主に純文学小説を最近は載せています。
連載的でもありますが、大体読みきり作品(一話で完結的な意味を持つ)が多いです。
「明治二十六年五月二十五日深夜、雨。河内国赤坂村字水分で百姓の長男として生まれ育った城戸熊太郎は、博打仲間の谷弥五郎とともに同地の松永傳次郎宅などに乗り込み、傳次郎一家・親族らを次から次へと斬殺・射殺し、その数は十人にも及んだ。被害者の中には自分の妻ばかりか乳幼児も含まれていた。犯行後、熊太郎は金剛山に潜伏、自害した。犯行の動機は、傳次郎の長男には借金を踏み倒され、次男には妻を盗られた、その恨みを晴らすため、といわれている……。熊太郎、三十六歳のときであった。」 町田康「告白」の帯より わたしが2010年11月にこの町田康の「告白」を読んで、何もかもを失うほどの衝撃を覚え、真剣に小説を書く事を…
あれから半年が経っても、男はまだ同じカフェで同じ服を着て、同じウェイターの仕事を続けていた。ここで今も働きつづけることは一つの希望にしがみつく、彼女が興醒めをすることだった。ここで働き続けてさえいたなら、彼女はまたここへ遣ってくるかもしれない。そのとき彼女はわたしとの記憶をなくしている。記憶をなくしているため、平気で新しい男を連れてきた。彼女が惹かれ続ける男。何の希望もあてにしない男を連れて。このカフェに遣ってきて、彼女がいつも座っていた椅子に座り、男はわたしがいつも彼女と向き合っていた向かいの椅子に座った。彼女はわたしに微笑みかけていたその微笑みを、男に向けて何かをちいさな声で熱心に語りかけ…
「嵐の最中、避雷針にくくりつけられているのに、何も起こりはしないと信じきって生きている、そんな感じの毎日だった。」(コルタサル短篇集「追い求める男」P121) 激しい運動や普通の性行為などでも心臓発作のリスクが大変高く死の危険性がある為、死にたくなければ、避けてください。そうわたしが医者に警告されたのは二十歳の春の日の午後でした。それが原因なのかどうかもわかりませんが、二十歳を過ぎても女性との性行為自体に願望を持つことがありませんでした。性欲は普通にあったものの、医者に警告された”性行為”には当然、一人で行なう性行為も入っている為、自ら性欲を処理するということもなくなりました。下着の不快な浸潤…
他に好きな男ができたんだ。だからきみとは、...別れたい。携帯から女は想わず、耳を離した。何か、堪えがたい声が、声を失ってそこに、その向こうに震えているのが見えた。電話口の向こうから、穏やかないつもの男の声が聴こえた。会って、話が...今から会えませんか。女は生唾を飲み込み、携帯を握る手には汗の水滴が見てとれた。もう、きみには会えない。ぼくの気持ちを...わかってほしい。きみの未練を早く断ち切るために、もう会うことはできない。電話口の向こうで、苦しそうに静かに喘いでいる。彼の弱い心臓は、持つだろうか。たった一週間程まえだった。女が男の弱い心臓も労らない激しいセックスを求め、男を殺しかけないほど…
ママはほんまにもう、おまえのせいで死ぬかもしれんわ。死んじゃいややママ。やないねん。そんな可愛い甘えた声でゆうてもなんの意味もない。おまえはなんべんゆうてもそうやってママに愛着し、依存し、執着し、お乳が欲しいておまえ何歳やねん。ふたつと、6ちゃい。ちゃーうー、2歳半ちゅえばええねん。おまえはもう2歳と半年も生きてきた。立派な大人やんか。おまえの年頃でママのお乳から離れられた人類は仰山おんねん。なんで他のあほそうなサルみたいな顔した奴らにできて、おまえにできひんの?おまえにだって絶対にできるねん。ただ遣ってみようと挑戦すらしてへんだけ。ママにいつまでも甘えてたいだけ。ママは、はっきりゆうて、そん…
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