ことも無く一日が行く次に為す予定の一つを今日も忘れてことも無く一日が行く次に為す予定の一つを今日も忘れて歌う風・・・716千葉甫
ことも無く一日が行く次に為す予定の一つを今日も忘れてことも無く一日が行く次に為す予定の一つを今日も忘れて歌う風・・・716千葉甫
この道の一つの桜の花終えてその他の木々の中に埋もれるこの道の一つの桜の花終えてその他の木々の中に埋もれる歌う風・・・715千葉甫
似通ったこの日この日を生きている食べることさえ定型化して似通ったこの日この日を生きている食べることさえ定型化して歌う風・・・714千葉甫
ぎこちなくなった時間の救われるタイミングよく電話の鳴ってごこちなくなった時間の救われるタイミングよく電話の鳴って歌う風・・・713千葉甫
一本の雑木の枝の新緑の日に日に迫る窓の下から一本の雑木の枝の新緑の日に日に迫る窓の下から歌う風・・・712千葉甫
ここからは見えないところの桜から漂って来た花びら一つここからはみえないところの桜から漂って来た花びら一つ歌う風・・・711千葉甫
?呼ばれたように覚えて彼は立ち止まり、あたりを見回した。見覚えのない住宅街の通りだった。人影は無い。なぜ、ここを歩いているのだろう?それに、ここへ来た記憶もなかった。再び、声を聞いて振り返った。塀の上に座った猫が彼を見つめていた。見覚えのある猫だった。少年時代に居た飼い猫のトムを思わせた。「トム?」呼んでみた。「あぁ」猫が答えた。そのときドアが開いて出てきた人に眼をやった彼は、衝撃に身が凍りついた。その人は逝ってほぼ三年になる彼の父親と瓜二つだった。その人も、顔に驚きの色を浮かべて、「一夫か!もう、こちら彼岸へ来たのか。えらく早いじゃないか!」掌奇譚Homecoming千葉甫
鳴るたびに近づいていた雷鳴の遠退き始める雨は上がるか鳴るたびに近づいていた雷鳴の遠退き始める雨は上がるか歌う風・・・710千葉甫
薄暗い時間のままに昼が来てまた降り出した雨の聞こえる薄暗い時間のままに昼が来てまた降り出した雨の聞こえる歌う風・・・709千葉甫
過去からの声だったのか未来から来た声だったか呼ばれて覚める過去からの声だったのか未来から来た声だったか呼ばれて覚める歌う風・・・708千葉甫
ポケットを裏返しても出てこない確かに入れた筈だけれどもポケットを裏返しても出てこない確かに入れた筈だけれども歌う風・・・707千葉甫
来る風の躊躇うようにカーテンの静止するとき揺れているとき来る風の躊躇うようにカーテンの静止するとき揺れているとき歌う風・・・706千葉甫
ソリテアの挫折の続く今度こそ今度こそはと向きになりゆくソリテアの挫折の続く今度こそ今度こそはと向きになりゆく歌う風・・・705千葉甫
春の陽の輝く髪を右左揺らして私の前を行く人春の陽の輝く髪を右左揺らして私の前を行く人歌う風・・・704千葉甫
眠れないまま聞いている耳鳴りに加わっている新しい音眠れないまま聞いている耳鳴りに加わっている新しい音歌う風・・・703千葉甫
夢に来てランチを共にした人は十年前まで接していた人夢に来てランチを共にした人は十年前まで接していた人歌う風・・・702千葉甫
行く夜の時間に眼をやりもう一章読みたいところでページを閉ざす行く夜の時間に眼をやりもう一章読みたいところでページを閉ざす歌う風・・・701千葉甫
麗らかな陽ざしであるが会う風は冬の名残の感触を持つ麗らかな陽ざしであるが会う風は冬の名残の感触を持つ歌う風・・・700千葉甫
五年目の来るコンピューター未使用の内蔵ソフトの沢山あって五年目の来るコンピューター未使用の内蔵ソフトの沢山あって歌う風・・・699千葉甫
僅かな間うとうとの来ただけなのに三十分が消え失せている僅かな間うとうとの来ただけなのに三十分が消え失せている歌う風・・・698千葉甫
プログラムされている声に従ってキー押していく今夜は冷えるプログラムされている声に従ってキー押していく今夜は冷える歌う風・・・697千葉甫
相談の相手無いままとつとつとインターネットで答えを探す相談の相手無いままとつとつとインターネットで答えを探す歌う風・・・696千葉甫
ピーという音に続いて伝言は入らずに今日の電話も切れるピーという音に続いて伝言は入らずに今日の電話も切れる歌う風・・・695千葉甫
直進をしようとしたが右折する犬に従い引かれ行く人直進をしようとしたが右折する犬に従い引かれ行く人歌う風・・・674千葉甫
起きるにはまだ早いので眼を閉じて起きる時間に去られてしまう起きるにはまだ早いので眼を閉じて起きる時間に去られてしまう歌う風・・・693千葉甫
靴下の踵の穴のまた少し大きくなっている寒い朝靴下の踵の穴のまた少し大きくなっている寒い朝歌う風・・・692千葉甫
隣接の家の窓から反射する朝の陽ざしの階段下る隣接の家の窓から反射する朝の陽ざしの階段下る歌う風・・・691千葉甫
今日の運不運の他は変わりばえほとんどしない一日だった今日の運不運の他は変わりばえほとんどしない一日だった歌う風・・・690千葉甫
そういうことだったのかとの認識がじわじわとくる時間を置いてそういうことだったのかとの認識がじわじわとくる時間を置いて歌う風・・・689千葉甫
窓開けて降っているかと目を凝らし傘ぶら下げて歩く人見る窓開けて降っているかと目を凝らし傘ぶら下げて歩く人見る歌う風・・・688千葉甫
検温の数字で微熱を知ってから何をするにも怠さ覚える検温の数字で微熱を知ってから何をするにも怠さ覚える歌う風・・・687千葉甫
待っている眠りの兆しの無いままに耳鳴りばかり聞こえて更ける待っている眠りの兆しの無いままに耳鳴りばかり聞こえて更ける歌う風・・・686千葉甫
躓いてよろけた弾みに目の覚めて白い明かりの満ちている部屋躓いてよろけた弾みに目の覚めて白い明かりの満ちている部屋歌う風・・・685千葉甫
ジェット機と空気の摩擦する音の尾を引いている雲厚き午後ジェット機と空気の摩擦する音の尾を引いている雲厚き午後歌う風・・・684千葉甫
上げた眼に空をよぎった鳥の影見たのは私一人の真昼上げた眼に空をよぎった鳥の影見たのは私一人の真昼歌う風・・・683千葉甫
不透明ガラスの窓の外にある影の動いて猫の立ち去る不透明ガラスの窓の外にある影の動いて猫の立ち去る歌う風・・・682千葉甫
選択肢二つの一つに少しづつ思い固まる時間の迫る選択肢二つの一つに少しづつ思い固まる時間の迫る歌う風・・・681千葉甫
鳴っている電話聞こえるこの家に居るのは私一人か今は鳴っている電話聞こえるこの家に居るのは私一人か今は歌う風・・・680千葉甫
気がつけば夕べ近づく降り出してきそうになっては明るくなって気がつけば夕べ近づく降り出してきそうになっては明るくなって歌う風・・・679千葉甫
一台のコンピューターで見て読んで聞いて記して過ごした今日も一台のコンピューターで見て読んで聞いて記して過ごした今日も歌う風・・・678千葉甫
聞き耳を立てれば雨は降っていて躊躇うような雷鳴のくる聞き耳を立てれば雨は降っていて躊躇うような雷鳴のくる歌う風・・・677千葉甫
急速に気温下がって急速に血圧上る連動をして急速に気温下がって急速に血圧上る連動をして歌う風・・・676千葉甫
冷えこんだ今日の漸く終りつつ明日は更に冷えこむと聞く冷えこんだ今日の漸く終りつつ明日は更に冷えこむと聞く歌う風・・・675千葉甫
時折の陽ざしはあれど午後からはさらに冷えつつ思いの縮む時折の陽ざしはあれど午後からはさらに冷えつつ思いの縮む歌う風・・・674千葉甫
一所見えていた空の青消えて予報通りに雨の迫るか一所(ひとところ)見えていた空の青消えて予報通りに雨の迫るか歌う風・・・673千葉甫
昨日を今日もなぞっているように過ぎてはいるが今日は今日である昨日を今日もなぞっているように過ぎてはいるが今日は今日である歌う風・・・672千葉甫
聴いているギターの曲に遠い日の弦の感触還る指先聴いているギターの曲に遠い日の弦の感触還る指先歌う風・・・671千葉甫
苛立って言葉の荒くなってゆく私を見つめている私が居る苛立って言葉の荒くなってゆく私を見つめている私が居る歌う風・・・670千葉甫
返事して夢から覚める何事を問われたのかの記憶は抜けて返事して夢から覚める何事を問われたのかの記憶は抜けて歌う風・・・669千葉甫
拾い読みしている本から三十年前に記したメモの出てくる拾い読みしている本から三十年前に記したメモの出てくる歌う風・・・668千葉甫
日常の茶飯事一つ忘れては思い出しつつまた一日行く日常の茶飯事一つ忘れては思い出しつつまた一日行く歌う風・・・667千葉甫
ヘッドホン外せば夜は更けていて聞くのは私の脈拍の音ヘッドホン外せば夜は更けていて聞くのは私の脈拍の音歌う風・・・666千葉甫
アンケートに書くわが齢を逸早くコンピューターが答えを示すアンケートに書くわが齢を逸早くコンピューターが答えを示す歌う風・・・665千葉甫
忘れつつ思い出しつつ片づけていない一つが意識に潜む忘れつつ思い出しつつ片づけていない一つが意識に潜む歌う風・・・664千葉甫
考える間は机上に置いていた眼鏡のつるの冷たさ沁みる考える間は机上に置いていた眼鏡のつるの冷たさ沁みる歌う風・・・663千葉甫
ヘッドホンで聴いている曲折々に聴かずに過ぎる想いに落ちてヘッドホンで聴いている曲折々に聴かずに過ぎる想いに落ちて歌う風・・・662千葉甫
通りには斜めに雪が降っていてぽつりぽつりと人影の行く通りには斜めに雪が降っていてぽつりぽつりと人影の行く歌う風・・・661千葉甫
十を割る数となったが元日に今年は揃って来た年賀状十を割る数となったが元日に今年は揃って来た年賀状歌う風・・・660千葉甫
冷えてゆく気温を肌に感じつつ一人いる夜は殊更寒い冷えてゆく気温を肌に感じつつ一人いる夜は殊更寒い歌う風・・・659千葉甫
暮れきった部屋の机上でスリープの明かりの点滅するコンピューター暮れきった部屋の机上でスリープの明かりの点滅するコンピューター歌う風・・・658千葉甫
重たげな雲が朝から閉じていて夜には雨と言う予報では重たげな雲が朝から閉じていて夜には雨と言う予報では歌う風・・・657千葉甫
吠えながら近づく声は空中にあって鴉が突っ切て行く吠えながら近づく声は空中にあって鴉が突っ切て行く歌う風・・・656千葉甫
閉じて眼を開けては時計に目をやって起き出す昨日と同じ時間に閉じて眼を開けては時計に目をやって起き出す昨日と同じ時間に歌う風・・・655千葉甫
間に合って留守番電話へ切り替わる間際に取ればセールスの声間に合って留守番電話へ切り替わる間際に取ればセールスの声歌う風・・・654千葉甫
寝る際に聞いた雷鳴その後に雨があったと覚めてから聞く寝る際に聞いた雷鳴その後に雨があったと覚めてから聞く歌う風・・・653千葉甫
暖かい夜とは言えど力なく壁際あるく冬のゴキブリ暖かい夜とは言えど力なく壁際あるく冬のゴキブリ歌う風・・・652千葉甫
返事して開けるまでやや間があったドアの外にはだあれも居ない返事して開けるまでやや間があったドアの外にはだあれも居ない歌う風・・・651千葉甫
はたきつつ弾みで触れて立てかけたままのギターが久々に鳴るはたきつつ弾みで触れて立てかけたままのギターが久々に鳴る歌う風・・・650千葉甫
次々と間近に降りてここに居る私に構わず雀ら弾む次々と間近に降りてここに居る私に構わず雀ら弾む歌う風・・・649千葉甫
予期をした程は気温の下がらずに得した思いで過ぎている今日予期をした程は気温の下がらずに得した思いで過ぎている今日歌う風・・・648千葉甫
屋内かそれとも外か物音のあった夜更けの静けさ募る屋内かそれとも外か物音のあった夜更けの静けさ募る歌う風・・・647千葉甫
聞かされたショック次第に薄れつつ意識の底に淀みゆく滓聞かされたショック次第に薄れつつ意識の底に淀みゆく滓歌う風・・・646千葉甫
カーテンを開ければ大きな雨粒の跡が残っている今朝の窓カーテンを開ければ大きな雨粒の跡が残っている今朝の窓歌う風・・・645千葉甫
降っている静かな雨が突然に重量感を持つ音となる降っている静かな雨が突然に重量感を持つ音となる歌う風・・・644千葉甫
先方の唱える電話番号の合ってはいるが間違い電話先方の唱える電話番号の合ってはいるが間違い電話歌う風・・・643千葉甫
突然の間近で響く雷鳴の絶えて静かに降る雨の夜突然の間近で響く雷鳴の絶えて静かに降る雨の夜歌う風・・・642千葉甫
机上から陽ざしの引いてゆくまでの時間が過ぎる予定通りに机上から陽ざしの引いてゆくまでの時間が過ぎる予定通りに歌う風・・・641千葉甫
聞き耳を折々立てる窓外の近くで続いている声がある聞き耳を折々立てる窓外の近くで続いている声がある歌う風・・・640千葉甫
窓開けて覗く通りを白い傘過ぎつつ降ってきた雨を知る窓開けて覗く通りを白い傘過ぎつつ降ってきた雨を知る歌う風・・・639千葉甫
手洗いのシンクの縁の小さい蜘蛛闇に残して今日の灯を消す手洗いのシンクの縁の小さい蜘蛛闇に残して今日の灯を消す歌う風・・・638千葉甫
閉めきっているのだけれど背に風の気配感じる段上りつつ閉めきっているのだけれど背に風の気配感じる段上りつつ歌う風・・・637千葉甫
窓開けて部屋へ入ってくる風の一夜でめっきり持つ肌寒さ窓開けて部屋へ入ってくる風の一夜でめっきり持つ肌寒さ歌う風・・・636千葉甫
突然の鼾を聞いて目の覚めた部屋には私が一人居るだけ突然の鼾を聞いて目の覚めた部屋には私が一人居るだけ歌う風・・・635千葉甫
行く雲に眼を遊ばせるフリーズのコンピューターが動き出すまで行く雲に眼を遊ばせるフリーズのコンピューターが動き出すまで歌う風・・・634千葉甫
ヘッドホン外して聞こえてくる音は降り出している夜の雨音ヘッドホン外して聞こえてくる音は降り出している夜の雨音歌う風・・・683千葉甫
耳鳴りが聞こえるのみで生きものの音は皆無の深夜の目覚め耳鳴りが聞こえるのみで生きものの音は皆無の深夜の目覚め歌う風・・・632千葉甫
屋上に立つものあって太陽と角度の合った今を輝く屋上に立つものあって太陽と角度の合った今を輝く歌う風・・・631千葉甫
一回りしては束の間秒針の光るを見つつ思案の続く一回りしては束の間秒針の光るを見つつ思案の続く歌う風・・・630千葉甫
窓いっぱい陽ざしはあれど一向に気温上がらず行く昼下がり窓いっぱい陽ざしはあれど一向に気温上がらず行く昼下がり歌う風・・・629千葉甫
眼を閉じて無言で数を唱えつつ何時か眠りに落ちた昨夜も眼を閉じて無言で数を唱えつつ何時か眠りに落ちた昨夜も歌う風・・・628千葉甫
伸びている飛行機雲のふやけつつ次第に帯びる夕映えの色伸びている飛行機雲のふやけつつ次第に帯びる夕映えの色歌う風・・・627千葉甫
聞き耳を立てつつ待っているのだが空耳だったか聞いたチャイムは聞き耳を立てつつ待っているのだが空耳だったか聞いたチャイムは歌う風・・・626千葉甫
転落の怖れの兆す階段をあと一段まで上ったたびに転落の怖れの兆す階段をあと一段まで上ったたびに歌う風・・・625千葉甫
ちょっとだけ眼を閉じていた筈なのに消えてしまっている三十分間ちょっとだけ眼を閉じていた筈なのに消えてしまっている三十分間歌う風・・・624千葉甫
施錠する前に覗いて夕暮れの通りは濡れているいつからか施錠する前に覗いて夕暮れの通りは濡れているいつからか歌う風・・・623千葉甫
もう一度聞いてもやはり聞き取れぬ留守番電話の一つの言葉もう一度聞いてもやはり聞き取れぬ留守番電話の一つの言葉歌う風・・・622千葉甫
用のない部屋の灯りも寝るまでは消さないでおく一人の夜を用のない部屋の灯りも寝るまでは消さないでおく一人の夜を歌う風・・・621千葉甫
わが窓から見える範囲の眺めでも空は見飽きのしない顔持つわが窓から見える範囲の眺めでも空は見飽きのしない顔持つ歌う風…620千葉甫
一人居る夜の寂しさ階下からテレビの音がしてこないので一人居る夜の寂しさ階下からテレビの音がしてこないので歌う風・・・619千葉甫
宅配が来たかチャイムの音響く四時まで届くの予定間際に宅配が来たかチャイムの音響く四時まで届くの予定間際に歌う風・・・618千葉甫
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ことも無く一日が行く次に為す予定の一つを今日も忘れてことも無く一日が行く次に為す予定の一つを今日も忘れて歌う風・・・716千葉甫
この道の一つの桜の花終えてその他の木々の中に埋もれるこの道の一つの桜の花終えてその他の木々の中に埋もれる歌う風・・・715千葉甫
似通ったこの日この日を生きている食べることさえ定型化して似通ったこの日この日を生きている食べることさえ定型化して歌う風・・・714千葉甫
ぎこちなくなった時間の救われるタイミングよく電話の鳴ってごこちなくなった時間の救われるタイミングよく電話の鳴って歌う風・・・713千葉甫
一本の雑木の枝の新緑の日に日に迫る窓の下から一本の雑木の枝の新緑の日に日に迫る窓の下から歌う風・・・712千葉甫
ここからは見えないところの桜から漂って来た花びら一つここからはみえないところの桜から漂って来た花びら一つ歌う風・・・711千葉甫
?呼ばれたように覚えて彼は立ち止まり、あたりを見回した。見覚えのない住宅街の通りだった。人影は無い。なぜ、ここを歩いているのだろう?それに、ここへ来た記憶もなかった。再び、声を聞いて振り返った。塀の上に座った猫が彼を見つめていた。見覚えのある猫だった。少年時代に居た飼い猫のトムを思わせた。「トム?」呼んでみた。「あぁ」猫が答えた。そのときドアが開いて出てきた人に眼をやった彼は、衝撃に身が凍りついた。その人は逝ってほぼ三年になる彼の父親と瓜二つだった。その人も、顔に驚きの色を浮かべて、「一夫か!もう、こちら彼岸へ来たのか。えらく早いじゃないか!」掌奇譚Homecoming千葉甫
鳴るたびに近づいていた雷鳴の遠退き始める雨は上がるか鳴るたびに近づいていた雷鳴の遠退き始める雨は上がるか歌う風・・・710千葉甫
薄暗い時間のままに昼が来てまた降り出した雨の聞こえる薄暗い時間のままに昼が来てまた降り出した雨の聞こえる歌う風・・・709千葉甫
過去からの声だったのか未来から来た声だったか呼ばれて覚める過去からの声だったのか未来から来た声だったか呼ばれて覚める歌う風・・・708千葉甫
ポケットを裏返しても出てこない確かに入れた筈だけれどもポケットを裏返しても出てこない確かに入れた筈だけれども歌う風・・・707千葉甫
来る風の躊躇うようにカーテンの静止するとき揺れているとき来る風の躊躇うようにカーテンの静止するとき揺れているとき歌う風・・・706千葉甫
ソリテアの挫折の続く今度こそ今度こそはと向きになりゆくソリテアの挫折の続く今度こそ今度こそはと向きになりゆく歌う風・・・705千葉甫
春の陽の輝く髪を右左揺らして私の前を行く人春の陽の輝く髪を右左揺らして私の前を行く人歌う風・・・704千葉甫
眠れないまま聞いている耳鳴りに加わっている新しい音眠れないまま聞いている耳鳴りに加わっている新しい音歌う風・・・703千葉甫
夢に来てランチを共にした人は十年前まで接していた人夢に来てランチを共にした人は十年前まで接していた人歌う風・・・702千葉甫
行く夜の時間に眼をやりもう一章読みたいところでページを閉ざす行く夜の時間に眼をやりもう一章読みたいところでページを閉ざす歌う風・・・701千葉甫
麗らかな陽ざしであるが会う風は冬の名残の感触を持つ麗らかな陽ざしであるが会う風は冬の名残の感触を持つ歌う風・・・700千葉甫
五年目の来るコンピューター未使用の内蔵ソフトの沢山あって五年目の来るコンピューター未使用の内蔵ソフトの沢山あって歌う風・・・699千葉甫
僅かな間うとうとの来ただけなのに三十分が消え失せている僅かな間うとうとの来ただけなのに三十分が消え失せている歌う風・・・698千葉甫
聞こえるは耳鳴りばかり眠れない夜の時間は遅々と過ぎつつ聞こえるは耳鳴りばかり眠れない夜の時間は遅々と過ぎつつ歌う風・・・536千葉甫
太陽は表の窓から裏窓へ移ってことも無く今日の行く太陽は表の窓から裏窓へ移ってことも無く今日の行く歌う風・・・535千葉甫
側溝の隙から生えている草に鮮やかな黄の花を見る今朝は側溝の隙から生えている草に鮮やかな黄の花を見る今朝は歌う風・・・534千葉甫
卓上に今日も突っ立つ固すぎてキャップの開かないペットボトルは卓上に今日も突っ立つ固すぎてキャップの開かないペットボトルは歌う風…533千葉甫
声出して自らに問い声出して答えて徐々に記憶の戻る声出して自らに問い声出して答えて徐々に記憶の戻る歌う風…532千葉甫
購うことを忘れた一つがあったのをふと思い出す半日経って購うことを忘れた一つがあったのをふと思い出す半日経って歌う風・・・531千葉甫
十年間ハンドルネームで親しんだ人のふっつり絶えてそのまま十年間ハンドルネームで親しんだ人のふっつり絶えてそのまま歌う風・・・530千葉甫
過ぎて行く時間静かな昼下がり鏡を覗いている猫の居て過ぎて行く時間静かな昼下がり鏡を覗いている猫の居て歌う風・・・529千葉甫
売られては建て替えられる家々に包囲されつつわが家がある売られては建て替えられる家々に包囲されつつわが家がある歌う風・・・528
ここからは見えぬ夜空でホバリングの音の続いているヘリコプターここからは見えぬ夜空でホバリングの音の続いているヘリコプター歌う風・・・527千葉甫
今日もまた高層ビルの屋上にある反射光同じ時刻に今日もまた高層ビルの屋上にある反射光同じ時刻に歌う風・・・526千葉甫
雨の日は滑りの悪くなる障子私と共に家も老いつつ雨の日は滑りの悪くなる障子私と共に家も老いつつ歌う風・・・525千葉甫
振動をした雷鳴に読んでいたロンドン消えてわが四畳半振動をした雷鳴に読んでいたロンドン消えてわが四畳半歌う風・・・524千葉甫
朝食はパンに牛乳味噌汁の香で覚めた日々遥かになって朝食はパンに牛乳味噌汁の香で覚めた日々遥かになって歌う風・・・523
父母は夢ではいつも健在で今では私のほうが年上父母は夢ではいつも健在で今では私のほうが年上歌う風・・・522千葉甫
クリックと同時に悟るまた同じ誤りをしてしまったことをクリックと同時に悟るまた同じ誤りをしてしまったことを歌う風・・・521千葉甫
カーテンが風にまくられ暮れ際の陽ざしの伸びる部屋の端までカーテンが風にまくられ暮れ際の陽ざしの伸びる部屋の端まで歌う風・・・520千葉甫
真夜中の階段上るワンテンポ遅れて背後の階段軋む真夜中の階段上るワンテンポ遅れて背後の階段軋む歌う風・・・519千葉甫
あと五分瞼閉ざしておく筈が三十分の寝過ごしとなるあと五分瞼閉ざしておく筈が三十分の寝過ごしとなる歌う風・・・518千葉甫
暮れ際の陽の差していて机上には伏せられている一冊の本暮れ際の陽の差していて机上には伏せられている一冊の本歌う風・・・517千葉甫