時は幕末。徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった『残り者』がいた。天璋院付きの呉服の間の『りつ』御膳所の『お蛸』御三の間の『ちか』御中臈の『ふき』静寛院付きの呉服の間の『もみぢ』身分も
陸軍中尉である剣持梓は、戦死した兄の正行が密かに慕っていた北一輝との交流を通じて、叛乱へと身を投じていく。兄の死をきっかけに気が狂ってしまった姉の遊子。いつしか梓のことを、死んだ兄と錯覚し誘惑してくるようになる。一体兄と姉はどのような関係だったのか。そし
「辞書は、言葉の海を渡る船」新しい辞書「大渡海」を完成させるために奮闘する辞書編集者達の、地道で真摯な仕事ぶりに圧倒された。主人公の馬締は、人とコミュニケーションを取るのがとても苦手で「変わったやつ」と、常に浮いた存在だった。けれど本を沢山読み、言語に対
最近購入した本を紹介します。相変わらず明治から昭和初期の作品にはまっています。「恋文物語」は入荷待ちで手に入れました。明治生まれの女性たちの、自分らしく懸命に生きた一生を描いた作品。読むのがとても楽しみです。こちらの作品はコミックエッセイ。三浦しをんさん
三幕で描かれた戯曲。戯曲を読むのは初めてだったので読みこなせるか不安だったけれど、サクサクと物語が展開していくのでまるで2時間ドラマを見ているような感覚で、あっという間に読み終えてしまった。この作品が出版されたのは1879年。当時、女性は夫の同意がなくては借
10世紀末ごろに書かれたと思われる作者不明の作品「落窪物語」を、田辺聖子さんにより読みやすく現代語訳された作品。千年前、平安朝時代に日本でもシンデレラ物語が書かれていたことを、恥ずかしながら初めて知った。「落窪物語」という名に覚えはあるので、すっかり記憶
日本初のイコン画家山下りんの生涯を描いた史実に基づくフィクション作品。「絵師になりたい」その思いだけで明治5年、茨城県笠間から徒歩で東京まで家出したりん。一度は連れ戻されるものの、家族の理解を得て正式に東京へ修行に出る。 苦しい暮らしの中から食べ物や着る
梨木香歩さんによる読書エッセイ。作中には植物や生き物への愛が溢れている。人間が「人間」として生き、そして死んでいくこと。当たり前のことが叶わなかった、許されなかった時代や環境が数多くあったこと。本書を読み改めて知った。第二次世界大戦中の特攻隊員、和田稔氏
先月会ったときには「もう新しく本は買わずに、若い頃に買った全集を読破するよ。」と、宣言していた父でしたが、やっぱり最近の本も気になってしまい購入し読んでいるそうです。先日、また読了本を譲ってくれたので紹介します。「秘密」は積読で持っていました。とても面白
森鴎外の長女であり作家の森茉莉について書かれた人物エッセイ。群さん自身のエッセイから自然な流れで、茉莉の話へと移っていく。作中に「贅沢貧乏の茉莉は憧れの人であった。」とあるように、全編を通して森茉莉への愛で溢れている。けれど茉莉の全てを肯定するわけではな
雪の階 上・下 奥泉光街の灯 北村薫玻璃の天 北村薫鷺と雪 北村薫貴族の階段 武田泰淳三四郎はそれから門を出た 三浦しをん 以上6作品7冊でした。今月はどの本も印象深くとても悩んだのですが、こちらの本を今月のマイベストに決めました。にほんブログ村読書日記
世間から侮蔑の目で見られている小心で善良な中年の小役人マカールは、薄幸の少女ワーレンカの生活を自身の乏しい給金の中から支援している。「自分には貯蓄がある」と言いワーレンカに沢山の贈り物をするマカールだが、実際は非常に困窮しており給金は前借りを重ね、穴の空
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時は幕末。徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった『残り者』がいた。天璋院付きの呉服の間の『りつ』御膳所の『お蛸』御三の間の『ちか』御中臈の『ふき』静寛院付きの呉服の間の『もみぢ』身分も
前回の『篤姫』に引き続き、こちらも大河ドラマ『光る君へ』をより楽しむために読んだ。私には現代語訳でも読むのに苦労しそうなので、コミック版のこちらの作品を購入したのだけれど、これが大正解だった。絵で分かりやすくユーモラスに説明されているうえに、『紫式部日記
毎週楽しみに観ている、再放送中の大河ドラマ『篤姫』をより楽しむために、原作本となる本作品を読んだ。島津家分家に生まれ育った篤姫は、18歳で藩主斉彬の養女となる。学問好きで才覚・器量を斉彬に見込まれた篤姫は、斉彬の画策により近衛家へ更に養子縁組し、13代将
2018年に放送された大河ドラマ『西郷どん!』のドラマ原作本。昨年から大河ドラマを観るようになり、現在再放送中の『篤姫』も毎週楽しみに視聴している影響で購入した。ちょうど『篤姫』と同じ時代背景で、主要登場人物もほぼ一緒なので、スルスルと読み進めることが出
身分としきたりに縛られた下級武士たちの暮らしを描いた、時代小説短編集。8作品が編まれている。短編の一つに、大石内蔵助の妻・りくを描いた作品があると知り、本書を手に取った。先日読んだ『花影の花』とは、全く異なったりくの姿が描かれていたけれど、語り手に趣向が
こちらの4冊は楽天ブックスで購入しました。コミックスは、テレビで『光る君へ』に関係するコミックスを紹介していたのを観て、購入しました。柚月裕子さんの初エッセイは、最初図書館で借りて読んでいたのだけれど、何度も読み返したいと思い最後まで読まずに購入しました
スープ屋しずくの謎解き朝ご飯 巡る季節のミネストローネ 友井羊奇巌城 ルブラン女帝エカテリーナ 全3巻 池田理代子しあわせは食べて寝て 2〜4巻 水凪トリヨルガオ殺人事件 上・下 アンソニー・ホロヴィッツはなとゆめ 冲方丁花影の花 大石内蔵助の妻 平岩弓
大石内蔵助の妻・りくの生涯を描いた作品。赤穂浪士討ち入りから30年余り経っても、なぜ浅野内匠頭が『松の廊下事件』を起こしたのか理解できないりく。それは討ち入りを果たした内蔵助含む赤穂藩士たち全てが同じ気持ちだっただろう。しかし討ち入りせざるを得なかった。
大河ドラマ『光る君へ』をより楽しむため、長期積読本だった本書をようやく手に取った。恐らく『光る君へ』を観る前に読んでいたら、人物相関図が分からずに四苦八苦しただろう。基礎知識がある今、読んで本当に良かった。清少納言がいかにして中宮定子に仕えることになった
『カササギ殺人事件』から2年後。パートナーのアンドレアスと共にロンドンを離れ、クレタ島でホテル経営に四苦八苦しているスーザンのもとに、イギリスから裕福な夫妻が訪ねて来た。『8年前に起きた殺人事件の真相をある本で見つけた。』と、電話をかけてきた直後に謎の失
持病のために、週4回のパートで生計をたてている麦巻さとこ。家賃を抑えるために引っ越した団地の大家・鈴さんや、鈴さん家の居候・司と触れ合ううちに、他人の都合に振り回されない、自分自身を大切にする生活を手に入れていく。団地内での知り合いも増え、さとこの世界は
ドイツの田舎貴族出身のエカテリーナが、ロシアに嫁ぎロシアの皇太子妃となり、クーデターを経て女帝までのぼり詰め、その死までを描いている。本作品に登場する主人公のエカテリーナも、彼女の駄目夫・ピョートル3世も全く知らなかったけれど、最初から最後までとても面白
深夜の伯爵邸を襲った怪事件。秘書が刺殺され、秘密裏に絵画が盗まれていた。逃亡中に、伯爵邸に住んでいたレイモンド嬢により重傷を負わされたはずのルパンは、忽然と姿を消した。そしてルパンの手下により、レイモンド嬢が誘拐される。残された暗号の謎と、レイモンド嬢と
スープ屋しずくシリーズ第8作品目。早朝にひっそりと営業しているスープ屋『しずく』の店主・麻野に想いを寄せている常連客の理恵が、とうとう麻野に告白するシーンから物語が始まるという、驚きの展開だ。麻野から返事を『待ってほしい』と言われた理恵。春から冬へと季節
アンの青春 モンゴメリ空飛ぶ馬 北村薫本陣殺人事件 横溝正史応天の門 灰原薬 17・18巻武田百合子 天衣無縫の文章家しあわせは食べて寝て 水凪トリおまえさん 上・下 宮部みゆき以上7作品9冊でした。(コミックス2作品3冊含む)2月の1冊は『空飛ぶ馬』で
今月は、出先でフラッと立ち寄ったブックオフの品揃えが素晴らしくて、たくさん購入してしまいました。積読専用本棚に収まりきれずに床に積んでしまっているけれど、欲しかった本がたくさん手に入ったことが嬉しくて、本を見ながらニヤニヤする日々を過ごしています。先月は
『ぼんくら』シリーズ3作品目。上・下巻合わせて、1200頁超えの超大作だ。痒み止めの『王疹膏』で繁盛している瓶屋の主人・新兵衛が、寝間を襲われ斬り殺された。本所深川のぼんくら同心・平四郎は、将来を切望される若手同心の信之輔と調べに乗り出す。検分にやってき
キャリアウーマンで、次に引っ越しをする時は「マンションを買うとき」と、思っていた麦巻さとこ。けれど一生付き合わなければならない免疫系の病気に罹り、週4回のパートへの転職を余儀なくされる。家賃のもっと安い物件を探している最中、小さな団地で大家の鈴さんと司に
武田百合子さんのムック本。弟さんが語る幼少期の記憶からして、後の「武田百合子」としての土台が既に出来上がっている気がしてならない。苦しい戦後を必死に生き抜き、若き日に神田神保町の「らんぼう」で働いていた頃の、若き日の文豪たちと過ごした日々は、彼女の逞しく
藤原良房が表舞台から遠ざかったことにより、突如として不審な動きをみせる、右大臣・藤原良相とその姉である太皇太后・藤原順子。恐るべき彼らの真の目的は?そして相変わらずひとり隠密に動き回る、伴善男。少しずつだけれど、確実に「応天門の変」に近づいているのだと思
幕末。彰義隊と官軍による、たった6時間で決着のついた戦争であったといわれる、上野戦争を描いた作品。養父母の家を追い出され、行き場を失ってしまった柾之助は、自身の大義のために婚約者との縁談を断り、彰義隊に加わった幼馴染の極に誘われ、特に信念もないままに隊に
「柳多留」などの古川柳を題材に江戸の庶民の生活を描いたコミックス。花見・吉原・行水・金魚売り等など江戸時代ならではの文化が、杉浦日向子さんによる美しい絵で、情緒豊かに描かれている。日常の何気ない些事を楽しみ、愛しむことを大切にしている、江戸っ子の気持ちの
海外作品3作品。コレットは、数年前に映画を見逃して以来気になっていた作家。「シュリ」が欲しかったのだけれど、近所の書店では岩波でしかなかったので、「青い麦」を購入。歴史小説2作品。「光圀伝」は、上下巻合わせて1000ページ超えの超大作なので、夏休みなど夜
上巻の感想はこちら富士日記中巻は、昭和41年10月から44年6月までの日記が収録されている。近所に山荘を建てた、大岡周平夫妻との何とも親密な交流が、とても楽しげに描かれている。お互いの家へ食事に招き、2時間ほどお酒や食事を楽しんでサラッと帰宅する。百合子
冒頭は、1995年4月矢野布美子の葬儀。かつて殺人罪で10年間服役した過去を持つ布美子が、死を目の前にしてノンフィクション作家・鳥飼に打ち明けた、今まで誰にも話さなかった大きな秘密と真実の物語が、時を遡って語られる。1970年。大学生だった布美子は、大学
柚木麻子さんによる名作案内。フランス文学・12作品日本文学・21作品イギリス文学・12作品アメリカ文学・12作品合計57作品、紹介されている。昨年読んだ、津村記久子さんの「やりなおし世界文学」から大きな影響を受け、ポツポツと世界文学を読んでおり、すっかり
経営者の父を持つ亜紀は、愛する夫とともに裕福で幸せな生活を送っていた。永遠に続くと思っていたその穏やかな日々は、夫が巻き込まれた「ある事件」によって、あっけなく終わりを告げる。愛し合いながらもきちんと話し合うこともなく離婚した二人は、10年後運命的な再会
1847年3月、物語は椿姫と呼ばれていた美しい高級娼婦・マルグリットの死後、彼女の借金返済のために行われる遺品の競売から始まる。生前の彼女をときおり見かけただけだった「私」は、ことの成行により「マノン・レスコー」という書籍を落札するのだが、後日「マノン・
まずは勿論「ココ・アヴァン・シャネル」。映画が素敵だったので、原作も楽しみです。「真珠の耳飾りの少女」も、以前観た映画が印象深かったので原作本を購入。楽しみにしていたのだけれど、本を開いたら本当に驚くほど字のフォントが小さくて、目がチカチカしてしまった。
普仏戦争に敗れた直後のフランス。プロシャ軍の支配から逃れるためルアン市を出発した10人は、乗合馬車にて道中を共にすることになる。ブルジョア・貴族・修道女・革命家。様々な身分階級の人々に混ざり、「ブール・ド・シュイフ(脂肪のかたまり)」と渾名されている、よ
若き日のココ・シャネルを描いた伝記映画。姉とともに孤児院で育てられた孤児のガブリエル・シャネル。昼は洋裁店で縫い子として働き、夜はナイトクラブで姉と歌を歌うことで細々と暮らしていた。彼女らの歌う曲名から「ココ」と呼ばれていた彼女は、ナイトクラブで出会った
瓜二つの美しい双子の兄妹ヴァイオラとセバスチャンは、乗っていた船が難破し離れ離れになってしまう。お互いに相手は死んだものと思っていたが、実はそれぞれ助けられていた。理由は不明だけれど、身分を伏せ男装をすることで身の安全を図るヴァイオラは、セザーリオと名乗
夕映え天使 浅田次郎富士日記(上)武田百合子彼女のこんだて帖 角田光代八本脚の蝶 二階堂奥歯欲望 小池真理子予告殺人 アガサ・クリスティー夫婦善哉 織田作之助若きウェルテルの悩み ゲーテ以上8冊でした。3月のイチオシ本は武田百合子の「富士日記(上)」です
1774年、ゲーテ25歳の時の作品。ゲーテ自身の絶望的な恋の体験をもとにした、書簡体小説。婚約者のいる美しい女性ロッテに激しい恋心を抱いたウェルテルは、一時は叶うことのない恋心を諦めようとロッテから遠ざかる。けれど視野が狭く思い込みの激しい彼は、新しい土
2007年に発見された未発表原稿「続 夫婦善哉」を含めた、著者の代表的な短編小説7作品が収録されている。『夫婦善哉』『続 夫婦善哉』浮気者で金遣いの荒い駄目亭主・柳吉と、働かない柳吉の代わりに必死に働き尽くす妻・蝶子。商売を始めるために、欲しい着物も買わ
集めている「坂の上の雲」。もう5巻まで揃えられたので、そろそろ読み始めようか。磯田さんの作品は、映画「殿、利息でござる」の原作本。映画は先日アマプラで観たのだけれど、とても面白かったので原作も楽しみだ。「壬生義士伝」も映画がとても良かったので、上巻しか置
ミス・マープルシリーズ長編第4作品目。ある朝住民の殆どが読んでいる地元新聞の個人広告欄に、殺人予告が掲載された。「殺人予告お知らせ申し上げます。10月29日金曜日午後6時30分より、リトル・パドックスにて。お知り合いの方のお越しをお待ちします。」これは本
図書館司書の青田類子が、電車でとある場所に向かいながら、過去を回想していく。類子は中学生時代、豊満な身体から溢れ出る性的魅力ゆえに女子生徒に嫌われていた美少女・阿佐緒と、生徒会副会長を務めみんなの人気者で、成績優秀の美しい少年・正巳と親しくしていた。類子
25歳の若さで自らこの世を去った女性編集者・二階堂奥歯氏の最期の2年間の日記と、生前近しかった穂村弘さん他13人の文章が収録されている。この本を購入しすぐに読み始めたのは、恐らく3年ほど前のこと。読み始めてすぐ、彼女と同い年で偶然にも学生時代に過ごした街
美味しい料理が物語を繋いでいく連作短編集。登場人物たちはごく普通の人々。OLや主婦、大学生などなど平凡な人たちが、日常に抱いた後悔や躓きを、料理を作り食べることによって、心に変化が生まれ前向きに進んで行く。前作の登場人物が次作の主人公になりどんどん物語が繋