「条件があります。牧野さん、あなた大学は出てないようね。仮に道明寺家に入るのであれば、最低でも大学くらい出てもらわないと話になりません。あなたには、アメリカの大学に通ってもらいます。そして司。あなた日本支店長としての役職を放棄するつもりだったそうね。責任あるポジションを個人的理由で放棄するなど言語道断。次回の役員会で解任いたします。」一呼吸置いた後「シンガポールに設立する会社、資本金は会社から出し...
ママは安心させるようにつくしを見た後、さらに続ける。「西門家から、つくしちゃんを養女にする準備があると伺ってるわ」ママ以外の全員が、総二郎を見る。だが、見られた総二郎にとっても、そんな話は初耳である。「俺は何も聞いてねーぞ」「あなたたち親子って、相変わらずなのね」わざとらしくため息をつくと、家元から預かったという手紙を楓に渡す。「もともと、私の親が決めた結婚相手って家元だったのよ。お互いの両親が仲...
「親父に兄弟はいなかったはずだ」司の父親はすでに他界しているが、司はうまれてこのかた、一度も兄弟の存在については聞いたことがない。公式には、司の父に兄弟はいないことになっている。「私は縁を切られた人間だから。邸を出るときに、相続権はすべて放棄したわ。二度と道明寺を名乗らないという誓約書もサインした。家を出てから、一度も邸には戻っていないし、両親にも会ってない。私は、表向きは道明寺に存在しなかったこ...
それからの2週間は静かだった。司が密かに辞任に向け動いていることが楓の耳に入ってもおかしくはない。何も言ってこない楓が不気味だった。役員会を1週間後に控えた日、つくしは司と連れ立ってママの店に向かう。開店前に伺うと、すでに準備を終えたママと、総二郎がテーブルに座ってた。「なんで総二郎がいるんだよ」「牧野をこの店に紹介したのは俺だからな、辞めるときも立ち会うのが筋ってもんだろ」「ほら、つくしちゃんも...
キャンドルが部屋一面を照らす中、入った部屋は高校生の頃訪れたときから全く変わっていなかった。「この部屋って。。。」「昔俺たちが泊った部屋だ。あのままにしといたんだよ」このリゾートは司がNYに行って間もなくオープンし、一般の客も受け入れていたはずだ。しかも今では予約が取れないリゾートとして有名である。「毎月俺の給料から部屋代天引きされてんの」笑いながら話す司に質問する。「どうして・・・?」「お前と過ご...
「これからどーするんだよ」総二郎が司に尋ねる。つくしの一番つらい時期、支えてくれたのは総二郎だった。入院中も司に気を使い見舞いに来なかったため、どうしてもお礼が言いたいというつくしと、口には出してないがつくしに思いを寄せている総二郎と二人で会うことを許さない司との折衷案で、司のマンションで会うことになった。「道明寺を出て、シンガポールに移住する」司の突拍子もない答えに驚く。「家出るっつーのもびっく...
司から、誕生日前夜は家にいるようにと連絡があったのは誕生日から5日前の日だった。幸い27日は17時から予定が空いている。『了解。無理しないでね』短く返信をする。そして当日。バイトが終わったらそのまま家に帰る。冷蔵庫の中にはあまり食材が入ってなかったはずだ。夕食の後司から連絡があるのならスーパーによる必要がある。どうしようかと迷いながら歩いていると、横に黒くて長い車が止まる。「ナイスタイミングだな」窓か...
宣言通り、司はつくしが退院するまでつくしの部屋で過ごした。と言っても、朝は早朝にでて、帰りは日にちが変わってからということも珍しくなく、実際に顔を合わせた時間はほんのわずかだ。それでも、お互いが同じ空気を吸っている、それだけで司は幸せだった。病院に運び込まれてから1週間が過ぎ、つくしの体調も安定した。退院後の生活について司と話そう、そう思っていてもすれ違い話ができないまま退院の日を迎えることになっ...
朝食を食べ、落ち着いたところで主治医が特別室にやってきた。大名行列のように人々を引き連れて。「ブレーメンの音楽隊みたい」思わず口にすると、どこからか、笑いをこらえる声が漏れてくる。つくしを直接診断するのは女性で、との強い司の希望で、医師も、看護師も、検査技師も全員女性が対応するよう、つくしのカルテのトップページに赤字ででかでかと書かれていた。「いつ頃退院できますか?」「過労、栄養失調に貧血も見られ...
NYに移ってから、毎年この時期はクリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを選ぶのが恒例になっていた。今年も例年通り、プレゼントをお邸までお持ちいたしましょうかと馴染みの外商から秘書宛に連絡が来る。 秘書の質問に首を横に振ると、コートとマフラーを手に外に出る。 もうプレゼントを受け取ってくれる恋人はいない。 例年よりも早く雪の舞う街を速足で歩く。街中がクリスマスを待ち望んでいるようににぎわっている。 『...
つくしが目覚めたのは早朝だった。病室には、特別に許可を取ってつくしと同じ部屋で寝泊まりしている司しかいない。面会可能時間になると、ドアがノックされ、総二郎と進が部屋に入ってくる。「ねえちゃん、倒れるまで無理すんなよ。いつも俺に言ってんじゃん。ちゃんと飯食ったかって、しっかり寝ろって。いった本人が守れてないんじゃ、意味ねーじゃん」両親との縁が切れた今、進にとって肉親というべき人間はつくししかいない。...
一通りつくしの状態を確認した後、特に異常はないと医師は判断した。OKがでて司が病室に戻ると、つくしがベッドを背もたれを起こして座っていた。「お前、まだ目が覚めたばっかなんだから寝てろよ」そういって近づくと、司の顔をしっかり見た後で口を開く。「道明寺、あたしこんな高い部屋払えない。大部屋に移して」目覚めてすぐのぼんやりした顔ではなく、意思のこもった目で司を見つめる。「そんなことお前が心配するな。お前は...
こういう時は男性の意見もきこう、日を改めて総二郎、あきら、類を招集する。「お前、年末のくそ忙しい時期に急に呼び出すってなんだよ」総二郎にすごまれても滋は動じない。「だって男子の意見も聞きたかったんだもん」そういって今までの経緯を滋が3人に話す。昨年のつくしの誕生日、これまでの分も一緒に祝ったぞと得意げにいう司に、あいつもようやくまともなデートができるようになったかと総二郎とあきらはホッとしていた。...
自分の咳の音で目が覚める。喉が異常に乾いている。水、、、と思っていると、横からストローを付けた水が差しだされた。「ゆっくり飲めよ」その優しい声が懐かしくて、幸せな気持ちのまま目をつぶる。久し振りに、いい夢が見れそう。一瞬目を覚ました後、つくしは丸2日間眠り続けた。その間、司は病院に秘書を呼び、病室から仕事をする。つくしが入院した翌日、朝一のフライトで福岡から到着した弟に、司は開口一番頭を下げた。「...
***秘書のお仕事シリーズ桜子が司の秘書設定です2万拍手を頂いたお礼のSSです。いつもコメント、拍手ありがとうございます!***「つくし珍しいじゃん、スカーフしてるの」滋の言葉に、つくしの顔は真っ赤になる。「たまには新鮮かなーと思って」首元のスカーフを手で触りながら、しどろもどろ答える。「道明寺さん、見えるところにキスマークつけるの珍しいですね」桜子のしれっとした発言に、つくしの顔はさらに赤くなる。「えっ...
前回の司とのやり取りを見ていたママが険しい顔をして司をみる。「今日は暴れねーよ。前回はすまなかったな」司は珍しく愁傷な言葉を口にすると、総二郎の隣に座り、つくしを見つめる。「店が終わったら、ちょっと話せねーか」突然の出来事に、つくしが立ちすくむ。他の客も異変に気が付き始めた。ママが機転を利かせて、つくしに用事を頼む。ふらふらとつくしが控室に向かった後、ママが口を開く。「ほんと、大きくなったわね」「...
どことなく沈んだ様子のつくしを心配して、常連たちがどこぞのパティシエに作らせたケーキやら、千疋屋のフルーツやら、京都限定の和菓子やら(これは総二郎の父だが)、手を変え品を変え店に持ってくる。「フルーツ屋さんができそうね」そう微笑みながら、ママは喜んでプレゼントをつくしの代わりに受け取っていた。控室で特製のパフェを作って盛り上がっているらしい。「この間、ドリアン持ってきたお客さんがいて大変だったのよ...
ずっと眠りが浅い。体は眠たがっているのに、脳がそれを邪魔する。そして同じ夢を見る。牧野と別れてから毎晩同じ夢を。夢の中で、背中を向けた牧野に懇願する。嘘でもいいから、言ってくれよ。俺のこと愛してたって。今でも愛してるって。牧野は俺に背を向けたまま去っていく。どんなに手を伸ばしても届かない。そこで地面が崩れるように落下し、目が覚める。目が覚めて、牧野が居ない現実に絶望し、そんな日常が耐えられなくて、...
***Thowbackの番外編、類(司)とつくしの子、航目線のお話しです。先にThowback本編を読んだ方がわかりやすいと思います。*** 僕にとって、両親は憧れの存在だった。いつも寄り添い、お互いを尊敬し、慈しみあっていた父と母。 僕がコレージュ(中学)に上がっても、二人はいつも手を繋いでいた。 パワフルでまるで回遊魚のように動き回る母と、その姿をやや後ろから見ながら、そそっかしい母をそっとフォローする父。 息子の僕から...
道明寺邸につくと、まるで総二郎が来ることが分かっていたのかすぐに門が開いた。久し振りに来ても邸はまったく変わってない。ここだけ高校時代から時が止まったかのようだ。「よお」総二郎に殴られた場所がまだ腫れている司が出迎えにきた。ついてこい、という仕草をするので、司の後をついて部屋に入るとすぐに口を開く。「お前、いつから牧野と付き合ってんだ」「付き合っちゃいねーよ」「嘘つくな」そういって人を殺しそうな目...
「今年はどんなプランを考えてるんだろうね」滋にそう聞かれても、つくしには想像もつかない。「滋さんだったらどうする?」この中で、もっとも司に近い価値観を持っていると思われる滋に聞いてみる。「えー、あたしだったら?やっぱりヨーロッパの古城に行って、野獣のコスチュームを着た司とダンスかな」最近見たディズニープリンセスの実写映画に非常に感動した滋の頭には、野獣とともに踊る黄色いドレスを着たつくしの姿が浮か...
「お前が呼び出すなんて、珍しいな」ここ最近顔を合わせてなかったあきらが、ネクタイを緩めながら席に座る。「お前が忙しいかと思って遠慮してたんだよ」総二郎はそういってあきらと拳を合わせて挨拶する。お互いの近況など、他愛もない話をした後、何気ない風を装ってあきらに質問する。「そういや、司は今どーしてんだ?」マメなあきらなら、司と定期的に連絡を取っているだろうと思っていた。「そうだ、それで思い出した」言い...
「今日はごちそうさまでした」店を出た後、深々と頭を下げる。ここも割り勘で、と言い張ったのをなんとか財布を収めさせるのに苦労した。「もう一杯付き合えよ」そういって、落ち着いたバーに歩いて向かう。歩きながら、つくしはぽつぽつと、司と別れた後のことを話し始めた。「最初は両親のいる漁村に行ったんだけど、生活がめちゃめちゃになってね。高校卒業してから、進をつれて家を出て、両親とはそれっきり。」「じゃあ、今は...
月に一度、男子禁制の食事会が行われる。参加者は、つくし、優紀、滋、そして桜子の4人。何人たりとも、男性を連れてきてはならない、この日だけは絶対に女子だけで好きなだけ飲み食いする、それがこの会唯一のルールだ。つくしは弁護士、優紀は銀行員、桜子は道明寺HD秘書、そして滋は大河原財閥の後継者として、普段は忙しく働いている。それでも、月に一度、この女子会だけはみな何としてでも予定を空けて参加している。***「で...
「おい、ついたぞ」そういってつくしを起こす。「あ、ごめん、眠っちゃって。タクシー代、、、」「ママに請求するから気にすんな。早く家に入って寝ろ」つくしが部屋に入ったのを見届けて、総二郎を乗せたタクシーは西門邸へと向かう。初日だけかと思ったこの奇妙な送迎は、それから定期的に続くことになる。「つくしちゃんの家と、他の女の子の家真逆だから送迎が大変なのよね」ママはそういって、週に何度か総二郎を呼び出す。総...
翌日、昨日より遅い時間に店に行くと客が数名残っていた。店は12時で閉まる予定だ。「あら、今日も来たのね。さっきまで家元いらしてたわよ」「あっぶねー、鉢合わせするとこだった。先に電話してくりゃよかった」親父と仲が悪いわけではないが、クラブで顔を合わせるのはなんとなく気まずい。「あいつは?」「もう忙しい時間も終わったから、先に上がってもらったのよ。今着替えてるわ。よく働いてくれたわよ。とても気が付く子ね...
車内では、つくしは黙っていた。タクシーが止まると総二郎は新橋方向に歩く。つくしはあきらめたのか、何も言わずについてくる。とあるビルの中に入り、エレベーターで上がる。ドアが開いたとたん、なじみの顔が迎え入れてくれた。「あら、西門の坊ちゃん。突然どうしたんです?」20歳超えて坊ちゃんと言われることに苦笑する。いい年して坊ちゃんもないが、総二郎が子供の頃から知られている。彼女からしてみれば、総二郎はいくつ...
席に座ると、ボーイに飲み物を聞かれる。こんな店の酒は飲めたもんじゃないが、何も頼まないわけには行けない。一番無難な生ビールと、牧野にウーロン茶を頼む。「で、お前はここで何してんだ?」「見ればわかるでしょ。働いてるの」「いつからだ」「前から」「なんで」「言いたくない」押し問答が続く。「お前が答えるまで通い続けるぞ」そう言っても、つくしは口を開かない。でも、その顔色が悪いのは照明のせいだけではないだろ...
6年後大学を卒業した後大学院へ進学した総二郎は、すでに社会に出た類やあきらとは予定が合わず、六本木の街をぶらぶらと歩いていた。適当なバーやクラブに入り、寄ってきた女の中から適当に今夜のパートナーを選ぶ。3回ルールはまだ続いていた。自分の未来は決まっている。それがどれだけ人生をつまらないものにするものか。どうせ、親の決めたどこかのお嬢様と結婚し、子供を作り、西門を継がせる。まるで種馬のようだとさえ思う...
間違ってAfter heavy rainの8話が1時間ほど公開されてました。偶然ご覧いただいた方、本当に申し訳ありません。もうこのミス何度目なのか…コメントいただいた方、お返事遅くなっておりすみません。後ほど返事させてください。母が遊びに来ていて、1週間ほどアテンドでバタバタ+子供達が次々風邪に。時差で移るからか、一人が治ればもう一人発熱といった感じで、親子共々ぐったりでした。気温の寒暖差が今年は激しいので、皆さまも...
それからいつも通りの日常が続き、司のことはすっかり頭から抜けていた。いや、あえて考えるのを先延ばしにしていたといったほうがいいのかもしれない。総二郎は自分の不確かな立場を分かっていた。司は俺の親友で、牧野は司の元彼女だ。じゃあ、俺と牧野を結びつける関係を何というのか。俺は、友情以上の感情を牧野に持っているから、司に牧野と再会したことを言えないんじゃないか。いつも通りつくしを迎えに行った日、エレベー...
『あんたのことなんか好きじゃない』なあ、嘘でもいい。俺のこと、好きだったって言ってくれよ。愛してたって。お前の口からききたいんだ。例え嘘でもいいから。「あの子も結局道明寺のお金目当てだったのよ。あなたと別れる条件として金銭を要求してきたわ。小切手を渡したら喜んで別れるといってたわ」雨の日、つくしが司へ別れを告げた後彼の母親の口から語られたことは、つくしが言ったことを裏付ける内容だった。雨に濡れて、...
司の秘書として働いてから4年が過ぎ、すっかり仕事内容にも、司の扱いにも慣れた。その間、つくしは無事司法試験に合格。司法修習も終え、道明寺の顧問弁護士事務所でもある大手渉外事務所に就職をした。今は顧問弁護士チームの一員として週に一度、道明寺HD内で勤務している。だた、生憎今日はつくしが社に出社する日ではない。今日の会食はなんとしても出席してもらいたい。前回、つくしが体調を崩し、心配した司が看病すると言...
去年は司が日本に帰ってきて、初めてつくしの誕生日を祝ってくれた。今まで一緒に居られなかったからと、忙しい司がいろんな準備をしてくれていたのは純粋に嬉しかった。ただ、そのスケールがつくしの予想を大きく上回っていたのだ。まるでこれから舞踏会に行くかのようなイブニングドレスにフルメイク、そして身に着けるのも恐ろしいようなネックレスを身に着けて連れていかれたのは、都内でも有数の高層ビルの最上階、毎年ミシュ...
***設定は、原作その後。「Countdown」とリンクしてます。短編です。***ドアを二回ノックし、きっちり5秒経ってからドアを開ける。「失礼いたします。専務、コーヒーをお持ちいたしました」返事が聞こえないので、部屋に入りコーヒーを司のデスクに置く。つくしから直々に入れ方を教わった、最上級の豆を使ったコーヒーのいい匂いが部屋に立ち込める。こちらに顔を全く向けず、難しい顔をしたままパソコンの画面を見つめる司をち...
***注! とても暗い話です。シリアスがお嫌いな方はお戻りください!CPは司×つくし×類です***3人でトスカーナに来る。つくしの遺言だった。脳死の場合、臓器提供を希望すると。自分の遺骨は別荘近くに散骨してほしいと。「ひでーよな、俺たちに何も残さないつもりだぜ」司はそういうと、つくしの遺灰を別荘横の小さなガーデンに撒く。「つくしらしいよ」自分より他の人を気に掛ける。後に残る自分たちが困らないよう、生前まだ意...
***注! とても暗い話です。シリアスがお嫌いな方はお戻りください!CPは司×つくし×類です***「昨日から生まれ変わったようだな」翌朝、司の滞在するホテルまで迎えに来た総二郎が見たのは、昨日見た酒浸りでやつれた男ではなく、いつも新聞や雑誌で見る「道明寺HD社長」としての司だった。「さっさと牧野のとこに連れていけ」いつもの調子を取り戻した司はそう命じる。「ここからそんなに遠くねーよ」総二郎の言う通り、車でもの...
***注! とても暗い話です。シリアスがお嫌いな方はお戻りください!CPは司×つくし×類です***まるで狐につままれたかのような顔をしてあきらが部屋に戻ってくる。「連絡取れたか?」総二郎の質問に、あきらは茫然としたまま答える。「司、今トスカーナにいるらしい」類とあきらがソファから立ちあがる。「秘書には、目的は伝えてないようだ。ただ急にトスカーナにいくと言って、プライベートジェットで今朝こっちについたはずだっ...
***注! とても暗い話です。シリアスがお嫌いな方はお戻りください!CPは司×つくし×類です***航が16歳になった時、つくしは頻繁に頭痛を訴えるようになった。掛かりつけの医者に行くと、眼球疲労が原因だという。つくしはフランス文学を日本語に翻訳する仕事をしていた。仕事柄パソコンに向き合う時間が多い。心当たりがあっただけに、すんなりと受診結果を受け入れた。結果、頭痛が眼球疲労ではなく、脳腫瘍のせいだと判明したの...
***このお話はLovephobiaの続編です。*** 「西門さん、早く!」 目の前を小走りに歩くつくしが立ち止まり、後ろを歩く総二郎のほうへと振り返る。 「そんなに急がなくてもいいだろ」 「だって売り切れちゃうかも。ほら早く早く!」 立ち止まるつくしに追い付くと、つくしは総二郎の腕を取り引っ張っていく。 「売り切れるってなんだよ」 しまった!という顔をした後、「だから内緒だってば」と人差し指を口の前に持ってくる。 「な...
***注! とても暗い話です。シリアスがお嫌いな方はお戻りください!CPは司×つくし×類です***結局司は記憶を取り戻すことなく、NYへ渡った。司が悪いんじゃない、だからあいつを責めるわけにはいかない。そういってつくしは、いつも以上に元気に見えるように振る舞っていた。それが空元気であることは気づいていたが。学校ではつくしを一人にすまいと、空き時間はF4ラウンジに集まることが増えた。司がNYに行ったことで、心無いこ...
***注! とても暗い話です。暗い話がお嫌いな方はお戻りください!CPは司×つくし×類です***いつもなら、たかだかパーティーに出るためにトスカーナまで来たりしない。でも今回は特別だ。20年ぶりに旧友と再会する。「しかし、類のやつ相変わらず何考えてるかわかんねーな」あきらと同じく呼び出された総二郎がぼやく。英徳の高等部を卒業した後、類は俺達と同じように大学部には進まずパリに留学した。その際、どんないきさつがあ...
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