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2019/03/23

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  • ● 本:『「ネット世論」の社会学 データ分析が解き明かす「偏り」の正体』(谷原つかさ著)

    2024年NHK出版新書 夕食後に85歳になる母親とだらだらとバラエティ番組を見ていたときのこと。 不意に彼女が言った。 「そういえば、最近あの子見ないね。どうしたんだろ?」 「あの子って、誰?」 「ほら、頭にカラフルな飾りつけて、いつもショートパンツ履いてるにぎ

  • ● 美味しい土曜日 :ザムスターク管弦楽団特別演奏会

    日時: 2024年10月5日(土)会場: 小平市民文化会館(ルネこだいら)曲目:ドヴォルザーク: スラブ舞曲第8番 ト短調 Op.46-8ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 ロ短調 Op.104ドヴォルザーク: 交響曲第7番 ニ短調 Op.70指揮: 小笠原吉秀チェロ独奏: 河野明敏 ソルティが年

  • ● 映画:『梟 フクロウ』(アン・テジン監督)

    2022年韓国118分 韓国で大ヒット、数々の賞を受賞した映画。 たしかに、17世紀李氏朝鮮時代の宮廷サスペンスドラマとして面白いのだが、そこまで人気を博し評価が高いのには、ちと解せないものがある。 なんでだろう? ――と思ったら、これは朝鮮人ならだれでも知ってい

  • ● なんなら、奈良

    10月から大学生になった。 私立奈良大学文学部文化財歴史学科の3年次編入生。 もちろん、通信教育である。 きっかけは年初めに見かけたネットの広告。 興味が惹かれ、資料を取り寄せた。 パンフレットを開いたら、面白そうな科目が並んでいた。 仏教考古学、建築学、

  • ● スゲェー男だ 本:『チベット旅行記』(河口慧海著)

    1904年(明治37)博文館刊行2004年白水社(長沢和俊・編)写真左はダライ・ラマ13世、右は河口慧海 世界の秘境と言われるチベットに初めて入国した日本人しかも僧侶として、河口慧海のことは気になっていた。 『チベット旅行記』あるのも知っていた。 が、なにせ明治時代

  • ● まっさかさーまに堕ちて 映画:『紙の月』(吉田大八監督)

    2014年日本126分 『桐島、部活やめるってよ』が良かったので、吉田監督の他の作品を借りてみた。 角田光代による同名小説を原作とするサスペンス犯罪ドラマである。 夫と二人暮らしの梅澤梨花(演:宮沢りえ)は、銀行の契約社員として顧客回りを担当していた。夫(演:田

  • ● ハイリゲンシュタット・フィルハーモニー管弦楽団 第7回演奏会

    日時: 2024年9月23日(月)14:00~会場: IMAホール(東京都練馬区)曲目: シューベルト: 交響曲第7番 ロ短調 D759「未完成」シューベルト: 交響曲第8番 ハ長調 D944「ザ・グレイト」指揮: カール・ヤイトラー IMAホールは光ヶ丘公園の近くにある。 長らく待ち望んだ

  • ● オジサンたちの密やかな夢 本:『ビロードの悪魔』(J・ディクスン・カー著)

    1959年原著刊行1976年早川書房 アメリカのペーパーバックを模した新書サイズのハヤカワ・ポケット・ミステリーの一冊。 このシリーズは上下2段組みで文字がとても小さいので、昔からあまり好きでなかった。還暦過ぎた今となってはまさにしんどいかぎり。 ほんとは幾分かは

  • ● 『光る君へ』を10倍楽しむ 本:『源氏物語絵巻の世界』(倉田実著)

    2024年花鳥社 素晴らしい本が出た。 図書館の新刊コーナーで見つけて即借りたのだが、読んでいるうち、どうしても手元に欲しくなって、amazon 注文してしまった。 『図鑑 モノから読み解く王朝絵巻』シリーズ全3巻。 第一巻『源氏物語絵巻の世界』 第二巻『寝殿造りの仕

  • ● 映画:『ラヂオの時間』(三谷幸喜脚本&監督)

    1997年フジテレビ、東宝103分 三谷幸喜の初監督作品。 これは文句なく面白かった。 もとが三谷が設立した劇団「東京サンシャインボーイズ」の舞台劇であったこともあり、三一致の法則に則った、空間的カセ(ラジオ局のスタジオ内)と時間的カセ(生放送ドラマの制作)によ

  • ● 本:『筋肉坊主のアフリカ仏教化計画』(石川コフィ著)

    2024年春秋社 お坊さんがアフリカに仏教を広める話? インドで仏教を広めている佐々井秀嶺師みたいな、型破り坊主の一代記? 興味を惹かれて購入した。 読んでみたら、タイトルは偽りとは言えないまでも、かなり内容とずれていた。 が、「騙された!」と騒ぎ立てるのも

  • ● オタクの逆襲 映画:『桐島、部活やめるってよ』(吉田大八監督)

    2012年日本103分 浅井リュウ原作の青春ドラマ。 一時ずいぶん話題になったが、原作は未読、映画も未見だった。 神木隆之介が気になってレンタルしたのだが、正直、こんないい映画だとは思わなかった。 こういう作品に出会い頭ぶつかるから、映画を観るのをやめられない。

  • ● 初期仏教講演会 : 『ブッダが教える 自己中のススメ』(講師:アルボムッレ・スマナサーラ長老)

    日時 9月8日(日)13:30~会場 滝野川会館大ホール(東京都北区) このホールに行くのは初めて。 北とぴあの他にこんなに立派なホールがあるなんて、北区って裕福なん? そのうえ、この会館の目の前には国指定の名勝・旧古河庭園がある! 昨年3月に訪れた時はまだ冬枯

  • ● 本:『アルマジロの手』(宇能鴻一郎著)

    初出1967~1984年2024年新潮文庫収録作品 アルマジロの手 心中狸 月と鮟鱇男 海亀祭の夜 蓮根ボーイ 鰻池のナルシス 魔薬 あたし、宇能センセイの短編集第2弾が発売されたのを知って、あそこがツンと尖っちゃったんです。 第1弾『姫君を喰う話』の衝撃がよみがえっ

  • ● 映画:『THE 有頂天ホテル』(三谷幸喜監督)

    2006年東宝、フジテレビ136分 役所広司、松たか子、佐藤浩市、香取慎吾、篠原涼子、戸田恵子、生瀬勝久、麻生久美子、YOU、オダギリジョー、角野卓造、寺島進、近藤芳正、川平慈英、梶原善、石井正則、原田美枝子、唐沢寿明、津川雅彦、伊東四朗、西田敏行 e.t.c オールス

  • ● 九品仏なら世田谷浄真寺

    九品仏と言えば『枕草子』を思い出す。 女房勤めしていた清少納言が“推し”である中宮定子から、「私はお前をどれくらい愛したものか? 一番でなくてもよいかね?」と問われたときに、「九品蓮台に入っていれば一番下であってもかまいません」と答え、定子に「それは良

  • ● 悲しきワルツ : オーケストラ・ディマンシュ 第57回演奏会

    日時: 2024年9月1日(日)14:00~会場: 北とぴあ さくらホール(東京都北区)曲目: チャイコフスキー: 交響曲第1番 ト短調作品13《冬の日の幻想》シベリウス: 交響曲第1番 ホ短調作品39アンコール シベリウス: 『悲しきワルツ』指揮: 金山隆夫 北とぴあは東京都北

  • ● ミステリーの原点 本:『ある行旅死亡人の物語』(武田惇志、伊藤亜衣共著)

    2022年毎日新聞出版 昭和のミステリー小説やドラマには、自らの正体を隠すために死んだ人間に成りすます話がよくあった。松本清張の『砂の器』が代表格だ。 あるいは、戸籍が失われたために出自が分からなくなり、それがのちになって悲劇を生む山口百恵主演『赤い運命』の

  • ● カーク艦長の黒歴史、あるいは公民権運動以前 映画:『侵入者』(ロジャー・コーマン監督)

    1962年アメリカ84分、白黒 ロジャー・コーマンはB級映画の帝王として名を馳せた人で、最も知られている作品はミュージカルになって大ヒットした『リトル・ショップ・オブ・ホラー』(1960年)であろう。日本でも何度も舞台化されている。 エドガー・アラン・ポーの小説を原

  • ● 本:『対論 1968』(笠井潔、絓秀実共著)

    2022年集英社新書 全共闘世代(1947~49年生まれ)である小説家の笠井潔と文芸評論家の絓秀実が、“1968年”をテーマに語り合った対談本。 外山恒一(とやまこういち)という1970年生まれの政治活動家が聞き手をつとめている。 この人については知らなかったが、なかなか

  • ● やっぱり名作! 本:『皇帝のかぎ煙草入れ』(ディクスン・カー著)

    1942年原著刊行1961年創元推理文庫(井上一夫訳) 高校時代に読んだとき、かぎ煙草入れ(snuff box)というものがどういうものか分からなくて、いま一つぴんと来なかった。 それを言えば、そもそも「かぎ煙草」というのも日本人には馴染みのうすい風習である。 ウィキによ

  • ● 蒲田で味わう : Orchestre de SAVEUR 第3回演奏会

    日時: 2024年8月24日(土)会場: 大田区民ホール アプリコ大ホール曲目:シューマン: 交響曲第3番「ライン」ベートーヴェン: 交響曲第3番「英雄」指揮: 山上紘生 Orchestre de SAVEUR は、2022年結成のアマオケ。 SAVEUR とはフランス語で「味わい」を意味するそうだ

  • ● 愚者の楽園 本:『哲学者の密室』(笠井潔著)

    1992年光文社2002年創元推理文庫 お盆休みは例によって4泊5日の秩父リトリートをした。 今回携えていった本が、『スマナサーラ長老が道元禅師を読む』と本文庫であった。 本書はとにかくブ厚い。 小口45ミリ、1000ページを優に超える。 普通の文庫ミステリーの3~4冊分

  • ● 本:『スマナサーラ長老が道元禅師を読む』(アルボムッレ・スマナサーラ著)

    2024年佼成出版社 曹洞宗祖師の道元禅師が著した『正法眼蔵』の冒頭に置かれている「現成公案」を、テーラワーダ仏教の僧侶であるスマナサーラ長老が解説している。 と言っても、75の文章からなる「現成公案」の全文ではない。 「仏道をならふといふは、自己をならふなり

  • ● 映画:『ステキな金縛り』(三谷幸喜脚本&監督)

    2011年東宝、フジテレビ142分 崖っぷち弁護士のエミは、妻殺しの容疑で逮捕された男を助けるため、被告のアリバイを証言できる落ち武者の幽霊を、証人台に立たせようと奮闘する。 どうやってこういった奇抜なアイデアを思いつくのやら。 目玉となるアイデアさえ生まれたら

  • ● 本:『世界はありのままに見ることができない』(ドナルド・ホフマン著)

    2019年原著刊行2020年青土社(訳・高橋洋) 非常にスリリング、かつ啓発的、かつ面白い、かつ難しい本であった。 難しさの理由は二つ。 一つは、本書が最先端の科学イシューを扱っているからで、進化生物学を基盤としつつ、神経科学、脳生理学、遺伝学、宇宙物理学、相対

  • ● イ・ソンギュンを悼む 映画:『王様の事件手帖』(ムン・ヒョンソン監督)

    2017年韓国114分原題:The King's Case Note 舞台は15世紀の朝鮮。 国家は、一族代々資本を握り、陰で政治を操る官僚たちに支配されていた。 彼らに暗殺された兄王のあとを継いだ国王イェジョン(演:イ・ソンギュン)は、持って生まれた卓抜なる頭脳と身につけた剣の腕、

  • ● 荒川区民オペラ第22回公演:ヴェルディ作曲『ナブッコ』

    撮影するソルティが映り込んで面白い絵柄となった日時: 2024年8月12日(月)14時~会場: サンパール荒川(大ホール)指揮: 小﨑雅弘演出: 澤田康子キャスト ナブッコ : 野村 光洋(バリトン) アビガイッレ: 柳澤 利佳(ソプラノ) ザッカーリア: 鹿野 由之(バ

  • ● 本:『ブッダの瞑想修行』(石川勇一著)

    2023年サンガ新社 「ミャンマーとタイでブッダ直系の出家修行をした心理学者の心の軌跡」という副題そのままの本である。 あえて補足するなら、ミャンマーとタイは、中国を通じて日本に伝わった北伝仏教(いわゆる大乗仏教)ではなく、スリランカを通じて東南アジアに伝わ

  • ● 映画:『記憶にございません!』(三谷幸喜監督)

    2019年127分  三谷幸喜が天才であることは、最初期の仕事である『やっぱり猫が好き』(フジテレビ、1988-1990)をリアルタイムで観ていて察知した。 「ああ、日本にこれまでにないタイプのコメディ作家が出てきた」と思った。 落語風でもドリフ風でも吉本新喜劇風でもな

  • ● 本:『聖なる女 斎宮・女神・中将姫』(田中貴子著)

    1996年人文書院 著者の田中は1960年京都生まれの国文学者。 中世の説話と女性の問題などを研究している。 本書は一種の「聖女論」である。 日本史や古典物語に登場する日本の聖女たち――中将姫、伊勢神宮の斎宮、京都賀茂神社の斎院、天皇の娘である内親王――の半生や

  • ● クイーン的問題? 本:『ダブル・ダブル』(エラリー・クイーン著)

    1950年原著刊行2022年ハヤカワ・ミステリー文庫(訳・越前敏弥) クイーン後期のライツヴィル物。 童謡『マザーグース』の次の歌詞になぞらえて人が死んでいく、いわゆる見立て殺人物である。Richman, poor man,金持ち、貧乏、Beggarman, thief,乞食、泥棒、Doctor, lawyer

  • ● スペクタクル、神護寺展!!(東京国立博物館)

    今年3月中旬、京都栂尾にある神護寺に行った。 唐で密教の奥義を究めた空海が、京に戻って最初に滞在したのがこの寺であり、最澄を筆頭とする当時の日本の高僧たちに密教を伝えんと活動を始めたのもここである。 いわば、真言密教誕生の地。 そうした歴史・宗教的価値の

  • ● ロック・ハドソン、「男」を演ず 映画:『風と共に散る』(ダグラス・サーク監督)

    1956年アメリカ100分 原題は Written on the Wind 50年代ハリウッドの香り漂う、上質のメロドラマである。 とにかく主役のロック・ハドソンとローレン・バコールの美男美女ぶりにため息が漏れる。 なんと似合いのカップルか! この二人が芝居の上だけでなく実生活

  • ● 映画:『ナイル殺人事件』(ケネス・ブラナー監督)

    2022年アメリカ、イギリス127分 ケネス・ブラナー監督&主演による『オリエント急行殺人事件』(2017)は良かった。 同じアガサ・クリスティ原作で、エジプトが舞台で映像ばえする『ナイル殺人事件』に期待が高まるのも当然である。 多くの鑑賞者同様、ソルティもまた、筋

  • ● 本:『唐牛伝 敗者の戦後漂流』(佐野眞一著)

    2016年小学館より刊行2018年文庫化 唐牛とは中国産の闘牛のことである。 愛媛宇和島名物の闘牛大会では、世界中からやって来る並みいる猛牛どもを一突きのもとに打ち倒し、最多優勝回数を誇っている。 ――というのは冗談で、60年安保闘争の立役者として名を広めた唐牛健

  • ● 彼は笑う TVドラマ:『ソドムとゴモラ』(ジョセフ・サージェント監督)

    1993年アメリカ112分 ソドムとゴモラと言ったら、神の怒りを買って一夜にして滅ぼされた悪徳の町である。 とくにソドムの破滅は男色行為の蔓延が主たる原因とみなされ、肛門性交を表す「ソドミー」という言葉の語源となった。 ソドムが滅ぼされたのが住民たちの男色行為に

  • ● 本:『タブーの正体!』(川端幹人著)

    2012年ちくま新書副題:マスコミが「あのこと」に触れない理由 ここ数十年のマスメディアにおける三大タブーを暴いた森永卓郎著『書いてはいけない』が、2024年上半期ベストセラーの17位にランクインした。 ビジネス本の中では第3位という快挙である。 ――のわりには、TV

  • ● 護国寺の如意輪観音はキューティーハニー💛

    毎月18日は護国寺の如意輪観音像が一般公開される。 それを知って、蒸し暑い午後に参詣した。 長いこと都心近くに住みながら、訪れるのは初めて。 最近、ソルティは観仏に目覚めたのである。 それが証拠に、先日、仏像鑑賞用に4倍率の双眼鏡を購入した。 いった

  • ● 野口五郎の謎 本:『日下を、なぜクサカと読むのか 地名と古代語』(筒井功著)

    2024年河出書房新社 長野県と富山県の境をなす飛騨山脈の中に野口五郎岳(2924m)という山がある。 はじめてこの名を地図上で見つけた時は冗談かと思った。 野口五郎も偉くなったもんだなあと思った。 いまの若い人は知らないだろうが、野口五郎は70~80年代のスーパーア

  • ● 大正役者の”味” 映画:『気違い部落』(渋谷実監督)

    1957年松竹134分 きだみのるの小説『気違い部落』シリーズを原作とする。 きだみのる(1895-1975)は鹿児島県出身の小説家。フランス留学の経験を生かし、『ファーブル昆虫記』の翻訳もしている。 戦中戦後、東京都南多摩郡恩方村(おんがたむら、現:東京都八王子市)の

  • ● 伏線復活 : フィルハーモニア・ブルレスケ 第20回記念定期演奏会

    日時: 2024年7月14日(日)18:30~会場: サントリーホール曲目: ヴェルディ: 歌劇「運命の力」序曲マーラー: 交響曲第2番「復活」 ソプラノ: 安藤るり アルト: 熊田アルベルト彩乃指揮: 東 貴樹合唱: 混声合唱団コール・ミレニアム 今年3回目の『復

  • ● 事実は小説より・・・ 映画:『主人公は僕だった』(マーク・フォースター監督)

    2006年アメリカ112分 原題は Stranger than fiction 「事実は小説より奇なり」(Truth is stranger than fiction)から取られている。 税務署に勤めるハロルド(演・ウィル・フェレル)は、真面目一辺倒の独身者で、家と職場を往復する単調な毎日を繰り返している。 ある

  • ● オオクボレンセキ? NHKドラマ:『クライマーズ・ハイ』

    2005年NHK制作150分原作:横山秀夫演出:清水一彦、井上剛 JAL123便墜落事故20周年の節目に、原田眞人監督×堤真一主演の映画版に先駆けて、NHKが制作・放映したもの。 来年で40周年と思うにつけ、月日の速さをつくづく感じる。 と同時に、520人が亡くなった事故の衝撃の

  • ● インティマシー・コーディネーターのいない7月 映画:赤い殺意(今村昌平監督)

    1964年日活150分、白黒 ガラス壁面に蔽われたビルディングの反射光ですら、焼けるように熱い午後の池袋。 東池袋駅から歩いてたどりついた新文芸坐の適度な空調と柔らかいシートに包まれ、ほっと一息ついたが、「上映時間150分」という場内アナウンスを耳にして不安にから

  • ● モッくんがいたではないか 映画:『日本のいちばん長い日』(原田眞人監督)

    2015年松竹136分 半藤一利著『日本のいちばん長い日』の2度目の映画化。 1945年8月15日の玉音放送に至る、終戦間際の大日本帝国本営(内閣、陸海軍、天皇)の動向が描かれる。 実際の戦場を、あるいは8月15日を記憶しているスタッフと役者たちによって制作された岡本喜八

  • ● 人生の黄金期 本:『70歳から楽になる』(アルボムッレ・スマナサーラ著)

    2023年角川新書 副題は「幸福と自由が実る老い方」 1980年来日このかた、日本中にテーラワーダ仏教を広めてこられたスマナサーラ長老も、来年で80歳になられる。 たまに講演会や瞑想会でお姿を見かけるが、相変わらずの説法の冴えに引きくらべ、体力の衰えは隠しようも

  • ● 本:『性のタブーのない日本』(橋本治著)

    2015年集英社新書 2019年1月に亡くなった橋本治の全貌は、その作品群があまりに多彩かつユニーク過ぎて、まだ誰にも捕捉されていないようだが、少なくとも、日本の古典に詳しい、かつそのイメージを大きく覆した作家であったことは間違いない。 1987年に『桃尻語訳 枕草子

  • ● これは一つのギャグハラではないか 映画:『アリバイドットコム2 ウェディング・ミッション』(フィリップ・ラショー監督)

    2023年フランス88分原題:Alibi.com 2 『世界の果てまでヒャッハー!』で監督&役者として類い稀なるコメディセンスを見せたフィリップ・ラッショーの別シリーズ。 北条司の人気もっこり漫画『シティーハンター』を原作とする『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッ

  • ● 夏越の祓 : オーケストラ・モデルネ・東京 第5回演奏会

    日時: 2024年6月30日(日)14:00~会場: 埼玉会館 大ホール曲目:モーツァルト: 歌劇『魔笛』序曲マーラー: 交響曲第9番 ニ長調指揮: 篠﨑 靖男 開演1時間前にJR浦和駅に到着。 時間つぶしになりそうな場所はないかと google map を見たら、駅西口から徒歩10分のとこ

  • ● 本:『赤後家の殺人』(カーター・ディクスン著)

    1935年原著刊行2012年創元推理文庫 「赤後家」とは何のことかと思っていたら、「赤い(血塗られた)+後家(未亡人)」、英語ならred widow、フランス語なら la veuve rouge という隠語が示す、恐ろしき器具のことであった。 ギロチンである。 先祖代々、赤後家部屋すなわ

  • ● 昇天者たち 映画:『クライマーズ・ハイ』(原田眞人監督)

    2008年日本145分 原作は横山秀夫の同名小説。 1985年8月12日に起きた日航123便墜落事故の現場となった群馬県の地方新聞社の奮闘を描いたドラマ。 クライマーズ・ハイとは「登山者の興奮状態が極限までに達すると恐怖感が麻痺してしまう状態」を言うそうだが、これを新聞記

  • ● 映画:『神々の深き欲望』(今村昌平監督)

    1968年日活175分、カラー 南海の孤島での一年間におよぶ過酷なロケに、大ベテラン嵐寛寿郎が脱走を試みた、三國連太郎は破傷風にかかって片足切断の危機に陥った、新人沖山秀子は今村監督に毎晩抱かれていた・・・・と、作品内容のみならず、「鬼の今村」の役者づかいの荒さ

  • ● 本:『薔薇の女 〈アンドロギュヌス〉殺人事件』(笠井潔著)

    1983年角川書店 求道者探偵・矢吹駆シリーズ『バイバイ、エンジェル』、『サマー・アポカリプス』に継ぐ3作目。 これでやっと、第4作にしてシリーズ随一の傑作かつ難解作と言われる『哲学者の密室』を読むことができる。(殺人ウイルスを扱った第5作『オイディプス症候群』

  • ● 映画:『世界の果てまでヒャッハー!』(ニコラ・ブナム&フィリップ・ラショー監督)

    2015年フランス93分 フランス発のコメディ映画。 お馬鹿な若者たちが旅先ブラジルで巻き起こす騒動を描く。 バチェラーパーティの男達の一夜の馬鹿騒ぎを描いたトッド・フィリップス監督『ハングオーバー』シリーズのフランス版という感じ。 『ハングオーバー』シリーズ

  • ● イチヤ再会 寄席:柳亭小燕枝独演会

    日時 6月20日(木)19:00~会場 成城学園前 アトリエ第Q藝術演目柳亭すわ郎(前座): 『たらちね』柳亭小燕枝: 『親子酒』、『宿屋の仇討』 寄席に行くのは6年ぶり。 コロナ前、四国遍路に行く前の2018年9月のすがも巣ごもり寄席が最後であった。 あの頃は二

  • ● 映画:『関心領域』(ジョナサン・グレイザー監督)

    2023年アメリカ・イギリス・ポーランド105分原題:The Zone of Interest 『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(2014)、『記憶の棘』(2004)のジョナサン・グレイザー監督は、現在世界でもっとも挑発的で才能ある監督の一人であろう。 10年に1本しか撮らない寡作作家である

  • ● 本:『日航123便 墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る』(青山透子著)

    2017年河出書房新社刊行2022年文庫化 『日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ』(2010年刊行)に継ぐ、元JAL客室搭乗員によるノンフィクション第2弾。 前作では、墜落事故に関して青山が抱いた様々な疑惑を洗い出し、読者に問いかけるところで終わっていた。 その

  • ● 本:『東京震災記』(田山花袋著)

    1924年博文館2011年河出文庫震災後の浅草の風景日本一高いビルヂングだった凌雲閣(浅草十二階) 1923年9月1日に起きた関東大震災の見聞録、今でいうルポルタージュである。 田山花袋(1872-1930)は当時51歳、家族と共に渋谷区代々木に住んでいた。 花袋の家は瓦が落ち、

  • ● 赤門ミステリー 本:『その可能性はすでに考えた』(井上真偽著)

    2015年講談社2018年文庫化 推理小説の定石を覆す話題作。 容疑者が仕掛けたトリックを探偵が推理によって暴き、犯人を特定するのが、推理小説の定石である。 しかるに、本作の探偵上苙丞(うえおろじょう)は、容疑者が仕掛けたトリックを暴かんとする複数の挑戦者たちの

  • ● 本:『日航123便墜落 疑惑のはじまり 天空の星たちへ』(青山透子著)

    2010年マガジンランド刊行2018年河出書房新社2021年文庫化 森永卓郎著『書いてはいけない』で薦められていた本。 著者の青山は1985年8月12日夜の123便墜落事故時、日本航空(JAL)のスチュワーデスだった。 後に転職し、企業・官公庁・大学等の人材育成プログラムの開発及

  • ● 鶴は忘れない 映画:『沈まぬ太陽』(若松節朗監督)

    2009年角川202分 原作は山崎豊子の同名小説。 1985年8月12日に起きた日本航空(JAL)123便墜落事故をモデルとしている。 いろいろな意味で映画化困難と思われたものを、よく実現させ、このレベルまで仕上げたなあというのが率直な感想。 角川映画と若松監督の執念を感

  • ● 大瀬慕情 本:『万延元年のフットボール』(大江健三郎著)

    1967年講談社1988年講談社文芸文庫 大江健三郎の代表作である本作を読んでなかった。 大学生の頃この作家にかぶれ、芥川賞を受賞した『飼育』はじめ『死者の奢り』、『芽むしろ仔撃ち』、『われらの時代』、『性的人間』、『個人的な体験』と初期作品をほぼ発表された順に

  • ● ルリ子の無駄遣い 映画:『赤いハンカチ』(舛田利雄監督)

    1964年日活98分 石原裕次郎主演の犯罪アクションロマン。 1962年にヒットした裕次郎の同名の歌をモチーフに制作されたもので、映画の中では裕次郎がギターを弾きながらこの曲を歌っている。 なので、いつ赤いハンカチが出てくるんだろう?――と思っていると肩すかしを食

  • ● 英国の紫式部 本:『ベンバリー館 続・高慢と偏見』(エマ・テナント著)

    1993年原著刊行1996年筑摩書房(訳・小野寺健) 財産があってすでに結婚している男なら、跡継ぎの息子を欲しがっているはずだというのは、ひろく世間に認められている真理である。 ――というさわりを読んだら引き込まれ、そのまま半分以上読んでしまった。 気がつけば午

  • ● 怒りのショスタコ :横浜国立大学管弦楽団 第122回定期演奏会

    日時: 2024年5月25日(土)会場: 大田区民ホール・アプリコ 大ホール(蒲田)曲目:A.ボロディン: 交響詩「中央アジアの草原にて」A.ボロディン: 歌劇「イーゴリ公」よりダッタン人の踊りD.ショスタコーヴィチ: 交響曲第5番「革命」(アンコール) エルガー: エニグマ

  • ● 狼は生きろ、豚は死ね 映画:『白昼の死角』(村川透監督)

    1979年東映154分 高木彬光原作のミステリーにしてピカレスクロマン(悪漢ドラマ)。 公開時、「狼は生きろ、豚は死ね」のキャッチコピーが話題となった。 村川透監督は、『蘇える金狼』、『野獣死すべし』など松田優作とのコンビによるハードボイルド映画やTVドラマ『あぶ

  • ● 広末涼子のオーラ 映画:『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(西谷弘監督)

    2022年日本119分 2019年にフジテレビで放映されていたドラマ『シャーロック』の劇場版作品。 ソルティはドラマは観ていなかったが、コナン・ドイルの原作の日本的アレンジ(脚色&映像化)とは違って、ホームズとワトスンのキャラ設定だけを借りて、ストーリーはオリジナル

  • ● ゾンビ・イヤー? : プロースト交響楽団 第39回定期演奏会

    日時: 2024年5月19日(日)13:30~会場: ミューザ川崎シンフォニーホール音楽ホール曲目: ● 山田耕筰: 交響詩「曼荼羅の華」 ● グスタフ・マーラー: 交響曲第2番ハ短調「復活」 ソプラノ: 盛田 麻央 メゾソプラノ: 加納 悦子指揮: 大井 剛史合唱: 日

  • ● 本:『ハタチになったら死のうと思ってた AV女優19人の告白』(中村淳彦著)

    2018年ミリオン出版 毀れている。 ――というのが本書を読んでの何よりの感想だ。 若い女性たちが毀れている。 家族が毀れている。 AV業界が毀れている。 社会が毀れている。 本書は、『職業としてのAV女優』を書いた中村淳彦による現役AV女優19人へのインタビュー集

  • ● 映画:『夜明けまでバス停で』(高橋伴明監督)

    2022年日本91分 高橋伴明監督の一般映画は、道元の生涯を描いた『禅 ZEN』くらいしか観ていない。 ピンク映画出身なので、そっちのほうは何本か観ているかもしれない。 連合赤軍事件を描いた『光の雨』(2001)や『BOX 袴田事件 命とは』(2010)など、いくつか気になる作

  • ● デブ専作家? 本:カー短編全集3『パリから来た紳士』(ディクスン・カー著)

    2008年創元推理文庫(宇野利泰訳)収録作品(初出年)パリから来た紳士(1950) 見えぬ手の殺人(1958) ことわざ殺人事件(1943) とりちがえた問題(1945) 外交官的な、あまりに外交官的な(1946) ウィリアム・ウィルソンの職業(1944) 空部屋(1945) 黒いキ

  • ● Happy Death Day :B.E.2568 ウェーサーカ祭に行く

    日時 2024年5月12日(日)10:30~16:30会場 日暮里サニーホール(荒川区)主催 日本テーラワーダ仏教協会 久しぶりにウェーサーカ祭に参加した。 実に2017年以来、7年ぶり。 その間、足を骨折したり、コロナ禍があったり、修行意欲が薄れて、瞑想をさぼったり戒を破っ

  • ● フランキー堺と南田洋子 映画:『幕末太陽傳』(川島雄三監督)

    1957年日活110分、白黒 この映画、たいへん評価が高い。 1989年文藝春秋発行『大アンケートによる日本映画ベスト150』では第9位に選ばれている。 2009年『キネマ旬報』創刊90周年記念「映画人が選ぶオールタイムベスト100・日本映画編」では第4位に選ばれている。 45歳と

  • ● 悲しき針葉樹

    4月の中頃から不調が続いた。 喉の痛みと倦怠感から始まって、悪寒・頭痛・くしゃみ・微熱・咳・鼻水・痰と、一連の風邪様症状を経過したあげく、食べ物の味がおかしくなった。 なにを食べても塩味しか感じられない。 まさに、砂を噛むよな味気なさ。 常備しているラベ

  • ● マスコミ3大タブー 本:『書いてはいけない 日本経済墜落の真相』(森永卓郎著)

    2024年三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売 ベストセラーとなった『ザイム真理教』に続く、膵臓がん末期にある著者渾身の告発第2弾。 店頭で目次を見て、今回は財務省関連のことだけでなく、旧ジャニーズ事務所の未成年男子に対する性加害事件や1985年に起きた日本航空

  • ● 実資、焦る 本:『かぐや姫の結婚』(繁田信一著)

    2008年PHP研究所 NHK大河ドラマ『光る君へ』で藤原実資(さねすけ)を演じているロバート秋山こと秋山竜次が話題になっている。 なるほど平安貴族っぽいふっくらした顔立ち、金満家らしいでっぷりと貫禄ある体型、そして大まかに見えて実は几帳面なキャラは、藤原道長・頼

  • ● 昭和20年代の銀座 映画:『銀座化粧』(成瀬巳喜男監督)

    1951年新東宝87分、カラー 神保町シアターで鑑賞。 銀座のバーで働く子持ちの女性・雪子(田中絹代)を主人公とする風俗映画。 それなりの稼ぎある堅気の男と結婚し、子供を産み育て、幸せな家庭を作る。 そういった世間一般の“普通”の女性が夢見、辿っていく

  • ● 昭和10年代の東京湾岸 映画:『東京の宿』(小津安二郎監督)

    1935年松竹80分、白黒、サイレント(音楽付き)  神保町シアター「戦前戦後 東京活写」特集にて鑑賞。 1926年に監督デビューした小津安二郎がサイレントからトーキーに乗り換えたのは、1936年『鏡獅子』(記録映画)、『一人息子』であった。 本作はフィルムが

  • ● 笛吹峠(80m)~物見山(135m)~岩殿観音

    五月の風に吹かれ、鳥のさえずりを聴きたい! と思うものの、ゴールデンウイークの山はどこも人盛りの山。 移動もまた大変である。 近場で人の訪れないところを狙って、奥武蔵の峠道を選んだ。 標高はないに等しいが、距離は結構なものであった。路傍の花(以下同じ)

  • ● It rains cats & dogs : 豊島区管弦楽団 第九演奏会

    日時 2024年4月29日(月)14時~会場 東京芸術劇場 コンサートホール曲目:ブラームス: 大学祝典序曲ワーグナー: 歌劇『トリスタンとイゾルデ』より『前奏曲と愛の死』ベートーヴェン: 交響曲第9番 イ短調 作品125『合唱付き』 ソプラノ: 和田美菜子 アルト

  • ● 本:『ネットカルマ』(佐々木閑著)

    2018年角川新書 こうやってブログを書いていて言うのもなんだが、時々、スマホやパソコンや WINDOWS のない世界、すなわちインターネットのない世界に行きたいと切に思う。 生れてから30代初めまではそういう世界に生きてきて、とくに不自由を感じていなかった。 人との連

  • ● 映画:『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』(デヴィッド・ミデル監督)

    2019年アメリカ83分 2011年11月29日にニューヨーク州ホワイトプレインズで実際に起きた、白人警官による黒人射殺事件に基づいて制作された社会派スリラー。 殺された黒人が、68歳独り暮らし元海軍所属のケネス・チェンバレンであった。 双極性障害(躁うつ病)と心臓病を

  • ● 愛おしき、連ちゃん 映画:『本日休診』(渋谷実監督)

    1952年松竹97分、白黒 原作は井伏鱒二の同名小説。 戦後間もない東京のある町で病院を経営する初老の医師三雲八春。 戦争で一人息子を失った男やもめの彼は、甥を後継者として迎えていた。 今日は待ちに待った休診日。 甥っ子はじめ看護婦らは熱海に遊びに出かけ、三

  • ● オペラと蛆虫 本:『傷魂~忘れられない従軍の体験』(宮澤縦一著)

    1946年11月大阪新聞社東京出版局発行2020年冨山房インターナショナル 図書館のドキュメンタリー文学コーナーで、タイトルに惹かれて手にとった。 太平洋戦争中フィリピンに派遣され、地獄の戦場を生き抜き、生還した男の体験談である。 著者名を見て、「あれ? なんとな

  • ● まるで四国遍路のような 本:『生ける屍の死』(山口雅也著)

    1989年東京創元社2018年光文社文庫 やっとこの伝説の奇書を読了した。 長年、読もう読もうと思いながら、なぜか機会がなかった。 死ぬ前に読めてよかった。 いや、死んでからでも遅くなかったのか(笑) 2017年刊行されベストセラーとなり映画化された今村昌弘著『屍

  • ● 映画:『老兵は死なず』(マイケル・パウエル+エメリック・プレスバーガー監督)

    1943年イギリス163分 原題は The Life and Death of Colonel Blimp 『ブリンプ大佐の生と死』 ブリンプ大佐は当時英国で人気を博した漫画の主人公で、「頭の固い保守的な人間」を揶揄する慣用句である。 本作の主人公の名はクライブ・キャンディであり、ブリンプ大佐が登

  • ● 本:『大乗仏教 ブッダの教えはどこへ向かうのか』(佐々木閑著)

    2019年NHK出版新書 佐々木閑は、おそらく現在最も著名な仏教学者の一人であろう。 『科学するブッダ』(角川文庫)、『仏教は宇宙をどう見たか アビダルマ仏教の科学的世界観』(化学同人社)はじめ、一般向けの刺激的かつ啓発的な本をたくさん書いているし、NHK『100分で

  • ● 本:『傷つきやすいアメリカの大学生たち』(グレッグ・ルキアノフ+ジョナサン・ハイト共著)

    2018年原著刊行2022年草思社 この数年で10代の若者の間で、不安症、うつ病、自殺率が急増している。キャンパス文化が思想的に均質化され、研究者が真理を探究する能力や、学生が幅広い思想家から学ぶ能力が低下している。極端な右寄りもしくは左寄りの思想を持つ過激論者が

  • ● これぞプリマドンナオペラ ライブDVD : チェドリンスの『ノルマ』

    収録日時 2003年7月、8月劇場 新国立劇場(東京)キャスト ノルマ: フィオレンツァ・チェドリンス(ソプラノ) ポリオーネ: ヴィンチェンツォ・ラ・スコーラ(テノール) アダルジーザ: ニディア・パラシオス(メゾソプラノ) オロヴェーゾ: ジョルオ・スーリ

  • ● 映画:『MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(竹林亮監督)

    2022年日本82分脚本 夏生さえり、竹林亮 日常タイムループSFコメディ――なんて、ジャンルあるのか? 小さな広告代理店オフィスをほぼ唯一の舞台とする低予算まるわかりの映画だが、面白さはウン十億円かけた超大作におさおさ負けていない。 どころか、「面白い映画ない

  • ● 本:『職業としてのAV女優』(中村淳彦著)

    2012年幻冬舎新書 ゲイである自分にとってAV女優は意識の蚊帳の外の存在。 その名を聞いたことがあるのは、小向美奈子と蒼井そらとANRI(坂口杏里)と小松千春くらい。 島田陽子や飯島愛や元WINKの鈴木早智子をAV女優と言っていいのかどうか・・・・。 むろん、ヘテロ男

  • ● 芸劇の死角? : オーケストラハモン 第48回定期演奏会

    日時 2024年4月7日(日)14:00~会場 東京芸術劇場 コンサートホール曲目 G.マーラー: 交響曲第2番「復活」指揮 冨平恭平ソプラノ 中川郁文メゾソプラノ 花房英里子合唱 Chorus HA'MON このオケ、1997年発足ということだが、はじめて聴いた。 これまでの48

  • ● 映画:『歌え若人達』(木下惠介監督)

    1963年松竹86分、カラー 神保町シアター開催中の『映画で辿る――山田太一と木下惠介』特集で鑑賞。 山田太一の脚本を師匠である木下が映画化した。 同じ寮に暮らす4人の男子学生の日常を切り取った青春ドラマ。 川津祐介、松川勉、三上真一郎、山本圭が扮する。 これが

  • ● 本:『カー短編全集2 妖魔の森の家』(ディクスン・カー著)

    1947年原著刊行1970年創元推理文庫(宇野利泰・訳) 表題作含む5編から成る。 ポオの短編を読むのははじめて。妖魔の森の家 扉ページの短い解説文で、「全作品を通じての白眉」、「ポオ以降の短編推理小説史上ベストテンに入る」と持ち上げられている。 「どんだけのもん

  • ● 仏教学の落とし穴 本:『ブッダという男――初期仏典を読みとく』(清水俊史著)

    2023年ちくま新書 ブックカバーにこう紹介されている。 これまでのブッダ理解を批判的に検証し、初期仏典を丹念に読みとくことでその先駆性を導き出す革新的ブッダ論。 まず、ここでいう「初期仏典」とはなにか? 律蔵と、経蔵の『長部』『中部』『相応部』『増支部』

  • ● 松子夫人の知られざるキャリア 映画:『懐かしのブルース』(佐々木康監督)

    1948年松竹75分、白黒 古本屋で見つけたDVD(700円)。 家計を助けるためキャバレー歌手となった元華族の娘・伸子(高峰三枝子)と、肺病で療養中の妻を持つ脇村(上原謙)の報われない愛を描く。 画質も音声も良くないが、高峰三枝子が歌う部分だけは別録りしたのか、音

  • ● 「このミス」1位は当てにならない 本:『飛蝗の農場』(ジェレミー・ドロンフィールド著)

    1998年原著刊行2002年東京創元社より邦訳(越前敏弥・訳)2024年新装版 飛蝗(ばった)と読む。 飛蝗を飼育している一人暮らしのキャロルの農場に、ある夜突然あらわれた身元不明の男、スティーヴン。 過去の記憶を喪失しているらしい。 キャロルは、自ら怪我をさせた彼

  • ● 倫子さま、下々を知る 映画:『せかいのおきく』(阪本順治監督)

    2023年日本89分、白黒(パートカラー) 黒木華(くろきはる)という女優の芝居をちゃんと観たのは、今やっているNHK大河ドラマ『光る君へ』が初めて。 これがなかなか良い。 黒木が演じているのは、左大臣源雅信の娘・倫子(ともこ)で、藤原道長(柄本佑)の正妻である。

  • ● 第77回日本アンデパンダン展に行く

    ひさァ~しぶりのアンデパンダン展。 友人の出品作を観るため、そして、3/23(土)に行われた北原恵氏(大阪大学名誉教授・美術史家)の講演『ジェンダーの視点から見た美術(史)』を聴くため。 アンデパンダン(INDEPENDENT)展は、日本美術会が1947年から開催している

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