〈Fー3 最後の賭け〉 「馬鹿なことを言っちゃいけません。ご主人の今の状態では、空港にすら行けませんよ。仮に、行けたとしても、飛行機に、絶対搭乗させてもらえ…
生体肝移植・人工透析・生体腎移植を乗り越えて社会復帰を果たした夫婦の軌跡をドナーが綴っていきます。
「ダブル移植の語り部」、このタイトルを見て、「どういうこと?」と思われる方がほとんどでしょう。「ダブル移植」には二重の意味があります。 ひとつは、生体臓器移植を一人の人間が2回(生体肝移植と生体腎移植)行っている、という事。もうひとつは、一人の人間が生体臓器提供者、いわゆる「ドナー」となって、2回移植手術を受けている、という事。 これが、「ダブル移植の語り部」という変わったタイトルの内実です。
その後今度は、腎移植を希望し、腎移植に関する情報を得ましたが、腎移植のハードルも、異様に高くて、「献体ドナーによる移植登録をしても、順番が回ってきて、献腎移…
確かに、生体ドナーやレシピエントを、希望する方々にとっては、私のような者でも、詳細な説明をしたり、背中を押したりして、多少なりとも、当事者の不安に寄り添う存…
だからこそ…一人でも多くの患者とそのご家族に、同じような再生のチャンスを、与えてほしい!と、ずっと願ってきました。 生体ドナーを二度体験した私に出来ることと…
→修復腎移植は、単なる移植とは異なり、摘出した病気腎の、病巣を取り除いて移植するため、熟練した技術を要する。そういった移植術を、習得している移植医は、限定的…
ドナーがいなければ、移植手術は成立しない。→ドナーには、生体ドナーと、献体ドナー(心臓死ドナーor脳死ドナー)そして、修復腎ドナー(これは主に、腎臓という臓…
当時の日本移植学会幹部の殆どは、修復腎移植の正当性や先見性が、医学的に検証されたにもかかわらず、万波先生に、謝罪すらしないどころか、「今は、ロボット手術が、…
「さあ、これからは、修復腎移植の時代だぞ!」と、喜んだ私たちでしたが、膠着状態だった、この10年余りの間に、修復腎移植手術を阻む、大きな大きなハードルが、知…
先日も、このブログで述べたように、「修復腎移植」という、第3の移植方法は、世界からも絶賛される移植方法でした。 この移植方法が広がれば、「生体ドナーがいない…
繰り返しになりますが、臓器移植手術には、医師と患者(レシピエント)に加え、ドナー(臓器提供者)が不可欠です。また、医師と言っても、誰もが出来るわけではなく、…
他にも、『えひめ移植者の会』には、移植腎が、40年近く、長期生着している方が、お二人いて、彼らを見ていると、「30年~40年間、機能し続けるのも、可能だぞ!…
私たちは、愛媛県宇和島市で、万波誠先生という、腎移植の草分けであり、修復腎移植の中心となって、移植を続けてこられた、泌尿器科の名医に直訴することにより、生体…
私自身は、ドナーという、臓器提供者の立場しか、経験したことは、ありませんが、夫が、肝硬変末期で、苦しむ姿を見てきた上に、突然、腎不全にもなり、人工透析生活を…
人工透析医療は、「壊れてしまったエンジン(機能不全に陥ってしまった腎臓)に、緊急メンテナンスをして、一両日は、エンジンが、なんとか動くようにする」といった、…
ちなみに、成人男性の、クレアチニン値の上限は、おおよそ〈1,1〉となっていますから、仮に、健常者が血液検査で、〈1,5〉を超える値が出たなら、腎臓病の重篤な…
そう、ホンネを言えば、誰だって、健康人と変わらずに、好きなものを飲んだり食べたりしたいし、仕事だって、通常勤務が出来るようになりたい、そう願っている筈です。…
「人工透析でいい」と思っている方は、実際にいらっしゃいますし、その方は、それで良いのかもしれません。ですが、「ドナーがいさえすれば、移植手術を受けて、今の状…
その上、透析生活中は、日々の節制が、欠かせません。水分制限や、リン・カリウムを控える食事。…本人はもちろんですが、家族も、絶えず気を配らねばなりません。家族…
血液透析とは、決して、「ベッドに横たわっているだけの楽な作業」ではないのだと分かり、「夫の長い昼寝」の訳が、やっと判明しました。 透析のある日は、自宅に戻っ…
退院して自宅に戻った当時の夫は、月・水・金の午前8時になると、自宅を出て、マンションの入り口に来る、『人工透析クリニックの送迎車』に、乗り込んでいました。 …
そんな劇的な回復の一部始終を、私は、間近で見てきましたから、「腎臓も、ひとつ夫に提供できたなら、今度も夫が、健康人と殆ど違わぬ身体状況を手に入れ、また、昔の…
肝移植手術後、一年経った頃、夫が、大学病院での移植医の診察を、受けた時に、移植医は、「肝臓は、非常に順調。腎臓の方は、人工透析をしているからね」(→血液検査…
そして、そうした主張を鵜吞みにした、厚生労働省によって、修復腎移植は、急きょ禁止されてしまいます。 ドナーのいない腎不全の患者が、心待ちにしていた、修復腎移…
「人工透析は辛すぎるから、助けてほしい!」という、患者の必死の願いに応じようと、一部の腎移植医たちが、協力して取り組んでいたのが、廃棄される腎臓の、悪い部分…
独身世帯・二人世帯・家族はいるが疎遠、一度移植した腎臓がダメになったが、もうドナーはいない…などなど。「ドナーがいない」「ドナーがいなければ、早晩命がついえ…
小学校入学時に、親から腎臓を貰って、移植した女の子は、この先、生き続ける為には、どうしても、生涯にあと二回程、ドナーからの腎臓の提供が、必要となります。さも…
夫は、人工透析を受けなかったら、急性腎不全を克服できずに、敗血症で、亡くなっていた可能性が高く、その後、車イス生活から復帰できたのも、人工透析医療という支え…
夫のその様子を、ずっと間近で見てきた私は、「どうしても、移植をしてあげたい!」と、切望するようになりました。 前年に、生体肝移植手術のドナーになった私は、「…
或いは、移植に詳しい、専門分野の移植コーディネーターでさえも、「将来、移植腎がダメになったことを考えて、移植を(今やるのではなく)先延ばしにした方が、いいん…
昔は、移植腎臓が機能するのは、「10年程度」と言われていたそうです。ですがその後、急進展していきます。 2000年以降、処方されるようになった免疫抑制剤の、…
夫もそうでしたが、臓器移植手術を体験した方は、異口同音に、『生まれ変わり感』を、口にします。「生活の内実が、劇的に向上した」とか、「顔の表情が、見違えるほど…
移植手術には、「生と死の分水嶺になる」という、極めて重要な特質があるばかりではなく、辛さや疲労、閉塞感を、一気に断ち切る威力があります。 愛媛県伊予市在住の…
夫の感動は、それだけにとどまりませんでした。生涯続けなければならないと、諦めていた、『週に3回、半日以上かけて通院する人工透析生活』が、移植手術を受けたこの…
約35万人という、膨大な数の腎不全患者の方々が、どんな心境で、どんな身体状況で、週に3回、4時間以上に及ぶ、人工透析医療を、受けているのか?移植手術を、どの…
人工透析医療は、確かに、命を救ってくれる、優れた医療です。人間の臓器の中で、唯一腎臓だけが、機能不全になっても、人工透析医療を、受け続ければ、何年も(人によ…
人工透析は、別名〈人工腎臓〉とも呼ばれているように、腎機能の中でも、最も生命に影響を与えると云われる、「血液浄化機能・血液ろ過機能」を、代替してくれます。 …
このように、肝臓は(私のように、全体の3分の2を占める右葉を摘出しても)その後、元通りの大きさと正常値に戻り、それからの人生を、殆どのドナーは、不安なく過ご…
「悪いのは、肝臓だったはずなのに…なぜ、人工透析を、一生続けなければならないの?」 何しろ、こんな想定外のアクシデントが起きなければ、夫の腎機能は、バッチリ…
私たち夫婦が体験した、二回の生体臓器移植手術は、〈肝臓〉と〈腎臓〉に対して、行われましたが、世界的に見ても、移植手術の殆どは、私たちも受けた、腎臓移植手術で…
夫の〈夢のような再生〉が叶ったのも、「生体ドナー」の私が、存在したからです。その意味では、私が、この6年余り続けてきた、「移植支援活動」も、正確に言うと、『…
移植手術を断られたなら、半年余りで夫は、あの世へ旅立ってしまうと、判明しているのですから、たとえ成功率が、20%でも30%でも、生き還る方向にチャレンジして…
「症例のない手術なので、今回、奥さんをドナーにしての手術は、見合わせることになりました」という、移植主治医からの断り文句で使われた『症例のない手術』… 私は…
当時(2014年春)余命半年程度と告げられた、肝硬変末期の夫を救いたいと、ドナー検査を受けた家族は、(健康であるにもかかわらず)全員「NO」を、突き付けられ…
一方で、「けれどもせめて、患者(や患者家族)にとって、かすかな希望が持てる道を、示そう。それが、医師としての心配りであり、同時に、ドナー候補にダメ出しをした…
移植主治医は、「ほとんど全ての末期患者は、ドナーが現れるのを待ちながら、亡くなっていくのですよ」という言葉を、私との一対一の最終面談において、諭すように口に…
私が、生体肝移植手術のドナーになったのは、このような諸事情で、「生体ドナーでなければ、危機的な夫の命を救えない」という、選択の余地のない、切迫した状況に置か…
しかもその上、「せっかく献体ドナーが出ても、あまり肝臓の状態が良くないケースもあり、その場合は、パスする方も多いです」なんて、ますますガッカリすることまで、…
腹水には、身体に必要な成分も含まれているのだと、医師に、教えられましたが、だからといって、もはや、腹水除去をやめることも出来ません。 「身体のコントロールが…
移植をしなければ、命がついえてしまう程の、臓器不全間近の患者が、どれほど苦しい毎日を送っているかを、私自身は「夫」を通して、見てきました。 最初の頃は、「治…
そして、その限界(ドナーがいない)は、私の中では、日増しに、強く感じられるようになっていたのです。 当初私は、「献体ドナー(心臓死や脳死による臓器提供者)が…
そして何よりも!「移植に、一歩踏み出せば、起死回生の生まれ変わりが出来るんだ、という情報を広めて、重病患者や家族の方々の、後押しをしたい」と、思ったから。 …
そうしたブログ活動と並行して、移植に関するご相談に、答えたり、刻一刻と変容する、重篤患者の方々の病状報告に、対応したり、読者の方々の移植体験を伺ったり、とい…
もともと新章では、私たち夫婦の、結婚以来14回に及ぶ、引っ越し人生のことや、一昨年末に完成した家(実体はウサギ小屋)の建築にまつわるドタバタ騒動のことなどを…
【万波本家は江戸期大庄屋】 江戸時代には、万波本家は大庄屋で、二つの万波分家も庄屋となり、その一つが、万波先生の実家である。私が万波先生から聞いた話によると…
話はさかのぼって、あれは多分、1980年代のこと。手術後、一服中の、移植手術応援の先生と万波先生の、会話である。 「頼まれた刀、家から一本持って来とるで、今…
万波論文「腎移植の進歩」によると、透析中の休業・失業率は、じつに64%に達する。金銭には無頓着で、人情家だった先生は、困窮して苦悩する患者さんの要請を、断り…
ある日のこと、万波先生が、ヌーッと、院長室にあらわれた。 「せんせ、ドイツ製の電気メスいうのがあって、ごっつうエエんですわ。あれ買うてもらえませんか」「医局…
驚いたことに、この「宇和島腎移植シンポ」には、中四国の関係者だけでなく、静岡・九州・沖縄からも、参加者が駆けつけてこられた。片田舎の宇和島でも、時代の大きな…
病気腎(修復腎)移植事件の渦中でも、冗談をとばし、明るくて飄々とした、万波先生の外貌から、その内面の苦衷を推しはかることは、困難だったが、病院の管理者として…
移植成績はひとえに、ドナーとレシピエントの、相性の良さにかかっていたし、簡単にレシピエントの命を奪った、「拒絶反応」を回避する研究の成果も、無きにひとしかっ…
そのうちに、万波先生は、腎臓摘出の助手も務めるようになり、手術の手際の良さに、ベルツアー部長は、移植チームのなかに、先生を組み入れたようだ。 手術能力は、生…
こうして、ひょうたんから出た駒が、時代の流れに乗って、駆けはじめたのである。 「それで、アメリカ行きのファンドは、取ってあるの?」「そんなものはあらせん。自…
「ほんならセンセ、わしな、広大移植外科に、移植免疫の研究しょーる野球友達がおって、それが、免疫検査は引き受けてやる、言うとるんですわ。それに、岡大の泌尿器科…
【腎移植を勉強したい】 1975年(昭和50年)、万波先生は、市立宇和島病院泌尿器科長だった。 「わしゃ病院辞めさせてください」「なんで、また藪から棒に」「…
…それほど貴重ですし、「知られざる万波誠像が、時代を超えて、活き活きと蘇ってくる話」が満載の、素晴らしい文章です。 『栴檀(せんだん)は双葉より芳し』と言い…
昨日「さようなら 万波誠先生」の章は、終了しました。ところが、この章の原稿を入稿し終えた、昨年末になって、突然、『万波先生に関するとんでもない逸話』が、飛び…
…あれから、7年半。私たち夫婦は、二人とも健康体で、活き活きとした毎日を、送っています。 万波先生、あなたのお陰です。あなたは、私の、「二度目のドナーになりた…
生体肝移植手術を受けた日と、生体腎移植手術を受けた日。この二つの日は、私の人生の中で、他のどんな日よりも、まばゆいばかりの光芒を、放ち続けています。 最初の…
若かりし頃は、保健所で、殺処分になる予定の野良犬を、もらい受けてきて、移植の練習を重ねたそうで、「宇和島の野良犬は、万波先生を見かけると逃げ出す」という、都…
ところで、名誉や権威・名声と言えば…人間は、現世の行い次第で、畜生界にも、餓鬼界にも堕ちると、(仏教の世界観では)言われています。 この世で、どんな名声や栄…
昨日までは、4人の識者による、「万波総攻撃への反論」を、紹介してきました。 宇和島という、決して栄えている訳ではない、海沿いの漁業の町の病院で、半世紀にわた…
(前日の続き…)日本で臓器移植が進まない、最大の理由は、日本人に、真の宗教心がなく、博愛の精神が教育されていないからです。日本人の優しさは、目に見える親しい…
〈4〉作家 渡辺淳一氏が、談話として語った見解から。 《渡辺淳一》1933年、北海道生まれ。札幌医科大卒。「失楽園」「愛の流刑地」等の恋愛小説で知られるベス…
(前日の続き…)「万波腎移植事件」は、その後急展開し、とうとう、平成20年(2008年)に、病腎移植実施を求める、患者7人が、日本移植学会幹部5人を相手に、…
〈3〉福田康彦(ふくだやすひこ)広島県医師会、医師の見解から。 平成18年(2006年)に、「万波腎移植事件」が明らかになると、日本移植学会幹部は、猛烈な『…
(前日の続き…)全ての調査委員会の人たちに、自分自身で行った、腎臓移植症例数、自家腎移植症例数、腎臓ガンに対する、部分切除症例数、腎臓摘出症例数を、明らかに…
〈2〉藤田士朗(ふじたしろう)フロリダ大学移植外科医(当時)の、調査委員会報告に対する反論から。 まず、最初に言いたいのは、調査委員会の人選です。大事なこと…
(前日の続き…)普通の病院では、患者から摘出された、病気の腎臓は、切り取った胃や肺や子宮などと同様、「ゴミ箱」行きになる運命にある。本人が要らないと捨てたも…
〈1〉難波紘二(なんばこうじ)広島大学名誉教授の評論から。 万波誠医師らが、病気腎移植で、批判にさらされているが、本当に、この「病気腎移植」は、生命倫理に違…
先ほど「『自殺するんじゃないか』と、周囲が心配するほどの、総攻撃を、万波先生は、受け続けた」と、書きましたが、総攻撃の対象になった病気腎移植について、世の中…
あの修復腎移植事件は、結局のところ、万波先生たちがやってきたことの、正当性を、浮かび上がらせる結果と、なりました。 その結果は、もちろん、嬉しいことなのです…
西先生が、万波先生を評する、「坊さんみたいなヤツ」発言を聞いて、「あっ!」と、思い出したシーンがあります。 それは、2018年春に放映された、NHKのドキュ…
腎移植手術の黎明期にあたる、1970年代~1980年代は、移植手術の成功率が低く、(三分の一程度)成功したとしても、その後の生着年数も短く、再び人工透析へ、…
私たち夫婦が、肝臓と腎臓の、2つの移植手術を受けた、2014年と2015年には、既に、移植の術式も確立していましたし、効能著しい、免疫抑制剤が、普及していま…
この国の移植医療においては、移植推進よりも、リスク回避の方が、優先されています。 その為、数々のふるいにかけられ、こぼれ落ちていく、レシピエントやドナーに対…
自分には、何の益もないのに、すがり付いてくる腎不全患者を、突き放すことが出来ずに、何とか助けたいとの一心で、始めた、病気腎(正しくは修復腎)移植。 万波先生…
それほどの勇気があって、なお且つ、卓越した技術をも、併せ持つ医師なんて、万波先生くらいしか思いつきません。 移植医というのは、労多くして益少なし。それどころ…
それ故、圧倒的に不足している、公的な臓器提供に代わって、家族が自分の臓器提供を申し出る、「生体臓器移植」が、移植全体の9割を占めるという、いびつな構造で保た…
けれども私には、この発言は、先生が、半世紀近くもの間、来る日も来る日も、腎不全患者と向き合い、その苦しみと呻きを、聞き続けてきたからこそ、発せられた、深い思…
最後にお会いした時には、口下手な万波先生の方から、私に、話し掛けて下さいました。(私が、わざわざ東京から出向いたことを、気遣ってくれたからか、はたまた、私が…
万波先生は、普段、夫と二人の診察時には、「ええな、ええな」と、検査結果の良好さを、こう評価したあと、いつも必ず、「また来てな」と、夫に声掛けをしていたそうで…
そして、あの時の「そうですか」という、たったひと言の応えと、クシャクシャの笑顔が、その後の私の移植支援活動を、後押ししてくれる、何より強力な、「ヤル気引き出…
診察室の丸椅子から、立ち上がると同時に、私の方から、「先生、私も東京で、移植を広める活動をしていきます」と、話しかけたのです。 すると、先生は、「そうですか…
2015年の夏に、当時74歳だった万波先生と、宇和島で初めて会った、私たち夫婦にとって、万波先生を形容する言葉は、もう「病気腎移植の~」ではなく、「熟練の技…
「地域医療に尽くす」ことは、「自らの医師人生を、そこに投げ込むことを良しとする」そんな覚悟が要るのだと思います。 古くからの患者さんの話を聞いても、私の見知…
私たち夫婦が、万波先生と出会う、10年近く前に、病気腎移植事件が起き、翌年に、厚生労働省が出した、「禁止通達」によって、病気腎移植は、「やってはいけない移植…
腕の良い、職人かたぎの大工さんが、「一軒でも多く、良い家を建てたい」という信念を持って、大工仕事に精を出すかの如く、万波先生も、「一人でも多くの患者に移植を…
他の地域で行われている、『腎不全間近の患者は、人工透析へ送り込む』という流れ以外にも、愛媛県では、『腎移植』という選択肢があることが、広く知られていて、それ…
万波先生が、どんな患者でも診てあげるので、ますます悪い輩が、つけ上がり…の繰り返し。 そんなアングラな患者をも受け入れる、万波先生と、それを快く思わない、病…
今から10年ほど前から、「海外渡航移植は原則禁止」という流れが出てきて、「海外で臓器を移植した者の、国内診療はしない」という病院も多く、移植後帰国した患者は…
早ければ1~2年、どんなに長くても10年経てば、ご栄転とかで、別の大病院に移動していったり、肩書が上昇し、より権威化する、世の中の名医たち。 一方で、万波先…
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〈Fー3 最後の賭け〉 「馬鹿なことを言っちゃいけません。ご主人の今の状態では、空港にすら行けませんよ。仮に、行けたとしても、飛行機に、絶対搭乗させてもらえ…
〈Fー2 最後の賭け〉 「えっ、本当ですか?いえ、今までも、これからも、10代のドナーを、許可するつもりはありません。そのホームページの内容も、知りません」…
〈Fー1 最後の賭け〉 いよいよ、追い詰められた私は、主治医がいる消化器外科に、電話をして、「もう一度、面談をお願いしたい」と、申し出ました。 決定権がある…
〈Eー3 不退転の覚悟〉 時間が切迫する中、私たち家族と、S医師との、再面談が、行われました。 面談室に入ると、「娘たちが、ドナーになりたいと、志願していま…
〈Eー2 不退転の覚悟〉 「昨日、カンファレンス(検討会)で、話し合いましたが、今回、奥さんをドナーにして、移植を行うのはやめよう、という、結論になりました…
〈Eー1 不退転の覚悟〉 春分の日の夕方、一本の電話が、入りました。移植手術主任の、S医師からでした。 「実は今日は、先日のエコー検査で分かったことを、お話…
〈Dー5 肝臓の提供条件〉 その日、私は次女と、雑踏の中にいました。その時、大学病院から、電話が入りました。 「初日の検査は通りました。それで、精密検査をし…
〈Dー4 肝臓の提供条件〉 翌日、長女が「話がある」と、思い詰めた顔で言うので、「何?お父さんのこと」と、訊くと、「私が、ドナーになる」と、言います。 「で…
〈Dー3 肝臓の提供条件〉 直感で、「この35%ルールが、唯一最大のハードルだな」と、思いました。 迷うことなく、至急の検査を、要望したため、すぐに、私のド…
〈Dー2 肝臓の提供条件〉 次に、生体肝移植の説明では、医学書に載っている、ドナー条件に加え、以下のような、驚くべき高いハードルが、示されました。 「生体肝…
〈Dー1 肝臓の提供条件〉 夫に、振戦という、危険なサインが出たこともあり、急きょ、面会の予約が取れました。 もはや、座っていることもできなくなった夫を、タ…
〈Cー3 腹水を抜く〉 「ご主人のこの症状は、肝硬変の末期で、いつ、肝不全が起こっても、不思議ではありません。明日の朝、ベッドで亡くなっているかもしれません…
〈Cー2 腹水を抜く〉 腹水に含まれている、「体にとって大切な成分」も、急激に失われ、夫は、みるみるうちに、やせ衰えていきました。 さて、仕事続行が困難にな…
〈Cー1 腹水を抜く〉 年が明けた、平成26年1月、腹水除去を、願い出ました。 「腹水は、抜いても、数日ですぐまた戻るからね」と言って、勧めなかった主治医で…
〈Bー7 初めての入院〉 一回目の入院から、二か月後、今度は、もっとひどい状態での、入院となりました。 前回の入院時に、処方された利尿剤は、もう、効き目がな…
〈Bー6 初めての入院〉 ペッタンコになったお腹が、再び、ふくれるようになったのは、退院してから、二週間後。 「また、お腹が出てきた」という夫の言葉は、ショ…
〈Bー5 初めての入院〉 当時、16歳で、県外の寮で生活していた、息子の言葉は、利尿剤が効いて、お腹が、ペッタンコになった夫を、見ていた私たちには、「なんと…
〈Bー4 初めての入院〉 ▼次男から、 入院中の夫に届いたメッセージ 病状を聞いたよ。重度の肝硬変らしいね。父は、仕事とも病気とも、青二才の自分には理解でき…
〈Bー3 初めての入院〉 結果は、非代償性肝硬変(もう治ることのない肝硬変)との診断で、即入院。 このころ夫は、まだバリバリ、仕事をしていましたから、病室に…
〈Bー2 初めての入院〉 全身に赤いボツボツが出現して以降、夫は暇さえあれば、ゴロゴロと横になるようになりました。 昼食の休憩時間には、会社から自宅に戻り、…
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確かに、生体ドナーやレシピエントを、希望する方々にとっては、私のような者でも、詳細な説明をしたり、背中を押したりして、多少なりとも、当事者の不安に寄り添う存…
だからこそ…一人でも多くの患者とそのご家族に、同じような再生のチャンスを、与えてほしい!と、ずっと願ってきました。 生体ドナーを二度体験した私に出来ることと…
→修復腎移植は、単なる移植とは異なり、摘出した病気腎の、病巣を取り除いて移植するため、熟練した技術を要する。そういった移植術を、習得している移植医は、限定的…
ドナーがいなければ、移植手術は成立しない。→ドナーには、生体ドナーと、献体ドナー(心臓死ドナーor脳死ドナー)そして、修復腎ドナー(これは主に、腎臓という臓…
当時の日本移植学会幹部の殆どは、修復腎移植の正当性や先見性が、医学的に検証されたにもかかわらず、万波先生に、謝罪すらしないどころか、「今は、ロボット手術が、…
「さあ、これからは、修復腎移植の時代だぞ!」と、喜んだ私たちでしたが、膠着状態だった、この10年余りの間に、修復腎移植手術を阻む、大きな大きなハードルが、知…
先日も、このブログで述べたように、「修復腎移植」という、第3の移植方法は、世界からも絶賛される移植方法でした。 この移植方法が広がれば、「生体ドナーがいない…
繰り返しになりますが、臓器移植手術には、医師と患者(レシピエント)に加え、ドナー(臓器提供者)が不可欠です。また、医師と言っても、誰もが出来るわけではなく、…
他にも、『えひめ移植者の会』には、移植腎が、40年近く、長期生着している方が、お二人いて、彼らを見ていると、「30年~40年間、機能し続けるのも、可能だぞ!…
私たちは、愛媛県宇和島市で、万波誠先生という、腎移植の草分けであり、修復腎移植の中心となって、移植を続けてこられた、泌尿器科の名医に直訴することにより、生体…
私自身は、ドナーという、臓器提供者の立場しか、経験したことは、ありませんが、夫が、肝硬変末期で、苦しむ姿を見てきた上に、突然、腎不全にもなり、人工透析生活を…
人工透析医療は、「壊れてしまったエンジン(機能不全に陥ってしまった腎臓)に、緊急メンテナンスをして、一両日は、エンジンが、なんとか動くようにする」といった、…
ちなみに、成人男性の、クレアチニン値の上限は、おおよそ〈1,1〉となっていますから、仮に、健常者が血液検査で、〈1,5〉を超える値が出たなら、腎臓病の重篤な…
そう、ホンネを言えば、誰だって、健康人と変わらずに、好きなものを飲んだり食べたりしたいし、仕事だって、通常勤務が出来るようになりたい、そう願っている筈です。…
「人工透析でいい」と思っている方は、実際にいらっしゃいますし、その方は、それで良いのかもしれません。ですが、「ドナーがいさえすれば、移植手術を受けて、今の状…
その上、透析生活中は、日々の節制が、欠かせません。水分制限や、リン・カリウムを控える食事。…本人はもちろんですが、家族も、絶えず気を配らねばなりません。家族…
血液透析とは、決して、「ベッドに横たわっているだけの楽な作業」ではないのだと分かり、「夫の長い昼寝」の訳が、やっと判明しました。 透析のある日は、自宅に戻っ…
退院して自宅に戻った当時の夫は、月・水・金の午前8時になると、自宅を出て、マンションの入り口に来る、『人工透析クリニックの送迎車』に、乗り込んでいました。 …
そんな劇的な回復の一部始終を、私は、間近で見てきましたから、「腎臓も、ひとつ夫に提供できたなら、今度も夫が、健康人と殆ど違わぬ身体状況を手に入れ、また、昔の…