威厳に満ちたお袋の姿がこの邸にある・・・それは長いこと当たり前の光景だったが、今では少し違う。お袋は痩せて小さくなり、ホンの少し遠慮気味に廊下を歩いていた。それでも懐かしく思うのか、使用人達は「お帰りなさいませ」と言って頭を下げている。皆には真実を話していないし、お袋が体調を壊して長期療養に出ていたと思っているからだろうけど、どことなくホッとした表情で持ち場に戻っていった。お袋が1番はじめにしたのは...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
皆様、こんにちは。総ちゃんのお話が終わりましたので、本日のお昼更新はございません。長い期間お付き合い下さり、本当に感謝しております。また、先日の件ではご心配おかけしました。たくさんの励ましのお言葉をいただき、そちらも感謝しております。本来はおひとりずつ返事をするところではありますが、コメント数が多くて対応できず、申し訳なく思います。今ではすべて読ませていただき、そのお言葉に救われております。ごく僅...
家族旅行最後の日曜日・・・この日は夕方に大分空港まで行く必要があったので、その途中にある観光地に行くことにした。行きとは違う福岡空港か熊本空港から帰ってもいいのだが、この辺りは山の中をひたすら走るコースなので子供には退屈だろうと考えた。それならどこに行こうかと話し合えば・・・「サファリもあるんだけど、動物見ると大騒ぎしちゃうからなぁ・・・類は前回行った?」「いや、取引先と一緒だったから選ばなかったよ。やっ...
我が家に男児誕生・・・これを聞いた関係者から祝いのメールや品物が届けられ、西門は茶道どころじゃなかった。翌朝には自宅に戻ったんだが、そこで対応に追われ、夜になるまでつくしに会いに行くことも出来ないくらいだ。当然のようにあきらと類からは巨大な花束が、司からは道明寺がアメリカに建築中のテーマパークの招待券(無期限)が・・・遊園地であんなにイヤな目に遭ったのに、今度は自分で作ってるのかと思ってビビった。しかも...
旅館に着いたら、類が先にチェックインのためにフロントへと向かった。つくしは目覚めたばかりの子供たちのチャイルドシートを外し、その時に真莉愛のスカートの汚れに気がついた。「あ、真莉愛・・・やっぱり膝小僧の横、擦り傷があるわね。部屋に入ったら消毒しなくちゃ・・・」「・・・・・・ん」「ママ、パパは~~?」「パパは先に旅館に入ってるよ」「じゃあぼくも行く~~~」「気をつけるのよ、真音」旅館の駐車場は入り口のすぐ横だ。...
「つくしちゃ~~~~んっ!!どうなってるの~~っ?!」「美和子、静かにしないかっ!」「家元夫人、落ち着いてくださいませ!!」すでに暗くなった病院の中。つくしが苦しんでるのに産婦人科の廊下から聞こえてきた声・・・もう出産が進んでるからこの部屋には誰も入れないようになってるんだが、ドアの外で喚かれるからそれが丸聞こえ。つくしも額に汗しながら「来てくれたんだね~」って言ってるけど、こっちはそれどころじゃな...
草むらの向こうにある民家の横・・・草ボウボウの荒れ地の中に見えた赤い色は、今日真利愛が着ていた服の色だった。それを見つけたのは類で、「つくし、あれ見て!」と言ったためにつくしが前を見ると・・・そこには名前もわからない低木があり、初夏だからかなり伸びた草もあった。それを手で押しやりながら進む小さな女の子・・・「真利愛!!」つくしがそう叫ぶと、その女の子はクルッと振り向いた。その顔は真利愛に間違いなく、類とつ...
主治医の病院に到着したらすぐに検査され、出産が始まったとのこと・・・ただし、「病院に来るには少々早かったですね」と苦笑いされた。なぜならつくしは出血した訳でもないし、破水したわけでもない。軽い痛みが来ただけなのに、俺とお袋と志乃さんがゼイゼイ言いながら連れてきたんだから。つくしも「早いって言ったのに///!」と言うが、せっかくだからこのままLDRで待つことにした。LDRとは陣痛から分娩、産後の回復までを行う部...
「類、何があったの?!どうして真利愛1人を戻したのよ!」「ごめん、それは後で話す!遠くには行ってないと思うから探してくる!」「類!!」つくしと真音をその場に残し、類はさっきトイレを借りた旅館までの道を走って戻った。だがそこにも真利愛の姿はなく、公園入り口付近の植木の間も見て回った。子供の名前を呼ぶ類の声に観光客も何事かと振り向いたが、そんなことは構っていられない。近くにいた人に真利愛の特長を話して...
新しい年になり、西門家は瑞樹ちゃんの存在もあってより一層賑やかになった。サッちゃんはそのまま1年の産休になったけど、時間があれば私に瑞樹ちゃんの世話をさせてくれるし、良い話し相手にもなってくれている。だから気分の悪いときも不安があるときも、私はそれで救われた。家元達も「それが一番の仕事だ」ってサッちゃんのことを認めてくれて、彼女もこの家での子育てに漸く安心したみたい。何より旦那さんである野田さんが...
平日にもかかわらず、金鱗湖には観光客が多かった。類は子ども達がはぐれないようにと、その中でも比較的空いている場所を探すと、神社と小さな公園があることをつくしに教えてもらった。そこは去年、本郷達と来た場所だったが、真音はあまり覚えてない様子だった。「あ!おたかな(お魚)さんがいる~~!まこちゃん、見てぇ~」「どこどこ?あ、ホントだ~」「あんまり覗き込まないでよ?落ちちゃうから」「・・・こんなに人がいた...
私の叫び声を聞いて駆けつけてきたのは野田さん。箒を投げ捨て、サッちゃんを支えると、私に「タクシー呼んでもろうていいですか?」って・・・すると今度は総二郎が飛び込んできて、「俺が運転する!」と言って再びダッシュして裏口に向かった。私はどうしていいのかオロオロ・・・すると野田さんが、「嫁は1人で歩けるんで、つくし様は側に付いててもらえますか?」って。そしてすぐに部屋の奥から大きなバッグを抱えて、サッちゃんに...
別府での2日目は猫守を買った神社へ行くことにした。レンタカーを駐車場に停め、古い商店が軒を連ねる表参道を、親子が手を繋いで歩く。当然類と真利愛は初めてだが、1度来たことがある真音も2歳の時なのでまるで覚えていなかった。「あっ、ここ!類、見て見て~」「なに?」「参道に瓢箪の形をした石があるの。初詣のときに踏むと縁起が良いんだって!私ね、ここに来た時にちゃんと踏んだのよ」「そうなんだ・・・・・正月じゃない...
「おめでとうございます、もう妊娠3ヶ月に入ってますよ」「・・・・・・・・・・・・」「本当ですか、先生!!」「・・・///・・・あ、ありがとうございます」病院に着いたらすぐに検査されて、その結果を聞くときには総二郎と、何故かお義母様もいた。そして固まったのは総二郎で、大興奮なのがお義母様・・・私は自分でも気がつくのが遅れたこともあり、恥ずかしいやら申し訳ないやらで、嬉しかったけど小さくなってた。そんな私たちを見て、先生が「...
保育園を出ると、次に向かうのは・・・・・・「「えっ!!うみたまごに行けるの?!やったぁ~~~~~♪♪」」「ここから車で20分ぐらいらしいし、平日だからそんなに混んでないと思うしね」「じゃあ私がナビをするから、類が運転してくれる?その前にご飯だよね~」「「うみたまごで食べる~~~!!」」「「・・・・・・・・・・・・」」下調べしていたレストランで食べようかと思ったのに、子ども達の「「うみたまごっ!」」のコールに負けてそこ...
本邸にも母屋にもつくしがいない・・・そう感じたのは、この家が異様に静かだったから。たとえ俺と喧嘩してても、あいつの声はどこからか聞こえていたから安心したんだけど、今日はそれがなくて不気味だった。古弟子に聞いても、「今日の茶道の稽古は休む」としか言わない。志乃さんはなにも知らなさそうだったし、西村事務長に聞いても「事務所にも来ていませんよ」とのこと。稽古だけは休まなかったつくしだから、その行動に不安を...
社長就任記念パーティーが終わってから数日後のこと。類は山積みだった仕事を片付け、金曜日に異例の休みを取った。その理由は家族で小旅行に行くからで、秘書・藤本には散々文句を言われたが、それに耳を貸すこともなく。行き先はつくしと真音が住んでいた別府だ。あの時は別々に回った町を、今度は家族で回り、猫守を買った神社へお礼に行こうと話していたから。それに類は真音の保育園の園長にも礼を言いたいと思っていたからだ...
「なんなんだ!!野田の嫁のことになるとムキになりやがって!まずは自分の旦那の世話が一番だろう!!」「・・・そう思うならつくし様とお話し合いなさいませ。毎日毎日暇さえあれば志乃の部屋で喚かれても、わたくし困りますわよっ!」「・・・・・・そうだけどっ!!」「あれから何日経つのですか?家元たちもご心配されてますわよ?」「・・・・・・まだ3日だ」「その3日間、総二郎様のお仕事が滞っているのでは?!」つくしが野田の新居の...
パーティーは無事に終了し、最後はまた家族で壇上に立った。その時にもたくさんの拍手と声援を浴び、つくしは何度も頭を下げていた。招待客が帰るときにも通路で夫婦が並んで挨拶をし、子ども達も最後まで挨拶を頑張った。だが真利愛はすでに限界で、加代がそっと双子を控え室に・・・そして最後まで残っていたのは友人3人で、スタッフ達が片付けを始めた会場の隅でネクタイを緩めていた。「・・・親父さん達、どうしてるんだ?」そう聞...
それから数日後、野田が忙しい中、休みを取っていると聞いて驚いた。庭師の師匠である前田さんに聞くと、どうやら嫁さんの病院に付きそうとのこと・・・その理由を聞いて「似合わねぇことしやがって!」と思ったが、敢えて言葉には出さず。「総二郎、支度できたよ~~」「おぉ、今行く」「ねぇ、おかしくない?これで大丈夫?」「いいんじゃね?着付けも上手くなったな」「えへへへへ///志乃さん、厳しいからね~~」今日はとあるホテ...
「・・・・・・・・・ママは・・・・・・まいあのこと・・・」「どうした?」「・・・・・・なんでもなぁ~い」「・・・・・・・・・・・・」小さな子どもの相手など苦手なはずの司・・・だが、それがつくしの子どもだからなのか、その淋しそうな表情が気になったのだろう。つくしが戻って来ていないのに、双子を連れて会場横にあるルーフトップテラスに出た。そこはさながら小さな公園のように仕立てられていて、芝生にはベンチが置かれていた。真音はそこに設置されてい...
梅雨が明けた7月後半。この頃は庭木の手入れで野田は忙しくなる。梅雨明けの前と後では天候が大きく変化し、新しい枝の生長も一段落。これからの暑さの備え、風通しをよくしたり、光がまんべんなく当たるように剪定していかなくてはならない。春に花が咲いた木には「お礼肥え」を与えたり、茶花でよく使うナツツバキにも肥料が必要。それまでよく雨が降っていたのに、急に降らなくなって水分バランスが悪くなることから、木が弱る...
招待客の視線が類の家族に集まった。何故なら、隣にいるのは1年と少し前に行われた類の結婚式とはちがう女性だから・・・だがその理由は既に知れ渡っているので、ここで改めて類が紹介するという形になっていたのだ。美央のことも「花沢家の被害者」というニュアンスで伝わっている。そしてすでに彼女も本来の家族と過ごしていることも、あの事件の時にそれとなく報道されていたため、ここでは説明しない。それよりも真利愛と一緒に...
「サッちゃ~~~~~ん!!」野田さんから話を聞いて、今サッちゃんがいるという母屋の一室にダッシュで向かった。どうやらそこで使用人さんの制服でもある夏の着物を準備しているとか♪その部屋の襖をパーンと開けると、目の前に年配の使用人さんとサッちゃんが!その顔を見ただけで嬉しくなって、「おめでとう~~~!」と言って両手を広げたら・・・「うわああああぁっ!つくし様、飛び付かないで下さいっ!!」そう言って、彼女も...
類の社長就任記念パーティー当日。類は朝早くから会場入りしていたが、つくし達は式典に参加しないのでパーティーが始まる1時間前に会場に行くことにしていた。その頃には真利愛もすっかり元気になっていたので、先日用意した可愛らしいドレスに着替えていた。勿論真音もスーツに着替えていたが、上着を着るのは窮屈だろうからと、シャツとズボン姿でソワソワしていた。普段は動きやすい格好で走り回っているので、蝶ネクタイが鬱...
確かに・・・・・・確かに、祥一郎は「妊娠している」とは言ってない。「妊娠してないよな?」と言っただけで、俺の早とちりだ。そう・・・俺が早とちり&勘違いしたまでだ💢!!でも、もう少し説明を加えてくれても良かっただろうに!しかもさっき・・・『つくしちゃんから聞くと誤解するだろうから言っておくけど』『は?』『あの子がスケート初心者だったから両手握って教えたけど、他意はないから』『・・・・・・・・・』『スケート靴履かせるときも...
類が帰宅したのは21時。すぐに使用人から真利愛のことを聞き、部屋に入る前に加代のところに行くと、そこでは真音がウトウトしていた。スーツのまま真音を抱き上げると、安心したのかすぐに肩に顔を乗せて目を閉じる真音・・・類はそのまま夕食後の様子を聞くこととなった。「じゃあつくしが子供部屋に?」「はい、付き添うと仰いまして・・・風邪かどうかもわかりませんから、取り敢えず真音様を私の部屋でお預かりしましたの」「主治...
「・・・・・・・・・総二郎・・・お前、ちょっと・・・」「つくしちゃんは大丈夫なの?!」祥一郎が何か言い掛けた時、同時に特別室のドアが開いて、お袋が飛び込んで来た。しかも付き人が誰もいない・・・家元夫人が1人で外出なんて普段なら有り得ないが、それほどこの人もつくしと「孫」が心配だったんだろうと・・・俺はベッドに横たわるつくしの手を握ったままで、お袋はその手前にいた祥一郎を突き飛ばす勢いで俺の横に走ってきた。そしてつくし...
「こら、真音!遊び終わったらおもちゃは片付けなさいって言ってるよね?」「うわ!ママがおこったぁ~~~~!」「もうっ!人に任せちゃダメなのよ?そんな事するならもうおもちゃで遊ばせないんだから!」「やだやだぁ~~~!」「はい、じゃあ片付けて。いくらあなた達のプレイルームだからって、散らかしたままはダメなのよ?」「・・・・・・おこりんぼ!」「なんですって?!」「うわああぁ、またおこる~~~~っ!!」1階奥のプ...
『つくしちゃんがスケート場で倒れたんだ!今から救急車で西門の主治医の病院に運ぶから、お前もすぐに来い!』つくしが・・・・・・倒れた?一瞬何のことか判らず、思考回路停止・・・でも祥一郎は冗談を言うヤツではないし、その声はマジだった。しかも電話の向こうから聞こえるのは『返事はありません!』とか『病院まで何分ですか?』とか・・・そんな雑音が耳に入った途端に背中がゾクッとした。『お連れさんですか?救急車に同乗願います...
ドレス選びが終わると本格的になったのは英語とフランス語の挨拶だ。これはつくしだけではなく真音と真利愛もなのだが、子ども達は類が教えることになった。つくしには専属の家庭教師がつき、パーティーまでの間、毎日英語とフランス語の講習を受けることに・・・勿論簡単な日常会話のみだが、それでも気が重かった。そんな梅雨の晴れ間の、とある日曜のこと。リビングの真ん中で家族が輪になり、類による子ども達へのレッスン開始だ...
ラーメンを食べたら、まずは手袋を買いに行った。この季節に手袋なんてって思ったけど、作業服の販売店に行くとカラー軍手が売られてるからって・・・「しかも250円ぐらいで買えるんだよ」って爽やかに言われ、最近”○千万円”って言葉に慣れてるせいで逆に驚いてしまった。と言うか、祥一郎さんって西門家の血が入ってるのだろうか・・・?それともあの家を出ると金銭感覚が通常値にもどるのか?じゃあもしかして・・・私の方がバグってる...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...
つくしが花沢邸に来てから1ヶ月が経過した。それが5月の中旬で、ここで2人は婚姻届けを提出することになった。何故3ヶ月も先になったのかというと、社長に就任した類が多忙だった事もあるが、警察の事情聴取、つくしの税務処理と何かにつけてドタバタしていたのだ。それも全部終わり、類も落ち着いてきたために漸く自分達の届け出に着手できたのだ。しかも類と真利愛は養子縁組をしていたので、その辺りの修正手続きに弁護士を...
いきなり現れたのが恐ろしい顔の人形だったのか、それとも人間だったのか・・・それすらわかんない状況で彼に逃げられたけど、こんなところに1人で取り残されるのもイヤだ!だから楽しむ時間もなく暗闇の中を追い掛けたら、道明寺さんは何にもない壁に両手ついてゼイゼイしていた。・・・まったく、それが30歳の男のすることか💢!!それを怒ることも出来ず、薄気味悪いBGMの中、道明寺さんの背中をポンと叩くと・・・「うわあああぁっ!...
「・・・・・・マジか・・・」「俺、1回入ってみたかった♪」「悪い、俺は絶対に嫌だ。乗り物ならいいけど、あそこは無理!」「・・・・・・・・・は、入るだけなのか?」「うん、入るだけだよ~~♪だってお化け屋敷だもん!自分の足で歩くだけだよ~~」子供の頃からの夢だと言いながら、つくしは薄気味悪い建物の前で立ち止まった。そしてここでも言いだしたのがジャンケン。あきらが絶対に嫌だと言うから、俺と類と司とつくしの4人で2組に分かれ...
先日は大変お騒がせしました。たくさんコメントいただきまして、そのお返事も出来ずに申し訳ありません。多くの方にお話を楽しみにしていると言っていただき、とても感謝しております。しばらくお休みさせていただき少しは落ち着いたのですが、続編のお話で物足りなさが解消できるかどうかを考えると・・・どうなのかな~?と思いつつ・・・でも書いていたものだけは公開して、それでこの話を完全終了させることにしました。なので近々0...
初めはゆっくり動くジェットコースター・・・だんだん心臓がバクバクし始めて、喉がゴクリと鳴った。そうしたら花沢さんがボソッとひと言・・・「ジェットコースターってさ・・・恐怖心とは関係なく気絶する事があるんだよね」「は?」「極端な重力がかかると血液は下半身に集まって脳に届かなくなるから。特に気温の高い日は汗をかいて体内が脱水気味になってるから余計になりやすいんだって」「・・・・・・(今日、暑いけど)・・・」「ジェットコ...
「あ~あ、もう無理か・・・」「美作さん、何が無理なの?」「いや、何でもない(総二郎達のゴンドラからはもう見えない・・・なんて言えないし)。つくしちゃん、あと少しだからしっかり見ておかないと!」「は~~~い!」観覧車の後半になったら美作さんは私と向かい合って座り、何故かニヤニヤしていた。その意味は判らなかったけど、言われたとおりに窓の外を眺めて「もう地面が近くなった~!」と・・・その時目に入ったのはジェット...
遊園地とは文字の如く、楽しく遊べるように、いろいろな遊具やアトラクション、設備を備えた施設。アトラクションの設置に関係なく遊園地と呼ばれている公園もあるんだけど、私の思う遊園地は「乗り物」があること!それは滑り台、ブランコじゃなく、もっとハードでスピード感のあるもの・・・まさか、本当にそれに乗れる日が来るとは・・・っ!!「・・・・・・うっ・・・うっ・・・えぐっ!」「ちょっと総二郎・・・この子、泣いてるんだけど」「悪い...
「ふああああぁ~~~~~~~~!よく寝たぁ~~~~~~~~~~!!」大きく背伸びをして起きたのは6時30分。総二郎がいないおかげで久しぶりに爆睡でき、すっごく気持ちの良い朝だった。カーテンを開けると清々しい朝陽が目に入る・・・「今日は快晴だな~」と呟きながらベッドを降りて服を着替えた。そしてドアを開けて隣の部屋を覗くと・・・ベッドで寝ているのは美作さん1人。花沢さんはソファーで丸くなり、道明寺さんと総二...
私を無視して決められた翌日の予定・・・まさかの、道明寺さん達とのお出掛け?!結婚式の翌日に団体行動?!「ちょっと待ってよ、何処に行くの?」「つくし、行き先が問題じゃねぇよ💢俺達は2人きりでここで過ごし、明日の夜までマッタリするんだから!そうじゃないと明後日からは仕事なんだぞ?これまでの疲れを癒やさないとダメだろ?」「確かに疲れてるかも・・・行き先次第だけど・・・」「そうだなぁ、何処に行きたい?あきら」「俺は...
最後まであきらが仕切った二次会終了・・・考三郎はそれからまた飲みに行くと言い、女達を連れて何処かに消えた。従姉妹・従兄弟達はそれぞれの迎えの車であっさり帰宅。涼子達はつくしよりも景品に浮かれまくり、万歳しながらタクシーに乗った。港に残されたのは俺達5人・・・今日は宗家に戻らず、Tホテルのスイートを予約していたので、そこに向かうと言うと、あきらが「ハネムーンは?」と聞いてきた。答えは・・・「今すぐ旅行には行か...
「皆さま、大変長らくお待たせいたしました。本日の主役である新郎新婦の準備が整ったようです。皆さま、ご準備はよろしいでしょうか~?!それでは新郎新婦の入場で~~~す!」美作さんの声で扉が開けられ、途端に目の前でパーン!とクラッカーの鳴る音が!それよりもシャンデリアの灯りの方が眩しくてクラッとしてしまった。その後で叫ばれたのは・・・「西門さん、つくし、おめでとう~~~!」「さぁ、二次会は盛りあがっていく...
おはようございます。突然ではございますが、当面の間類君の連載公開を中止します。理由は、今回のお話について、「物足りない」とのコメントをいただき、それによりモチベーションがダダ下がりしてしまったからです。物足りない・・・それは私の筆力がないので受け入れますが、200話以上で「終盤が物足りない」と言われても、素人の私ではどうしていいのか判りません。明日より続編として、つくしと真利愛のこと、美央とのその後...
それから2ヶ月後・・・桜の花が終り、新緑の美しい季節に変わっていた。少しずつ気温も上がり、春らしい陽気に包まれた土曜日のこと・・・「ママ~~~、トラック来たよ~~」「ぱっぱ、おしっこしのトラック~~~!」「は~~~~い!2人ともおじさん達の邪魔しちゃだめよ~」「つくし、もう全部ガムテープした?」武蔵小山のマンションでは引っ越しの真っ最中。今日はここを出て、花沢家に引っ越すのだ。その為に大人達は朝からドタ...
「ブログリーダー」を活用して、plumeriaさんをフォローしませんか?
威厳に満ちたお袋の姿がこの邸にある・・・それは長いこと当たり前の光景だったが、今では少し違う。お袋は痩せて小さくなり、ホンの少し遠慮気味に廊下を歩いていた。それでも懐かしく思うのか、使用人達は「お帰りなさいませ」と言って頭を下げている。皆には真実を話していないし、お袋が体調を壊して長期療養に出ていたと思っているからだろうけど、どことなくホッとした表情で持ち場に戻っていった。お袋が1番はじめにしたのは...
初めて自分でお金を支払わせたけど、この1回じゃ足りない。今度は本屋に行き、そこで幼児用の絵本を買うことにした。それを話すとつくしは「ほん?」と首を傾げてたけど、これは実物を見た方がいいからと、通りすがりに見付けた大きな書店に入った。そこにはズラーーーーーッと本が並んでて、つくしは目がテン。平安時代にも本はあったらしいけど、一般的には出回っていなかっただろうから。なんたってあの頃は印刷技術がないから...
爺様と婆様が京都に戻ってから数日後、宗家には祥一郎が来ていた。理由はお袋の説得役・・・一応親父が戻ってくるように電話で話したのだが、お袋が難色を示したからだ。それに祥一郎はこの1年間で数回お袋と会っており、今では1番話しやすい存在になっていたから。夜勤明けの疲れた顔で俺たちの前に座り、「しょうがないなぁ~」とひと言。「親父が言っても渋るし、当事者である俺が言うのもな・・・・・・」「確かに母さん、総二郎に会...
類がくれたのはお金とお財布。今までお金を持ってなかったんだから当然財布なんてものを知らず、それを手に持ってもどうして良いのやら・・・「二つ折りの財布でも良かったんだけど、小さいと落としそうだから長財布にしたんだ」そう言われても、どっちがいいのかなんて理解出来ないんだけど。取り合えず硬貨と呼ばれるお金を全部持って歩くわけにはいかないので、類が適当にお財布の小銭入れの部分にジャラジャラ入れてくれた。そし...
みなさま、こんにちは。タイトル通り、今後についてのお知らせです。過去に自分の仕事について書いたことがあるのでご存じの方も多いと思いますが、私の仕事は「舞台衣装製作」です。個人で仕事をするようになって6年目、最近は依頼も増えており、有り難いことです。そして今月に入り、今までにない数の注文を受けまして、毎日その制作でドタバタしております。と言うのも数に対して納期が非常に短いのです。それでブログに時間を...
お爺様とお婆様の話を聞いたあと、今日は子供達は離れで一緒に寝ることになった。その時は祐子さんと私が付き添ったけど、寝入った後は志乃さんに任せて本邸に行くことに・・・そこでは家族だけの除夜釜が行われていて、遅ればせながら2人で参加することにした。私はこの行事が初めてだったので緊張したけど、思ったよりも穏やかでのんびりした雰囲気だった。しかも、初めて見る家元のお点前・・・それを見るお爺様の視線だけがちょっと...
「まったくもう!!あんた、さっきの男が何しようとしたのかわかってんの?!」「うわああぁ~~~~~んっ!!」「泣いてもダメ!ここは平安京じゃないんだ!あんたは姫でもないし、守ってくれる宿直も検非違使もいないんだから!」「・・・・・・・・・・・・・・はい・・・」類の車に乗ってからも散々お説教・・・ちゃんと途中まで言いつけ守っていたのに、それすら聞いてもらえず・・・そして私も涙と鼻水でそこまで説明出来ず・・・ようやく落ち着いてか...
「ほぎゃああああぁ~~~~💦」「たっくん、お兄ちゃんだよ~~!」「たっくん、泣かないで~~」「ふぎゃあああぁ~💦」「うわああぁ~~ん!母さま~~っ!!」「ママ、どうしたらいいの~~~!!」建翔君が西門に来て数日後・・・この邸に赤ちゃんの泣き声が響いた。ついでにお兄ちゃん達の泣き声が加わり、使用人さん達もクスクス笑いながら廊下を歩いてた。それが本邸にまで聞こえるようで、すぐにすっ飛んでくるのは孝三郎さん・...
「類様・・・私に隠れて何かしていませんよね?」「・・・してないよ、加代」買物に行くにはお金が必要・・・と言うのも、つくしに現金を持たせて買物するのが目的だから、1番はじめに自宅に立ち寄った。その時に玄関先で仁王立ちした加代にそう言われ、自分の家なのにビビりまくりの俺。そして追求されるつくしのこと・・・こうなることを予想して、つくしには門の外で待つように指示していた。『あんたに渡すお金を用意するから、悪いけどこ...
その日の西門は仕事なんて其方退け。家元は腕組みしてジッと庭を見てるし、そのうち石化してしまうんじゃないかってぐらい。孝三郎さんは意味もなく屋敷中を歩いて落ち着きがなく、時々何処かで遠吠えしてるのが聞こえる。そんな2人の仕事を引き受け、総二郎1人が大忙し・・・でも凡ミスしてお弟子さんに笑われてる。私はお婆様にお花の生け方を教わっていたけど、その時間も何度孝三郎さんが廊下を歩いていったやら!「・・・ほんとに...
翌朝・・・・・・またつくしは床に落ちてた。そこで丸くなって寝てて、俺には布団が掛かってなく・・・・・・ブルッと震えて両手を擦った。これが続いたら、本気で風邪を引きそうなんだけど・・・。音を立てないように移動して覗き込むと爆睡してる。だからそっとベッドから降りて、静かにキッチンに向かった。そこで珈琲を入れて、一昨日の夜に買ったパンの残りを出した。「・・・あれだけのピザ、朝ご飯用に残ると思ったのに」そう言いながらピザの...
妊娠が判ってすぐに始まったのは私達の引っ越し・・・総二郎は仕事を休んでそれを手伝ってくれた。とは言っても、このマンションの家具や家電を持って行くわけではなく、身の回りの物だけ。それなのに何一つ荷物を持たせてくれなくて、一颯ですら「ママはじっとしてなよ~」と生意気なこと言って・・・「母屋の総二郎の部屋に行くんでしょ?」「あぁ、奥の和室を洋間に変えて、一颯の部屋にしようと思う」「そこ、総二郎の着物とかがある...
「今日はちゃんとドライヤーで髪を乾かすよ」「どらいやぁ?」「これはカタカナね。ドライヤーと言って髪を乾かす道具」「乾かさなきゃダメなの?」類が持って来たのは私が電気店で大騒ぎしたヤツ・・・いきなりすごい音が出て、熱風が来たから放り投げたのよ。だから怖くて怖くて・・・そう言うと類が乾かしてくれるって。私はソファーの前に座り、類がソファーに座ってドライヤーを手に持った。そしてブオォーーーーッ!とすんごい音が...
「おめでとうございます。赤ちゃんの様子から妊娠2ヶ月、6~7週ってところですね」「・・・・・・・・・・・・」「あ、ありがとうございます///」「異常も見られませんし、出血もしてないので問題ないですよ」「・・・・・・・・・・・・」「あ~、良かった!安心しました」次の日、来なくていいと言うのに付いてきた総二郎と一緒に先生の説明を受けた。不順だったから気がつくのが遅れたんだと思ってたけど、実はまだ妊娠2ヶ月になったばかり・・・今の私...
取り合えず電話を掛けることだけは出来るようになった。と言うか、何かを検索したくでも文字を覚えなくちゃ入力も出来ない。そして出てきた文字を解読することも出来ない。それこそ小学校低学年の子が読める程度の漢字を覚えることと、ひらがな・カタカナ・数字、アルファベットの習得が必要・・・そう言うと、アルファベット以外はなんとか覚えたっていうから驚いた。「1日しか経ってないのに?」「うん。あんまり似てないけど、私...
千葉からの帰り道・・・今度は孝三郎さんの運転で、助手席には祐子さんが座った。私と総二郎が後部座席で子供達の面倒を見ることになったんだけど、その子供達は爆睡・・・このまま起こさずに自宅まで戻ろうってことになって、私もホッとしていた。ただここでも気分が悪くなり、酷くはないけど吐き気も・・・それを口に出すとせっかくのドライブが楽しくなくなると思い、顔を窓の方に向けて寝たふりをした。「祐子、体調大丈夫か?」「うん...
「「「「ありがとうございましたぁ~~!!」」」」「どーも・・・」「ご苦労様でした~♪」夕方、家具屋の配達員が4名体制でやってきて、今日買った物を全部運び入れてくれた。しかも昨日の家電店で買った洗濯機も届けられ、これでようやく生活が出来る・・・と思うんだけど。振り向いたらつくしがドラム式洗濯機の中に入ろうとしてる。「それは人を洗う物じゃないから」って言うと、少々頬を赤くして苦笑い・・・そのあとで不思議そうにい...
「・・・何だったんだろう・・・でも、よく似てたなぁ・・・」「どうかしたの?さっきからブツブツ言ってるけど」「・・・ううん、なんでもないんだけど・・・・・・多分、気のせいだわ」「・・・???」桜子の声が聞こえたような・・・・・・もしかしたら、自分でも気がつかないうちに会いたいと思ってるのかも?(←桜子が不憫である)しかも何かを探せって言ってたようだけど・・・この世界に私が探せるものがあるだろうか?なんてことを考えても仕方がない。...
家具屋を出てからランチに行こうと思ったけど、またつくしが大暴れしたらと思うと・・・だからテイクアウトでサンドイッチを買い、何処かの公園で食べることにした。きっとその方が店員にも迷惑かけずにすむはずだし、「姫」とは言えおおらかな性格のようだから外で食べても文句言わないだろう。それにボチボチ桜も咲いてるし、天気もいいから気分転換にもなると思って。それを提案すると・・・「ていくあうと?」「そう。店で食べずに持...
すっごく大きな家具屋さん・・・そこに入ったら、すっごく広い場所に、不思議な大きな箱みたいなのが沢山並んでる。そう言えば、初めに見た類の家にはこんな物があったな~と思いながら眺めてた。私の実家・・・大納言家とは全然違う今の家。そもそも昔のは壁ってものがなくて、『自然との調和』といえば聞こえが良いけれど、要するに風の通りが良すぎる造りなのよ。寝殿と呼ばれるのは公家の邸宅において、主人の居所として中央部に設け...
「それでは今から40分前の映像から流します。画面が4分割されていますが、1番から正門前、お子様が遊んでおられた庭、その中間地点、4番目は門の外にある道路です。では始めます」警備担当者の緊張した声を聞くと、再び涙が溢れ出すつくし。類も厳しい表情で画面を見つめ、それは総二郎や美央も同じだった。加代は泣きじゃくる真利愛を宥めながらやはり画面を覗き込んだ。今から40分前は真音と真利愛が総二郎と一緒にボール...
ゴールデンウィークが終わってから数日経つけど、私には気になることがある。それは家元と家元夫人がすごく静かになったこと。帰ったその日は明るかったのに、今では私にあまり話し掛けない。今朝も一緒にご飯食べてるのに、挨拶以外はダンマリで・・・私、何かしたかな?と思ったりもしたけど心当たりはない。でも考三郎君は相変わらずお調子者だし、総二郎からも何も聞いてない。ちなみに志乃さんも普通・・・家元はともかく、家元夫人...
「真音~~~~!お~い、真音~!」「まこちゃぁ~~~~ん!」総二郎と、見付かってしまった真利愛が大きな声で真音を呼んでいた。それを聞いて加代が庭に出てきて、「どうかしましたか?」と・・・総二郎は困った顔して、隠れんぼをしていた事を説明した。「隠れんぼ・・・ですか?」「あぁ、真利愛がした事ないって言うから、この庭の中で隠れようって話になって」「それで真音様が見当たらないと?」「ここから見える庭の中だけって...
高嶋さんの話はそれぐらいにして、話は本日の稽古について・・・「あ、久しぶりのお稽古だね♪ゴールデンウィークは休んだし~」「野点をしたじゃねぇか」「あれはお稽古とは言わないよね💢?」「そうか?大自然の中で・・・」「もういいから///!!」「くくっ!で、もう萱の間は使わねぇから」「どこでするの?」「勿論俺の茶室だ」萱の間で稽古をしたのは正座が出来なかったからで、今はもう私も総二郎も捻挫は完治している。「そろそろ...
「まぁ、楽しそうな笑い声・・・やっぱり子ども同士っていいですね。いつもはあんなに大きな声を出さないのに・・・ねぇ、類様」「そうだね・・・動物園だとあんな声出すけど」「それって真利愛にとって、真音と動物園の動物が同じってこと?」「うふふ、牧野さんったら!」「つくし、そんな意味じゃないからね?!」夫婦の部屋の窓辺に3人が立ち、そこから庭を見ていた。冬の芝生は青々とはしておらず、色褪せた庭には花も少ない。そんな...
つくしが帰宅したのはいつもより少し早かった。でも今日は親父達が外出していたのでダイニングには俺とつくしのみ・・・考三郎は両親が居ないことを良いことに、悪友と飲みに行ってしまったからだ。でもこれも好都合って事で、飯を食いながら今日の出来事を聞いた。すると俺が話したとおりに事が進んだようで、つくしは「1回も横道に逸れることなく、総二郎のシナリオ通りだったよ~」と驚いていた。で、自分の演技にも自信が持てた...
少しだけこの家の空気に慣れたと思ったのに、またつくしは極度の緊張と不安を感じていた。自分と類の間には美央がいる・・・彼女が優しい人物である事は判ったのだが、どうしても美央が「勝ち」、自分が「負けている」ような気持ちになってしまう。それは真利愛が美央の事を「ママ」と呼ぶからなのかもしれない・・・いくら仕方がないと思っても、実際にそれを聞くと悲しくてたまらなかった。「ここが俺の・・・俺達の部屋なんだけど、つく...
高嶋さんに言われたランチの店は、会社から徒歩3分のところにあるイタリアン。そこには行った事があるんだけど、各席に衝立があって隣の席が見えにくい構造・・・つまり隣の人達の話し声もあんまり聞こえない。それを知っていたのか、高嶋さんは私よりも少し先に営業のフリをして社用車で出掛けた。12時になると私は昼休憩・・・でもお弁当が勿体ないので、涼子に相談することに。「え!つくしのお弁当食べて良いの?!」「うん、ちょ...
「初めまして、牧野さん。私は美央と申します。本日はようこそおいで下さいました。あなたに会えて本当に嬉しく思いますわ」つくしは美央を見て身体が硬直した。それは類から聞いた美央の、優しいイメージ通りだったから・・・2人が並ぶと美男美女でよく似合っており、上品で歳相応の落ち着きがある。勝ち負けの問題ではないと判っていても、瞬時に『負けた』という感情が湧いた。何か言わなくてはと思うが、少し開いた唇は震えるだ...
つくしが帰宅したのはいつもの時間で、夕方の迎えは若弟子だった。若干疲れ気味のつくしが今日の報告をしたいの言うので、着替えたら俺の部屋で飯を食おうという話になり、こいつはヨロヨロしながら先に自分の部屋に向かった。俺はその若弟子を捕まえて、「変わった事はなかったか?」と聞いたが・・・「変わったことというか、牧野様が食べきれないからってお菓子をくれましたよ。黒糖カヌレと柿の種・北海道チーズ、博多通りもんと・...
『予定通りうちを出る。牧野と真音はもう俺の車に乗ってるから、そっちも準備しとけよ』「あぁ、うちは問題ないよ。総二郎の友人親子って事で話してあるから、インターホン鳴らしてくれたら加代が出るから」『OK!んじゃ後でな~』総二郎からの電話を切ると、類は窓の外を確認・・・今日は天気がいいので、コートを羽織れば双子が庭を散歩できるだろうと、それを想像して頬が緩んだ。美央もいつも通りに落ち着いていて、真利愛の髪...
そのあと高嶋さんはニヤッと笑いながら資料室を出て行った。これで良かったのかどうか・・・でも確かに、私の行動を検証しているみたいだったからゾクッとした。「と言うか、私がホスト通いすると思えるんだろうか・・・すぐ近くにホストも泣きそうな総二郎がいるのに?」野田さん、そこは考えなかったのか?総二郎もプライドは傷付かなかったのか?まぁ、男心は判らんけど!そんな事を呟きながらプランニングを進め、16時には事務所に...
「えっ?妙な車が屋敷の前に停まってたって?」「はい、それも数回ほど確認出来たそうですが・・・・・・」夜になって類が自宅に戻ると、すぐに加代からそんな報告があった。今日の昼間に正面の門の前に1台の白い軽自動車が停まり、暫く動かなかったらしい。警備はすぐに防犯カメラでそれを発見し、暫く監視していたが3分ほどで移動した。だが1時間後に再び同じような車が現われ、今度は屋敷の周りをグルグル走っていた。流石に見逃せ...
「はぁ~~~~~~っ?!龍崎さんが退職届を出したぁ?!」会社に行ったら涼子達に速効言われたひと言。龍崎さんがあのまま辞めたって・・・私と総二郎の事を聞いたのがそんなにショックだったの?!てか、新人離職率が爆上がり?!そんなの課長・部長・所長にド叱られするんじゃないの?!「うん。ほぼアタリだけど退職届じゃないのよ。今朝課長が1番に会社に来たんだけど、その時ポストに手紙が入ってたんだって。『この会社は私...
5日の朝、つくしはいつもの時間に起きて、いつものように朝食の支度をした。子ども達の保育園の昼寝布団のセットは昨夜から玄関に置いてあり、本郷もいつもと同じ時間に起きてきた。そのあと美来と真音を起こし、つくしはサンドイッチをテーブルに運び、本郷には淹れ立ての珈琲を出した。子ども達は休み癖がついているのでテンションは低く、美来は「休みたい~」と言うほどだ。でも今日はつくしも会社に行かなくてはならないので...
「実はな、お前の連休は京都・大阪豪遊ツアーなんだよ」「・・・・・・・は?」「栃木で俺とグランピングじゃなく、京都・大阪でホスト通いの1人旅だ」「はぁ?!」京都・大阪豪遊ツアー中身がホスト通い?!しかもゴールデンウィークに1人旅って淋しすぎない?!てか、なんでそんな設定になってんの・・・?それを聞くと、京都大阪の豪遊旅は野田さんが行ったって話・・・ますます判んなくなってポカンとしていたら、あの渋谷御守の事を聞か...
元旦の夜は町田のマンションでつくしの作ったおせちを食べていた。だが会話は少なく、1番元気がないのは真音・・・つくしはワザと声を明るくして話し掛けるが、料理をあまり口にせず、部屋に戻っておもちゃで遊んでいた。それを見て美来も流石におかしいと感じたのか、不安そうに本郷とつくしの顔を見た。「・・・まぁ君、どうしたのかなぁ・・・」「もしかしたら風邪気味なのかもね。旅館が寒かったから」「そうなのかな・・・明日はいっしょ...
宗家に戻ったらつくしはお袋達に掴まって、あれよあれよという間に母屋の奥に行ってしまった。車に残された大量の土産物はサッちゃんと西村事務長によって、一旦俺の部屋に運ばれ・・・見事に俺の部屋がサービスエリアの土産物コーナーのようになってしまった。「総二郎様・・・これはまた、凄い量ですな・・・」「俺じゃどれが宗家のでどれが使用人のものか判んねぇんだよな。買ったのも運んだのも俺だけど」「・・・(そんなに尽くすタイプだ...
つくしは元旦の朝早くにベッドから抜け出し、ぼんやりと窓の外を見ていた。天高いところはまだ暗かったが、東の方が僅かに明るい・・・・・・もうすぐ日の出だ。昨夜の事がなければ本郷や子ども達と一緒に見ようと思っていた初日の出・・・でも本郷も起きる気配がなく、子ども達もぐっすり寝ていた。つくしはここでスマホを取り出し、何気なくそれを開くと・・・『あけましておめでとう、つくし。俺達にとって、素敵な1年が始まると信じてるよ...
ゴールデンウィークはあっという間に残り2日になった。明日にはもうグランピング場を出て、東京に戻る。それが悲しいのか淋しいのか・・・嬉しいのかさっぱり判んない!そして総二郎は日に日に元気になっていくけど、私は真逆・・・すでに身体中がボロ雑巾のよう。それというのも、この男・・・・・・💢「つくし~~、風呂入ろうぜ♪」「今日は1人で入って」「なんで?」「最後の露天風呂ぐらい1人でゆっくり入りたいわよ💢!!」「・・・・・・・・・・・...