって・・・つまり・・・ 一瞬の沈黙が流れた。イザナギは真剣な目でわたしを見つめている・・ その目を見て、わたしの迷いはなくなった。この人を信じて、ついていこう! わたしは答えた 「ええ・・・いいわ・・」 そしてわたしとイザナギは、しっかり手を取り合ったのだった・・・ イザナギが言う 「よし、ならぼくらで夫婦の契りをかわそうじゃないか!」 「どうするの?」 「宮殿の中央に立つ、天まで届く天の御柱がある!この柱には神々の霊力が…
イザナミの自伝 6 わたしとイザナギは、オノゴロ島に建てた宮殿に入っていった これから、ここでイザナギと暮らすことになるのか・・・なんか、不思議な気持ちだった。なんか胸が高まり、顔がほてって熱い・・・ 何なの?この感じ・・・ すると、イザナギが振り返り、わたしのほうを見た。そのままじっと見つめている・・・ 今までに経験したことのない感触がわたしを襲っていた・・何なのだろう、この感触・・・恥ずかしいような、嬉しいような・・ わたしは言った「イザナギ、どうしたの?・・・」 ・・それ以上、言葉が続かなかった。 すると、イザナギがハッとしたように言った 「・・・いや・・・何でもない・・なあ、イザナミ・…
「ブログリーダー」を活用して、狩場宅郎さんをフォローしませんか?