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馬屋記 MAYAKI?2CVという名の古民家 https://blog.goo.ne.jp/dolphin18blue

駅屋跡の古民家2CV 自転車、バイク、車 骨董、レコード、JAZZ ワイン、日本酒、自然を楽しむ

馬屋記 MAYAKI-2CVという名の古民家
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2018/03/06

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  • 冬のデザイン

    新しい年2024になって氷点下になる日も増えてきた。といっても岡山県赤磐市は、いまのところ-1°ほど。あったかいほうだとおもって安心していたら、きのうきょうと霜が降った。キャベツ。11月にイノシシにやられたが復活。農薬つかってないので虫食いだが、それが黒いドットになって白のなかにデザインされている。 ブロッコリー、これもイノシシ被害以降ほっておいたが、いつのまにか立派にできている。茎のところが美味しい。ヤギも大好き。ダイコン、おでんダイコンでさっそくおでんを。あおくびダイコンでカキ酢を。ヤギも食べるがそれほど好きじゃない。それでもあまった野菜の葉っぱや茎や根を食べてもらって、しっかり糞をしてもらって、それを藁といっしょに発酵糞にして畑にまく。おお、環境に配慮した持続可能な循環農業!ヤギが来てからはそれ以外...冬のデザイン

  • 23.04.02 春を散歩するヤギ家族

    子ヤギが生まれて一週間、すくすく成長してやんちゃ坊主になっている。親ヤギの真似をして草を食んでいる。まだお乳しか飲めないくせに。よろよろ危なっかしく飛び跳ねていたのに、今日はお立ち台のうえにも乗ってダンスを披露。跳ねながら駆けまわる。一瞬、横顔がニンゲンのように見えた。この子は目が青い。まるで天使だ。タンポポが咲いている春の野原を散歩するヤギ家族は平和そのもの。23.04.02春を散歩するヤギ家族

  • 23.03.25 ヤギの出産

    今日の午後3時ごろ、子ヤギが生まれた。昼頃からユキちゃんの様子が変だった。落ち着かない感じで、前脚で土を引っ搔いている。顔つきも少しいつもより厳しい感じがした。産屋に入って破水して、しばらくすると何か出てきた。うめくような声で啼いている。足が最初に出てくると逆子なので、引っぱってやらなければならない、と教えられている。口から頭にかけて出てきた。やった。正常に、その後20分ぐらいしてドバっと全体が出てきた。息しているし、動いている。すぐに立ち上がろうとしている。上の写真は、立った瞬間をスマフォで撮った。ユキちゃんは最初ホッとして放心状態だったが、子ヤギを舐め始めた。だんだん毛が乾いてふかふかしてきた。1時間くらいして胎盤が出てきたが、それを残さず全部食べてしまった。お乳も出ているみたいだ。チューチュー吸って...23.03.25ヤギの出産

  • 23.03.08水田跡を栗園にする②水はけ対策―畝づくりと苗の植え付け

     最初に、植え付ける所を中心として5mくらいの草を草払い機で刈り取る。真ん中に刈り取った草を集めて野焼きする。灰は肥料として使う。そのかわり苦土石灰は入れない。灰土の周りを耕運機で耕す。その土は草の根っこを含んでいるので、いったん根っこを外にレイキで集める。草根っこのなくなった土地を耕運機でさらに深く耕す。20㎝くらい堀込むくらいに耕す。その土を真ん中に集める。そこに発酵牛糞とバーク堆肥とようりんを混ぜ込む。この田んぼの土が水はけが悪いので鹿沼土と真砂土を混ぜ込んで小さな山をつくる。そのまわりに周囲の土を集めてさらに山を大きくしていく。阿蘇山の外輪山をつくるようなイメージで集めて、あとでなだらかにしていく。 真ん中に苗を置いて周囲に土をかぶせていく。く。苗の上三分の一は剪定する。支柱を立てて、水やりをして...23.03.08水田跡を栗園にする②水はけ対策―畝づくりと苗の植え付け

  • 23.02.23水田跡を栗園にする①害獣柵の設置

    水田跡に栗を植えることにした。この数年、ずっと草刈りだけをしてきた。4月から10月までは月に一回。梅雨明けてから夏は月2回、草刈りだけするのはむなしいので岡山甘栗を植えることにした。この栗は天津甘栗の品種苗を岡山県勝央町で育てるのに成功したのでその名がついている。和栗ほど大きくないが甘味があり、焼栗にはピッタリ。しかし水田跡を栗園にするには、2つの大きな問題がある。イノシシと水はけだ。 まずイノシシ対策で害獣柵を設置する。ハッカーと呼ばれる結束用の道具を使う。柄を持ってクルクルすると、先のかぎ状の鉄爪が回るしくみ。結束用の針金は曲げられた状態で売られている。鉄よりステンレスのほうがいい(値段は6倍ぐらいするが)。鉄はすぐに錆びて強度が弱る。柵そのものは鉄でかまわない(錆びて茶色になったほうが自然のなかで目...23.02.23水田跡を栗園にする①害獣柵の設置

  • 23.02.13 オレンジ・ピール・チョコを作った。

    自家製のオレンジピールに挑戦した。エスプレッソコーヒーにばつぐんに合う。えらい大きなみかんができた、と思ったら、ぶんたんの「紅まどか」という品種だった。この品種は皮がとにかく分厚い。今年はレモンもたくさんなった。レモンの多くは砂糖漬けと塩付けにした。紅まどかを普通のみかんとくらべてみた。大きい。紅まどかは皮が厚い。果肉は、まさにグレープフルーツ。皮をきざんで干す。砂糖をまぶして干す。チョコレートをストーブで溶かす。チョコレートをまぶして冷やす。オレンジピールチョコの完成。雪の朝、エスプレッソとオレンジピールを楽しむ。柑橘類は霜囲いのなかで眠りながら春を待っている。23.02.13オレンジ・ピール・チョコを作った。

  • 23.01.01 初詣で

    岡山県赤磐市にある石上布都魂神社(いそのかみふつみたまじんじゃ)に、自転車で初詣に行った。元旦には、午前十一時と午後二時に獅子舞が奉納されるのだが、着いたのは十二時で、ちょうど一回目が終わったところ。獅子舞を踊る氏子さんにお賽銭をあげて、獅子に頭を噛んでもらった。厄払いになるらしい。23.01.01初詣で

  • 22.12.30 春日神社の新年お飾り

    馬屋の春日神社、歳末の掃除をして、新年を迎えるためのお飾りをつけた。鳥居につけて終わりかと思ったら、、、、狛犬にも。手水鉢にも。これらには「うらじろ」だけ、裏の白が見えるように、二股になるように、飾り付ける。賽銭箱にも。ここには「うらじろ」は飾らない。「御幣だけでええんじゃ。」御幣とは、「紙垂」(しで=白い紙に切り込みをいれた飾り)を「幣串」(へいぐし=は白木の棒)に挿んだものなので、正確には「紙垂」でいいのだが、お年寄りはみんな「御幣」と言っていた。お社の入り口。脇の入り口。隣にある稲荷神社。どこにしめ縄をして、うらじろや御幣をどのように付けるのか、知っているのはお爺さんだけ。その人に訊きながら付けた。荒神さまに行ってお飾りをつけた。来年はこのブログページを見ながらやろう。お爺さんは、「来年にゃ、もうお...22.12.30春日神社の新年お飾り

  • 22.12.10 冬支度

    12月に入って急に冷えてきた。本格的な冬の到来だ。柑橘類のなかでも特に寒さに弱い苗木とレモンの木を霜対策。2年目の苗木は背丈が小さいので藁で円錐囲いを被せた、根っこと幹が冷えるといけないので特に注意する。レモンは大きいのでポールを立てて不織布で被う。ちょっとした温室ができた。ヤギの糞と藁で寒肥にした。イチゴを植え替えてマルチシートで覆った。このあたりはあまり雪が降らない。とりあえず、なんとか冬を迎えられそうだ。22.12.10冬支度

  • 22.11.21 シイタケの収穫

    ついに、シイタケが穫れた。去年の春、義父がもらった椎の木にドリルで穴を開けて種菌を打ち込んだ。植菌作業(原木に種菌を植え付けること)は、桜が咲く頃までには完了するのが良いらしい。その後は日影にほっとくだけ、立てかけたほうがいいのだろうが、平積みにして、陽があたらないように遮光シート(黒い寒冷紗)をかけた。畑の水やりのときについでに水をかけて湿度を保つようにした。生えそうな兆しがまったく見えなかったので諦めかけていた。水やりもいい加減になっていた。シイタケ生えとるよ。ある日、妻が気づいた。七輪で炭火焼に。原木の香りと肉厚な食感がなんとも言えない。22.11.21シイタケの収穫

  • 22.11.09 秋耕と冬野菜の種撒き

    秋耕は「しゅうこう」と読んで三秋の季語だ。 本来は、稲刈りのあとの田んぼをトラクターで耕すこと。土の風化を早めて来春の作付けに備える。わしの畑での秋耕は、藁や有機肥料(ヤギの糞が大活躍だ)を漉きこみ冬野菜を植えるための土づくりをすることだ。1カ月まえに耕して2週間前に種を蒔いたイタリアン・ベビー・リーフとルッコラはそろそろ食べごろになってきた。ニンジンは間引いたものをヤギがよろこんで食べている。タマネギは先週、従兄夫婦が来て苗を植えた。土づくりは1か月前に石灰、牛糞をまいて耕して黒いビニールシートをかけておいた。わしはビニールシートは好きではないので使わない。草を15㎝くらい生やしてもいいつもりでやっている。高く伸びた草は見苦しいのでビニール刃の電動草刈り機で刈ることにしている。石灰も有機(牡蠣の殻)がい...22.11.09秋耕と冬野菜の種撒き

  • 22.10.23 吊るし柿

    西条柿がたくさん実った。今年は柿の生り年だった。西条柿は広島県西条市発祥の渋柿だ。たて長で、たてに4本の溝があるのが特徴である渋が抜けた西条柿は甘くとろける食感になる。従兄がいくつか合わせ柿(渋抜きして食べやすくした柿をこう呼ぶ場合もある)にした。焼酎48度と35度で試してみたらしい。恐るべき甘さになった。わしは吊るし柿にして渋を抜くことにした。オリーブの時も栗の時も、たいてい妻が細かい作業をやるのだが、吊るし柿は手で皮をむくのが大変なので、手伝った。麻ひもで連結して、離れの廊下に干している。俳句では晩秋(10月)の生活季語「吊し柿(つるしがき)で、「る」を送らない。副題は、干柿(ほしがき)、串柿(くしがき)、甘干(あまぼし)など。 生り年の甘さ揉みだす吊し柿22.10.23吊るし柿

  • 22.10.16 赤まんま(イヌタデ)

    ユキちゃんが赤まんまをおいしそうに食べている。俳句では、「犬蓼の花」「赤のまま」「赤まんま」などが秋の季語である。種小名のlongisetaは「長い刺毛の」という意味らしい。休日には、ヤギたちを柵の外に連れ出す。カタロウはづくし柿に一目散。大好きだ。ちょっと目をはなしているうちに2・3個はぺろり。彼はチャレンジ精神旺盛。届きそうで届かないものをやたら欲しがる。ヤギにも個性がある。ユキちゃんが好きな赤まんまにカタロウは我かんせずである。22.10.16赤まんま(イヌタデ)

  • 22.10.12 樫カシの木の剪定

    樫の木を剪定した。樫は、ブナ科の常緑高木の総称である。剪定前は、上の写真状態で、ぼうぼうに伸び放題になっている。樫の実は、どんぐりに似ているがどんぐりではない。地面近くの幹から出ている枝から切り始めた。そのほうが脚立を立てやすい。切り終えると幹が見えてきた。次に、てっぺんのかたまりから①徒長枝(上に向いて伸びている枝)、②内に向いている枝、③下をむいている枝を切っていく。上の写真は右半分の上部分だけ切った状態。「手のひら」が外に向かって開いているように枝を残していく。半日でできあがった。22.10.12樫カシの木の剪定

  • 22.10.08 オリーブの収穫、あく抜き、塩漬け

    9月末にオリーブの実を収穫した。友だちに鉢植えのオリーブを2本もらって家の前のハーブ園に地植えした。最初の年は根が付くか心配していたが、今年は立派に成長して実をつけた。合わせて4㎏の実が穫れた。苛性ソーダに浸けてあく抜き。苛性ソーダは劇薬なので、ビニール手袋をして。一日浸けるとあくが出て真っ黒になる。苛性ソーダを捨てて水に浸す。イッキに捨てると怖いので、水をちょろちょろ出しながら気長に捨てる。朝と晩、水を換える。水が透明になるまで、それをくり返す。水道の水を勢いよく入れて泡立たないようになるまで、一週間ほど長いめに水につけた。塩水につけて、できあがり。1年の長期保存を予定しているので5%の塩水につけた。2日後には、食べることができた。ワインのつまみになる。22.10.08オリーブの収穫、あく抜き、塩漬け

  • 22.9.30 松の葉もみ②

    松の剪定をしているとき、指にトンボがとまった。ちょっと弱っている。助けてくれと目で言っているように見えたが、どうしてやることもできなかった。大きいトンボだったのでオニヤンマかと思ったが違った。後で調べてみた。胸部と腹部の境界部分が水色だったので、ギンヤンマのオスだと分かった。さて、前庭にある2本の松を剪定するのに6日かかった。雨の日があったので、じっさいは5日だ。以下、before&after。この松に4日半かかった。ハシゴをたてるのがたいへんだった。とくにてっぺんの高い所は、外から剪定用の3本脚立では届かない。中央に小さいはしごを入れて、枝にさばりながら片手で松葉をもんだ。ゆっくり慎重にやらないと、残すべき芽をポロっと折ってしまう。もう一本は小さな腰折れ松。これはハシゴなしで、半日でできた。この家に来た...22.9.30松の葉もみ②

  • 22.9.25 松の葉もみ

    松の葉もみの季節がやってきた。台風が夏を吹き飛ばしてくれて、秋らしくなった。ハシゴの上にのぼって、ゆっくり確実に松の葉をもんでいると、涼しげな風が吹いてきて、秋になったなと実感させられる。ゆったり流れるその時間が好きだから、一度に全部やらない。机とハシゴを行ったり来たり。春5月には、上のように芽摘みをしてすっきりしていた。これらの芽が梅雨から夏にかけて、下の写真のように繁茂する。梅雨のころはその新緑がきれいで楽しませてもらったのだが。このように繁っている葉のうち去年の古い葉をむしっていく。このままにしておくと光が入りにくいので奥の葉が弱る。風が通らないので虫がくる。雪がたくさん降ったら枝が折れるなど、良いことはない。やりかたは、強くむしると今年できた小さい芽までちぎれてしまうので、指を芽の根元に差し入れて...22.9.25松の葉もみ

  • 22.9.21栗拾い②

    今日も栗拾いに来た。ヤギたちは必ずついてくる。うれしいを全身で表現する。毬が痛いので長靴で踏んで割る。スニーカーは止めといたほうがいい。すぐにぼろぼろになる。ひとが栗を拾おうとすると、待ってましたとヤギが口を出す。競争だ。ヤギたちが落ちた栗を食べようとしているのだが、毬が痛いのでとっても苦労している。それでもヤツらは暇なので、けっこう食べているかもしれない。とくにカタロウ、夕方になると腹がぽっこり膨らんでいる。どうしても食べたいという執念で顔がゆがんでる。ヤギと栗には縁があったとしか思えない。お祭りや縁日の屋台で焼き栗を売るのが夢だ。 焼き栗の屋台で夢が香ばしい22.9.21栗拾い②

  • 22.9.20 栗拾い①

    台風で、栗が落ちた。台風の次の朝、むこうの山から地平線を、鹿の親子がどどどどーと走りぬけた……先日、栗農家の先輩が話していた。電気柵がねえと、どねんもならん。ウチのヤギ野原は電気柵でかこっていない。鹿がどどどどーと走らないのは、オスヤギのカタロウが強そうな(ほんとは弱いのだが)声で啼くから‥‥ではない、この辺りは山から離れているのと、住宅や県道もあるので、イノシシはたいへんだけど鹿はそれほどでもない。イノシシの出没は最近減っているので、カタロウの啼き声も役に立っているのかもしれない。ヤギの頭突きはイノシシにとってもイヤなのだ。カタロウの啼き声は、腹がへっていたり、甘えたかったりするときは、わりと執拗に腹の底から響き渡るように絞り出される。鹿も栗もヤギもシシも、おとぎ話のなかでのことではない。この現実でとも...22.9.20栗拾い①

  • エスプレッソコーヒーを淹れる②

    黒い液体に立つ泡のおいしさに目覚めたのは、たしか南フランスのカマルグ、サント・マリー・ド・ラ・メールSaintes-Maries-de-la-Mer教会前広場でのことだった。泡がおいしい飲みものといえば、ビールに抹茶、だがコーヒーも負けてない。きめ細かい泡が、とにかくいとおしい。聖女サラ目覚める泡のエスプレッソサント・マリー・ド・ラ・メールはMariesとマリアに複数を示すsがついている。「海のマリアたち」これがカマルグ湿地帯の先端、地中海に面したところにある小さな町の名前なのだ。マリアたちとは、聖母マリアの妹マリア・ヤコベ(イエスの叔母になる)、十二使徒のヤコブとヨハネ兄弟の母のマリア・サロメ、そして召使サラである。召使サラは黒いマリアと呼ばれ、ロマの人たちの信仰を集めている。わしのなかでは黒いマリアの...エスプレッソコーヒーを淹れる②

  • エスプレッソコーヒーを淹れる

    エスプレッソマシンでコーヒーを淹れる。エスプレッソマシンがアスクルから来た。GAGGIAの「CLASSIC」というモデルだ。わしはむかし、エスプレッソは安くてもイタリア製のマシーンがいい、ぜんぜん味がちがう、とイタリアで生活していたアーティストが話していた、というのを聞いたことがある。又聞きだが。まず、コップを温めておく。フィルターフォルダーに何も入れないでセット。マシンとフォルダーが温まるまで5・6分待つ。待っているあいだに、豆を挽く。豆は自家焙煎。左からモカ生豆、サントス生豆、モカ浅煎り、サントス浅煎り、モカ深煎り。焙煎は家庭用の電気焙煎機を使っている。通販で生豆を買っているがスーパーで市販されているコーヒー豆よりも3~4倍は安い(異常に高級な幻の豆なんかを買わなければ)。手動のミルで、ドリップコーヒ...エスプレッソコーヒーを淹れる

  • 22.9.16 芙蓉のお客

    芙蓉が、咲いた。3年前に植えた苗がわしの背たけほどに育った。芙蓉は初秋の季語だ.いちにちを笑ってしぼむ酔芙蓉酔芙蓉は、いちにち花だ。白からピンクに徐々に変化して夕方にはしぼむ。酒を吞んで顔を赤らめている酔漢がしまいには机にうつ伏せてちんぼつしてしまうように。わしの芙蓉は酔芙蓉ではない。一本の樹に白とピンクの花が別々に咲く。芙蓉はハスの美称でもあるから、区別する際には「木芙蓉」とも呼ばれる。わしはなぜか美容院から帰ってきたお母さんのイメージが浮かぶ。芙蓉→ピンク→母→美容、という変な連想ゲームから、木芙蓉ピンクに母を美容するなつかしい。花弁に筋状の模様が流れている。今日は、芙蓉にふたりのお客が来ていた。1人目は、クロアゲハの幼虫。2人目は、カナブンの子供。めしべで遊んでいるので、顔から背なか、花粉だらけ。22.9.16芙蓉のお客

  • つらなりのほつれ 46 ファンキー資本論

    わがままな資本には、仮想上でも終着駅がない。屋台に乗っているやる気のない目ん玉こそが資本の原理を空洞化しうる猫バスにふさわしい。換言すれば、ある種のタメ口こそがあらゆる点と線を時間厳守に通過することを可能にする。しばしば語られてきたように「ゲロッパ」は、ゲロンパがコスプレしたものだ。毎朝ジャイアンしているオスヤギもどこかうぶでシャイなところがあることに気づいてほしい。美しくしゃがれた啼き声のみが余剰をぐらつかせる。そら、可能性としての利益を載せた草原バスが湖を出発するぞ。快楽にひしゃがれた発車ベルが欲望をふるわす…花で飾られた価値が価値を産み続ける、わがままは仮想上でも終着駅がない。だからこそメタ言語への停泊で目ん玉に悲しげなビートが生まれる。いつまでも、うるめイワシの潤んだ目ん玉が、哀愁の資本論を突き進つらなりのほつれ46ファンキー資本論

  • 詩育22.9.15 月暈

    ――2022年9月9日の満月。22時30分頃、雲からやっと顔を出した。三脚がなかった。M撮影にして、長時間露光。手持ちではこれが限界。三脚を探しにいってる間に月は雲に隠れた。月を愛でるための筋力が、たりない。じめっ、と濡れた記述体でもいいからさあ出かけるぞ、自分さがしの圏外へ。成れるものなら、なんにでも成る。満月、したら?!を欲望に押しあげてすぐくふうに欠けてくる体育会系ですからみずからを生かしてみたい生成論で月が傘をためらっている。落とすものは、涙しかないのに。詩育22.9.15月暈

  • ゆらぐかけらShakenFragments 32 青

    青のゆらぐかけらが瓶のなか無脂肪の牛乳を数滴たらしてゆっくり粒子が分散して懸濁青みをおびた空のなかに吹雪ときどき雪が上向きに降る瓶のなかに冬を閉じこめたゆらぐかけらShakenFragments32青

  • 詩育22.9.13不遜な朝

    アリが羽虫をかついでパニック症を歩いている台風の通ったあとだから病室が散乱している草や土は好きだが手術室は苦手だ脳内をレーザーで焼こうとしている手が見えた悪夢は日本海で低気圧になったおいおいよしてくれ!の感嘆符がいつになく不遜な朝だ詩育22.9.13不遜な朝

  • つらなりのほつれ 45 ヤギスケッチ

    うったては、いさぎよく。サーカスで生まれたゾウに草原を見せる決意で。ヤギスケッチしてるときだけ夢で逢えたらいいのに!感嘆符の軸先が垂直にたれる。いつもななめになだめられている赤髪の女子がヤギの毛を鉛筆で梳いている。生え際だけが黒い地毛の作品では血を混ぜたアクリルで事件のかたちだけ描くことにしている。うったては、いさぎよく打とう。サーカスで生まれたゾウに草原を見せる決意で線を引こう。ひとに会わないことは苦にならないがヤギに会うと口にでてしまうよっしゃ!と。こんど新しい筆つくってきますよ、九月の曇り空、うすく梳いて。つらなりのほつれ45ヤギスケッチ

  • fray of sequence 44 バナメイエビは、あがらって

    「である」や「ある」に、ちゃんとあがらえない。グランベリーを食べながらこのまま弦を弾き続けると第七弦が切れる。カブトガニとバナメイエビは発生学的にみてトランスジェンダーであるらしい。世の中にはあがらえない国学って、やっぱり生き残っているらしい。「である」や、「ある」に、ちゃんとあがらえない。エビ天を食べるときマヨネーズをかけてしまう。良い目的語であっても悪い主語であっても、醤油は多いめだ。それに夏になると言いたいことが痒くなるから、原爆記念日だけは扇風機をかけて頭を冷やす。あれらの死んだ人たちの顔を最近見ないねという隣のおばあさんの優しい目に、あがらえない。でも、きょうはたくさんの人が死んだ日だから、おだやかに沸騰する湯で賞味期限切れのメタファーを湯がそう。そうだ、絶滅したアンモナイトに黙って祈ろう、ちょ...frayofsequence44バナメイエビは、あがらって

  • 詩育22.9.10 ひっそりとっとり

    松葉ガニが壁で色あせている港の見えるカフェだマスターはインスタ嫌いだがまともに変わっているエチオピアを飲んだトラ猫の背なかで旧道がカニ祭りの湯気を立てる海のミルクが、一個550円。砂丘プリンは野田プリンと似ているから砂丘に行ったむかし来たときより砂の山が小さかった港のひっそりが一夜干しを歩いている詩育22.9.10ひっそりとっとり

  • 22,9.8ヤギゼミ

    「ヤギ部」のある芸大から「ヤギと生きる」ゼミの先生と学生さんたちがフィールド調査に来た。なにを調査するのかと思ったら「ヤギの目で社会を見るためのプロジェクト」だ。ヤギは「先端芸術表現」なのだ。「半農半芸」とか、未来のはじまりは郊外で営まれる「農」とか、ことばがすでに最先端している。たしかにウチは郊外にある。ヤギたちは近所の人気モノ。廃園になった果樹園をヤギ野原にしている。「負の遺産をひっくり返して」(学生さんは七輪で炭をおこして)BBQ楽しもう、ヤギ肉じゃないけど。22,9.8ヤギゼミ

  • 22.9.8 朝顔

    怒りや悲しみで破顔するのではなく開花する青をもっとちかくして朝顔を思考していたいのにどうでもいいことをひねったらへちま水がでてきた喜びで顔がゆがみすぎないようにちょっと笑ってみる22.9.8朝顔

  • ゆらぐかけらShakenFragments(31)蝉殻

    蝉殻のゆらぐかけらを打つ標本針で栄養バランス最悪、ビール飲みすぎ。ふらふらで帰った過労死から主語を抜きながらやっば高層ビルにはひとりで住めなくなったよいまお得です、スイカ色のぶっ飛びヘアカラー。メランコリアが地獄をうまーく脱i色中ゆらぐかけらShakenFragments(31)蝉殻

  • つらなりのほつれ fray of sequence(44)怪談を降りる

    蔓植物のからまった恣意性のかなたに墓標の液晶ディスプレイが遺棄されている。きょうはとくべつ空がひくい。雲の端末がくっきり落ちている山のいただきは安心して目覚めのふとももを高輝度フルカラーで横たえている。ちょっと、光の遠吠をまねして怪談を降りてみよう。土のない街ではさよならをいうまえに文明がほころびている。蔓植物のからまった恣意性のかなたに墓標の液晶ディスプレイが遺棄されている。なにかいる、緑と青、どちらでもないLEDに投射された植物の葉先をつたわって落ちる非指向のしずく……それらのひとつひとつのなかで鬼子が生まれている。歯が生えた状態で生まれた子供たちは土を食べる。土は、おいしくて。高輝度の声でささやく。つらなりのほつれfrayofsequence(44)怪談を降りる

  • 22.9.5 おののいて

    「……」を、はねのけるように踵をかえしたどうしてあんなことに、のタガを外した大型のカワサキ急発進しながらなに言ってんだ、あいつ。あとにのこされた、傷がうすべに色皮膚に滲んでほんとにつらいこと、は素足ではとてもうまく語れない22.9.5おののいて

  • つらなりのほつれ fray of sequence(43)笑うラクダ理論

    早送り映像のように、いいかげんな推論がラクダの背に乗ってウマの背を登る。休憩中のラクダたちはいつも笑っている。その笑いに理論的な理由はない。おそらくアリが「概念をよせつけない城」を笑いのモチーフとして提供するのだろう。このみごとな透視図が草むらに愛の秘めごとを沈殿させる。生態学的な「おそらく」は気持ちよさそうに砂風呂につかっている。いい湯だな、をゾウの鼻唄で歌う。雲は都合よく来ない。雨も合理的に落ちない。早送り映像のように、いいかげんな推論がラクダの背に乗ってウマの背を登る。例の「かんべんしてや」を折り返し点にして、「生きられた体験」から親しい関係を感受するための水場が渇いた脳内を逆走してくる。乾きがじわじわと「小さいゾウさんと大きいアリさんのお話」をスライドする。どうしても食べてみたい砂丘プリン、その可...つらなりのほつれfrayofsequence(43)笑うラクダ理論

  • 22.09.02 ハルピン

    あるいは、ハルビンだったか西口にあった屋台覚えとる?動かそうとしても動かない現象学のリンゴみたいな、娘のほっぺ。名まえは呼蘭言わないと見えない現存性と言わないで分かり合う哀しみ楽しめることだけ楽しめばいい、女真語でみんな、足し算じゃけ。どうにもならないことぜんぶ混ぜてとどかない意味までもぜんぶ包んであんた、だいすき。の小籠包、一個一〇〇円。22.09.02ハルピン

  • つらなりのほつれ fray of sequence(41)ラクダ、かんべん。

    後輩ラクダが上から目線で吐きつづける正論、ちょっと、かんべしてや、をカピバラ流に水かきして。砂漠というほどでもない砂丘を歩いているとき、水飲み場はどういう原理で脳内を移動するのか気になった。自分の身体はどこに行こうとしていたのか、ぼおーっとしているボールを忘れてきたNBA選手が泊まった鳥取ラッキョウ村で、そば打ち名人のせいろがエビ天を追いかける夢から覚めたら、そこにラムネ水とかき氷があったので、茫然としている。こんなところでも後輩ラクダが上から目線で吐きつづける正論、ちょっと、かんべしてや、をカピバラ流で水かきして、おいしい水という概念をよせつけない強固な城を構築するのだ、よーし、耳のない温泉まで。つらなりのほつれfrayofsequence(41)ラクダ、かんべん。

  • 日記22.9.1鳥取砂丘

    鳥取に行った。賀露港はむかし来たことがあったが、ずいぶん雰囲気が変わっていた。古い通りの両側に魚屋さんが並んでいて、大きな鍋で松葉ガニを茹でていたのを覚えている。観光客のみやげ用の市場があるだけだった。帰りに旧道があるのに気づいた。そこに入ってみた。ここだった。むかしカニ祭りに来たのは。トラ猫が道のまんなかで昼寝してた。港の見えるカフェに入った。マスターはちょっと変わった人みたいだった。エチオピアを飲んだ。鳥取砂丘に行った。むかし来た時より砂の山が小さく感じた。気のよさそうなラクダが黙想していた。ラクダ乗りたい。とっても乗りたい。ラッキョウがレイバン掛けたみたいなおじさんにすり寄っていくと、あと、15分休憩じゃ。とぶっきらぼう。この暑さじゃ、無理もないか。砂丘プリンと二十世紀梨味のソフト、いっしょに黙想し...日記22.9.1鳥取砂丘

  • 22.9.1 ニワトリ伝道師

    ニワトリの伝道師がバス停で手をふって見送ってくれた前向きの笑顔にもしかしたら玉子がとれるかもなんて甘い考えがようまぶれとる人生でもっとも大切なところで止まった時計なにがどれだけくるかわからないがなんでも、受け入れよう。が、うつくしく脈打っている一日に二回もたのしい時を告げるはず雄のニワトリうるせえだけで、役に立たん。家禽なんか残されたらどうするん?それじゃあ、これで。路線バスに乗って帰るから死んでからのことはまかせるしかない死んでいない人に22.9.1ニワトリ伝道師

  • 8月の山羊句

    8月は、とにかく草刈り。真昼間に広い水田跡を刈っていると朦朧としてくる。朝夕でも2時間が限界。汗びしょびしょになり水風呂に入る。ビールがうまい。暦のうえでは秋だが、なんとなく今の猛残暑と秋の言葉がズレてる感じがしている。なるべく季語の意味に過剰に引っぱられないよう気をつけているのだが。8月1日暑気払微かなるロゼの泡にて暑気払 8月2日炎昼炎昼を刈る落武者のエンジン音 8月3日百日草地球裏まで根を伸ばす百日草 8月4日プール水のないプールでひとり泳ぐ空 8月5日昆布透き水をカフカふかふか昆布かな 8月6日原爆の日じゃ命日は同じですね原爆の日黙祷が八時十五分を止めている 8月7日冬瓜冬瓜の巨大な無味になる願い冬瓜の地味な無意味に滲みる意味待ち受けのほんとは好きに秋立ちぬ 8月9日秋暑(しゅうしょ)すまなそに秋...8月の山羊句

  • つらなりのほつれ fray of sequence(40)市場をぎっしり

    際限のない我儘にディーゼル車が停泊している、几帳面な市場をぎっしり積んで。何も、持たない。無防備な目ん玉の、キョロキョロ以外なにも動かない午後。うっかり、接続した。農村という手段が跛行している。自分探しに夢中のマネキンがレディガガの毛皮コート着てぎくしゃく歩いてきた。際限のない我儘にディーゼル車が停泊している。几帳面な市場をぎっしり積んで。たしかに貨幣は主人を持たないが、愛人を待つ。思いつくのは役に立たないことばかり。もっと、謙虚に。相手の話をしっかり聴くことからのみ始まるのだ、愛で始まるどんな事業も。つらなりのほつれfrayofsequence(40)市場をぎっしり

  • 詩育日誌22.8.24哀歌

    くちびるがおののいているサンダルも履かず背なかを追いかけたこのポケットにひそませたナイフできょうを、生きてみる、ことにした。を、刺し殺してあげようかけどささくれだつあなたへの想いを刺殺しなければそのことばかり考えようとすることばたちをさくら貝に集めてつらくてつらくて薄いピンク爪の根元からあすを覗き見、するかのように。きまぐれが血を流している詩育日誌22.8.24哀歌

  • つらなりのほつれ fray of sequence(39)夏のドット②

    日記帳の手書き文字はいつのまにか落とし込まれる、すべて平和という悲しい現場に。青い翅の蝶のように、電子の通路で散文がはばを聞かせている、この近未来では、山羊はいるけど山鹿は括弧でくくられている。日記帳の手書き文字はすべて平和という悲しい現場にいつのまにか落とし込まれる。ところが廃墟のあいだに残った水田跡にクリの苗木を植えたら鹿にぜんぶ鹿の子餅にして食べられた。緑の風が流れてきて、これでおあいこでしょ、といって舌を舐めた。みずみずしい新芽をひとりじめにしたいうちの山羊たちが頭突きしていったので、あっ、と鹿は跳んで逃げた。画像上ではすくなくとも消去された、背中に木漏れ日の保護色ドットつけたまま。絵日記の終わりにこう付け加えておこう。きっと慌ててたんだな、秋がそこまで来てるから、と。つらなりのほつれfrayofsequence(39)夏のドット②

  • 青いイルカの夢(47)曇り空

    アイスランドの秋からとびきりの、もの悲しさどうぞ。どうなってるのかここんとこ気にするなよともだちだろ触れていてほしいビョークみたい、がまいにちの底のほうにあふれてくるいつのまにかとってもうれしいシガー・ロスもいるしはよ、逃げんと、つかまるで。柔らかくふくらみのある虚像の端から少しずつ凍結するってこごえたこころの湖面でスケートオーラヴル・アルナルズの曇り空に話しかけてみたい青いイルカの夢(47)曇り空

  • つらなりのほつれ fray of sequence(38)夏のドット

    絵日記の升目に落ちる夏の木漏れ日が鹿の背中で白いドットになる。夏休みには句読点をたのしく打とう。鹿の背中にはどうして夏休みにだけ白いドット模様が現れるのか。夏の木漏れ日が背中に落ちたから。光のなかの影は、絵日記の升目のなかに休息を徐々に充満させるための、言語に使用される記述記号の類いなのだろう。このあたりに山羊はいるけど山鹿はいないはずでしょ。最近はそうでもない。水田跡にクリの苗木を植えたら鹿にぜんぶ食べられた。芽をひとりじめにしたいうちの山羊たちが頭突きしていったので、あっ、と鹿は跳んで逃げた。背中に保護色ドットつけたまま。日記の終わりにはこう付け加えておこう。きっと慌ててたんだな、秋がそこまで来てるから。つらなりのほつれfrayofsequence(38)夏のドット

  • 詩育日誌22.8.25雨鳴き

    畑から嘴がでてきたと思ったら釣針だった夢はとても痛く刺さったままてみじかでなげやりな行きさきがわからないとにかくなるようになるとしか言えないため池に釣りに行こうとても嬉しかったしいまも嬉しい終りに近づいているゲロゲロと雨鳴き指先が透きとおった吸盤だ詩育日誌22.8.25雨鳴き

  • つらなりのほつれ fray of sequence(37)とつとつと、玉島。

    サイテーの愛でも魂を目覚めさせられる。ベテランの頸骨がとつとつと語りだした。玉島商店街のアーケードはクジラの骨だよ、とレジ打ち係の同僚がぼやいた。外に出るときその下をくぐるのだが、頸骨はいくつあるか、それをとにかくハエトリ紙(そういうあだ名のベテラン女)に訊いてみたい。いくつになってもわからないことだらけ。なぜ在るものは消えて、無いものが現れるの?そしたら「サイテーの愛でも、その魂を目覚めさせられる……って、ベテランの頸骨がとつとつと語りだしたのよね……」レジ係の口から外に這い出てきた「とつとつと」が、いきなり雨になって前景にきた。目を覚ました魂の、銀色の雨だ。つらなりのほつれfrayofsequence(37)とつとつと、玉島。

  • 詩育日誌22.8.23 だれかいる

    こころが雨具だ感情を羽織ってふらっとだれでもないだれかまで旅に出たくなった力を抜いて、気をぬかず。うしろ姿で語るだけあたまが石臼だ理性を挽いてなにもしなくてもよくわかる雨が降ってまた晴れたゴリっとだれかいる終わりから始めよう詩育日誌22.8.23だれかいる

  • つらなりのほつれ fray of sequence(36)とつとつの、滑り台。

    鏡のなかにいる有機体がとつとつと語る、愛人としての重い気分を外示して。銀板鏡のなかにいる有機体が昆虫のような触角でとつとつと語ってくる、愛人としての重い気分を外示して。魂のメタモルフォーゼではとにかく杓文字でこまめに着信メールをすくってやってください。ゲーテ『形態学・動物篇』の歪められた視線の角度で、胃もたれする生活のあぶくだけを。尖った二つの下顎でこなごなに遠景を嚙み砕きながらアリたちが大きな愛情をしょって女郎花を登ってきた。心では、君を好きになれてよかったまで。つらなりのほつれfrayofsequence(36)とつとつの、滑り台。

  • ゆらぐかけらShakenFragments(30)吐息

    吐息のゆらぐかけらが山羊空が純粋をエクリチュール鍵穴に入らないストア学派はじめから錆びている銀塩水風呂に頭ぜんぶ浸けて魚泣けるだけ泣く小さな海でゆらぐかけらShakenFragments(30)吐息

  • 南フランス田舎紀行(21)ミディ運河の港町、カステルノーダリ

    カステルノーダリCastelnaudaryは、ミディ運河の美しい港があることで有名である。トゥールーズとカルカソンヌのちょうど中間に位置している。ここはかつてローラゲ地方と呼ばれていた。街の中心部にはローラゲ博物館Musée du Lauragaisもある。オクシタニー地域圏、オード県にある人口1万人弱の町である。この町の名は、1103年頃ここに、CastellumNovumArri(仏=châteauneufd’Arius;「アリウスの新しい城」)があったことから来ている。その城は13世紀初頭、カタリ派の牙城となった。『アルビジョワ十字軍の歌』では、1211年に激しい戦いあったと歌われている。トゥールーズ伯とフォワ伯の連合軍は十字軍の総指揮官シモン・ド・モンフォールに包囲され大敗する。こうゆう坂が激戦地...南フランス田舎紀行(21)ミディ運河の港町、カステルノーダリ

  • いま世界はうなだれている(59)飛ぶ魚たち

    魚たちが跳ねている寡黙な池でたしかに友だちたいせつだけど(居心地良すぎてぐんにゃりする人生もあるおや、いつのまになくてはならないものを遊泳する20世紀の歌人(「なみだは人間の作るいちばん小さな海です。」*イヤなこと何もないイヤことに負けたくないって元気だすそれも、ありか。魚たちが飛んでいる*寺山修司『ロング・グッドバイ』(講談社文芸文庫)よりいま世界はうなだれている(59)飛ぶ魚たち

  • つらなりのほつれ fray of sequence(35)ブドウ畑で脱糞中②

    腐れるほど熟れたヴェイユと間欠的なつまみ食いから噴き出してきた、スパイシーな人生の砂利地について。工場日記のほとぼりが冷めるまでこのカベルネソーヴィニヨンで比喩してみてもいいよ。腐れるほど熟れたヴェイユと聖人をつまみ食いしていると、スパイシーな砂利地が噴き出してきた。グラーブ地区だ。たとえ間欠的であっても、ブドウ畑ではくれぐれも歴史を程よく脱糞させてください。喉から外を覗いて見るとたしかに緑色の海が見えた。高級肥料のカタクチイワシ買うと、今ならお得な不意打ちあるかもよ!が、もう顔にでてしまったシモーヌの、ごぼごぼ罪から罰へまむし的に移動中。つらなりのほつれfrayofsequence(35)ブドウ畑で脱糞中②

  • 詩育日誌22.8.17にんげん学

    にんげんにはわからないにんげんらしくいま生きているのかおうちを快適にくわしくはこちらと言われ夏のドア開けると炎昼を刈る落武者のエンジン音レモンアイス体験セットそのうえ不妄語でスイカをぱっかっり割るといまなら福引ついてます。いいことばかりにいつのまにか外堀を埋められたにんげんらしさもう探さなくていいにんげんには見つからない詩育日誌22.8.17にんげん学

  • つらなりのほつれ fray of sequence(34)ブドウ畑

    ブドウ畑で歴史をまむし的に移動中、シモーヌの罪を脱糞する、石になって。ほとぼりが冷めるまでこのカベルネソーヴィニヨン食べていいよ。腐れるほど熟れた人生をつまみ食いしていると、甘酸っぱいカルスト台地が噴き出してきた。たとえ間欠的であっても、ブドウ畑ではくれぐれも歴史を程よく脱糞させてください。高級肥料として、今ならお得な不意打ちあるよ!が、もう顔に出てしまった、シモームの罪をまむし的に移動中です。赤い砂丘の向こうに見えるガスコーニュの海は、ときどき緑色の漁師が沖に浮いているから「緑海」と呼ばれるらしい。どんなに美しい捕獲装置でも、あらかじめ目当てをつけていたものに向かってのみ直進することなどできない。得意そうな顔で話すいいかげんな説明をどうやって脱糞すればいい?海岸に横たわるモーリス、石になるためには。つらなりのほつれfrayofsequence(34)ブドウ畑

  • ゆらぐかけらShakenFragments(29)空白

     空白のゆらぐかけらが星ピアスになっているから自分を切り抜いたあとの空白に自分がはまらない この愛はやたら苦しい酸素ボンベ故障中だし地味に見えてなぜか性欲が強い眼差しを脱臼 あ、こんなに楽しくてもいいんだ愛し合う人この空白から宇宙を始めてみるもう一度だけゆらぐかけらShakenFragments(29)空白

  • 詩育日誌22.8.15盆路

    忘れていたいものそれほど少なくないホトトギスの花は台湾のランに似ているうなだれた首は墓を拝んでいる人のものぼんやりしていたべつの世界からまなざしが引きもどされるもっと、ほがらかに。慰めるはずだった飢えた鬼に泣き声を施されている遠くでひとり日暮らしが笑う一度きり忘れていたものそれほど多くない詩育日誌22.8.15盆路

  • 詩育日誌08.14お前は誰かと訊かないで

    とても近くなのに遠い道地平線までその聖なるものをジャムにしてマドレーヌ、食べる?甘さであなたの不在がいっそう際立ってよそ者だからかなあイチゴがおいしくできなかったもどかしさかかえながら歯を抜いた痛みに耐えるいつもの考えとはちがう考え方で聖人と呼ばれているお爺さんといっしょに耕してみるどこかにたどり着くわけでもない巡礼なのだからこの背中のまんなかにお前は誰かと訊かないで詩育日誌08.14お前は誰かと訊かないで

  • いま世界はうなだれている(59)メルヘンの背なか

    冷蔵庫からよく冷えた文法を取り出した氷で割って言いわけなんて大嫌いよーって吞みほす(わりい、な。伝統、これしかできん。頭突きするななめに跳んでかすかにひび割れたよろしく、ね。を唐突に打ちつける。(じつのところやさしいヤギなんだ、やっぱり。いとしく歪む語幹からはげしく痛む語尾までなんでもがまん願いが叶うまで強く願うどこまでも独り(それにしても、はげしく痛い「ね」です、ね。メルヘンのかたむいた背なかにヤギたちを立たせてみたくていま世界はうなだれている(59)メルヘンの背なか

  • 詩育日誌08.12たわむ夏

    タテ長の窓に天球儀が吊るされているとつぜん大正の言語が見えなくなるのは馬を追いかけて主語が反転するとき科学用語辞典を貫いて夜が咲きこぼれる何かの原因でわだかまる磁力が逆走して裏返ってしまった異次元に洗剤つけて好きだという感情をこするもちろん余ったものはトイレで流して淀んだ記述の洗い物もしなくちゃ好きな引用たちに嫌われる雨の日のベンチは滑りが悪い誰がそう言ったのか忘れた星にかかる形容詞は何でも大好きワインきれてるのまずいけどもう振り返るのやめたありふれた意味にたわむ夏の流れ星が壁でひび割れている詩育日誌08.12たわむ夏

  • つらなりのほつれ fray of sequence()翅を透かして、てっきり。

    今日だけの命という確信が抽象画で線描されている、まるで切り取られた現実のように。対戦車用の武具を後頭部の車庫からバックで出した。他のメンバーの頭皮からうるさい翅音を急発進させた。もう何日も重たい鎧を纏った飛び方でかなり疲れてきた。移動遊園地の錆びた鉄柱から展開する戦士に恋してというくだりでちょっと休もう。甘くない、統合失調の発作中にいつも廃墟にお願いしてればぜったいに願いは叶うというほどこの未来は甘くはない。今日だけの命という確信がまるで切り取られた現実のように抽象画で線描されている。てっきり、泣いているのは岩肌だと思った。空を見た、きみの背にはえた翅を透かして。つらなりのほつれfrayofsequence()翅を透かして、てっきり。

  • ゆらぐかけらShakenFragments(28)シルエット

    植物の骨格でゆらぐかけらが風のすき間に懐かしいを揺らすとてふてふが海こえて来るさびしくはないぞは強がりの鉄門を開け手をつないで眠るなんて夢みたい水底でおい、シンセイ買ってこい。おつりやるからタバコ屋の角を曲がる頭蓋のシルエットだけゆらぐかけらShakenFragments(28)シルエット

  • 詩育日誌08.09ヤギ虹、サーカス。

    この野原は楽園ではないがテーブルには晩ごはんがあるいつのまにかヤギ虹に移動サーカスつまり楽ではないががまんできないほどではない最近見なくなったタマ乗りの白クマたちできないをよじのぼって空中ブランコで青ざめたさあ、カレー食べて。なにをすればいいのかまるでわからないままあれ、サーカスもう始まってるぞかんたんなことがむずかしいとりあえずいのち落さないように手と手をつなぐ今も、これからも。詩育日誌08.09ヤギ虹、サーカス。

  • つらなりのほつれ fray of sequence(32)夏のボンネット

    オーバーヒートした6気筒と神経を耕す機械を修理するために電動工具を取り出している耳のまわりでハチがブンブン。これが終ったらルーペ鏡で女王のくびれたエロ腰を観察してやろう。図形や空間の性質について幾何学したいだけと彼女にメールしたらスルーされた。胸のうちがわの模様はアゲハの幼虫というよりもモスラに近い。そういえば肺の格好をした帽子のなかにハチがいたのだ。忘れられない片想いがうるさいから、早くシナプスの軸索だしてほしい。かば焼きにしちゃる、夏のボンネットで。つらなりのほつれfrayofsequence(32)夏のボンネット

  • いま世界はうなだれている(57)嫌いじゃないから

    雨がやんだからなにかメモろうと散歩にでたかつて遊園地があった森のなかに迷い込んだ(テーマパークの骨格と興奮性シナプスの電位関係に関する考察すべて順調に進んでいる心理学は嫌いじゃないから心配しないで(散歩道では興奮したミツバチの群れに気をつけて近所の子供がヤギの耳にさわってくれるのもたまらなく嬉しい夏休みの宿題できた?(きわめて微視的な愛の狂言になっていると褒められましたチョコちゃんのお爺さんきょうは頭巾をかぶっている隠者の身なり顔がよく見えない(悲しみをどこまでもひきずって歩くサンダルの間接話法で好きな人にぜったいに会いたいという気もちが勝手にひとり歩きしてたまらなく嬉しい(嬉しいをふたつも、羊皮紙にメモした。いま世界はうなだれている(57)嫌いじゃないから

  • つらなりのほつれ fray of sequence(31)ハチの斑紋、口ずさみ。

    斑紋の自己組織化は動かないまま、未来完了になった。雨具の用意してこなかった。困ったな、という顔で旅する石工たちが、時間のノミをふり降ろしている。猛毒があるから刺されたらすぐ斑紋が膚にでる。皮膚科にも行かなかった。あざになってのこる彫刻の自己組織化は、動かないまま。未来になった。完了形に壊れた時計の、長針だけが不本意に指し示す、解剖図のうえに腰かけて、八月の中庭を口ずさんでいる。鳥になるのはだいぶ、先のことだよ。つらなりのほつれfrayofsequence(31)ハチの斑紋、口ずさみ。

  • 青いイルカの夢(46)心音、ぷかぷか。

    あまりにもさびしげな彩度をおびている音があるカキツバタを映す水面には金魚が口語を、ふかふか。記憶ズレするその瞬間の形象とはだれにとっても音声化されえないまま午後のジャスミン茶を飲んでいる漢詩にほかならない絶句にてはっきりさせるべきはぷかぷか化した旅の雨だ聲変わり前の高音でひびくまた旅に、出るのですか?あまりにもとげとげしく叱りつける聲の色がある愁いだけ大人びたその聲で追懐が心音を、ぷかぷか。青いイルカの夢(46)心音、ぷかぷか。

  • つらなりのほつれ fray of sequence(30)水底のトカゲ

    パードヴァの井戸水で顔を洗う。洗面器に手頸をいれる。生ぬるい風がよそから吹いてくる。アルミ底にむかしを溯るための山道が見えた。たいぎそうな夏の午後が岩に腰かけている、うしろに、夕立がきた。暑さで頭がだらけきって、鉛でも、詰めてるみたい。と若いころの母が咳きこみながら言う音が、割れている。電波をうまく受信できない古いラジオから流れてくる山脈の風景から、色彩を洗い流して、夕立がいった。木漏れ日が落ちている。そのころの光はちょろちょろ騒がしいが、影たちは沈黙している。水をいくら換えておいても、雨あがりの底で青トカゲが、うようよしよるなあ。蛇口から出る水は、いつまでも、生ぬるいまま、風の声を流している。つらなりのほつれfrayofsequence(30)水底のトカゲ

  • いま世界はうなだれている(56)ななめに、メルヘン。

    (じつのところやさしいヤギだわ、やっぱり。冷蔵庫から答えをだして冷やしたロックにして言いわけを吞みほして(わりいな、これしかできん。頭突きするななめに跳んでかすかにひび割れたよろしく。を打ちつける。(かたむいた文法にとっては、それにしても、痛い、語尾ですね。ハマちゃんが朝がた帰ってくるメルヘンのかたむいた背なかにヤギたちを立たせてみたくて(悲しみをひきずって歩くサンダルの説法を聞くいま世界はうなだれている(56)ななめに、メルヘン。

  • 7月の山羊句

    7月1日国の〈外〉危うい合意で鰹釣 7月2日黒南風が汗だくで木陰に逃げる 7月3日命かけまぶれると云ふ蚊の声で 7月4日最高っす浮葉のうゑでヨガ舞踏 7月5日キッチンで黴の香が死の舞踏 7月6日背に重い因果を潜る源五郎 7月7日爽やかの語尾を浸して小暑和え 7月8日初蝉を遅れて羽化する解脱かな 7月9日伽羅蕗やカタストロフを灰汁で煮る 7月10日泣き言を空に響かす青田道 7月11日飛魚や目がウインクの低飛行 7月12日双魚図を尾ひれで歩く金魚玉 7月13日青蘆で可視化される通り雨 7月14日生きかたが青蘆の野を低飛行 7月15日朝曇り羽織って魔界散歩する 7月16日吊り革に微熱で揺れる青鬼灯 7月17日青鬼灯路面電車にゲリラ雨 7月17日とゞろきが夜空をはぐる初浴衣 7月18日餡蜜やダブルベースの甘え方 ...7月の山羊句

  • ゆらぐかけらShakenFragments(27)ノスタルジア

    ノスタルジアのゆらぐかけらが薔薇窓で水のしぐさ、なにか言いたげなインゲン 日陰がひたむきな序論を肯定しようとする水面でおそまつな回顧が横溢しようとする 幻影のなかにうつむく二人称を忘れてきた視界がモノクロ、母や妹が振り返るときはゆらぐかけらShakenFragments(27)ノスタルジア

  • 詩育日誌07.31山羊プール

     ラーメン屋に入ったら個展してたニューヨークから来たひげの男が半裸でちぢれ麺を旅するコンセプトが鳥ガラスープに浮いている海のうえでも美ははてしなく頑なで生活はひたすら脆くてわたしではない個別性を造形する景色のなかに夏のドアが開いているごちそうさん。ゆっくり出ていったら水泳してた山羊がプールで詩育日誌07.31山羊プール

  • つらなりのほつれ fray of sequence(29)ヴェネチアが事実を脱いで④

    機械仕掛の悪意が空を飛んでテクストなんか紡いでるやけに海が、恋しい。恐るべき運命のバロック的展開の先端に、居るべきものはいないし、居ないはずのものがいる。やけに海が、恋しい。不在という存在のナラトロジーには青トカゲの尻尾が生えている。そう言いながらビールを飲む。やっぱ、北の国でとれた麦芽とホップがいいよなあ。おっと、ポテトを揚げている少女には目鼻がない。機械仕掛の悪意が空を飛んでテクストを紡いでいるからって、怖がらないで、お願いだから。もっとイカスミの論理、強く抱きしめて。つらなりのほつれfrayofsequence(29)ヴェネチアが事実を脱いで④

  • s詩育日誌07.29ななめが、踊って。

     ななめに雨がふってきたきょうは、命日だから……の先のほうで蛍が飛ぶ、草、食べる。これが、仕事。ウシたちはやるべきことを知っている。自分が楽しい。それで誰かが喜ぶ。それが、オイシイ。なぜか海底のブルーで鼻わきにピアス。なんでもできるはなんにもできないそっちは、風が強いのでしょう?ピアノがよく山にひびく夕立がきた、たぶん。s詩育日誌07.29ななめが、踊って。

  • 詩育日誌07.27囀り

    てみじかでなげやりないけない鳥スパイスをしっかりかけた進んでいるようで退いているようでうまく踊れないきみの羽のなかでぼくが夢を啄んでいる森に降る冷たい雨おせっかいではやとちりの甘すぎるカレー手でことばをたぐりよせて風にさわるはじめから、大好き。よろこびってかくしきれないから水滴が落ちはじめたか木立が囀りはじめたか詩育日誌07.27囀り

  • つらなりのほつれ fray of sequence(28)ヴェネチアが事実を脱いで③

    機械仕掛けの愛で、ポテトを挙げている少女。遊覧船に乗って、お城の不埒をなんとかしてや、と叫んでいる。近所迷惑になるからって遠近法のドアを開けると入り組んだ水路にヴェネチアの仮装服が落ちている。赤い悪魔の仮面はザクロの枝にかかっている。わかったよ。居るべきものはいないし、居ないはずのものがいるし、語るべきことばのしっぽには、青トカゲの毒がある。そう言いながらビールを飲む。やっぱ、北の国でとれた麦芽とホップがいいよなあ。おっと、ポテトを挙げている少女が機械仕掛けの愛で動いているからって、怖がらないで、お願いだから、もっと強く抱きしめて。つらなりのほつれfrayofsequence(28)ヴェネチアが事実を脱いで③

  • 南フランス田舎紀行(20)トルバドゥールの村

    ミラヴァル‐カヴェルデMiraval-Cabardèsはオクシタニ地方オード県の山間にある小さな村である。住人は46人(2019年)しかいない。村の家々は渓谷に貼りつくように建てられているこの村は、12世後半から13世紀初頭の吟遊詩人レモン・ド・ミラヴァルRaimondeMiravalが生まれた村として有名である。レモン・ド・ミラヴァルは、13世紀初頭のアルビジョワ十字軍の時、カタリ派を支援したトゥールーズ伯レイモンⅣ世に仕えた宮廷詩人である。彼の城の遺跡のふもとには下のような看板が掛けられている。アルビジョワ十字軍が攻めてきた1209年、ミラヴァルは「私は、歌って仲良くするのが好きだ。」ilmeplaîtdechanteretdememontreraimable.と歌って戦争に反対している。この年に彼の...南フランス田舎紀行(20)トルバドゥールの村

  • ゆらぐかけらShakenFragments(26)暮れなずむ

    暮れなずむゆらぐかけらが焼き茄子もういちど深い海の色で日暮れてほしい好きにしていいというから好きにしているカナブン飛び立つときカッコいい、節足ですが。やった、いきなり。「身から出た鯖」ありったけの平凡が焦げ臭いゆらぐかけらShakenFragments(26)暮れなずむ

  • 詩育日誌07.23こころ

    他者の靴を地べたで磨くひたすらこころのようにアナーキック・エンパシーのすすめだそうだちょっとやそっとじゃないが「タイガーの助」が平和の認定をもとめているタイヤノイズが雨モードに変わってきた降りはじめたかおまえのこころにもいろんな本音がうるさい世界になってきた詩育日誌07.23こころ

  • いま世界はうなだれている(55)グリフォン、来た。

    風が吹いてマントが飛ばされて鳥のあたまだけがにんげんを旅している(だれでもかんたんに救われるとは思わないけどお祈りの行列が森からでてきたみんなの髪から銀色のしずく、あ、あ、って。(あえぎながら生きるにはあとが長すぎる旅だあるがまま受け入れることグリフォンってライオンのからだに鳥のあたまおおげさな翼どうしてる?(ダメなところがきみの個性だと慰めているつもり経験が個性になって落ちている意識の滝を天使がどこまでものぼっている(この音韻のうらがわに隠れてわたしたちヤギ小屋にいるから四角から丸にかわるこころという印象の変化で身振りを改行するおもいきってメール、くれない?いま世界はうなだれている(55)グリフォン、来た。

  • つらなりのほつれ fray of sequence(26)ヴェネツィアが事実を脱いで②

    強く叩いたら強くこころを打つ、とは限らへん。もっとよく見てほしい、シールを剥して。バルトロメオの腐食した顔。そして指先。『鍵盤論』表紙の銅版画に、劣化した現実の雨が降っている。病いが背表紙にも進行して、もう人の顔じゃない。胸を強く叩いたら強くこころを打つとは限らへん。どこかで聞いたことがある。病室の窓から見える庭で、追いかけていたものに、いつのまにか追いかけられた。病んだこころ、そんなん、あかん。つらなりのほつれfrayofsequence(26)ヴェネツィアが事実を脱いで②

  • 青いイルカの夢(44)フェリーボートに降る雨

    長い旅をしてきた口がことばを吹き出そうとしているといっても仮面(……、…。無言が💬のなかにうずくまって逆ギレだだわめくだけ正しいと信じている眼を見つめているのは正しいスクール水着のよく似合うかの女かわいい冠詞が耳もとに掛けられた息は甘いのに滴は甘くない雨がフェリーボートに降ってきた急にはげしく目からおりて鼻をつたわるだからよくある話になってべつに気にしないでほしい涙はたんなる、体液。という出会いはうまくいったりいかなかったりうす目をあけると開かれた窓水平線に切なさの欠片が刺さりまくって青いイルカの夢(44)フェリーボートに降る雨

  • 詩育日誌07.20水の歩き方

    小川が聞こえる森のギャラリーを抱いてうつくしい歩き方ほめたつもりだれも信じられないことをかんたんに信じてしまうそれっておかしいどこから来たの?と水にたずねるピアノトリオが答えるいちども聞いたことがないたんたんと歩くために生きている水が流れるリズムなんども聞いたことがあるおなじことだどんなにはぐらかされても人はなんにでもすぐ慣れるだれかの定義が曇っている霧が流れてきた詩育日誌07.20水の歩き方

  • つらなりのほつれ fray of sequence(26)事実を脱いで

    そんなん、あかん。の裏がわで脱ぎ棄てられた事実が、うさい。トマト園にどこにも居ない人が帰ってきたらという仮説が玄関のピンポンを何度も鳴らす。一度鳴らすのに三回は押しているのだろう。あせりが、うるさい。きっとたいせつな人と口喧嘩して家を飛び出してきたに違いない。バルトロメオ『鍵盤論』の序論が、尻腐れ病にやられているぞ。強く叩いたら強くこころを打つとは限らへん。そんなん、あかん。なんとかしてや、と叫んでいる。近所迷惑になるからドアを開けると廊下にヴェネチアの仮装服が落ちとる。わかったよ。居るものはいないし、居ないものがいるし、あたりまえの裏がわで、脱ぎ捨てられた事実は、夢のなかでも動かせへん。つらなりのほつれfrayofsequence(26)事実を脱いで

  • つらなりのほつれ fray of sequence(25)孫武庭園

    春秋をふるわせる弦は心地良いけど、きょうの焙煎、ちょっと深すぎるかも。斉国の若い作曲家が古箏を弾いている。冷たい空気が和音を変調させるんだ、そう言いながら円卓に座っている白髪の老人、仮設から起きあがってきていつのまにか円卓でコーヒーを飲んでいる。あんた誰???わたしはブッダ、孔子、ソクラテスの同時代人。友人、愛人、家人をすべて自分のせいで死なせてしまった。他国を滅ぼして自国を守ったけどたいせつな人は守れなかった。病死、自殺、毒殺、自分の死に方をひたすら隠した、撞着の人……だって。エラっそうに、春秋を震撼させる弦の響きは心地良いけど、きょうの焙煎、ちょっと深すぎるかも。つらなりのほつれfrayofsequence(25)孫武庭園

  • ゆらぐかけらShakenFragments(25)メランピーマン

    メランコリーのゆらぐかけらがピーマン内部の空洞をかろうじて耐えている人々ちょっとの風でのんびりが表皮を飛び越える穴凹のかたちはずっと個性を主張してるけどきたあかりという肉じゃが詰めてエシレバター塗って二人で食べるゆらぐかけらShakenFragments(25)メランピーマン

  • つらなりのほつれ fray of sequence(24)受難を、バラが巻く。

    バラの精油をもってきた、調香師の頭に受難がひかえめに実をつけて。ハーブ園を迂回して、うれしい知らせが繁茂している。鬼ごっこが好きなそのオス山羊は、死海文書の後書きで戦ってきた。大勝利、お疲れさま。挨拶といっしょに草叢に隠れていた銃口から発せられた予言―乙女から男の子が生まれる―には、養父の耐えがたい生き方が硝煙のように匂っている。その向こうの生垣でバラが咲いていたはずなのに今はアブラゼミの受難がとてもひかえめに実をつけている。古い友人の調香師がバラの精油をもってきた。豚の脂といっしょに花びらを加熱して酒精CH3CH2-OHで抽出した。奇跡のしずく、うれしい。イバラは裏の納屋、たいせつに保管している。いつか頭に巻いてやるために。つらなりのほつれfrayofsequence(24)受難を、バラが巻く。

  • ゆらぐかけらShakenFragments(29)木洩れ日

    木洩れ日のゆらぐかけらが音韻のなかたとえばマリンブルーのはじめましてぎゃっ、ぎゃっ、ぎゃっ。発話しながらパソコンを打つ釘それからハンドメイドのちょっと元気ごめん柄杓のかわりに月で水を掬ってゆらぐかけらShakenFragments(29)木洩れ日

  • 詩育日誌07.14空飛ぶゾウ

    空飛ぶゾウと仲良くなった深海の青が耳のピアスでゆれていたはい、好きな色で。ファッションをばたばた寝不足が飛行するウシはやっとゴム動力のプロペラで散文に着地したどんな出会いにも別れはあるさよならを言うにはいい日よりだありがとう。はしっかりと、美しく。つぶらな眼を見て音節をひとつひとつちゃんと発音してそれから、人生に。かるく会釈しただれにも気づかれないように詩育日誌07.14空飛ぶゾウ

  • いま世界はうなだれている(54)折角を、ちぎって。

    ありゃ、そりゃ、つまり。生きている限りふたりはいつもいっしょということですね。(ここにいるというのにいないことにして欲しいなんて、折角ですが。そのことば尻のほうからためらいがはいってくる(もっと、素直に。猟犬が来たら嫌だのサイン出してねバッティングコーチみたいにガム噛みながら好きな生きかたが緑の言説を縦横に走る光の織物に寝転ぶ(はい、好きにしていい。のことば通り。腐れやすい折角をちぎって捨てらあ。香り、青い。いま世界はうなだれている(54)折角を、ちぎって。

  • 詩育日誌07.12夏がなまって、ゴロン

    せめてユキちゃんとお帰りなさい。安心がハーブ園にオレガノ植えて水風呂にはいる?昼間いっしょに仮想に逃げこんだひこ星のカタロウはボタンを外すのに力をいれすぎたネジの頭がなまってあの子といったらヤギの角だって鬼みたいいつも純情という舟にいっしょに乗ってもう一度だけ好きになってもいいですか?目を細めて笑っている魚の眼で思索している低飛行にちゃんと蚊取り線香つけといたし初蝉にいにい、いいのになあ。どうしても語尾の力がありきたりに抜けていく体もなまっていとおしい訛音だけ野原でゴロン詩育日誌07.12夏がなまって、ゴロン

  • つらなりのほつれfray of sequence(23)夕立のリズム

    芭蕉の葉が、暴れている。雨脚は見えないが、夕立がきた、たぶん。焼きレンガというケーキと砂漠と夕日が好き。それはとても難解なので爾夕[じゆう]といった具合にルビが付されている。こっちに、おいでよ。を語彙集に入れて、大声で砂丘を呼びつづける。好きなことだけやればいい。を奏でるピアニストの胸のなかで雨に打たれている音符がある。どれも未知のリズムを踏んで踊っている。どんなにきつい仕事であっても、夕焼けを見れば今日をすっきり終えられたはずなのに、夕立がきた。たぶん。雨脚は見えていないが、芭蕉の葉が、暴れている、小太鼓のように打たれて。つらなりのほつれfrayofsequence(23)夕立のリズム

  • 詩育日誌07.08なまって

    仮想に逃げこんだひこ星のボタンを外すのに力をいれすぎた頭のなかのネジの頭がなまって小夏といったらいつも浴衣でもう一度だけ好きになってもいいですか?目を細めて笑っているそれに色気あるしにいにい蝉、いいよなあ。どうしても語尾の力がありきたりの愛のように抜けていく訛音だけたたみでゴロン体もなまって詩育日誌07.08なまって

  • つらなりのほつれ fray of sequence(22)チェロと昆虫譜

    存在という重い石を崖からころがしているような、記述を横断する。チェロの練習、午前中に済ませて、昼寝のあと、草を抜く。昆虫記は夜に台所で読む。だれも違うと言ってないのに、ファーブルはフェーブルな詩人だったとムキになって主張しているカガワくんがいる。昆虫学者がみんな昆虫大好きだったとは限らないらしい。戦術がなにかある訳ではないが己の存在という重い石を崖からころがしているような、記述を横断する。お茶漬けを食べる。菜食をチェロの音色でよじ登る。足が六本ある。つらなりのほつれfrayofsequence(22)チェロと昆虫譜

  • 07.08ミョウガ、夏の香

    ミョウガが採れた。今朝、芽を出しているのに気づいた。ミョウガは宿根性の植物で、ショウガの身内である。去年の葉や茎は枯れて跡形もなくなっていた。根だけ土の中で冬を越し、また次の春に芽を出す。その芽が成長してこの時期七月頃にさらに小さい芽をつける。タケノコと同じように、芽の先だけが土の上にでている。小さいので難なく指で掘ってちぎることができる。サンショの後にくる、夏の香りだ。昼はソーメン、煮干しとしいたけでだしつゆを造ろう。07.08ミョウガ、夏の香

  • いま世界はうなだれている(54)香り、青い。

    靑紫蘇を食べる蘇秦の香りでもできれば訛音で(森に傍点を打ちなさい、月桃の、愛(ルビ・おもい)入力(ルビ・いれ)に。なにもなかったこと細切りにして口のなかで寓話が広がっている(ありゃ、そりゃつまり、生きている限りふたりはいつも一緒ということですね。ウリ坊は縦横家みたいだからいつも自分の理念がない(はい桃魚の言う通り。それを聞き写してください。だれかに喜びを伝えるために木に登るむずかしい顔はしないで青い香りを食べるいま世界はうなだれている(54)香り、青い。

  • 南フランス田舎紀行(19)スイヤック、踊るイザヤ像

    スイヤックSouillacは、人口3,200人(2019年)程の田舎町である。この町の名は«souilh»「泥だらけの湿地」に由来している。フランス南西部オクシタニ Occitanie地方ロットLot県を流れるドルドーニュDordogne川流域にある。フィジャックFigeacから北西30km、ロカマドゥールRocamadourも近い。南はラングドック地方と北はリムーザン地方に挟まれたこの地方は、古くはケルシーQuercyと呼ばれていた。今でもこの地方の人は好んでケルシーを使う。サント・マリ修道院教会L'égliseabbatialeSainte-MariedeSouillacは、12世紀に建造されたロマネスク様式の教会で、17世紀と18世紀に再建されている。この教会は、何といっても内壁に彫られたロマネスク...南フランス田舎紀行(19)スイヤック、踊るイザヤ像

  • 詩育日誌07.06平凡に、マル。

    バツがいっぱいつけられた昔のカレンダーをめくると「他人の批判は自分を磨くための原石」注釈がひとりぽつんと立っていることばを極端に少なくしてピーチ味の、アールグレイそんなんあるん、知っとった?だれにとっても社会なんて平凡な日々を切り貼りして仕事の日をこれからはマルにする詩育日誌07.06平凡に、マル。

  • いま世界はうなだれている(53)影の濃度

    原っぱでのんびり昼寝していると通り雨がきた台風が接近している(雲が流れている、日よけテントたたまなくちゃ。それぞれの空間にそれぞれの思い出としてなかよしがこもっている(気温が上がると、影の濃度も上昇するらしいけど。ばたんと倒れこんだりしないよ、ね。何もないところで何かにつまずいて(つづく)いま世界はうなだれている(53)影の濃度

  • 詩育日誌07.04ように。の回廊

    身の丈に合わせるどうか。からしますように。へつまり必死でわきまえを水平に抱えて薬草の写生それを前提として概要は口語体をいぶかるまた暑い日だ水の祈りそのはじまりにめぐらされた回廊にすり足が不足したままじぶんの底まで井戸を降りていくおおげさに驚いた植物の庭いつのまにか加害者になって譜面のなかで祈っているだれも悪くないだれも怖くないただうかつな時が穴をうがつ必死に変形した頭奇獣のどうか。から記憶だけ溶け出しますように。詩育日誌07.04ように。の回廊

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