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2014/10/11

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  • ジウⅢ

    ―新世界秩序―誉田哲也/中公文庫2009年2月25日初版、2011年7月15日第15刷。読んでみると、なかなか壮大なストーリーというかドラマというか、実に迫力あるダイナミックな警察モノだった。勿論、門倉美咲が主人公なのだが、伊崎基子も負けてはいない。主人公の反面的な役割を、黙々とこなしていくことで話が盛り上がる。最後にどんな悪党が出て来るのかと思っていたが、それがジョーカーであり警備部第一課の課長(警視正)というのはちょっと拍子抜けした。小野、門倉、伊崎の三人が絡んでの宮地健一、ジウの最後の闘争もクライマックスに相応しい。それまで比較的地味に展開してきた話が、ここで一気に爆発するような華々しさだった。地味と言えば主人公の門倉美咲の相棒、東三係主任(警部補)だ。かなりアクティブな人間だが、煮詰まってしまうと打開策...ジウⅢ

  • ジウⅡ

    ―警視庁特殊急襲部隊(SAT)―誉田哲也/中公文庫2009年1月25日初版、2010年7月15日第12刷。門倉美咲は変わらず碑文谷警察署で「女児営利誘拐事件」の捜査を継続。重傷を負った相棒の東警部補は退院してリハビリ開始。伊崎基子は活躍を評価されて特進、異動。巡査部長となって上野署交通捜査課へ、という所から始まる。相変わらずジウの行方はつかめていない。お題は確かに「ジウ」なのだが、完全に脇役。主人公は門倉美咲巡査である。しかし、伊崎基子との対比が面白い。最終的にこの二人はどんな結末を迎えるのか、実に気になる。依然二人は仲良くなりそうにないが、事件が二人の関係を離れがたいものにしている。子供の頃に背負ったトラウマが、その後の人生をいかに捻じ曲げるかが執拗に語られる。小説でありながら、人の「悲しみ」というものが痛い...ジウⅡ

  • 同期

    今野敏/講談社文庫2012年7月13日初版。著者の作品は「義闘」に始まり最近読んだ「任侠書房」に至るまでランダムに10冊以上読んでいるが、やはり警察モノが圧倒的に多い。この作品も警察モノの典型である。お題の「同期」は何か電気的な信号のシンクロのことかと思ったが、そうではなく警察学校の入庁「同期」のこと。「同期」が他に比べて特別な思いを持つのは、何も警察だけではないが、厳しい環境の中で「同じ釜の飯」ならぬ共同責任において落伍せずに修了した「同期」は確かにキズナと言ってよい関係が出来る土壌である。警察官としての「矜持」と共に、本来目的を再認識しながらも苦悩する主人公の人間性が実にうまく描写されている。松金良美(ロバータ、ウエハラ)という登場人物の設定は、いかにもフィクション的であるが、右翼の大物、八十島秋水は結構リ...同期

  • よみがえる変態

    星野源/文春文庫2019年9月10日初版。申し訳ないが著者の事は全く認識が無く、イメージも無い。それで仕方なくYoutubeの再生2億回超という「恋」を拝聴した。それでも「恋」は初めて聞くモノだった。我ながら相当世間ズレしているような気がしないでもない。耳が悪くなったこともあるのだが、昨今はほとんどこの手の曲は聞かない。考えてみれば、この手も何も音楽自体をほとんど聞かない生活になってしまった。TVもあまり見ないし、車で走っていてもラジオすら聞かない。随分性格的にまっすぐで、ソフトでホットで、しかも何より働き者だ。どこが「変態」なのかが、わからない。101pの「夏休み」と巨大な寂しさについて、それさえも食ってしまう著者が羨ましい。125p自分の人生は自分で決めるもの。それがどれだけ難しいか、ということは納得できる...よみがえる変態

  • 観音さま

    鎌田茂雄/講談社学術文庫2018年11月9日初版。ちょっとしたきっかけで「観音様」、特に「水瓶観音或いは摘水観音」に興味を持ち、観音概論的なものを探していたところ、当たったのが本書。200pに満たないものだが、概要はよくわかる。観音様の成り立ちや位置づけ、「観音経」のこと、「法華経」との関係。歴史的背景など。人々との関係の中でどのように受け入れられていったのかがよく判る。お目当ての「水瓶観音或いは摘水観音」は解説の中に出てこなかったが、その出現の背景は、想像できるというものだ。観音様は気前がよく、何でも聞いてくれる。何処ぞの神様のようにケチなことは言わない。庶民の味方である。三十三身に変化して応現、救済してくれるという。観音さまは観世音菩薩、観自在菩薩、観音菩薩といろいろ呼び名はあるけれど、それは各時代と、その...観音さま

  • 虚空の糸

    ―警視庁殺人分析班―麻見和史/講談社文庫2015年5月15日初版。このシリーズは6冊あり、本作はその4冊目となる。主人公の如月塔子が新米から成長していく姿を追いながらシリーズ化されているようだ。主人公だからと言って、あからさまな活躍をしない、おくゆかしいところがよい。今回の相棒の先輩、昼行燈こと鷹野秀昭主任(警部補)も、ほどよく関係するなかなかバランス感覚の優れた組だ。次々と起こる殺人事件と主人公まで襲われてしまうことで、遂々力が入ってしまう。そして最終段階では、二段構えの「えっ」が待っている。347p、話がいきなり広瀬奈津美に振られる「えっ!」359p、更に、望月喬って「えっ?」よく計算されたストーリーだと思う。自傷行為を繰り返す犯人の病的な姿も結構リアルで、真に迫るものがあった。虚空の糸

  • 使命と魂のリミット

    東野圭吾/角川文庫2010年2月25日初版。久々の東野作品。この話にはいろいろなものが作り込まれている。ミステリー、サスペンス、警察モノ、医療モノ、その上で主人公・研修医が長年抱いている疑惑が大筋。西園の不良息子、氷室健介、神原春菜、望月亜紀、、皆望まぬ病や運の悪さから命を失っている。結局、誰が悪いというより、人は何かしら誰かしらにその責任の一端を担ってもらいたいもの。残された者には、そうせずには居られない悲しみに襲われる。そして、それを覆す、納得することの難しさがこの作品のテーマだろう。西園医師はこれを最後の機会と思い、主人公に全力でそれを示した。直井は人生を賭けてその責任者に迫った。それぞれ立場や方法に違いはあるけれど一旦凍り付いた人の心は、容易なことでは溶けやしない。それでも最後には、長い間鬱積したものが...使命と魂のリミット

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