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2017/11/17

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  • 156

    その日、麗は初めて葉山に泊まる事にした。まだまだ話し足りないという理由だが、着替えを持参していた事から初めから泊まるつもりだったと分かる。もちろん、つくしに異論はない。既にここは麗の持ち物だ。だが類はいい気はしない。ハッキリ言って邪魔だ。もちろん葬儀後、家ではイチャ着いていないし、キスすらしていない。でも手を繋いで寝る時間は嬉しいし、布団に入ってからたわいもない会話も楽しい。何より少しずつ明るくな...

  • 155

    麗は机の上に細長い小箱を置いた。見るからにアクセサリーが入っているようなビロード生地の箱だ。類とつくしは高級アクセサリーを預けたのだろうと瞬時に思う。「これよ。 開けてみて。」つくしは箱を手に取るとそっと開ける。中からは四葉のクローバーのペンダントトップが付いたネックレス。その四つ葉には色の違う石が填め込まれている。「その石に見覚えはないかしら?」「記憶にないですけど、おばあちゃんの宝石ですか?」...

  • 154

    お墓参りの後、そのまま寺で初盆の法要をしてもらう。その全てを麗が準備していた事に類は驚く。もちろん参列者は三人のみ。お布施も牧野つくし名で用意しており、麗が僧侶にお礼と共に手渡した。そして家に戻ると運転手から仕出し弁当を受け取る。「これも用意していたんだ。」「えぇ。 昼は過ぎたけど法要の時はどこかで食事をするか仕出し弁当を食べるものでしょ?三人だし家でゆっくりの方がいいかな?と思って。」「法要とか...

  • 153

    類は田村と別れた後、その足で葉山へ向かった。今日は日帰りで都内の主要取引先へ向かった。それでも数社をはしごして帰宅したのは19時を回っている。祖母の葬儀後、つくしを一人にするのは初めてで心配していたが、明るく出迎えてくれホッとする。「お帰り。 お疲れ様。 ご飯食べるよね?」「ただいま。 食べる。」類はジャケットを脱ぎネクタイを外す。そこにつくしが夕食の冷麺と餃子を置いた。「今日も暑かったけど、ジャ...

  • 152

    「ホントに一緒に行かない?」「うん。 だっておばあちゃんを一人にしたくないから。」類は困った表情だ。テストが行われている時から、一緒にヨーロッパに行こうと誘っているのだが、ずっと拒否されている。その理由が、祖母を一人にしたくないという物。四十九日もまだ済んでいないのに長期間家を空けられないという。分からないでもないが約二週間も一人にさせたくないという気持ちがあり、類もなかなか引き下がれない。「それ...

  • 151

    総二郎のお茶をいただいた二人は会場を出る。すると総二郎の付き人が二人に声をかけた。「花沢様。 牧野様。 お越しいただきありがとうございます。」「いや、こちらこそ招待ありがとう。」「この後のご予定はありますか? もしお時間があるようでしたら助けていただけませんか?」類とつくしは顔を見合わせる。この後、とくに予定はない。横浜の街をぶらぶらしようにも着物では歩きにくいし暑い。どこかで食事してさっさと帰ろ...

  • 150

    テストが終わるまで二人は仲良く登校し、終われば一緒に葉山に帰った。類はつくしのテストに合わせ大学に来ることになり、空き時間はラウンジで過ごす。つくしも類のテストが終わるまで図書館で過ごす。初めは妬み僻みで見ていた人たちも、二人の様子に応援する人も見られるようになった。日本を代表する御曹司であっても、こうして普通の人に目を向け恋愛できるという良い見本と捉えられた形だ。そしてテストが無事終了し夏休みに...

  • 149

    月曜日。つくしと類は共に花沢の車で大学へ向かった。一週間後には前期テストがある。その範囲などが今週発表されるからだ。もちろん忌引き休暇は終わっている。大学卒業は祖母の願いでもある為、留年することなく卒業したい。大学に着き、車から降りる類。「きゃ~」と言う奇声が上がる中、次につくしが姿を現すと奇声はピタリと止まりひそひそ話に代わる。もちろんこういう反応になる事は想定済み。類はつくしの手を取ると歩き始...

  • 148

    一週間大学を休み、部屋の片づけを行っている。祖母の箪笥の隠し扉には類もビックリした。そして中には宝石が残されており、それはつくしが譲り受けることにした。箪笥の中の衣類は手つかずで、着物だけが無くなっていた。祖母の言葉通りになっている事に、類はやるせない気持ちだ。変に財産があると揉めると聞くが、それを目の当たりにした。自分は一人っ子だが、司やあきら、総二郎の所が少々心配になる。「仏壇と墓は希望通り一...

  • 147

    佳代が葉山に夕食と朝食を持ってきた。そして運転手と共に仏壇に手を合わせる。「牧野様。 暫く食事はお届けしますのでゆっくりされて下さい。寝られていないでしょう?」「ありがとうございます。 急な事でバタバタしてて。」「一人じゃありませんから。 私も付いております。 いつでもご連絡くださいませ。」「ありがとうございます。」つくしは、こうして心配してくれる人が沢山出来たのも祖母のおかげだと思う。一人になら...

  • 146

    信夫が鍵を置き、家族そろって帰って行った。弁護士は鞄の中から一通の封書を取り出す。「こちらは初江様から預かっておりました。」封書には<つくしへ>と書かれている。「二年前、奥さまがこちらを訪れた時、この家と土地だけは牧野様に残したいとおっしゃられたそうです。ですがこの土地と家屋にかかる固定資産税が高く、それを牧野様に背負わせることに悩んでおられました。そこで奥さまが買い取りました。そのお金で50年間...

  • 145

    「俺と牧野は許嫁で恋人同士だよ!」「「「「えっ!!」」」」類の爆弾発言に篠田家の四人は驚き固まる。そして今度は弁護士が話を引き継ぐ形で話し始めた。「それでは篠田初江さんの遺言を開けさせていただきます。」「遺言? そんな物まで用意していたのか。」「こちらは正式な物ですのでいかなる抗議もお受け出来ません。」そう言いながら弁護士は封を開ける。「<1,篠田初江の葬儀にかかった費用はすべて初江本人の預金から...

  • 144

    祖母の弁護士と聞き、つくしは玄関で出迎える。すると初めて見る男性が現れた。「初めまして。 牧野です。 あのっ、おばあちゃんの弁護士の方ですか?」「はい。 初めまして。 北村と申します。」北村は名刺を取り出すとつくしに渡す。それを見ると肩書に目がいった。<花沢物産顧問弁護士>と書いているからだ。はっ!と顔をあげると、弁護士の後ろに類が立っている。「るい、、、。」「ん。 ただいま。 大事な時に傍に居ら...

  • 143

    お通夜、葬儀、共につくしは親族末席に居た。会社関係が多くを占める弔問客の中で、杖を突き他の使用人と共に来たタマ、華道の西園寺流山岸師範、そして佳代の姿が分かり、つくしは頭を下げた。もちろんその人たちも、つくしの憔悴した姿を見て、手を取り励ましの言葉をかけた。皆が涙を流す中、つくしは気丈にも泣く事はなくお礼の言葉を告げた。荼毘に付される間、信夫たちは食事をしていたが、つくしはとても食べる気にはなれず...

  • 142

    類の元に連絡があったのは、昼を過ぎた頃だった。しかも連絡をしたのは麗だ。その時点で類は嫌な予感がした。『類君。 つくしちゃんのお婆さんが今朝亡くなられたの。』やっぱり、、、と言う思いと同時に、牧野の事が心配になる。だが今は動けない。『お通夜は明日土曜日の18時。 葬儀告別式は日曜日の11時からよ。喪主は長男の信夫。 篠田産業社長の母親の葬儀となるからそれなりに大きなものになるんじゃないかしら?それ...

  • 16

    類とつくしは、両親と牧野家の三人との式を挙げた。それは愛が爆発して二週間後の事だ。そしてその翌日、大学で三人に報告する。それには三人も驚いた。「はあ? 入籍した? しかも結婚式も挙げた?」「ん。 だってお腹が大きくなるまでにやっておきたかったし。」「だったら子供が生まれてから式を挙げても良かったんじゃね?」「それも良いんだけど他の人につくしのウエディングドレスを見られたくないから。 俺だけの目に焼...

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