2011年3月11日。あの大震災を目のまえにして、それまで見ていた地球上の山や川、海などの風景は決して永遠ではないということを思い知らされた。その時「自分に出来ることは何か」と自問自答し、今の風景を写真の記録として残せないだろうかと考えるようになった。 足元に目をやると小川原湖という青森県で一番大きな湖が広がる。写真のテーマとしてはあまり知られていない湖ではあるが、きっと自分でも気が付かない何かがあ…
それは寒いというよりは、痛さを感じさせる朝だった。 真冬の夜明けの撮影にもようやく慣れたとは言え、この日の朝は経験したことがないような寒さだった。そのせいだろうか見慣れた小川原湖も、水平線は消えて湖面から煙が沸き上がるような見たことも無いシーンを創っていた。 湖面の雪も、輝く白い砂のようにサラサラとして、その光景を目の当たりにした私は我を忘れてカメラのファインダーに向かっていた。 ふと…
もう夜明けに何度向き合ってきたのだろうか。 私はいつも暗いうちに現地に着いて夜明けを待つ。 人間も寝静まりまだ活動をはじめる前、音は何も聞こえない。 光も無い。車もいない。その世界に生命を感じさせるものは、何もないとさえ感じさせる湖畔の夜明け。 私はそんな世界にぽつんと一人立っていた。 ふとこの地球上にいるのは、自分ひとりだけかもしれないという錯覚さえおぼえる。それはまさに「神秘的な夜明け…
「自然は、絵を描いている」。 私は撮影に向き合うときいつもそう感じている。 空や湖面、海、雪原、大地という途方もなく壮大なキャンバスに、雨や雪、氷、風、影、雲、霧という絵筆を使いながら。そしてそれらに太陽が「光」という彩をつけていく。 自然が描いた絵を、一番ドラマティックに見せてくれるのが夜明けと夕暮れ時。 小川原湖にキャンプした人が、「夜明けに感動した」という声をたびたび聞く。この湖では大…
小川原湖キャンプ場に二人の女性像がある。 野辺地町出身の彫刻家小坂圭二作「小川原湖姉妹像」で、この湖にまつわる伝説の主人公である玉代姫と勝世姫をモチーフにしたものと思われる。 この像はキャンプ場の道路沿いに位置し、人目につきやすいことからいつも通るたびに気になっていた。 「この小川原湖のシンボルをどう撮ろうか」と。 彫刻だからもちろん動かない。だからどう撮影しても同じようしか写らない。 な…
小川原湖を何周もしたが、高い位置から湖面を見渡すことができる場所はかなり限定される。そんな中でこの湖畔橋からの景色は数少ない高い位置からの撮影ポイントであり、たびたびカメラを向ける人たちを見かける。 一月中旬、そろそろ氷が張るころと期待してその場所に行ってみた。だが岸辺にうっすらと雪が積もっただけで、湖面はまだ凍った様子も見られず私の期待は見事に裏切られた朝だった。 そもそも風景を撮るとい…
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