◆お手伝いを通して人の心を学ぶ段ボールを片付けてくれることは、とてもありがたかったけれど、自分勝手な思いで行動するところに問題があると思ったので、「お手伝いっていうのは、相手の心を考えてするものなんだよ。例えば、この段ボールを私がどう片付けて欲しいか。それを考える。自分のやりたいようにやるんじゃないだよ。例えば、君が大人になって上司の人に何か頼まれたとする。そうしたら、君の思ったようにそれを実行す...
小学校の先生をやっています。教育の現場で日々思うことから、子どもが明るく楽しく学校生活を送るためには親として教師としてどう接していったらよいか、深く考えていきたいと思っています。
小学校の先生をやっています。 無駄にキャリアが長いわけですけど、 日々思うことを広く発信できたらな…と思い ブログを立ち上げました。
「ダメ」を捨てよう⑪学校というところは、子ども達の「ダメ」を刺激します。これまで書いてきた例のように、子ども達は「時間を味方にする」ことを覚えたらあとは努力を重ねることで目標に到達することができるのでしょう。学校での評価というのは、「時間」を味方にしてくれません。短時間の学びで、速くできるようになった子というのが高い評価を得るようになっています。速くできるようになった子がテストでの点数が良くなるの...
「ダメ」を捨てよう⑩初めは慣れなかったようでしたが、「考えても答えは分からないのだから、悩むだけ損。 悩むんじゃなくて、答えは先生から教えてもらう。 1つでも分かったら点数が上がるのだから、 何度でも再テストをして、100点を目指すことが大事です」こんな話を何度もしました。 すると、そのうち、ニコニコしながら一番に持って来るようになりました。見ると白紙です(笑)でも0点でも明るく笑うようになってい...
「ダメ」を捨てよう⑨「自己満足」が前進のエネルギーになる。だいぶ前に担任した子ですが、「自己満足」をベースとして普通の子とは全く違うアプローチで勉強をさせたら大きく成績が伸びた子があって、ビックリしたことがあります。その子は、勉強が嫌いで、家では宿題もテスト勉強も全くやってきませんでした。よっぽど家でやりたくないのか、、、と怒られて自分が嫌いになるよりはと、学校で宿題をすることもOKにしました。私...
「ダメ」を捨てよう⑧「できない」「できる」という考え方は白か黒か、という見方になります。価値観が2つしかありません。でも、人生にとって大事なのは白か黒かではなくて、グレーの部分なのだと言われます。「できない」から「ダメ」だという思考を捨て、その間の「できるようになる」というグレーゾーンに目を向けることが子どもにとって大事なんですね。「できるようになる」は、他人との比較ではありません。現在の自分と未...
「ダメ」を捨てよう⑦自分には能力がない、と思って諦めてしまったり、自分を責めて先に進められない子というのは「できない」「できる」の2つの価値観のみの傾向があるように思います。「できる」良い。「できない」ダメ。自分は出来ないからダメという考えになってしまい自分で自己肯定感を低くしてしまいます。「ダメ」というのは、何に対して「ダメ」なのでしょう?それは、人と比べて「ダメ」という事ですよね。九九を覚えて...
「ダメ」を捨てよう⑥福沢諭吉は、「天は人の上に人を造らず,人の下に人を造らずと云えり」と、「学問のすすめ」に書きました。人は平等に生まれたけれどその人生の結果は、学んだか、努力したかによると言っているわけです。「人は平等に生まれた」わけですが、何もしなければ、その能力は磨かれません。一生懸命努力したら、その努力の分だけ光るのでしょう。でも、小学校にいる子ども達を見る限り、自分には才能が無いという理...
「ダメ」を捨てよう⑤小学1年生で入学する際、ひらがなの読めない・書けない子がいます。でもこれは、就学前の経験数だと考えることもできます。何らかの原因で、自分はひらがなが苦手だ、読めないと思ってしまったら積極的にひらがなを読む練習はしませんし、本も見ないようにするでしょう。そんな積み重ねの結果が小学校に入学した時点での経験値の差となります。そして実際に小学校に入学すると、周りの子は「できる」のに自分...
「ダメ」を捨てよう④子ども達を見ていると、最初から努力もせずに諦めてしまう子が多い事に最近はよく気が付くようになりました。それは、自分が自転車に乗るようになってより強く感じます。例えば、音楽が苦手な子がいます。鍵盤ハーモニカが弾けないから自分はダメだと思うわけです。でも、鍵盤ハーモニカが上手い子というのは、ピアノを習っている子であったりするわけです。よく子ども達に話をするのですが、ピアノを習ってい...
「ダメ」を捨てよう③運動音痴な私でも、しかもロードバイクではなくスピードの出ないクロスバイクでビワイチ160kmを8時間半で完走することができた。琵琶湖岸を走りながら、寒く風の強くても走り続けた冬のトレーニングを思い返していました。全然ペダルが回せずに苦しかった坂道も思い返していました。でも、そういう日々の積み重ねがビワイチ160km・8時間半につながったのです。運動を避けに避けてきた私ですが、自...
「ダメ」を捨てよう②運動が大の苦手で嫌いな私ですが、50歳を過ぎて、スポーツバイク(クロスバイク)を始めました。ずいぶん体重が増えてしまったのでダイエット目的でもあったのですが、丁度、自転車に乗る決心をした時、精神的に参っていたという理由もあります。よく子ども達には話をするのですが、落ち込んだり、悩んだりするときは、洗濯機の中をグルグル回っているようなもので、単純な話で、自分から外にでる努力をして...
「ダメ」を捨てよう①福沢諭吉は、「天は人の上に人を造らず,人の下に人を造らずと云えり」と、『学問のすすめ』に書きました。人は皆平等に生まれ、生まれながらの貴賤の上下差別はない。でも世の中を見渡してみたら、賢い人もいるし、愚かな人もいる。貧しい人もいるし、お金持ちもいる。この違いはどこにあるのか。それは人は学ばなければ智は無いし、智の無いものは、愚人である。賢人と愚人の差は、しっかりと学んだか学ばな...
不安の強い子ども達⑰感情をぶつける私達は知らず知らずのうちに、子どもを支配し、コントロールしているのかもしれません。「怒る」というのも、よくよく考えてみたら自分が思い通りにならないことを子どもに押し付けようとする行為ですからね。子どもをコントロールすることが目的となります。「泣く」ことで他人をコントロールする人もいます。結局、心配や怒るということは大人の感情を子どもにぶつけている状態なのでしょう。...
「今まで知らなかったのだから仕方がない。これからどうしていくか」
不安の強い子ども達⑯自責感情③子どもが失敗をした。「何でこんなことをしたのか」「私の言った通りにしないから」「勝手なことをして」これは、過去を持ち出して、子どもの自責感情を刺激して管理下に置いてしまう叱り方、ということなのでしょう。「お前はダメだ」と繰り返していくわけですから、子どもの自己肯定感は低くなっていくばかりです。大人の指示通りしていけば失敗はないのですから、指示待ちは子どもにとって楽な選択...
不安の強い子ども達⑮自責感情②人の自責感情を刺激して、自分の思い通りにコントロールする人がいる。これは、同様な事を自分もしているのではないか?という反省にも繋がります。「何でこんなことをしたんだ!」「私の言ったようにしないから失敗したでしょう?」「失敗する前に相談しなさい」こんな叱り方は、よくありますよね。やってしまったことに対して批判することは簡単です。過去は変えることはできないのですから、「こう...
不安の強い子ども達⑭自責感情①人を支配下に置く人の手段として「自責感情を利用する人」がいると、最近知りました。例えば、アルコール依存症の人がいて共依存から脱出しようと妻が距離を取ろうとする。別居したとたんに、アルコールを飲んでしまい入院。「お前が居なくなってしまって飲んでしまった。 心が弱くてダメな俺だ」これは一見、ダメな俺を反省していますが、出て行った妻を暗に批判して責めているわけです。お前が出て...
不安の強い子ども達⑬「心配」③「心配」を子どもにぶつけ、子どもをコントロール下に置く。それは、親御さんだけの問題ではなくて、私達教員にとっても同様な問題が存在します。「休み時間に、先生が教室に居るものじゃない。 休み時間まで先生に監視されていたら 子どもは気が休まらないだろ?」何十年も前、先輩教員に教えてもらったことを今でもよく覚えています。子ども達が心配だから、何か問題が起こるかもしれないから教室...
不安の強い子ども達⑫「心配」②「心配」が他人の行動支配につながる。逆を言えば、「心配」だからという理由で、他人をコントロールしてしまう可能性があるということになります。「心配」という感情は未来に対する不安から発していると考えられます。「過去は後悔、未来は不安」未来を不安に思うのは、人間の性なのでしょう。だから、今を一生懸命生きる。いたずらに未来を心配していても事態は好転しないから、今出来ることを懸命...
不安の強い子ども⑪「心配」①タイスケ君のお母さんは登校を渋るんじゃないか、チックが出るんじゃないかと「心配」されていました。心配からの解放をテーマにしている本は多いですよね。でも、この「心配」が行き過ぎると子どもへの管理・支配に繋がってしまうようです。私の子どもは、成人もして大きいですが、未だに子どものことが「心配」です。10年も昔の話になりますが、息子が電車に乗って高校受験に行くという時に、「電車...
不安の強い子ども⑩昨日まで、不安の強い子どもの課題について考えてきました。人の価値観に合わせるのではなく、自分の進化に目を向けるようにする。そうすることで、人から学ぶ事ができるわけです。そこで今日からは、不安の強い子どもを取り巻く大人の課題について考えていきたいと思います。基本的に、子どもを管理コントロールすることが問題なのだと思います。言う通りにしたら間違いないという態度で接していけば、子どもを...
不安の強い子ども⑨“できたできた”の色塗りを教えた途端、タイスケ君だけでなく、他の子ども達からも「描けた! 描けた! 簡単に描けた! 嬉しい!」という声が上がってきたのです。これには驚いてしまいました。多くの子が「上手な絵」という勝手な概念に囚われていて自信を失っていたんだなぁと思いました。何が「上手な絵」なのか・・・それは長い事教員をやってきましたが、私にはよく分かりません。でも、下手な絵であって...
不安の強い子ども⑧タイスケ君の場合は、他者と自分を比べることや完璧を目指し過ぎるところがあったので、絵を描く時も悩み過ぎてしまって描けないことが沢山ありました。国語の授業で、教科書の挿絵に色を塗る事があったのですが、たった色塗りをするだけでも、ずいぶん時間が掛かりました。一つ一つの色を決めるのにも完璧をめざして悩んでしまうんですね。以前担任した子にも絵が描けない子がいました。その子は「どの色が正し...
ピチューはピチューで、努力して自分を進化させていくことが大事
不安の強い子ども達⑦タイスケ君の問題は、私と同じで、自分の行動基準が、他者基準になっているからではないか?そんな風に思いました。先生の基準を完璧に実行したい。だから指示待ちであり、行動に許可が必要になってしまう。でも、先生や大人の考えは100%分かるはずがないのだから、心は疲れてしまうのですね。他者基準の行動様式ではなく、自分の成長に目を向けて行く。それが、タイスケ君には必要だと思いました。よくタ...
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◆お手伝いを通して人の心を学ぶ段ボールを片付けてくれることは、とてもありがたかったけれど、自分勝手な思いで行動するところに問題があると思ったので、「お手伝いっていうのは、相手の心を考えてするものなんだよ。例えば、この段ボールを私がどう片付けて欲しいか。それを考える。自分のやりたいようにやるんじゃないだよ。例えば、君が大人になって上司の人に何か頼まれたとする。そうしたら、君の思ったようにそれを実行す...
◆お手伝いを通して人の心を学ぶ3学期にもなると、タケシ君はトラブルもなく笑顔いっぱいに学校生活を送ることができるようになっていました。特に仲の良い子というのはいませんでしたが、学級のお手伝いをする仲間がいて、授業後に一緒に掃除をして一緒に帰る仲間がいる。そんな人間関係の安定が、彼の心を明るくしたのでしょう。ただ、賢いのに私の机の上は片付けられない。これは、何なんだろうな。。。と思っていました。ある...
◆お手伝いで脳を活性化タケシ君は、私の机を片付けるお手伝いを少しずつ続けていました。宿題の点検が終わると、いちいち許可を得なくても自分から「配ってくるね!」といって配りました。そうこうしているうちに、一人で仕事を独占することがなくなり、「どうぞ、どうぞ」と譲ることができることも多くなっていきました。なんとなく私の机の周りに一緒に居て、同じ仕事をすることで友達意識も芽生えてきたのでしょう。その頃には...
◆お手伝いで脳を活性化タケシ君は賢い子なので、私の机の上の整頓も難なくやれるだろう。。。こんな風に思ってタケシ君に整頓をお願いしました。職員室での用事を終えて、教室に戻ると、タケシ君はしっかり私の机を整頓してくれていていました。でも、片付ける場所が私の思いとは違っているようで、何もかも探さなくてはならない状態になってしまいました。でも、そんなことは口にはできないですから「ありがとう、助かるよ」と答...
◆お手伝いで脳を活性化以前担任した子でとてもIQが高く、学校の勉強が良くできる子がいました。どんな学習でも難なく解くことができます。頭の良い子にありがちな事ですが、仲の良い友達がいませんでした。ですが、その子にも、せっせとお手伝いをお願いして仲間づくりをしていきましたので、学級の中で孤立は無くなっていきました。ある時、私の机の周りが整頓されていることに気が付きました。ノートやプリントで机上は乱雑にな...
◆お手伝いで脳を活性化お手伝いを通して仲間意識が高まったのか、タケシ君は、暇を見つける「お手伝いすることはい?」と聞いてくるようになりました。休み時間ごとに私の後をついて回るようにもなったので私との距離も縮まった感じが彼にもあったのでしょう。心の距離が縮まって私も嬉しかったですが、でも休み時間ごとに「手伝いはないですか?」と言ってくることにも少々辟易してしまいました。「タケシ君、ありがとう。でも、...
◆お手伝いで仲間づくりタケシ君が私の肩を揉んでくれます。「痛い! 痛い! タケシ君、痛いよ」と言うと、タケシ君はビックリです。「タケシ君、お家でお母さんやお父さんの肩を揉んだことがないんじゃない?」こんなことを言うと、「うん、初めて」と彼は答えました。「だよね~~~、それじゃぁ痛くて無理だよー」そんなことを言うと、彼は再び揉み始めました。でも今度は弱すぎだし、ツボを外しています。ツボの位置や強さを...
◆お手伝いで仲間づくり一人ポツンと本を読むタケシ君。本と友達で良いのかもしれないですが、やはり仲間というのは大事なので、できるだけお手伝いを頼むようにしました。本人も、人から頼まれると嬉しいので、よく働いてくれました。すると不思議なもので、タケシ君が働いていると、それを手伝う子が必ず現れるのです。これは本当に不思議なことです。親切行動をしている人は、周りから親切にされるのです。この頃から、タケシ君...
◆お手伝いで仲間づくり友達がいなくて泣いていた子は、クラスの子が帰った後に、全員分の机と椅子の整頓をしていました。そうしたら、いつの間にか友達が増えていったのですが、その要因の一つに一緒に働く友達ができたことにありました。彼がひとりで整頓や掃除をしていると、それをたまたま見かけた子が、一人二人と一緒に参加するようになったのです。楽しく遊んだり喋ったりしていたわけではないのですが、同じ行動をすること...
◆お手伝いで仲間づくり子ども達をよくよく観察してみると、案外と一人で遊んでいることが多いものです。例えば、鉄棒遊びであれば、みんなで遊んでいるようで、実は個人練習の意味合いが大きいです。縄跳びでも一輪車でも、結局は個人の練習です。でも友達作りで大事なのは、みんなと同じ行動をしていることだと思います。子どもが他の子どもと同じ動きをすることを「同型的行動」というそうです。同型的行動には・仲間関係の形成...
◆お手伝いで仲間づくり休み時間に一人ポツンと本を読んでいるタケシ君。それはそれで良いのですが、自己中心性の強い彼は、もっと学校という社会で、人と関わって揉まれる必要があるし、そこで学ぶ必要があると考えていました。誰かに「一緒に遊ぼう」と言うのは、とても勇気のいることなので、友達作りというのは難しいものだと思います。でも最近は、いつも一緒にいるような仲の良い親友を作る必要はなくて、なんとなく皆と同じ...
◆お手伝いで仲間づくりこのブログでも何度も書いていますが、もう10年も前に担任した子で、「友達がいない」と泣いた男の子がいました。その子に「じゃぁ、私の言うとおりにやってごらん」と帰りがけに、教室中の机の整頓をさせました。「親切にされて嫌だと思う子はいないから、帰りの時に、みんなのランドセルを配ったら?」と言うと、彼はそれも実行しました。一人で、黙々とそんなことを続けていくうちに、帰りに一緒に掃除...
◆お手伝いで仲間づくり伝記などの本から心の学びを得ていたタケシ君ですが、そうそう簡単には自己中心から脱却はできません。どうしても、自分の正しさを前面に出してしまうことが多く、なかなか自己中心を無くせません。こういうものは、人生をかけて無くしていくものなのでしょう。何はともあれ、強すぎた自己中心性から脱却する道を歩み始めたタケシ君だったのですが、友人関係も徐々によくなっていきました。自分の正しさが強...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性「そういう考え方もある」って念仏のように言い聞かせていたら、自分にはない正しさを学ぶことができるよね。それに、人を許すこともできる。人を許せたら、自分の怒りは簡単に抑えることができるようになるのだから不思議な話です。自分の正しさなんて、何のあてにもならないのだから、自分も悪いところがあったなーって思ったら、相手を許すことができるよね。相手を許すことができたら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「じゃぁ、自分の正しさって何なの?って話です。アル・カポネだって泥棒だって、自分の正しさで生きた。でもその正しさって、本当に正しいの?ってことです。君たちは、たった10年しか生きていないけれど、自分の正しさって、本当に正しいか?って思ったことはありますか? きっと思ったことはないと思います。だから喧嘩して自分の考えを通そうとしたり...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「今から100年くらい前に、アル・カポネというギャングの大ボスがいました。たくさんの犯罪をしてしまった人ですが、そのアル・カポネという人は、自分は世のため人の為に尽くしてきたと言っていたそうです。私たちからみたら、たくさん悪い事をしたのだから極悪人だと思うのですが、本人は、自分を悪人だと思っていなかったのです。これは、アル・カポネ...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「自分が正しいって思うことがあって、みんな、その正しさに従って生きています。人って不思議なもので、自分が正しいと思っていることは、世の中の人が自分と同じ考えをしているのだと思ってしまうものです。例えば、何年も前の話になりますが、算数の問題を解いていて、できた人から私のところにもってこさせたことがあります。その時、男の子2人がどちら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性伝記や哲学系の本にのめり込んでいったタケシ君。私も、毎日のように心の在り方について話をするので、だんだんものの考え方も変わっていきました。彼は自己中心性が強く、友達とのトラブルが絶えませんでした。でも、なぜ喧嘩が起るかというと、喧嘩と言うのは、互いに自分の正しさを主張しているのだと思います。タケシ君は、自分が正しいと言う。相手も、自分が正しいと言う。人は、自...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君の場合、勉強面は大丈夫だったのですが、友達に教えることで友達と関わることは、まだ難しいと判断しました。でも、いつかできるようになっていけば良いので、できることから人の為になることをさせていこうと考えていました。今まで担任した子ども達は、クラスの為の行動をすることで、どの子もみんな、友達と上手くいくようになっていったのですから。勉強はできる子だったので...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君に話したこと「人に親切にするって難しいよね。君は、ハナさんに算数を教えてくれました。でも、実はハナさんって算数が得意でよくできるんだよ。それって知ってた? 少し取り掛かりが遅いからやれていなかったけど、実は算数ができる。でも君はそんなハナさんのこと知っていたかな?」こんな話をすると、タケシ君はビックリしていました。「そうだよね、知るわけないよね。それ...
子供たちが、サトル君の姿を無いものかのように給食の準備をし始めました。誰も彼を動かそうとしない。慰めようとしない。1年生の頃から見慣れた風景だったのでしょう。そして優しく声を掛ける子の手を振り払ってしまうのが彼の常でもありました。案の定、給食の準備が始まって数分でサトル君は、ロッカーの隅から出てきました。前回、掃除の件で教卓の下にもぐりこんでしまったときには、謝ることなく外に遊びに行ってしまってい...
何か注意をすると、すぐ怒りだし拗ねるサトル君。誰かを叩いたとか、すべきことをしないとか、そういったトラブルは日に何度も続いていました。でも、教室から飛び出すことは無くなりました。それでも一歩前進です。教室から飛び出そうとした翌日も、女子が叩かれたと訴えてきました。背の低い、おとなしい女の子です。「サトル君、女の子が叩かれたと言ってきたのだけど、叩いてしまったの?」と聞くと、手に持っていた筆箱や教科...
サトル君とクラスの子供たちに話したこと つづき「我儘や自分勝手では、宇宙船地球号や宇宙船クラス号で仲良くやってはいけないよね。君たちは宇宙船地球号のルールをちゃんと知らないんだから、宇宙船地球号のルールを学んでいく事がとても大事なんだよ。それが、みんなと仲良く暮らす大人になるために必要なこと。サトル君のような失敗は、当たり前なんだ。当たり前。大人だって子どもの頃にいっぱい失敗しながら、仲良く暮らす...
サトル君とクラスの子供たちに話したこと つづき「みんなは何年生きていますか? たった10年くらいのものですよね。その10年で宇宙船地球号の何が分かるというのですか?お父さん、お母さん、大人は、もう何十年も生きてきて、宇宙船地球号のルールをいっぱい勉強してきています。でもみんなは、たった10年。宇宙船地球号のルールが分からないから、誰かを叩いたとしても周りは許してくれる。悪いことをしても叱るだけで周...
外に飛び出そうとして私の足を蹴るサトル君。必死で彼の手を握って、教室の入口で阻止する私。長い長い時間だったように思えましたが、サトル君の教室から出ていこうとする力もだんだん弱まり、床に座り込みました。もう大丈夫かな・・・と手を離すと、彼の瞬間湯沸かし器のような怒りもおさまったのか、それ以上抵抗することもありませんでした。教室から出ていかないことを確認して、私も内心は安堵していましたが、このまま終わ...
掃除での事件の翌日、ある男の子が「サトル君に叩かれた」と私に訴えてきました。休み時間が終わり、今から授業を始めるという時でした。「サトル君、〇〇君を叩いたの?」この一言で、サトル君はぶち切れです。「もう謝った!!!」と大声を出して怒り、なんと、教室から飛び出して行こうとします。前年度までも、カッとなると教室から飛び出す子だったので、どうするか?と、一瞬自分の中で葛藤がありました。でも、とっさに掴ん...
でも「できない」から「できる」までの間に、様々な価値観があるはずです。全然できないけど続けて努力しよう、とか少し成長したから頑張ろうとか、昨日よりはできるようになったとか。それこそ無限の価値観がある。単純に「できる」「できない」で色分けをしないことが子どもの成長にとって、とても重要になってきます。学校は「できる」を「できない」を評価する場所ではない。なのに、教師は評価し選別しがちだというのが大きな...
机の下に潜りこんでいるサトル君を見ながら、「掃除をしなかったあなたはダメだ」という叱り方をしてはいけないと考えていました。それは「あなたはダメな子」という評価を、私が下す形になるからです。他人から評価を下されることほど、苦しいことはないものです。それこそ、私の勝手な価値判断でサトル君を色付けするようなものです。そもそも、白か黒かの二値的な思考で極端の思考をしてしまうのだから、「ダメ」という態度や言...
教卓の下にもぐりこんで、「トイレに行っていただけだ!」と拗ねて怒っているサトル君。「良い・悪い」「敵・味方」という極端な2つの価値観しか無い彼に必要なのは、その間にある価値観を教えていくしかないと考えていました。よく子供たちに話をするのは、野菜のピーマンが好きか嫌いかという話です。ピーマンは好き・嫌いの二値ではなくて、にんじんより好きとか、どちらかというと好きとか、「好き」と「嫌い」の間には、無限...
サトル君の抱えている課題は、注意されると、相手が悪い、僕は悪くないという風な極端な思考に走ってしまうところにあるように思いました。これはかなり短絡的な思考です。ひょっとしたら、敵か味方か、という思考なのかもしれません。良い・悪い、敵・味方、といったように、他人を白か黒かの色分けするなんていうのは、かなりナンセンスな思考です。今回の事件では、サトル君にとって注意した先生が悪いということになりますが、...
新学年の始業式当日。これまでに少し接点のあった私が担任ということで、サトル君は、喜んでくれていました。でも事件は、直後から勃発しました。初めての掃除の時間。女の子が私に訴えてきました。「サトル君が掃除をしない」え~~!? 早々に? と思いながら掃除場所に向かいました。すると、女の子が言うようにサトル君が掃除場所にいません。探すと、トイレにいました。「ちゃんと掃除してくれないって女子が困っているよ」...
4月になり、新しい学級の担任となりました。今年は久しぶりに担任する学年なので、自分自身も勝手が分からない部分があって、慌ただしい日々となりました。普段はあまり残業をしないのですが、この4月は残業続きで、同僚から「大丈夫? 倒れない?」などと心配の声を掛けられる始末で・・・どこに問題点があるのか?と考えてみると、通常なら、私が何も言わなくても子供たちだけで動いて学級は回っていくのですが、4月の頃は、...
まとめテストの一件があって以降、ヨウヘイ君の様子がガラリと変わっていきました。漢字や書写の授業では、完璧を求めて時間をかけるのではなくて、とても早く提出するようになっていきました。「オラ、早くなったでしょ。先生に直してもらうんだ。そうしたら早く終わって遊べる!」と笑って言います。一番ビックリしたのはテストです。高得点を取るようになっていったのです。3学期には、苦手な国語も100点をとっていきました...
ヨウヘイ君に話をした直後、驚くことが起こりました。なんとヨウヘイ君、完璧な解答を書いて再テストを提出したのです。これにはビックリしてしまって「どうしたの?? 突然できるようになって!」と言うと、ヨウヘイ君は「んー-とね、オラ、先生の言ったことを覚えたんだ。そうしたら全部できた」と答えたのです。「そうか、そうか、それで良いんだよ。今は分からなくても、時間を味方にしたらきっと分かるようになる。その前に...
ヨウヘイ君に話したことのつづき「今の君は、わからないから問題に近づかないようにしている。そこが、大きな問題なんだ。君が「わからない」のは、算数の問題が難しいのがダメなんじゃない。先生の教え方が下手だからわからないんじゃない。誰のせいでもない。今、自分はできないんだって自覚しても「わかるようになる」道を歩もうとしない君自身に問題があるってことなんだ。給食をこぼした、絵具を飛ばした。これも同じです。給...
2学期のまとめテストには、少々難しい図形の問題がありました。それを説明するのですが、ヨウヘイ君は分からない。図形に補助線を入れるだけなのですが、それがどうしても分からないのです。最初からシャットダウンという感じです。他にも、少々思考力の要る問題があったのですが、それらも彼の中にはお手上げ状態だったようです。簡単な計算問題も間違えています。ヨウヘイ君の思考の歪み。それは、できないという事実を見たくな...
学習においては、「できる」「できない」よりも、その間にある「できるようになる」事が大事。『自分はできないのだから、できるようになる道を探す。できないのなら謙虚になって自分を伸ばしていくことで人生がより良いものになる。』それは師匠から教わった人生訓でありましたが、子どもの学習においても大事にしたいと思っています。最近では、テストをしたらその単元は終わり、というやり方に疑問を持つようになってきました。...
ヨウヘイ君が陥った「できる」「できない」の二値の問題。二値の価値観に慣れきっている子どもが一旦「できない」と感じてしまえば、あっという間に自分は出来ない子となってしまう危険性がある。子ども達には、「できる」と「できない」の間にある「できるようになる」という価値観がもの凄く大事だと1年を掛けて話をしていきます。学校は素敵な大人になるために新しいことを学ぶ場所で、最初はできないのが当たり前。「できない...
多値論理(たちろんり)。これも師匠から10年掛けて教えられてきたものの一つです。それは、真理は「真」と「偽」の2つだけでなくて、3個以上の多値あるという考え方です。よく『白黒をつける』という言い方をしますが、価値観には白と黒の二択ではなくて、グレーの価値観があるというのが、多値となります。子供たちにはよく「好き」「嫌い」で話をします。ピーマンが好きとか嫌いとか単純に話をするけれど、食べ物の好き嫌い...
絵具と給食の出来事が同時に起こった日を境に、ヨウヘイ君に変化が表れました。それも事態が悪化する方向へ。。。怖れていた、自己肯定感の喪失です。今まで自分を誤魔化して見ないようにしてきた「自分は出来ない」「自分はダメだ」という現実を見るという作業はヨウヘイ君には少し厳しかったようで、何に対しても「わからない」「出来ない」と言うようになってしまったのです。授業中、すぐ「わからない」と言って友達に助けを求...