「きゃああああああっ!!何この速さーーーーっ!!」「・・・まだ敷地内だってば」車に乗ってからの反応は何となく想像出来てた。だって牛車に乗ってた人が自動車に乗るんだから、その速さが違うのは当たり前。ちなみに牛車の時速は2.6kmほどで、成人の歩行速度よりも遅い。 一方、馬車は牛車よりは速く、2頭立ての馬車であれば時速4~10kmほど。ただ馬は昔から「神馬」と言われるほど貴重な動物であったことに加え、山が多くて多湿...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
皆様、こんにちは。総ちゃんのお話が終わりましたので、本日のお昼更新はございません。長い期間お付き合い下さり、本当に感謝しております。また、先日の件ではご心配おかけしました。たくさんの励ましのお言葉をいただき、そちらも感謝しております。本来はおひとりずつ返事をするところではありますが、コメント数が多くて対応できず、申し訳なく思います。今ではすべて読ませていただき、そのお言葉に救われております。ごく僅...
家族旅行最後の日曜日・・・この日は夕方に大分空港まで行く必要があったので、その途中にある観光地に行くことにした。行きとは違う福岡空港か熊本空港から帰ってもいいのだが、この辺りは山の中をひたすら走るコースなので子供には退屈だろうと考えた。それならどこに行こうかと話し合えば・・・「サファリもあるんだけど、動物見ると大騒ぎしちゃうからなぁ・・・類は前回行った?」「いや、取引先と一緒だったから選ばなかったよ。やっ...
我が家に男児誕生・・・これを聞いた関係者から祝いのメールや品物が届けられ、西門は茶道どころじゃなかった。翌朝には自宅に戻ったんだが、そこで対応に追われ、夜になるまでつくしに会いに行くことも出来ないくらいだ。当然のようにあきらと類からは巨大な花束が、司からは道明寺がアメリカに建築中のテーマパークの招待券(無期限)が・・・遊園地であんなにイヤな目に遭ったのに、今度は自分で作ってるのかと思ってビビった。しかも...
旅館に着いたら、類が先にチェックインのためにフロントへと向かった。つくしは目覚めたばかりの子供たちのチャイルドシートを外し、その時に真莉愛のスカートの汚れに気がついた。「あ、真莉愛・・・やっぱり膝小僧の横、擦り傷があるわね。部屋に入ったら消毒しなくちゃ・・・」「・・・・・・ん」「ママ、パパは~~?」「パパは先に旅館に入ってるよ」「じゃあぼくも行く~~~」「気をつけるのよ、真音」旅館の駐車場は入り口のすぐ横だ。...
「つくしちゃ~~~~んっ!!どうなってるの~~っ?!」「美和子、静かにしないかっ!」「家元夫人、落ち着いてくださいませ!!」すでに暗くなった病院の中。つくしが苦しんでるのに産婦人科の廊下から聞こえてきた声・・・もう出産が進んでるからこの部屋には誰も入れないようになってるんだが、ドアの外で喚かれるからそれが丸聞こえ。つくしも額に汗しながら「来てくれたんだね~」って言ってるけど、こっちはそれどころじゃな...
草むらの向こうにある民家の横・・・草ボウボウの荒れ地の中に見えた赤い色は、今日真利愛が着ていた服の色だった。それを見つけたのは類で、「つくし、あれ見て!」と言ったためにつくしが前を見ると・・・そこには名前もわからない低木があり、初夏だからかなり伸びた草もあった。それを手で押しやりながら進む小さな女の子・・・「真利愛!!」つくしがそう叫ぶと、その女の子はクルッと振り向いた。その顔は真利愛に間違いなく、類とつ...
主治医の病院に到着したらすぐに検査され、出産が始まったとのこと・・・ただし、「病院に来るには少々早かったですね」と苦笑いされた。なぜならつくしは出血した訳でもないし、破水したわけでもない。軽い痛みが来ただけなのに、俺とお袋と志乃さんがゼイゼイ言いながら連れてきたんだから。つくしも「早いって言ったのに///!」と言うが、せっかくだからこのままLDRで待つことにした。LDRとは陣痛から分娩、産後の回復までを行う部...
「類、何があったの?!どうして真利愛1人を戻したのよ!」「ごめん、それは後で話す!遠くには行ってないと思うから探してくる!」「類!!」つくしと真音をその場に残し、類はさっきトイレを借りた旅館までの道を走って戻った。だがそこにも真利愛の姿はなく、公園入り口付近の植木の間も見て回った。子供の名前を呼ぶ類の声に観光客も何事かと振り向いたが、そんなことは構っていられない。近くにいた人に真利愛の特長を話して...
新しい年になり、西門家は瑞樹ちゃんの存在もあってより一層賑やかになった。サッちゃんはそのまま1年の産休になったけど、時間があれば私に瑞樹ちゃんの世話をさせてくれるし、良い話し相手にもなってくれている。だから気分の悪いときも不安があるときも、私はそれで救われた。家元達も「それが一番の仕事だ」ってサッちゃんのことを認めてくれて、彼女もこの家での子育てに漸く安心したみたい。何より旦那さんである野田さんが...
平日にもかかわらず、金鱗湖には観光客が多かった。類は子ども達がはぐれないようにと、その中でも比較的空いている場所を探すと、神社と小さな公園があることをつくしに教えてもらった。そこは去年、本郷達と来た場所だったが、真音はあまり覚えてない様子だった。「あ!おたかな(お魚)さんがいる~~!まこちゃん、見てぇ~」「どこどこ?あ、ホントだ~」「あんまり覗き込まないでよ?落ちちゃうから」「・・・こんなに人がいた...
私の叫び声を聞いて駆けつけてきたのは野田さん。箒を投げ捨て、サッちゃんを支えると、私に「タクシー呼んでもろうていいですか?」って・・・すると今度は総二郎が飛び込んできて、「俺が運転する!」と言って再びダッシュして裏口に向かった。私はどうしていいのかオロオロ・・・すると野田さんが、「嫁は1人で歩けるんで、つくし様は側に付いててもらえますか?」って。そしてすぐに部屋の奥から大きなバッグを抱えて、サッちゃんに...
別府での2日目は猫守を買った神社へ行くことにした。レンタカーを駐車場に停め、古い商店が軒を連ねる表参道を、親子が手を繋いで歩く。当然類と真利愛は初めてだが、1度来たことがある真音も2歳の時なのでまるで覚えていなかった。「あっ、ここ!類、見て見て~」「なに?」「参道に瓢箪の形をした石があるの。初詣のときに踏むと縁起が良いんだって!私ね、ここに来た時にちゃんと踏んだのよ」「そうなんだ・・・・・正月じゃない...
「おめでとうございます、もう妊娠3ヶ月に入ってますよ」「・・・・・・・・・・・・」「本当ですか、先生!!」「・・・///・・・あ、ありがとうございます」病院に着いたらすぐに検査されて、その結果を聞くときには総二郎と、何故かお義母様もいた。そして固まったのは総二郎で、大興奮なのがお義母様・・・私は自分でも気がつくのが遅れたこともあり、恥ずかしいやら申し訳ないやらで、嬉しかったけど小さくなってた。そんな私たちを見て、先生が「...
保育園を出ると、次に向かうのは・・・・・・「「えっ!!うみたまごに行けるの?!やったぁ~~~~~♪♪」」「ここから車で20分ぐらいらしいし、平日だからそんなに混んでないと思うしね」「じゃあ私がナビをするから、類が運転してくれる?その前にご飯だよね~」「「うみたまごで食べる~~~!!」」「「・・・・・・・・・・・・」」下調べしていたレストランで食べようかと思ったのに、子ども達の「「うみたまごっ!」」のコールに負けてそこ...
本邸にも母屋にもつくしがいない・・・そう感じたのは、この家が異様に静かだったから。たとえ俺と喧嘩してても、あいつの声はどこからか聞こえていたから安心したんだけど、今日はそれがなくて不気味だった。古弟子に聞いても、「今日の茶道の稽古は休む」としか言わない。志乃さんはなにも知らなさそうだったし、西村事務長に聞いても「事務所にも来ていませんよ」とのこと。稽古だけは休まなかったつくしだから、その行動に不安を...
社長就任記念パーティーが終わってから数日後のこと。類は山積みだった仕事を片付け、金曜日に異例の休みを取った。その理由は家族で小旅行に行くからで、秘書・藤本には散々文句を言われたが、それに耳を貸すこともなく。行き先はつくしと真音が住んでいた別府だ。あの時は別々に回った町を、今度は家族で回り、猫守を買った神社へお礼に行こうと話していたから。それに類は真音の保育園の園長にも礼を言いたいと思っていたからだ...
「なんなんだ!!野田の嫁のことになるとムキになりやがって!まずは自分の旦那の世話が一番だろう!!」「・・・そう思うならつくし様とお話し合いなさいませ。毎日毎日暇さえあれば志乃の部屋で喚かれても、わたくし困りますわよっ!」「・・・・・・そうだけどっ!!」「あれから何日経つのですか?家元たちもご心配されてますわよ?」「・・・・・・まだ3日だ」「その3日間、総二郎様のお仕事が滞っているのでは?!」つくしが野田の新居の...
パーティーは無事に終了し、最後はまた家族で壇上に立った。その時にもたくさんの拍手と声援を浴び、つくしは何度も頭を下げていた。招待客が帰るときにも通路で夫婦が並んで挨拶をし、子ども達も最後まで挨拶を頑張った。だが真利愛はすでに限界で、加代がそっと双子を控え室に・・・そして最後まで残っていたのは友人3人で、スタッフ達が片付けを始めた会場の隅でネクタイを緩めていた。「・・・親父さん達、どうしてるんだ?」そう聞...
それから数日後、野田が忙しい中、休みを取っていると聞いて驚いた。庭師の師匠である前田さんに聞くと、どうやら嫁さんの病院に付きそうとのこと・・・その理由を聞いて「似合わねぇことしやがって!」と思ったが、敢えて言葉には出さず。「総二郎、支度できたよ~~」「おぉ、今行く」「ねぇ、おかしくない?これで大丈夫?」「いいんじゃね?着付けも上手くなったな」「えへへへへ///志乃さん、厳しいからね~~」今日はとあるホテ...
「・・・・・・・・・ママは・・・・・・まいあのこと・・・」「どうした?」「・・・・・・なんでもなぁ~い」「・・・・・・・・・・・・」小さな子どもの相手など苦手なはずの司・・・だが、それがつくしの子どもだからなのか、その淋しそうな表情が気になったのだろう。つくしが戻って来ていないのに、双子を連れて会場横にあるルーフトップテラスに出た。そこはさながら小さな公園のように仕立てられていて、芝生にはベンチが置かれていた。真音はそこに設置されてい...
梅雨が明けた7月後半。この頃は庭木の手入れで野田は忙しくなる。梅雨明けの前と後では天候が大きく変化し、新しい枝の生長も一段落。これからの暑さの備え、風通しをよくしたり、光がまんべんなく当たるように剪定していかなくてはならない。春に花が咲いた木には「お礼肥え」を与えたり、茶花でよく使うナツツバキにも肥料が必要。それまでよく雨が降っていたのに、急に降らなくなって水分バランスが悪くなることから、木が弱る...
招待客の視線が類の家族に集まった。何故なら、隣にいるのは1年と少し前に行われた類の結婚式とはちがう女性だから・・・だがその理由は既に知れ渡っているので、ここで改めて類が紹介するという形になっていたのだ。美央のことも「花沢家の被害者」というニュアンスで伝わっている。そしてすでに彼女も本来の家族と過ごしていることも、あの事件の時にそれとなく報道されていたため、ここでは説明しない。それよりも真利愛と一緒に...
「サッちゃ~~~~~ん!!」野田さんから話を聞いて、今サッちゃんがいるという母屋の一室にダッシュで向かった。どうやらそこで使用人さんの制服でもある夏の着物を準備しているとか♪その部屋の襖をパーンと開けると、目の前に年配の使用人さんとサッちゃんが!その顔を見ただけで嬉しくなって、「おめでとう~~~!」と言って両手を広げたら・・・「うわああああぁっ!つくし様、飛び付かないで下さいっ!!」そう言って、彼女も...
類の社長就任記念パーティー当日。類は朝早くから会場入りしていたが、つくし達は式典に参加しないのでパーティーが始まる1時間前に会場に行くことにしていた。その頃には真利愛もすっかり元気になっていたので、先日用意した可愛らしいドレスに着替えていた。勿論真音もスーツに着替えていたが、上着を着るのは窮屈だろうからと、シャツとズボン姿でソワソワしていた。普段は動きやすい格好で走り回っているので、蝶ネクタイが鬱...
確かに・・・・・・確かに、祥一郎は「妊娠している」とは言ってない。「妊娠してないよな?」と言っただけで、俺の早とちりだ。そう・・・俺が早とちり&勘違いしたまでだ💢!!でも、もう少し説明を加えてくれても良かっただろうに!しかもさっき・・・『つくしちゃんから聞くと誤解するだろうから言っておくけど』『は?』『あの子がスケート初心者だったから両手握って教えたけど、他意はないから』『・・・・・・・・・』『スケート靴履かせるときも...
類が帰宅したのは21時。すぐに使用人から真利愛のことを聞き、部屋に入る前に加代のところに行くと、そこでは真音がウトウトしていた。スーツのまま真音を抱き上げると、安心したのかすぐに肩に顔を乗せて目を閉じる真音・・・類はそのまま夕食後の様子を聞くこととなった。「じゃあつくしが子供部屋に?」「はい、付き添うと仰いまして・・・風邪かどうかもわかりませんから、取り敢えず真音様を私の部屋でお預かりしましたの」「主治...
「・・・・・・・・・総二郎・・・お前、ちょっと・・・」「つくしちゃんは大丈夫なの?!」祥一郎が何か言い掛けた時、同時に特別室のドアが開いて、お袋が飛び込んで来た。しかも付き人が誰もいない・・・家元夫人が1人で外出なんて普段なら有り得ないが、それほどこの人もつくしと「孫」が心配だったんだろうと・・・俺はベッドに横たわるつくしの手を握ったままで、お袋はその手前にいた祥一郎を突き飛ばす勢いで俺の横に走ってきた。そしてつくし...
「こら、真音!遊び終わったらおもちゃは片付けなさいって言ってるよね?」「うわ!ママがおこったぁ~~~~!」「もうっ!人に任せちゃダメなのよ?そんな事するならもうおもちゃで遊ばせないんだから!」「やだやだぁ~~~!」「はい、じゃあ片付けて。いくらあなた達のプレイルームだからって、散らかしたままはダメなのよ?」「・・・・・・おこりんぼ!」「なんですって?!」「うわああぁ、またおこる~~~~っ!!」1階奥のプ...
『つくしちゃんがスケート場で倒れたんだ!今から救急車で西門の主治医の病院に運ぶから、お前もすぐに来い!』つくしが・・・・・・倒れた?一瞬何のことか判らず、思考回路停止・・・でも祥一郎は冗談を言うヤツではないし、その声はマジだった。しかも電話の向こうから聞こえるのは『返事はありません!』とか『病院まで何分ですか?』とか・・・そんな雑音が耳に入った途端に背中がゾクッとした。『お連れさんですか?救急車に同乗願います...
ドレス選びが終わると本格的になったのは英語とフランス語の挨拶だ。これはつくしだけではなく真音と真利愛もなのだが、子ども達は類が教えることになった。つくしには専属の家庭教師がつき、パーティーまでの間、毎日英語とフランス語の講習を受けることに・・・勿論簡単な日常会話のみだが、それでも気が重かった。そんな梅雨の晴れ間の、とある日曜のこと。リビングの真ん中で家族が輪になり、類による子ども達へのレッスン開始だ...
ラーメンを食べたら、まずは手袋を買いに行った。この季節に手袋なんてって思ったけど、作業服の販売店に行くとカラー軍手が売られてるからって・・・「しかも250円ぐらいで買えるんだよ」って爽やかに言われ、最近”○千万円”って言葉に慣れてるせいで逆に驚いてしまった。と言うか、祥一郎さんって西門家の血が入ってるのだろうか・・・?それともあの家を出ると金銭感覚が通常値にもどるのか?じゃあもしかして・・・私の方がバグってる...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...
私を無視して決められた翌日の予定・・・まさかの、道明寺さん達とのお出掛け?!結婚式の翌日に団体行動?!「ちょっと待ってよ、何処に行くの?」「つくし、行き先が問題じゃねぇよ💢俺達は2人きりでここで過ごし、明日の夜までマッタリするんだから!そうじゃないと明後日からは仕事なんだぞ?これまでの疲れを癒やさないとダメだろ?」「確かに疲れてるかも・・・行き先次第だけど・・・」「そうだなぁ、何処に行きたい?あきら」「俺は...
最後まであきらが仕切った二次会終了・・・考三郎はそれからまた飲みに行くと言い、女達を連れて何処かに消えた。従姉妹・従兄弟達はそれぞれの迎えの車であっさり帰宅。涼子達はつくしよりも景品に浮かれまくり、万歳しながらタクシーに乗った。港に残されたのは俺達5人・・・今日は宗家に戻らず、Tホテルのスイートを予約していたので、そこに向かうと言うと、あきらが「ハネムーンは?」と聞いてきた。答えは・・・「今すぐ旅行には行か...
「皆さま、大変長らくお待たせいたしました。本日の主役である新郎新婦の準備が整ったようです。皆さま、ご準備はよろしいでしょうか~?!それでは新郎新婦の入場で~~~す!」美作さんの声で扉が開けられ、途端に目の前でパーン!とクラッカーの鳴る音が!それよりもシャンデリアの灯りの方が眩しくてクラッとしてしまった。その後で叫ばれたのは・・・「西門さん、つくし、おめでとう~~~!」「さぁ、二次会は盛りあがっていく...
おはようございます。突然ではございますが、当面の間類君の連載公開を中止します。理由は、今回のお話について、「物足りない」とのコメントをいただき、それによりモチベーションがダダ下がりしてしまったからです。物足りない・・・それは私の筆力がないので受け入れますが、200話以上で「終盤が物足りない」と言われても、素人の私ではどうしていいのか判りません。明日より続編として、つくしと真利愛のこと、美央とのその後...
それから2ヶ月後・・・桜の花が終り、新緑の美しい季節に変わっていた。少しずつ気温も上がり、春らしい陽気に包まれた土曜日のこと・・・「ママ~~~、トラック来たよ~~」「ぱっぱ、おしっこしのトラック~~~!」「は~~~~い!2人ともおじさん達の邪魔しちゃだめよ~」「つくし、もう全部ガムテープした?」武蔵小山のマンションでは引っ越しの真っ最中。今日はここを出て、花沢家に引っ越すのだ。その為に大人達は朝からドタ...
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「きゃああああああっ!!何この速さーーーーっ!!」「・・・まだ敷地内だってば」車に乗ってからの反応は何となく想像出来てた。だって牛車に乗ってた人が自動車に乗るんだから、その速さが違うのは当たり前。ちなみに牛車の時速は2.6kmほどで、成人の歩行速度よりも遅い。 一方、馬車は牛車よりは速く、2頭立ての馬車であれば時速4~10kmほど。ただ馬は昔から「神馬」と言われるほど貴重な動物であったことに加え、山が多くて多湿...
裕也氏は静かに俺の対面に座った。そしてつくしと一颯を見て優しく笑い、「息子さんはおいくつかな?」と。その言い方からして、つくしのことを美涼と勘違いしているようだった。「・・・来年4歳になります。名前は一颯と言います。隣は・・・婚約者の牧野つくしさんです」「・・・婚約者・・・?」「は、初めまして・・・牧野つくしと申します」「こんにちは~~、まきのいぶき、3歳です!」「・・・牧野さん・・・?」電話では墓参りをしたいと言う...
まさかの珈琲で撃沈・・・・・・そんなに不味かったとは思わなくて、口直しに俺のロールパンを食べてる姿に吹き出しそうだった。「まぁ、子どもには難しい食べ物だよね・・・・・・」「子ども?誰が?」「あんた、まだ子どもでしょ?」「・・・・・・この世界は22歳でも子供なの?」「・・・・・・・・・・・・・・・」22歳?!俺とそんなに変わんないの?!!こんな童顔でぺったんこの胸なのに?!と言うか、平安時代ってそんな歳で入内なんてしないんじゃない...
総二郎がマンションで暮らし始めて1週間・・・今日は一颯のクリスマス会だ。いつもより少し早めに登園しなきゃいけなくて、総二郎が車で一颯を連れて行き、一旦戻ってから私と一緒に保育園に行くことにした。離婚したことも公表してないから大丈夫かと聞いたけど、一颯の通う保育園に西門の関係者はいない・・・それに姓も「牧野」だから問題ないだろうって。「パパ、ぜったいに見にくるよね?ぼく、うしろの列のまん中だから~」「後ろ...
「・・・・・・・・・・・・・」「これが現代の朝食。美味しいから食べてみれば?」「これ、食べ物なのよね?」「もちろん。俺も食べるから一緒にどうぞ」ついさっき、あの女の人が持って来てくれた朝ご飯・・・黄色くてフワフワしたもの(オムレツ)と木の枝を焼いたようなもの(ソーセージ)と草(サラダ)。それに茶色の餅みたいなのと(ロールパン)、白くてドロドロしたもの(ヨーグルト)と黒いお湯(珈琲)。どれを見ても食べ物とは思えず、...
翌朝、祥一郎も俺も一颯にたたき起こされた。つくしがクスクス笑いながら朝食を用意してくれて、7時には4人揃ってそれを食ってた。いつもは2人で食べてるのに、今日は4人・・・それが嬉しかったのか、一颯のテンションは高く・・・・・・「おじちゃん、こんどはいつ来るの~~?」「え?そうだな・・・お仕事がお休みの日かな~~」「じゃあにちようび?」「おじちゃん、日曜日も仕事の時があるんだよ~」「いっくん、無理言わないの。それ...
吹っ飛んでいったものを拾い、その女性は眉間に皺を寄せてる・・・その感じ、桜子が私に腹立ててる時と似ていてドキドキした。・・・まぁ、怒られはしなかったんだけど。今度は“ようふく”というものを着るんだけど、これはどうやって着るのか・・・今までだと女房達が単衣や袿を着せてくれてたから私は立ったままだったんだけど、そうもいかない。チラッとこの人を見たら、同じようなものを着てるし・・・と言うか、これはどうすればいいんだろ...
インターホンに応じたのは俺で、すぐにロックを解除して兄貴をマンションに入れた。車をどこ駐めればいいのかわからないというので駐車場はゲスト用を使うように伝え、部屋番号を告げると3分後にはドアのチャイムが鳴った。客が来る事なんて滅多にないためなのか一颯が喜んで出ていき、つくしがそれを引き留めようとしたが、「どうせすぐに紹介するんだから構わない」と・・・「・・・お兄さん、驚かない?」「刺激的で良いんじゃね?」...
翌日の朝6時・・・俺はまだゲストルームにいた。何故なら、あれからも質問攻めだったからで、この子は今でも目をキラキラさせてる・・・昨夜の高熱はなんだったの?って感じ。聞かれたのは・・・どうして寝床がフカフカなのか・俺が座ってるものは何か・扉(ドア)が何故前に動くのか・自分の着ているパジャマの素材は何か・どうして髪が短いのか・・・こんな質問はまだ説明出来たけど、スマホについては「悪霊が取り憑いてるの?」なんて言う...
総二郎から今日1日の話を聞き、光翔君の気持ちを考えたら胸が痛くなった。大人ならその意味が判るかもしれないけど、3歳児には伝わらない。ただ今まで母親だった人がいなくなり、父親だった人にも他に子どもがいる・・・そんな状況を納得出来る訳がなく、ただ泣くことしか出来なかったんだ。でも、救いなのは今まで側にいた祐子さんが母親代わりを引き受けてくれたこと・・・それなら光翔君は今まで通り、あの家で暮らせる。総二郎はあ...
「梅壺ってところには戻れないよ。あんたは 平安時代・・・西暦でいうと794年から1192年のどこかで生活してた人だろうけど、今は20XX年、つまり1000年前後未来なんだ。しかもあんたは京都にいたみたいだけど、ここは東京という場所・・・1000年前の平安京・梅壺には戻れない。ここには帝も弘徽殿の女御もあんたの女房の桜子って人もいない。どうしてこんなことになってるのかは知らないけど、あんたは過去の人・・・時間旅...
光翔を祐子に任せて、俺は本邸にいる親父に会いに行った。話したのは光翔と会話したときの様子についてと、京都行きは嫌がったこと、そして孝三郎と祐子も加わって話した結果、とりあえず泣き止んで寝ていること・・・親父は「まだ何もわからない歳だから、まだグズるだろうな」と言ったが、その次には「全員で温かく見守ってやろうじゃないか」と。「それと母さんだがな・・・・・・今週末、鎌倉に行くことにしたそうだよ」「今週末?年内...
父親は大納言で、この子の名前は「梅壺の更衣・つくし」。弘徽殿の女御の女房に井戸に突き落とされ、花沢家の庭に落ちたというか、辿り着いた・・・と?絶対に有り得ないと思うけど、でも今までの話を聞く限り思い付きで言ってるわけじゃなさそうだ。ちゃんと体験した・・・と言うか、そんな暮らしをしてきたって感じには聞こえた。だって調べないと判んないことをスラスラ言うんだから・・・そしてあの十二単、この長い髪・・・・・・決定的なの...
離れに戻り、シーンとした部屋で光翔を待った。あんな幼い子どもにどう話そうかなんて、考えても判らない・・・自然に出てくる言葉に任せるしかないと思いつつ、落ち着かないのでつくしに電話しようかと思ったが・・・「あ、そうか・・・あいつの方がバイトに行ってるわ」手に持ったスマホをテーブルに戻し、深い溜息を吐きながら頭を抱える・・・そのうち楽しそうな笑い声が聞こえて、光翔が戻ってくるのが判った。そして志乃さんに手を繋がれ...
「そもそもお前は誰なの?身分と名を名乗りなさいよっ!!」身分と名前を名乗れと言われてカチン。だってここは俺の家だし、不審者はそっちだし!まぁ、「そっち系の病人」に何を言っても無駄かと思い・・・それでもムカつくから言い返してしまった。「俺は花沢物産の後継者で現在は営業課長の花沢類。そしてあんたが居るこの家は俺の親名義の家・・・つまり、今はこの俺がこの家の主なんだけど」「はなざわぶっさん・・・そんな部屋あった...
久しぶりに光翔と一緒に寝て、目が覚めたのは6時。まだ窓の外は暗く、光翔はぐっすり寝ていた。身体を横向きにして光翔の髪を撫で、しばらくその寝顔を眺めることに・・・どこで付けたのか鼻の頭に小さな引っ掻き傷、ふっくらした頬が可愛らしく、思わずフッと笑ってしまう。そんな時間が30分ぐらい過ぎると、カーテンの向こうが明るくなってきた。光翔を起こさないようにそっとベッドを降り、リビングに行くとエアコンを付け、ミ...
どのくらい時間が経ったのか・・・・・・あれから俺も椅子に座ったまま居眠りしてた。時間を確認しようとスマホを見たら丁度0時で、同時に目の前の布団が少し動いた。そして彼女の眉がピクッと動いたのが見えたから、立ち上がって覗き込むと・・・「う~~~~~~ん・・・・・・・・・」「気がついた?」「・・・・・・桜・・・子?」「えっ?誰の名前?」「・・・・・・・・・・・・ん?」「気分はどう?熱、下がったのかな・・・・・・」もう1歩前に出て近づくと、この子は...
16時頃、俺とつくしが待ってる部屋に一颯が戻ってきた。その時には光翔の姿はなく、志乃さんだけ・・・顔を真っ赤にしてニコニコしてる一颯が、「おもしろかったぁ~~」と言って俺の膝の中にポスッと・・・「いっくん、何してきたの?」「あのねぇ、ひ~くんってお友だちがいたからね、いっしょにお庭であそんだの。サッカーしたりね、かくれんぼしてね、鬼ごっこもしたの~~」「・・・仲良く出来たか?」「うん!ここね、ひ~くんのお...
結婚式が終わったら梅雨本番。新婚旅行は俺の仕事の都合で行くことが出来ず、つくしも「産まれてからの家族旅行でいいよ~」なんて言うからお預け。それから彼女は花沢についての本格的な勉強が始まった。ビジネスマナーに再度テーブルマナー、パーティーマナーに英語とフランス語・・・・・・暇を持て余すのが嫌なつくしは結構楽しそうにそれをやってた。ただ、フランス語については溜息もので・・・「いや、全然わかんないんだけど!」「...
光翔君はまるで道具のようにしてこの世に生まれてしまった・・・だからこそ、不幸にしてはいけない・・・幸せにならなきゃいけない。その言葉は胸にズシッと響いた。そして光翔君の幸せはどこにあるのか・・・・・・養父母さんとなる人は素敵なご夫婦だと聞いたけど、それもやっぱり大人の都合であって、光翔君の気持ちは無視。確かに3歳児には判断力なんてないけれど、それでもあの子が1番望むものはなにかを考えるのも必要なのではないか・・・...
類は浦田からのメールを見て黙り込んだ。町田市相原のマンション、そこの607号室・・・そしてその前に送られていた画像にも気が付き、美央に見えないところでそれを開いた。保育園の門から出てくるつくしと真音と女の子、そして真音をチャイルドシートに座らせている場面、つくしが運転席に乗り込む時にははっきりとその顔が見えた。別れた時は出産直後だったため、つくしは少しふっくらしていたし、身体も元には戻っていなかった...
本日17時過ぎ・・・私がお仕事をしていましたら、突然LINEが♪と。開いてみると、なんと空色様からのお話がっ!!あなたは類つくじゃなかったのか?!やっぱり隠れ総つく、いやいや、もう立派な総つくじゃないかっ(笑)!!とは言え、送っていただいたからには公開するしかないっ!ってことで、空色様のお話をどうぞ~~~♥◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆頑張れ!アレクサ 総二郎Ver.桜の盛りは思いの外短い。開花宣言から1週間程...
「西門さんって奥さんがいたんですね♪あ、ご心配なく~、今は独身だそうですよ?牧野さんと一緒ですね!」・・・・・・えっ?今、なんて・・・・・・奥さんって・・・・・・誰のこと?「何処かのお嬢様だったみたいですけど、どうして離婚したんですかねぇ?牧野さん、その理由を聞いてきて下さいよ~~~♪私、彼を狙ってるんで参考にしたいんですけどぉ~!」・・・何処かのお嬢様?離婚の理由って・・・そんなの言われても・・・・・・だって、私何も聞いてな・・...
木曜日、浦田は朝早くに本郷のマンション近くに来ていた。車は近くのパーキングに止め、マンションが見える喫茶店での朝食・・・そして監視しているのは当然マンションの入り口で、手にはカメラを持っていた。浦田は類に報告したあと、昨夜のうちにマンションに入り下調べをしていた。幸か不幸か、このマンションはかなり古かったためにオートロックではない。だから住人以外も出入り自由だったし、監視カメラも入り口に1台設置され...
<side龍崎麻衣>「ここか・・・・・・すんごい古臭い家だなぁ!てか、どんだけ長いの、この塀!しかも中が全然見えないし!」ネットで調べたら出て来た「茶道・西門流」。わざわざ仮病使って会社を休み、その住所に来てみたんだけど、どう見ても武家屋敷・・・クソ長い白い壁に囲まれてて、デッカい木の門がある。塀の向こうには松の木があるのは見えるけど、家なんて全然見えない。人の声も聞こえないし、何と静かな・・・と言うか、不気味な...
水曜日、つくしはすっかり元通りになった。昨夜から真音もつくしの部屋で寝ており、風邪もうつらなかった様子・・・それにはつくしが1番ホッとしていた。次の日曜日は真音の誕生日のお祝いだし、その時に熱を出してしまったら可哀想だから。「今日は今度働く会社に行って、入社に関する書類とかもらってくるの」「そうなんだ・・・初出勤が年明けって不思議な感じがするよね」「ふふっ、初めましてよりも先に、明けましておめでとうござ...
「なんだって?!龍崎さんが休んだぁ~~~っ?!」「つくし・・・声がデカい」「牧野さん、落ち着いて・・・」次の日、会社に行ったら涼子に言われたひと言・・・朝1番に当番で来ていた子が、かかってきた電話をとると龍崎さんが元気な声で・・・『あ、すみませ~~~ん!今日、お腹が痛くて立てないので会社休みま~~す!』と言ったそう・・・。当番の子が「病院に行ってね」と言ったらしいが、それを言い終わる前に電話を切られたとか・・・あの...
火曜日の午後、今日も真利愛は冷たい風を気にもせず、庭で若い使用人相手に遊んでいた。その様子をリビングから見ていた加代と美央が「子どもは元気ですよね~」とか、「恵子さんの方が風邪引かないかしら」などと話し合いながらティータイムを楽しんでいた。本来加代は使用人なので主家のお茶になど付き合わないのだが、美央が1人だと飲みにくいとのことで、時々一緒にその時間を過ごすことがあった。「美央様、24日ですけれど...
なんだか1日中私に敵対心ぶつけてきた龍崎さん・・・一体なんでそんなに悪態つくの?って疑問だけど、イチイチ聞くのも面倒臭い。教育係も2ヶ月間だし、それが過ぎれば普通の先輩後輩で、私の責任も軽くなるってもんだし。それまで辞めずに頑張るかさえもわかんない子だったから、気にしないようにした。それよりも今日もお稽古だろうか・・・とブツブツ言いながら着替えていた。当然その横には龍崎さんもいて、彼女は私を無視して背中...
15時30分になったら本郷は車のキーを持ち、「迎えに行くね」とつくしの部屋を覗いた。その頃のつくしは熱が引き、身体は幾分楽になっていたので玄関まで見送りに行き、買い物の追加も頼んだ。本郷はそのメモを持ち、戯けたような笑顔で「任せて」と言ってドアを閉める・・・それは何度も謝るつくしを気遣ってのことだろう。そして保育園に着くと美来が「パパ~!」と大喜びで出て来たが、真音はションボリしたままだ。それについ...
<side龍崎麻衣>「はぁ・・・・・・ダルい。こんなつまんない会社、入るんじゃなかった!」まだまだ火曜だってのに会社に行きたくなくてどんより・・・。でも給料ないと遊ぶことも出来ないから、仕方なく起き上がってメイクした。それから昨日買っといた菓子パン食べて、今日の服を選んで・・・「西門さんが迎えに来ないって言ってたから、普通の服でいっか!今日は里奈でも誘って、渋谷に飲みに行こ~~~っと!」それにしても牧野つくしぐら...
この日、浦田は類から依頼されたことを実行するため、自分のアパートで策を練っていた。会社名は判っている。が、関東には松田商事の支店や店は数多く、出向いて調べるのは効率が悪い。しかも防犯カメラに映るのは後々面倒だし、不審者としてマークされる可能性もある。そうなると電話になるが、本郷拓篤を探す理由として、不審に思われないためには・・・「・・・ダメ元でやってみるか」そう呟くと松田商事の本社に電話をかけた。その時...
グランピング・・・・・・豪華なキャンプなんて全然想像出来ないけど、西門さんが異様に張り切ってるから行く事にした。しかもキャンプ道具が要らないからって、車はヴァンキッシュ。この車を運転するのは西門さんOnlyだったはずなのに、この前私が運転したから「もう大丈夫だろう」って。再び5000万円のハンドルを握るのかと思ったら恐怖しかないけど、丁度高嶋さんから御守りももらったばかりだし?これは行ってみるしかないかも!...
「ただいま~!あぁ、寒かった~」本郷がマンションのドアを開けたのは20時30分。玄関で靴を脱いだ瞬間、奥のリビングからバタバタと走ってきたのは子ども達だ。そして出て来た言葉が・・・「パパ!早く来て!」「ママがね、ママがね!」「えっ?どうしたの、2人とも・・・」「いいから早く!つくしママが大変なの!」「うあああぁ~~~ん!」「・・・っ?!」真音が泣くのを見て慌てた本郷がリビングに入ったが、そこにはつくしの姿...
茶筅・・・クルクル回すだけの物だと思ったのに、まさかの5万円。お茶会で使う物は新品だって言うから、その都度5万がクルクルするのかと思ったら私の方がクラクラしそうだった。しかもこれまでカルチャーセンターで2~3回やった時には見様見真似で気にしてなかったのに、それに手順があるなんて・・・しかも西門さんがやると芸術っぽいのに、私がやると料理みたい。ついついゴマ擦りの気分で力を入れたら、見事に3本穂先が折れた・・...
部屋に入った美央は深い溜息を吐いた。そして奥にある自分の部屋に向かうと、そこでスマホを手に取り、ベッドに腰掛けた。着信履歴には柑菜から3件・・・いずれも30分以内にかけてきている。これを無視しても再び花沢に電話をかけてくるだけのこと・・・それならさっさと用件を済ませてしまおうと、リダイヤルをした。その電話はすぐに通話になり、聞こえて来たのは・・・『ちょっと!どうしてすぐに出なかったの?私からの電話なんだか...
「今日もお迎えが来るんですか?」業務終了後、龍崎さんがニヤリと笑って聞いてきた。その「お迎え」とは西門さんのことだろうけど、彼は2週間安静にしなきゃいけないからここには来ない。だけど、その事実を彼女に教える必要はないから「暫く来ないわよ」と言うと、見事に私を無視。自分のロッカーに向かって「面白くないなぁ~」なんて言いながらド派手な私服に着替えていた。「本当に来ないんですか~?」「来ないってば。私の...
次の日・・・一睡もしなかったつくしは、酷い顔で朝食の準備をしていた。顔色も悪く、目の下にはクマが出来ている。泣きすぎて瞼は腫れぼったく、身体が怠くて力が入らない・・・そんな感じだから頭が重く、本郷が起きて来て挨拶をしてもすぐには反応出来なかった。それに気が付いた本郷がキッチンに行くと・・・「つくしさん、どうしたの?」「えっ?あぁ・・・おはよう・・・」「・・・なに、その顔・・・悲惨だよ?」「あはは・・・やっぱり?あんまり寝...
「だって私、西門さんの事が気に入ったんですもの。絶対に手に入れます♪牧野さん、彼女じゃないんだし、問題ないですよね?私、男に関しては今まで失敗した事ないんで~~~♪」本当はすぐにでも言い返したかったけど、上手く言葉が出なかった。男に関しては失敗しかない私にとって、その自信は威力が有り過ぎる・・・だから不本意だけど、目を逸らせてしまった。「・・・そんな話は仕事中にしないでもらえる?早く座りなさいよ、今から研...
類たちが花沢邸に戻ったのは19時で、それから夕食だった。その時には頭にカチューシャを付けた真利愛が加代に抱きつき、加代はそれを見て「まぁ、可愛らしい」と大喜びだ。美央は買って来た菓子の土産を手渡し、玄関は一気に賑やかになったのだが・・・「美央、加代、悪いけど少し頭痛がするから部屋に戻る。真利愛と一緒に食べてやって」「まぁ、類様、大丈夫ですか?」「・・・・・・・・・・・・」「ぱっぱ~~?」「少し休めば良くなるから...