この秋の最後の西瓜ずつしりと 西瓜はシーズン終わりでも最後までずっしりと重くて、名残惜しいです。軽くなってきたなら、もっとあっさりとこれで終わり、とい気がするのでしょうか。
あちこちに小さき橋や薄紅葉 よく小京都などと呼ばれる地方の町には、水路と季節の木々を美しく配した一角があります。 人々に愛されてきた光景は現代の私たちの目も楽しませてくれます。
白萩のこぼれこぼれて猫の後 猫がさささっと庭を過ぎった音がし、姿は既になく、空耳かと思っていたら、白萩がたくさんこぼれていました。猫は自分のいた印を残していました。
秋雨や日毎に褪せしものありて 秋が終わりに近づくと色褪せたり細ったりするものがあります。一方でまた冬に肥ゆるものもあるのですが、秋雨の降る日には衰えるものに目がいきます。
二度と見ぬ消印一つ秋灯 消印を集める蒐集家も世にはいると聞きます。私にはその趣味はありませんが、ここからはもう手紙は来ないだろうと思いながら、過去の書簡を振り返ることがあります。
がら空きのカゴレジに置き秋寒し 大して買うものがない時、カゴの中には一つ二つと数えられるくらいの品しか入れずにレジに行きます。なぜか物寂しい気がします。
双眸に秋色宿す人静か 季節を写すような眼をしている人がいます。秋色を眼に宿らせる人は静かな人でした。
秋草の中に自転車乗り入れぬ 花野なら遠慮するところかもしれませんが、秋草の野なら入れます。街中では、アスファルトの上ではなく土の上を自転車で走ることは滅多にありません。
銀杏散る昔文豪住みし町 古い町には昔のままの街路樹が残っていたりします。最近ではもうあまり流行らない種類の樹を見ると、タイムスリップしたような気がします。
朝顔の力無く垂れ紺を閉づ 最近までまだ頑張って咲いている朝顔が近所にありましたが、さすがに茎も弱り、花も小さくなってきていました。そしてとうとうある日撤去されていました。
秋蛍誘ふ先は黄泉の国 秋蛍は儚さの極みのようです。そんな秋蛍について行った先にはこの世の境を超えた黄泉の国があることでしょう。
野分後雲千切れ飛ぶ車窓かな 先ごろの台風は大きな爪痕を各地に残しました。被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。報道を見聞きするたびに現地の方々の辛苦を思い、一日も早い復興を願わずにはいられません
長引きし話女は藷を割る 一見呑気そうに見える人でも、深刻な事情を抱えていることもあります。話が長引く中、思いつめないように、逆に敢えて明るく振舞っていたりするものかもしれません。
乳飲み子を固く抱く母青蜜柑 まだ生まれてそんなに経っていない、ほやほやの赤ちゃんを、慣れない手つきのお母さんが大事に一所懸命抱いて買い物などしていることがあります。 赤ちゃんを庇うお母さんの緊張感や
駆け抜けし五色の鉢巻秋日和 今は暑さ対策に赤白帽を着用する運動会が多いのでしょうか。昔色別に縦割りで組を分けた運動会があり、子どもたちは色々な色の鉢巻を巻き、競技をしていました。単に赤白の2チームでは
吾を責むるごと木犀の香りけり 朝窓を開けると、とても強く金木犀が香りました。見たくないものは目を瞑ると見えませんが、香りは不意打ちのように降りかかってくることがあります。金木犀の香りは好きなのですが
団栗を固く握りて離さぬ子 小さな子は木ノ実や落ち葉を拾うのが好きで、それをなかなか離しません。どこにそんな力があるのかと驚くほど強く握りしめて、手を開かせるのに困るくらいです。
狐出る里に燃えけり曼珠沙華 昔狐が出たと言われる里があり、そこでは秋になると真っ赤な曼珠沙華が咲きます。人を化かすと言う狐と曼珠沙華の形状はどこか似つかわしく、不思議な光景に思えます。
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この秋の最後の西瓜ずつしりと 西瓜はシーズン終わりでも最後までずっしりと重くて、名残惜しいです。軽くなってきたなら、もっとあっさりとこれで終わり、とい気がするのでしょうか。
菩提子や白き骨壷さりさりと 骨壷の中で微かに鳴る骨の音は、慰めとも無情とも感じられます。
踊り見てをり輪の外の暗がりに 盆踊りは輪になり、または列を作り、少しずつ進みます。出入りも自由だったりするので、そこから抜けて、人の踊りを見ている人もいます。見るだけで遂に踊らずじまいの人も。
悲鳴より始まる映画七月の 夏は怪談で涼しくなるのはもちろんのこと、ホラー映画の季節でもあります。ただでさえ夜更かししがちな夏の夜がますます短くなってしまいます。
薄青きゼリーに泳ぐ魚影あり ゼリーは涼やかで見ているだけでも楽しいお菓子です。 海に見立てた青いゼリーに、魚を模したフルーツが入っていました。
夏椿汚れぬままの体で落つ 真っ白く綺麗なままに落ちた夏椿は尊くも口惜しくも感じます。
呑み込みし言の葉のあり風鈴草 風鈴草、蛍袋は下を向いた袋のような鐘型の花です。言いたくても言わなかった言葉を抱え持つ花のように見えます。
梅の実の青く揃へて置かれあり 梅に木の根本あたりに梅の実が並べて置いてありました。誰かの悪戯でしょうか。
犬と吾の二人の旅路星涼し よく歩いてくれる犬を飼っていて、この犬のおかげで随分と歩く日課ができました。長い旅路を共にしているかのようです。
虎が雨一人の闇を見つめけり 夏の深い闇に降り頻る雨は、冬の雨よりも没入感があり、いつの間にか時間が経ってしまいます。
夏大根危く指も擦りかけし 夏大根は硬くてすりおろしにくいので、思わず力を込めてしまい、指も滑って怪我しやすいです。
芍薬の驚くほどに開ききり 芍薬は蕾はとても小さいのに、花が開くとびっくりするくらいに大きくなり、花弁が開きます。同じ時期に咲く薔薇に比べるとその差異が際立ちます。
紅よりも白薔薇脆く崩れけり 咲き切った薔薇は花弁を散らしますが、白薔薇のほうが紅の薔薇より早くハラハラと崩れました。
たかんなの曲がりて時を失せりと 竹の子は見つけるのに苦労して掘り出すくらいが良く、伸びて曲がって誰にでも簡単に見つかるような状態になってしまっては遅いのです。
仏前に硬き鳳梨の直立す パイナップルは果肉は柔らかいものですが、そのままの姿で仏前にお供えすると、仏様はどうやっていただくのだろうかと気になります。
小満や朝の勤めの声高し 寺院の朝の読経が聞こえました。まだひんやりとした早朝の空気の中、揃った声が響いていました。
黒鳩の歩み見つめしサングラス 駅のホームで黒鳩が何かを啄みながらちょこちょこ歩き、それを電車待ちの何人かが眺めていました。
シンデレラ城にレースの少女たち 清楚なイメージのレースですが、最近はコスプレなどで違う雰囲気のレースも目にします。数が揃うとさらに圧巻です。
人知れず浮くやうに咲く蓮の花 葉が水面を覆う中、浮き上がるようにしてところどころにはずが咲きます。中にはわざと隠れるような目につかない位置に咲く蓮もあります。
薄き影落として蜻蛉生れけり 蜻蛉は羽が透けて体が細いためか影も薄くなります。何か薄いものが足元を過ぎったと思うと、蜻蛉でした。
夏椿汚れぬままの体で落つ 真っ白く綺麗なままに落ちた夏椿は尊くも口惜しくも感じます。
呑み込みし言の葉のあり風鈴草 風鈴草、蛍袋は下を向いた袋のような鐘型の花です。言いたくても言わなかった言葉を抱え持つ花のように見えます。
梅の実の青く揃へて置かれあり 梅に木の根本あたりに梅の実が並べて置いてありました。誰かの悪戯でしょうか。
犬と吾の二人の旅路星涼し よく歩いてくれる犬を飼っていて、この犬のおかげで随分と歩く日課ができました。長い旅路を共にしているかのようです。
虎が雨一人の闇を見つめけり 夏の深い闇に降り頻る雨は、冬の雨よりも没入感があり、いつの間にか時間が経ってしまいます。
夏大根危く指も擦りかけし 夏大根は硬くてすりおろしにくいので、思わず力を込めてしまい、指も滑って怪我しやすいです。
芍薬の驚くほどに開ききり 芍薬は蕾はとても小さいのに、花が開くとびっくりするくらいに大きくなり、花弁が開きます。同じ時期に咲く薔薇に比べるとその差異が際立ちます。
紅よりも白薔薇脆く崩れけり 咲き切った薔薇は花弁を散らしますが、白薔薇のほうが紅の薔薇より早くハラハラと崩れました。
たかんなの曲がりて時を失せりと 竹の子は見つけるのに苦労して掘り出すくらいが良く、伸びて曲がって誰にでも簡単に見つかるような状態になってしまっては遅いのです。
仏前に硬き鳳梨の直立す パイナップルは果肉は柔らかいものですが、そのままの姿で仏前にお供えすると、仏様はどうやっていただくのだろうかと気になります。
小満や朝の勤めの声高し 寺院の朝の読経が聞こえました。まだひんやりとした早朝の空気の中、揃った声が響いていました。
黒鳩の歩み見つめしサングラス 駅のホームで黒鳩が何かを啄みながらちょこちょこ歩き、それを電車待ちの何人かが眺めていました。
シンデレラ城にレースの少女たち 清楚なイメージのレースですが、最近はコスプレなどで違う雰囲気のレースも目にします。数が揃うとさらに圧巻です。
人知れず浮くやうに咲く蓮の花 葉が水面を覆う中、浮き上がるようにしてところどころにはずが咲きます。中にはわざと隠れるような目につかない位置に咲く蓮もあります。
薄き影落として蜻蛉生れけり 蜻蛉は羽が透けて体が細いためか影も薄くなります。何か薄いものが足元を過ぎったと思うと、蜻蛉でした。
夏蝶の光の中へ消えゆけり 常にではありませんが、気がつくと最近体験した身近な死について考えてしまいます。身に纏わるように飛ぶかと思うと、すぐに見失う蝶に死者の魂のようなものを感じます。
大輪の薔薇咲く他を押し除けて 混み合った状態で薔薇が咲くと、まるで他の花を押し除け合って空間を確保しているような、生命力と圧を感じます。
滑らかな青梅雨を弾きけり 葉蔭に隠れながら雨を受ける青梅の実は、ビロードのゆやうに滑らかな肌を持ち、雨を弾いていました。
夜濯の水音高く流しけり 朝の洗濯は、明るい日差しに気分も晴れやかになりますが、夜は一日に溜まったものを水とともに流してしまおうという気持ちから、ザバザバと手すすぎの水をたくさん使う気がします。 洗濯
五月雨のランチの小さき黒ビール 雨降りの日、ランチに小振りのビールをつけて、静かに飲む人がいました。気持ちがちょっと上がる効果があるかもしれません。