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Pas de Quatre http://pasd124.blog.fc2.com/

花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。

読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。

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2017/02/11

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  • ハズレを引いた男と女・8

    「お洒落なものは何にもないけど、眠気覚ましの珈琲ぐらいならあるから」そう言って彼を招き入れたのは良いけど、よく考えたら部屋が散らかったまま・・・帰る早々財布がないことに焦って探しまくったから鞄の中身もぶちまけていた!自分でもその有様を見て唖然・・・でも西門さんはすぐ後ろにいて、私の頭の上からこの大惨事を眺めてた。「うわ・・・強盗でも入ったのか?」「うわあああぁっ///!!そうじゃないのよ、財布のことでテンパっ...

  • 君がいない風景(7)

    類が買って来てくれたのは、シンプルだけど着心地最高の上質なものだった。色はスカイブルーで今日の昼間の空のよう・・・フワリと広がるスカートは少し幼さを感じさせたが、つくしにはよく似合っていた。ドレッシングルームでそれに着替えて簡単にメイクし、髪を整えてから部屋に戻ると、類はその姿を見てニコリと笑った。「サイズ、間違ってなかったね」と。つくしは「すごく可愛いね~」と喜び、類の前で一回転し・・・「・・・きゃっ・・・...

  • ハズレを引いた男と女・7

    やっと合コンが終わり、俺はすぐに店を出た。そしてさっさと帰ろうと思ったが、ここで女に囲まれて二次会への誘いが集中。そんなの冗談じゃねぇと思ったが、啓介の手前、怒鳴ることも出来ず・・・「ねぇ、西門さん♥カラオケ行かない?」「それよりさ、お洒落なBARで飲みませんか?」「家何処ですか~~~?私のマンション、ワリと近いんです~♪」「あんまり話せなかったので、今からが本番ってことでどうですかぁ?♥」そう言ってグイ...

  • 君がいない風景(6)

    つくしが目を覚ましたのは翌日の朝、9時だった。その時には微熱程度にまで下がっていたが身体が怠く、身体に力が入らない。しかも類の姿はなく、看護師にそれを聞くと・・・「類様でしたら今朝早くに戻られましたよ」「・・・また一晩中付き添わせたんですか・・・?」「また?」「あ・・・何でもないです。すみません、私も自宅に戻ります・・・どうしたらいいですか?」「牧野さんは今日1日ここでお休み下さいとのことです。あなたの会社には...

  • ハズレを引いた男と女・6

    特に意味もなく聞いた「彼氏歴」・・・そうしたらまさかのバツイチで驚いた。と言うか、バツイチ同士で座ってるとか、マジ面白い。そんな事を思いながら次に聞いたのは「離婚理由」。それを言わなくても別にいいと思ったが、牧野はあっさり話してくれた。しかもその内容が・・・「私、男性が苦手なんですけど、それでもプロポーズしてくれた人がいたんです。勿論ちゃんと自分の事を伝えたし、そう言う・・・関係になりたくないってのも話し...

  • 君がいない風景(5)

    佐久間の嫌な笑いにビクッとしたつくしは、その時に吹いた強い風のせいで傘を落とした。それまでも部分的に濡れていたのに、防ぐものがなくなったらあっという間に髪はずぶ濡れ、服も透けてしまうほどになった。だがそんな事を言っている場合ではなく、佐久間はつくしを引っ張り、目の前のホテルに入ろうとした。「いやぁっ!!やめてください!」「雨宿りだよ」「タクシーって言ったじゃない!!」「え~、そうだっけ?」「ホント...

  • ハズレを引いた男と女・5

    食事が終わったら珈琲とデザートタイム・・・そしてここからが合コン本番だと言われてドン引き。その時に啓介がトイレに行ったから追い掛けて、クソ文句を言った。「いい加減にしろよ・・・💢俺がこんなの大っ嫌いだって知ってるよな?」「え~~~、女好きじゃん?」「女が好きとか嫌いとかじゃねぇ💢合コンなんて性に合わねぇんだよ!それに俺が離婚したばかりだって知ってるだろうが!こんな場面を誰かに見られたらどうすんだよ!」「西...

  • 君がいない風景(4)

    つくしは痛む頭を抱えたまま、朝1番にシャワーを浴びた。そして昨日の事を思い出そうとするが、所々記憶が欠落している。でも思い出せたのはタクシーの中で、類に言われた言葉だった。『あんた、あのままだったら何されてたか判ってる?』『多分、酒に細工されたんだよ』そして、どうして花沢類がタクシーに乗っていたのかを聞いたはずだが、その辺りの記憶が曖昧・・・『アパートまであと少しだから頑張れ』『俺に凭れ掛かってもい...

  • ハズレを引いた男と女・4

    啓介は1番を引いたらしい・・・俺とは真反対の席に座り、隣は全然知らねぇヤツ。こんな飲み会は大っ嫌いな俺だが、啓介の顔を潰すといけないと思い、渋々座ったが・・・やはり全然面白くない。俺の前の席は空いたまま、時間が来たからパーティー開始。まずは男の方からってことで自己紹介が始まった。啓介はチャラい感じで「文化系の仕事してて~」と職業を濁し、あとはW大卒とか、趣味がドライブとか適当な事を言っていた。2番目の男...

  • 君がいない風景(3)

    類に相談してから数日間、つくしは溜息しか出なかった。正直なところ自分だけで解決出来ることだったのに、わざと類に話してしまった・・・・・・認めたくないがそれが事実だ。そんな自分に嫌気が差し、自己嫌悪に陥っていた。「牧野さん、最近元気ないね・・・どうしたの?」「えっ?」顔を上げると、そこには佐久間の顔があり、必要以上に近よっていたので驚いた。慌てて椅子を引き、佐久間から遠離ると「なんでもないです」と両手を振っ...

  • ハズレを引いた男と女・3

    土曜日になった。男に会うのにわざわざ服を考えたりはしないが、独りになったからって落ち込んでるように思われるのも癪に障る。だからTagliatoreのチェスターコートにワインカラーのハイネック、それにブラックジーンズで、ピアスはCELINE、時計はPatek Philippe。以前の俺と何の変わりもないことをアピールするような格好で玄関に向かった。「総二郎様、お出掛けでございますか?」「あぁ、志乃さんか・・・まぁな、ちょっと呼び出...

  • 君がいない風景(2)

    ~~6年前・晩秋~~「・・・昨日さ・・・道明寺と別れちゃった」大学4年のつくしは笑いながらそう言った。それを聞いているのは花沢物産に勤務して1年目の類・・・場所は都内にある小さな喫茶店の窓際、1番隅の席。そこはつくしが長年バイトしている店で、その日はバイト最終日だった。明日からは本気で就職活動をするため、バイトは全部辞めることにしたのだった。なぜ大学4年のこの時期まで就活をしなかったのか・・・それは当時の恋人...

  • ハズレを引いた男と女・2

    「ほんっーーーーーーとうに馬鹿だよね、あんた!」「そんなに大声で言う?ここ、社食だよ?」「何処で言おうと馬鹿なのは変わんないわよ!」「いいから早く食べなよ。時間無くなるよ」「・・・・・・つくし、あんた幾つになったのよ」「もうすぐ27歳だけど、なにか?」私が怒鳴られてるのは勤め先である岡田ライフネット(株)の社員食堂の隅っこ。そして大声出してるのは同僚の安部涼子・・・その理由は私の早すぎる離婚だ。私の名前は...

  • 君がいない風景(1)

    世間がイルミネーションで賑やかなクリスマスイブ・・・その日、東京では初雪が降った。クリスマスムードに雪が加わり、恋人たちはそれだけで気分があがるのだろう。手を繋ぎ、街を歩く連中の顔は寒さを感じさせないほどにこやかだった。そんな中、1人の男が人混みをかき分けて病院に向かっていた。その病院とは都内ではあるが千葉よりにある比較的大きな総合病院・・・そして走っているのは花沢類、28歳。花沢物産の後継者で、現在は...

  • ハズレを引いた男と女・1

    「この大馬鹿者!何を考えてるんだ!💢」「こんなの末代までの恥ですよっ!!」「・・・そう怒るなって。だから言っただろう、俺の好きにさせろって」秋も深まった11月後半・・・口切りの茶事が終わってホッとひと息ついた宗家に激震が走った。それは親父とお袋の怒鳴り声で、怒鳴られてるのは俺。理由は・・・俺の離婚だ。俺の名前は西門総二郎。表千家西門流の次期家元で、現在27歳。英徳の幼稚舎から大学までを通い、その間遊びに遊ん...

  • 恋の音・最終話

    5月も6月も穏やかに過ぎていき、7月の七夕の茶会ではつくしと一緒に笹竹の準備をし、それには2人の短冊を同じ場所に吊した。婆様も短冊を持って来たが、それには『曾孫に会えますように』なんて書かれていて、つくしは真っ赤・・・親父は苦笑いだったが嬉しそうにそれを客に見えるところに飾った。そしてつくしに向かってひと言・・・「今回はつくしさんも総二郎が亭主をする茶席にお入り」「えっ?!私がですか?でも・・・」「いいん...

  • 探し物はなんですか?(LastStory)

    「・・・よし、こんなもんかなぁ~」「つくし、準備出来た?無理しないでよ?」「大丈夫だってば。じゃあ、これだけ運んでもらえればいいと思う~」「了解。あとは業者に任せるからつくしは車に行くよ」「は~~~い!」式が終わった翌週は私の荷物を花沢家に移動・・・つまり、引っ越しだった。それまでも殆ど類の部屋にお泊まりしてたんだけど、思い掛けない妊娠と急な挙式の準備で荷物の移動が後回しだったから。でもこのマンションの...

  • 恋の音・217

    野点は予定通り始まり、俺はいつもより少し緊張しながら茶を点てた。目の前には今日もお嬢がズラッと並び、お袋の席がねぇから考三郎のところに婦人会の連中が集中・・・親父の席は相変わらず後援会の爺さん達が並び、昨年暮れの騒ぎを忘れさせるほどの賑わいだ。桜の花も7分咲きで、少し風が吹けば舞い散る花びら・・・それに見惚れてる客も多かった。「総二郎様、お湯を替えましょうか」「あぁ、そうだな・・・頼む」普段なら黙って交換...

  • 探し物はなんですか?(145)

    私の最終出勤日は予定よりも少し早い12月20日になった。その日の終礼にはなんと類が秘書室に顔を出し、私の代わりに挨拶・・・そうすることで嫌味を言われないようにって配慮だったらしく、おかげで安藤さん達からは何も言われなかった。しかも「お世話になりましたギフト」はPARKER SONNETの名入れ万年筆、1本25000円。それに女性にはDiorのシャワージェル&ボディソープ、男性には革張りのシステム手帳・・・当然買ったのは類...

  • 恋の音・216

    いよいよ週末は桜の茶会・・・あと3日もあるのに私はドキドキが止まらなかった。そのせいでお稽古も上手くいかず、お茶碗を落としそうになる始末・・・それを見て崇子さんが苦笑いし、「少し休憩しましょうか」て・・・それを聞いても「頑張ります!」と言う私に、「今のままじゃお稽古にもならないわ」って厳しい言葉を出された。それも納得。自分でもそう思うんだもん・・・でも、何かしないと落ち着かなくてどんどん焦っていった。気晴らし...

  • 探し物はなんですか?(244)

    お婆様の宝物を見付けてから1ヶ月後、類が私の両親と会うことになった。両親は現在東京でもド田舎の方に住んでいで、かなり古い木造一軒家・・・しかも部屋は6畳二間しかなく、応接間なんてないからゴチャゴチャした居間で話をすることに。そんな家の前に外車が停まり、居間ではハイブランドのスーツを着た類が、穴のあいた座布団に正座してるのはかなりシュールだった。そして私との事を話すときも両親と弟はポカン・・・「花沢物産っ...

  • 恋の音・215

    すごく近くにつくしの部屋があるのに、全くと言っていいほど2人の時間は取れなかった。それでもあいつが笑ってるのを遠目で見られるから安心で・・・・・・「ホントか?実はすげぇイラッとしてるだろ、総兄」「五月蠅い💢!!自分で自分に言い聞かせてるんだからお前がガタガタ言うな💢」「あっはは!あっ、つくし姉ちゃん、茶道会館に行くなら一緒に行こうぜ~~」「・・・・・・💢💢!!」「あら、考三郎君、今日も寒いね~~♪じゃあ資料を探し...

  • 探し物はなんですか?(243)

    まさかの「植物の種」・・・それには茫然としてしまった。問題はなんの種かと言うこと。そこは自称・植物博士の西門さんがいたから、彼が調べることになったんだけど、すぐに閃いたのかスマホで検索開始。そしてあっという間にそれがハナミズキの種だと言うことが判った。「ハナミズキの種?」「木にも種があるの?」「・・・つくしちゃん、当たり前だろ。これ、小学生でも知ってるぞ?ケヤキのような大きな木でも最初は種子・・・所謂種だ...

  • 恋の音・214

    「それでは行ってきますね。帰りは夕食も食べて帰るから遅くなるわ」「畏まりました。でも大奥様、裏口から出なくても・・・」「志乃さん、何か要る物ありますか?」「牧野様、特にはありませんわ。気を付けていってらっしゃいませ・・・と言うか、車で行かないのですか?」「大通りでタクシーを拾うので心配いらないわ」「私もいるんで大丈夫ですよ~」2月13日、私達は久しぶりに外出した。行き先は崇子さんのお友達が出品すると言う...

  • 探し物はなんですか?(242)

    今まで2つの絵が並んで飾られていたから気にしなかったけど、薄らと見えた壁の線。それは近寄らないと判らないぐらいで、額縁を退けると金色の鍵穴があった。それも1㎝ぐらいだから、隠そうと思えば絵じゃなくても簡単に誤魔化せるような感じだ。つくしに持って来てもらった鍵をこの穴に差すとピッタリ一致し、回すと小さくカチッと音がした。でも取っ手がないから、その鍵が付いた状態で軽く引くと・・・「うわっ!本当に開いた!...

  • 恋の音・213

    宗家に入るとまずは崇子さんと一緒に家元への挨拶。そして志乃さんに案内されて、母屋の一室に向かった。そこは6畳5部屋がコの字型に繫がってる棟で、私と崇子さんの部屋とお稽古の場らしい。小さなキッチンがあるだけだがら、お茶ぐらいは煎れられるけど料理は出来ない。でも自分達で洗濯が出来るようにと、中庭にはそれが干せるようになっていた。「本当にこちらでよろしいのですか、大奥様」志乃さんが申し訳なさそうに崇子さ...

  • 探し物はなんですか?(241)

    「おい・・・・・・これ、純金の鍵じゃね?」「ホントだ・・・・・・」「純金・・・・・・鍵が純金なの?!!」汚れたタオルの中から出てきたのは金色の鍵、そして1枚のメモがビニール袋に入れられていた。それを広げると、『330 月夜橋』・・・それを見てキョトン。月夜橋なんて聞いた事がなくて、急いで調べたら山形県にあるみたいだったけど、その場所と花沢、もしくはお婆様とはなんの関係もなさそうだった。まさかその橋に行けと?そう思って詳し...

  • 恋の音・212

    俺達が京都から帰った3日の夜、俺は婆様の家に言ってまずは爺様の言葉を伝えた。そうしたら申し訳なさそうに俯き、「でも・・・」と繰り返していた。「なにも復縁するワケではありませんので・・・いや、俺としては復縁も全然OKですけど」「何言ってるの、そんな事は出来ませんよ。私の我が儘で東京に戻らせていただいたのですからね」「でも、お互いに想い合ってるのはバレバレですよ?」「・・・確かに嫌いなワケじゃないけど、そういう...

  • 探し物はなんですか?(240)

    「それでは行ってきますわ!類様、期待してお待ち下さいね!」「・・・行ってらっしゃい」「つくしちゃん、ピカピカになれよ~~~~♪」「洗車じゃないんだからっ💢!!」「牧野様、行きますよっ!!」加代の暴走に付き合わされて、つくしはエステに行ってしまった・・・が、それはそれで計画通りなので、今度は急いで坂本のところに行き、大小のスコップとエッジナイフを借りることにした。当然この男は驚いていたけど、「この事は他言無...

  • 恋の音・211

    2日の夕方だったが、そこには初詣に来ている人達がチラホラといた。だが今日は本堂には行かずに、その奥にある墓地へと向かった。西門代々の墓はその墓地の1番西側にあり、少しばかり広めの・・・いや、かなり大きな墓だ。だがそれは土地の事だけで、墓自体は普通で特別なものではない。墓の入り口でバケツと柄杓を借り、密かに準備していた線香を取り出した。つくしは「いつの間に?」と驚いたが、もともと京都に行くなら、こいつを...

  • 探し物はなんですか?(239)

    「ハナミズキはずっとありましたよ。大奥様が苗木から育てておられましたから」「「「お婆様が?!」」」「・・・ど、どうしたんですか、お坊ちゃま・・・」坂本の言葉につくしと総二郎と俺とで絶叫!でもそれが過去形だったので違う意味で焦った。それを聞くと、どうやらハナミズキは今から10年ぐらい前に枯れてしまい、根元から切り倒したのだとか・・・そう言われても全然覚えてなくて、「どの辺りに?」と言うと・・・「西側の庭のガゼボ...

  • 恋の音・210

    「もう少し崇子との暮らしぶりを教えてくれないか?」そう言われてつくしはニコッと笑い、「はい!」と元気よく答えた。そしてゆっくりとした口調で、婆様との日常を爺様に話していた。朝起きるのは婆様の方が早く、毎日美味しい味噌汁と作ってもらっていること。つくしが洗濯物をしているときには婆様が掃除をしていること。生け花を教えてもらっているので、その花を一緒に買いに行くこと。婆様に手料理を教えてもらい、着付けも...

  • 探し物はなんですか?(238)

    その翌週末、類のお母さんはフランスに戻るために羽田に向かい、私と類がそれを見送ることになった。それはいいんだけど、空港でも一際目立つ親子・・・そこに立つ私の惨めなこと!通り過ぎる人達がお母さんと類を見ながら「モデルさん?」なんて言うんだけど、本当にその通り・・・そして私は付き人のような存在だろうと自分でも思った。「それじゃあ、元気でね」「・・・父さんによろしく。日本の事は任せてって話しといて」「うふふ、判...

  • 恋の音・209

    挨拶が終わると食事が運ばれて来た。勿論正月らしい、そして京都らしい料理ばかり・・・つくしは爺様の前でも「美味しそう~」なんて声を漏らし、嬉しそうに出された小鉢を眺めていた。そんなところも横目で見ている爺様・・・だが、その目は恐ろしいわけじゃなく、むしろ興味深そうだった。つくしは昨日も宗家で食ってるので作法にはそこまで困らず、箸使いも美しく、和食のマナーは殆ど出来ていた。しかも俺がきつめに結んだ帯が功を奏...

  • 探し物はなんですか?(237)

    「牧野様、本当にお先に行かれるのですか?」「はい!加代さん、いろいろとご用意いただき、ありがとうございました///!では、行ってきます!」「・・・行ってらっしゃいませ・・・」新しく用意してもらったッスーツに着替え、加代さんに見送られて花沢家を出たのは朝の7時45分・・・このまま会社に行けば通常より1時間近く早いけど、それでも構わないのでさっさと花沢の車に乗り込んだ。そして暫し休息・・・身体のあちこちが痛くて、朝...

  • 恋の音・208

    京都に着いたらすぐにタクシーに乗って一乗寺へと向かった。正月だけあって大渋滞だし人は多いし・・・その時間がすでに12時直前で、俺は森田さんに電話をして遅れることを伝えた。そうしたら昼食を待つと言われたので、運転手を急かして何とか12時30分には爺様の屋敷に到着。つくしはその大きく古い木門と豪勢な門松を見て「はぁ~」と溜息・・・別邸だと話していたから、これほど大きいとは思わなかったのだろう。その門の横のイ...

  • 探し物はなんですか?(236)

    ニコニコしながら私の話を聞いていたのに、急に真顔で「類、入って来たら?」って・・・それに驚いて振り向いたら、半分開いてたドアの向こうから類が顔を出した。そしてスタスタと私の横に来て、「長すぎない?」と口を尖らせて・・・「あら、女の話は長いものよ。そんな事も知らないの?」「知ってるけど、初対面でそこまで話す事ある?」「初対面だから話すことが山ほどあるんじゃない。馬鹿ねぇ~~」「いいからもうつくしを返して・・...

  • 恋の音・207

    「私はね・・・美和子さんの教育に失敗した人間なの。そんな私が大きな顔して宗家に戻れるかしら・・・。それに、やっぱりあの人が許さないと思うわ」あの人とは京都にいる別れた旦那様のことだ。自分の我が儘で西門家を出たんだって聞いてるから、その思いは当然だろう。でも、紅葉の茶会の時を思い返せば、誰も崇子さんのことを悪い風に思ってないような気がしたし、むしろ喜んでいた人が多いように感じた。だから、表に出なければそれ...

  • 探し物はなんですか?(235)

    「類、牧野さんと2人で話したいんだけど、あなたは先にお部屋に戻ってくれない?」その瞬間、私の心臓が凍り付いた。類も驚いたようで、「なんで?」って・・・すっごく不満そうに珈琲カップを置いた。それを見ても副社長はお茶目な顔で「女同士の話がしたいのよ」って・・・・・・いや、そんなの私は苦手ですけど?!って叫びそうになったけど、グッと堪えた。だって「女」の括りが違うと思うもん!!トップレディと下町の小娘の差でしょ...

  • 恋の音・206

    14時になって食事会も終わりに近付いた頃、崇子さんが私に眼で合図して、持って来た包みを家元に差し出した。それを見てキョトンとしたのは男性陣で、総二郎が「それは何ですか?」と聞いたから・・・「これは昨日、つくしちゃんが作ったお菓子ですよ」「ほぉ・・・牧野さんが作ってくれたのかね?」「へぇ!姉ちゃん、家庭的~!」「・・・まさか、お茶菓子?」「あ///・・・いえ、そんな大した物ではなくて・・・みかん狩りに行って来たので、...

  • 探し物はなんですか?(234)

    すごく大雑把に類から説明を聞き、あのハワイの部屋の交換が副社長の仕業だったなんて・・・それにガックリしていると、類が腕を差し出して待ってるのに気が付いた。それを見てもどうしていいのやら・・・なんて考えていたら、加代さんの「奥様がお待ちですよ」って声が聞こえて、仕方なく立ち上がった。そして類の腕を持ち、何故か自宅なのにエスコートされてダイニングへ・・・そうしたら昼間とは全然違う副社長がいて、その姿にドン引き...

  • 恋の音・205

    元旦の朝7時、親父の茶室で大福茶をいただいた。本来ならもう少し早い時間にやるのだが、最近ではこの時間に行っている。除夜釜が薄茶だったのに対し、大福茶は濃茶。そして一緒に出されたのは右が白、左が紅で真ん中には金箔が乗せられている求肥饅頭・・・如何にも目出度いって感じの茶菓子だった。家族だけだから正装でもなく、男たちは比較的楽な着物。つくしと婆様は朝イチだから色無地の着物で、親父の茶席を見守っていた。1...

  • 探し物はなんですか?(233)

    母さんに何もかもがバレていたとは・・・しかもそれをこんなにも楽しんでいることに安心というか、ガックリしたというか・・・ラッキーなのはお婆様のネックレスについては何も気付いてないことだった。そして俺と話し合った後はいつもの副社長に戻って役員会議や社内巡回などを行い、ランチは役員フロアで常務や各部の部長達が集まって賑やかに行われた。午後には精力的に取引先に出向き、戻ってきたら各事業の進捗具合を総チェック・・・...

  • 恋の音・204

    除夜の鐘が鳴り続ける中、時間は0時を回った。それまで起きていた親父が「新年、おめでとう」と言い、俺達は低頭して同じ言葉を出した。でもこれは朝になれば大福茶としての行事の時、正式に親父が挨拶するから超簡単に・・・親父も特別改まった様子もなく、ここらで茶席を終えて自分の部屋に戻った。考三郎は久しぶりに祥兄と飲むらしく、2人は楽しそうに母屋へと続く廊下を歩いていった。俺達もその後に続くんだけど、ほんの少し...

  • 探し物はなんですか?(232)

    それからも数日間、私達はネックレスのことよりも仕事をしていた。と言うか・・・類が忙しすぎてマトモに話す事も出来なかった。理由は佐藤さんが辞めた翌日、突然フランスに滞在している類のお母さん・・・つまり花沢物産副社長が、3日後に帰国するって聞いたから。だから最後のお宝を見付けるとかってよりも、類が仕事を片付けないと不味い・・・そのぐらい実は仕事が滞っていたらしい。しかも第二秘書が辞めたばかりだから藤本さんしか...

  • 恋の音・203

    除夜釜と聞いたからもっと堅苦しいものと思っていたけど、今日はそういうのじゃないみたい。隣の崇子さんに聞くと、「今日は普通のお食事よ」と言って笑っていた。ただ、食事の後には家元のお茶をいただくのだそう・・・その時には作法を見様見真似ですればいいと言われた。家元もお疲れのご様子だけど、表情は穏やか・・・私にも「今日はあまり気にせず、お食べなさい」と言って下さった。だから隣の崇子さん、向かいの総二郎をお手本に...

  • 探し物はなんですか?(231)

    佐藤からダイヤを取り戻してから1週間。この間に佐藤は退職願いを出し、それが受理されてあいつの退職日が8月末だと決まった。それまでの約1ヶ月半は有休消化で、もう来週からは出勤もしない。第二秘書だから引き継ぎもないし、送別会は本人の希望でやらないことになった。そしてこいつとつくしの事が少し噂になってたので、彼女は女子社員から退職理由を色々聞かれたらしいのだが、それには佐藤本人が「新しい仕事に就きたいの...

  • 恋の音・202

    つくしを迎えに行くように・・・そう言われて俺だけが中に入り、つくしの部屋に入ると、そこには上品な訪問着を着たつくしが立っていた。除夜釜には相応しい落ち着いた色合いと、でもその中に華やかさと・・・しっとりとした美しさに目を奪われた俺は暫く時が止まったかのような錯覚を覚えたほどだ。地色は錆御納戸(さびおなんど)と言って、くすんだ深い緑がかった青色の吉澤友禅。それに豪華な金彩加工がふんだんに施されていて、上前...

  • 探し物はなんですか?(230)

    「それでは皆さん!総ての宝石が集まったことを祝して・・・」「「「「乾杯~~~~~~っ!!!!」」」」「・・・・・・・・・・・・」←類それはダイヤを取り戻した日の夜、つくしのマンションでの祝賀会のこと・・・何故か総二郎の音頭で始まり、あきらがカクテルを作ってた。当然藤本も来ていて、つくしと一緒にデリバリーの料理を並べ中・・・そして俺のすぐ横のテーブルには戦利品というか、戻ってきたネックレスが5つ、綺麗に並べられていた。そ...

  • 恋の音・201

    「こんなに沢山のみかん・・・どうするつもりなの?」「・・・・・・ご近所に配ります?」「少し宗家にも持っていきましょうか・・・」崇子さんの家の前まで入らない車だから、宗家の前の道に停め、そこまで出て来た崇子さんに呆れられた。仕方なくみかんが詰まった大きな布袋を5つだけ降ろし、残りは宗家に持っていくことに・・・総二郎が正門からお弟子さんを呼ぶと、数人の男性が出てきてくれて、崇子さんの家までみかんを運んでくれた。そし...

  • 探し物はなんですか?(229)

    佐藤の説明を聞き終えた俺達は、次に自分達の作戦を話すことになった。徳川のことは教えたので、次に前田のサファイヤについて。前田のパーティーに潜入したのは俺とつくしの両方。つくしには司のパートナーとして夫人に接触し、その時に前田の家でのティーパーティーを約束した。そこでつくしが夫人にサファイヤのネックレスを見たいとお強請りし、見せてもらった時に隙を見てイミテーションと交換・・・「イミテーション?もしかし...

  • 恋の音・200

    本文中にR表現を含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので閲覧は自己責任でお願い致します。******************************「ねぇ、総二郎、オリオン座って・・・」「いつまで星の話だ?」「えっ///・・・」お風呂の中で総二郎に後ろから抱き締められるように座り、右手は下の方に、左手は胸を弄くられ・・・それだけでも声が出そうになって必死に我慢した。しかも右耳の...

  • 探し物はなんですか?(228)

    「知った風な口をきくな!!大人に痛めつけられて育った俺の苦しみも知らないクセに!!」そう言って佐藤がつくしに手を伸ばした瞬間、俺はテーブルを飛び越えて2人の間に入った!そしてすぐにつくしを抱き締め、クルッと半回転して佐藤を躱し、彼女を守った。でも同時に何かが倒れる音がして、驚いて振り返ったら・・・藤本が倒れてた。どうやらつくしに襲いかかった佐藤が俺の飛び出しで体勢を崩し、藤本を押し倒したよう・・・さっき...

  • 恋の音・199

    デザートのお皿を持った総二郎が立ち上がり、私の後ろに座った・・・それだけでも嫌な予感がするのに、何をする気かと思って振り向いた瞬間、両手を回してきて私の身体をホールド!しかも結構強い力で私の両腕を押さえてるから、手が動かし難くて・・・少し頑張れば動くんだろうけど、ここは総二郎に従うべき?と思ってそのまま抵抗しなかった。そうしたら私の右肩に顎を乗せ、アイスを「食べさせてやるな♪」って嬉しそうに・・・「あ、あの...

  • 探し物はなんですか?(227)

    「もしかして・・・そんな毛利に真実を話されたら困ると考えていたのは・・・佐藤、お前じゃないの?」「なるほど・・・毛利さんから5つのネックレスの事を聞き、そのメンバーも喋らせ、最終的には毛利さんを・・・ってことですか」「うそっ!佐藤さん、本当なんですか?ホントにそんな事をしたんですか?!」既に佐藤は諦めた感じがあった。自暴自棄というか、自分の未来が崩れ落ちたと言うか・・・そんな心のうちが読み取れたのは、こいつが自...

  • 恋の音・198

    総二郎が特別に予約してくれたみかん農園は伊豆の国市にあり、お昼ご飯を食べたところからそんなに離れていなかった。だから14時には到着し、そこで農園のおじさんに出迎えられ、さっそくみかんの木の近くまで案内してもらった。どうやら予約の時に「必要なものを全部用意して欲しい」と頼んだらしく、鋏と軍手を手渡された。しかも長靴まで・・・それを見て総二郎が「靴も?!」って言ってたけど、勿論木の下は地面・・・しかも少し湿...

  • 探し物はなんですか?(226)

    つくしが録音した音声を聞いても、佐藤は納得しようとはしなかった。それどころか自分の首を押さえて・・・「あいつと俺に血縁関係なんてない!あいつはこの20年間、俺をずっと疎ましく思って・・・子供の時には容赦なく暴行をしたんだ!その証拠がこの首の傷跡だ!庭で遊んでいた時、ほんの少し車に傷が付いたってだけで・・・それだけで俺を何度も殴り、転んだ拍子に生け垣に突っ込んで首と背中に大怪我したんだ・・・!一応病院には行った...

  • 恋の音・197

    クリスマスが終わって、26日には居間に置いてたツリーを片付けた。昨日までとは違って気温も上がり、今日は凄くいいお天気・・・予報では明日も明後日も晴れだった。「つくしちゃん、雪が積もらなくて良かったわねぇ~」「本当ですよね~、雪だとお買い物大変だし」「あら、そうじゃないわよ・・・明日、お出掛けでしょう?」「・・・///・・・はぁ・・・まぁ、そうなんですけど、本当にいいんでしょうか・・・宗家は行事が沢山あるんじゃないです...

  • 探し物はなんですか?(225)

    「この野郎!やっぱり俺を騙してたのか!!」「きゃああああぁっ!!」「佐藤君、やめなさい!!」この俺がいる前で佐藤が立ち上がり、つくしに向かって拳を振り上げた。勿論こんな事を許すはずがなく、佐藤の身体が応接室のテーブルに乗りかかったところでその腕を掴んだ。そして俺の方に顔を向けさせ、逆に俺の右ストレートを喰らわせた!興奮しすぎて隙だらけの佐藤は避ける事もせず、それを顔面に受けて吹っ飛び、止めようとし...

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