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2014/10/11

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  • 時と永遠

    波多野精一/岩波書店1943年6月25日初版、1972年8月15日改定初版、1975年5月30日改定第三版。この本は45年ほど前にいつか読んでやろうと購入したもので、本棚の隅にずっと鎮座していた。大学の宗教哲学の教科書でもあった。少し読み始めたこともあったかと思うが、あまりにも哲学的でしかも旧文体、旧仮名遣いで挫折してしまったように思う。ここで突然読み始めたのは他に適当な本が見当たらなかったからである。「時」は人間の生にとって避けることの出来ない絶対的な有限と認識されるものだが、ここに認識論の限界のようなものがある。この限界を宗教(信仰)的展開によって克服し、永遠性を得ることを試みたのが本書の趣旨と言えるだろう。生の一線を画す「死」というものの認識は、宗教をもってしても簡単に説明し切れるものではないが、過去があ...時と永遠

  • 長いお別れ

    RaymondChandler、清水俊二訳/ハヤカワ文庫1976年4月30日初版、2013年4月10日第78刷。ミステリー作品として、よく引き合いに出されるもので、これもいつか読みたいと思っていた一冊である。70年近く前の1953年に発表された長編の作品で、舞台は花のハリウッドである。主人公は独身の私立探偵(フィリップ・マーロウ)だ。この頃「私立探偵」の設定はひとつの流行りであったかもしれないが、日常的な生活の中からサスペンスが湧き出す厭世的リアリズム、この手法が新しい「ミステリー」の先駆け、新しいスタイルの作品だったのかもしれない。言葉のやり取りはいささか古いが、今読んでも十分に面白い。最後の最後、どんでん返しはこの手の作品に付き物だが、最初テリーと出会ったとき、状況説明の中で「整形」が登場したことで、これが...長いお別れ

  • 手仕事の日本

    柳宗悦/講談社学術文庫2015年6月10日初版、2020年10月6日第三刷。これまた以前から気になっていた、読んでみたい本の一冊である。著書の後記は1943年正月となっている。何と80年も昔の話である。一種の「文化論」或いは「芸術論」であろうか。「美」とは何か、という一つの見識でもあると思う。それにしても、日本はこうもあまねく隅から隅まで「紙」の文化であり「織」の文化であり「焼」の文化であったのかと思い知る。そして悲しいことだが、伝統文化であっても流行り廃れがあり、時代の流れに抗して真に「美」を維持し続けることの難しさがあった。「美」を見失い細に過ぎて崩れていくのを見るのは忍びないが、復活もあるのだから捨てたものではない。著者の持論は「有用であり、健康であり、単純である」中にこそ「手仕事」の真の「美」があるとい...手仕事の日本

  • 口語訳・遠野物語

    柳田国男(佐藤誠輔訳)/河出文庫2014年7月20日初版、2021月10月30日第11版。(1992年7月初版の改訂版)何かに付けて登場する柳田国男の「遠野物語」、いつかは読みたいと思っていた一冊である。明治42年(1909年)佐々木鏡石さんから聞いた話し、ということで物語は始まる。明治42年といえば、もう113年も昔の話しである。更に43年前は徳川慶喜によって大政奉還が行われた時代である。「口語訳」が必要な程古い話しなのだが、はたして「都会人を心底からこわがらせ、目ざめさせる」ことができるのだろうか。遠野は花巻から釜石を結ぶ東西「釜石街道」の中ほどにある山深い所である。北に延びるR340もあって、交通の要所でもあったのだろう。「遠野物語」は、とても短い、数行から数十行の「話し」で、119遍が収録されている。い...口語訳・遠野物語

  • 泥濘

    黒川博行/文春文庫2021年6月10日初版。今回は「病院の診療報酬詐欺」、珍しく桑原が持ち込んで来たヤマだ。分厚い。578pもある。何だか得したような気分で読み始めた。桑原は嶋田が代を継いだのを機に二蝶会と復縁、若頭補佐になったらしい。桑原は、診療報酬詐欺の本当の被害額は2億だという。カネの匂いを嗅ぎつけ、起訴猶予された奴(小沼光男、岸上篤、他)から剥ぎ取る気でいるらしい。調べているうちにオレ詐欺という別件が浮かんでくる。診療報酬詐欺同様事件の背後にいるのは警察OBの「警慈会」メンバーだった。普通なら適当な所で切り上げるとかするのだが、イケイケの桑原は意地でも引かない。これはエライことになったと思っていたら、案の定撃たれてしまった。主人公の片方が死んでしまっては話が続かない。しかしかなりの重傷である。まあ、話の...泥濘

  • 雨に殺せば

    黒川博行/角川文庫2018年4月25日初版、2018年8月5日第三版。(2003年11月、創元推理文庫、初版)この作品は先日読んだ「二度のお別れ」の続編ということになっているらしい。黒まめコンビは黒田がいつのまにか黒木になっているが、亀やんは同じ。他、上司も同様の人物配置になっている。黒田が黒木になったのは「あとがき」にその理由が記されているが、決して誤記ではない。読み所は、著者が「あとがき」に記しているように、305p「大阪人のサービス精神あふれる思考形態、ある種下品なユーモア、バイタリティー、少しばかり怠慢志向のキャラクターを愉しんで」と言っている通りなのだが、読んでいて思ったことは「ボケとツッコミ」付の「刑事コロンボ」だった。それと「亀やん」の閃きが気になった。この手の話はどうしても理詰めで展開するのだが...雨に殺せば

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