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2014/10/11

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  • 狐火ノ杜

    ―居眠り磐音(7)―佐伯泰英/文春文庫2019年5月10日初版。今回も「紅葉狩り」「鶴吉の敵討ち」「米沢藩士の苦悩」「不良浪人達との争い」相変わらず付け狙って来る「血覚上人一派」と忙しい。お題の「狐火ノ社」は磐音が何かと世話になっている今津屋の年中行事としてお稲荷さんに参詣する話なのだが、江戸中央から出掛ける「お稲荷さん」には「王子稲荷神社」と「王子稲荷大明神」がある。作品の中ではこの二つが混乱しているようで、荒川鎮撫では「王子稲荷大明神」荒川区東尾久で、話の筋としては「王子稲荷神社」北区岸町のような気もしてくる。区は異なるが、この二つは徒歩で行けるくらいの距離なので、何とも紛らわしい。「王子」といえば、王子~上中里は「浅見光彦」の自宅があるところ。「飛鳥山」「滝野川」「西ヶ原」は度々登場するところである。その...狐火ノ杜

  • 雨降ノ山

    ―居眠り磐音(6)―佐伯泰英/文春文庫2019年5月10日初版。今回も盛沢山。・お兼の悲哀・騙りの安五郎・強請たかりの屋根船・大判詐欺・お艶の辞世等々。261p「人は、だれしも死ぬ。それはこの世に生を受けたときからの理」としてお艶の死を受け止めた吉右衛門の心情が痛々しい。バッサバッサと切り捨てる勧善懲悪の磐音だけれど、こればかりは抗えない。お艶を担いで大山を登る磐音の悔しさが、寄って来る無頼に跳ね返る。藩の再建も遅々として進まず、これからも長い苦節が待ち受けるようだ。雨降ノ山

  • 龍天ノ門

    ―居眠り磐音(5)―佐伯泰英/文春文庫2019年4月10日初版。今回もテンコ盛りです。・おっとり百兵衛五人組押し込み強盗殺人・尾張宮宿の弥平等一行から奈緒を守る・霜夜の鯛造、娘の敵討ち・強欲な医者の末路・道場破り・新たな住人・江戸家老の戒め等々。強盗殺人から人気花魁の奪い合い、裏切りと敵討ち、医者の阿片の悪用、道場破り、政治家(江戸家老)の世間知らず。本当にこれでもかと盛り付けている。時代的な背景の中で、唯一現代的なのが「新しい隣人」かもしれない。現代的というより、この辺の事情は昔から変わらないというのが本当の所。お兼の顛末はシリーズ(6)で迎えるが、未練がましく付きまとい、終いに刃物で刺してみたり、立て籠もってみたり、男の単純さが情けない現代版である。龍天ノ門

  • 雪華ノ里

    ―居眠り磐音(4)―佐伯泰英/文春文庫2019年4月10日初版。今回は、両親を助けるため、自ら身売りした許嫁を探す旅。肥前長崎丸山行に始まり、長門の赤間関、豊前小倉、京都島原、加賀金沢を経て、最終的に江戸吉原に辿り着いた。ここまで、蘭医の中川淳庵、富山の薬売り弥助、鳥追いのおまつ、女衒の鶴吉など、これからも登場しそうな多くの人物に出会いながらの長い旅だった。これらの登場人物は、もしかして、これからの話の展開の布石なのかなと思いながら読み進んだ。百両から始まった身売りだが、吉原では千二百両という法外な値になっていた。極貧の坂崎磐音はこの難局にどう対応するのか。藩の財政改革もこれからだ。鰻割きでは到底間に合いそうにない。だからといって、秘策が飛び出してくる様子も全くないのだが・・・。「おまつ」という人物が「鳥追い」...雪華ノ里

  • 花芒ノ海

    ―居眠り磐音(3)―佐伯泰英/文春文庫2019年3月10日初版。今回は市井の小波が続いた後の大波、関前藩の組織改革が主要なテーマ。藩主の特命で老害家老を何とか退かせることに成功した。その間には、推進派反対派の形勢や、雇われ用心棒との対決がある。かなりダイナミックな展開となった。その後、許嫁の奈緒の行方が知らされる。主人公とは言へ、二つの事を同時に対応することは出来ない。既に人知れず国を出た後だった。この辺の捌きは「藤沢周平」であろう。なかなか読みが止まらない。今まで磐音シリーズ以外に「飛躍」「密命残月無想斬り」「異館/吉原裏同心」「刺客密命斬月剣」「御暇」等ランダムに読んで来たが、こうなるとブレイク作品の「密命シリーズ/26巻」を最初から読まずにはいられない。花芒ノ海

  • 寒雷ノ坂

    ―居眠り磐音(2)―佐伯泰英/文春文庫2019年3月10日初版。普段は市井の中で、アルバイトを掛け持ちし、「なんとかせねば」と思いながら暮らしている主人公とその仲間だが、イザとなったら仲間が集まって何とか解決に導く。大方、仲間は非力で、磐音の活躍が中心である。それでも孤軍奮闘にならずに何とかなっている。ここまでなら時代小説としてよくある「市井の人々の悲喜こもごも」構成なのだが、主人公の出身藩の形骸化した組織の中で行われている無責任な財政運営、既得権益を守りたい老害たちの陰謀が見え隠れするところを織り交ぜることで、別の意味で「緊張感」を維持している。この辺が読み物として「面白い」所なのかもしれない。主人公は「居眠り剣」である割りに、殺陣はド派手で、迫力がある。普段の柔和な主人公とは掛け離れた殺陣である。「痛快」と...寒雷ノ坂

  • 陽炎の辻

    ―居眠り磐音(1)―佐伯泰英/文春文庫2019年2月10日初版、2019年4月15日第三刷。元は2002年に双葉文庫から出版された「居眠り磐根江戸双紙」シリーズの加筆修正「決定版」。珍しくTVドラマ化もされて人気がある。今まで読んだ時代小説シリーズとしては「返り忠兵衛/芝村涼也」や「髪結い伊三次/宇江佐真理」があるが、まとめて読むという機会は意外に少ない。今回の第一巻は坂崎磐音という人物の背景(豊後関前藩)と江戸に出ることになった顛末から始まる。深川元町の金兵衛長屋に暮らし、鰻蒲焼の下処理と用心棒の掛け持ちで生活する浪人だ。これから51巻までの長い話しが始まる訳だが、極貧生活のわりに暗さはない。若いという事もあるだろう。時折り、許嫁だった奈緒のこと、国元の妹のことを思い出していたたまれなくなる。それでも、朋輩を...陽炎の辻

  • 漂流

    角幡唯介/新潮文庫2020年4月1日初版。偶然にも「漂流」ということに興味をいだき、取材を始めた著者が出会った二つの事件。この「二つの漂流」に関わる主人公ともいうべき「本村実」という人物の実像を追求する661pに及ぶノンフィクション、ルポである。いささか古い話しだが、1994年2月9日、第一保栄丸というマグロ漁船が浸水、沈没。船長以下9名が救命筏で洋上を37日間、2,800kmも漂流したが、全員が無事救助された。これは希なことで、一旦漂流したら一人、二人が生き残るかどうかというのが大方のことらしい。多くはそのまま行方不明となって消息を絶つということも珍しくないという。こうして九死に一生を得た船長(主人公)だったが、そんなことがあったにも関わらず、再び船に乗り、そして完全に消息を絶ってしまうのである。著者が注目す...漂流

  • JR上野駅公園口

    柳美里/河出文庫2017年2月20日初版、2020年12月25日第八刷。2020年の全米図書賞(NationalBookAward翻訳文学部門)を受賞したことでNewsになった。どんな作品なのか、何がアメリカで受け入れられたのか、興味を持った。本屋さんでは3年前の版は既になく、「ただいま印刷中」とのこと。出来上がりを待って、入手した。単なるホームレスのノンフィクションというよりも、ちょうどコロナ禍の中に在って、122p「いつ終わるかわからない人生を生きていることが怖かった」という主人公の言葉が重なる。この悲しさ、哀れさは何だろう。最大限の努力を真面目にやってきたのに、息子に、妻に先立たれ、喪失感、虚脱感に打ちのめされる。息子はこれから輝きに満ちた明日があるはずだったのに、突然の病死だった。妻は長い間苦労して地域...JR上野駅公園口

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