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2015/01/11

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  • 巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・064『三島事件とわたしたち』

    巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記064『三島事件とわたしたち』図書室の窓際のテーブル。そこに新聞のバインダーを四つ並べ、部活の佳奈子を除くお仲間四人で覗き込んでいる。どのバインダーも、11月27日の日付。「うわぁぁぁ」「気持ち悪いぃ」「ひどいねえぇ」「狂ってるぅ」「ひえぇぇぇ」さっきから、同じような感想的悲鳴をあげまくり。昼休みの図書室は、休憩を兼ねて入ってる生徒も多いので、多少の会話は大目に見てもらえる。ほかの生徒や先生も、わたしたちが何を見ているのかは察しているから――さもありなん――と言う感じ。新聞各紙は一面のトップと三面の大半を使って三島事件を書き立てている。切腹!狂気!無残!乱入!割腹自殺!美学崩壊!そんな単語が特大の活字で書き立てられ、その下や横には三島と弟子の首が転がってる写真まで出て...巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・064『三島事件とわたしたち』

  • ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第6話《拡散、その兆し》

    ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第6話《拡散、その兆し》ジングルベ~ルジングルベ~ルスズガナル~♪改札を出ると歳末商戦のジングルベル、みそな銀行の前まで来ると赤鼻のトナカイに替わって罵声が混じってきた。#&%▽¥◇%$#皿٩(๑ò△ó๑)۶!!〇皿&%▽¥◇%$#血٩(๑`ȏ´๑)۶!!水道工事の現場を通りたくなかったので、一本向こうの道を行こうとしたんだけど、もめ事には直ぐに顔と耳が向いてしまうのは江戸っ子の習い性。人だかりの向こうで、ガードマンのニイチャンと学生風がつかみ合いっこ。工事のオジサンたちが作業着にメット姿で間に入っている。「てめえ、しらばっくれやがって!」「だから、濡れ衣だって。あんたこそガードマンのくせして、交通妨害してんじゃねえよ!」「忠八、怪我させちゃだめだぞ、すぐにお巡りが……きたきた...ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第6話《拡散、その兆し》

  • 銀河太平記・192『ココちゃんに決めてもらうっす!』

    銀河太平記・192『ココちゃんに決めてもらうっす!』こころ大きいのはダメっすからね!ツナカンさんにくぎを刺されて唇を突き出すアルルカンさんは、とても宇宙海賊のボスには見えない。わたしよりも首一つ、胡蝶さんと比べても10センチは高く、主席さんと並んでも遜色がない八頭身の高身長。お顔もボディーも申し分のない凹凸で、切れ長の目には、それ自体が生き物ではないかと思うようなまつ毛が戦ぎ、伝説の宇宙戦艦アニメの主要女性キャラみたい。艦長席に収まって、進路の先を見つめている時など伯母様に匹敵する神性を感じる時がある……んだけど、今は別人。「だって、ナガトは持っていきたいぞぉ(`へ´)」腕を組んだままホッペを膨らます。そうっと後ろから近寄って、両手でホッペを押したくなる。むかし、お母さんにやれれて『プ』って陽気な音がして...銀河太平記・192『ココちゃんに決めてもらうっす!』

  • ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第4話《レイア姫のパンツ》

    ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第5話《レイア姫のパンツ》「ねえ、こんなドジな子がいるよ」四限が終わると佐久間まくさが、スマホ片手にぐずぐずしているあたしの席に来た。ウ……(#°灬°#)!かろうじて悲鳴にはならなかった。「アクシデントなんだろうけど、警戒心ってか、用心しなさすぎ。この子、同じ帝都の子として恥ずかしい」スマホには、ガードマンの誘導灯にスカートをひっかけられ、派手にめくれておパンツがむき出しになった瞬間の写真が載っていた。後ろ姿なので制服から学校が分かるだけだったけどね。これは、あたしだ……(;꒪ꈊ꒪;)!「どうかしたん?さくら、顔が青いでぇ」「なんでもないよ!」「あ、こんどは赤くなった……」恵里奈まで寄ってきた。「これ……」まくさがスマホの画面を恵里奈に見せた。「あらら……」「学校のサイトで、こ...ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第4話《レイア姫のパンツ》

  • RE・かの世界この世界:217『桃太郎二号と薪拾い』

    RE・かの世界この世界217『桃太郎二号と薪拾い』テル桃太郎二号と薪を求めて山に踏み込む。カテンの森(152回)ほどではないが、繁茂している木々はどれも神社の御神木ほどの高さと太さがあって、日の光の半ば以上を遮っている。黄泉の国が間近いせいか、どの木々も枝ぶりや木の肌が醜怪だ。薪にすると、その炎は鬼火のように青く燃えるのかもしれない。「なるべく乾いたのを選べよ、生乾きの薪は燻るだけだからな」「おう、少しは日の当たるところもあるから、そこを狙おうぜ」「足下に気を付けろ、苔で滑りそうだし根っこもウネウネ這ってるからな」「うん、どの木も鬼の腕とか脚みたいだなぁ……」「みたいなだけだ、乾いたのを選べばいい薪になる。それなんかいいと思うぞ」「おう……黄泉の国は鬼もいっぱいなんだろうな」「鬼退治がしたくなったか?」「...RE・かの世界この世界:217『桃太郎二号と薪拾い』

  • ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第4話《佐倉さつきの一日》

    ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第4話《佐倉さつきの一日》また道路工事だ。年度末の道路工事は、使い残した予算の消化と決まっているけど、十二月の初旬。そんな理由じゃ無いだろう。とにかく幅四メートルの生活道路の工事は迷惑だ。つい先月だったかもやっていた。え……あれは電気工事だったっけ?とにかく邪魔になることに違いはない。前を歩いているオバサンは露骨に嫌な顔をしているのが後ろ姿でも分かったけど。わたしは、そんなことはしない。働いているのは下請けか孫請け。働いている人たちに罪はない。十字路のジイチャンガードマンと工事現場の若者ガードマンもそつなく誘導してるし。まあ、道幅の1/3は使えるので「ま、いいか」で、おしまい。あたしの意識は、駅前のみそな銀行でいくら下ろすかで占められている。先月のバイト代は、まだ手つかずだ。全...ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第4話《佐倉さつきの一日》

  • くノ一その一今のうち・86『ウンコを避けただけの足としてはうまくいった』

    くノ一その一今のうち86『ウンコを避けただけの足としてはうまくいった』そのいち鬼灯(ほおづき)のような炎が立ったかと思うと二秒遅れて衝撃と爆発音。ドォーーーーン「北に向かって!」サマル王子の耳もとで叫ぶ。「ウワ!と、ととと……トォ!」ズザザザザ!衝撃と私の声にジープが揺れ、王子は数秒かかってジープを北に北に向けた。「いまの爆発は(゚Д゚)!?」「…………」王子は狼狽えながら、アデリヤは無言で左後方に立ち昇る煙を睨んだ。「仲間が作戦を変更したんです、直接向かいます」どう変更したのかは分からない、直接向かってどうするかも、この瞬間には分かっていない。視野の端にウンコをとらえ、とっさに跳ぶように北に向かっただけだ。北からは高原の国の戦闘車両が車列を組んでこちらに向かって来る。「お二人は、ジープで敵の東側を掠め、...くノ一その一今のうち・86『ウンコを避けただけの足としてはうまくいった』

  • ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第3話《渋谷ヒマリエでダスゲマイネ》

    ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第3話《渋谷ヒマリエでダスゲマイネ》夏休みは成果とか成長とかからは無縁で終わってしまった。ま、毎年のことだけど。でも、まったく無かったわけでもない。しいて挙げれば二つある。一つがピンクピーナッツを発見したこと。YouTubeを見ていたら偶然「発見」した。アカぬけきっていない少女たちが、ピーナッツのヒット曲歌って踊っていたのだ。ピーナッツには昭和の力がこもっていると思う。根拠はない。何年か前にアイドルグループがピーナッツのカバーライブをやって、お父さんが照れ隠しにあたしを連れて行った。「いやあ、娘が見たいって言うもんですから(^_^;)」という言い訳のためにね。落語で似たようなのがあった。人前でオナラをする癖がある母親が、万一の言い訳のために息子を連れていく。ついていくと十銭の小...ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第3話《渋谷ヒマリエでダスゲマイネ》

  • 鳴かぬなら 信長転生記 153『西安近郊兵馬俑の行軍』

    鳴かぬなら信長転生記153『西安近郊兵馬俑の行軍』信長戦国武将は勘が働く。勘は二種類だ。一つは、いつ、誰の味方に付くか、いつ裏切るか、あるいは捨てるか。信玄が存命中の俺は子犬のように信玄に媚びていた。「信玄公、ご上洛の折には、この織田上総之介信長めが御馬の轡をとらせていただき、都をご案内する所存にございます」とか手紙を書いて、季節ごとの贈り物も欠かさなかった。他の戦国大名共の五割り増しには金を使っていたぞ。中身がすごいのは言うまでもなく、入れ物のパッケージも、他の大名は業者まかせの段ボールとかだったが、俺は輪島塗の漆器だ。それも、スプレーで二三度噴いておしまいというようなものではない。漆器職人に前の年から注文しておいたもので、数十回塗り重ねたものだ。ある年、俺からのプレゼントが届いた時、信玄は小柄でパッケ...鳴かぬなら信長転生記153『西安近郊兵馬俑の行軍』

  • ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第2話《ダスゲマイネ》

    ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第2話《ダスゲマイネ》国語の試験、準備万端の読みを「じゅんびまんたん」と書いてしまった(;'∀')。それくらい、昨日の学校では落ち着きが無かった。理由は言うまでもない……水道工事のガードマンのニイチャン。悪気がないのは「あ!」って声でも分かっている。でも後ろを歩いていたサラリーマンのオッサンに「お!」と感動されてしまった。誘導灯がスカートにひっかかって派手にスカートが翻り、オッサンに見られてしまったのだ。あたしは「う!」と唸って走るしか無かった。ボロボロのテストで、まくさの「マック寄ろうよ!」も断って真っ直ぐ家に帰った。水道工事が続いているといけないので、いつもの通学路を避け豪徳寺の駅から真っ直ぐみそな銀行の前を通りベスト豪徳寺の前の道に回った。みそなの前を通るときチラ見したら...ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第2話《ダスゲマイネ》

  • やくもあやかし物語2・017『木葉隠れのオーベロン』

    やくもあやかし物語2017『木葉隠れのオーベロン』「少しだけ後ろめたさはあるみたいだ……」森の中の獣道を進んで行くと、ネルが呟いた。「後ろめたい?誰が?」「あ、遠くから結界張って見送りに来たやつらか!?」「そんなこと言うもんじゃないよ、ハイジ」「ティターニアだよ」「あ」「ああん、森の女親分か?」「獣道とはいえ、ゲームじゃないんだから、こんなに歩きやすい道があるはずがない」「え、そうなの?」「かすかに妖力も感じる、ティターニアか、その仲間が作っておいたんだ……そうだろ、オーベロン?」ヒッ小さくしゃっくりしたような声がしたかと思うと、薮の向こう、木の根元あたりがホワっと光った。「隠れても無駄だ!見えてるぞ、オーベロン!」シュバ「「うわ」」気が付かなかったのでハイジと二人で驚いてしまった。木の葉が舞いあがって…...やくもあやかし物語2・017『木葉隠れのオーベロン』

  • ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第1話《佐倉さくらの事情》

    ここは世田谷豪徳寺(三訂版)第1話《佐倉さくらの事情》五十メートル手前の十字路のところに『車両通行止め』の看板とオジサンのガードマンが立っている。『車両通行止め』ということは自転車とか歩行者は通っていいんだ。迂回するのは面倒だし、期末テストの初日だし。それで、いつもの通り十字路を左折すると、四メートル幅の生活道路の半分を塞いで水道工事をやっている。五十メートル向こうに工事現場。で、あたしは視線を感じてしまったのだ。工事現場に立っている若者ガードマンの視線。明らかにルーキーで、誘導のタイミングを計ってあたしの方をチラチラ見ている。これがベテランのオジサンガードマンだったら、程よい距離まで視線なんか送ってこない。四五メートルの距離で、少しだけニッコリして赤いプラスチックの誘導灯を揺らし、あたしは、ほんの少し頭...ここは世田谷豪徳寺(三訂版):第1話《佐倉さくらの事情》

  • 巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・063『今朝の寿川は微妙に荒れている』

    巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記063『今朝の寿川は微妙に荒れている』家を出て一分ほどで橋を渡る。コンクリート製で欄干の親柱に『戻り橋』と彫られている。ちなみに、最寄りの橋は『寿橋』で、家からは30秒。なんで、わざわざ遠い『戻り橋』を通るのかというと、わたしは毎日半世紀以上の時を遡って1970年の宮之森高校に通っているからだ。そのいきさつについては、物語の最初の方にあるから気になる人は読んでくれると嬉しいかな。戻り橋は、人の目には見えないんだ。袂のところに『M』のシルシがあって、それを足でツンツンすると橋が現れる。現れても他の人には見えない。「ねえ、他の人にはどう見えるの?」お祖母ちゃんに聞いてみたことがある。「見えないって言っただろ、魔法少女とか魔属性のある者にしか見えない」「そうじゃなくって、渡...巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・063『今朝の寿川は微妙に荒れている』

  • RE・トモコパラドクス・88『カッパドキアの朝日』

    RE・友子パラドクス88『カッパドキアの朝日』いったん撤退せざるを得ない……司教を捕らえるどころか、このままでは自分たちも無事では済まなくなる。――いったん撤収しよう――滝川も思念を飛ばしてきた。――それしかないみたい――――ポチ、ハナ、撤収!――――ラジャー!――ビシャビシャビシャ!申し訳ないとは思いながら、アンデッドと化した住民たちを粉砕しつつ出口を目指す。トラップの大半は無力化されていたが、それでも僅かに生きているものや、刃や針をむき出しにしたまま固着しているものがあって、岩窟を出たときにはボロボロになってしまった。ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ肩で息をして、そして気づいた。「ハナ?」ハナの姿が見えない。「ポチ、ハナはどうした!?」「え……しまった(;'皿')」「待て、今戻ったらおまえもや...RE・トモコパラドクス・88『カッパドキアの朝日』

  • RE・トモコパラドクス・87『混戦!乱戦!』

    RE・友子パラドクス87『混戦!乱戦!』殺すなら簡単だ。相手は動きの鈍いアンデッド、クリーチャーも物の数ではない。友子は富士の樹海や渋谷で大勢の義体を相手に戦った。滝川も引退したとは言え歴戦の義体戦士。千余のアンデッド、多少のクリーチャーなど五分もあれば殲滅できる。しかし、御子の女の子と母親が居る。クリーチャーたちも司教によってメタモルフォーゼさせられているとはいえ町の住人、司教を一人を殺すか無力化できれば元に戻せるだろう。アンデッドたちを人として蘇らせることはできないが、倒せば人の亡骸、身体が爆散したり手足がバラバラになるような倒し方はしたくない。手間はかかるが四肢の関節を外すぐらいしか手が無い。それに広場とは言え、洞窟の中だ、上下の動きは制約される。「ポチ、ハナ、司教が逃げないように纏いつけ!」「「ラ...RE・トモコパラドクス・87『混戦!乱戦!』

  • 銀河太平記・191『ロールケーキのチョコクリーム』

    銀河太平記・191『ロールケーキのチョコクリーム』胡蝶ツナカン:「もー、飯食ってる最中に呼び出さないで欲しいっす!」むくれながらオカモチをぶら下げてきたのは副長のツナカンだった。アルルカン:「おお、ツナカン、オカモチとはしぶいぞ。てっきりウーバーイーツ風に背負ってくると思ってたぞ」ツナカン:「なに言ってんすか、カサギを引き上げる時に『いいものメッケ(^▽^)!』って喜んで、以降は艦内の配達に使おうって言いだしたのは船長っすよ。はい、ケーキセット五つ」ココロ:「あら、一つ多いですよ?」ツナカン:「自分のっす、むろん船長のツケっす」アルルカン:「抜け目のない奴だ」ツナカン:「仕事熱心だからっす、周温来殿と内親王殿下をお引き受けするわけっすから、こういう機会に仲良くって思うわけっすよ」アルルカン:「なんかサボリ...銀河太平記・191『ロールケーキのチョコクリーム』

  • RE・トモコパラドクス・86『司教の秘密』

    RE・友子パラドクス86『司教の秘密』念のためにバリアを張って広場に向かう。ポチとハナには「離れるんじゃないよ」と念を押し、二人で一つのバリアに包まれている。奥の岩の広場では、大勢のT町の住人が亡くなっていた。遺体のそばにはいろんな杯が転がっている。そうだ……ここは聖杯の広間なんだ。――聖遺物……によって神はその御業を示され……光が満ちるであろう――聖骸布の切れはしからは聖遺物の言葉が読み取れたが、それが何を指すのかまでは読み取れなかった。だいたい、聖骸布そのものも聖遺物――光が満ちる――も比喩に過ぎて何を指すのかは分からなかった。千に余る聖杯が並んでいたのだろう。その中に本物はただ一つ。他の聖杯はフェイクで、それに満たされた水を飲んだものは……ことごとく血反吐を吐いて死んでいたのだ。「お、お前達は天使か...RE・トモコパラドクス・86『司教の秘密』

  • RE・かの世界この世界:216『イザナミは神々と交渉に、我々は任務分担した』

    RE・かの世界この世界216『イザナミは神々と交渉に、我々は任務分担した』テル頼んでみます!涙でグチャグチャになった顔を上げてイザナミさんが言い放った。イザナミ:「幽世と現世は裏と表です。裏あってこその表、表あってこその裏です。黄泉の国の神々に頼んでみます。黄泉の国が黒々と影をなしておられるのは一筋一点の日の光も漏らさぬほどに堅牢な現世があってこそ。そのためには、いま一度戻って夫とともに励まなければなりませんと。少し時間がかかるかもしれませんが、イザナギさん、それまで、ここにいるみなさんと一緒に、どうぞお待ちください!」イザナギ:「イザナミ!」ハッシと抱き合う二人。ジュッ!焼けたアイロンに水を垂らしたような湯気が立って、いっしゅんのけ反ってしまう。イザナギ:「もう、こんなに体温にも開きが出てしまったんだね...RE・かの世界この世界:216『イザナミは神々と交渉に、我々は任務分担した』

  • RE・トモコパラドクス・85『再びカッパドキアに』

    RE・友子パラドクス85『再びカッパドキアに』ポチとハナは昨日テレポした最初の渓谷に居た。それも、マイクとミリーの姿では無く、日本にいる時の姿。それも、少し歳をとっている様子だ。ポチは中学生ぐらい、ハナは小学6年生ぐらいの姿で、抱き合って寝ている。「寝たままここに来たんだな」「でも、なんで姿が……」「ここを捜索しているうちに活性化してしまったんだ」「目を覚ましたらビックリするでしょうね」「ああ、服のサイズも合わないだろうし……犬に戻してやろう」「どうやって?」「ハナの頭に手をやってイメージしてやるんだ」「うん」滝川の真似をしてやってみると、数十秒で二人は犬の姿に戻った。犬としても成長が進んでいて、四カ月だったハナは二回りも大きくなってポチとそう変わらない大きさになっていた。『おまえ、急に大きくなったなぁ』...RE・トモコパラドクス・85『再びカッパドキアに』

  • RE・トモコパラドクス・84『ドッコイショ』

    RE・友子パラドクス84『ドッコイショ』もう一度T町にテレポする。テレポの瞬間、小さく「ドッコイショ」と掛け声が出てしまう。そして……発見した。二人のミイラ化した遺体だった。肉屋の冷凍庫に入れられていたので、空気中の臭い粒子はごく微量で、しかも拡散していたので、発見に時間がかかった。「ひどい……まだ十代の女の子よ」「勘が鋭いというだけで殺されたんだな、居場所を感知させないためだけに。奴も焦っているんだろう。ここに隠すまでに迷っている。だから臭いの粒子が飛び散ったんだ」「また、カッパドキア……」「少し休もう、力を使いすぎてる」「でも、ほとんど追い詰めてる気がする。時間を置くと、司教も対策を立ててくる」「奴も、それほどの力は残っていないと思う。聖骸布が完全ならともかく、トモちゃんに尻尾を掴まれているんだからな...RE・トモコパラドクス・84『ドッコイショ』

  • くノ一その一今のうち・85『桔梗のプランB』

    くノ一その一今のうち85『桔梗のプランB』桔梗中忍は戦略的な判断はしない。戦略とは、攻めるか攻めないかという大局的な判断。これは上忍の仕事、いや責任。中忍は、その決定に従って具体的な戦術を決める。日本最大の忍者組織である徳川物産においては、この中忍の仕事は服部半三と、総務二課秘書のわたし(桔梗)と樟葉が当たっている。いつ、どのように、どんな規模で攻めるかを決めて下忍に命じ、時に、その先に立って戦いの指揮を執る。これが戦術。下忍は集団として、時には個人として登録されていて、任務に応じて指名され戦闘や諜報の任にあたる。本社直属の下忍集団も今年から発足した。百地芸能事務所。この春まで、百地は独立した忍者集団だったが、社長同士の話し合いで、神田の事務所を引き払って、丸の内の本社ビルに移転してきた。その下忍たちの中...くノ一その一今のうち・85『桔梗のプランB』

  • RE・トモコパラドクス・83『絶崖の聖杯・1』

    RE・友子パラドクス83『絶崖の聖杯・1』かすかに気配が残っている、T町三千人のテレポの形跡が……。人間の中には、超能力と言うほどではないが、例えば、道を歩いていて――向こうから誰かがやって来る――程度の勘の働く者が1/1000ほどの確率で存在する。その二三人の思念が、テレポさせられた先を暗示していた。T町からははるか東方、地球の裏側、トルコのカッパドキアの一点を意識の最後に残していたのだ。他の人間は、どこに行くのかも分からずに、なにが起こったのかも分からないままテレポさせられていた。むろん、それもゲームのバックログを読むようなわけにはいかない。滝川と友子の電脳、それにポチとハナ二人の能力をシンクロさせて、ようやくのことだった。「ちょっと、きつかったみたいだな……」ポチとハナは、手をつないだままベッドの上...RE・トモコパラドクス・83『絶崖の聖杯・1』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 152『敦煌の災厄を切り抜けられたわけ』

    鳴かぬなら信長転生記152『敦煌の災厄を切り抜けられたわけ』信長猪八戒:「やっぱ、そっちが似合ってるブヒ」孫悟空:「おまえも、ずいぶん板についてきたぞウキ」沙悟浄:「敦煌で休んだのは正解だッパ」俺たちは敦煌を後にして東に進んでいる。NPCの三蔵法師もアップデートが進んで、馬に乗りながらお経唱えるようになって、ますますそれらしくなってきた。沙悟浄:「しかし、あの仏の化物どもをどうやってやっつけたんだッパ?宿に戻って来るなり『ただちに出発だ!』と言われて、慌ただしく出発したきりだ。そろそろ話してくれてもいいッパ」孫悟空:「そうだな、そろそろ話してもいいだろ、ウキ……」実は、あの場を切り抜けたのは俺が活躍したからではない。あれは、一言主の働きによるものなのだ。一言主:『諸君!』指輪サイズとは思えない声に腰を浮か...鳴かぬなら信長転生記152『敦煌の災厄を切り抜けられたわけ』

  • RE・トモコパラドクス・82『S市Bブロックから』

    RE・友子パラドクス82『S市Bブロックから』Bブロックとは、名前の通りB級の住宅街だった。50坪ほどの敷地に、30坪ほどの似たような住宅が並び、半分近くが長引く不況で売りに出されていた。遠目には閑静な住宅街だったが、中に入ってみれば、荒廃しかけたアメリカそのものだった。「「あの家!」」ミリー(ハナ)とマイク(ポチ)が指差す通りにケント(滝川)は勢いよくハンドルを回した。その家には生活感があった。庭の芝生は伸び放題だが通りから玄関までは踏みしだかれて日常的に人の出入りがあることが知れる。アプローチや玄関前には枯れ葉やゴミが散見され、ここの住人が、あまり、ここでの生活に熱意がないことが伺われた。「中に人は居ないな」「でも、ついさっきまで居た気配がするわ」「「ワケあり……」」かけられた鍵を難なく開けて、四人は...RE・トモコパラドクス・82『S市Bブロックから』

  • やくもあやかし物語2・016『森へ!』

    やくもあやかし物語2016『森へ!』お…………大きい。道が曲がって森が見えてくると、すこしビビってしまう。いつもより森が大きく見える。分かってる。これまでは外から見るだけだったけど、これから中に入るんだ。それも、デラシネをやっつけるため……少なくともワルサをさせないくらいに話をつけなくちゃいけない。露天風呂で出くわしたデラシネは生徒と間違えるくらいに普通の女の子なんだけど、キレると猿だ。白目が無くなって黒目だけになって、尻尾が出てきて、牙も爪も伸びてくる。シャーーって牙向いて跳びかかられた時は怖くて目をつぶってしまった。あの瞬間、鬼の手が現れて振り払ったから無事だったけど、次もうまくいくとは限らない。少しばかりは有った自信がしぼんでいく…………大きな森がさらに大きくなって、とてつもなく巨大な怪物のよう。ポ...やくもあやかし物語2・016『森へ!』

  • RE・トモコパラドクス・81『S市司教の秘密・2』

    RE・友子パラドクス81『S市司教の秘密・2』司教は涙を流していた……わがことのように。本来なら州都の大教会と司教館に収まっているはずの司教なのだが、州内各地の教会・教区を応援するために、一年の半分以上を費やしている。今年は、すでに三か月以上もS市に留まってS市と、その周辺を精力的に周っている。レストランから司祭館に移動しても、教会や司祭館の中には入らず、玄関前の階段に記者たちを上げ、自分は階段の下で助祭一人を控えさせただけで「この方が話が通りやすいですから」と、実に腰が低い。「海を越えたドイツとはいえ、わたしと同じ司教が、このようなことをしたとは信じられません」「現時点での、司教としてのお言葉が伺いたいのですが?」記者の質問には、こう答えた。「このドイツの司教の話は、まだ、みなさんたちからの情報しかあり...RE・トモコパラドクス・81『S市司教の秘密・2』

  • 巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・062『油断したロコ』

    巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記062『油断したロコ』ちょっと油断してました……自習時間の図書室、広げた新聞のバックナンバーに首を落とすロコ。「……どうしたのよ?」「『あしたのジョー』と『巨人の星』をずっと読んでいて……ちょっと新聞はご無沙汰だったんです」1970年にもだいぶ馴染んだわたしだけど、リアルなカルチャーにはあまり触れられてない。家に帰ったら2023年だからテレビとか見ないし。ネットで調べりゃテーマ曲ぐらいは動画で観られるけど、さすがに『あしたのジョー』とか『巨人の星』はネトフリでもAmazonプライムでもやってないよ。いや、たとえやっていても、半期で60本も新作アニメが発表される二十一世紀、アニメ評論家でもリアルタイムで全作品は観てないと思う。わたしが家で観てるのは『葬送のフリーレン』と...巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・062『油断したロコ』

  • RE・トモコパラドクス・80『S市司教の秘密・1』

    RE・友子パラドクス80『S市司教の秘密・1』ドイツの司教が贅沢三昧で非難されている。S市に向かう車の中で、そのニュースを聞いた。自分の住居に何十億円も使い、インドの貧民街視察のための飛行機にファーストクラスを使うなど、司教にあらざる振る舞いにバチカンは対応に追われているという内容だった。東京の法王庁大使館では、大使はじめ秘書の司祭や受付の平信徒の女性に至るまで、穏やかで真摯な人たちばかりだったので、とても意外に思う友子である。「中世ヨーロッパじゃあるまいし、こんなのが今時いるんだな……」ジャック(滝川)は、S市へのルート66を走りながら呟いた。「……あ、他の放送局でも同じことを言ってるよ」マイク(ポチ)がチューナーを回しながら呟く。ミリーは後部座席で寝ている。本性は、やっと生後四か月の子犬なので、ポチの...RE・トモコパラドクス・80『S市司教の秘密・1』

  • 銀河太平記・190『ヒンメル左舷プロムナードデッキ』

    銀河太平記・190『ヒンメル左舷プロムナードデッキ』胡蝶全長1200メートル基準排水量600万トンこれが亜光速で飛ぶというのだから信じられない。サイズ的には。地球でも大型の客船や貨物船で近いものはあるが、とても亜光速で飛ぶことなどできない。おまけに、戦闘能力は伝説の宇宙戦艦の4倍もあるというから恐れ入る。「まだまだです、容積比で言えば、かの宇宙戦艦の90倍の戦闘力が無いと釣り合いません」「90倍ですか(゚Д゚)!?」素直に内親王殿下は感動しておられる。今日はアルルカン船長自らの案内で、プロムナードデッキを艦尾方向に散歩に出ている。広い艦内なので、それまで動いたのは艦首側からの100メートル余りの区画でしかない。「まるで客船のプロムナードデッキですね!」殿下が疑問に思われるのは無理もない。左舷の舷側を前後に...銀河太平記・190『ヒンメル左舷プロムナードデッキ』

  • RE・トモコパラドクス・79『アメリカA郡T町・2』

    RE・友子パラドクス79『アメリカA郡T町・2』『ママ~お湯が出ないよ~』スマホででキャンピングカーレースの途中経過やら明日の天気予報やらを確認していると、シャワーに苦情を言うミリーの声。「あなた、お湯が出ないって」「こんな田舎のモーテルだ。もう少し流してごらん」『だって、もう三分も流してるよ~』「しかたないなあ……」グシャ「うわ!」潰れそうな音をさせてケントが腰を上げると、カウチの端でスマホゲームをやっていたマイクがひっくりかえりそうになって声を上げる。「あ、すまん」「キャ、黙って入ってこないでよ!」ミリーは慌てて胸を隠して父に抗議した。「呼んだのはミリーだろ。で、隠すんならバスタオルにしな。丘の上しか隠せてないぞ」ミリーは慌ててバスタオルを身にまとい、バスから出た。やっとエレメンタリースクールに入った...RE・トモコパラドクス・79『アメリカA郡T町・2』

  • RE・かの世界この世界:215『イザナミと黄泉戸喫』

    RE・かの世界この世界215『イザナミと黄泉戸喫』テル燃え盛る死者への手紙、その炎の照り返しを受けながら考えた。この先の展開はどうなっていただろ?オノコロジマで火の神を生んで、それにイザナミさんは焼き殺されてしまった。もし、火の神を生むことが分かっていたら、ありったけの鍋やら甕やらバケツやらに水を溜めておいて、生まれると同時にぶっかける!いや、ぬるま湯のプールを作って、そこで出産してもらう!日本の神話なんて学校で習わないから、ぜんぜん分からなかった。アニメやラノベで知っている断片だけ。その断片も、黄泉の国への旅が進むにつれて、どんどん忘れてきている。たしか……イザナギノミコトは一人で黄泉の国へ行くんだ。そこで大変な苦労をするんだ……命からがら黄泉の国を脱出するイメージが浮かぶ。そうだ、無事に送り届けるだけ...RE・かの世界この世界:215『イザナミと黄泉戸喫』

  • RE・トモコパラドクス・78『アメリカA郡T町・1』

    RE・友子パラドクス78『アメリカA郡T町・1』滝川のネットワークと推理でターゲットが絞り込めた。かなりの人数がマインドコントロールされ、教祖的な存在、もしくは身内に重篤な病気を抱えた者。その中でも、表だった活動が認められないものを絞り込んだ。世界的規模の捜索だったが、思いのほか早い。引退したとはいえ、かなりのネットワークがあるようだ。活動が活発なところは、ゲリラ組織、名前の通ったカルト集団ばかりであった。滝川は考えた。おそらく日常に溶け込んで、教祖の姿さえはっきりしない。そんなところが本拠地であると。アメリカの中西部K州の丘の町、A郡T町が、そうであった。靖国神社を放火しようとした犯人は、数か月前にアメリカへの渡航歴があり、その時アメリカでマインドコントロールされ、指令が与えられたようたようである。指令...RE・トモコパラドクス・78『アメリカA郡T町・1』

  • くノ一その一今のうち・84『忍者は手足、考えてはいけないのだが』

    くノ一その一今のうち84『忍者は手足、考えてはいけないのだが』そのいちすごい圧だ。ジープで疾走しているのだから、当然風圧はあるけど、風圧なんかじゃない。なにか、とんでもない事態が起こりそうな、歴史の歯車が大きく動き出しそうな、そんな圧だ。アデリヤ王女とサマル王子を引き連れて、A国に潜入している桔梗さんとミッヒのところに行けば道は開ける。高原の国とB国の王子と王女が先頭に立って、どんなカタチであるかは分からないけど、A国の国王と政府に迫れば切り開ける道がある。ここから先は中忍である桔梗とミッヒの仕事、あるいは指令に従えば良いと思っていた。それでは済まない、そんな圧を全身に感じる。忍者は手足、考えてはいけない。まして、わたしは下忍だ。下忍は、手足ですらない、指一本、いや、指の先かもしれない。いざという時には、...くノ一その一今のうち・84『忍者は手足、考えてはいけないのだが』

  • RE・トモコパラドクス・77『聖骸布の謎・2』

    RE・友子パラドクス77『聖骸布の謎・2』レプリカながら聖骸布からは、とんでもない情報が読み取れた……。聖杯の存在とその在りか。そして聖杯の在りかにたどり着くまでの方法と能力に関してである。しかしレプリカの悲しさ、分かるのはそこまでであった。聖杯の具体的な在りかはゴルゴダの丘から半径50キロあるいは500キロのどこか。――50、500、どっちだ?――50の横のボヤケたのがシミにも0にも見えてしまう。その程度だ。聖杯の在りかにたどり着くための方法と能力については、友子が直接目にした「空を飛ぶ力」しか分からなかった。聖杯の力については、皆目分かっていない。「仕方がない。なにか動きがあるまでは待つしかないわね」友子と紀香は、そう結論づけた。ゴルゴダの丘の半径五十キロ以内では毎日事件が起こっていた。小はカッパライ...RE・トモコパラドクス・77『聖骸布の謎・2』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 151『豊盃羽沙壽(ほうはいぱさじゅ)の秋』

    鳴かぬなら信長転生記151『豊盃羽沙壽(ほうはいぱさじゅ)の秋』孫権春物がショ-ウィンドウに並び始めたと思ったら、もう秋物のクリアランスセールだ。こないだまで開けていたアーケードの天井もふたを閉め、お店によっては暖房を入れ始めた。豊盃羽沙壽(ほうはいぱさじゅ)は、この半年で豊盃の人気スポットになった。パサージュ全体の売り上げは半年で八割増し。コウちゃん(孫策妃大橋)の『グランポットアンティケール』は筋向いの書店を吸収して倍の規模になった。書店も善戦していたんだけど、パサージュの中央十字路(パサージュの一等地)の店舗としては見劣りがした。日に二回行われるイベントの時間には書店は空になった。喫茶店、飲茶、アンティケールの三店は、イベントの時間でも店内は一杯。書店の前は見物客で溢れるが、書店は空になることが多く...鳴かぬなら信長転生記151『豊盃羽沙壽(ほうはいぱさじゅ)の秋』

  • RE・トモコパラドクス・75『ローマ法王庁大使館』

    RE・友子パラドクス76『聖骸布の謎・1』「靖国神社では、大変な目に遭ったね」理事長先生がねぎらってくれる。「いいえ、おかげで放火も未然に防げましたし、紀香も生まれて初めて入院体験できましたし」「白井さん、ほんとうに軽い怪我で済んでなによりだ」「ハハ、バカは怪我の治りも早いんです」元来義体である。ナノリペアであっと言う間に治せるのだが、切られたところを大勢の人に見られているので、人間より少しだけ早い三倍の回復力で治した。病院には「お医者様のお陰です」と持ち上げ、その医者は、医学雑誌から取材を受け、臨床医としては珍しく学会で紀香の治療について発表することになっている。「警察と消防署と靖国神社から表彰されることになりそうだよ、他のみんなもね。でも鈴木さん、よく男が放火しそうだということが分かったね。一番遠くに...RE・トモコパラドクス・75『ローマ法王庁大使館』

  • やくもあやかし物語2・015『六条御息所とネル』

    やくもあやかし物語2015『六条御息所とネル』日本に居る時、いちばん付き合いが長かった妖はチカコだった。でも、チカコは皇女和宮さんの分身で、漢字で書くと親子。最後は、ずっと親子のことを心配していた家茂さんが百何十年かぶりで迎えに来て幸せになって海の向こうに行ってしまった。だからね、やっと幸せになったチカコに期待しちゃいけない。交換手さんは『鬼の手が送れましたから、ひとり味方がそちらに行きます』て言っていた。だからね、王女さまのところから戻って、机の上の後姿を見た時は、不覚にも声に出てしまった。チカコ!?「だれがチカコだってぇ?」振り向いた顔を見て思わず叫んでしまった。「ギョエ!」「ギョエはないだろ、ギョエはぁ!?」同じ1/12サイズのロン毛だから見誤ってしまった。六条御息所ぉ……(^_^;)「えと……神保...やくもあやかし物語2・015『六条御息所とネル』

  • RE・トモコパラドクス・75『ローマ法王庁大使館』

    RE・友子パラドクス75『ローマ法王庁大使館』「あの……お手洗い、行っていいですか!?」ハンカチで口を押えながらの一言は、警備員、警官、そして早くも湧き出したマスコミの人垣を抜けるのに十分だった。友子はトイレの中で分身を合成、靖国神社は分身に任せる。友子は直ぐテレポした。分身を合成した上のテレポなので長距離は無理だが、直線距離で一キロに満たないローマ法王庁大使館の前までなのでなんとかなった。場所柄に相応しくシスターのナリに変身している。しまった、遅かったか!?西麻布の大使館から、神父のナリをした男たち三人が駆け出してくると、揃ってジャンプして空に飛び始めた。え?サーチすると彼らは義体でもなくエスパーでもない、義体化率ゼロの普通の人間である。人間がなぜ飛べる!?手に四メートルほどの小汚い布を三人で持ち、空に...RE・トモコパラドクス・75『ローマ法王庁大使館』

  • 巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・061『新車と灯台・2』

    巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記061『新車と灯台・2』プップー!灯台の敷地に入ると同時にクラクションを鳴らす直美さん。ズシハンドルをきって、男性的にZを停車させると、灯台横の建物から作業服の男の人が出てきた。「あ、とうとう買ったんだ(゚д゚)!」作業服が目を丸くし、直美さんが出ていくと二人で笑い出した。アハハハハハ「うん、写真屋って、どこかで夢見てないといい写真撮れないからね」他の人が言ったらぜったいキザか浪費家の言い訳になるんようなセリフをあっさり言う。「いやあ、雑誌でしか見なかったけど、実物はいいなあ、うん、断然いい!」「あ、この子助手の時司巡、こっち、灯台守の平賀勲」「初めまして、時司巡です」「平賀です、へえ、うちの恵といっしょだ」あ、間違えられてる。よくあるんだ「巡」って「恵」とよく間違わ...巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・061『新車と灯台・2』

  • RE・トモコパラドクス・74『九段北3−1周辺』

    RE・友子パラドクス74『九段北3−1周辺』親指の欠損は大したことではない、五分ほどで再生ができる。事実、教室に戻って着替えるころには親指は元に戻っていた。問題は、幻想の中で負傷したことが、そのままリアルの自分にも反映されてしまったということだ。これは、もし夢や幻想の中で殺されたらリアルの自分も命を失う……?――お母さん――紀香に相談しようと渡り廊下を歩いていると栞の思念が飛び込んできた。――あ、やっぱり栞だったんだ!――やっぱり、あのノイズまみれの通信は栞だった。渡り廊下の窓に寄ってスマホのふりをして通信を続けた。――やっと通じた……直接そっちに行くことはできなくなった、敵もわたしも――「なにかあった?」――こっちの戦闘で時空管理局のメインシステムが破壊されて、敵もこちらも行けなくなってしまったの。なん...RE・トモコパラドクス・74『九段北3−1周辺』

  • RE・トモコパラドクス・73『彼岸花の季節・3』

    RE・友子パラドクス73『彼岸花の季節・3』ビリビリ口に咥えた手拭いに左手を添えて引き裂き、右親指の第二関節の下で縛るがうまくいかない。「友子……」「うん、親指吹き飛ばされた……」「……巻いてあげる」数秒見ているだけだった麻子がプルっと首を振ってから縛ってくれた。麻子は腕に停まった蚊も叩けない子だったけど、ちょっと強くなった。みるみるうちに手拭いは血に染まったが、手を肩の高さに持っていくと、血が滴り落ちることは無くなった。「高山曹長殿、中隊は無事でありましょうか?」兵の一人が聞いた。友子は思った。この人は自分たちが無事であったことが後ろめたくて聞いているんだ。「気にするな、ただの運だ。中隊の敢闘のお陰で、我々は無事に来られたんだ。自分たちの命を大切にすることを考えろ」「先生、このガマには水が湧いています!...RE・トモコパラドクス・73『彼岸花の季節・3』

  • 銀河太平記・189『火星周回軌道上のホロ通信』

    銀河太平記・189『火星周回軌道上のホロ通信』胡蝶ヒンメルのブリッジは広い。教室四つ分ぐらいの広さがあって、後半分に向かって緩いスロープになって、その高いところに艦長席がある。20世紀末から21世紀にかけてブームになった宇宙戦艦アニメのブリッジを参考にしたらしいが、広さも豪華さも、その上をいっている。「あ、すまん、調整がまだ済んでいないんだ。そこのシートに座って……あ、殿下もご一緒で!?早くしろツナカン!」「船長、相手は征夷大将軍っす。ホロステージは上段中央しかないっすよ」「しかし、わたしも立場は国家元首級なんだぞ」「いや、だから艦長席をズラして中央に……」「それでは艦長の威厳がだな……」「船長っす」「それは身内の通称で、正式立場的には……」ツナカンは無視して殿……ココロにふった。「殿下ぁ」「はい、なんで...銀河太平記・189『火星周回軌道上のホロ通信』

  • RE・トモコパラドクス・72『彼岸花の季節・2』

    RE・友子パラドクス72『彼岸花の季節・2』けっきょく、南と南西で運命の分かれてしまった。南に向かった中隊八十余名は、直ぐに敵に発見され、猛烈な十字砲火を浴びることになり、無事にガマにたどり着けたのは五十名に達しなかった。中隊長は、それでもすぐにガマの別の出口を発見し、かろうじて人一人が通り抜けられる出口から半数の兵が抜け出し、散開するところまでは無事だった。ガマに残っていた兵達が派手に撃って、敵の注意を引き付けてくれたのである。ある上等兵などは、ガマの入り口付近に隠れ、火炎放射器を持った米兵が至近距離まで来たところで、背中のガソリンタンクを撃ち、三名の米兵を火だるまにした。上等兵は鉄鉢(ヘルメット)と、死んだ戦友の小銃を残し欺瞞とし、さらに前進。大胆にも、米兵が散開しているど真ん中で、手榴弾を四発疾走し...RE・トモコパラドクス・72『彼岸花の季節・2』

  • RE・かの世界この世界:214『黄泉比良坂に到着』

    RE・かの世界この世界214『黄泉比良坂に到着』テル中海を右に見ながら山陰線に沿って西に進む。「こっちだよ」ヨネコが指差したのは、山陰線を南に跨ぐ踏切だった。踏切を跨ぐと舗装道路は尽き、お伽話に出てくるような地道になって山に呑み込まれている。ヒルデ:「車はここまでだな」イサナギ:「ありがとう、雪舟ねずみくんは、ここで待っていてください」雪舟ねずみ:「車なら心配しないでください……えい」雪舟ねずみが指を回すと車は水墨画の絵になってしまい、一同は車中に居た時と同じ順番で道に立っていた。タングニョースト:「ほう、便利なものだな」ヒルデ:「ちょっと羨ましい」あっちの異世界では二号戦車や四号戦車に乗っていて、メンテナンスや駐車には神経をつかったものだ。桃太郎二号:「帰りはリムジンバスとかにならねえのか?」雪舟ねずみ...RE・かの世界この世界:214『黄泉比良坂に到着』

  • RE・トモコパラドクス・71『彼岸花の季節・1』

    RE・友子パラドクス71『彼岸花の季節・1』三十年前、友子が生む娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来。そこから来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に適応する「え、姉ちゃんが、オレの娘!?」そう、友子は十六歳。女高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!娘である栞との決着もすみ、久々に女子高生として、マッタリ過ごすはずであった……今日はオープンスクールを控え午後からは大掃除だ。うわあ…………友子のクラスは、ちょっと奥まった西側斜面のゴミ拾いである。ジャージ姿でフェンスの外に出ると思わず声が出てしまった。斜面には一...RE・トモコパラドクス・71『彼岸花の季節・1』

  • くノ一その一今のうち・83『えいちゃんの不幸とそのいちの企み』

    くノ一その一今のうち83『えいちゃんの不幸とそのいちの企み』そのいち風に飛ばされてしまいましたぁ(;゚Д゚)窓枠から解放してやったえいちゃんは、シワクチャになった全身の口のところだけ手で伸ばして説明した。「あっという間に舞い上げられて、なんとか風を拾いながらここまで……」「B国の城には戻れなかったの?」「はい、風が一方通行で……」「今の季節は高原から吹き下ろす南風だから、こっちに来るしか手が無いだろうが、何者なんだこれは?」アデリヤはえいちゃんとは初対面だ。「実はね……」アハハハハえいちゃんのあれこれを説明してやると、アデリヤは初めて年相応の少女の顔になって笑った。「そんな面白いことがあるのか、さすがはアニメ大国日本だなぁ」「ちょっと皴を伸ばしてあげるね……忍法スチームアイロン!」プシュー手のひらをアイロ...くノ一その一今のうち・83『えいちゃんの不幸とそのいちの企み』

  • RE・トモコパラドクス・70『お座りのさせ方と台風』

    RE・友子パラドクス70『お座りのさせ方と台風』ボールを目より少し高いところへ持っていってやる。たったこれだけ。たったこれだけのことで、ハナはボールを目で追って首が上がり、お座りの姿勢になった。で、すかさず「お座り!」という。あとはイイコイイコをしてやると、ハナは昨日一日でお座りを覚えてしまった。滝川に教えてもらった方法、こんな簡単にいくとは思わなかった。さすがは歴戦の義体戦士だ。それに示唆的でもあった。単にハナの躾だけではなく、これからの友子の生き方も教えられたような気がした。それは、まだ閃きに過ぎなかったが、「ハ、あたしって犬並みか!?」思わず声が漏れて、ハナが「ワン!」と言って喜んだ。台風が接近している。中部・東海地方では、突風による被害も出ていた。建築中の家や、うっかり小窓を締め忘れた倉庫などが屋...RE・トモコパラドクス・70『お座りのさせ方と台風』

  • 鳴かぬなら 信長転生記 150『信長版西遊記・敦煌・4・仏どもに取り囲まれる!』

    鳴かぬなら信長転生記150『信長版西遊記・敦煌・4・仏どもに取り囲まれる!』信長釈迦:「もう少しここに居てくれぬか、三蔵法師」図体のデカさから、ゴジラのような声かと思ったら、釈迦は意外にきれいなバリトンだ。釈迦:「ああ、よく言われるよ」三蔵(信長):「あ、まだ口にしておりませんが」釈迦:「寝そべってはいるけど、一応は釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)だからね、思ってくれただけで分かるんだ」三蔵(信長):「それは、有難くも尊いことであります」しおらしく合掌しておく。釈迦:「それに……きみの本性が織田信長だっていうことも知ってるよ」ヒソヒソと、俺にだけ聞こえるように言いやがる。信長:「知っているのか……」釈迦:「三千世界に結縁(けちえん)しているからね、ま、インターネットで繋がってるようなものなんだ」信長:「信長と...鳴かぬなら信長転生記150『信長版西遊記・敦煌・4・仏どもに取り囲まれる!』

  • RE・トモコパラドクス・69『連休 ハナといっしょに』

    RE・友子パラドクス69『連休ハナといっしょに』一郎は、ペットホテルに預ければいいじゃないかと言った。一郎の上司が行く予定にしていた北海道旅行が仕事の都合で行けなくなってお鉢が回ってきたのである。でも、ハルは家に来て、やっと一週間。そして、まだ生後五十日の赤ちゃんである。とても三日も手放して、旅行なんかできない。ということで、この三連休はハナと二人で家で過ごすことにした友子である。躾けなきゃいけないことがいっぱいあるし、なによりハナの主人は自分であると思わせなければならない。ハナは、賢い子で、トイレは二回失敗したあと、すぐに覚えた。大きい方は散歩の途中でと、表にに連れだし、ものの百メートルも歩かせるともよおしてきたようで、道路の真ん中でうずくまった。直ぐに道路の端に連れて行き、ウンチ袋を手に待ちかまえた。...RE・トモコパラドクス・69『連休ハナといっしょに』

  • やくもあやかし物語2・014『交換手さんの電話と王女さまの呼び出し』

    やくもあやかし物語2014『交換手さんの電話と王女さまの呼び出し』明日は日曜でお休み。前の晩はハイジたち気の合う仲間同士で遅くまでお喋りしてグッスリ。だったのに、夜中にふと目が覚めた。うっすら開けた目の端がほのかに明るい。チロリと目を動かすと、机の上の黒電話がうっすらと光ってる。ほら、RPGのゲームやってると、キーアイテムとかが光ってる、あんな感じ。よく見ると、光り方には強弱があってホタルみたい。ん…………このテンポは……電話が鳴る時の間隔。マナーモード?相棒のネルは口を半開きにして寝息を立てている。ひっそり起きると、膝立ちして受話器をとった。――あ、やっと通じたぁ!――それは、懐かしい交換手さんの声だった。あくる朝、ダイニングでトレーを持ってカウンターに並ぶ。わたしの前が食いしん坊のハイジ、後がまだ目の...やくもあやかし物語2・014『交換手さんの電話と王女さまの呼び出し』

  • RE・トモコパラドクス・68『シオリクライシス・終焉』

    RE・友子パラドクス68『シオリクライシス・終焉』空はまだまだ綿雲だけれど、綿雲の隙を突いて吹く風は微かに川面をさざ波だたせ、土手にはチラホラと曼殊沙華。秋は、もうすぐそこまでやってきている。ハナは、そんな季節の移ろいをものともせずに、ポチはその保護者のつもりで、ハナの側を離れず、二匹仲良く河川敷を走り回っている。渋谷の大惨事のあと、学校にいても街を歩いていても気が休まらない。敵は、友子の意思にかかわらずワープさせることが出来る。一昨日は乃木坂に着いたつもりが、渋谷だった。また第五世代の義体は、攻撃してこない限り人間と区別がつかない。さすがにバテて、今日は学校の帰りに現れたカフェ『乃木坂』に入って息をついた。最初、滝川は居なかったが、足許にポチの気配を感じて顔を上げると目の前のシートに座っていた。思わず安...RE・トモコパラドクス・68『シオリクライシス・終焉』

  • 巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・060『新車と灯台・1』

    巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記060『新車と灯台・1』どーーーーよ(ー̀ωー́)!車のCMみたいに直美さんはドヤ顔で手を広げた。ポニテに細身のジーパンもキリリときまり、このまま映画のニューフェイスとかに応募したら写真だけで合格しそう。令和の条件反射でスマホをとり出しそうになるのをグッと堪える。――新しい車が来たよ!――今月のバイト日程の確認で電話したら、子どもが新しいおもちゃを手に入れたみたいに興奮してた(^_^;)それで、バイトの確認も兼ねてお店に行ったら、裏の空き地に連れていかれ、直美さんがキャンペーンガールみたいになって新車を見せびらかしてくださっているところ。「どう、新車だよ!ホンダZって言うんだ、なんか未来からやってきましたって感じでしょ!」「す、すごいです(#゚Д゚#)!」令和のわたし...巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・060『新車と灯台・1』

  • RE・トモコパラドクス・67『シオリクライシス・激突』

    RE・友子パラドクス67『シオリクライシス・激突』三十年前、友子の娘が極東戦争を起こすという説が有力になった未来から来た特殊部隊によって、女子高生の友子は一度殺された。しかしこれに反対する勢力により友子は義体として一命を取り留める。しかし、未来世界の内紛や、資材不足により、完全に義体化できたのは三十年先の現代。やむなく友子は弟一郎の娘として社会に復帰する「え、お姉ちゃんが、オレの娘!?」。そう、友子は十六歳。女高生としてのパラドクスに満ちた生活が再開された!娘である栞との決着もすみ、久々に女子高生として、マッタリ過ごすはずであったが……そのマッタリ生活が破綻。第五世代の義体の攻撃を受けた。乃木坂に着いていつもの階段を上がったら……渋谷の駅前だった。ワープした!?自分でやったわけじゃない…………誰かにワープ...RE・トモコパラドクス・67『シオリクライシス・激突』

  • 銀河太平記・188『ヒンメル貴賓室で殿下の呼び方に悩む』

    銀河太平記・188『ヒンメル貴賓室で殿下の呼び方に悩む』胡蝶全長1200メートル、基準排水量1億トン。いやはや、とんでもない戦艦だ。戦艦である以上、そのキャプテンは提督あるいは艦長と呼ばれるべきなんだろうが、ついさっきまで内親王殿下に付き従っていたアルルカンは船長と呼ばれている。「ウフフ、あいかわらず綺麗で面白い船長さんです(^▽^)」殿下は、まるでクルージングの旅に出たら、乗り組んだ船が修学旅行の時に乗った船で、船長も修学旅行の時のままであったように喜んでおられる。「殿下、ご不自由なことがあれば、なんなりとお申し付けください。船長とも相談してご希望に沿うようにいたします」「では、さっそく」「はい」姿勢を正してハンベを記録モードにする。「記録しなくていいです、一言だけですから」「ハッ」「殿下と呼ぶのは勘弁...銀河太平記・188『ヒンメル貴賓室で殿下の呼び方に悩む』

  • RE・トモコパラドクス・66『シオリクライシス・膠着』

    RE・友子パラドクス66『シオリクライシス・膠着』早くしないと、いい子は売れちゃうよ!友子は子どものように時めいていた。夏休みからこっちの鈴木家は災厄に見舞われてばかりだ。先日、隣家の中野がトチ狂って友子に襲い掛かったのはオマケのコントのようなもので、先月は、一郎の後輩がハニートラップにかかり、危うく社運のかかった新製品の情報を本人の太田ごとC国のメーカーに取られそうになった。新製品は一郎が開発責任者を務めていたので、これが漏れては首が飛ぶどころか、会社が潰れるところだった。先日は友子が第五世代の義体からの攻撃を受け、間一髪のところを紀香の機転で助けられた。一郎も友子も家族には心配を掛けないように明るく振舞っているが、それが一家の主婦である春奈には危うく感じられる――明るさは滅びの徴であろうか――大学の卒...RE・トモコパラドクス・66『シオリクライシス・膠着』

  • RE・かの世界この世界:213『桃太郎二号の早グソ』

    RE・かの世界この世界213『桃太郎二号の早グソ』テルえ、おっきい方だたよね!?十秒足らずで薮から戻ってきた桃太郎二号にヨネコが目を回す。桃太郎二号:「ああ、スッキリしたぞ(^▽^)」ヨネコ:「だって、そんな五月人形みたいな格好して、どうやって……」桃太郎二号:「ああ、袴の又は割れてんだよ、しゃがんで、グイっと寄せたらケツが露出するようにできてる」ヨネコ:「でも、下にパンツとかフンドシとか」桃太郎二号:「鎧用のフンドシ」ヨネコ:「よ、よろい用?」桃太郎二号:「うん、前の方にも紐が付いていてな、それを首の後ろで結んであって、緩めるだけで用が足せるんだ」ヨネコ:「ええ!?」桃太郎二号:「ほら、この紐」背中から紐の先を引っ張り出す桃太郎二号。ヨネコはのけ反るが、ヒルデとタングニョーストが「どれどれぇ」と覗きに行...RE・かの世界この世界:213『桃太郎二号の早グソ』

  • RE・トモコパラドクス・65『シオリクライシス・予兆』

    RE・友子パラドクス65『シオリクライシス・予兆』フワアアアアアアア٩(*´0`*)۶退屈な授業が終わって大あくびすると、隣の麻子の視線を感じた。麻子は乃木坂に転校して最初に声をかけてくれた女子。卵焼きが上手で炭酸飲料が好きな陽気な子で、友子は転入初日で友だちになった。「ハハ、ノドチンコまで見えてるぞ!」「なによ、麻子の視線感じたからァァァ……」アクビと一緒に出た涙を手の甲で拭っている間も、麻子は笑っている。「大あくびのまま人の顔見ない方がいいよ。なけなしの可愛さが台無しだよ」「アフゥ~……そういう麻子も目やにがついてるぞ、あんたも寝てたでしょ?」「えへへ、古文は苦手だし」「……て、机の上、二時間目の社会のまんまだし」「あはは、ほんとだ(^_^;)。じゃ、ちょっと目ぇ覚ましに行こう!」友子の返事も待たずに...RE・トモコパラドクス・65『シオリクライシス・予兆』

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