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狩場宅郎
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2019/06/16

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  • 言葉を話さないホムチワケ

    野見宿祢の自伝 14 サホビコの反乱から十数年の時が経った。 陛下はサホビメさまの後、后とされたヒバスヒメさまと一緒に過ごされていた。陛下はサホビメさまと同じように、いやそれ以上にヒバスヒメさまを寵愛されていた。 そして、サホビメさまの忘れ形見となった皇子、ホムチワケさま。 陛下も、また義母となったヒバスヒメさまも、ホムチワケさまには深い愛情を注いで養育されていた。 わざわざホムチワケさまのために、尾張の相津(あいつ)に二俣に分かれた杉が生えているときけば、わざわざ伐採させて取り寄せた。そして二俣舟を作り、それを大和の市師池(いちしのいけ)や軽池(かるのいけ)に浮かべては、ホムチワケさまをその…

  • 悲劇、再び・・

    野見宿祢の自伝 13 サホビコの反乱は、陛下が率いる皇軍によって鎮圧された。 しかし、同時に陛下が寵愛していた后のサホビメさまも亡くなってしまった。 陛下のお悲しみは、見ていてもお気の毒なほどであった。表向きは公務に精を出していたが、その陰でサホビメさまへの思いは陛下の胸から離れなかったのだろう。陛下がおひとりになると、憂いに満ちた表情とともに大きなため息をつかれることが多々あった。 そんな折、丹波の国からミチノウシの娘4人が到着したとの報が入った。 サホビメさまは亡くなる間際、ミチノウシの娘をご自分の後の后として迎え入れるよう、陛下に進言しておられたのだ。 さっそく4人の娘は陛下の御前に通さ…

  • 最期

    野見宿祢の自伝 12 サホビメさまは後ろを振り向き、屋敷の中に入ろうとされていた. 陛下は慌てて叫ぶ 「待て!サホビメ!これを見ろ!お前との固い絆を誓って結んだ衣の紐だ!これをお前以外の、誰がほどくというのだ!!」 しかしサホビメさまは陛下に背を向けたまま、静かに話された。 「丹波に居りますミチノウシの4人の娘は、心は清く陛下に忠実な娘です。この娘たちにほどいてもらえばいいでしょう」 そういうと、サホビメさまは屋敷の中に入ってしまわれた。 「待て!待ってくれ、サホビメ!!」 陛下はサホビメを追っていこうとされる。 ・・・これはいけない、もう限界だ・・・ そう感じたわたしは、意を決して陛下の前に…

  • 御子の名前は

    野見宿祢の自伝 11 「サホビメ!聞こえるか!! 余の声が聞こえたら、門の外に出てきてくれ!!」 陛下はサホビコの屋敷に向かって叫ぶ。 ・・・どのくらいの時が立っただろうか・・・ サホビコの屋敷の門が開いた。そして出てきたのだ・・・サホビメさまが。しかしサホビメさまの両脇には、サホビコ軍の屈強な兵士が護っている。 「サホビメ・・・お前は余の后だ・・・帰ってきてくれ・・・」 陛下は泣くような声でサホビメに向かって仰せになった。 しかしサホビメさまは、悲しそうにうつむき、首を振って答える。 「陛下・・・大変お世話になりました・・・陛下のご寵愛、本当にうれしく思います・・・ ・・・しかし、わたくしは…

  • 天皇の叫び

    野見宿祢の自伝 10 サホビメさまを奪還する作戦は失敗に終わった。陛下の落胆は、見るに忍びないほどだった。 陛下は茫然とされていた・・・ ・・・しかし、陛下の心中は察するに余りあるが、そうかといって陛下がこのご様子では兵の士気にもかかわる・・・ わたしは陛下のおそばにより、声をかけた。 「陛下、これからいかがいたしましょうか?」 しかし、陛下は何も答えずに、力なく立ち上がったかと思うと・・・ふらふらと歩きだし、サホビコの屋敷に向かって行ったのだ! わたしはあわてて陛下に声をかける。 「陛下!それ以上前に行かないでください!それ以上行くと敵の矢に狙われます!!」 すると、陛下は立ち止まったかと思…

  • サホビメ奪還なるか?

    野見宿祢の自伝 9 サホビコの屋敷の扉が開いて、サホビメさまが出てきた。赤子を抱いている。 サホビメさまは仰せになる。 「陛下・・・陛下の御子でございます。どうぞ、お引き取りくださいませ」 そこで、陛下は選抜した兵士に「行け!」と命令される。 この兵士らはあらかじめ力が強く動きも俊敏なものを選抜しておいたもので、御子だけでなくサホビメさまも力づくで連れてくるように陛下から命令されていた。 兵士らはゆっくりとサホビメさまに近づいていく。 兵士らがサホビメさまの前まで来ると、サホビメさまは抱いていた御子をそっと差し出し、一人の兵士が御子を受け取った。 サホビメは御子を引き渡すと、振り向いて屋敷に戻…

  • サホビメを連れてこい!

    野見宿祢の自伝 8 皇軍はサホビコの屋敷を取り囲んだが、それ以上動けず膠着状態に陥っていた。屋敷の中には陛下が寵愛するサホビメさまがおり、サホビメさまは陛下の御子を懐妊している。うかつには踏み込めない。 そのまま時だけが過ぎた。 そんな時、サホビコの屋敷から使者がやってきた。 使者が言うには、サホビメさまは出産されたそうだ。男の子、皇子だという。 「そうか・・・余の子が生まれたのか・・・」 陛下は難しい顔をして、つぶやくように仰せになった。 使者は続けて口上を述べる。 「サホビメさまは、御子を天皇の皇子としてお認めになるのならば、引き取って天皇陛下のもとで養育してほしいと仰せになっております。…

  • サホビメが懐妊!

    野見宿祢の自伝 7 陛下は自ら皇軍を率いてサホビコの屋敷まで進軍された。わたしも陛下のおそばについて馬を進めていった。 サホビコの屋敷まで進軍すると、皇軍はぐるりと屋敷を取り囲む。屋敷はうずたかく稲束が積み上げられて固く守られている。 そして屋敷の中には、陛下の后であるサホビメさまがいるのだ。陛下はサホビメさまをとても寵愛していらっしゃる。 なので屋敷を取り囲みはしたが、陛下は攻撃をかけることは躊躇されていた。しばらくそのまま時が過ぎた。 そんな時、サホビコの屋敷に潜入している密偵から報告が入ってきた。 「サホビメさまはご懐妊されています」 その報に陛下は驚かれたようだ。 「なに、懐妊!・・・…

  • サホビメがいない!

    野見宿祢の自伝 6 わたしは陛下からサホビコ追討のため軍勢の招集を命令された。 さっそくわたしは各所に指示を出し、兵士を集め軍備を整えさせた。それが終わると、陛下のもとに報告に行った。 「陛下、出陣の準備が整いました」 「うむ、ご苦労。それでは早速・・・」 陛下がそう言いかけたときのことだった。 そこに、陛下の側近の一人が慌てて駆け込んできた。 「陛下!大変です!お后様・・・サホビメさまが宮殿を抜け出し、サホビコの屋敷に入っていったそうであります!!」 「なに!本当か!!」 わたしも陛下も驚きの声を上げた。 「はい!間違いありません!攻撃に先立ちサホビコの屋敷を監視していた兵士からの報告です!…

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