〈Eー1 不退転の覚悟〉 春分の日の夕方、一本の電話が、入りました。移植手術主任の、S医師からでした。 「実は今日は、先日のエコー検査で分かったことを、お話…
生体肝移植・人工透析・生体腎移植を乗り越えて社会復帰を果たした夫婦の軌跡をドナーが綴っていきます。
「ダブル移植の語り部」、このタイトルを見て、「どういうこと?」と思われる方がほとんどでしょう。「ダブル移植」には二重の意味があります。 ひとつは、生体臓器移植を一人の人間が2回(生体肝移植と生体腎移植)行っている、という事。もうひとつは、一人の人間が生体臓器提供者、いわゆる「ドナー」となって、2回移植手術を受けている、という事。 これが、「ダブル移植の語り部」という変わったタイトルの内実です。
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〈Eー1 不退転の覚悟〉 春分の日の夕方、一本の電話が、入りました。移植手術主任の、S医師からでした。 「実は今日は、先日のエコー検査で分かったことを、お話…
〈Dー5 肝臓の提供条件〉 その日、私は次女と、雑踏の中にいました。その時、大学病院から、電話が入りました。 「初日の検査は通りました。それで、精密検査をし…
〈Dー4 肝臓の提供条件〉 翌日、長女が「話がある」と、思い詰めた顔で言うので、「何?お父さんのこと」と、訊くと、「私が、ドナーになる」と、言います。 「で…
〈Dー3 肝臓の提供条件〉 直感で、「この35%ルールが、唯一最大のハードルだな」と、思いました。 迷うことなく、至急の検査を、要望したため、すぐに、私のド…
〈Dー2 肝臓の提供条件〉 次に、生体肝移植の説明では、医学書に載っている、ドナー条件に加え、以下のような、驚くべき高いハードルが、示されました。 「生体肝…
〈Dー1 肝臓の提供条件〉 夫に、振戦という、危険なサインが出たこともあり、急きょ、面会の予約が取れました。 もはや、座っていることもできなくなった夫を、タ…
〈Cー3 腹水を抜く〉 「ご主人のこの症状は、肝硬変の末期で、いつ、肝不全が起こっても、不思議ではありません。明日の朝、ベッドで亡くなっているかもしれません…
〈Cー2 腹水を抜く〉 腹水に含まれている、「体にとって大切な成分」も、急激に失われ、夫は、みるみるうちに、やせ衰えていきました。 さて、仕事続行が困難にな…
〈Cー1 腹水を抜く〉 年が明けた、平成26年1月、腹水除去を、願い出ました。 「腹水は、抜いても、数日ですぐまた戻るからね」と言って、勧めなかった主治医で…
〈Bー7 初めての入院〉 一回目の入院から、二か月後、今度は、もっとひどい状態での、入院となりました。 前回の入院時に、処方された利尿剤は、もう、効き目がな…
〈Bー6 初めての入院〉 ペッタンコになったお腹が、再び、ふくれるようになったのは、退院してから、二週間後。 「また、お腹が出てきた」という夫の言葉は、ショ…
〈Bー5 初めての入院〉 当時、16歳で、県外の寮で生活していた、息子の言葉は、利尿剤が効いて、お腹が、ペッタンコになった夫を、見ていた私たちには、「なんと…
〈Bー4 初めての入院〉 ▼次男から、 入院中の夫に届いたメッセージ 病状を聞いたよ。重度の肝硬変らしいね。父は、仕事とも病気とも、青二才の自分には理解でき…
〈Bー3 初めての入院〉 結果は、非代償性肝硬変(もう治ることのない肝硬変)との診断で、即入院。 このころ夫は、まだバリバリ、仕事をしていましたから、病室に…
〈Bー2 初めての入院〉 全身に赤いボツボツが出現して以降、夫は暇さえあれば、ゴロゴロと横になるようになりました。 昼食の休憩時間には、会社から自宅に戻り、…
〈Bー1 初めての入院〉 夫の初めての入院は、平成25年9月。このころ、夫は、北関東の酒類販売会社の経営者として、休みなく働き続ける日々を、送っていました。…
〈Aー4 はじめに〉 それでも、退院後は、日々の外出歩行訓練で、体力をつけ、肝移植から、1年4カ月後、今度は、生体腎移植を受け、人工透析からの離脱を果たしま…
〈Aー3 はじめに〉 早いもので、夫が55歳の時に、「肝硬変非代償期」と診断され、入院してから、6年が過ぎました。 その後、肝硬変の恐ろしさと闘いながら、ぎ…
〈Aー2 はじめに〉 医療関係者からの、紋切り型の、極めて少ない情報の中で、「死ぬしかないのかな。諦めるしかないのかな。医者には逆らえないのかな」と、気弱に…
〈Aー1 はじめに〉 「ダブル移植の語り部」、このタイトルを見て、「どういうこと?」と思われる方が、ほとんどでしょう。 「ダブル移植」には、二重の意味があり…
「さあ、これからは、修復腎移植の時代だぞ!」と、喜んだ私たちでしたが、膠着状態だった、この10年余りの間に、修復腎移植手術を阻む、大きな大きなハードルが、知…
先日も、このブログで述べたように、「修復腎移植」という、第3の移植方法は、世界からも絶賛される移植方法でした。 この移植方法が広がれば、「生体ドナーがいない…
繰り返しになりますが、臓器移植手術には、医師と患者(レシピエント)に加え、ドナー(臓器提供者)が不可欠です。また、医師と言っても、誰もが出来るわけではなく、…
他にも、『えひめ移植者の会』には、移植腎が、40年近く、長期生着している方が、お二人いて、彼らを見ていると、「30年~40年間、機能し続けるのも、可能だぞ!…
私たちは、愛媛県宇和島市で、万波誠先生という、腎移植の草分けであり、修復腎移植の中心となって、移植を続けてこられた、泌尿器科の名医に直訴することにより、生体…
私自身は、ドナーという、臓器提供者の立場しか、経験したことは、ありませんが、夫が、肝硬変末期で、苦しむ姿を見てきた上に、突然、腎不全にもなり、人工透析生活を…
人工透析医療は、「壊れてしまったエンジン(機能不全に陥ってしまった腎臓)に、緊急メンテナンスをして、一両日は、エンジンが、なんとか動くようにする」といった、…
ちなみに、成人男性の、クレアチニン値の上限は、おおよそ〈1,1〉となっていますから、仮に、健常者が血液検査で、〈1,5〉を超える値が出たなら、腎臓病の重篤な…
そう、ホンネを言えば、誰だって、健康人と変わらずに、好きなものを飲んだり食べたりしたいし、仕事だって、通常勤務が出来るようになりたい、そう願っている筈です。…
「人工透析でいい」と思っている方は、実際にいらっしゃいますし、その方は、それで良いのかもしれません。ですが、「ドナーがいさえすれば、移植手術を受けて、今の状…
その上、透析生活中は、日々の節制が、欠かせません。水分制限や、リン・カリウムを控える食事。…本人はもちろんですが、家族も、絶えず気を配らねばなりません。家族…
血液透析とは、決して、「ベッドに横たわっているだけの楽な作業」ではないのだと分かり、「夫の長い昼寝」の訳が、やっと判明しました。 透析のある日は、自宅に戻っ…
退院して自宅に戻った当時の夫は、月・水・金の午前8時になると、自宅を出て、マンションの入り口に来る、『人工透析クリニックの送迎車』に、乗り込んでいました。 …
そんな劇的な回復の一部始終を、私は、間近で見てきましたから、「腎臓も、ひとつ夫に提供できたなら、今度も夫が、健康人と殆ど違わぬ身体状況を手に入れ、また、昔の…
肝移植手術後、一年経った頃、夫が、大学病院での移植医の診察を、受けた時に、移植医は、「肝臓は、非常に順調。腎臓の方は、人工透析をしているからね」(→血液検査…
そして、そうした主張を鵜吞みにした、厚生労働省によって、修復腎移植は、急きょ禁止されてしまいます。 ドナーのいない腎不全の患者が、心待ちにしていた、修復腎移…
「人工透析は辛すぎるから、助けてほしい!」という、患者の必死の願いに応じようと、一部の腎移植医たちが、協力して取り組んでいたのが、廃棄される腎臓の、悪い部分…
独身世帯・二人世帯・家族はいるが疎遠、一度移植した腎臓がダメになったが、もうドナーはいない…などなど。「ドナーがいない」「ドナーがいなければ、早晩命がついえ…
小学校入学時に、親から腎臓を貰って、移植した女の子は、この先、生き続ける為には、どうしても、生涯にあと二回程、ドナーからの腎臓の提供が、必要となります。さも…
夫は、人工透析を受けなかったら、急性腎不全を克服できずに、敗血症で、亡くなっていた可能性が高く、その後、車イス生活から復帰できたのも、人工透析医療という支え…