とっくに終わったクリスマスの話なので、長いけど1話にしちゃいます。☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆--:*:--☆フランスに来て1週間。華やかなパリの街並み、煌びやかなクリスマスイルミネーションに胸が踊る。初めての海外旅行…それに、初めて恋人と過ごすクリスマス。浮かれるなって方が無理でしょ。けど…現実はそう甘くはなかった。問題は言葉。テーブルマナーやフランスでの一般的な作法なんかは、来る前に少し教えてもらった。本...
人の気配に、牧野は顔を上げ、俺へと視線を向ける。途端、その瞳は真ん丸に見開かれ、驚きのあまり、声も出ない。「…久しぶり。」ヒラヒラと手を振り、然して気にした風もなく歩み寄る。俺を見つめるその表情はあの頃のままで、何だか懐かしい。「クスッ…すごい顔。 そんなにびっくりした?」さっきまでの不安は、牧野の顔を見た瞬間に吹き飛んだ。そして、今は愛しさしか感じない。何ができるか、じゃない。前みたいに、傍にいれ...
12月28日。俺は今までで一番ってくらい、清々しい気持ちで目覚めた。本来なら、今日は人生で一番苦痛な日になるはずだったのに。それが一転、朝が待ち遠しいほど、楽しみな日になった。藤堂の家の車で走ること、数時間。降り立ったその場所を、俺は些か信じ難い気持ちで見渡した。「ここって…」「素敵でしょう?ここ。 海を眺めながらゆっくり休んでほしくてね。」静の視線を追って、その景色を眺める。小高いこの場所は周囲を緑...
12月の寒空も気にならないほど、気持ちが昂ってた。こんなに必死に走ったのは、10年前、牧野が階段から落ちた時以来。けど、あの時とは全然違う…逸る気持ちで胸が痛い。その勢いのまま、藤堂の家の門を叩く。「静っ!静っ!」「あら、類?…どうしたの?」「俺、わかったんだ!さっきの答え…っ」ゼェゼェと乱れる呼吸の中、必死の思いで言葉を告ぐ、と。「そう…じゃ、答え合わせしましょ…入って。」フッと笑った顔はやっぱり綺麗で...
牧野は『ありがとう』と『ごめんなさい』は魔法の言葉だと言う。確かに、言霊ってあると思うし、それを素直に口に出せるヤツは凄いって思う。俺は、育ってきた環境のせいか、その言葉が素直に言えなかった。そのせいで失ってきたものは、たぶん多い。『たぶん』っていうのは、気付いていなかったから。そして、今となっても、その多くは記憶の彼方に消え去った。無くても困らない。でも、あったら、もっといろいろ変わってたんじゃ...
こんにちは。クリスマスがサラッと過ぎ去り、また年末のバタバタが近付いてきました。と同時に、インフルエンザ、感染性腸炎なども怖い季節になりましたね。寒波も来てるみたいですし、そろそろ雪が降るのかな?朝晩の冷え込みが厳しくなってきました。くれぐれも、体調には気を付けて、楽しい年末年始をお過ごしくださいませ。今日から28日まで、つくしのBirthdaySSをお届けします。CPは言わずもがなの【類×つくし】。原作からの...
つくしの冬休みを待って、俺たちはフランスへと飛んだ。教授の息子は一足先にフランスへ行っている。もちろん、花沢の社員として。彼を花沢で引き取ることに、父さんたちからの異論はなかった。父さん曰く、Quatremerの協力が得られれば、このプロジェクトに失敗はないらしい。そんなパイプを持った彼の参画は強力な追い風になる。ただ、まだ油断はできない。彼も、Quatremerも、東欧に不信感は持っていても、花沢より東欧との繋が...
講義のある教室へと向かうつくしを見送り、俺は車へ戻る。いくら総責任者を任されてるとはいえ、独断で何でも決めていいわけじゃない。この男―関和孝―をメンバーに加えることを、父さんにも報告しておかないと。「…行くよ。」「ん?いや、俺はタクシー拾っ…」「いいから、乗って。時間が無駄。」「いや、でも、さすがにそれは…」「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと乗って。 いろいろ聞きたいこともあるし。」「あー…はい。」こ...
校門前で会った、というより、つくしを待ち伏せしていた男。つくしの師事する教授の息子で、東欧商事の専務の元部下。彼をどこまで信用していいのか、はっきりいって未知数だ。けど、直感で『こいつは使える』と思った。東欧商事は欧州、とりわけフランスの支社が主軸だと聞いている。だから今回のプロジェクトは日本本社ではなく、フランス支社をターゲットにした。恋人がフランスにいるってだけで転属させるほど、お優しい会社じ...
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