俳句を毎日いくつか詠んでいます。昭和の匂いをぷんぷんさせた越中ふんどし親父です。
コーヒーよ、おまえだけが頼りだ。わが友、コーヒーよ。春になったらポットに詰めて遠出をしよう。
捜査の少年探偵青写真猫の目の眩しさ嫌ふ青写真紙芝居の錆びし自転車青写真モノクロのあの日の僕ら青写真青空の昭和の町や青写真思ひやる心はどこへ青写真失った昭和が写る青写真ニッキ飴ふたつ一円青写真
噛めばしゅむぬめりの美味し根深汁根深汁すする音だけ老夫婦慎ましき家族のありて根深汁村はみな藁葺だった根深汁子らのみな押し黙り食ぶ根深汁祖母の温みにも似てゐて根深汁実直な先生のこと根深汁根深汁ママの歌は「悲しい酒」母の子にふうふうしたる根深汁
少し濡れ嗅覚澄まし時雨傘街路樹の押し黙りゆく時雨かな野良猫の突っ切って行く夕時雨駅の灯のレールに滲む夕時雨時雨去り枝の雫に残る陰時雨去り小さき目のごと雫かな車窓にネオン流るる小夜時雨魚屋のねぢり鉢巻き朝時雨時雨去り滴に映る時雨あと
空へバラード奏づ皇帝ダリア気力を皇帝ダリアに貰ふかな皇帝ダリアポストに回覧板受信する皇帝ダリアのアンテナ皇帝ダリアひとひらの大きな切符朝いちばん皇帝ダリアのおはよう
陰成して葉の静けさや枇杷の花厚き葉陰に素朴なる枇杷の花枇杷咲いて振り返る十一ケ月枇杷咲いて余す日数の気にかかる医の白衣とも違ふけど枇杷の花診察日まうひと月か枇杷の花枇杷咲いたこと仄かなる香に気づく絹糸浮かぶ細き香や枇杷の花大事にしたきもののあり枇杷の花朴訥とした脇役や枇杷の花指の出た子の靴下や枇杷の花枇杷咲くや八十近き担当医
玉砂利を踏み踏み廻る菊花展感歎の顏の近づく菊花展白菊に惹かるる人も菊花展菊花展みんなで記念写真かな顔ほころばせ香を貰ふ菊花展一鉢に深山幽谷菊花展出品の怠りのなき菊花展一献に揺るる名残や菊花展日も良くて友と語らふ菊花展
果物の並ぶ店先小六月駐車場に猫のくつろぐ小六月小春日や猫のくつろぐ駐車場チャンポンの盛り上がる具や小六月駅ホーム影くっきりと小六月通りすがりの温泉や小六月温泉の説明書や小六月バカボンのパパ人形や小六月うしろ手を組んで散歩や小六月
ガードを潜れば勤労感謝の日鳩の寄り来たる勤労感謝の日縄暖簾くぐり勤労感謝の日ほろ酔ひ二合の勤労感謝の日おむすびの温み勤労感謝の日散髪すませて勤労感謝の日即席のスープ勤労感謝の日するっと改札勤労感謝の日ロボット活躍勤労感謝の日濯ぎものなき日勤労感謝の日休まぬ自販機勤労感謝の日
人影の乏しき畑や冬めきぬ枝々の細き陰して冬めきぬ閉じゆくからくり時計や冬めきぬ夕暮の電車過ぐ陰冬めきぬ冬めきて朝の珈琲マグカップ冬めきてズボンに足の入れずらき冬めくやズボンに足の入れそこね昼時の大衆食堂冬めく冬めくや輪の小さくなる立話家々のひっそりとして冬めきぬ
実柘榴に馳せる宇宙のビッグバン爆ぜ柘榴なぜに火星は滅びたか無数の火の玉のごとく柘榴生る青空と熟れし柘榴の寓話かな実柘榴やワインの貯蔵二千本柘榴爆ぜ忘れてたこと思ひ出す実柘榴や激しき恋をまう一度実柘榴の転がり出たるふどしかな若き日の激しき恋や柘榴の実
行きずりの冬の朝風呂湯気笑ふのびのびと冬の朝風呂体操す湯屋を出て温もり足りず冬の朝冬の朝風呂
花八つ手むかしの医の香おもひだす花八つ手まだ生きてゐた人に遇ふ葉は破れ朽ちても咲きし花八つ手惚けたるも気遣ふ母や花八つ手花八つ手ぼけても母の立つ厨
銀杏散るいっとき見たる金の鳥銀杏散る下で出逢ひし二人かな銀杏散る恋を占ふくるくるとコーヒーと語る窓辺に銀杏散る銀杏散る境内しんと静もりぬ手品師のうたを歌ふや銀杏散る銀杏散るマリオネットの大道芸若き日の銀杏落葉の栞かな
短日や出港前の窓明り短日の日の暮れ残る石畳駅裏の旅館のひそと暮早し短日のすれ違ひし猫の尾かな短日の帰りそこねた雀かな不安気に鳴く鳥どちや暮早しスーパーの値引きの刻や日短か短日の思ひえがくは肴かな短日・日短・暮早し
七五三この日のための訪問着ゆるキャラも祝ってくるる七五三玉砂利を踏みなれぬ歩や七五三七五三晴れ晴れしたる若き婆七五三日に恵まれて神のもと結髪のかのこ可愛や七五三
木の葉髪たのんでみたきドラえもん役者の仕草まねし日や木の葉髪なびかせて闊歩した日や木の葉髪木の葉髪ひげはすぐに伸びるけれど良きかつらのある時代や木の葉髪木の葉髪みれんがましきことは止む木の葉髪やがては磯野波平さん
はつ冬やピーターラビット覗く窓はつ冬の日の影えがく浅き川はつ冬や壊れてゐたる吊り手水昔、子供の頃を思い出します。トイレの入り口辺りにぶら下げているのをよく見ました。ブリキだったと思います。あの、指で押し上げた時の音も思い出します。実は、現代もけっこう使われているようです。材質はブリキからプラスチックに変わって。庭の手入れなどした後などに、ちょっと指先を洗うのに便利なようです。はつ冬や小便するなの貼紙何だか懐かしい。サザエさんの世界でしょうか。はつ冬
柊の花の香は温もりくれる柊の花かをり優しさ生まる通り過ぎ引き返し嗅ぐ花柊おだやかに過ぎし一日や花柊柊の葉は傷みても花白し金木犀の葉もそうでした。ここ数年、猛暑のせいか葉が無残なまでに痛んでしまってるのを見ます。それでも、ちゃんと花は咲いてくれます。いい香りで。柊の花にぼんやり君のこと柊の花
早起きのパンとコーヒー冬あたたかゆでたまご湯がきたて食ぶ冬ぬくし早起きをしたけれど、頭がスッキリ覚めるまで時間がかかるようになった。ワクワクと訳もなく胸をときめかせて夜明けのコーヒーを楽しんでいた一年前はそうでもなかったのに。これが老化なのかな。取り敢えずコーヒーを濃い目に淹れて軽い食事をとった。そうしてどうにかスッキリ出来た。逝く猫の水飲む椀や冬あたたかお経よむ母の背なや冬あたたか冬あたたか
走り根も覆ひゆきたる落葉かな参道の踏みゆく桜落葉かな参道の桜落葉や石畳野良猫の落葉を友に眠りゆく野良猫の潜る落葉のふとんかな俳句をまだやってない時のこと。日和も良くて、散歩の足を伸ばしてぶらぶらと、人も来ない藪のある荒れた叢の野の花を見てた時のことです。ゴソゴソと落葉が盛り上がったかと思ったら見覚えのある野良猫が飛び出して来てそのまま体に落葉を付けたまま慌てて逃げて行ってしまいました。近所でもワル猫で通ってるドラ猫です。めったに人が来ない所なので安心して塒にしていたのかもしれません。嫌われ者のドラ猫でもこの時はちょっと済まない気持ちになりました。落葉踏む野良ねこ音を立てず行く降り敷く落葉とベンチの物語落葉の物語
半日を籠りし日々や石蕗の花古民家の苔むす石や石蕗の花コーヒーや古民家カフェに石蕗の花古民家を、中を改装してカフェやレストランに使ってるのをちょいちょい見かけます。また、そのままで、何か催しをしたり。展覧会など。繋がれし猫の目つきや石蕗の花別な場所ですが、石段の陰で顔だけ覗かせてコワイ目で睨んでいました。いつも繋がれたままなのかな。番犬ならぬ番猫みたいでした。民家の少ない所なのに。自由にさせたら穏やかになるのでは?と、ちょっと可哀そうに思えました。近寄ったら飛びつかれそうでした。写真を撮ったけど、あまりにオソロシイので止めました。近くの道端に石蕗の花があちこち咲いていました。葉に斑を好む齢や石蕗の花石蕗の花は正直なところ、特に関心のない花でした。それが、斑のある石蕗の花が好きと言う方を知ってから目に触れたら足を止...母のさと駅のホームに石蕗の花
どんぐりと旅をつづける車窓かなどんぐりの教えてくれた村社団栗の時雨のごとく降る音かなどんぐりの語るどんぐり日和かなどんぐりと旅
山茶花や身重の猫の思案顔山茶花の野良猫のぞく垣根かな山茶花やのら猫の尾の跳ね上り山茶花の垣根を覘く身重猫
茶の花や母の背のまた丸くなり茶の花の黄のこぼれたる葉に夕日茶の花の傍で広げる握り飯茶の花を下から覗く園児かな茶の花に幼少の日を辿るかな茶の花やバスを待ちたる別れ際茶の花のふっくら母の割烹着
立冬やお昼は豚汁定食立冬の声聴けさうな黒電話パソコンの不具合生じ冬に入る老いし手に伸ばすクリーム冬に入る百均で靴下買って冬に入るコーヒーを上手に淹れて冬に入る立冬の音を聴きたるポストかな味噌汁の湯気の嬉しき今朝の冬
強者の百戦錬磨種茄子浪花節うなりさうなる種なすび悠々とどっしり生きて種茄子種茄子の見交はしお主も悪よのう種茄子や悪代官のブワハハハ悪役の味ある顔や種なすび種茄子の艶の黒々くすみゆくわすれたる義理人情や種茄子良き種は元気な株に種茄子老いの手の斑の伸びたる種茄子昨日、畑にまだぶらぶらぶら下がってるのを見ました。もうそろそろ摘み取り時でしょうか。晩秋の日暮の陽にどっしりとして見えました。種なすび
あれこれと老いの思案や残る菊老いたれば今日を楽しく残る菊晩菊や身を寄せ合ふて明日も咲く晩菊や日の差す土の香るごと残菊の上を向きても這ふごとく残菊の土をつけたる清さかな残菊や胸いっぱいに深呼吸残る菊・晩菊
オリーブの実やノックする校長室鉢植のオリーブの実や雑貨店オリーブの実に映えてゐる日和かなオリーブの実や少女らはタピオカへオリーブの実や町に漂ふ湯の香オリーブの実やぶらぶらと老いの旅オリーブの実
湯の蓋に猫の腹這ふ冬隣雄猫の振られてしょ気る冬隣うまくいかニャいね。冬隣
昭和のバーの片隅で秋惜しむひなびたる湯の町に来て秋惜しむ揚げパンに昭和を嗅ぎて秋惜しむくたくたになるまで歩き秋惜しむ知らぬ町ほっつき回り秋惜しむ明治昭和かをる湯屋にて秋惜しむ「秋桜」と云ふ庵に来て秋惜しむリムジンを書斎代わりに秋惜しむスポーツカーぶっ飛ばして秋惜しむ秋惜しむ
白塗りに紅の稚児載せ秋祭秋祭たよりにされる女子高生神主の透けし烏帽子や秋祭ギャル担ぐ小さき神輿や秋祭秋祭ちょっといっぷく村社提灯の揺れゆく山車や秋祭世話方の山車を見守る秋祭しきたりは老いが頼りの秋祭山車を曳く声すみわたる秋祭
ハロウィンや魔法使ひの子ら集ふハロウィンの子らのつらるる駄菓子かなハロウィンや昭和親父にゃいまひとつハロウィンや子らのマントはゴミ袋
立ち飲みの肩を寄せ合ひ秋深む出汁の香の誘ふ立ち喰ひ秋深む手の甲に斑のまた増え秋深む秋深む
給食のアルミ食器や文化の日たばこ屋の看板むすめ文化の日たばこ屋の娘も老いて文化の日茶の間の額は皇室一家文化の日悩ましき古りしポスター文化の日懐かしむ昭和あの日や文化の日文化の日リハビリ室へ車椅子お手玉を掴むリハビリ文化の日文化の日すがしきひびき純喫茶
肌寒や抱きしめてゐるぬひぐるみ朝寒を映す昔の窓ガラス入院食スプーンくもる朝寒み朝寒の踏み出す老いの一歩かな朝寒の抱きしめたるやぬひぐるみ
物憂げに猫すどほりす冬隣振り向いてもくれぬ猫や冬隣どこへ行くのか声をかけても知らん顔で、振り向いてもくれずに、ゆっくりとしたそれでいて目的のある目と足どりでどこかへ行ってしまいました。どこへ行ったんだろニャア。冬隣
白壁と似たる白なり秋明菊隙に伸び岩を割るごと秋明菊傾くも揃ひし茎や秋明菊看護婦の「ふ」の音の良さ秋明菊白壁と息を合はすや秋明菊
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