この秋の最後の西瓜ずつしりと 西瓜はシーズン終わりでも最後までずっしりと重くて、名残惜しいです。軽くなってきたなら、もっとあっさりとこれで終わり、とい気がするのでしょうか。
信心と疑心のあはひ冬の虫 秋が終わってもまだ力無く鳴く虫は迷いの心のようです。
哀しみといふ拠り所枯葉踏む かさかさと軽く音を立てて踏まれる枯葉はもの思いの邪魔をしません。拠り所のない気持ちは不思議と哀しみには座りが良いようです。
愉しげに日記買ふ人眺めけり 日記帳選びに迷うほど沢山の種類の日記が売られています。楽しみながら日記を選ぶ人を私は気がつくと眺めていました。
湯冷めせし早さや心遅れ行く 寒くなってきたので気をつけなければすぐ湯冷めするようになりました。湯上がりのぼうっとした気持ちが、湯冷めの身体に追いつきません。
くずかごの消え去りし駅初時雨 都会では 最近くずかごのある駅はなかなか見なくなりました。あっても手も入らないくらいの入り口だけのダストボックスです。かぱっと大きな円柱形のくずかごは消えてしまったのでし
菊枯れて人訪ふを待つ御霊かな お墓まいりに行くと、中には枯れた菊がそのまま残っていたりするお墓があります。墓地が家の裏手にあったような時代とは違って、訪れは間遠になりがちな現代ならではの光景です。
冬麗や光樹間を透かしけり 冬の日は傾きが早く、その光は樹間を斜めに通ります。僅かな時間だけに眩さが印象に残ります。
おでん炊く人寄り添ひて暮らす町 狭い路地が入り組んだ宅地の日暮れ時、特に冬には各家の煮炊きの匂いが満ちます。その匂いだけで温かさを感じます。
寂しさは稜線のいろ冬に入る 高所から見た山の稜線は夏よりも薄く、小さく見えました。これから先の季節の厳しさを重ね、ふと物寂しさを感じました。
片耳にピアス揺れをり秋桜 儚くも存在感のあるコスモスの花ですが、片耳のみあるピアスのような少しの欠落感を感じます。
きちこうや我が身に幾多の血の流れ 元を辿れば全ての人は一人の女性に行き着くと聞いたことがあります。それならば今複雑に枝分かれした私達はどんな流れを辿ったのでしょうか。
富士山麓の水含みつつ秋の富士 名水のペットボトルがどこでも買える昨今、富士山麓の水は汲みに行かずとも飲めるようになりました。それを手に遠く眺めている秋の富士です。
草の絮通過列車は飛ぶやうに 誰もいないような田舎の各駅停車駅で、通過列車は止まることなく過ぎ去ります。そこに駅などないように。
カーテンの襞の暗がり夜寒かな 寒くなってくると防寒対策として早めにカーテンを引くようになります。既に暗さの迫ってきた室内では影も出来ます。
夜を行きしアタッシュケース林檎の香 夜仕事帰りと思われる人と駅前ですれ違った時、林檎の香りがしました。意外な時と場所に思いがけない香りがして、不思議な感覚がしました。
「ブログリーダー」を活用して、ココさんをフォローしませんか?
指定した記事をブログ村の中で非表示にしたり、削除したりできます。非表示の場合は、再度表示に戻せます。
画像が取得されていないときは、ブログ側にOGP(メタタグ)の設置が必要になる場合があります。
この秋の最後の西瓜ずつしりと 西瓜はシーズン終わりでも最後までずっしりと重くて、名残惜しいです。軽くなってきたなら、もっとあっさりとこれで終わり、とい気がするのでしょうか。
菩提子や白き骨壷さりさりと 骨壷の中で微かに鳴る骨の音は、慰めとも無情とも感じられます。
踊り見てをり輪の外の暗がりに 盆踊りは輪になり、または列を作り、少しずつ進みます。出入りも自由だったりするので、そこから抜けて、人の踊りを見ている人もいます。見るだけで遂に踊らずじまいの人も。
悲鳴より始まる映画七月の 夏は怪談で涼しくなるのはもちろんのこと、ホラー映画の季節でもあります。ただでさえ夜更かししがちな夏の夜がますます短くなってしまいます。
薄青きゼリーに泳ぐ魚影あり ゼリーは涼やかで見ているだけでも楽しいお菓子です。 海に見立てた青いゼリーに、魚を模したフルーツが入っていました。
夏椿汚れぬままの体で落つ 真っ白く綺麗なままに落ちた夏椿は尊くも口惜しくも感じます。
呑み込みし言の葉のあり風鈴草 風鈴草、蛍袋は下を向いた袋のような鐘型の花です。言いたくても言わなかった言葉を抱え持つ花のように見えます。
梅の実の青く揃へて置かれあり 梅に木の根本あたりに梅の実が並べて置いてありました。誰かの悪戯でしょうか。
犬と吾の二人の旅路星涼し よく歩いてくれる犬を飼っていて、この犬のおかげで随分と歩く日課ができました。長い旅路を共にしているかのようです。
虎が雨一人の闇を見つめけり 夏の深い闇に降り頻る雨は、冬の雨よりも没入感があり、いつの間にか時間が経ってしまいます。
夏大根危く指も擦りかけし 夏大根は硬くてすりおろしにくいので、思わず力を込めてしまい、指も滑って怪我しやすいです。
芍薬の驚くほどに開ききり 芍薬は蕾はとても小さいのに、花が開くとびっくりするくらいに大きくなり、花弁が開きます。同じ時期に咲く薔薇に比べるとその差異が際立ちます。
紅よりも白薔薇脆く崩れけり 咲き切った薔薇は花弁を散らしますが、白薔薇のほうが紅の薔薇より早くハラハラと崩れました。
たかんなの曲がりて時を失せりと 竹の子は見つけるのに苦労して掘り出すくらいが良く、伸びて曲がって誰にでも簡単に見つかるような状態になってしまっては遅いのです。
仏前に硬き鳳梨の直立す パイナップルは果肉は柔らかいものですが、そのままの姿で仏前にお供えすると、仏様はどうやっていただくのだろうかと気になります。
小満や朝の勤めの声高し 寺院の朝の読経が聞こえました。まだひんやりとした早朝の空気の中、揃った声が響いていました。
黒鳩の歩み見つめしサングラス 駅のホームで黒鳩が何かを啄みながらちょこちょこ歩き、それを電車待ちの何人かが眺めていました。
シンデレラ城にレースの少女たち 清楚なイメージのレースですが、最近はコスプレなどで違う雰囲気のレースも目にします。数が揃うとさらに圧巻です。
人知れず浮くやうに咲く蓮の花 葉が水面を覆う中、浮き上がるようにしてところどころにはずが咲きます。中にはわざと隠れるような目につかない位置に咲く蓮もあります。
薄き影落として蜻蛉生れけり 蜻蛉は羽が透けて体が細いためか影も薄くなります。何か薄いものが足元を過ぎったと思うと、蜻蛉でした。
夏椿汚れぬままの体で落つ 真っ白く綺麗なままに落ちた夏椿は尊くも口惜しくも感じます。
呑み込みし言の葉のあり風鈴草 風鈴草、蛍袋は下を向いた袋のような鐘型の花です。言いたくても言わなかった言葉を抱え持つ花のように見えます。
梅の実の青く揃へて置かれあり 梅に木の根本あたりに梅の実が並べて置いてありました。誰かの悪戯でしょうか。
犬と吾の二人の旅路星涼し よく歩いてくれる犬を飼っていて、この犬のおかげで随分と歩く日課ができました。長い旅路を共にしているかのようです。
虎が雨一人の闇を見つめけり 夏の深い闇に降り頻る雨は、冬の雨よりも没入感があり、いつの間にか時間が経ってしまいます。
夏大根危く指も擦りかけし 夏大根は硬くてすりおろしにくいので、思わず力を込めてしまい、指も滑って怪我しやすいです。
芍薬の驚くほどに開ききり 芍薬は蕾はとても小さいのに、花が開くとびっくりするくらいに大きくなり、花弁が開きます。同じ時期に咲く薔薇に比べるとその差異が際立ちます。
紅よりも白薔薇脆く崩れけり 咲き切った薔薇は花弁を散らしますが、白薔薇のほうが紅の薔薇より早くハラハラと崩れました。
たかんなの曲がりて時を失せりと 竹の子は見つけるのに苦労して掘り出すくらいが良く、伸びて曲がって誰にでも簡単に見つかるような状態になってしまっては遅いのです。
仏前に硬き鳳梨の直立す パイナップルは果肉は柔らかいものですが、そのままの姿で仏前にお供えすると、仏様はどうやっていただくのだろうかと気になります。
小満や朝の勤めの声高し 寺院の朝の読経が聞こえました。まだひんやりとした早朝の空気の中、揃った声が響いていました。
黒鳩の歩み見つめしサングラス 駅のホームで黒鳩が何かを啄みながらちょこちょこ歩き、それを電車待ちの何人かが眺めていました。
シンデレラ城にレースの少女たち 清楚なイメージのレースですが、最近はコスプレなどで違う雰囲気のレースも目にします。数が揃うとさらに圧巻です。
人知れず浮くやうに咲く蓮の花 葉が水面を覆う中、浮き上がるようにしてところどころにはずが咲きます。中にはわざと隠れるような目につかない位置に咲く蓮もあります。
薄き影落として蜻蛉生れけり 蜻蛉は羽が透けて体が細いためか影も薄くなります。何か薄いものが足元を過ぎったと思うと、蜻蛉でした。
夏蝶の光の中へ消えゆけり 常にではありませんが、気がつくと最近体験した身近な死について考えてしまいます。身に纏わるように飛ぶかと思うと、すぐに見失う蝶に死者の魂のようなものを感じます。
大輪の薔薇咲く他を押し除けて 混み合った状態で薔薇が咲くと、まるで他の花を押し除け合って空間を確保しているような、生命力と圧を感じます。
滑らかな青梅雨を弾きけり 葉蔭に隠れながら雨を受ける青梅の実は、ビロードのゆやうに滑らかな肌を持ち、雨を弾いていました。
夜濯の水音高く流しけり 朝の洗濯は、明るい日差しに気分も晴れやかになりますが、夜は一日に溜まったものを水とともに流してしまおうという気持ちから、ザバザバと手すすぎの水をたくさん使う気がします。 洗濯
五月雨のランチの小さき黒ビール 雨降りの日、ランチに小振りのビールをつけて、静かに飲む人がいました。気持ちがちょっと上がる効果があるかもしれません。