◆お手伝いで仲間づくり休み時間に一人ポツンと本を読んでいるタケシ君。それはそれで良いのですが、自己中心性の強い彼は、もっと学校という社会で、人と関わって揉まれる必要があるし、そこで学ぶ必要があると考えていました。誰かに「一緒に遊ぼう」と言うのは、とても勇気のいることなので、友達作りというのは難しいものだと思います。でも最近は、いつも一緒にいるような仲の良い親友を作る必要はなくて、なんとなく皆と同じ...
小学校の先生をやっています。教育の現場で日々思うことから、子どもが明るく楽しく学校生活を送るためには親として教師としてどう接していったらよいか、深く考えていきたいと思っています。
小学校の先生をやっています。 無駄にキャリアが長いわけですけど、 日々思うことを広く発信できたらな…と思い ブログを立ち上げました。
不安の強い子ども達⑥先生が何を考えているかなんて分かるハズもない。その分からないものに対して、完璧であろうとして失敗したら気に病んでしまう。「恥ずかしい」というのは、誰かから「恥ずかしい人」と見られる事を恐れているわけです。その“誰か”の基準なんて、分からないですよね。人の感覚は、様々です。私は何度も自分の失敗を思い出しては恥ずかしかったという思いを強化していましたが、その先生は、叱ったことを覚えて...
不安の強い子ども達⑤私自身も完璧主義のところがずいぶんとあり、苦しんできました。失敗すると、もの凄く恥ずかしく思ったり、泣けてくるということもよくありました。小学生の頃、些細なことで先生に注意されたのですが、失敗して恥ずかしかった、あんなことをしなければ良かったと何度も思い出してしまって「あ~~、あの時、あんなことをしなければ」と思い返していました。そうして、自分はダメだという思いを強化していまし...
不安の強い子ども達④タイスケ君は、毎年春になると登校の渋りがあったり、チックの症状が出るとのことでした。学校に不安がある、ということですけれど不安とは何なのでしょう?タイスケ君より、だいぶ前に少し接点のあった子ですが、極度に不安の強く、4年生で学校に来られなくなった子がいました。私は担任したことはなかったのですが、聞いたところによると4年生の担任の先生は、きっちりとした人でしたが少し管理色の強い感...
不安の強い子ども達③タイスケ君はトイレだけでなく、休み時間に好きな絵を書く時であっても「絵を書いて良いですか?」と私に聞いてきました。休み時間なのだから、好きなことをやれば良いのですが、すべて許可をとらなくては不安なのだと思いました。自分で考えて行動することが極端に少なかったわけですが、自分の行動全てに許可を得るというのは大変ですから、どうしても…ということ以外は、何もしないを選択するようになってし...
不安の強い子ども達②何年か前の話ですが、2年生を担任した時に、新学期早々、タイスケ君のお母さんから「とても心配性な子で、毎年春には渋りがあります」と相談を受けました。「チックの症状も幼稚園の頃からありました」とのことでした。タイスケ君は、とても優秀なお子さんで、多くの習い事をしているし、勉強もよく出来る子でした。でも、タイスケ君をよく観察していると、クラスの多くの子が友達の手伝いをしている中で、タ...
不安の強い子ども達①コロナ渦という言葉が続いていますが、自粛自粛の生活は、子どもたちの心にも影響を与えていますよね。中にはコロナ感染が不安で登校できない子もいるほどです。特に新学年、新学期、GW後というのは、登校を渋る子どもが多いものです。コロナ感染だけでなく、様々な不安や心配を学校に対して抱くのでしょう。不安や心配について少し調べてみると日本人は特に、心配性な人が多いとされているそうです。それは...
他人をコントロールする人・される人⑫人間は集団の中でこそ活かされるものですが、他人にコントロールするのもコントロールされるのも、幸せな道とは言えないように思います。それは、自分というものが無いからです。どちらも他人があっての自分という立ち位置なので、心は他人に支配されて自由ではありません。ユウ君の場合は、課題の分離をしてユウ君の問題はユウ君が解決するものとして接することで良い結果を得ることができま...
他人をコントロールする人・される人⑪泣く事や怒ることで、他人をコントロールすることは、どの子にもあることでしょう。でも、周囲の大人が「コントロールされる側」に回る事でその力は強化されていってしまう。それで、ユウ君のように拗れてしまうことも多いのだと思います。逆に「コントロールされる側」の子どももいます。例えば、クラスで担任が怒っている姿を見て、教室に入れなくなってしまった子がいます。何か問題が怒っ...
他人をコントロールする人・される人⑩ユウ君は泣くことで他人をコントロールしていましたが、それは、本人にとっても周囲にとっても良いはずがありません。ユウ君自身の思考パターンを変えていく必要がありました。クラス全体にイロイロな話をして時間も掛かりましたが、ユウ君の顔つきが変わった瞬間を私は目撃しました。それは「学校」や「先生」というのは人の見方によって変わるもので、「学校」や「先生」自体は、何も変わら...
どのような思考をしていったら 負の感情から逃れることができるか
他人をコントロールする人・される人⑨「物は考えよう」なのですから、その子自身がどのように考えたかの結果がその感情です。学校に対してどう思うか勉強に対してどう思うか友達に対してどう思うか要は、どう思うかは、その子自身の問題であって、その子がそのように思う選択をしたということです。その選択に対して、他人である教員や親は、変えることができません。変えることができるのは、本人自身でしかないのです。これが課...
他人をコントロールする人・される人⑧どのようにして感情のブレを減らしていくか、というのはいつも書いているように運動するとか、他者貢献するといった心の教育に部分になっていきます。私達は、感情というのは勝手に沸き起こってくるもので、自分ではどうにもならないものだと思い込んでいます。でも実は感情は自分で選ぶことができコントロールできるものなのだ、という思考の転換が必要なのだと思います。例えば、サザエさん...
他人をコントロールする人・される人⑦昔は、よく泣く子や怒る子というのは『我が強い』ということで家族から直すべき事として教育されました。泣く、怒る、拗ねる、というのは人をコントロールしようとする行為だから、やってはいけない事だという社会通念があったのでしょう。でも以前『我が強い』という話をした時に、先輩教員から「『我が強い』とう言葉は子どもを傷つけるから 言ってはいけません。 それが『個性』だから」...
世の中には相手に責任があるかのように思わせて自分の要求を通そうとする人がいる
他人をコントロールする人・される人⑥世の中には大きく分けて二種類の人間がいる。・他人に合わせる人・他人に合わせさせる人ユウ君のように泣く人や、怒る人、不機嫌になる人が目の前にあらわれると、私はちは、ついつい「私の言動のせいかもしれない」と思ってしまいます。もちろん、何らかの原因が自分にあって改善していこうとする姿勢は大事ですが、『世の中には、感情的になることで、 相手に責任があるかのように思わせて...
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◆お手伝いで仲間づくり休み時間に一人ポツンと本を読んでいるタケシ君。それはそれで良いのですが、自己中心性の強い彼は、もっと学校という社会で、人と関わって揉まれる必要があるし、そこで学ぶ必要があると考えていました。誰かに「一緒に遊ぼう」と言うのは、とても勇気のいることなので、友達作りというのは難しいものだと思います。でも最近は、いつも一緒にいるような仲の良い親友を作る必要はなくて、なんとなく皆と同じ...
◆お手伝いで仲間づくりこのブログでも何度も書いていますが、もう10年も前に担任した子で、「友達がいない」と泣いた男の子がいました。その子に「じゃぁ、私の言うとおりにやってごらん」と帰りがけに、教室中の机の整頓をさせました。「親切にされて嫌だと思う子はいないから、帰りの時に、みんなのランドセルを配ったら?」と言うと、彼はそれも実行しました。一人で、黙々とそんなことを続けていくうちに、帰りに一緒に掃除...
◆お手伝いで仲間づくり伝記などの本から心の学びを得ていたタケシ君ですが、そうそう簡単には自己中心から脱却はできません。どうしても、自分の正しさを前面に出してしまうことが多く、なかなか自己中心を無くせません。こういうものは、人生をかけて無くしていくものなのでしょう。何はともあれ、強すぎた自己中心性から脱却する道を歩み始めたタケシ君だったのですが、友人関係も徐々によくなっていきました。自分の正しさが強...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性「そういう考え方もある」って念仏のように言い聞かせていたら、自分にはない正しさを学ぶことができるよね。それに、人を許すこともできる。人を許せたら、自分の怒りは簡単に抑えることができるようになるのだから不思議な話です。自分の正しさなんて、何のあてにもならないのだから、自分も悪いところがあったなーって思ったら、相手を許すことができるよね。相手を許すことができたら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「じゃぁ、自分の正しさって何なの?って話です。アル・カポネだって泥棒だって、自分の正しさで生きた。でもその正しさって、本当に正しいの?ってことです。君たちは、たった10年しか生きていないけれど、自分の正しさって、本当に正しいか?って思ったことはありますか? きっと思ったことはないと思います。だから喧嘩して自分の考えを通そうとしたり...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「今から100年くらい前に、アル・カポネというギャングの大ボスがいました。たくさんの犯罪をしてしまった人ですが、そのアル・カポネという人は、自分は世のため人の為に尽くしてきたと言っていたそうです。私たちからみたら、たくさん悪い事をしたのだから極悪人だと思うのですが、本人は、自分を悪人だと思っていなかったのです。これは、アル・カポネ...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性クラスの子ども達に話したこと「自分が正しいって思うことがあって、みんな、その正しさに従って生きています。人って不思議なもので、自分が正しいと思っていることは、世の中の人が自分と同じ考えをしているのだと思ってしまうものです。例えば、何年も前の話になりますが、算数の問題を解いていて、できた人から私のところにもってこさせたことがあります。その時、男の子2人がどちら...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性伝記や哲学系の本にのめり込んでいったタケシ君。私も、毎日のように心の在り方について話をするので、だんだんものの考え方も変わっていきました。彼は自己中心性が強く、友達とのトラブルが絶えませんでした。でも、なぜ喧嘩が起るかというと、喧嘩と言うのは、互いに自分の正しさを主張しているのだと思います。タケシ君は、自分が正しいと言う。相手も、自分が正しいと言う。人は、自...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君の場合、勉強面は大丈夫だったのですが、友達に教えることで友達と関わることは、まだ難しいと判断しました。でも、いつかできるようになっていけば良いので、できることから人の為になることをさせていこうと考えていました。今まで担任した子ども達は、クラスの為の行動をすることで、どの子もみんな、友達と上手くいくようになっていったのですから。勉強はできる子だったので...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君に話したこと「人に親切にするって難しいよね。君は、ハナさんに算数を教えてくれました。でも、実はハナさんって算数が得意でよくできるんだよ。それって知ってた? 少し取り掛かりが遅いからやれていなかったけど、実は算数ができる。でも君はそんなハナさんのこと知っていたかな?」こんな話をすると、タケシ君はビックリしていました。「そうだよね、知るわけないよね。それ...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性(我)です。でも、この自己中心性の強さを減らしていくのも「お手伝い」しかないように思います。大人の世界の言葉で言えば、他者貢献です。自分のやりたいことや自分の利益を我慢して、他者を優先する。我の発動を押さえる訓練をしなければ、自己中心性を直すことはできませんが、「お手伝い」を通してなら、自分中心を減らしていく練習ができる...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性友達に勉強を教えに行くにしても、自分中心が強すぎて、相手や周りの子の事を考えずにトラブルになってしまうタケシ君。我の強い子だなーと思って見ていました。子ども達によく話をするのですが、自分の我を通しても何も良い事はありません。我を通すというのは、結局は自分への利益誘導ということになります。自分が得をするように我を通したいわけですが、得をするということは、誰かが...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性授業で課題が早く終わったら、友達に教えにいく。友達への親切を実行させるのですが、タケシ君は、それにも課題がありました。ある時、女の子に教えているところを見ました。その女の子は見た目はか弱そうに見えるのですが、実際には勉強もできる子でした。でもタケシ君はクラス替えをしたばかりで、その子の実力をよく分かっていなかったのでしょう。相手の子の意思に関係なく、「俺が教...
◆タケシ君の一番の問題は、強い自己中心性以前担任した給食を全て配膳した子とは違って、タケシ君は、授業はちゃんと受けていましたし、成績的には学年の上位にいる子でした。上位にいるからこその問題があって、課題があっという間に終わってしまうので、彼の場合は、時間が余って暇となってしまうという問題がありました。そういう時に限って、友達とのトラブルを起こしてしまうのです。とにかく子どもを暇にしてはいけないとい...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 3誰かの為になる行為。それは、子どもにとっての「お手伝い」ということになるのでしょう。自分のしたいことでなくて、人の為になることをする。そうすることで、子どもの心は救われていくように思います。給食を全て配膳した子は、実際にはほとんどの授業に参加できずに、毎日机にうつ伏せになって何も授業を受けない状態でした。特に算数は、低学年で習う掛け算も全部覚えていない...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 2普段、宿題もロクにやらない子だったのですが、宿題を終え給食室に給食が運び込まれたのを確認すると、驚くようなスピードで全てを盛り付け、クラス全員の机に配りました。4時間目が終わり、クラスの子が帰ってくる前に終わらせたかったのでしょう。ほぼ給食を配り終えた時、クラスの子ども達が教室に帰ってきました。「わ~~すごい! ありがとう!」口々に子ども達は歓声をあげ...
◆体を動かすお手伝いで子どもは劇的に変わる 1身体を動かして気分を変えることが大事だとタケシ君に話をしましたが、話をしてすぐに変わることなど、なかなかできる事ではありません。でも、何か嫌なことがあったときに止まってしまうことが彼の心のケアのために一番良くないので、とにかく体を動かすこと。そのために、一番良いのが「クラスの為になるお手つだい」だと思っていました。たいていのお手伝いは体を動かすことを伴...
◆体を動かせば気分は晴れる 8こじれてしまっている不登校の場合、朝散歩も大変かもしれませんが、初めは難しいくても、心のケアのために短い距離から始めていけばよいと思います。最初は家の周りだけでも良いので、15分間日光に当たるだけでも効果はあるそうです。学校の門をくぐれなくても良いのです。門をタッチする、一歩だけ踏み入れる、そんなゲーム感覚で活動量を増やしていく。学校では、時間の長い休み時間には外に出て...
◆体を動かせば気分は晴れる 7同僚で、登校を渋っている子と毎朝一緒に歩いて登校した人がいます。その子は、同僚のおかげで毎日登校することができ、翌年は渋ることもなかったのです。昨年も登校を渋る子がクラスの中にいたようですが、いつの間にか、その子も登校できるようになっていました。同僚が一緒に登校するところを見ませんでしたが、親御さんが一緒に遠い道のりを歩いていらっしゃるのを度々見ました。体を動かすこと...
◆体を動かせば気分は晴れる 6人は体を動かして行動したら、暗い気分から脱出できる。これは、科学的にも実証されていて、厚生労働省は、身体活動が気分転換やストレス解消につながり、メンタルヘルスの不調を改善するとしていますし、軽い運動でもストレスを解消させるためのホルモンが分泌され、心が安定し、ポジティブになりやすいという研究もあるようです。自分自身も、ネガティブな思考を減らすために自転車や登山に挑戦し...
サトル君の抱えている課題は、注意されると、相手が悪い、僕は悪くないという風な極端な思考に走ってしまうところにあるように思いました。これはかなり短絡的な思考です。ひょっとしたら、敵か味方か、という思考なのかもしれません。良い・悪い、敵・味方、といったように、他人を白か黒かの色分けするなんていうのは、かなりナンセンスな思考です。今回の事件では、サトル君にとって注意した先生が悪いということになりますが、...
新学年の始業式当日。これまでに少し接点のあった私が担任ということで、サトル君は、喜んでくれていました。でも事件は、直後から勃発しました。初めての掃除の時間。女の子が私に訴えてきました。「サトル君が掃除をしない」え~~!? 早々に? と思いながら掃除場所に向かいました。すると、女の子が言うようにサトル君が掃除場所にいません。探すと、トイレにいました。「ちゃんと掃除してくれないって女子が困っているよ」...
4月になり、新しい学級の担任となりました。今年は久しぶりに担任する学年なので、自分自身も勝手が分からない部分があって、慌ただしい日々となりました。普段はあまり残業をしないのですが、この4月は残業続きで、同僚から「大丈夫? 倒れない?」などと心配の声を掛けられる始末で・・・どこに問題点があるのか?と考えてみると、通常なら、私が何も言わなくても子供たちだけで動いて学級は回っていくのですが、4月の頃は、...
まとめテストの一件があって以降、ヨウヘイ君の様子がガラリと変わっていきました。漢字や書写の授業では、完璧を求めて時間をかけるのではなくて、とても早く提出するようになっていきました。「オラ、早くなったでしょ。先生に直してもらうんだ。そうしたら早く終わって遊べる!」と笑って言います。一番ビックリしたのはテストです。高得点を取るようになっていったのです。3学期には、苦手な国語も100点をとっていきました...
ヨウヘイ君に話をした直後、驚くことが起こりました。なんとヨウヘイ君、完璧な解答を書いて再テストを提出したのです。これにはビックリしてしまって「どうしたの?? 突然できるようになって!」と言うと、ヨウヘイ君は「んー-とね、オラ、先生の言ったことを覚えたんだ。そうしたら全部できた」と答えたのです。「そうか、そうか、それで良いんだよ。今は分からなくても、時間を味方にしたらきっと分かるようになる。その前に...
ヨウヘイ君に話したことのつづき「今の君は、わからないから問題に近づかないようにしている。そこが、大きな問題なんだ。君が「わからない」のは、算数の問題が難しいのがダメなんじゃない。先生の教え方が下手だからわからないんじゃない。誰のせいでもない。今、自分はできないんだって自覚しても「わかるようになる」道を歩もうとしない君自身に問題があるってことなんだ。給食をこぼした、絵具を飛ばした。これも同じです。給...
2学期のまとめテストには、少々難しい図形の問題がありました。それを説明するのですが、ヨウヘイ君は分からない。図形に補助線を入れるだけなのですが、それがどうしても分からないのです。最初からシャットダウンという感じです。他にも、少々思考力の要る問題があったのですが、それらも彼の中にはお手上げ状態だったようです。簡単な計算問題も間違えています。ヨウヘイ君の思考の歪み。それは、できないという事実を見たくな...
学習においては、「できる」「できない」よりも、その間にある「できるようになる」事が大事。『自分はできないのだから、できるようになる道を探す。できないのなら謙虚になって自分を伸ばしていくことで人生がより良いものになる。』それは師匠から教わった人生訓でありましたが、子どもの学習においても大事にしたいと思っています。最近では、テストをしたらその単元は終わり、というやり方に疑問を持つようになってきました。...
ヨウヘイ君が陥った「できる」「できない」の二値の問題。二値の価値観に慣れきっている子どもが一旦「できない」と感じてしまえば、あっという間に自分は出来ない子となってしまう危険性がある。子ども達には、「できる」と「できない」の間にある「できるようになる」という価値観がもの凄く大事だと1年を掛けて話をしていきます。学校は素敵な大人になるために新しいことを学ぶ場所で、最初はできないのが当たり前。「できない...
多値論理(たちろんり)。これも師匠から10年掛けて教えられてきたものの一つです。それは、真理は「真」と「偽」の2つだけでなくて、3個以上の多値あるという考え方です。よく『白黒をつける』という言い方をしますが、価値観には白と黒の二択ではなくて、グレーの価値観があるというのが、多値となります。子供たちにはよく「好き」「嫌い」で話をします。ピーマンが好きとか嫌いとか単純に話をするけれど、食べ物の好き嫌い...
絵具と給食の出来事が同時に起こった日を境に、ヨウヘイ君に変化が表れました。それも事態が悪化する方向へ。。。怖れていた、自己肯定感の喪失です。今まで自分を誤魔化して見ないようにしてきた「自分は出来ない」「自分はダメだ」という現実を見るという作業はヨウヘイ君には少し厳しかったようで、何に対しても「わからない」「出来ない」と言うようになってしまったのです。授業中、すぐ「わからない」と言って友達に助けを求...
ヨウヘイ君に話したことのつづき「『原因と結果の法則』という本があるけれど、絵具が飛んだという結果には、筆を振り回したという原因があった。給食がこぼれたという結果には、身体が食器に当たらないよう気を付けなかったという原因があった。」「自分に降りかかってきたほとんどの災難は、自分による原因があるのだから、自分の行動を変えていくしかないんだよ。」「いつも真面目に落ち着いて行動している子に、今日、君に降り...
ある日のこと、1日に2回もヨウヘイ君がミスをしたことがありました。1つ目は、絵具を使っていて筆を振り回してしまい、友達の洋服に絵具が飛んで汚してしまいました。「でも、僕は・・・」と言いかけたので、「どんな理由があったかは知りませんが、友達の服を汚してしまったのは、君の責任です。絵具を使う時は、周りを汚さないように気を付けるものです。」「でも君は、気を付けなかったでしょ? 筆を振り回したら絵具が飛ぶ...
2学期になっても、相変わらず漢字を書くのに時間が掛かり、友達とのトラブル続きのヨウヘイ君でしたが、あるとき、ケイタ君と一緒に悪戯をして叱られたことがありました。2人を前にして私は指導するのですが、この2人の様子が、まるっきり違うのです。ケイタ君は、私に指導されて泣いています。でもヨウヘイ君は、一緒に立っていて聞いてはいるものの、どこか他人事のような感じがしたのです。もちろん、以前のようなブツブツ言...
その日も、ヨウヘイ君は友達と喧嘩をしてしまい、私の注意を受けていました。相変わらず、目を逸らし、口でブツブツ何かを言っています。顔は能面のように無表情です。お母さんとの話で、私との信頼関係や指導の問題というよりヨウヘイ君自身の深刻な問題なのだろうと思いました。剣道のコーチの言葉も素直に受け入れられないのは、自分の欠点を認めたくない、傷つきたくない、そんな心の状態なのだろうと思いました。そして喧嘩を...
自分の”できない”を正視したくない。なんとか自分を保とうと、人の話が聞けずに”でも”、”だって”と、自分以外の処に責任や理由をもっていこうとする。そんな姿じゃないだろうか、と思ってヨウヘイ君を見ていました。いつも同様な喧嘩を繰り返してしまうのです。ヨウヘイ君には私の指導が全然入っていかないので、学んで自分を変えていくことができないのです。ただ、それを指摘する勇気は、その時の自分にありませんでした。私の指...
漢字の学習法についてクラスに話をしましたが、だからといってヨウヘイ君が急によくなるものでもありません。こういうことは心に届くまで時間が掛かるもので、何度も何度も同様な話をしていく必要があります。教員の側にも時間を味方にした指導が必要になってくると、いつも思います。ヨウヘイ君の自分の”出来ない”に向き合えない態度は、学習面だけではありませんでした。ジャンケンで負けたのを怒って友達を叩いてしまったことが...
クラスの子どもに話したこと。2大人ですごく仕事のできる人っていうのは、他人の力を使うことがとても上手です。自分の力だけで頑張るより、友達と一緒に協力してやった方がきっと良いものができる。こういうことは、みんなでも分かるよね。例えば、大事な書類を作るとき、自分ひとりで頑張ってその書類を作るより、ひとまず書類を作って、誰かに見てもらって直して書類を作り直した方が良いものができる。そんなのは当たり前のこ...
クラスの子どもに話したこと。1新しく習った漢字だもの、今まで知らなかった漢字が急に書けるはずがないよね。もちろん、漢字が好きで、今まで練習していた人は別だよ。でも習ったばかりのことが完璧にできるハズがない。これは漢字だけじゃなくて、算数でも、体育でも、図工でも、どんな教科だって同じです。みんなは、何のために学校に来ているかというと、今まで出来なかったことを出来るようにするために学校に来ています。だ...
ヨウヘイ君は、自身の無能感から逃げている。だから、その無能を自覚させて謙虚に学び、有能になっていこうと努力する道を歩むようにする。そうすることで、本物の自己肯定感を得られるようになり、楽しく学校生活を送ることができるようになるだろう。。。これは仮説にしか過ぎませんでしたが、自分の学びの過程で得られたものだったので、何となくではありましたが、確信めいたものがあったのも事実です。学校はとても不思議なと...