生霊記 第二章
また此処へ、戻って来た。きみはどうしてるんだろう? 今でもきみは虚無と闘っているのだろうか。前にそんなことをきみが言っていたことをよく想いだす。 きみに告白すると、ぼくはきみに恋をして、初めての真剣な小説、天の白滝を書き始めて、そして違う人に恋したとき、もう書けなくなった。ぼくにとってのしらたきはきみでもあって、天の白滝はぼくときみの物語でもあったのかもしれないと想って、ぼくはいまでもきみの幻影を追い求めて、きみに救われ、ぼくはきみを喪った。 深夜のこどもは、元気でいるだろうか。ぼくはきみと話せないあいだに、きみが結婚をして、きみがこどもを授かり、きみがこどもを育てているのかもしれないと想像し…
2018/06/24 23:26