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2019/03/23

  • ● 和をもって貴しとなす 本:『聖徳太子信仰とは何か』(榊原史子著)

    2021年勉誠出版 本書によれば、日本には聖徳太子が建てたと伝えられているお寺が355あるそうだ。 いくら太子が天才で仏教を篤く信仰していたとしても、50年に満たない生涯で355は無理だろう。 その多くは、寺の開基を太子と結びつけることで寺格を高め、国家の保護を期待

  • ● 寄居男衾・7つの寺めぐり

    今回も寄居町発行のハイキングガイドを手に歩いた。 東武東上線の男衾(おぶすま)駅を発着点とし、7つの寺を一筆書きでめぐるコース。 ちょっとした巡礼気分が味わえる。 ガイド上では全長11.5kmと表記されていたので、見物&休憩入れて4時間半あれば回れると踏んでい

  • ● ここには悪意がない 映画:『ミッドサマー』(アリ・アスター監督)

    2019年141分アメリカ、スウェーデン ミッドサマー(夏至)を祝うという習慣は日本では聞かれないが、キリスト教国とくに北欧では一般的らしい。 長くひと際寒い冬のある国にとって、夏の訪れは格別なものなのだろう。 この時期は白夜が続くので、遊ぶのにも祭りをするのに

  • ● 25才の別れ 本:『宮沢賢治の青春』(菅原千恵子著)

    1994年宝島社 1997年角川文庫 本書を読んでいる間、しきりに思い浮かんだのは、山岸涼子のコミック『日出処の天子』であり、特にそのクライマックス――主人公である厩戸王子とその思い人である蘇我毛人とが決定的に別れることになった池の辺の場面

  • ● 嵐のあとの喜ばしい家路: L.v.B.室内管弦楽団 第51回演奏会

    日時: 2023年4月16日(日)会場: 光が丘IMAホール(練馬区)曲目: L.v.ベートーヴェン: 交響曲第6番 ヘ長調 作品68『田園』A.ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 ロ短調 作品104 (B.191) チェロ: 印田 陽介指揮 : 苫米地 英一 今日は、中野ZEROで同じ時間帯に催され

  • ● 死んだほうがマシ 映画:『ニューオーダー』(ミシェル・フランコ監督)

    2020年メキシコ・フランス合作86分原題:Nuevo Orden セレブたちの集うメキシコ上流階級の結婚式。 明るい陽射し降りそそぐ豪邸で、着飾った男女がグラス片手に新郎新婦を祝い、笑いさざめく。 幸福感あふれる光景に文字通り水を差すのは、この家の主婦がひねった蛇口から

  • ● 本:『天使の囀り』(貴志祐介著)

    1998年角川書店2000年角川ホラー文庫 本書を読み始めてまもなく、自室の本棚から、ひときわ大きく重たい一冊を抜き出した。 スミソニアン協会監修『地球博物学大図鑑』(東京書籍)である。 植物、動物、菌類、微生物など、地球上の生き物5000種以上がフルカラーの写真入

  • ● 本:『作曲家◎人と作品シリーズ マーラー』(村井翔著)

    2004年音楽之友社 ショスタコーヴィチ編に続き、マーラー編を手にとった。 ユニークなのは、著者の村井は音楽学者や音楽評論家ではなく、フロイト、ラカン精神分析学と20世紀オーストリア文学を専門とする大学教授であるところ。 神経症を患っていた晩年のマーラーがフロ

  • ● 映画:『パブリック 図書館の奇跡』(エミリオ・エステベス監督)

    2019年アメリカ109分 エミリオ・エステべスと言えば、マーティン・シーンの息子で、チャーリー・シーンの兄である。 チャーリー・シーンは、80~90年代、トム・クルーズと並ぶイケメン人気スターだった。 『地獄の黙示録』ほか名作出演が多い偉大な父親と、暴力事件やHIV

  • ● 本:『本当の戦争の話をしよう 世界の「対立」を仕切る』(伊勢崎賢治著)

    2015年朝日出版社 『新・国防論』の著者が、2012年に福島県立福島高校の2年生18人相手におこなった講義をもとに加筆している。 同じ2015年に刊行された『新・国防論』では、シエラレオネ、東チモール、アフガニスタンなど拘束や死の危険と隣り合わせの現場で「武装解除」の

  • ● 柄本佑の鼻の色 本:『孫の孫が語る藤原道長』(繁田信一著)

    2023年吉川弘文館 2024年のNHK大河ドラマ『光る君へ』の主人公は紫式部(吉高由里子)で、「望月」の権力者・藤原道長(柄本佑)との関係がドラマの主軸となるようである。 式部の主人であった中宮彰子、ライバル関係にあった清少納言や皇后定子、当代最強の陰陽師安倍晴明

  • ● 本:『混沌の叫び3 人という怪物』(パトリック・ネス著)

    2010年原著刊行2013年東京創元社(訳:金原瑞人、樋渡正人) 「カオス・ウォーキンング」シリーズの完結編。 プレンティス総統が率いる男性中心のアスク隊、ミストレス・コイル率いる女性中心のアンサー隊、そして惑星の原住民スパクルの大軍が、ぶつかり合って、ついに戦

  • ● キャッチ22 : みなとみらい21交響楽団 第24回定期演奏会

    日時: 2023年4月1日(土)14:00~会場: ミューザ川崎シンフォニーホール曲目: セルゲイ・プロコフィエフ: バレエ音楽『ロメオとジュリエット』第2組曲ドミトリ・ショスタコーヴィチ: 交響曲第10番《アンコール》 アレクサンドル・モロソフ: 交響的エピソード「鉄工場」

  • ● 奥むさし、春の花浴 : 釜伏峠(550m)

    晴れの休日。 桜を見るチャンスである。 関東平野は終わりかけているので、近場の山に出かけてみた。 このコースは、埼玉県寄居町が発行しているハイキングガイドで知った。 20kmの歩きは、2019年12月の足のかかと骨折以来の最長距離。 これを克服できれば、秩父の両

  • ● 本:『作曲家◎人と作品シリーズ ショスタコーヴィチ』(千葉潤著)

    2005年音楽之友社 交響曲第5番で興味を惹かれ、1番で衝撃を受け、7番で真価を知ったショスタコーヴィチ。 マーラーに次いで、演奏会を追っていく存在になりそうである。 もともと20世紀のソ連の作曲家というくらいしか知らなかった。 それも、名前の終わりに「~ヴィチ」

  • ● 夢のカケラ 本:『ディズニーキャストざわざわ日記』(笠原一郎著)

    2022年三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売 今回は、57歳までキリンビールにつとめ、その後8年間、東京ディズニーランドでカストーディアルキャスト(清掃員)として働いた男の体験談。 子育ても終わっている。退職金も並より高いだろうし、厚生年金もある。 他の日記

  • ● 映画:『モスクワは涙を信じない』(ウラジーミル・メニショフ監督)

    1979年ソ連142分、カラーロシア語 この映画、80年代に都内のあちこちの映画館でリバイバル上映されていた。 米国アカデミー賞の外国語映画賞ほか、数々の国際的な賞をとっている評価の高い映画なのだが、ソルティはついぞ観なかった。 3人の女性を主人公とするソ連映画で

  • ● 善悪の彼岸の物語 本:『混沌の叫び2 問う者、答える者』(パトリック・ネス著)

    2009年原著刊行2012年東京創元社(訳:金原瑞人、樋渡正人) 『心のナイフ』に続く英国発YA小説『混沌(カオス)の叫び』シリーズの第2部。 原題は THE ASK AND THE ANSWER 生まれ故郷であるプレンティスタウンを、地球からやって来た入植組の少女ヴァイオラとともに逃

  • ● 本:『死刑について』(平野啓一郎著)

    2022年岩波書店 この作家の小説は読んだことがないのだが、ツイッターではよく見かける。 その政治的スタンスはソルティとほぼ一緒で、作家の中では信頼の置ける人という印象がある。 死刑についても廃止の立場をとっている。 本書は、平野が2019年に大阪弁護士会主催の

  • ● 本:『混沌の叫び1 心のナイフ』(パトリック・ネス著)

    2008年原著刊行2012年東京創元社(訳:金原瑞人、樋渡正人) 映画『カオス・ウォーキング』の原作で、3部作の第1部。 原題の The Knife of Never Letting Go は、「ナイフを決して手放すな」といった意味合いだろう。 故郷の村プレンティスタウンから逃亡した主人公の少年

  • ● 映画:『テスラ エジソンが恐れた天才』(マイケル・アルメレイダ監督)

    2020年アメリカ103分 イーロン・マスクがCEOを務めているテスラ(Tesla)の社名の由来となった、天才発明家ニコラ・テスラ(1856-1943)の伝記(電気?)映画である。 テスラと言えば、直流V.S.交流の文字通り“火花散る”電流戦争はじめ、元雇用主であったトーマス・エ

  • ● 漫画:『未来歳時記 バイオの黙示録』(諸星大二郎・作画)

    2000~2008年集英社『ウルトラジャンプ』発表2021年集英社文庫 バイオテクノロジーによる新種生物の創造が当たり前となった未来世界を描くSF。 鶏とキャベツを掛け合わせたチキンキャベツ、ジャガイモに豚の遺伝子を組み込んだ肉ジャガ味のブタジャガ、オバサンの顔してオ

  • ● 本:『死刑のある国で生きる』(宮下洋一著)

    2022年新潮社 著者の宮下洋一は、高度生殖医療や安楽死など、人間の誕生と死をめぐる現場を取材し、本を書いている。 スペインとフランスを拠点とし、欧米諸国を飛び回って取材できるだけの国際感覚、語学力、交渉力、行動力、取材力、そして思弁性を兼ね備えた才能あるジ

  • ● 治兵衛とコンドル :旧古河庭園に行く

    JR駒込駅北口から徒歩12分のところに旧古河(ふるかわ)庭園がある。 しばらく前から気になっていた。 瀟洒な洋館と、それを取り巻く何十種類もの薔薇で有名なのは知っていた。 5月中旬ともなれば、たくさんの薔薇好きで賑わうことも。 それとは別に、広大な敷地内には

  • ● レニングラードと擬態: クラースヌイ×目白フィル合同演奏会

    日時: 2023年3月11日(土)18:00~会場: 大田区民ホール・アプリコ 大ホール曲目: キース・エマーソン(吉松隆編): 《タルカス》D. ショスタコーヴィチ: 交響曲第7番《レニングラード》指揮: 山上紘生オケ: クラースヌイ・フィルハーモニー管弦楽団/目白フィルハーモ

  • ● 大江健三郎氏、追悼

    平和憲法の熱心な護持者で『沖縄ノート』の執筆者であったノーベル賞作家・大江健三郎氏の冥福を祈り、四国遍路にて氏の故郷・愛媛県内子町を歩いた時(2018年11月5日)の記事を再掲載します。 弘法大師がその下で野宿したという十夜ヶ橋から久万高原に向かう途中に、内子

  • ● 輪廻転生ミステリー 本:『我々は、みな孤独である』(貴志祐介著)

    2020年角川春樹事務所2022年文庫化装画:日田慶治 装幀:鈴木久美 貴志祐介の本はこれで6冊目(検索カテゴリーを立てた)。 やっぱり面白い。 奇抜なプロット、緻密なリアリティ、抜群のストーリーテリング。 いったん読み始めたら、またたく間に作品世界に入り込んでし

  • ● 本:『ゆかいな仏教』(橋爪大三郎、大澤真幸共著)

    2013年サンガ新書 久しぶりに読むサンガ新書。 ブックオフで見つけた。 コロナ禍の2021年1月にネットで(株)サンガの破産を知り本当にびっくり&残念・・・・。 と思っていたら、元編集者らが復活を呼びかけてクラウドファンディングを開始。 わずか一ヶ月半の間に一千

  • ● 京都&奈良・初春の神仏めぐり(急)

    2日目の夜は天理市にある奈良健康ランドに泊まった。 露天風呂やサウナはもちろん、いろいろな種類の風呂があり、マンガ本の揃ったレストルームも広くてきれい。 心地良く過ごせた。JR郡山駅前から送迎バスが出ている朝のJR郡山駅 住井すゑの『橋のない川』を読んだとき

  • ● 映画:『クライ・マッチョ』(クリント・イーストウッド監督)

    2021年アメリカ104分 「クライ・マッチョ(マッチョよ、泣き喚け!)」というタイトルが示すように、本作はマチズモ(男らしさ、男性優位主義)に対する認識の再検討を、観る者(とくに男たち)に迫る映画である。 それを先導するのが、フェミニズム系の女性監督やゲイ監督

  • ● 京都&奈良・初春の神仏めぐり(破)

    第1日の夜はお稲荷様のおかげか、コンコンとよく眠れた。 平日早朝の京都はすっかりビジネスタウン。 出勤客に立ちまじってリュックかついで駅構内をうろうろする。 エスカレータに乗ろうとして、「あっ、関西に来たんだ」と実感した。第2日(2/27)奈良【行程】07:52

  • ● つよぽんの一本 映画:『ミッドナイトスワン』(内田英治監督)

    2020年124分 フォーリーブス、郷ひろみの頃から、「ブラウン管を通して」ジャニーズ事務所の歴史に立ち会ってきたソルティにとって意外だったのは、アイドル男性歌手の巣であるジャニーズ事務所から息長く活躍するすぐれた役者が次々と輩出されたことと、SMAPの中でもっとも

  • ● 京都&奈良、初春の神仏めぐり(序)

    2月末に、全国旅行支援を利用して2泊3日の旅をした。 主な目的は以下の通り。【京都】伏見稲荷大社・・・山頂まで連なる朱色の鳥居で有名三十三間堂・・・千躰の千手観音で知られる無鄰菴・・・山縣有朋の別荘だった名庭街中サイクリング【奈良】蟹満寺・・・国宝の白鳳釈

  • ● ウミウシ追加 映画:『カオス・ウォーキング』(ダグ・リーマン監督)

    2021年アメリカ109分 西暦2257年の未知の惑星を舞台とするSF。 原作はパトリック・ネスの同タイトルのシリーズ物のヤングアダルトSF小説で、東京創元社より『混沌(カオス)の叫び』の題名で刊行されている。 ネットを見ると、本作の評価はあまり芳しくない。 たしかにツ

  • ● 本:『住宅営業マンぺこぺこ日記』(屋敷康蔵著)

    2022年三五館シンシャ発行、フォレスト出版発売 今回の「日記シリーズ」は、住宅展示場でよく見かける営業マンの体験談&内幕暴露である。 1970年生まれの著者は、大手消費者金融に勤めた後、35歳のときローコスト住宅メーカー「たまごホーム」に転職、福島県の営業所に配

  • ● イスラエルではワーグナーが聴けない 本:『世界史で深まるクラシックの名曲』(内藤博文著)

    2022年青春出版社 クラシック音楽と言うと、「上品ぶったスノッブの人間が信奉する退屈で古めかしい音楽」というイメージがまとわりついている。 「好きな音楽は?」と人に聞かれて、ユーミンとかサザンとかK-POPとかラップとかレゲエとかミュージカルと答えるのは、たとえ

  • ● わたしの中の丑松 映画:『破戒』(前田和男監督)

    2022年東映119分 全国水平社創立100周年記念として作られた。 水平社(部落解放同盟の前身)は、1922年(大正11年)3月3日に京都で生まれた。 島崎藤村『破戒』は、それに先立つこと18年前の1906年(明治39年)の発表である。 「蓮華寺では下宿を兼ねた」という冒頭の

  • ● ドメスティック・スリラー 本:『殺人記念日』(サマンサ・ダウニング著)

    2021年早川書房唐木田みゆき 訳 文庫で570ページを超す分量なので、読み始めるのに気合いが要った。 最初の1/4くらいまで遅々として進まない展開に投げだしそうになったが、1/3を過ぎたあたりから俄然面白くなって、残り半分になってからは一気読み。 結局、丸一日で読み

  • ● ヴィーガンホラー 映画:『アノニマス・アニマルズ 動物の惑星』(バティスト・ルーブル監督)

    2020年フランス64分 無声映画で字幕なし。 ストーリーらしきものもない。 シチュエイションもよくわからないまま、人間がひたすらに虐待されるシーンが続く。 首に鎖をかけられて木に繋がれる。 森の中を狩られ、捕縛され、車の荷台の檻に閉じ込められ、運ばれる。 他

  • ● 長い長いトンネル NHKドラマ:『雪国』(川端康成原作)

    2022年4月16日放映2023年2月12日再放映90分●スタッフ&キャスト島村 高橋一生駒子 奈緒葉子 森田望智行男 高良健吾師匠 由紀さおり脚本 藤本有紀演出 渡辺一貫 最初の放映時は見逃した。 先週日曜日(2/12午後)になんとなく気になって録画しておいたのをあとから

  • ● 『ドライブ・マイ・カー』を2倍楽しむ 本:『ワーニャおじさん』(チェーホフ作)

    1897年発表1899年モスクワ芸術座初演2001年岩波文庫(小野理子・訳) 濱口竜介監督『ドライブ・マイ・カー』を観て、劇中劇として出てくる本作が読みたくなった。 戯曲の内容や役柄と、舞台の外で生きる役者たち(映画の登場人物たち)の日常とがリンクする面白さがあるか

  • ● ホルン奏者の二の腕 : アリエッタ交響楽団 第16回演奏会

    日時: 2023年2月12日(日)14時~ 会場: 和光市民文化センター サンアゼリア大ホール曲目:メンデルスゾーン: 演奏会序曲『夏の夜の夢』 作品21リヒャルト・シュトラウス: ホルン協奏曲第1番変ホ長調 作品11アントニン・ドヴォルザーク: 交響曲第7番ニ短調 作品70ホ

  • ● ツボにはまった20年 本:『死刑のある国ニッポン』(森達也、藤井誠二共著)

    2015年河出文庫 現在、世界195ヵ国のうち、7割の国は死刑を廃止または停止しており、実際に死刑を執行しているのは54ヵ国のみという。 また、経済協力開発機構(OECD)38ヵ国のうち、死刑制度があるのはアメリカ・韓国・日本のみで、アメリカは半分の州で廃止または停止、

  • ● 春樹のない人生 映画:『ドライブ・マイ・カー』(濱口竜介監督)

    2021年179分 いささか勇気を出して告白する。 ソルティは村上春樹を読んだことがない! 80年代末に『ノルウェイの森』があそこまでブームにならなければ、とっくに読んでいたかもしれない。 猫も杓子も女子大生も「ノルウェイ、ノルウェイ」といったバブリーな風潮に、天

  • ● 幸子、最終形態 映画:『NOPE ノープ』(ジョーダン・ピール監督)

    2022年アメリカ130分 『ゲット・アウト』『Us アス』と、突飛でおぞましいアイデアとシニカルな社会批判を宿した作品で、一躍、有名監督の仲間入りしたジョーダン・ピール。 第3弾はSFサスペンスであった。 2度の成功が資金を集めたのだろう、大掛かりな野外ロケのもと

  • ● クリスティ・ベスト20 本:『忘れられぬ死』(アガサ・クリスティ著)

    1945年原著刊行2004年早川書房(中村能三・訳) 原題は、Sparkling Cyanide「泡立つ青酸カリ」 クリスティ中期の作品で、名探偵ポワロも、詮索好きな老嬢ミス・マープルも、おしどり探偵トミー&タペンスも、登場しない毒殺ミステリー。 邦題とは裏腹に、すっかり忘れられ

  • ● 変わらなきゃ! 本:『ゴンチャローフ日本渡航記』(イワン・A・ゴンチャローフ著)

    1858年原著刊行1969年雄松堂出版より邦訳刊行2008年講談社学術文庫(高野明、島田陽・訳) 彼らが唯一の頼みとする鎖国排外制度は、彼らに何も教えず、彼らの成長を止めただけだと分かっているのだ。その制度は小学生の悪戯のように、教師の姿が見えると、すぐさま崩壊する

  • ● ヒーローの証言 映画:『父親たちの星条旗』(クリント・イーストウッド監督)

    2006年アメリカ132分 アメリカ映画でいわゆる「反戦映画」が目立つようになったのは、1970年代からだと思う。 『ジョニーは戦争に行った』(1971)、『ディア・ハンター』(1978)、『帰郷』(1978)あたりから流れが始まり、80年代に入って、『プラトーン』(1986)、『フ

  • ● アントニン療法 : Blue-Tコンチェルト管弦楽団 第6回定期演奏会

    日時: 2023年1月29日(日)13:30~会場: 渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール曲目:ドヴォルザーク: チェロ協奏曲ロ短調 作品104ドヴォルザーク: 交響曲8番ト長調 作品チェロ: 河野 明敏指揮: 原田 博之 コロナ後遺症のブレインフォグによるものなのか、頭がぼん

  • ● 本:『シャーロック・ホームズのジャーナル』(ジューン・トムスン著)

    1993年原著刊行1996年創元推理文庫(訳:押田由起) 英国の女性ミステリー作家ジューン・トムスンによる贋作ホームズシリーズ3作目。 今のところ、伝記『ホームズとワトスン 友情の研究』をのぞけば、全7作のミステリー短編集が発表されているようで、うち邦訳が出ているの

  • ● 千葉真一がエモすぎ! 映画:『沖縄やくざ戦争』(中島貞夫監督)

    1976年東映96分 チャカが出てくるヤクザ映画は好きじゃないが、日本返還後の沖縄が舞台というので、当時の風俗や街の匂いが伺えたらと思い、借りてみた。 戦後沖縄のヤクザ抗争は、スターこと又吉世喜を親分とする那覇派と、ミンタミーこと新城喜史を親分とするコザ派の対

  • ● 映画:『蠅の王』(ピーター・ブルック監督)

    1963年イギリス87分、白黒 原作は、英国作家ウィリアム・ゴールディング(1911-1993)のノーベル文学賞受賞作。 「蠅の王」とは聖書に出てくる悪魔ベルゼバブのこと。 と言っても、オカルト映画ではない。 『十五少年漂流記』の闇バージョンといった内容で、無法状態にお

  • ● 生まれたところに還る旅 : フライハイト交響楽団 第50回記念演奏会

    日時: 2023年1月22日(日)13時30分~会場: すみだトリフォニーホール 大ホール曲目: バッハ(シェーンベルク編曲): 前奏曲とフーガマーラー: 交響曲第9番指揮: 森口真司錦糸町駅北口(墨田区) フライハイト(Freiheit)とはドイツ語で「自由」の意。 1996年創設

  • ● 田中角栄の遺言 本:『戦争の大問題 それでも戦争を選ぶのか。』(丹羽宇一郎著)

    2017年東洋経済新報社 経営戦略とか組織マネジメントとかPDCAサイクルといった概念や言葉が、日本で広まり、官民問わず様々な分野で取り入れられるようになったのは、90年代に入ってからだったと思う。 戦後ずっと日本の景気は右肩上がりで来て、80年代に空前のバブル景気

  • ● 本:『飛ぶ教室』(エーリッヒ・ケストナー著)

    1933年原著刊行2003年講談社文庫 児童文学の傑作として名高いが、未読であった(おそらく)。 タイトルからして、楳図かずお『漂流教室』のようなSF設定、あるいは主人公ドロシーが家ごと飛ばされる『オズの魔法使い』のようなファンタジーなのかと思っていた。 が、蓋を

  • ● この世は地獄じゃ 本:『時間』(堀田善衛著)

    1955年新潮社より刊行2015年岩波現代文庫 ニノ、こと二宮和也主演『硫黄島からの手紙』の記事において、敵国であった日本人の視点に立って過去の日米戦を描き出したクリント・イーストウッド監督の凄さについて讃え、それと同じことができる、つまり中国人の視点に立って日

  • ● その火を飛び越して来い 映画:『潮騒』(森永健次郎監督)

    1964年日活82分、カラー 三島由紀夫原作のこの有名なロマンスはこれまでに5回映画化されている。1954年(昭和29年) 監督:谷口千吉 主演:青山京子&久保明1964年(昭和39年) 監督:森永健次郎 主演:吉永小百合&浜田光夫1971年(昭和46年) 監督:森谷司郎 主演:

  • ● 映画:『メイズ・ランナー』(ウェス・ボール監督)

    2014年アメリカ113分 原作はジェームズ・ダシュナーが2009年に発表したヤングアダルトSF小説。 『メイズ・ランナー』の題名で角川文庫から邦訳が出ている。 巨大な迷路(Maze)の真ん中に閉じ込められた若者たちの脱出劇を描くシチュエイション・スリラーである。 意識

  • ● 鎌倉殿の血統 本:『新・沖縄ノート 沖縄よ、甘えるな!』(惠隆之介著)

    2015年WAC株式会社 大江健三郎の『沖縄ノート』を探している時に本書を知った。 ソルティは著者の惠隆之介については何も知らなかったが、発行元のWACは『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』(加藤康男著)の版元なので、読む前からバイアスがかかってしまうのは致し

  • ● R65-(65歳以上、鑑賞注意) 映画:『パーフェクト・ケア』(J・ブレイクソン監督)

    2020年アメリカ118分 介護業界の闇をテーマにしたクライムサスペンス。 原題は I Care a Lot 「ケアにかかりきり」ってところか。 医師によって認知症の診断を下された独り暮らしの高齢女性ジェニファーが、高級老人ホームに無理矢理閉じ込められて、家や車や財産など一

  • ● アムロ世代 本:『宝島』(真藤順丈著)

    2018年講談社 『宝島』と言えばスティーヴンソンの冒険小説であるが、本作もある意味、冒険小説と言えないこともない。 悪漢を主人公としたピカレスクロマン(悪漢小説)の風味があるからだ。 代表的なピカレスクロマンの主人公と言えば、アルセーヌ・ルパンや石川五右衛

  • ● 豊島区管弦楽団ニューイヤーコンサート2023

    日時: 2023年1月8日(日)会場: 豊島区立芸術文化劇場(東京建物ブリリアホール)曲目:ベートーヴェン: 交響曲第7番武満徹: 系図 -若い人たちのための音楽詩-ストラヴィンスキー: バレエ組曲「火の鳥」(1919年版)指揮: 和田 一樹アコーディオン: 大田智美語り: 都

  • ● 漫画:『地獄星 レミナ』(伊藤潤二作画)

    2005年小学館併録『億万ぼっち』 伊藤潤二には一時ハマった。 出世作『富江』はじめ短編集をずいぶん読み、江戸川乱歩に通じるような不気味で変態チックなアイデアと、草間彌生に通じるようなゲテモノ趣味で精密な画風に惹かれた。 どんないかがわしい風体の人だろうと思

  • ● 切られた人格 映画:『スプリット』(M・ナイト・シャマラン監督)

    2017年アメリカ117分 『シックス・センス』『サイン』『ヴィレッジ』など、どんでん返し型サスペンスミステリーの作り手として有名なナイト・シャマラン監督。 多重人格(医学用語では解離性同一性障害)の男に囚われた3人の女子高生の血も凍るような地獄の体験が描かれる

  • ● 新型コロナ感染記

    昨年末に新型コロナ陽性になった。 幸いなことに軽症ですんだ。 オミクロン対応ワクチンこそ打っていなかったが、これまでに4回ワクチン接種していたのが重症化を防いだ一因ではないかと思う。 幸いなことに同居の両親は感染しなかった。 経過を記録しておく。 発熱し

  • ● 本:『ぼくには数字が風景に見える』(ダニエル・タメット著)

    2006年原著発行2007年講談社より邦訳刊行2014年講談社文庫 ダスティン・ホフマンが『レインマン』で演じたレイモンド・バビットと同じサヴァン症候群の青年の自叙伝である。 1979年ロンドン生まれのダニエルは、現在43歳。 本書では生まれてから26歳までのことが書かれて

  • ● 躁うつ病交響曲、あるいはA線上の人生: 明治大学交響楽団 第99回定期演奏会

    日時: 2022年12月28日(水)会場: すみだトリフォニーホール 大ホール曲目:スッペ: 喜歌劇『軽騎兵』序曲ボロディン: 歌劇『イーゴリ公』より「韃靼人の踊り」マーラー: 交響曲第1番指揮: 和田一樹 年末最後はいつもベートーヴェン「第九」で〆るのだが、昨年は聴きそ

  • ● 秩父神社でカウントダウン

    年越し3日間は秩父で過ごした。 スマホもテレビもOFFにして、午前中は瞑想、午後は散歩、夜は読書と瞑想にふけった。 基本、人とは喋らない。 たまにこういう生活をすると、テレビはともかくとして、自分がいかにスマホ依存しているかに気づかされる。 LINEやゲームや

  • ● 野辺の花が私にささやきかけた 本:『沖縄ノート』(大江健三郎著)

    1970年岩波新書 個人的に2022年一番良かったのは、沖縄戦跡めぐりをしたことだ。 人生の中でもやって良かったことの上位に入る。 なにがそんなに良かったのか説明するのは難しい。 強いて言えば、行かなければならない場所に行き、見聞きしなければならないものを見聞き

  • ● 還ってきたX君

    やや旧聞に属するが、今秋に良い知らせがあった。 行方不明になっていた旧友X君が無事生きていたのである。 コロナ感染の波が収まっていた5月の連休に、友人らと一緒に、東北にX君を探しに行った顛末は『みちのく・仏めぐり』で書いた。 その時は結局、行方が分からず空

  • ● 2022年の映画ベストテン

    今年は66本の映画(ドキュメンタリー含む)を観た。 月に5本以上、自宅DVD鑑賞が中心であった。 鑑賞した順でベストテンを上げる。(ただし、初見のものに限る。『砂の器』『おはよう』など本来ベストテンに入れるべき再鑑賞作品はのぞく)日本の夜と霧(大島渚監督)・

  • ● 死に軍、ふたたび 映画:『硫黄島からの手紙』(クリント・イーストウッド監督)

    2006年アメリカ141分、パートカラー日本語 1945年2月19日から3月26日にかけて小笠原諸島の硫黄島で行われた日米の戦いを、日本軍の視点から描いた作品。 3月10日に東京大空襲があり、4月1日に沖縄本島上陸があったことからも分かるように、太平洋戦争末期のすでに日本の敗

  • ● 本:『看守の流儀』(城山真一著)

    2022年宝島社文庫 加賀刑務所を舞台とする連作ミステリー小説。 キーパーソンとなる受刑者や刑務官を違える5つの話が、時系列で語られていく。 犯罪と無縁の市井の人にはうかがい得ない刑務官の仕事や心情が興味をかき立てる上に、一つ一つの話がミステリーとしても人情ド

  • ● 吉田監督、追悼 映画:『炎と女』(吉田喜重監督)

    1967年松竹101分 人工授精をテーマとする夫婦の愛憎劇。 主演はもちろん、吉田監督の生涯のパートナーである岡田茉莉子。 人工授精は夫の精液を用いる「配偶者間人工授精(AIH)」 と第三者男性からの提供精液を用いる「非配偶者間人工授精(AID)」に分けられる。 夫の

  • ● 時代の壁 オペラライブDVD:ヴェルディ作曲『リゴレット』

    収録日時 2001年7月21日開催場所 アレーナ・ディ・ヴェローナ(イタリア)キャストリゴレット: レオ・ヌッチ(バリトン)ジルダ: インヴァ・ムーラ(ソプラノ)マントーヴァ公爵: アキレス・マチャード(テノール)指揮: マルチェッロ・ヴィオッティ演出: シャルル・

  • ● ほすぴたる記その後 最終回(事故後丸3年)

    気づかないうちに、12月5日の骨折3周年記念日が終わっていた。 日常生活でもはや左足患部を意識することがなくなったせいだ。 歩くのも、自転車乗るのも、階段を昇り降りするのも、水泳するときも、骨折前と動きはほとんど変わらない。 正座もできるようになった。あぐ

  • ● 本:『沖縄アンダーグラウンド 売春街を生きた者たち』(藤井誠二著)

    2018年講談社より刊行2021年集英社文庫 本書と出会ったのは、ほかならぬ沖縄の地。 嘉数高台と佐喜眞美術館を訪れた日の午後、那覇の繁華街を足の向くまま気の向くままぶらついていた。 国際通りから、土産物屋がずらりと並ぶ平和通りに入って、途中のドライフルーツ店で

  • ● オフィーリア最後の願い 本:『80歳の壁』(和田秀樹著)

    2022年幻冬舎新書 今年一番のベストセラーである。 ソルティも夏頃買い求めて、両親に渡した。 内容も著者のこともよく知らず・・・。 ただ、裏表紙の内容紹介に「(80歳を過ぎたら)嫌なことを我慢せず、好きなことだけすること」とあったので、悪い本ではなかろうと思

  • ● 今年一番の衝撃作 映画:『アンテベラム』(ジェラルド・ブッシュ&クリストファー・レンツ監督)

    2021年アメリカ106分 2022年もあと半月で終わろうとしているが、今年観た中で一番衝撃的な映画、それは間違いなく本作である。 残り半月で、これを超えるものに出会えるとは思えない。 どれくらい衝撃的かと言うと、ソルティは本作を2晩続けて観た。 観終わったら、もう

  • ● 沖縄戦跡めぐり4 (首里城)

    帰りの飛行機の時間まで首里城見学した。 国際通りからバスに乗り、石畳前バス停下車。 琉球王国時代の遺跡である「金城町石畳道」を首里城に向かって登る。金城町石畳道16世紀に琉球王国の3代国王尚真によって造られた南部に通じる真珠道(まだまみち)の一部。琉球石灰

  • ● TVドラマ:『名探偵・金田一耕助シリーズ・悪霊島』

    1999年TBS系列放映94分原作 横溝正史演出 原田眞治 『悪霊島』と聞けば、なんと言っても岩下志麻の鬼気迫る演技が鮮烈な1981年角川映画版が脳裏に浮かぶ。 横溝正史の原作はほとんど覚えていないが、岩下志麻が演じた二重人格「神聖なる巴御寮人=男狂いのふぶき」の凛と

  • ● 前田高地の奇跡 映画:『ハクソー・リッジ』(メル・ギブソン監督)

    2016年アメリカ、オーストラリア139分 1945年4月から始まった日米沖縄戦で死闘を極めた前田高地の闘いが舞台である。 前田高地の峻厳たる地形をアメリカ軍は Hacksaw Ridge(弓鋸の崖)と呼んだ。ハクソー・リッジ(前田高地)標高約120~140mの丘陵。ここから約4キロ南西

  • ● つくし作品展と高尾山

    高尾駒木野庭園は、JR高尾駅から歩いて15分のところにある。 小林医院(現・駒木野病院)院長の自宅として昭和初期に建てられた日本家屋と、枯山水や露地のある池泉回遊式の日本庭園は、瀟洒にしてどこか懐かしい風情が漂っている。 先日、ここで開催された「つくし作品

  • ● 沖縄戦跡めぐり3(嘉数高台~佐喜眞美術館)

    宿は国際通りから東に伸びる浮島通りにあった。 ゆいレールの県庁前駅から歩いて10分、最寄りのバス停には5分、コンビニには2分。 どこに行くにもまったく便利な位置でありながら、国際通りに面していないので静かだった。 ホテルや旅館ではなく、普通のマンションの一

  • ● 274分の意味 映画:『ボストン市庁舎』(フレデリック・ワイズマン監督)

    2020年アメリカ274分 原題は City Hall 邦題の通り、ボストン市庁舎で働く市長はじめ市職員たちの日頃の仕事ぶりを撮ったドキュメンタリー。 『パリ・オペラ座のすべて』『ナショナルギャラリー 英国の至宝』『ニューヨーク公共図書館』など公共施設を撮ってきたワイズマ

  • ● 沖縄戦跡めぐり2(沖縄陸軍病院南風原壕群~旧海軍司令部壕~対馬丸記念館)

    レンタカーを使わずに沖縄を旅するのはなかなか大変である。 タクシーを借り切るという手もあるけれど、予算的な問題は別として、ソルティは自分が施設見学している間、運転手を待たせておくというのがどうも苦手である。 誰にも気兼ねせず、時間の許す限り見学したい。

  • ● 小津監督の遺作 映画:『秋刀魚の味』(小津安二郎監督)

    1962年松竹113分、カラー 「秋刀魚の味」というタイトルが示すのは「庶民の哀歓」といったほどの意味だろうか。 作中、東野英次郎演じる元教師が元生徒たちにご馳走されて泣いてよろこぶ鱧(ハモ)は出てくるが、サンマは出てこない。 かつて原節子が演じた年頃の未婚の娘

  • ● 沖縄戦跡めぐり 1(健児の塔~平和祈念公園~ひめゆりの塔~魂魄の塔)

    本当は、地元の人が案内してくれる戦跡パッケージツアーに参加したかった。 が、時期的にちょうど良いのがなかった。 施設の場所や開設時間や交通機関などはネットで調べて旅程を立てることができるけれど、肝心の沖縄戦にまつわるエピソードや見るべきポイントなどは、

  • ● 実朝供養

    先週日曜日(11/27)のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で、源実朝(柿澤勇人)が鶴岡八幡宮の石段で公暁(寛一郎)に暗殺された。 ネット上には実朝ロスの声が氾濫している。 純粋で誠実すぎるゆえに周囲と齟齬をきたしてしまうナイーブな実朝を演じきった柿沢勇人は、確

  • ● 忘れられぬ殺人 本:『バースへの帰還』(ピーター・ラヴセイ著)

    1995年原著刊行1996年早川書房より邦訳(山本やよい訳)2000年文庫化 ピーター・ラヴゼイ(1936- )は英国のミステリー作家。 1982年発表の傑作『偽のデュー警部』で一躍、世界中のミステリーファンにその名を知らしめた。 本作はラヴゼイが創造した名探偵ピーター・ダイ

  • ● アニメ映画:『竜とそばかすの姫』(細田守監督)

    2021年スタジオ地図121分 細田守監督の『時をかける少女』(2006)、『サマーウォーズ』(2009)はとても良かった。 とくに後者! サイバー空間のカラフルで緻密で魔術的な映像と、平和で美しい信州の日常風景との対照が面白かった。 IT時代の脅威といった現代的テーマも

  • ● 天国と地獄

    沖縄3日めは、普天間基地を見に行った。 オスプレイがカトンボのように並んでいた。 人間というものは、作ったからには使う機会を作るものだ。 戦争に勝つための武器から、武器を試すための戦争、武器を売るための戦争を必要とするようになる。 オス(男の)プ

  • ● 疲れの正体?

    昨晩はあんなにへたばったのに、今夜は元気もりもりだ。 今日も一日中、那覇市内外を路線バスやタクシーやレンタサイクルを駆使して飛び回り、3つの戦跡巡りをしたというのに・・・。 やはり、ウコンが効いたのか? 思うに、「疲れた」は「憑かれた」なのだろう。

  • ● 国際通りの雄叫び

    昨晩から那覇にいる。 国の旅行支援事業を利用して、3日間の戦跡巡り。 今日は、平和祈念公園とひめゆりの塔、つまり最も被害の甚大だった南部の海岸沿いを巡った。 後日、記事にまとめたいと思うが、とにかく身も心も疲れ果てて、今、宿に帰って風呂入って、床

  • ● 生まれ変わりは希望? 映画:『インフィニット 無限の記憶』(アントワーン・フークア監督)

    2021年アメリカ106分 マーク・ウォールバーグ主演のSFアクション映画。 見せパンの元祖でやんちゃ者のマーキー・マークもいまや51歳。 いったいいつまでこんな激しいアクション映画の主役を張るんだろう? どこまで若作りして、マッスルな体を晒すつもりなのだろう? と

  • ● 本:『運命の人』(山崎豊子著)

    2009年文藝春秋2011年文庫化全4巻 映画『ひめゆりの塔』、ドキュメンタリー『沖縄戦』と、このところ沖縄戦がマイブームになっている折、最寄りのブックオフに行ったら店頭ワゴンで一冊105円で売っていた。 沖縄をテーマとした山崎豊子の最後の完成作である。 『暖簾』『

  • ● 映画:『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』(レジス・ロワンサル監督)

    2020年フランス、ベルギー105分、フランス語 サスペンスミステリー。 原題は Les traducteurs 「翻訳者たち」 世界的大ヒットのミステリー『デダリュス』完結編を各国語に翻訳するために、出版元によって人里離れた豪邸の地下室に閉じ込められた9人の翻訳家。 それは世界

  • ● 宇宙も夢を見るのかしら? 本:『死は存在しない』(田坂広志著)

    2022年光文社新書 副題は「最先端量子科学が示す新たな仮説」 本書を読みながら、仙台に住んでいた30代の頃に出会ったディープエコロジーや精神世界関連のさまざまな本や人や言説のことを思い出した。90年代のことである。 仙台の街中に、自然食品店&出版社『ぐりん・ぴ

  • ● 鎌倉アルプスを歩く(大平山159m)

    月曜の午前中という、もっとも空いていそうな時間をねらって、大河ドラマブームに湧く鎌倉を逍遥した。 鎌倉市最高峰の大平山より街並みを見下ろす天園ハイキングコース。● 歩行日 2022年11月7日(月) ● 天気 くもり● 行程10:00 JR鎌倉駅 歩行開始10:15

  • ● 本:『美少年日本史』(須永朝彦著)

    2002年国書刊行会 歌人にして作家の須永朝彦が、あまたの史書や古記録を紐解いて、日本史を彩る美少年たちを時代を追って紹介したもの。 神代の昔から語り起こして、在原業平や世阿弥や森蘭丸といった有名どころから、はじめてその名を聞く稚児や喝食(かつじき)やお小姓

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