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本棚のすき間でつかまえて https://tsuccy1209.hatenablog.com/

読書感想ばかりを書いているブログです。

海外翻訳本を好んでよく読みます。科学・物理も時々やります。哲学も少しかじります。

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2017/03/22

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  • プラトン「メノン」 翻訳:藤沢令夫

    徳とは何か? プラトン著「メノン」を読みました。メノンとは人の名前――、彼はゴルギアスという弁論術の大家から教えを受けていて、既に色々と知っているつもりになっている若者です。今作のとっかかりはこう――、メノンがソクラテスに聞くんです。「徳とは人に教えることができるものか? できないならば訓練で身に着けるのか? そうでなければ生まれつきの素質か? それとも他の出どころがあるものか?」と。対してソクラテスは言います。そもそも徳とは何なのか? そして徳についての考察が始まります。徳とは何でしょう? 僕の場合、道徳的なこと、社会的に善であることと言った何だか漠然としたものを思い浮かべます。ただ今作にお…

  • チャールズ・ブコウスキー「パルプ」 翻訳:柴田元幸

    男は「最高!」と言い、女は「最低!」と言う コレクションとして本棚に並べるために買った1冊。以前に図書館で借りて読んだことがあったので、この本は棚へと直行するはずだったのに……、つい1ページ目をパラっと開いたが最後、止まらなくなりました。ということで再読しました。この小説は面白い。というか面白過ぎる。あとがきで「チャールズ・ブコウスキーの遺作にして最高傑作」と書いていたけれども最高かどうかば別として傑作だと思います。 ブコウスキーは50歳から作家業に専念して50作に及ぶ著作を発表しています。短編が味わい深いのでまだブコウスキーを読まれていない方はまず「町でいちばんの美女」(短編集)あたりから入…

  • コ―マック・マッカーシー「チャイルド・オブ・ゴッド」 翻訳:黒原敏行

    文学的に美しく描かれる殺人 今作は1960年代にアメリカで実際に起きた連続殺人事件をモチーフにした作品です。この手の事実を元にした小説はいろいろあると思いますが、僕が読んだ作品のなかでパッと思いだせるのはトゥルーマン・カポーティの「冷血」。マイケル・ギルモアの「心臓を貫かれて」あたり。ちなみにこの2作は徹底した取材によって作りあげられたノンフィクション・ノベル(ちなみに「心臓を貫かれて」に関しては殺人者である兄を実の弟が描くというもの)――、なのでドキュメントタッチであり、真実に則して描こうとする意図を強く感じる作品だったけれども、今作「チャイルド・オブ・ゴッド」は、どちらかというと著者の創作…

  • ホーソーン「緋文字」 翻訳:八木敏雄

    とあるモチーフがある話 古典を読むことの面白さは、時代がかわっても変わらない人間の普遍的な何かに気がつかされるあたりだと思います。今作、出版されたのが1850年ですが――、著者ホーソーンが描いたのは1650年ころのアメリカについて。1650年頃(17世紀半ば)と言えばイギリスからの入植者達がアメリカに根をおろしてから50年程度が経過したころの話になります。今作の構成ですが――、まず現在(19世紀)からスタートして過去(17世紀)を振り返り、また現在(19世紀)に戻ってくるという流れです。というのも冒頭で著者であるホーソーンが、勤めていた税関の二階でホコリを被った「緋文字」の記録を見つけてしまう…

  • イタロ・カルヴィーノ「レ・コスミコミケ」 翻訳:米川良夫

    12編からなる短編集。短編の感想はどう書いたらよいものか……律儀に一遍を読み終えるたびに感想を書いていたら、ずいぶんとボリュームのあるものになってしまった(それでいて1編あたりの書き込みは少ないので内容は中途半端)。短編の感想をどう書くのかは今後の課題とします。とりあえず1編1編で感想を書きましたのでアップします。 【月の距離】これは主人公Qfwfq老人が語る昔話のひとつです。その昔、月と地球の距離がとても近かったころの話。それも一番近づくときには月の引力によって海が満ちて盛り上がり、手を伸ばせば届きそうなくらいにまでに……、と書くと比喩? と思われそうですが、そうではなく、リアルに手が届く位…

  • アーネスト・ヘミングウェイ「老人と海」 翻訳:福田恆存

    とある老人の尊厳の物語 再読です。僕の心のなかにある「いつか読み直したいリスト」の上位にあった今作――、ヘミングウェイと言えば、まっさきに思い浮かぶ今作。人気作家故にいろいろと揶揄されるヘミングウェイですが――、しかしヘミングウェイという名前はもはやアメリカ文学の古典として揺るぎない地位を占め、読んでみればそのふところの広さを味わうことが出来る、まさにアメリカらしいアメリカ文学。 あらためて読んでみての感想ですが、これは尊厳の物語なのだと思いました。八十五日間漁に出て、何も獲ることが出来なかった老人は、腕が衰えもはや漁師としては終わりを向かえたかのように見られていた。これまでずっと老人に付き従…

  • プラトン「ゴルギアス」 翻訳:加来彰俊

    今作のテーマは弁論術について プラトン著「ゴルギアス」を読みました。ゴルギアスとは人の名前――、古代ギリシアにおける弁論術の第一人者です。彼は多くの生徒を教えていて「弁論によっていかに人々を従わせることが出来るか」の技術を磨いていた人物。ということで今作のテーマは「弁論術の本質と是非」が問われる話。プラトンの著作と言えば「知について」「エロスについて」「徳について」「魂の不死について」など、どちらかというと形而上(感性的経験では知り得ないもの)の究極を目指す話が多いのですが、今作は「弁論について」――、なので身近であり少し生々しい内容でした。 弁論術とは何か? まず今作で言う弁論術とは何なのか…

  • オラシオ・カステジャーノス・モヤ「無分別」 翻訳:細野豊

    真実という重み…… 翻訳者によるあとがきを読むと、この作品の持つ重みが変わってくる。この作品の内容はとある男が千百枚にも及ぶ虐殺の記録原稿を整理編集するというもの。その虐殺というのはグアテマラで36年間という長さに及ぶ内戦の中でマヤ族という民族に行われた虐殺。軍がひとつの民族を根絶やしにしようとした事実。記録によると626の村が破壊され、死者・行方不明者は20万人以上。避難民150万人。国外避難民15万人。総人口の1000万人のうち20%が被害者となった――、という事実を元にした話なんです。終結が1996年だから、ついこの間のこと……、さらに辛い事実として虐殺の実行犯たちは今なお権力の座に居座…

  • オルハン・パムク「わたしの名は赤」 翻訳:宮下遼

    わたしの名は赤〔新訳版〕 (上) (ハヤカワepi文庫) 作者: オルハンパムク,Orhan Pamuk,宮下遼 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2012/01/25 メディア: 新書 購入: 3人 クリック: 6回 この商品を含むブログ (18件) を見る 異国情緒あるれる文学 著者、オルハン・パムクはトルコ人作家です。2006年にノーベル賞を受賞しています(トルコ人初)。今作はフランスで最優秀海外文学賞、その他アイルランド、イタリアで文学賞を受賞しているようです。 今作の舞台となるのは16世紀末のイスタンブール。皇帝の命令により秘密裏に細密画が描かれることとなった。しかしその画に関…

  • これまでの感想一覧

    これまでに書いた読書感想記事を一覧にしています。 カテゴリー別にまとめて過去の記事に移行するようにリンク付けしました。 海外文学(翻訳本)が中心です。 もしよければ覗いて見て下さい。

  • トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」 翻訳:志村正雄

    難解と言われるピンチョン。何が解らなかったのか? 2回読みました。それでもしっかりと把握出来た感じはしない。ピンチョンと言えば難解と言われますが、今作はそのなかで一番簡単な作品のようなんです。だけどやっぱり難しい……、たぶん噛みしめながら読んでいけば解るのだとは思います。ただ読者を手こずらせるのは次々と切り替わっていく展開や、何かを暗喩しているのかと思わせるモチーフの数々。思わせぶりな感じ――、このワードが出てきたことにどんな意味があるのか? と深読みしたくなる感じはある(いや、実際に意味があるから奥深い)。描写は限りなく必要最低限。だから主人公の心の機微がどっち側にあるのかがその瞬間には解ら…

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