高齢化が進む現代社会において、ポリファーマシー(多剤併用)や潜在的に不適切な薬物(PIMs)の問題はますます深刻になっています。薬剤が多ければ多いほど、有害事象のリスクは高まり、患者のQOLやアドヒアランスにも悪影響を及ぼすことが知られて…
現役の薬剤師が論文情報や情報の活用法についてご紹介します.
猫になりたい薬剤師と申します🐈 とっつきにくい論文,しかしその情報は有益であり,日常業務にも活かすことができます. 気軽に,気楽に,論文情報が活用できるよう,要点をご紹介していきます♪ 分からないことがあれば,お気軽にお問合せください.
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地域在住高齢者における減薬介入は本当に有効なのか?(SR&MA; JAMA Netw Open. 2025)
高齢化が進む現代社会において、ポリファーマシー(多剤併用)や潜在的に不適切な薬物(PIMs)の問題はますます深刻になっています。薬剤が多ければ多いほど、有害事象のリスクは高まり、患者のQOLやアドヒアランスにも悪影響を及ぼすことが知られて…
心房細動を防げるか?フィネレノンが示した新たな可能性(大規模試験3件のプール解析; J Am Coll Cardiol. 2025)
心房細動(AF)や心房粗動(AFL)は、心血管・腎疾患や代謝異常(いわゆるCKMスペクトラム)における重篤な合併症のひとつです。こうした不整脈の発症は、心不全や腎機能悪化の予兆となりうるため、予防的介入が重要視されています。今回ご紹介する…
カルベジロールは小児にも有効?|心機能と心室形態に注目したRCT(DB-RCT; JAMA. 2007)
成人においては、β遮断薬(βブロッカー)が心不全の治療に有効であることが確立しています。中でもカルベジロール(商品名:アーチスト®)は、症状の改善や生命予後の延長に寄与する薬剤として知られています。しかし、小児や思春期の患者における有効性…
抗菌薬は“7日間”で十分?|敗血症治療における抗菌薬投与期間の見直しに関する知見(PROBE; Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2025)
新生児の細菌性敗血症は、早期の診断と適切な抗菌薬治療が生存率に直結する疾患です。しかし、「何日間抗菌薬を投与すべきか」については、明確なエビデンスに乏しいのが実情でした。今回ご紹介する研究は、血液培養で細菌陽性となった新生児敗血症に対し、…
通勤が健康をむしばむ?通勤時間と手段が都市住民の心身に与える影響とは(システマティックレビュー; Journal of Transport & Health 2025)
仕事のための通勤——多くの人が毎日繰り返すこの行為が、実は健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとしたらどうでしょうか?都市化が進む現代、経済活動を支える日常的な移動は避けがたいものです。この日常的な移動の影響について、充分に検証されてい…
小児のうっ血性心不全にβ遮断薬は有効か?(コクランレビュー; CDSR; Cochrane Database Syst Rev. 2020)
β遮断薬は、成人のうっ血性心不全(CHF)治療の柱とされており、死亡率低下や入院率減少などの有効性が確立しています。しかし、小児における心不全は、原因や病態、生理的特性が異なるため、成人のエビデンスをそのまま適用することはできません。そこ…
抗凝固薬使用患者における心房細動関連脳梗塞の再発リスクは?(SR&MA; JAMA Neurol. 2025)
心房細動(AF)は虚血性脳卒中の主な原因とされており、抗凝固薬(OAC)による予防が推奨されています。しかし、近年の研究や臨床現場からは「抗凝固薬を服用していても再発する」というケースが一定数報告されています。そこで今回は、AFに起因する…
RNAiジレベシランは抗高血圧薬の“後押し”となるのか?(DB-RCT; KARDIA‑2試験; JAMA. 2025)
持続性高血圧には、朝晩の日内変動や飲み忘れによる達成度の低下が課題です。Zilebesiran(ジルべシラン、ジレべシラン)は、肝臓のアンジオテンシノーゲン産生を標的とするRNA干渉(RNAi)薬剤であり、半減期が長く、3~6か月に1回の…
2型糖尿病と肥満を併発する患者においてチルゼパチドはコストパフォーマンスに優れる?(費用対効果分析; Diabetes Obes Metab. 2025)
2型糖尿病(T2D)と肥満の両方を抱える患者に対し、チルゼパチド(tirzepatide, 以下TZP)は体重と血糖コントロールの両面で効果が期待される薬剤です。しかし、費用対効果について充分に評価されていません。そこで今回は、アメリカで…
アピキサバンはアスピリンより脳出血リスクが低い?(RCTのメタ解析; Stroke. 2025)
心原性脳梗塞の予防には抗凝固薬が有効ですが「脳出血が怖いからアスピリンを使っている」というケースは決して珍しくありません。しかし、出血リスクの薬剤比較は充分に行われていません。そこで今回は、アピキサバンとアスピリンの「脳出血リスク」を直接…
SGLT2阻害薬+フィネレノンの併用は効果的?―CKD+2型糖尿病患者への初期治療戦略(DB-RCT; CONFIDENCE試験; N Engl J Med. 2025)
慢性腎臓病(CKD)と2型糖尿病を併発する患者において、腎機能の悪化やアルブミン尿の進行をいかに抑えるかは、実臨床において大きな課題です。SGLT2阻害薬やフィネレノン(非ステロイド性MR拮抗薬)は、それぞれ腎保護効果が示されていますが、…
脳卒中後うつ(Post-Stroke Depression)に有効な非薬物療法は?(SR&MA; Clin Rehabil. 2025)
脳卒中後のうつ病はどこまで予防・改善できるのか?脳卒中後の患者にとって、うつ症状(Post-Stroke Depression:PSD)は高頻度かつ予後に深く関与する合併症です。再発やリハビリ効果の低下、QOL(生活の質)悪化とも関連し、早...
抗CGRPモノクローナル抗体エプチネズマブは群発頭痛の予防に有効か?(DB-RCT; ALLEVIATE試験; JAMA Neurol. 2025)
群発頭痛(Cluster Headache)は、激烈な頭痛発作を繰り返す難治性の疾患であり、患者のQOL(生活の質)に深刻な影響を与えることが知られています。予防療法としてはベラパミルやリチウムなどが使われていますが、有効性や副作用の点で…
メラトニンは神経障害性疼痛に有効か?(二重盲検クロスオーバー試験; Pain. 2025)
神経障害性疼痛(neuropathic pain, NP)は、夜間に悪化しやすく、不眠症や気分障害を伴うことが多い疾患です。こうした背景から、睡眠を整えることで疼痛が改善される可能性が注目されています。メラトニンは松果体から分泌されるホル…
血栓除去療法前のテネクテプラーゼ静注は予後改善につながるのか?(RCT; BRIDGE-TNK試験;
急性期脳梗塞、とくに大血管閉塞(LVO, large-vessel occlusion)を伴う症例では、血管内治療(endovascular thrombectomy)が治療の中心ですが、その前段階として血栓溶解療法(IVT)を併用すべき…
高齢の心房細動・心不全合併患者に対するカテーテルアブレーションの有効性は?(規模RCT; Heart. 2025)
心房細動(AF)と左室駆出率の低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction, HFrEF)を併発する高齢患者は、予後不良なリスク群にあたります。特に持続性心房細動(persist…
コーヒーと片頭痛の因果関係を探る|カフェイン構成成分の影響度は?(メンデルランダム化解析; Neurol Res. 2025)
片頭痛は、慢性的な神経疾患であり、その発症には不適切な薬物使用、不安、睡眠障害、うつ病、ストレスなど、さまざまな要因が関与しています。コーヒーはその多様な生理活性特性で知られており、急性の片頭痛症状を緩和する可能性がありますが、長期的なコ…
運動で大腸がん再発リスクが約30%低下?|術後3年間のエクササイズがもたらす新たな選択肢(RCT; CHALLENGE試験; N Engl J Med. 202)
「手術も終わったし、あとは静かに過ごすだけでいい」。そう思っていませんか?実は──術後の“運動”が、がんの再発リスクを大きく下げる可能性がある。そんな衝撃の結果が、約900人を対象にした国際的な臨床試験で明らかになりました。もともと前臨床…
高齢者や認知機能障害患者におけるベンゾジアゼピン漸減支援|非薬物介入の効果とは?(システマティックレビュー; J Am Geriatr Soc. 2025)
不眠治療で処方されるベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZRAs)(ベンゾジアゼピン系薬およびZ薬)は、短期使用に限定すべき薬剤とされています。特に高齢者や認知機能障害のある方では、以下の有害事象リスクが高まることが知られています:…
セマグルチドは本当に“費用対効果が高い”のか?(費用対効果分析; Diabetes Care. 2025)
GLP-1受容体作動薬セマグルチド(semaglutide;商品名オゼンピック、リベルサス、ウゴービ)は、2型糖尿病(T2D)に対する強力な血糖降下効果や体重減少効果を有し、近年多くのガイドラインで推奨されています。しかし、高額な薬剤費用…
高齢者の「減薬」は本当に意味があるのか?|外来における介入の効果をメタ解析で検証(SR&MA; JAMA Netw Open. 2025)
背景|「ポリファーマシー」と「PIM」は医療安全の課題高齢者医療における重要なキーワードの一つが「ポリファーマシー(多剤併用)」、そして「PIMs(潜在的に不適切な薬物)」です。薬剤数が増えることで、副作用や有害事象のリスクが高まることは広...
心房細動(AF)患者が経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた場合、抗凝固薬(DOAC)+抗血小板薬(DAPTではなくデュアルセラピー)による治療が推奨されています。ここで問題となるのが「抗血小板薬はアスピリンか?クロピドグレルか…
オレキシン作動薬の新星:ナルコレプシー1型に対するオベポレキストンの効果は?(RCT; TAK-861試験; N Engl J Med. 2025)
ナルコレプシー1型は、脳内のオレキシン(ヒポクレチン)ニューロンの喪失により生じる中枢性過眠症です。従来の治療は、症状を抑える対症療法(モダフィニル、メチルフェニデートなど)が中心でしたが、病態の根本であるオレキシン欠損に直接アプローチす…
高齢者の抗菌薬投与期間は「短くても問題ない」?(人口ベースコホート研究; Clin Infect Dis. 2025)
抗菌薬の過剰使用は、耐性菌の出現やC. difficile感染症の増加といった重大な問題につながります。こうした中で近年、抗菌薬投与期間の短縮が推奨されつつあります。一方で、実臨床では「本当に短くて大丈夫なのか?」という懸念が根強く、高齢…
軽症喘息にも配慮を|頓用アルブテロール+ブデソニド併用の有効性を検証(DB-RCT; BATURA試験; N Engl J Med. 2025)
喘息患者の中でも、「軽症」とされる群においては、発作時に短時間作用型β₂刺激薬(SABA)を頓用するだけの治療が一般的でした。しかし、SABA単独使用では重篤な増悪のリスクが残ることが、近年の研究からも明らかになりつつあります。アルブテロ…
断続的断食(4:3 IMF)は毎日のカロリー制限より効果的?(RCT; Ann Intern Med. 2025)
「断続的断食(Intermittent Fasting:IMF)」は、一定期間に食事制限を行い、その他の日は制限しないという摂取パターンで、近年注目を集める減量法です。その中でも「4:3 IMF(週3日の断食+4日の自由摂取)」は、比較的…
スピロノラクトンの代替となるか?アミロライドの非劣性を検証したRCT(PROBE法; JAMA. 2025)
抵抗性高血圧とは、適切な生活習慣の改善と3剤(ARBまたはACE阻害薬、カルシウム拮抗薬、サイアザイド系利尿薬)による治療を行っても血圧がコントロールされない状態を指します。この領域では、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)であるス…
チルゼパチドへ切り替えると糖尿病管理が改善?(Open-RCT; SURPASS-SWITCH試験; Ann Intern Med. 2025)
2型糖尿病患者における血糖管理には、GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)が広く用いられています。中でもデュラグルチド(週1回投与)は、血糖コントロール改善や体重減少効果が期待される薬剤として普及しています。一方、チルゼパチドは、GL…
急性虚血性脳卒中患者におけるロスバスタチンとアトルバスタチンの有効性比較(韓国の後向きコホート研究; J Am Heart Assoc. 2025)
急性虚血性脳卒中後には、再発予防や心血管イベントリスク低減を目的にスタチン療法が推奨されています。中でもロスバスタチンとアトルバスタチンは、強力なLDLコレステロール低下作用を有する代表的なスタチンですが、どちらがより効果的かに関しては、…
スタチン使用で白内障リスクは増加するのか?(日本の後向きコホート研究; Sci Rep. 2025)
スタチンは、高コレステロール血症や心血管疾患予防のために広く使用されているHMG-CoA還元酵素阻害薬です。しかし、スタチン使用に伴う白内障リスクの増加が指摘されており、その関連性は長らく議論の的となってきました。今回ご紹介する研究は、日…
インフルエンザとCOVID-19を同時予防?mRNA-1083ワクチンの効果を検証(Open-RCT; JAMA. 2025)
季節性インフルエンザワクチンとCOVID-19ワクチンは、高齢者にとって感染予防の要です。しかし、ワクチン接種率は依然として低調であり、感染リスク軽減のためには同時接種が望ましい状況です。mRNA-1083ワクチンは、インフルエンザウイル…
降圧薬の服用は朝か夜か? — 就寝時服用の心血管リスク低減効果を検証(PROBE法; BedMed-RCT; JAMA. 2025)
高血圧治療の一環として、血圧降下薬を朝に服用するか、夜に服用するかは議論の的となってきました。特に、夜間服用(就寝前服用)が心血管リスクを低減させるとの仮説が注目されましたが、大規模臨床試験では結果が一貫していないため、その有効性には疑問…
肥満治療におけるチルゼパチド vs. セマグルチド — より効果が高いのはどちら?(Open-RCT; SURMOUNT-5試験; New Engl J Med. 2025)
肥満治療薬として、チルゼパチドとセマグルチドは高い注目を集めています。両薬剤は、GLP-1受容体作動薬としての作用を持ちながらも、テルゼパチドはGIP受容体作動薬としての機能も併せ持つため、より強力な体重減少効果が期待されています。しかし…
膝変形性関節症にメトホルミンは有効か?(DB-RCT; JAMA. 2025)
メトホルミンは、2型糖尿病治療の第一選択薬として広く使われていますが、近年、抗炎症作用や軟骨保護作用が報告され、膝変形性関節症(膝OA)に対する有効性が注目されています。これまでの基礎研究や予備的な臨床データでは、メトホルミンが膝痛を緩和…
心不全患者におけるカルベジロールの安全性—COPDや喘息を合併する場合の検討(観察研究; Am Heart J. 2002)
心不全患者にβ遮断薬を使う難しさ慢性心不全(CHF)の治療において、β遮断薬(カルベジロールなど)の使用は必須ですが、気道病変を有する患者では慎重な投与が求められます。特に、COPDや喘息を合併する患者では、β遮断薬が気管支収縮を引き起こす...
胸痛で救急外来を受診したとき、どの症状が心筋梗塞を示唆するか?(前向き研究; Ann Emerg Med. 2010)
救急外来(ED)での胸痛は頻度が高く、急性心筋梗塞(AMI)を迅速に見分けることが求められます。従来、胸痛の部位や放散先、随伴症状を総合的に評価して診断が進められてきましたが、個々の症状の信頼性には限界があり、実臨床での診断精度を確立する…
手術後の嘔気・嘔吐(PONV)対策に新たな選択肢?—経皮電気鍼刺激ブレスレット(EmeTerm)の有効性を検証(DB-RCT; J Bone Joint Surg Am. 2025)
術後悪心・嘔吐(Postoperative Nausea and Vomiting, PONV)は、全身麻酔後の一般的な副作用であり、整形外科手術後にも高頻度で発生します。特に、腰椎麻酔下で実施される股関節全置換術(THA)や膝関節全置換…
メポリズマブは好酸球性COPDの増悪抑制に有効か?(DB-RCT; MATINEE試験; New Engl J Med. 2025)
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は気道の炎症と閉塞を特徴とする疾患であり、特に好酸球性炎症が20~40%の患者で見られます。好酸球が増加したCOPDでは、気道炎症が増悪を引き起こしやすいとされています。メポリズマブは、インターロイキン-5(I…
薬局での「おもてなし」手法が外国人患者の理解を深める?(RCT; Int J Clin Pharm. 2024)
グローバル化が進む中で、外国人患者や観光客が薬局を訪れる機会が増加しています。その一方で、言語の壁が薬剤師の服薬指導を困難にするケースが多発しており、適切な情報提供ができないことが患者の安全を脅かす要因となっています。本研究では、外国人患…
チルゼパチドの使用が急増?米国における処方パターンの変化を探る(人口ベースコホート研究; Ann Intern Med. 2024)
チルゼパチド(Tirzepatide)は、GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)とGIP受容体作動薬(GIP RA)の二重作用を持つ新しい糖尿病治療薬です。2型糖尿病治療のみならず、体重減少効果が高いことから、肥満治療薬(WLM)とし…
心血管疾患の二次予防にコルヒチンは有効か?(RCTのメタ解析; Atherosclerosis. 2024)
近年、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の再発予防において、「炎症の制御」が注目されており、その代表的薬剤のひとつが「コルヒチン(Colchicine)」です。コルヒチンは本来、痛風やベーチェット病の治療に用いられる抗炎症薬ですが、心筋梗…
心拍数を下げる治療は心血管予後に有効か?(RCTのメタ解析; Eur Heart J. 2024)
心拍数(Heart Rate, HR)の上昇は、心筋虚血、心不全、突然死のリスクと関連することから、HR低下を目指す治療戦略が広く用いられています。しかし、高血圧や心血管疾患(CVD)患者におけるHR低下治療の本当のベネフィットは明確では…
長期のNSAIDs使用は認知症リスクを低下させる?― 約30年の追跡結果から(ロッテルダム研究; Alzheimers Dement. 2024)
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、抗炎症作用に加えて、アミロイドβの蓄積を抑える可能性も指摘されており、認知症の予防に効果があるのではないかと長年考えられてきました。しかし、これまでの観察研究や短期介入試験では結果が一貫せず、N…
RAAS阻害薬による高カリウム血症をSGLT2阻害薬が抑える?(大規模コホート研究; JAMA Intern Med. 2024)
ACE阻害薬やARBなどのRAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)阻害薬は、糖尿病性腎症、心不全、慢性腎臓病(CKD)の進行抑制において中心的な役割を果たします。しかしその一方で、高カリウム血症(hyperkalemia)の…
酸化マグネシウムとロスバスタチンの相互作用に注意?(処方提案でスタチンを適切に選択した一例; 京都薬科大学紀要 2022)
脳梗塞の既往を有する患者に対し、二次予防目的でHMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)が処方されることは一般的です。今回ご紹介する症例では、ロスバスタチンを継続していたにもかかわらず、効果が不十分と判断され、新たにエゼチミブが追加されてい…
帯状疱疹ワクチン接種で認知症リスクが低下?(回帰不連続デザイン; Nature. 2024)
神経親和性をもつヘルペスウイルス(とくに単純ヘルペスウイルスや帯状疱疹ウイルス)は、近年、認知症の発症リスクに関与する可能性が示唆されています。一方で、ワクチンには本来の感染症予防以外にも、免疫系に対する“オフターゲット効果(副次的免疫効…
セマグルチド関連の救急受診はどれくらい起きている?(横断研究; Ann Intern Med. 2025)
セマグルチド(商品名:オゼンピック、ウゴービなど)は、2型糖尿病や肥満治療薬として急速に普及しています。承認申請時の臨床試験では、主に消化器症状(吐き気、嘔吐、下痢など)が副作用として報告されていましたが、実臨床での安全性データは限られて…
アベラシマブは心房細動患者において出血リスクを低下させるか?(RCT; AZALEA-TIMI 71試験; N Engl J Med. 2024)
心房細動患者では、血栓症予防のために抗凝固療法が必要ですが、出血リスクが治療上の重要な課題となっています。アベラシマブは、非活性型第XI因子(FXI)に結合し、その活性化を阻害する完全ヒト型モノクローナル抗体であり、新たな抗凝固戦略として…
非合併性尿道・性器淋菌感染症に対するゲポチダシンの効果は?(Open-RCT; EAGLE-1試験; Lancet. 2024)
近年、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)感染症に対して標準治療として用いられるセフトリアキソンとアジスロマイシンに対し、耐性菌出現の懸念が高まっています。ゲポチダシンは、細菌DNA複製を阻害する新規作用機序を有するトリアザ…
透析患者の心房細動、抗凝固療法はどう選ぶ?|FXa阻害薬 vs. ワルファリン(メタ解析; Int J Cardiol. 2024)
心房細動(AF)は、透析依存患者で特に高頻度にみられます。しかし、これらの患者では血栓塞栓症(脳卒中など)リスクと出血リスクが同時に高いため、抗凝固療法の選択が非常に難しいとされています。現在、ビタミンK拮抗薬(VKAs、例:ワルファリン…
PPIの使用量・期間が増えるとCDIのリスクが上昇する?(観察研究のメタ解析; Lancet Reg Health Eur. 2025)
クロストリジオイデス・ディフィシル感染症(CDI)は、世界的に見ても医療関連感染症の主要な原因の一つであり、PPI使用は重要な修正可能なリスク因子として知られています。しかし、PPI使用量や使用期間とCDIリスクの「量反応関係」はこれま…
【T2DM患者のCABG術前管理】エンパグリフロジンは術後急性腎障害を減らす?(PROBE法; POST-CABGDM試験; Diabetes Care. 2025)
2型糖尿病(T2DM)患者は、冠動脈バイパス手術(CABG)後に急性腎障害(AKI)を発症するリスクが高いことが知られています。AKIは術後転帰を悪化させ、予後に重大な影響を与えるため、リスク低減策の確立が課題となっています。今回紹介する…
入院中に発見された心房細動、その後の脳卒中リスクは?(大規模コホート研究; Ann Intern Med. 2025)
心房細動(AF)は、さまざまな病態に伴って入院中に初めて診断されることがあり、その一部は誘因(感染症や手術など)の消失により自然に収束する場合もあります。しかし、こうした「入院中発見型AF」が、退院後にどれほど脳卒中リスクを有するのか、充…
川崎病にアスピリンは本当に必要か?高用量アスピリンの有無を比較(PROBE; JAMA Netw Open. 2025)
川崎病(Kawasaki disease:KD)は、小児に発症する血管炎であり、最も重大な合併症は冠動脈病変(Coronary Artery Lesions:CALs)の形成です。現在、標準治療は免疫グロブリン静注療法(IVIG)と高用量…
GLP-1作動薬は認知症リスクを下げる?(RCTのメタ解析; JAMA Neurology 2025)
糖尿病は心血管疾患のリスク要因であると同時に、認知症リスクを高める代謝疾患としても知られています。近年は、SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)といった「心血管保護作用を持つ糖尿病治療薬」が注目されていますが、これらの…
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)は心腎代謝リスク群でも突然死を防ぐ?(RCTのメタ解析; Eur J Heart Fail. 2025)
心血管疾患、慢性腎臓病、2型糖尿病といった心腎代謝疾患(Cardio-Kidney-Metabolic、CKM)は、互いに密接に関連しながら進展し、突然死(Sudden Cardiac Death:SCD)のリスクを著しく高めることが知ら…
GLP-1やSGLT2阻害薬に“アクセスできない”糖尿病患者は今も多い?(米国の横断研究; Ann Intern Med. 2025)
SGLT2阻害薬やGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)は、単なる血糖降下薬にとどまらず、心血管疾患や死亡リスクを低下させるエビデンスに基づいた治療薬として注目を集めています。にもかかわらず、アメリカの公的医療保険制度「Medicai…
「エビデンスの階層」は時代遅れ?複雑な医療にこそ必要な新しいモデルとは?
近年、医療や政策において「エビデンスに基づく医療(Evidence-Based Medicine:EBM)」の重要性が強調されています。EBMの中核となるのが、治療や介入の効果を検証する研究デザインの“信頼性の階層(エビデンスのピラミッド…
大動脈弁狭窄症でTAVIを受けた患者にSGLT2阻害薬は有効か?(RCT; DapaTAVI試験; N Engl J Med. 2025)
SGLT2阻害薬は、糖尿病や心不全に対する多面的な有用性が示され、心不全ハイリスク患者への投与が広がりつつあります。しかし、弁膜症、特に大動脈弁狭窄症に対してTAVI(経カテーテル的大動脈弁置換術)を受けた患者は、これまで大規模RCTの対…
iPS細胞から作られた神経前駆細胞はパーキンソン病に効くのか?(第I/II相試験; Nature. 2025)
パーキンソン病は、ドーパミン神経の脱落により運動障害を引き起こす神経変性疾患です。これまで薬物療法が中心でしたが、病気の進行を止めることはできませんでした。胎児組織を使った細胞移植治療は一定の成果を上げたものの、倫理的・技術的な問題が残り…
急性疾患入院患者におけるVTE予防:抗凝固薬は延長投与した方が良い?(CDSR; Cochrane Database Syst Rev. 2024)
深部静脈血栓症(DVT)や肺血栓塞栓症(PE)を含む静脈血栓塞栓症(VTE)は、急性疾患で入院する患者にとって極めて重要な合併症です。VTEのリスクは入院中に限らず、退院後45~90日間にわたり持続することが知られており、入院中のみの抗凝…
カルシウムチャネル遮断薬は40歳以上の男性の夜間頻尿と関連している?(横断研究; J Clin Med. 2021)
夜間頻尿(nocturia)は、加齢に伴い増加する排尿症状のひとつで、生活の質(QOL)を大きく低下させる要因の一つです。高血圧は夜間頻尿としばしば併存し、降圧薬の中には利尿作用や血管拡張作用を通じて排尿に影響を及ぼすものもありますが、ど…
高リスク静脈血栓塞栓症の長期治療におけるDOAC減量は妥当か?(PROBE; RENOVE試験; Lancet 2025)
静脈血栓塞栓症(VTE)を発症した患者において、再発リスクが高い場合は6〜24か月の初期治療後も延長抗凝固療法が必要となることがあります。ただし、その際に使用すべき直接経口抗凝固薬(DOAC)の最適用量については明らかではありません。そこ…
グレパグルチドは短腸症候群の在宅中心静脈栄養を減らせるか?(DB-RCT; Gastroenterology. 2025)
短腸症候群(Short Bowel Syndrome:SBS)は、腸切除などによって吸収不良をきたし、在宅での静脈栄養(Parenteral Support:PS)を必要とすることが多い重篤な疾患です。これに対して、GLP-2アナログ製剤…
デュラグルチド増量 vs チルゼパチド切替、2型糖尿病患者により効果的なのは?(Open-RCT; SURPASS-SWITCH試験; Ann Intern Med. 2025)
週1回投与のチルゼパチド(GLP-1/GIP受容体作動薬)は、SURPASS試験群においてHbA1cと体重の有意な改善を示し、2型糖尿病や肥満の治療薬として承認されました。一方で、すでにデュラグルチド(GLP-1受容体作動薬)を使用してい…
高齢者の聴力低下に看護師主導の介入は有効か?(小規模RCT; Int J Nurs Stud. 2025)
高齢者における聴力低下は、コミュニケーションの障害だけでなく、認知機能の低下、社会的孤立、うつ症状、さらには転倒リスクの増加など、さまざまな健康問題と関連しています。しかし、聴力低下への介入は専門職に限られ、アクセスの難しさやコストの問…
肥満合併HFpEF患者におけるチルゼパチドの効果はCKDの有無で異なるのか?(SUMMIT試験のサブ解析; J Am Coll Cardiol. 2025)
心不全患者の中でも、駆出率が保たれた心不全(HFpEF)と肥満を合併するケースは増加傾向にあります。さらに、慢性腎疾患(CKD)の併存は、これらの患者の予後や治療反応性に影響を及ぼす可能性があります。GLP-1/GIP受容体作動薬であるチ…
高齢者の慢性不眠にミルタザピンは効果があるのか?(DB-RCT; MIRAGE試験; Age Ageing. 2025)
高齢者に多くみられる慢性不眠症は、QOL(生活の質)や日中機能に重大な影響を及ぼします。しかし、ベンゾジアゼピン系薬剤の長期使用は転倒や認知機能低下のリスクがあり、非ベンゾジアゼピン系やその他の代替薬の選択が求められています。ミルタザピン…
心的外傷後ストレス障害におけるブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用治療の効果はどのくらい?(DB-RCT; JAMA Psychiatry. 2025)
心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する治療方法は限られており、新たな薬物療法の選択肢が必要とされています。そこで今回は、PTSDに対するブレクスピプラゾールとセルトラリンの併用治療(ブレクスピプラゾール+セルトラリン)の有効性、安全性…
成人における有酸素運動と減量の効果は?(SR&MA; JAMA Netw Open. 2024)
既存の診療ガイドラインで推奨されている有酸素運動の持続時間に関する現在のガイダンスは、主に個々の試験から得られたものです。このため、有酸素運動と肥満指標の用量反応関係を調べるメタ分析の結果は不足しています。そこで今回は、有酸素運動と肥満指…
心房細動を伴う脳内出血の生存者における脳卒中予防のためのDOAC vs. 抗凝固薬なし(PROBE法; PRESTIGE-AF試験; Lancet. 2025)
直接経口抗凝固薬(DOAC)は心房細動患者の血栓塞栓症の発生率を低下させますが、脳内出血の生存者に対する利点とリスクは不明です。そこで今回は、DOACが脳内出血の再発リスクを大幅に増加させることなく虚血性脳卒中のリスクを低下させるかどうか…
心血管イベント発生率に対するアトルバスタチンの長期的有用性は?(ASCOT-Legacy 20年追跡調査; Heart. 2025)
Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial(ASCOT)試験は、19,342人のCV疾患の3つの付加的危険因子を有する高血圧被験者-ASCOT血圧降下群(BPLA)-を対象に2つの異なる血圧降下戦略…
診断における生成AI vs. 医師(SR&MA; NPJ Digit Med. 2025)
生成型人工知能(AI)は医療診断における可能性を示しているが、その診断性能の包括的な評価や医師との比較は、これまで広く検討されていません。そこで今回は、2018年6月~2024年6月に発表された”診断タスクに対する生成AIモデルの検証研究…
がん関連静脈血栓塞栓症に対するアピキサバンの減量延長療法の効果は?(DB-RCT; API-CAT試験; N Engl J Med. 2025)
活動性癌と静脈血栓塞栓症に対する最適な抗凝固療法とは?活動性癌と静脈血栓塞栓症において、経口抗凝固薬の減量による延長治療が血栓塞栓症の再発予防と出血の減少に有効であるかどうかは不明です。そこで今回は、活動性がんと近位深部静脈血栓症または肺塞...
起立性高血圧と集中的血圧治療との関連性は?(個人レベルのメタ解析; BMJ. 2025)
起立性高血圧は、立ち上がった後に血圧が上昇する病態であり、心血管疾患、脳卒中、腎臓病、認知障害など、さまざまな健康被害を引き起こす新たな危険因子です。また、起立性高血圧は、高齢者の全死亡率の重要な予測因子でもあるようです。個々のコホート研…
高齢心不全患者におけるトラセミドとフロセミドの有効性と安全性の比較(後向き研究; Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2025)
心不全に対して一般的に使用されているループ利尿薬の実臨床における有効性と安全性の比較に関するエビデンスはまちまちであり、特に有害転帰のリスクが高い高齢者においてはその傾向が顕著です。そこで今回は、トラセミド(トルセミド)とフロセミドの転帰…
高リスク2型糖尿病における経口セマグルチドと心血管アウトカムとの関連性は?(DB-RCT; SOUL試験; New Eng J Med 2025)
グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬(GLP-1 RA)である経口セマグルチドの心血管安全性は、2型糖尿病で心血管リスクの高い患者において確立されています。しかし、2型糖尿病とアテローム性動脈硬化性心血管疾患、慢性腎臓病、またはその両方を有…
2型糖尿病患者におけるグルカゴン様ペプチド-1受容体作動薬と自殺リスクとの関連性(コホート研究; BMJ. 2025)
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬の使用と自殺念慮および自傷行為との関連を示す最近の報告は、大きな懸念を引き起こしています。この安全性の問題の可能性に関する最初のシグナルは、2023年7月にアイスランド医薬品庁から発せられ…
JAK阻害剤に関連する主要心血管有害事象はどのくらい?(不均衡分析; Drug Saf. 2025)
JAK阻害薬と心血管イベントとの関連性は?関節リウマチ(RA)の治療にはヤヌスキナーゼ阻害薬(JAKis)と抗腫瘍壊死因子α薬(抗TNFα薬)が一般的に使用されていますが、これらの薬剤の心血管安全性プロファイルは不明な点が多く、充分に検証さ...
血栓後症候群患者における静脈ステント血栓症予防のためのアスピリン+リバーロキサバン vs. リバーロキサバン単独(Open-RCT; ARIVA試験; Circulation. 2025)
血栓後症候群患者において、腸大腿静脈または下大静脈のステント再疎通は静脈の開存性を回復し、機能的転帰を改善します。一方、ステント血栓症のリスクはステント留置後6ヵ月間に特に増加することが知られています。このリスク低減のために二重抗血小板薬…
慢性不眠症に対する催眠薬の切り替えや処方中止のための診療ガイドライン(系統的レビュー; Sleep Med. 2025)
現在のガイドラインでは、慢性不眠症の第一選択治療として不眠症の認知行動療法(CBT-I)が推奨されています。欧州の不眠症治療ガイドラインで推奨されている薬理学的治療薬には、短・中作用ベンゾジアゼピンや「Z-drugs」(エスゾピクロン、ザ…
ICUまたは入院と慢性疾患治療薬の意図しない中止との関連性(集団ベースのコホート研究; JAMA. 2011)
急性期病院を退院した患者は、慢性疾患のために処方された薬剤を意図せずに中止する危険性があります。また、集中治療室(ICU)では、急性期イベントが重視され、ケアの移行が複数回行われるため、リスクがさらに高くなる可能性があります。しかし、これ…
切迫早産に対するアトシバンの効果はどのくらい?(DB-RCT; APOSTEL 8; Lancet. 2025)
国際的なガイドラインでは、切迫早産の治療薬として強心薬が推奨されています。オキシトシン受容体拮抗薬であるアトシバン(Atosiban)は、特に切迫早産の治療に適応のあるトコライティック薬(子宮収縮抑制薬)として登録されています。オキシトシ…
末梢動脈疾患における在宅運動の効果はどのくらい?(RCT; LITE試験; Am J Cardiol. 2025)
末梢動脈疾患(peripheral artery disease, PAD)患者における特徴的な症状の一つに”間欠性跛行”があげられます。これに対して、定期的な歩行運動が効果的であることが報告されていますが、患者報告アウトカムに対する影響…
GLP-1受容体作動薬を投与されたCKD患者の腎臓および心血管アウトカム(RCTのSR&MA; Am J Kidney Dis. 2025)
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬は、糖尿病患者における心臓および腎臓の転帰を改善しますが、推算糸球体濾過量(eGFR)が低下している患者における有効性は不明です。そこで今回は、慢性腎臓病(CKD)患者において、GLP-1…
グレープフルーツジュースが阻害するのは腸CYP3A4だけではない?(in vivo試験; J Clin Pharmacol. 2003)
グレープフルーツジュースはCYP3A4を阻害する代表的な嗜好品の一つです。単回投与した場合の影響度は以下の表のとおりです。一般的な量のグレープフルーツジュース(GFJ)の摂取は、いくつかのCYP3A4基質の経口バイオアベイラビリティを増加…
ARNIの腎安全性と有効性はどのくらい?(RCTのメタ解析; J Clin Pharm Ther. 2020)
アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害薬(ARNi)療法は心血管系の転帰を改善することがProspective Comparison of ARNi with angiotensin-converting enzyme inhibit…
セマグルチド使用と非動脈炎性前部虚血性視神経症のリスク(コホート研究; Diabetes Obes Metab. 2025)
GLP-1受容体作動薬、特にセマグルチド(商品名:オゼンピック、ウゴービ)について、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)との関連性が指摘されています。NAIONは、視神経への血流障害により、痛みを伴わず突然の視力低下を引き起こす疾…
2型糖尿病におけるフィネレノンの有効性と安全性は?(プール解析; Diabetes Care. 2025)
心不全や慢性腎臓病を有する2型糖尿病に対してフィネレノンは有効か?2型糖尿病(T2D)と慢性腎臓病(CKD)または軽度の駆出率低下(HFmrEF)または駆出率維持(HFpEF)を伴う心不全(HF)を有する患者において、非ステロイド性ミネラル...
COVID-19とインフルエンザの臨床的特徴の相違とは?(SR&MA; NPJ Prim Care Respir Med. 2025)
COVID-19とインフルエンザの臨床的特徴に違いはあるのか?コロナウイルス疾患2019(COVID-19)の流行は世界の保健システムに大きな課題をもたらしていますが、インフルエンザも依然として無視できない問題です。両感染症の臨床的特徴は類...
日本人肥満症患者を対象とした週1回投与チルゼパチドの有効性と安全性は?(DB-RCT; SURMOUNT-J; Lancet Diabetes Endocrinol. 2025)
アジア人の肥満症患者におけるチルゼパチドのデータは限られています。そこで今回は、日本肥満学会が定義する日本人肥満症患者(BMI25kg/m2以上で脂肪蓄積過多)に対するチルゼパチドの治療薬としての理解を深めることを目的とした二重盲検ランダ…
楽観主義者の方が貯蓄額が多い?(J Pers Soc Psychol. 2025)
楽観主義(optimism)とは、物事を前向きに捉え、未来に対して肯定的な期待を持つ考え方です。楽観主義者は、困難な状況でもポジティブな側面を見出し、解決策を探ろうとする傾向があります。この姿勢はストレス耐性を高め、健康や幸福度の向上にも…
好酸球性食道炎に対するプロトンポンプ阻害薬は1日1回より1日2回投与の方が良い?(Am J Gastroenterol. 2024)
好酸球性消化管疾患(Eosinophilic gastrointestnal disorders, EGIDs)は、好酸球の消化管局所への異常な集積から好酸球性炎症が生じ、消化管組織が傷害され、機能不全を起こす疾患の総称です(幼児・成人好…
便秘の合併が心不全患者の生存に及ぼす影響はどのくらい?(前向きコホート研究; 高知YOSACOI研究; Front Cardiovasc Med. 2025)
便秘は薬の副作用や心不全の生理的影響から心不全患者にしばしばみられます。ここ最近の研究結果から、便秘の併存が心血管系疾患の発症や生存率に影響を及ぼす可能性が示唆されていますが、この関係は依然として不明です。そこで今回は、便秘の併存が心不全…
ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患率との関連性は?(Gut Microbes. 2025)
一般的にビフィズス菌を含むヨーグルトの摂取による腫瘍抑制効果を示唆する証拠があります。しかし、実臨床における検証は充分に行われていません。そこで今回は、ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患との関連について、組織のビフィズス菌量によって腫瘍サ…
薬剤師の役割は誤解されている?国民の院外処方賛否に関する評価の視点(横断研究; 社会薬学 2017年)
薬剤師が揶揄される背景には、業務の本質が誤解されている点があると考えられます。日本では薬剤師が処方箋に基づいて薬を調剤し、患者に渡す姿が一般的に見られるため、「単なる作業」と捉えられやすい背景があります。しかし、薬剤師の職務には、処方監査…
血清脂質と緑内障との関連性は?(前向きコホート研究; Br J Ophthalmol. 2025)
脂質により緑内障リスクが異なる?緑内障の発症メカニズムは完全には解明されていないものの、眼圧の上昇が視神経を損傷し、進行性の視野欠損を引き起こすことが主な要因とされています。しかし、日本人に多い「正常眼圧緑内障」では、眼圧が正常範囲内でも発...
主要有害心血管イベントに対するソタグリフロジンの効果は?(SCORED試験の事前規定二次解析; Lancet Diabetes Endocrinol. 2025)
ナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT)-2阻害薬は、心不全関連転帰の改善において一貫した有用性を示しましたが、心筋梗塞や脳卒中などの虚血性心血管イベントに対しては一貫した改善効果が示されていません。そこで今回は、SGLT1/2デュアル…
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高齢化が進む現代社会において、ポリファーマシー(多剤併用)や潜在的に不適切な薬物(PIMs)の問題はますます深刻になっています。薬剤が多ければ多いほど、有害事象のリスクは高まり、患者のQOLやアドヒアランスにも悪影響を及ぼすことが知られて…
心房細動(AF)や心房粗動(AFL)は、心血管・腎疾患や代謝異常(いわゆるCKMスペクトラム)における重篤な合併症のひとつです。こうした不整脈の発症は、心不全や腎機能悪化の予兆となりうるため、予防的介入が重要視されています。今回ご紹介する…
成人においては、β遮断薬(βブロッカー)が心不全の治療に有効であることが確立しています。中でもカルベジロール(商品名:アーチスト®)は、症状の改善や生命予後の延長に寄与する薬剤として知られています。しかし、小児や思春期の患者における有効性…
新生児の細菌性敗血症は、早期の診断と適切な抗菌薬治療が生存率に直結する疾患です。しかし、「何日間抗菌薬を投与すべきか」については、明確なエビデンスに乏しいのが実情でした。今回ご紹介する研究は、血液培養で細菌陽性となった新生児敗血症に対し、…
仕事のための通勤——多くの人が毎日繰り返すこの行為が、実は健康に悪影響を及ぼしている可能性があるとしたらどうでしょうか?都市化が進む現代、経済活動を支える日常的な移動は避けがたいものです。この日常的な移動の影響について、充分に検証されてい…
β遮断薬は、成人のうっ血性心不全(CHF)治療の柱とされており、死亡率低下や入院率減少などの有効性が確立しています。しかし、小児における心不全は、原因や病態、生理的特性が異なるため、成人のエビデンスをそのまま適用することはできません。そこ…
心房細動(AF)は虚血性脳卒中の主な原因とされており、抗凝固薬(OAC)による予防が推奨されています。しかし、近年の研究や臨床現場からは「抗凝固薬を服用していても再発する」というケースが一定数報告されています。そこで今回は、AFに起因する…
持続性高血圧には、朝晩の日内変動や飲み忘れによる達成度の低下が課題です。Zilebesiran(ジルべシラン、ジレべシラン)は、肝臓のアンジオテンシノーゲン産生を標的とするRNA干渉(RNAi)薬剤であり、半減期が長く、3~6か月に1回の…
2型糖尿病(T2D)と肥満の両方を抱える患者に対し、チルゼパチド(tirzepatide, 以下TZP)は体重と血糖コントロールの両面で効果が期待される薬剤です。しかし、費用対効果について充分に評価されていません。そこで今回は、アメリカで…
心原性脳梗塞の予防には抗凝固薬が有効ですが「脳出血が怖いからアスピリンを使っている」というケースは決して珍しくありません。しかし、出血リスクの薬剤比較は充分に行われていません。そこで今回は、アピキサバンとアスピリンの「脳出血リスク」を直接…
慢性腎臓病(CKD)と2型糖尿病を併発する患者において、腎機能の悪化やアルブミン尿の進行をいかに抑えるかは、実臨床において大きな課題です。SGLT2阻害薬やフィネレノン(非ステロイド性MR拮抗薬)は、それぞれ腎保護効果が示されていますが、…
脳卒中後のうつ病はどこまで予防・改善できるのか?脳卒中後の患者にとって、うつ症状(Post-Stroke Depression:PSD)は高頻度かつ予後に深く関与する合併症です。再発やリハビリ効果の低下、QOL(生活の質)悪化とも関連し、早...
群発頭痛(Cluster Headache)は、激烈な頭痛発作を繰り返す難治性の疾患であり、患者のQOL(生活の質)に深刻な影響を与えることが知られています。予防療法としてはベラパミルやリチウムなどが使われていますが、有効性や副作用の点で…
神経障害性疼痛(neuropathic pain, NP)は、夜間に悪化しやすく、不眠症や気分障害を伴うことが多い疾患です。こうした背景から、睡眠を整えることで疼痛が改善される可能性が注目されています。メラトニンは松果体から分泌されるホル…
急性期脳梗塞、とくに大血管閉塞(LVO, large-vessel occlusion)を伴う症例では、血管内治療(endovascular thrombectomy)が治療の中心ですが、その前段階として血栓溶解療法(IVT)を併用すべき…
心房細動(AF)と左室駆出率の低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction, HFrEF)を併発する高齢患者は、予後不良なリスク群にあたります。特に持続性心房細動(persist…
片頭痛は、慢性的な神経疾患であり、その発症には不適切な薬物使用、不安、睡眠障害、うつ病、ストレスなど、さまざまな要因が関与しています。コーヒーはその多様な生理活性特性で知られており、急性の片頭痛症状を緩和する可能性がありますが、長期的なコ…
「手術も終わったし、あとは静かに過ごすだけでいい」。そう思っていませんか?実は──術後の“運動”が、がんの再発リスクを大きく下げる可能性がある。そんな衝撃の結果が、約900人を対象にした国際的な臨床試験で明らかになりました。もともと前臨床…
不眠治療で処方されるベンゾジアゼピン受容体作動薬(BZRAs)(ベンゾジアゼピン系薬およびZ薬)は、短期使用に限定すべき薬剤とされています。特に高齢者や認知機能障害のある方では、以下の有害事象リスクが高まることが知られています:…
DOAC使用は認知症の発症リスクの低減と関連しているのか? 認知症の危険因子である心房細動(AF)の発生率および有病率は長期的に増加しています。経口抗凝固療法は、心房細動による脳卒中やその他の悪い転帰のリスクを減少させ、認知症の健康格差を縮
SARS-CoV-2ワクチン接種をためらう理由としては、副反応への懸念が一般的です。ワクチン接種後に発現する副反応は、免疫反応の一部として理解されており、中和抗体反応との関連性が示唆されています。発熱、疲労、筋肉痛、関節痛などの全身反応は…
観察的抗血栓療法の比較評価を行ったSTOP-CAD(Stroke Prevention in Cervical Artery Dissection:頸部動脈解離における脳卒中予防)試験では、世界16ヵ国63施設から得られたデータ(n=3,…
手袋着用時の手指衛生のゴールドスタンダードでは、手袋を外して手指衛生を行い、新しい手袋を着用する必要があるとされています(WHO:Five moments for hand hygiene)。アルコールをベースとした手指消毒剤(ABHR)…
ナトリウム-グルコース共輸送体-2阻害薬(SGLT2i)は心不全および腎臓関連の転帰を一貫して改善しますが、さまざまな患者集団における主要有害心血管イベント(MACE)に対する効果はあまり明らかとなっていません。そこで今回は、3つの患者集…
アンギオポエチン様3(ANGPTL3)は、リポ蛋白および内皮リパーゼを阻害し、トリグリセリドに富むリポ蛋白残渣の肝への取り込みを阻害します。ANGPTL3欠損機能保有者は、非保有者に比べて、トリグリセリド、低比重リポ蛋白(LDL)コレステ…
アテローム性動脈硬化症による急性軽症虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者における二次的脳卒中予防および神経保護に対する即時集中スタチン療法と遅延集中スタチン療法の比較は限られています。脳梗塞急性期のスタチン投与は、インターロイ…
高齢者の経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention, PCI)後の二重抗血小板療法(dual antiplatelet therapy, DAPT)の至適期間は不明です。そこで今回…
メトホルミンは広く用いられており、特に海外では妊娠糖尿病に使用可能であり、母体の体重増加や妊娠高血圧症候群、児の新生児低血糖のリスクを低減することが報告されています(注意:日本の添付文書においては妊婦又は妊娠している可能性のある女性への投…
肥満は世界的な公衆衛生の問題になっており、中国は世界で最も多くの罹患者を抱えていることが知られています。持続性GIP/GLP-1受容体作動薬であるチルゼパチドは、副作用として紹介症状や体重減少をもたらしますが、肥満患者における有効性・安全…
混合型高脂血症患者では、中性脂肪(トリグリセリド、トリグリセライド)に富むリポ蛋白中の残存コレステロールに起因する非高比重リポ蛋白(HDL)コレステロール値の上昇により、アテローム性動脈硬化性心血管系疾患のリスクがあります。トリグリセリド…
心不全(HF)の基本的な治療薬として、β遮断薬、ACE阻害薬/ARB、そしてミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MA拮抗薬)が使用されていますが、腎機能障害の併存は、しばしば救命のためのHF治療の開始や継続を躊躇させます。そこで今回は、著し…
慢性腎臓病、2型糖尿病、高血圧(the kidney-dysfunction triad; 腎機能障害の3要素)を有する患者に対する有効な治療法があるにもかかわらず、この集団における死亡や合併症のリスクを減少させるためのガイドラインに沿っ…
シスプラチンは様々ながんに対する有効な第一選択療法です。シスプラチンは催吐性が強く、その結果生じる体液量の減少は急性腎障害(acute kidney injury, AKI)リスクの一因となります。この合併症を予防するために、5-ヒドロキ…
小児期の長期間にわたる短時間睡眠は、精神病の発症を含む長期的な精神的健康に有害な影響を及ぼす可能性があります。さらに、これらの関連性の潜在的な基礎となる機序は依然として不明です。そこで今回は、小児期の持続的な夜間睡眠時間の短縮と、24歳時…
リラクゼーション介入による母乳保育の効果は? 母乳保育は、乳児と母親・両親の健康を最適化するための重要な公衆衛生目標ですが、世界の授乳成績は推奨される授乳期間と排他性を満たしていません。また、授乳と精神的健康の関連性が報告されていますが、リ
75歳以上の成人における心血管疾患(CVD)および全死亡の一次予防にスタチンを使用することについては、ランダム化比較試験におけるこの集団の割合が低いため、ほとんどコンセンサスが得られていません。そこで今回は、高齢者(75~84歳)および超…
COPD患者に対するβ1選択的遮断薬ビソプロロールの影響は? 慢性閉塞性肺疾患(COPD)は世界的に罹患率と死亡率の主要な原因です。観察研究では、β遮断薬の使用はCOPD増悪リスクの低下と関連する可能性があると報告されています。しかし、最近
変形性膝関節症は障害をもたらしますが、有効な治療法はほとんどありません。クリルオイル(オキアミ油)のサプリメントは膝の痛みを改善することが予備的に示唆しましたが、変形性膝関節症に対する効果は不明です。そこで今回は、著しい膝関節痛と滲出液-…
頭痛はプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用に伴う有害事象です。近年、片頭痛がPPI使用に伴う潜在的有害事象としてより具体的に浮上してきました。しかし、実臨床における検証は充分ではありません。そこで今回は、既存のデータを活用し、片頭痛および…