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回り道 その8
週末、大介は智子を食事に誘った。 「いつも家事をしてくれて有り難う。お陰で、男所帯の陰鬱な雰囲気が消えて、明るくなった。それに、拓海を部屋から引き出してくれたし、智ちゃんには本当に感謝している。感謝しきれない位だ」 「そんなー。私はただ好きだから遣ってるだけ」 「いやいや...
2022/03/31 20:27
回り道 その7
結菜は、トントンと階段を駆け上がり、拓海の部屋の前に立つ。 「拓海君。料理が出来上がったよ。一緒に食べよーォ」 返事が無い。 「今夜はね、お母さんが腕に縒(よ)りを掛けて、美味しい料理を一杯作ってくれたよ。本当に美味しいんだからね」 やはり、何の応答も無い。 「拓海君...
2022/03/30 11:17
回り道 その5
拓海がキッチンテーブルの椅子に座る。そこで智子はハタと困る。 「拓海君ゴメン。時間がアレだから、未だお昼ご飯の用意、出来てないのよ」 年配になると「アレとかそれ」等の抽象的な言葉が増える。でも、さすが日本人の拓海。意味するところは分かっていた。 「別に何でも良いよ。俺、...
2022/03/29 20:38
結菜の「拓海の部屋出し作戦」と名付けた作戦が動き出す。結菜が目出度く志望校に受かった後だった。 「拓海君。今日から少しの間、この家の家事手伝いをすることになった智子よ。もうこの件はお父さんから聞いているでしょ。宜しくね」 以前と同じく、拓海の部屋からは物音一つ聞こえない...
2022/03/28 20:30
回り道 その4
引っ張りだし作戦開始 沢登智子が、根草拓海を部屋から出す為に2階に上がる。 智子が、2階の拓海の部屋に行く姿を見て、大介が結菜との会話に持っていく。 「高校の志望校は何処なの?」 結菜は志望校を上げる。それを聞いた大介は喜ぶ。 「その高校、ウチからの方が近いかも知れ...
2022/03/27 20:47
回り道 その3
後日、智子から連絡があった。気乗りしないが遣ってみると答えた。大介の息子・拓海を部屋から引っ張り出す作戦である。 「やったぜ。先ずは切っ掛けを作れた。しかしこの電話番号、変わって無いじゃないか。智子め、俺と近づくのが嫌だったという事か」 智子に嫌われては居ないようだが、...
2022/03/26 19:45
回り道 その2
智子が、結婚したと聞いた時には、正直大介はちょっとショックだったし残念に思う。とは言え、間もなく遠くに引っ越したので、暫し彼女の事は忘れていた。 この法事で、暫くぶりに再開した智子に、彼は今、ある考えが芽生える。 根草大介は沢登智子に携帯番号を聞こうとする。 「これ...
2022/03/25 10:47
回り道 その1
回り道 大介筋書きを練る 「やあ、久しぶり。元気そうだね」 根草大介はいとこの沢登智子に話し掛ける。 「うん。貴方もね。所で名前、何て言ったっけ?」 「大介」 「そうそう、大ちゃんだった」 智子は、愛想笑いを浮かべ応える。 「旦那さんの葬儀に行けなくてゴメンね」 二...
2022/03/24 09:14
挑戦
只今、執筆スランプ 新しい筋書きは頭の中にあるのだが、どう表現していこうかなかなか考えが纏まらない。 連載していた、ほら探偵のらりくらり日記は、最近も連載したので目を通していただいた 方々は内容を記憶している方もおられるでしょう。 再掲載した理由は、新趣向のストーリーが...
2022/03/19 00:53
墓場の五助
【諸事情により、「ほら探日記」連載が追いつきません。よって、短編小説を載せます】 墓場の伍助 酒の好きな伍助。好きという尺度では済まない。大酒飲みだった。 父親が早く亡くなり、母親と二人きりの生活は貧しかった。身体が大きかった伍助は、力仕事に駆り出され働くも、収入は僅か...
2022/03/16 21:21
ほら探日記Ⅲー5 恋の季節 2
保(やす)来(き)信(しん)次(じ)郎(ろう)が久しぶりに旅館に戻る。 「和ちゃん、色々あって大変だったね」 「うん、大丈夫。先週、父が亡くなったってメールがあったの」 「それは何と言って良いか・・・。折角会えたのに、悔やまれるね」 「いいの。でも、やはり生きている内に父...
2022/03/15 20:48
ほら探日記Ⅲー4 恋の季節 1
恋の季節 保来探偵事務所は今日も平穏安泰だ。もっとも、仕事が来ないのだから波風が立つわけが無い。 もはやこの会社は、税金対策の為に存在していると言っても過言では無い。 そんな中、アパート経営は順調だった。 暇な癖に、1階の事務所タイプの部屋を陣取っていた事務所。そ...
2022/03/14 23:10
ほら探日記Ⅲ-3 実父 3
健一は、当時を回想するように弱い声で話す。 「俺が気が短く短気だっただけに、敏子達に迷惑を掛けてしまった。申し訳なく思っている」 和枝は何も言えなくなった。彼女のイメージしていた父親と違っていたからだ。 (若しかしたら、私があなたの子供だと気付いているのでは?) そう...
2022/03/13 13:20
ほら探日記Ⅲ-2 実父 2
父親だという男の名前は鈴木健一。健一と和枝の母・敏子は、同じ旅館で働いていた時に深い関係になった。 妊娠したのを知り、敏子が健一に伝えようとした直前、調理人だった健一が料理長と刃物沙汰となり、彼はその日のうちに姿をくらましてしまった。 料理長に深手を負わせただけに、健...
2022/03/12 21:42
ほらたん日記Ⅲ-1 実父
ホラ探偵のらりくらり日記Ⅲ 実父 保来孝太郎、平原幸恵コンピも北海道の牧場に戻った。 再び、アパート3階の信次郎の家は静かになった。何だかんだと言っても、誰も居なくなると寂しい。 父・孝太郎は置き土産に、「ほら探偵信次郎」の名刺を知人などに起きてきたと言った。 と...
2022/03/11 19:29
ほら探日記Ⅱ最終章 秘密の調査 3
保来孝太郎は、書類などを入れる大きな茶色の封筒、保存袋を木村和枝に渡す。 「その中に、和ちゃんのお父さんの調査結果が入っている。住所も、家族構成も。そして、今入院している病院も記述してある。残念ながら、直接会っていないので写真は得られなかった。目を通すのも嫌なら、捨てるな...
2022/03/08 20:57
ほら探日記Ⅱー45 秘密の調査 2
父・孝太郎が戻ってから数日経った。 「わし等、旅館の方に行くから」 孝太郎は信次郎に突然告げる。信次郎は、いよいよ決着しに行くのかと胸騒ぎが起きる。 孝太郎と幸恵が実家の旅館に着くと、真っ先に娘の彩音が出迎えた。木村和枝も現れる。 いよいよ波乱が始まる。二人は和枝に...
2022/03/07 21:03
ほら探日記Ⅱー44 秘密の調査 1
秘密の調査 「今日は、父さん一人で調査なの?」 調査は、殆ど孝太郎と幸恵のペアで行っていた。息がピッタリで仕事が捗(はかど)るのか、二人は常に一緒に動いていた。 「何か大切な調査をしているらしく、私にも内容が分からないのよ。調査が完了するまで2~3日泊まってくるって」 ...
2022/03/06 20:34
ほら探日記Ⅱー
父の孝太郎は上京間もなく、既に色々動いていた。幸恵の東京見物と説明していたが、実は一緒に何かを調査していた。 そんな父の行動を、保来は不思議に思う。 「父さん、一体何を調査してるんだ? まさか、「繭の館事件」の桜谷貴子を調査しているのか?」 「まあな」 「あの人と直接会...
2022/03/05 21:29
ほら探偵のらりくらり日記Ⅱー42 新たなコンビ 3
信次郎は将来に不安を覚えた。木村和枝の居ない探偵社なんて有り得ない。 信次郎の心を見透かす様に、孝太郎が言う。 「お前が探偵業を遣らない積りなら、あの事務所を引き払え。誰かに貸した方が遙に儲かる」 「俺に、探偵業を辞めろと言うのか?」 信次郎が反発する。 「辞めたけれ...
2022/03/04 21:31
ほら探日記Ⅱー40 新たなコンビ 2
一ヶ月ほど経過する。 「信ちゃん。私、旅館の方に帰る事になったから」 木村和枝が信次郎に伝える。 和枝は一ヶ月か二ヶ月おきに旅館に行っていた。アパートの管理状況とか、殆ど収入は無いが、保来探偵社の状況報告も兼ねて。 それは、旅館の女将であるユキの命令とも言うべき指示...
2022/03/03 22:26
ほら探日記Ⅱー40 新たなコンビ 1
新たなコンビ 信次郎は、二人を自分たちが住んでいる3階の部屋に連れて行く。 「おお、外から見たよりも広く感じるな。部屋は幾つあるんだ?」 「5部屋。リビングに水回り。トイレは2カ所。お客さんも泊まれるようにしてある」 「ユキの指図か?」 「母さんや、東京見物したいという...
2022/03/02 22:15
ほら探日記Ⅱー39 わだかまり4
今まで、信次郎に和枝との結婚をせっつく人は何人も居た。両親もそうだし、短艇業で知り合った岩田も安藤絵美子もそうだった。 口汚い刑事の浅羽は、 「和枝さんを生殺しにするのか」 とまで言い放った。だから、信次郎は浅羽を毛嫌いしている。 最近では、妹の彩音にまで、 「和枝...
2022/03/01 20:56
2022年3月 (1件〜100件)
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