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  • ほら探日記Ⅱ-38 わだかまり 2

    保来家は山間から離れた中核都市に別宅を持っていた。その家に、ユキに女将の座を譲って引退した祖母が一人で暮らしていた。 やはり街の方が買い物も病院に行くのも便利だからである。 保来信次郎は、進学するに当たってその街にある高校を選んだ。高校生活は祖母と一緒に始まった。 ...

  • ほら探日記Ⅱー37 わだかまり 1

    信次郎は一人自宅で退屈な日々を過ごす。案の定、探偵社は閉めてる。 《只今遠地に調査作業に出向いていますので、暫くの間、保来探偵社事務所を閉めさせて頂きます》 そんなような内容を、留守番メッセージに残す。 「この際だ、海外旅行にでも行ってこようかな」 そう思ったが、旅慣...

  • ほら探日記Ⅱー36 初対面 3

    普段の信次郎なら、部屋に入るなりドカッと座り胡座を掻くのだが、今回は母・ユキと彩音との対面がどんな展開になるのか心配で、座る気になれず立ち尽くしたままだった。 そう、いざとなったら彩音と共に部屋から逃げ去る準備をしていたのだ。 「貴方のお父さん、元気なの?」 ユキの夫...

  • ほら探日記Ⅱー35 初対面 2

    保来信次郎は、ハンドルを握りながらも、彩音と母・ユキの顔合わせを心配して気持ちが落ち着かない。 「彩音が母さんに酷い目に遭わなかったとしても、親父の件はどうするんだ。彩音に説明させるのか?」 「そうね。どうなのかしら?」 「オイオイ。無責任だぞ、和ちゃん」 「そうなったら...

  • ほら探日記Ⅱー34 初対面 1

    初対面 保来探偵事務所は今日も暇である。本当にいつも暇なのである。平原彩音もこの状況にもう慣れた。 「丸畑さんの調査は、彩音も頑張ったらしいじゃないか」 母親の違う妹と分かってからは、信次郎は彩音の名を呼び捨てにしている。 「和ちゃんが褒めてたぞ。演技力が良いって。結...

  • ほら探日記Ⅱー33 恋慕の果てに 4

    保来信次郎は、調査報告書を丸畑に渡さず、おもむろにページをめくる。 「結実子さんは、埼玉の地方都市で建築業をしている人と結婚しています」 「そいつは、いや、その人は歌手の卵だったと言う奴じゃないだろうね」 丸畑は、保来の話をぶった切って入って来た。 「先ず、違うでしょ。...

  • ほら探日記Ⅱー32 恋慕の果てに 3

    10時を回った頃、和枝はフロントに向かった。 「女将さんに伺いたいことがあるのですけど、お時間頂ければ有り難いのですが」 年老いた受付の男性は、女将を呼びに行ってくれた。 「どんなご用でしょうか?」 50代くらいの女性だ。 「こちらに、由井結実子さんと仰る女性が居ると...

  • ほら探日記Ⅱー31 恋慕の果てに 2

    帰りもまた、渋滞に嵌まった。ノロノロ運転していると後ろの車がクラクションを鳴らして来た。ルームバックミラーで確認するも、一度は無視する。しかし、何度も鳴らすので、顔を出し後方に目を向ける。 すると、後車の運転手が腕を出し、彼の車のタイヤを指差している。 砂利を引き詰め...

  • ほら探日記Ⅱ-30 恋慕の果てに 1

    恋慕の果てに ここまで聞いた保来信次郎は、丸畑の最初に語った内容とは随分違うと思う。これは、大恋愛でなく、大片思いだ。それも、保来の感じる所では、由井結実子なる女性は丸畑を、殆ど眼中に置いてない雰囲気だ。 第二候補、第三候補であろうと、そんな男達に多少なりとも好意を持...

  • ほら探日記Ⅱ-28

    社会人となった丸畑は中堅クラスの会社に入る。その会社は支店が沢山あり、その支店の一つで営業業務に就く。 事務志望だったが、新人教育の一環として、営業を遣らされる。その支店には、年配の女性と若い女性が事務員として居た。 後は支店長と営業担当者が5人ほどのこじんまりした支...

  • ほら探日記Ⅱー28 信次郎珍しく動く 1

    宮下は、刑事という仕事が邪魔してか、なかなか彼女が出来なかった。いま、偶然にも彩音と知り合った。そして、彼は彩音に一目惚れのような感情を持つ。 また彩音も、上京してこの方、同年代の若者と触れ合う機会が無かった。彩音もまた、誠実そうな宮下に親しみを抱く。 とは言え、警察...

  • ほら探日記Ⅱー27 恋? 1

    恋? 相変わらず暇な保来探偵社。そこに一人の青年が訪れた。 「保来社長は居ますか?」 結構軽い雰囲気で事務所に入って来た。 「今、用があって席を離れていますが」 平河美咲が応対する。 「また、何時ものサボりですか」 随分と馴れ馴れしい砕けた言い方だ。 「保来に、どんな...

  • ほら探日記Ⅱー26 新たな頭痛 2

    実のところ、木村和枝が結婚したかどうかは微妙で、事実かどうかも分からない。和枝を知る多くの人達は、彼女が信次郎の見合い話を聞き、自ら身を引いたのではないかと見ていた。 当時、孝太郎を手伝って保来興信所の仕事を支えていた彼女が、唐突に「結婚するので」と一言残し辞めて去った...

  • ほら探日記Ⅱ-25 降って湧いた妹 1

    降って湧いた妹 この様な内容を話し終えるのに5時間ぐらい要した。何故か? 彩音の話があちこち飛びまくるからだ。 同級生の誰々ちゃんは性格が悪いとか、集配に来る運転手は小屋の後ろで何時もオシッコしていくだとか、家畜との出来事とか、本筋から外れる話が余りに多い。 保...

  • ほら探日記Ⅱ-24 巡り合わせ7

    彩音は高校を卒業して少しの間、牧場の仕事を手伝っていた。19歳に成る迄は牧場の仕事を手伝うと、母・幸恵と約束したからだ。 幸恵自身もやはり、両親から20歳になるまで東京行きを許されなかった。 もう一つ、牧場の仕事を覚えさせたなら、上京して何かあったら、その仕事を懐かし...

  • ほら探日記Ⅱー23 巡り合わせ 6

    娘の彩音が父・孝太郎を待ち構える。 「どうだったの?」 「どうだったって聞かれてもな。確かに、週刊誌に載ったのは息子の信次郎だったよ」 「それで、会って何話して来たの? 何か言われた?」 彩音にしてみれば、二十年間弱も音沙汰無しの父親が突然現れたのだから、特別な会話が有...

  • ほら探日記Ⅱー22 巡り合わせ 5

    白髪の混ざった口髭と顎髭。目には老眼鏡。深く被ったハンチング帽子からはグレーの髪の毛が覗く。保来孝太郎である。 その風貌は、彼が失踪した時とは大きく変わっていた。彼を一目で孝太郎と見抜く者は、恐らく誰一人居なかったであろう。信次郎やその家族さえもである。 孝太郎も、自...

  • ほら探日記Ⅱ-21 巡り合わせ 4

    この幽霊屋敷は埼玉県の或る町にある。東京では無いが、彼女達にとってはそこは大都市圏内なので、東京と称しても大きな抵抗は無い。 東京ディズニーランは、実際は浦安にあるが、冠に東京と付いていても文句を言う人は殆ど居ないのと同じだ。 平河彩音も、誰かが持参した記事の乗ってい...

  • ほら探日記Ⅱ-20 巡り合わせ 3

    そんな保来の気持ちなど構わずに、幸恵のお腹の子は育って行く。そして、無事産まれた。 女の子だった。名前を彩音と名付けた。美しい音楽を彩るようにとの思いからである。 幸恵が望み、名付ける。 幸恵の両親は大喜びだった。彩音をとても愛おしい眼で見つめる。幸恵とて、当然同じ...

  • ほら探日記Ⅱー19 巡り合わせ 2

    保来と幸恵の関係はその後も続いた。そして数ヶ月後、彼女は妊娠した。 「本当なの? だって、大丈夫って言ってたじゃ無いか」 「ちょっと、勘違いしたみたい」 保来にとっては、勘違いなんて言葉では済まされない重大なこと。 「どうするつもり?」 「何を言ってるんですか。産むに決...

  • 短編小説を動画化

    短編小説 海を眺める老女 作大空ひろし YouTube版です。文章を読み上げる設定にしています。新たにオリジナル曲のBGMを挿入しました。 YouTubeに短編小説をアップロードを開始する時に、BGMを入れたいなと考えてから作曲なる物にチャレンジを始めました。 安く市販され...

  • ほら探日記Ⅱー18 巡り合わせ 1

    巡り合わせ 保来孝太郎は北海道の地で暫く過ごす。 山間の温泉地で育った保来には、広々としたこの地が心地よかった。故郷の、僅かなスペースに身を寄せ合うように立つ温泉地の建物。それに比べて、何とゆったりした家並や空間。保来には異国の地の様にも感じる。 何よりも感動した...

  • 削除

    このブログで、Twitterに連携なるものがあったので初めて見たTwitter。 しかし、右派的ツイッター達の巣窟みたいなコメントばかりが増えて、いささか閉口してい た。とにかく、ブロック仕切れないほど次から次へと湧いてくる。 そこで、少し反発のコメントしたら逆上的な反応が...

  • ほら探日記Ⅱー17 失踪の真実 6

    保来が暫く幸恵の牧場に留まっていると、とんでもないニュースを目にした。保来を襲ったと思われる佐田の死体が発見されたのである。 それは、保来の心肝を寒からしめた。一応不審死との発表だが、保来には犯人が何者か火を見るより明らかだった。 「間違いなく、殺したのは広田三郎。現桜...

  • ほら探日記Ⅱ-16 失踪の真実 5

    保来は車中で幸恵に、北海道に来た理由を大まかに説明する。 「探偵さんだったんですか」 「大した探偵では無いがね。所で、幸恵さんは、ズーッとあの牧場で両親を助けて働いて来たの?」 「いいえ。私、何年か東京に行ってました」 「そうなんだ。良ければ聞かせて貰えるかな?」 平河...

  • ほら探日記Ⅱ-14 失踪の真実 4

    保来孝太郎の記憶は一週間ぐらいで完全に戻った。しかし彼は、記憶が戻ったことを平河家の人達には知らせなかった。 彼は、記憶が戻るとテレビやラジオのニュースを食い入る様漁った。メディアが、自分が行方不明者として報道されていないか知りたかったのだ。 そんな保来の様子を見て、...

  • 星に隠れんぼ

    Music 星に隠れんぼ 歌詞は半分出来上がった状態。2番までね 完成したら歌いますよ。 音痴を承知で。 何故なら、誰も歌ってくれないから。

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