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りおりお
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2017/11/17

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  • 18

    あきらと総二郎は道明寺邸で司に報告していた。「ブラウンさんは学校では牧野つくしとして通っている。 その方が溶け込みやすいからだろうなぁ。 しかも父親が社長では無い事に一部の女生徒が蔑んでいるみてぇだ。 確かに社長じゃねぇがその辺の社長よりもかなり格上なんだけど、それをひけらかさねぇ。 目立つことを嫌う性格のようだな。」「勉強はかなり優秀。 海外では飛び級しているようだ。 もちろん自分から自慢したわ...

  • 17

    あれは幼稚舎で司、あきら、総二郎と言う友達が出来た頃だった。何度か司の家に遊びに行っていたがその時もそうだった。見事なバラが咲き誇る中、門を入ったところでバラの垣根に小さな黒い物体を見つけた。猫だと思った。そう思うと、運転手に声をかけた。「止まって。 ここで降りる。」そして車から飛び出すと猫と思われる黒い物体に近づいた。だがすぐに猫では無い事に気づいた。白い服を着ている小さな子供だ。小さく丸まるよ...

  • 16

    『そのままの方が似合ってる。 何でみつあみを?』『さっきも言ったけど、許嫁が言ったから。 目立つなってね。 つまり注目されるなという事でしょ? 日本人はやまとなでしこと言う大人しくて男性の一歩後ろを歩くような女性がいて、きっとそう言う女性が理想なんだと思った訳。 それでネットでやまとなでしこらしい学生の髪型を調べたらカチッとしたみつあみ姿だったって訳。』『へぇ。』やまとなでしこが司の理想?全然違う...

  • 15

    『じゃああたし達も帰りましょうか? あっ、カヌレ!! 類もカヌレを買うのかな?』類はプッと吹き出す。こんな事がありながら当初の目的のカヌレを思い出す当たり、天然も入っていると感じる。『いや、カヌレはつくしに譲るよ。』『ありがとう。』『でももうしばらく帰れないと思う。 警察に事情を説明しないといけないから。』そこに店員が氷とタオルを持ってきた。店内で売っているパックに入った物だ。「とりあえずこれで冷...

  • 14

    目に飛び込んだのは金庫の中身をバックに詰めている黒ずくめの犯人二人と部屋の隅に両手両足を縛られた店員二人の姿。類が飛び出す前につくしが一歩を出しその後ろから類が追いかける形で手前の犯人をつくしが、後ろの犯人に類が向かった。まさか二人が出てくるとは思わなかった犯人は驚きで動作が遅れる。しかも現金を詰め込む為か拳銃を床に置いていた。つくしは犯人の背中を蹴ると俯けになった犯人の両手を後ろに持っていき、腰...

  • 13

    『立ち上がるよ?』『うん。 お願い。』類はつくしの足をしっかりと持ちゆっくりと立ち上がると通気口の下へ移動する。つくしは両手で通気口をずらす。『足をしっかり持ってくれる? ちょっと覗いてみるから。』『分かった。』つくしは腰を浮かし、立ち上がる格好で通気口の中を覗く。その為、類の顔にスカートが覆い被さり、少し上を向けばパンツまで見える状態だ。こんな体勢、、、何かの罰ゲームだろ?と自分で自分を憐れむほ...

  • 12

    「おい! ここに金を入れろ! 防犯スイッチを押すなよ。」入り口から大きな声が聞こえ二人は同時に入り口を見る。店員はすぐに両手を上げている。すると黒いニット帽を被りサングラスをかけ口元にはマスクをし黒い上下の服を身に纏った男性二人が、手に拳銃のような物を握りしめているのが分かった。犯人の一人はすぐに入り口のドアを閉めるとつくしと類の元へ近づいてきた。類はすぐにつくしの盾になろうと前に立つ。「おい。 ...

  • 11

    月曜日、つくしはいつも通り学校を終えると真木子と一緒に駅へと向かった。「ほんと英徳は車通学が多いよね。」「だね。 専用駐車場まであるしね。 まあ資産家の子供が通う学校だからねぇ。」「アメリカは13歳まで子供を一人で外出させられないのよ。 学校はもちろん習い事も全て親が送迎するかスクールバスを利用。 一人で留守番も禁止。 マンションに住んでいる場合、一階の郵便物を取りに行くのも禁止だよ。」「厳しいね。...

  • 10

    司はあきらと総二郎を引き連れ帰宅した。すると使用人からすぐにプレゼントを渡された。「これをブラウン様が持ってこられました。 司様のお誕生日プレゼントだそうです。」「要らねぇ。」「困ります。 どうか受け取ってくださいませ。」使用人は困り顔だ。そのプレゼントを総二郎が代わりに受け取る。「司に渡しておきますよ。」「んとに余計な事を。 おい、俺の部屋にアルコールと何か摘まみを持ってこい。」「畏まりました。...

  • 9

    休日。つくしは兄のリアムと共に買い物へ出かけた。と言うのも父親のルーカスから司の誕生日にプレゼントを贈ったらどうかと言われたためだ。その時に初めて司の誕生日を知った。知った以上、何かを贈るべきか?と思った物の何を贈って良いのか分からない。趣味の悪い物や気に入らない物を贈ればまた何か言われる可能性があるからだ。その為、兄と相談しながら買う事に決めた。『どんなものを贈るつもりだ?』『あたしからのプレゼ...

  • 8

    翌日。つくしが学校へ行くと女生徒のほとんどが黒髪にみつあみ、そして眼鏡をかけている。昨日真木子が言った通りになっており、そうまでして道明寺に睨まれたいのか?と不思議に思う。だがこれで自分が目立たなくなりラッキーと感じる。そして教室に入ると先に来ていた真木子が駆け寄ってきた。「ねっ? そうなったでしょ?」「うん。 ビックリした。 そんなに道明寺さんに睨まれたいのかな?」「それがファン心理と言う物なの...

  • 7

    つくしと真木子はホールに居た女生徒に囲まれていた。「F3があなた方をジッと見ておられたんですけど何かしました?」「私もビックリしたんですけど何もしていません。 ねぇ、つくしちゃん。」「はい。 何も。」それは三人の視線をすぐに辿った人たちも同じ気持ちだ。二人は何もしていないのに、F3は二人の方を見ていた。だとすれば、、、「その髪形かしら?」「確かに黒髪にみつあみはあなたしかいないわよね。」「もしかしてそ...

  • 6

    午前の授業が終わり、司とあきらと総二郎は廊下に出た。「んとに何で始業式から授業が行われるんだよ!」「仕方ねぇよ。 そうでもしねぇと授業時間が足りねぇんだろ?」司は舌打ちをする。こんな事なら一日休めばよかったぜ。それをこいつらがあの女の姿が見てぇというし、俺もまあどんな風に接触してくるのか興味もあったんだけどよぉ。だが全然接触しねぇじゃねぇか。何で休み時間の度に廊下に出てあいつが来るのを待ったり、そ...

  • 5

    つくしは担任に案内され教室へ向かう。そして中に入ると同時に皆の視線が集まる。幾度となく転校を繰り返してきたつくしだが、やはり最初は緊張する。「今日からこのクラスの一員になる牧野つくしさんだ。 イギリスから来られたばかりだ。 皆、色々教えてあげて欲しい。 じゃあ自己紹介をしてもらおうか。」「はい。 牧野つくしです。 よろしくお願いします。」「じゃあ席はあそこへ。」「はい。」朝のホームルームとオンライ...

  • 4

    英徳が近づくにつれやけに車が多いと感じるつくし。それが門に向かって続いている事に気づくまでそう時間はかからなかった。左車線を車がのろのろと走り、それがまっすぐ門へと続いている為だ。しかも後部座席には英徳の制服を身にまとった人が乗っている。なんで?つくしはネットで調べた日本の通学風景と違うと感じる。ネットでは日本は小学生から子供達だけで登校していると書かれていた。もちろん帰りも子供達だけで帰る。親が...

  • 3

    1月つくしは英徳の制服に身を包み、髪を二つに分けみつあみにする。それはネットで見つけた「やまとなでしこ髪形」と言う物を参考にした。そして眼鏡をかけた。『ママ。 どう? おかしなところはない?』『おはよう。 えっ? どうしたの?』『やまとなでしこに見える髪型らしいから。』母親のオリビアは驚くものの『やまとなでしこ』と言われたら何も言えない。父親のルーカスの仕事の都合で各国で暮らしてきたブラウン家。そ...

  • 2

    道明寺邸のリビングでは要とルーカス、オリビアが和やかに談笑していた。『それにしてもつくしちゃんはかなり美しく成長したなぁ。 確かにルーカスが自慢するだけの事はある。』『だろう? 自慢の娘なんだ。』『お前から養子を取ると聞いた時は驚いたし、つくしちゃんの姿を見た時の衝撃は今も忘れられない。 年齢の割にかなり小さく細かったし、大人しそうな感じを受けたからなぁ。』『私も同じだった。 だがリアムがどうして...

  • 1

    12月28日つくしは緊張した面持ちで両親の後について道明寺邸の門を潜った。『つくし、覚えているかい? 14年ほど前になるか? この家に来た事があるんだが。』つくしは庭に目を向ける。そこにはバラの花は咲いていない物の、バラと思われる垣根が庭一帯を覆っている。『バラを覚えてる。 お兄ちゃんと一緒にバラを見た記憶がある。』『あの時はつくしを引き取ってまだ10日ほどだったかな? 会話もままならず、兄のリア...

  • 47

    ヒュンッ類は自分のいた2024年11月に戻る。そこにはボックス型のタイムマシンがあるが葵の姿はない。ただ中にメモが残されていた。【パパへ。 机の左の引き出しの中にあるLOVE48という雑誌はあたしが結婚する時にプレゼントしてね。習得したいから。 葵】その文面にフッと笑う。そして無事未来へ戻ったと感じる。その未来の葵に心の中で告げる。――ありがとう。葵。プレゼントするよ。そして自分の腕を見る。そこにあった腕時計型...

  • 46

    2024年10月つくしの叫び声に、使用人やボディガードなどが飛んでくる。「中に、、中に、、」つくしは葵を抱きかかえ震えている。そのつくしと葵を使用人が守るように囲み、ボディガード数人が室内に入る。するとバスルームからうめき声のような物が聞こえる。そこに向かうと、右手を押さえ丸まるように蹲っている男がいる。その隅には刃物がある。一人のボディガードはすぐに刃物を取る。もう一人のボディガードは蹲っている男を見...

  • 45

    二人の耳には小山田の自慢話が聞こえている。《君の数々の理論や数式からタイムマシンを作る俺って天才だろ?君にもできなかったタイムマシンが作れたんだから。それなのに単なる大学教授。数々の論文を発表しても夢物語と誰も取り合ってくれない。おかしいと思うだろ?さぁ無駄話は終わりだ。 移動が終わったらそのデータをこちらに投げろ。》《もう良いでしょ! 葵を返して!》二人の耳にはつくしの緊張感がリアルに伝わる。そ...

  • 44

    ヒュンッ類と葵は、類とつくしの部屋に現れた。「過去に来れたかな?」「シッ!」類は葵の口を止める。隣の葵の部屋から声が聞こえるからだ。《ママ。 パパ。 あ~お。》《凄く似てる。 パパも凄く喜ぶと思うよ。》《あ~お、マ~マ。 パパ。 目目。》《口は?チュッするところは?》《笑ってるね。》《うん。》《良く描けてる。パパに見せた後に飾ってもらおう?》《うん。》二人はお絵描きをしていると分かる。「お絵描きを...

  • 43

    2024年11月類はぐっすり眠っている葵の髪を優しく撫でる。頭の中はまだ整理がつかない。つくしが亡くなって一か月が経とうとしているのに、なんで僅かな証拠すら出てこないんだ?なんで自殺と決めつけるんだ?何度思い出しても朝は普通だった。週末に動物園に行くことを喜んでくれた。笑顔で葵と共に送り出してくれた。そこに悩みを抱えている素振りは全くなかった。だから絶対に自殺じゃないのに、、。ねぇ葵。何か見てない?誰が...

  • 42

    葵は、腕時計とカッターを手に自分の部屋へ戻る。そしてパソコンを立ち上げ、そのマイクロチップを差し込んだ。すると中にはファイルが三つ入っている。一つ目をクリックするとそこには『二酸化炭素から電気に変換する方法』というタイトルと共に、数式のような物や説明書きがずらずらと出てくる。「これって、、、MIMASAKAが開発した物?」そう呟くが明らかにおかしいと感じる。ママは10年前に亡くなった。という事は10年前に...

  • 41

    翌朝、類は仕事へ行くことに。葵は週明けから学校へ行くことになっている。「今日中に荷物の片づけを終わらせること。」「分かってる。」「一人になるけど大丈夫?」「もちろん。佳代さんや使用人さんがいるしね。困ったことがあれば誰かに聞くよ。」「ん。 それと今夜は遅くなる。 夕食は先に食べておいて?」「分かった。」葵は類に手を振り、類は車に乗って仕事へと向かった。車が見えなくなったあと、葵は踵を返す。そして佳...

  • 40

    翌日、類と葵は英徳への編入手続きの為学校へ向かった。事務手続きをしていると学園長が在宅という事で挨拶をするために二人で向かう。「お久しぶりです。」「花沢さん。お元気でしたか?」「なんとか。」「そちらが娘さんですね?」「はい。葵と言います。」「そうですか。奥さまによく似ておられますね。」「はい。凄く。」「中学一年への編入になりますが。」中学一年と聞き、葵は思わず大きな声を出す。「えっ?なんで中学一年...

  • 39

    葵は類の腕の中から顔を上げる。「パパ。 あの隔離部屋を見せてくれる? それとバスルームも。 何か思い出すかもしれないし。」「良いよ。」類は隔離部屋に暗証番号を入力するとロックが開く。そしてゆっくりとドアを開いた。中には机と椅子と本棚、そしてパソコンが一台残っている。「この部屋には監視カメラはなかったんだよね?」「情報流出を防ぐためにつけなかった。 パソコンもネットに繋がなかったしね。」「パパたちの...

  • 38

    ソファーに置かれたイルカ。それを見た時にそのイルカを大事に抱えたつくしが見えたような気がして、類は目元を押さえる。十年が経過したというのにまだ色濃くつくしの姿を思い出してしまう。もう大丈夫だろうと思って帰国したのに全然駄目だ。きっとベッドに横になってもつくしの温もりを探して眠れなくなるかもしれない。すると葵が再び声を上げた。「あっ、あれは何?」類は葵が指差す方を見る。それは隔離部屋を指している。類...

  • 37

    2034年10月日本の花沢邸に着いた類と葵。「覚えてる?」「全く覚えてない。」断言する葵に類は苦笑する。もちろんそうしたくてフランスへ連れて行った。辛い記憶を忘れてほしくて。すると佳代が出てきた。「お帰りなさいませ。類様、葵様。」「ただいま。」「ただいま戻りました。」類の記憶よりも数段老けた佳代の姿に、10年という長い月日を噛み締める。それは佳代も同じようだ。葵の姿に涙している。「申し訳ございません。 ...

  • 36

    2034年9月あれから約10年が経とうとしている。類は34歳、葵は12月で13歳になる。今もフランスで暮らしているが、そろそろ日本へ戻ろうかと考えていた。「パパ。おばあちゃま。行ってきます。」「行ってらっしゃい。」「気をつけて。」葵は類に手を振り元気よく家を出て学校へ向かう。もちろん花沢の車での送り迎えだ。「いつも元気よねぇ。」「ん。それでそろそろ日本へ戻ろうと思う。 ここの教育はオープン過ぎてさ。 ...

  • 35

    類は仕事へ行く日になった。すると葵が泣き始め、類から離れない。「いや。パパ。パパ。」首を振り必死に縋りつく葵を、類は優しく抱きしめる。「仕事が終わったら帰ってくるから。絶対に帰ってくる。葵を一人にはしないから。」麗も葵に諭しながら葵を受け取ろうと手を差し出す。「パパが帰って来るまでおばあちゃまと一緒に遊びましょう?お絵描きしましょうか?葵ちゃん凄く上手だものね。」だが葵は麗の手を取ろうとしない。そ...

  • あけましておめでとうございます 2024

    あけましておめでとうございます。今連載中の『15 years story』ですが、まさかこんな展開で正月を迎えるとは思いませんでした。明るい話で年を迎えたかったところですが申し訳ありません。ですがこのままで終わるはずがないので、お時間のある時にぜひお越しください。類つくを書き始め沢山の作品が生まれました。なんと、10年も書いているんです(笑)こんなに書いていると昔の作品を忘れ、同じような展開も増えてきたように思い...

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