近年、2型糖尿病および肥満治療の第一選択薬として注目されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RAs)。一方で、これらの薬剤には胃排出遅延作用があり、逆流性食道炎(GERD)のリスクとの関連が懸念されています。今回紹介するのは、GLP…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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キノコ摂取と認知症発症リスクとの関連性は?(CIRCS試験; Br J Nutr. 2024)
食物繊維や数種類の抗酸化物質を豊富に含むキノコ類の食事摂取が、認知症リスクの低下と関連しているかどうかは不明です。そこで今回は、キノコの摂取と認知症リスクとの関連を前向きに検討した日本のコホート研究の結果をご紹介します。1985〜1999…
日本のプライマリ・ケア提供者のためのベンゾジアゼピン処方中止の質改善の実現可能性と認識は?(質的研究;
日本のプライマリ・ケアにおける質の向上(QI, Quality Improvement)*の取り組みは稀です。QIの重要な領域の1つは、高齢者人口が増加傾向にある日本における、ベンゾジアゼピン系薬剤の適切な処方ですが、実臨床において充分に…
病院での転倒予防として患者の転倒予防教育の効果はどのくらいですか?(RCT; Age Ageing. 2024)
転倒は、世界中の病院で頻発し、回避可能な問題であるものの、予防対策としての介入については充分に検証されていません。病院における転倒率は過去の報告で3~16/1,000病床日であり、超高齢者や認知機能障害、パーキンソン病などの慢性疾患患者で…
レジオネラ症に対する抗菌薬併用療法の有効性はどのくらい?(全国入院患者データベース研究; Int J Infect Dis. 2024)
レジオネラ肺炎(レジオネラ症)はレジオネラ属菌により引き起こされる細菌感染症です。早期診断、早期治療が重要な疾患の一つです。 治療薬としてマクロライド系やニューキノロン系の抗菌薬、リファンピシン等が挙げられます。 一方、レジオネラ症に対す…
治療中の低血圧と心血管イベントとの関連性は?(日本コホート研究; Hypertens Res. 2024)
リスクの高くない高血圧患者における不充分な血圧コントロールは世界的な関心事であり、治療の最適化の必要性を示唆しています。しかし、これらの患者における過度の血圧降下による潜在的な有害性については、充分な研究がなされていません。そこで今回は、…
医師のバーンアウトを軽減するための介入には何が良い?(RCTのSR&MA; Am J Med. 2023)
医師は職業上の強いプレッシャーにさらされており、そのことが燃え尽き症候群を増加させる一因となっている可能性があります。しかし、介入効果については充分に検証されていません。そこで今回は、医師、研修中の医師、その他の医療専門職のバーンアウトを…
2型糖尿病でアルブミン尿を有する患者における心血管、腎臓、死亡率の生涯ベネフィットに優れる併用療法とは?(Circulation. 2024)
ナトリウムグルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2i)、グルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1 RA)、非ステロイド性ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(ns-MRA)であるフィネレノンは、2型糖尿病でアルブミン尿を有する患者におい…
うつ病に対する運動の効果は?(RCTのNWM; BMJ. 2024)
大うつ病性障害(MDD)は、抑うつ気分、興味の減退、認知機能の障害ならびに睡眠障害や食欲障害などの自律神経症状を特徴とする消耗性疾患です。MDDの治療に対して心理療法、抗うつ薬が選択されますが、運動の効果については明らかとなっていません。…
テネクテプラーゼ投与は脳梗塞発症から4.5時間を超えても効果があるのか?(DB-RCT; TIMELESS試験; N Engl J Med. 2024)
テネクテプラーゼを含む血栓溶解薬は一般に脳卒中発症後4.5時間以内に使用されます。そのため、テネクテプラーゼが4.5時間を超えても有効かどうかに関する情報は限られています。そこで今回は、虚血性脳卒中患者を対象に、患者が最後に元気であること…
2型糖尿病患者におけるSGLT-2阻害薬と腎結石リスクとの関連性は?(米国データベース研究; JAMA Intern Med. 2024)
2型糖尿病(T2D)は腎結石リスクの上昇と関連していることが報告されています。一方、ナトリウム-グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2i)は尿組成を変化させることにより腎結石のリスクを低下させる可能性を有しています。しかし、糖尿病治療薬と…
成人非合併性急性A型インフルエンザ感染症に対するオンラジビルの安全性と有効性は?(DB-RCT; Lancet Infect Dis. 2024)
オンラジビル(Onradivir, ZSP1273)は新規の抗インフルエンザAウイルス阻害剤です。前臨床試験において、オンラジビルはインフルエンザA H1N1およびH3N2の複製を阻害し、インフルエンザ感染動物の生存率を増加させることが示…
抑うつ症状を呈する心不全患者のQOLに対する心理療法 vs. 抗うつ薬(RCT; JAMA Netw Open. 2024)
心不全(HF)は米国では600万人以上、世界では6400万人以上の成人が罹患しており、うつ病の有病率は50%であるとされています。患者や臨床家は、心不全のうつ病に対してどのような介入がより効果的であるかについて、充分に情報を得られていませ…
人工呼吸器関連肺炎に対する抗生物質の最適な投与期間は?(Open-RCT; REGARD-VAP試験; Lancet Respir Med. 2024)
人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、死亡率の増加、入院期間の延長、過剰な抗生物質の使用、ひいては抗菌薬耐性の増加と関連しています。しかし、抗生物質の短期間治療との比較は充分に行われていません。そこで今回は、VAPに対する実用的で個別化された…
強迫性障害の死亡リスクに影響する因子は?(コホート研究; BMJ. 2024)
強迫性障害(OCD)患者は、強迫観念として知られる、高レベルの不安やその他の苦痛な感情を引き起こす侵入的な思考、衝動、またはイメージによって特徴付けられ、人は強迫観念として知られる反復的な行動や儀式に従事することで、それを中和しようとしま…
2型糖尿病の血糖コントロール、体重、脂質プロファイルに対するGLP-1受容体作動薬の比較(ネットワークメタ解析; BMJ. 2024)
2型糖尿病の治療薬としてグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬(GLP-1RA)が使用されています。しかし、血糖コントロール、体重、脂質プロファイルに対してどのGLP-1RAが優れているのかについては充分に検証されていません。そこで今回は、…
化学療法誘発性悪心・嘔吐に対する制吐薬3剤併用療法におけるオランザピン用量はどのくらいが良い?(単盲検RCT; Lancet Oncol. 2024)
オランザピンは有効な制吐薬として使用されていますが、標準用量で投与すると日中にかなりの傾眠を来すことが知られています。国内の制吐薬適正使用ガイドライン(2023年10月改訂 第3版)では投与用量として5mg(1日最大10mg)を設定してい…
COVID-19ワクチンとインフルエンザワクチンに対する一般市民の意識調査(米国の調査; JAMA Netw Open. 2023)
COVID-19パンデミックの緊急フェーズは収束し、Withコロナ時代と呼ばれる複雑で致命的となりうる呼吸器ウイルスのシーズンが続くという遺産が残されました。ウイルス情勢が変化する中、毎年接種されるワクチンを同様に認識しているのか、あるい…
急性脳損傷患者における人工呼吸器関連肺炎の早期予防のためのセフトリアキソンは有効ですか?(DB-RCT; Lancet Respir Med. 2024)
急性脳損傷患者は人工呼吸器関連肺炎(VAP)のリスクが高いことが報告されています。短期間の抗生物質による予防の有用性については議論が続いています。そこで今回は、人工呼吸を必要とする重症脳損傷患者において、抗生物質セフトリアキソンの早期単回…
軽症から中等症までの成人COVID-19患者に対するシムノトレルビル経口投与の効果は?(DB-RCT; N Engl J Med. 2024)
Simnotrelvir(シムノトレルビル)は経口の3-キモトリプシン様プロテアーゼ阻害剤(3-chymotrypsin-like protease inhibitor)であり、in vitroで重症急性呼吸器症群コロナウイルス2(SAR…
『The Great British Bake Off』のレシピに含まれるクリスマスデザート材料の健康上の有益性と有害性の関連は?(観察研究のメタ解析のアンブレラレビュー; BMJ. 2023)
ときに食材は薬剤と同様に患者転帰に影響することが報告されています。しかし、その影響については充分に検証されていません。そこで今回は、ザ・グレート・ブリティッシュ・ベイク・オフ(The Great British Bake Off)*のクリ…
エンテロバクター属菌による血流感染症患者に対する抗緑膿菌βラクタム薬の漸減と継続どちらが良い?(Open-RCT; SIMPLIFY試験; Lancet Infect Dis. 2024)
エンテロバクター属菌感染症に対する抗緑膿菌βラクタム薬 漸減 vs. 継続 広域スペクトルの抗生物質から狭域スペクトルの抗生物質への漸減は、抗生物質の選択圧を軽減するための重要な手段であると考えられていますが、適切なエビデンスが乏しいことが
駆出率が維持された心不全(HFpEF)と肥満を有する患者は、症状や機能障害の負担が大きく、QOLが低いことが報告されています。しかし、薬剤の使用によりQOLが改善するのかについて充分に検証されていません。STEP-HFpEF試験(Rese…
小児・青少年の感染症/重症疾患に対するBNT162b2ワクチンの有効性は?(コホート3件の比較有効性研究; Ann Intern Med. 2024)
小児科におけるBNT162b2ワクチン(Pfizer/BioNTech社製)の有効性は、オミクロンバリアント(変異株)の出現前にランダム化比較試験で評価されました。この集団におけるオミクロン期間中のワクチン防御の長期持続性はまだ限定的です。
ワクチン未接種と重症COVID-19の転帰との関連性は?(英国内コホート研究のメタ解析; HDR UK COALESCE Consortium; Lancet. 2024)
ワクチン接種不足(SARS-CoV-2ワクチンの接種回数が推奨回数に満たない)は、完全接種(SARS-CoV-2ワクチンの接種回数が推奨回数に達する)と比較して、重症COVID-19の転帰、すなわちCOVID-19による入院や死亡のリスク…
駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者に対する生活習慣ウォーキング介入の効果はどのくらい?(RCT; WATCHFUL試験; Circulation. 2024)
身体活動は駆出率が低下した心不全の管理において極めて重要であり、日常生活に組み込まれたウォーキング(歩行)は特に適した身体活動の形態とされています。そこで今回は、自己モニタリングと定期的な電話カウンセリングを組み合わせた6ヵ月間の生活習慣…
高齢女性透析依存患者におけるデノスマブ投与による重篤な低カルシウム血症の発生率はどのくらい?(後向きコホート研究; JAMA. 2024)
透析依存患者は骨折による罹患率が高いことが知られていますが、最適な治療戦略に関するエビデンスはほとんどありません。また、慢性腎臓病-ミネラルおよび骨障害は透析依存患者においてほぼ普遍的であり、骨格脆弱性の診断と治療を複雑にしています。そこ…
ヒスタミン1受容体拮抗薬エバスチンによる非便秘性過敏性腸症候群の治療効果はどのくらい?(DB-RCT; Gut. 2024)
過敏性腸症候群(IBS)は、特に消化器の疾患がないにも関わらず、腹痛と便秘、または下痢を慢性的に繰り返す慢性疾患です。便通異常のタイプから「便秘型」、「下痢型」、「混合型」、「分類不能型」の4つのタイプに分類されます。非便秘性IBS患者の…
高カリウム血症に関連したRAASi治療の減少は、その後の入院治療の増加と関連する?(データベース研究; Nephrol Dial Transplant. 2024)
高カリウム血症は、慢性腎臓病(CKD)および/または心不全(HF)患者において、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害薬(RAASi)による最適なガイドライン指示治療を達成するための障壁となっています。しかし、RAASiを継続した…
血液透析患者に対する認知行動療法、トラゾドンの有効性は?(小規模DB-RCT; Ann Intern Med. 2024)
慢性不眠症は血液透析を受けている患者によくみられるが、この集団に対する有効な治療法に関するエビデンスは限られています。そこで今回は、長期血液透析を受けている患者の不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)、トラゾドン、プラセボの有効性を比較…
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近年、2型糖尿病および肥満治療の第一選択薬として注目されているGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RAs)。一方で、これらの薬剤には胃排出遅延作用があり、逆流性食道炎(GERD)のリスクとの関連が懸念されています。今回紹介するのは、GLP…
はじめに:この論文でわかること高血圧の管理において、夜間の血圧コントロールは心血管イベント予防の鍵とされています。しかし、降圧薬をいつ内服するのが効果的なのか(chronotherapy)は、いまだ議論のあるテーマです。今回ご紹介するのは、...
ドライアイ(Dry Eye Disease: DED)は日常的に遭遇する目の不調の一つで、薬剤師や医療従事者が関わる機会も多い疾患です。いくつかの点眼薬が販売されていますが、その有効性や安全性の比較データは限られています。そこで今回ご紹介…
便秘治療薬として長年使用されている酸化マグネシウム(MgO)は、安全性が高く、高齢者にも広く使われています。しかし、1日3回などの分割投与が一般的であり、服薬回数の多さは服薬アドヒアランスの低下や、介護現場での投薬負担の増加を引き起こす可…
慢性腰痛は、世界中で非常に多くの人が悩む健康問題であり、医療費や労働損失の原因にもなっています。定期的な身体活動が慢性腰痛のリスクを減らす可能性が示唆されている中、「歩く」という最も手軽な運動が、どれほどの予防効果を持つのかは明確にされて…
がん性疼痛に対する強オピオイドの使用は、痛みの緩和に必須ですが、その副作用として最も頻度が高く、自然には改善しにくいものの1つが「オピオイド誘発性便秘(OIC)」です。OICはアドヒアランスの低下や疼痛管理の障害につながるため、初回投与時…
心房細動(AF)は、脳梗塞や心不全の発症リスクを高める不整脈の一つです。薬物療法が基本ですが、根治的な治療としてカテーテルアブレーション(CA)も選択されるようになっています。これまでアブレーションは心電図上の洞調律回復という電気的アウト…
脳出血(ICH:intracerebral hemorrhage)は、急性期における迅速な治療介入が予後を左右します。特に血圧管理は重要ですが、「どの程度早く」、「どの程度下げるべきか」については議論が続いていました。今回ご紹介するのは、…
A群β溶血性連鎖球菌(Group A Streptococcus, GAS)による咽頭炎では、従来10日間の抗菌薬治療が標準とされてきました。しかし、抗菌薬の過剰使用を防ぐ「抗菌薬適正使用(Antimicrobial Stewardshi…
化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)は、多くのがん患者が経験するつらい副作用の一つです。とくに、アントラサイクリン+シクロホスファミド(AC療法)のような高催吐性化学療法では、その管理が難しいことも少なくありません。今回ご紹介するのは、抗…
GLP-1受容体作動薬「セマグルチド」はすでに肥満や心血管疾患リスク低減で高い評価を得ています。一方、アミリン類似体「cagrilintide(カグリリンタイド, カグリリンチド)」も初期段階で有望な体重減少効果を示しています。今回のRE…
患者に明確な利益をもたらさない「低付加価値医療(low-value care)」は、医療資源の浪費や不必要な副作用リスクの原因として、国際的に注目されています。これまでの研究は主に米国を対象としており、日本における医師の特性と低付加価値医…
発酵大豆食品として日本で親しまれている納豆。健康食品としてのイメージも強く、骨粗鬆症予防や動脈硬化の改善など、多くの効果が語られてきました。しかし、実際に「納豆を食べる人は長生きするのか?」という点を、長期間にわたって科学的に検証した研究…
◆ はじめに:「寝不足は万病のもと」って本当?現代人の多くが抱える「平日の睡眠不足」。その影響を和らげるため、週末にまとめて眠る「週末の寝だめ(Weekend Catch-Up Sleep: WCS)」をしている方も多いのではないでしょうか...
心筋梗塞(MI)後の患者ケアでは、心機能や再梗塞予防に注目が集まりますが、「便秘」の存在が予後に影響する可能性があることをご存知でしょうか?今回ご紹介するのは、心筋梗塞後の患者における便秘と心不全による再入院の関連性を後ろ向きに検討し、退…
これまで高コレステロール血症の治療といえば「スタチン」が中心でした。しかし、近年注目されているのが、Proprotein Convertase Subtilisin/Kexin type 9(PCSK9)を標的としたRNA干渉療法「インク…
ベンゾジアゼピン系薬(BZ系)や類似の睡眠薬(Z薬など)は、不眠症の治療薬として長年使用されてきました。しかし、依存や転倒リスク、認知機能低下といった副作用から、長期使用のリスクが懸念されています。そこで今回は、BZ系・関連睡眠薬(BSH…
2型糖尿病を抱える方の多くが、同時に高血圧を発症しています。これは心筋梗塞や脳卒中といった重大な心血管イベントのリスクを大きく高めるため、血圧管理が極めて重要です。しかし、体重減少を伴わない純粋な食事介入のみでの血圧改善効果については、こ…
◆ はじめに肺炎は入院治療が必要となる代表的な感染症であり、特に高齢者や基礎疾患を持つ患者においては重篤化することも少なくありません。その治療の中心に位置するのが、第3世代セフェム系抗菌薬「セフトリアキソン(Ceftriaxone)」です。...
喘息治療の根幹は「吸入薬の継続的な使用」です。しかし、日常診療では服薬アドヒアランス(服薬遵守)の低さが問題視されています。そこで近年注目されているのが「デジタル吸入器(スマートインヘラー)」です。今回ご紹介するのは、デジタル吸入器の1年…
急性期の軽度から中等度の虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作を発症した患者は、特に最初の数日間、脳卒中再発のリスクがかなり高いとされています。さらに重要なことは、発症後3ヵ月間のハイリスク期間が、1年以内の脳卒中再発の約70%、5年以内の脳…
高用量アモキシシリン二剤併用療法はヘリコバクター・ピロリ(H.ピロリ)感染症に特に有効であることは報告されていますが、これまでのところ、アモキシシリン以外の単一抗生物質による二剤併用療法は報告されていません。ペニシリンは安価で有効な抗生物…
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の呼吸障害を特徴とし、主要な心血管合併症と関連しています。チルゼパチドは副作用として食欲減退と体重減少作用があり、本疾患の治療薬となる可能性があります。しかし、実臨床における検証は充分ではありません。そこで…
ランソプラゾールとセフトリアキソンとの相互作用による影響は? 過去の研究により、セフトリアキソンを投与された患者において、ランソプラゾールが心室性不整脈、心停止、死亡のリスクを増加させる可能性が示されています(Bai et al. 2023
非動脈炎性前部虚血性視神経症(nonarteritic anterior ischemic optic neuropathy, NAION)は眼底神経に栄養を届ける動脈が狭くなることで発症します。片眼に突然おこり下半分あるいは上半分が見え…
進行した慢性腎臓病(CKD)患者において、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEi)またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)による腎代替療法を伴う腎不全のリスク(kidney failure with replacement ther…
抗うつ薬は最も一般的に処方される薬剤のひとつですが、特定の第一選択治療薬の体重変化の比較に関する証拠は限られています。標的試験を模倣することにより、一般的な第一選択抗うつ薬治療における体重変化を比較することを目的に実施された標的試験エミュ…
心血管疾患リスクの残存に寄与する経路や代謝産物は不明です。低カロリー甘味料は、加工食品に含まれる砂糖の代用品として広く使用されており、健康への効果が期待されています。多くの低カロリー甘味料は糖アルコールであり、砂糖の代替としての摂取後に観…
SARS-CoV-2感染の亜急性後遺症にニルマトレルビル-リトナビルは有効か? SARS-CoV-2感染の亜急性後遺症(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection, PASC)は、long-COVI
最近の研究では、標準的な抗血小板二重療法(DAPT)と比較して、短期間のDAPT後にP2Y12阻害薬(P2Y12i)単剤療法を行うことの安全性と有効性が同等であることが示されています。しかし、経皮的冠動脈インターベンションを受けた急性冠症…
日本におけるオピオイドによる過量投与による死亡は相対的に少ないですが、増加傾向にあります。近年、医療用オピオイドの使用が増加しており、それに伴うリスクについての懸念が高まっています。一方、アメリカでは、オピオイド関連の過量投与による死亡が…
JN.1亜系統(変異株)に対する最新のCOVID-19ワクチン(BA.4/5 二価, XBB1.5 一価)の予防効果に関するデータはまだ限られています。そこで今回は、2023年11月26日から2024年1月13日まで、JN.1を主因とする…
連続しない2日間の絶食と週5日間の習慣的摂取からなる間欠的絶食プランと食事代替食(5:2 MR)は、2型糖尿病患者にさらなる利益をもたらす可能性がありますが、実臨床における検証は充分ではありません。そこで今回は、初期2型糖尿病患者の血糖コ…
心房細動は2型糖尿病患者で発症しやすいことが報告されています。また、2型糖尿病は認知症を発症しやすいことも報告されています。しかし、2型糖尿病患者における心房細動の新規発症と、認知症の発症リスクとの関連性については充分に検証されていません…
米国の成人の3人に1人がマルチビタミン(MV)を使用しており、その主な動機は疾病予防であることが報告されています。しかし、MVがヒトの予後に及ぼす影響については充分に検証されていません。2022年に米国の予防サービス専門委員会は、ランダム…
心血管アウトカム試験の結果から、フェノフィブラート療法が糖尿病網膜症の進行を抑制する可能性が示唆されています。しかし、実臨床における検証は充分に行われていません。そこで今回は、糖尿病網膜症の進行に対するフェノフィブラートの効果を検証したラ…
血漿中のエイコサペンタエン酸(EPA, イコサペント酸エチル)濃度が低いことは心血管イベントと関連していますが、イコサペント酸エチルの補充により心血管イベントのリスクが低減するか否かについて充分に検証されていません。そこで今回は、冠動脈疾…
時間依存性的な抗菌薬であるβ-ラクタム系抗生物質は、最小発育阻止濃度(MIC)以上の血中濃度を維持できている時間が長ければ長いほど効果を発揮することが報告されています。したがって、持続投与が求められますが、β-ラクタム系抗生物質はMIC未…
コルヒチンによる抗炎症療法は、冠動脈疾患の血管再発を予防することが示されました。冠動脈疾患の典型的な原因が動脈硬化であるのとは異なり、虚血性脳卒中は動脈硬化や小血管疾患など多様な機序によって引き起こされるか、原因不明であることが多いことが…
冠動脈バイパス術後の臨床転帰に対するさまざまな抗血小板戦略について、いずれかの効果が優れているのかについては充分に評価されていません。そこで今回は、冠動脈バイパス術後の異なる抗血小板療法戦略(DACAB)試験を対象に、5年間の追跡調査の結…