桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
終わった・・・・・・絢爛豪華な披露宴が終わった・・・・・・マジで疲れた・・・・・・本気で披露宴したらこんなに疲れるんだと思い知った・・・・・・いや、もう2度としないけど。私たちの披露宴・・・それはある意味特殊だった。祝辞が長いからって余興をお色直しの後にしたから、キャンドルサービスの直後が余興開始。私の方からは涼子達が何かしてくれるって言うから任せたんだけど、とにかく西門関係者の余興が長く・・・。1番手は後援会長の詩吟。詩吟は...
「ただいま・・・・・・」「ぱっぱだぁ~~~!」「おかえり~~~~~!!」流石にその日は定時では帰ることが出来ず、類がマンションに戻ったのは20時過ぎ。子ども達はすでに風呂を済ませていて、パジャマ姿で出迎えてくれた。2人を同時に抱き締めて、出て来た言葉は「お腹空いた~」・・・つくしはソワソワしながらリビングのドア付近で待っていたが、それを聞いて急いで夕食をテーブルに並べた。あまり食欲がなさそうだったので、作...
結婚式&披露宴にもその時代の流行りってもんはあると思う。なにも面白くて珍しいことをしたいとは思わないけど、西門は超古風というか、何と言うか・・・さっきから西門の関係者のスピーチが長い長い!新婦側には話す人がいないから、ここぞとばかりに後援会のお爺様や何処かの会社の社長さんがお話ししている。それをニコニコしながら聞いてる総二郎だけど、膝の上の手はすでに握り拳・・・そうとうイラッとしてるんだろうなって思った...
金曜日の朝はいつもと違う空気が流れていた。それは類が取締役会を開催する日・・・朝早くに目が覚めたつくしと類は、お互いに言葉を交わさずにピリピリとした中で過ごしていた。類は黙って窓の外を見ている。まだ薄暗く、天気は午後から雨になるらしい。つくしはキッチンで珈琲の準備・・・今日の類は何も食べそうになかったが、せめて少しでもと思い、ひと口サイズのサンドイッチを作った。「類、珈琲が入ったよ」「・・・・・・・・・・・・」「身...
折角気分良くここまで来たのに、おかしな3人組みのせいでモヤモヤと・・・それでも巫女さんが現われて、いよいよ本殿に入るって時になったら気分はガラリと変わった。まずは参進の儀と言って、神職さんと巫女さんの後に付いて新郎新婦、両家の親、親族の順に本殿に向かう。中に入ったら神前に向かって右に新郎側親族、左に新婦側親族が入場後、私たちと神職が入場。本当はここで仲人さんも入るんだけど、今回は仲人さんはなし。理由...
その日、類が帰宅したのは19時前。マンションの通路を駆け足で玄関まで行くと、荒々しくドアを開けた。その勢いに驚いて出て来たのは双子たち。すぐに真利愛が「ぱっぱ~~!」と駆け寄ったが、真音はその後ろでキョトンとしていた。「ただいま、真利愛、真音。今日は楽しかった?」「ぱっぱ~~~♪あのね、おかいもの、いったよ~」「・・・・・・・・・」「真音、どうしたの?」「・・・ううん、なんでもなぁ~~い」本郷の腕には素直に縋...
「こっち見てるけど、西門の関係者かなっ///?」「・・・・・・まぁ、ある意味関係者だな」「挙式に参列する人?」「いや、西門は親族しか参列しねぇから」「・・・どうして怖い顔してるの?」「別になんでもねぇよ。しょうがねぇから紹介するわ」とても新郎とは思えない顔の総二郎・・・すんごい深い皺を眉間に浮かべながら、スタスタとその人達のところに歩いて行った。私は白無垢だし動きにくいのに、そんなのお構いなしで!「ちょっと待っ...
翌朝、1番始めに目を覚ましたのはつくしだ。横を見るといつものように真音の顔があり、その向こうには真利愛・・・娘を守るように寝ている類。これは双子が産まれてすぐの頃、類と暮したアパートの光景以来のこと。2度とこんな朝は迎えられないと思っていただけに感慨深かった。まだ薄暗かったのでベッドから出ず、つくしはしばらく家族の寝顔を眺めた。すると真利愛の手が動き、それが類の頬に当たって「いて!」と眉を顰めた。そ...
つくしの手を持ち、部屋を出た瞬間に聞こえた叫び声。それは本邸の方からで、「つくしちゃぁ~~~~~~ん!!」と言うもの・・・まさかこの状態でも飛び付くのかと思ってつくしをガードしたら、ホントに黒留袖のお袋が走って来てビビった!いや、あんた誰の親だよ💢!!「お袋!いい加減にしろって!今日、つくしをギックリ腰にさせたら一生許さねぇぞ!」「・・・・・・ははは・・・」「だって~~~!すっごく綺麗なんですもの~!近くでじ...
武蔵小山までの1時間、つくしは殆ど喋らなかった。それどころか息をするのも意識的であり、またハンドルを握る手が震えていた。それよりも事故をしないようにと、そっちにも神経を研ぎ澄ましていた。そんな感じだからマンションに着いたときは既に疲労困憊。車から降りた真音が近寄って来ても笑顔を向けることも出来なかった。そんなつくしを見た類が、真利愛を降ろした後で側に近寄り、その顔を覗き込んだ。「・・・大丈夫?」「え...
つくしとの婚約を公表してから半年後の5月。俺達の結婚式の前日になった。つくしは西門邸で俺と同じ部屋に住んでいたけど、式の前日は別室と決まっていた。だからつくしは福岡から来た養父母や美津子おばさん達と夕食を食べ、その後も母屋の客間で寝ることに。俺は見飽きた両親と兄弟と一緒に飯を食った後で、式のために帰国して来た幼馴染みと飲むことにしたんだが・・・「飲み潰れるんじゃありませんよ?新郎が二日酔いでお式なん...
食事が終わると話の内容は今後に移った。それは美央と本郷の事が中心だったので、つくしは席を外して隣の部屋の子ども達のところに向かった。そこに広げられているのはおままごとのセットだったり、積み木だったり・・・「何して遊ぶ?」という美来の声より、背中側で聞こえる類たちの会話が気になるが、子ども達が大事な話合いの邪魔にならないようにするのが自分の役目だと思う事にした。「ママ~、積み木でおうち作る~~~!」「...
宗家に激震が走ったサッちゃんと野田さんの結婚式。その日にちは紅葉の茶会、炉開き、口切りの茶会と続く、西門で1番忙しい時期が終わってからに決定した。千葉のサッちゃんと関西の野田さん&勤務先が西門だから、何故か私と総二郎を含めた4人で色々考え、羽田に近い式場を選んだ。両家の顔合わせにも私たちが付き添ったり、まるで仲人みたい。勿論私たちが出しゃばったわけではなく、2人が頼んできたからだけど、終始和やかで...
日曜日の朝、類たちは今日も出掛ける支度をした。だが今日は日野の京極家に行くので、ランチは用意されていない。それに美央の荷物はいつもより多く、大きなスーツケースがその手にあった。それを見て少しばかり悲しそうなのは加代・・・当然の如く類から説明されており、話合いが上手くいけば美央はもうこの家に帰ってこないからだ。美央も加代には世話になっているので、加代の手をギュッと握ると、眼を赤くしながら礼を言った。「...
婚約が正式に決まってから、総二郎のお稽古はもっと厳しくなった。それに加えて家元夫人の華道と、志乃さんの着付け、書道は総二郎で、家元からは茶道に関する歴史等々・・・丁度1年前にカルチャーセンターの茶道教室に行き始めたのに、まさか1年後は西門流で本格的な稽古をしてるとは思わなかった。そして最近では漸く総二郎に薄茶を飲んでもらえるようになり、手順は身に付いたみたい。だけどまだまだ気持ちに余裕がなく、それが...
「実はね、真利愛のママは真音と同じ、このつくしなんだ。真音と真利愛は双子と言って、同じ日に産まれた兄妹なんだよ。そしてね、美来ちゃんのママはもう死んじゃったって聞いてると思うんだけどそれは違う。美来ちゃんにはパパとママ、2人ともいるんだよ。これからは本当のパパとママと一緒に暮すことになるんだ。真利愛と真音は俺とつくし、そして美来ちゃんはパパと美央と一緒のおうちになるんだ」それを聞いても子ども達の反...
紅葉の茶会が終わると、今度は1年で1番忙しい11月が来る。それが炉開きに口切りの茶事で、この時ばかりは総二郎との時間が少なくなり、稽古は志乃さん任せだった。でもその方が新鮮というか、集中出来るというか・・・私のような初心者が参加出来る茶会ではないので、遠目でド真剣な総二郎を見るのもドキドキ・・・そしてこのピンと張り詰めた空気感も逆に気持ち良かった。思えば1年前は総二郎と出会ったばかりで、茶道の「さ」の字...
水曜日以降も花沢物産の役員フロアは微妙な空気が流れていた。そんな中、類が行ったのは取締役会の招集。取締役会の招集手続は会社法に定めるルールに沿って行われるのだが、花沢物産では取締役であれば誰でも招集手続を行うことができるとしてあった。当然これには澪と遙香も招集されるのだが、この時に取締役会の議題を招集通知に記載する必要はない。故にそれを受け取った澪達を始め、取締役達は類が何を議題にするのか判らなか...
京都から戻り、あっという間に1ヶ月が過ぎた。今日は9月中旬、月見の茶事の日だ。本来は月を見ながらするものだが、今では月を描いた茶碗や菓子器を使うなどして昼間に行うことが殆ど。主菓子にはウサギを模したものや菊花饅頭などを用意し、茶花はススキや萩の花、床の間に月見団子やお神酒を飾って行う。そしてつくしの仕事は玄関で客を出迎えること・・・上品に髪を結い、お袋から引き継いだ小紋を着て、やって来る客を茶室へと...
「真音~~!ちょっとおいで~」「あ~~~~い!」つくしに呼ばれて真音がリビングに来ると、類がニッコリ笑って袋を手渡した。真音はキョトンとしていたが、「お土産だよ」と言われると、嬉しそうにその包みを開けて・・・「服だ~!それに絵本?・・・でもちょっと見たことない・・・・・・」「あぁ、それはね、フランス語だから・・・えっと、外国の絵本だよ」「そうなんだぁ~~。ありがとう、まりあちゃんパパ!」「・・・・・・・・・どういたしまし...
花街で羽目を外した翌日・・・二日酔いで起きられなかった。気が付いたらヤケに激しい蝉の声で余計に頭が痛い・・・総二郎には「アホか!」と呆れられ、森田さんにはお薬をもってきてもらい、お婆様自らお豆腐の入ったしじみの味噌汁とお粥を持って来てくれた。しじみにはアミノ酸・ミネラル・タウリン・鉄分などが含まれており、タウリンはアルコール分解に必要な酵素の手助けをしてくれるんだとか・・・特にしじみにはオルニチンも含まれ...
遙香達の思惑・・・それはおとなしい美央なら類も受け入れて、近いうちに男児誕生・・・その子どもが跡取りとなり、真利愛は何処かの企業との繋ぎ役として役に立つだろうとの考えだった。美央の方が歳上なのも、女性に疎い類にはその方がいいと思ったからだ。ただ美央の年齢的に出産は急ぐ・・・そう思っていたのに、まさか余所に娘がいて、しかも美央本人は不妊だなどと・・・驚いて何も話せない澪と遙香に、美央は淡々と自分の恋愛、同棲、出...
石畳の通路、赤い提灯、レトロ感満載の格子戸・・・そして辿り着いたお茶屋さん。そこの女将さんが出迎えてくれて、私たちは神秘的なお部屋に入った。そこは屏風とテーブルがあるだけで、どちらかと言うと地味・・・でも独特の雰囲気があってワクワクした。私は初めてだから何も知らない。真理子さんと出会った時に少しだけ聞いたんだけど、ここでもう1度お復習いすることに。舞妓さんは半人前扱いなんだけど、その可愛さなどから一人前...
「今、つくしは東京で真音と一緒に住んでる。そして美央にも会わせているし、納得してもらっている。それ故の離婚だよ」「巫山戯ないで!!」類の言葉が終わると同時に遙香の怒声が響いた。だが類も美央もその態度にも声にも驚く素振りは無い・・・この程度のことは予測していたからだ。ここが病院だと言うことも忘れているのか、遙香は続けて類を怒鳴りつけた。「どうして花沢に差し出したのが女の子だったの?!男の子がいるのなら...
お昼ご飯が終わったら少しだけ休憩して、14時になったら近くにある菩提寺に歩いて行った。・・・のはいいんだけど、8月中旬のお昼の猛烈な暑さ・・・1分もしないうちに汗が流れて、総二郎も「クソ暑い!」と文句言いながら坂道を上がってた。「ねぇ、京都の夏と東京の夏、どっちが暑いの~~?」「日本の夏は何処でも暑いって・・・ただ京都は盆地だし、風があんまり吹かないから蒸し暑く感じるだけ」「そうなんだ・・・確かにジメッとして...
『いや、冗談だって!!よく考えてみ?牧野がそれを許すはずがないだろ・・・・・・ふあぁ~~~~!』「欠伸するな!!本当に真利愛と一緒に風呂に入ったんじゃないんだな?それが嘘だったらいくら総二郎でも許さないけど!」『・・・マジだって・・・2日間も遊んでやったのに、どうして俺がこんな深夜に怒鳴られるんだよ・・・』「西門で世話になったことは礼を言うけど・・・ホントに真利愛の裸を見てないよね?」『勘弁してくれよ~~~!いくら...
婆様と一緒に屋敷の中に入ったが、まずは俺達の泊まる部屋に案内されて、そこに荷物を置いた。そして福岡の土産を手に持ち、森田さんが「ご隠居様がお待ちですよ」と呼びに来てくれたので、ガッチガチのつくしを伴って客間へ・・・「おい、足と手が同時に出てるぞ」「へっ?!あぁ、気が付かなかった・・・」「そんなに緊張すんなって。普通の爺様だから。な、森田さん」「ははは・・・茶会以外では明るくてお茶目な方ですよ」「・・・(特に花...
翌朝、類たちは薄暗い時間に起きて身仕度を整え、早々にホテルを出た。その時に遙香から電話があり・・・『類、昨日は会えなくて残念だったわ。お父様のお見舞い、どうもありがとう』「・・・いや、そっちこそ社長代行、ご苦労様」『今から出発?ホント、フランスの結婚式は長いから大変よね。適当に帰ってもいいけど、あまり早くに退出しないでよ?取引先には自分のアピール、忘れないでね』「判ってるよ。じゃあ空港に行くから切るね」...
それは泊まったホテルの朝・・・ルームサービスで朝食を持って来てもらった時のこと。片手で腰を押さえ、テーブルに突っ伏してる私に向かって野獣が巫山戯たことを・・・・・・「どうした、つくし。腰が痛いのか?」「誰のせいよ💢!!お盆にこんな事して、戻って来たご先祖様に殴られるわよ、あんた!!」「あんたって・・・お袋以外で俺の事をそう呼ぶの、お前ぐらいだぞ?」「喧しい💢!!」夜遅くにチェックインしたから、絶対におとなしく寝...
つくしが町田を出てから1ヶ月が経った。保育園を退園したので真音はずっと家だ。でも今はつくしが働くことが出来ないため、ここでは保育園を申し込むつもりはなく、毎日2人で過ごしていた。とは言え、今はもうビクビクする必要はないので、真音と色んなところに遊びに行った。近所の公園にも散歩に行き、顔見知りになった親子もいる。それと、やはり類が「大きなベッドが必要」と言うので届けられたキングサイズのベッド・・・その...
7月末日、この日は退職日だったから手続きや片付けのために出勤した。所長始め他の部署にも挨拶して回り、とうとう来てしまった就業時間・・・そして窓の外には総二郎がお迎えに来てくれていた。そんな中、最後の挨拶をするために1歩前に出て・・・「短い間でしたけどお世話になりました。今後の皆様のご活躍をお祈り申し上げます。本当にありがとうございました!」「「「牧野さん、お疲れさまでした!」」」「「「今度こそ幸せになっ...
翌日、つくしと類が目覚めたのは随分と日が高くなってからだった。先に目覚めたのはつくしで、ハッと身体を起こすと「真音?!」と・・・その声で類が目覚め、こっちも身体を起こしたが・・・「つくし、ここに真音はいないよ・・・・・・」「・・・あ、そうか・・・2人きりか」「なに、その言い方・・・不満なの?」「いや、そうじゃないけど///」「じゃあもう少し・・・・・・」そう言って類がつくしの身体をベッドに沈めたが、そこで2人は考え込んでしまっ...
福岡から戻るとすぐにしたのは家元夫妻への報告とお土産配り♪春夏冬家のお店で買った博多織とは別に、養母さんから貰ったのはがまぐち財布。それを手渡したら「あら、何を入れるのかしら♥」って・・・財布なんだから小銭に決まってるんだけど。これも家元夫人のお茶目な一部だと思い、「お薬とか入れてもいいらしいですよ~」って言ったら・・・「あら、お薬なんて殆ど飲まないわ」「そ、そうですか・・・家元夫人、お元気ですものね!」「...
武蔵小山に着いたのは引っ越し業者との待ち合わせた時間ギリギリだった。そこの駐車場に入った途端にやって来たトラック。類が車を停める前につくしが降りて、慌ててオートロックを解除していた。類はそこで美央にLINEで到着を知らせ、改めて『子ども達と楽しんで』と送った。その返事はすぐに来て、『午後はお買い物に行き、夕飯はリクエストでパスタを作ります』と・・・同時に送られて来たランチと思われるものはコンビニのお...
両親と会ってから数日後、西門の弁護士さんが私の分籍とか、その他諸々の手続きを代行してくれた。私は言われたとおりにサインしただけだから判らないけど、どうやらこれでお父さん達が私を探すことは難しくなったらしい。「本当に後悔しないか?」と言う総二郎の質問に、「うん!」と答えてその書類を弁護士さんに託した。「弟の進はいいのか?」「・・・・・・あの子も自分で親から離れないとね。甘えん坊だから親に引っ付いてるけど、...
土曜日、つくし達は朝早くから運び出す荷物を纏めていた。とは言え、衣類とおもちゃの段ボールは5つだけ、家具はベッドと小さなタンスとミシンだけ。忘れ物がないかを確認することの方が大変で、あちこちの引き出しを開けて、つくしと真音に関する書類などを探していた。「業者さんは何時にくるの?」「10時なんだけど、その時に類も来てくれるって」「花沢さんも来るの?」「真音の顔が見たいんじゃない?」「・・・気持ちは判る...
総二郎が出した茶封筒・・その様子から中身は現金?!そんな事をするとは思っていなかったら凄く驚いたけど、総二郎はド真剣な顔してるし、私は何も言えずで・・・でもお母さんがそれを開けてニヤッと笑ったから超ムカついた。てか、結構分厚いんだけど、いくら入ってるんだろう?その後で私に昔のことを話せって言うから、両親にされた事を思い出しながら話すと、その表情は一段と厳しくなってた。それこそ幼稚園児なら見ただけでギャ...
再びつくしと本郷、真音と美来の生活が始まった。でもその雰囲気は以前とは全然違う。つくしの表情も穏やかになり、本郷のf不安も焦りもなくなった。まるで長年の友人のような空気感・・・子ども達にはまだ判らないようだが、大人2人の気持ちは穏やかな海のようだった。保育園に真音の退園を伝えたが、美来にはまだ内緒にしてもらった。その理由も「同居の解消」だったが、悲観的な内容でないことはつくしの表情を見れば判ったのだろ...
小屋・・・じゃない、現在お父さん達が住む「家」に入り、総二郎と私は並んで座った。少々傾いてる卓袱台を挟んで、向かい側にはお父さんとお母さん・・・でもその目は総二郎の隣に置かれた包みに向かっていた。総二郎も絶対気付いてる・・・それも恥ずかしくて恥ずかしくて・・・でもこれで私が実家と縁を切りたがっていることは判ってもらえただろうと、あえて何も言わなかった。こんな状況でも総二郎は冷静で(←実はそうでもない)、手土産...
本郷の車が花沢家を出ていくと、類はすぐに自分の車を取りに行った。その時、玄関前にはつくしと美央と真利愛・・・つくしは美央の隣にいる真利愛の事をジッと見ていた。その切なそうな瞳を美央は見逃さなかった。「あ、牧野さん。私、ちょっと思い出した事があるので部屋に戻ります。少しの間、真利愛ちゃんをよろしくお願いします」「え、美央さん?」「すぐに来ますわ。真利愛ちゃん、パパが来るまでまこちゃんママと待っててね」...
牧野の両親が住んでいたアパートが・・・ない?ここまで来てそんな事があるのか?と思ってつくしを見たが、こいつの方がパニックになってた。と言うか・・・本当に連絡を取り合ってなかったんだな、と実感。「なんで?」「どうして?!」と叫ぶこいつに言ったのは・・・「電話してみたら?」「あ、そうか!」「・・・・・・そこ、すぐに思い付くことじゃね?」「いや、本当に電話したくない相手だったから・・・・・・」「もう約束の時間だ。いいからか...
美央と本郷の話、そして柑菜と美央の話は終わった。美央の嘘は本郷と美来を守るためなので、本郷はそれを責めることなく許した。柑菜の事は遙香に話した後で制裁を加えることにし、今は連絡があっても無視するようにとのこと。美央はそれに頷いて、「瑛翔君と真利愛ちゃんを会わせなくてすむんですね」とホッとしていた。「一応聞くんだけど、瑛翔と真利愛って・・・」「全然仲良くないですよ。瑛翔君は柑菜の言う通りに動くだけで、...
「どうしてこの部屋に総二郎が来るの?!」「だって俺の部屋だと考三郎が近いから」私の引っ越しが終わった日の夕方、何故か客間のベッドがワンサイズ大きくなっていた。そして総二郎の着替えとかが持って来られて荷物がいっぱいに!洋室だけど広さは8畳二間。その1つをベッドが占領してるし、もう一つの部屋には総二郎の荷物がドーン!と中央に、アパートから持って来た私の荷物が隅っこにちょこんと置いてある。総二郎の部屋の...
花沢邸に着いたのは丁度ランチタイムだった。加代が用意させたのは子どもが大好きなオムライスで、大人には軽めのフレンチ。サーモンのリエットにチーズオムレツ、それにキャロット・ラペ・サラダだ。大人達は殆ど会話をせずにそれを食べ、子ども達が美味しそうに食べるのを見ていた。つくしは正面にいる真利愛が口の横にケチャップを付けているのを見て笑ってしまう。こんなお屋敷で育ったのに、案外伸び伸びしているんだな、と感...
一瞬お袋が何を言ったのか判らず、つくしと2人でキョトンとしてしまった。美津子姉さんの・・・伯母さんの養女に・・・そう言ったのか?牧野つくしから高嶋つくしになれと言うことか?!いや、それはヤバいだろう!!高嶋なんて縁起でもないっ!!「あ、あのな、お袋・・・」「あ!言葉をすっ飛ばしたわ。姉さんの義理の妹さんのところの養女だったわ」「・・・・・・💢」「高嶋じゃないんですね?」「えぇ、そうなの。それについてはこの前、お父...
翌朝、つくしは自分の顔に触れる温かさで目を覚ました。それは真音の手・・・薄く目を開けると、真音が「ママ・・・」と言いながら手を伸ばしていたのだ。「・・・・・・・・・あ!真音?」「ママ・・・ここ、どこぉ?」「・・・・・・・・・んっ・・・・・・つくし?」2人の声で類も目覚め、目を擦りながら横を見ると、そこには息子の顔が・・・類に少し怯えているように見えたものの、真音が起きていることに気が付くとガバッと身体を起こした。その動きに真音がビク...
本邸の客間・・・その前に座ると、大きく深呼吸をした。少し後ろにはつくしがいて、こいつもドキドキしてるだろうと思って振り向いたら・・・「・・・おい、表情が硬くないか?」「そ、そお?帯がキツくてお腹が空いたんだよ」「・・・・・・意味不明だぞ」「いいから、早く終わらせてよっ!」緊張してるのか怒ってるのか判らない顔で俺の脇腹を殴りやがった。そうしたら中の方から『コホン!』と咳払いが聞こえて、慌てて「総二郎です」と言うと・...
「君の恋人・・・・・・ここに来てくれてるよ。君の娘さん・・・美来ちゃんを連れてね・・・」類の言葉で美央の動きがピタッと止まった。目は大きく見開き、布団の上で類に重ねられた手の震えも止まっていた。そして僅かに開いた唇から出たのは「美来が?」という言葉・・・美央はその名前を4年間出さなかった。いや、出せなかったと言う方が正しいのだろう・・・2度と会えない、会うつもりがない娘の名前を呼ぶことは許されないと思っていたからだ...
高嶋さんの事件が終わってから数日後。再びやって来た土曜日の午前中、この日も総二郎が私に着物を着せてくれることに・・・勿論家元夫人が買ってくれた中の1枚で、しかも振袖の方・・・鮮やかな紅地に牡丹とか松とかの柄が合わさった豪華なデザインの大振袖。金駒刺繍や箔が散りばめられ、華やかな格式高い特注品・・・らしい。「流石に髪は結えねぇから志乃さんに頼むか・・・」「ねぇ、こんなの着てどうするの?まさか振袖で練習するの?」...
真音の寝ている病室で、つくしはその髪や頬を撫でていた。目を開けなかったとは言え1度動いたこともあり、その表情は幾分やわらかだ。真音の顔色も良くなった気がして、類も「天使みたいな寝顔だね」と言って微笑んだ。「・・・真音・・・パパだよ。パパが来てくれてるよ・・・早く目を覚ましてね・・・」「真音・・・頑張れ」つくしと類が交互に呼びかけていると、そこに加代が静かに入って来た。そして真音の寝顔を見て、ホロッと涙を流した。...
「つくしーーーーーっ!!マジで昨日は大変だったのよーーーーっ!!」「安部先輩、落ち着いて!」「・・・涼子、そんな時に休んでごめんね・・・」「本当だよ!私なんて警察に高嶋さんの事でアレコレ聞かれてさ!」「・・・・・・お疲れ~~~」私が会社に行ったのは火曜日・・・月曜日は「病欠」した。それは勿論嘘で、ほぼ1日中警察の事情聴取を受けていたからなんだけど。でも私が高嶋さんに恐喝されてたことは会社でも上層部だけに伝えて、...
美央の顔を見るか・・・そう言われて本郷は固まった。別に珍しい名前ではない。自分の恋人である可能性は低い・・・が、この動揺は恋人の実家も大企業の社長だったからだ。家柄的には花沢と釣り合うのではないかと思ったのだが、本郷は相手の両親から病死したと伝えられている・・・そんな嘘を吐くだろうかと考えると、別人のような気がしたのだ。「いえ・・・ご病気の方の、ましてや女性が寝ているのにそれを見るなど失礼でしょう」「本人はま...
「ブログリーダー」を活用して、plumeriaさんをフォローしませんか?
桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...
私を無視して決められた翌日の予定・・・まさかの、道明寺さん達とのお出掛け?!結婚式の翌日に団体行動?!「ちょっと待ってよ、何処に行くの?」「つくし、行き先が問題じゃねぇよ💢俺達は2人きりでここで過ごし、明日の夜までマッタリするんだから!そうじゃないと明後日からは仕事なんだぞ?これまでの疲れを癒やさないとダメだろ?」「確かに疲れてるかも・・・行き先次第だけど・・・」「そうだなぁ、何処に行きたい?あきら」「俺は...
最後まであきらが仕切った二次会終了・・・考三郎はそれからまた飲みに行くと言い、女達を連れて何処かに消えた。従姉妹・従兄弟達はそれぞれの迎えの車であっさり帰宅。涼子達はつくしよりも景品に浮かれまくり、万歳しながらタクシーに乗った。港に残されたのは俺達5人・・・今日は宗家に戻らず、Tホテルのスイートを予約していたので、そこに向かうと言うと、あきらが「ハネムーンは?」と聞いてきた。答えは・・・「今すぐ旅行には行か...
「皆さま、大変長らくお待たせいたしました。本日の主役である新郎新婦の準備が整ったようです。皆さま、ご準備はよろしいでしょうか~?!それでは新郎新婦の入場で~~~す!」美作さんの声で扉が開けられ、途端に目の前でパーン!とクラッカーの鳴る音が!それよりもシャンデリアの灯りの方が眩しくてクラッとしてしまった。その後で叫ばれたのは・・・「西門さん、つくし、おめでとう~~~!」「さぁ、二次会は盛りあがっていく...
おはようございます。突然ではございますが、当面の間類君の連載公開を中止します。理由は、今回のお話について、「物足りない」とのコメントをいただき、それによりモチベーションがダダ下がりしてしまったからです。物足りない・・・それは私の筆力がないので受け入れますが、200話以上で「終盤が物足りない」と言われても、素人の私ではどうしていいのか判りません。明日より続編として、つくしと真利愛のこと、美央とのその後...
それから2ヶ月後・・・桜の花が終り、新緑の美しい季節に変わっていた。少しずつ気温も上がり、春らしい陽気に包まれた土曜日のこと・・・「ママ~~~、トラック来たよ~~」「ぱっぱ、おしっこしのトラック~~~!」「は~~~~い!2人ともおじさん達の邪魔しちゃだめよ~」「つくし、もう全部ガムテープした?」武蔵小山のマンションでは引っ越しの真っ最中。今日はここを出て、花沢家に引っ越すのだ。その為に大人達は朝からドタ...
終わった・・・・・・絢爛豪華な披露宴が終わった・・・・・・マジで疲れた・・・・・・本気で披露宴したらこんなに疲れるんだと思い知った・・・・・・いや、もう2度としないけど。私たちの披露宴・・・それはある意味特殊だった。祝辞が長いからって余興をお色直しの後にしたから、キャンドルサービスの直後が余興開始。私の方からは涼子達が何かしてくれるって言うから任せたんだけど、とにかく西門関係者の余興が長く・・・。1番手は後援会長の詩吟。詩吟は...
「ただいま・・・・・・」「ぱっぱだぁ~~~!」「おかえり~~~~~!!」流石にその日は定時では帰ることが出来ず、類がマンションに戻ったのは20時過ぎ。子ども達はすでに風呂を済ませていて、パジャマ姿で出迎えてくれた。2人を同時に抱き締めて、出て来た言葉は「お腹空いた~」・・・つくしはソワソワしながらリビングのドア付近で待っていたが、それを聞いて急いで夕食をテーブルに並べた。あまり食欲がなさそうだったので、作...
結婚式&披露宴にもその時代の流行りってもんはあると思う。なにも面白くて珍しいことをしたいとは思わないけど、西門は超古風というか、何と言うか・・・さっきから西門の関係者のスピーチが長い長い!新婦側には話す人がいないから、ここぞとばかりに後援会のお爺様や何処かの会社の社長さんがお話ししている。それをニコニコしながら聞いてる総二郎だけど、膝の上の手はすでに握り拳・・・そうとうイラッとしてるんだろうなって思った...